説明

収穫機

【課題】ひまわりの小さい花托部が回収できずにヘッドロスとなるという課題がある。
【解決手段】圃場の花托部Kを茎部から切断する刈刃17を有する支持フレーム26に搬送ラグ30を有する搬送ベルト29を設けて刈取搬送装置15を構成する。刈取搬送装置15は左右に複数並設する。各刈取搬送装置15の支持フレーム26の上部には花托部Kを載置して後方へ搬送する搬送テーブル32を設ける。支持フレーム26には搬送テーブル32に対して左右に移動自在のレール部材40を設ける。レール部材40は隣接する刈取搬送装置15の搬送テーブル32との間の移動路24の左右幅を広狭に調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひまわり等の植物を刈り取る収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、油糧作物を原料として、バイオディーゼル燃料の精製やパルプの製造を行う、所謂バイオマス利用技術が注目されており、バイオマス資源作物として利用されるひまわり等の作物は茎部が長く背丈が高い特徴がある。
このような茎部が長く背丈が高い植物を収穫する収穫機としては、刈取部を、左右側壁と底板と左右の側壁と底板とを連結する後板により構成するオーガーフレームに、圃場の例えばひまわりの花托部を茎部から切断する刈刃を有する支持フレームに設けた横軸回転の従動輪と駆動輪との間に搬送ラグを有する無端状の搬送ベルトを掛け回して構成した刈取移送装置を、所定間隔をおいて左右方向に複数並設して花托部を刈り取る構成は、公知である。
【特許文献1】特開2007−252259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、複数の刈取移送装置を並設し、隣接する刈取移送装置間に形成される移動路に植立状態のひまわりの茎部が入り、移動路を移動中に刈刃によりひまわりの茎部から花托部が切断され、搬送テーブル上に載った花托部を搬送ベルトの搬送ラグが後方のオーガーに向けて搬送する構成であるため、ひまわりの茎部から切断された花托部の全部が搬送テーブル上に載らず、左右の刈取移送装置間間から落下して、小さい花托部は回収できずにヘッドロスとなるという課題がある。
本願は、刈取部の搬送装置の構成を工夫して、ヘッドロスの発生を抑制するように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、走行装置2の前方にひまわり等の茎部の先端にある植物の花托部Kを刈取って後方へ移送する刈取部5を設け、走行装置2の上方に刈取部5が刈り取った植物の種子を脱粒させる脱穀装置3を設け、前記刈取部5は、左右の側壁6と底板9と左右の側壁6と底板9とを連結する後板10により構成するオーガーフレーム11に、圃場の前記花托部Kを茎部から切断する刈刃17を有する支持フレーム26に設けた横軸回転の従動輪27と駆動輪28との間に搬送ラグ30を有する無端状の搬送ベルト29を掛け回して構成した刈取搬送装置15を、所定間隔をおいて左右方向に複数並設し、前記各刈取搬送装置15の支持フレーム26の上部には花托部Kを載置して後方へ搬送する搬送テーブル32を設け、前記支持フレーム26には前記搬送テーブル32に対して左右方向に移動自在のレール部材40を設け、該レール部材40は隣接する前記刈取搬送装置15の搬送テーブル32との間の移動路24の左右幅を広狭に調節しうるように構成したことを特徴とする収穫機としたものであり、複数並設された各刈取搬送装置15は左右の隣接する他の刈取搬送装置15との間にひまわりが移動する移動路24を形成し、移動路24を移動中のひまわりの花托部Kを切断する刈刃17を設け、刈刃17により刈り取った花托部Kを搬送する搬送装置搬送装置25を設けているので、エンジンを始動し、走行装置2により機体を走行させると、未刈ひまわりの茎部が左右に並設した刈取搬送装置15の間の移動路24に導入され、移動路24に導入されたひまわりの花托部Kは搬送テーブル32上に載置または搬送テーブル32の間上方に位置し、この花托部Kに移動中の搬送ベルト29の搬送ラグ30が当接して後方に搬送され、刈刃17で切断されて回転するオーガー8の上方に搬送供給され、オーガー8は外周面のスパイラル翼20により花托部Kを集め、回転するオーガーフィンガー19により搬送エレベーター18内へ供給し、搬送エレベーター18により脱穀装置3へ供給されて脱穀される。
このとき、各刈取搬送装置15の支持フレーム26に対して左右方向に移動自在にレール部材40を設けているので、レール部材40は左右に隣接する搬送テーブル32の間の移動路24の左右幅を広狭に調節でき、左右のレール部材40の端縁間の移動路24の幅を、ひまわりの茎部分は移動するが、花托部Kが下方に落下しない幅に調節できる。
したがって、大きい花托部Kのみならず小振りな花托部Kも左右のレール部材40の端縁上に載って搬送ラグ30により確実・円滑に搬送される。
請求項2記載の発明は、前記レール部材40を、移動路24が狭くなる側に常時付勢したことを特徴とする収穫機としたものであり、レール部材40は、移動路24が狭くなる側に常時付勢されているので、左右のレール部材40の端縁間の移動路24の幅を、ひまわりの茎部分は移動するが、花托部Kが下方に落下しない幅に保持し、大きい花托部Kのみならず小振りな花托部Kも左右のレール部材40の端縁上に載って搬送ラグ30により確実・円滑に搬送される。
請求項3記載の発明は、前記レール部材40は、前記支持フレーム26に対して左右方向移動自在に取付けると共に、レール部材40の端縁が常時外側に突出するようにバネ45により付勢したことを特徴とする収穫機としたものであり、レール部材40はバネ45によりレール部材40が常時外側に突出するように付勢されているので、レール部材40の間の移動路24は狭い状態に保持され、小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送される。
また、レール部材40はひまわりの茎の太さ・移動路24内の移動量が増加すると、ひまわりの茎部がレール部材40の端縁をバネ45の弾力に抗して押し込み、移動路24を広くする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、移動路24の左右幅を花托部Kの径やその他の条件に応じて左右幅を広狭に調節でき、最適状態でひまわりの花托部Kの刈り取りを行え、ヘッドロスを減少させて収穫作業の効率を高めることができる。
請求項2の発明では、上記請求項1記載の発明の効果を奏する上に、移動路24が狭くなる側に常時付勢されるので、ひまわりの茎部分は移動するが、花托部Kが下方に落下しない幅に移動路24の幅を保持でき、小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送することができ、ヘッドロスを減少させることができる。
請求項3の発明では、上記請求項2記載の発明の効果を奏する上に、レール部材40がバネ45により常時外側に突出するように付勢されているので、レール部材40の間の移動路24は常時最も狭くなり、小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送して、ヘッドロスを減少させることができ、また、レール部材40はひまわりの茎の太さ・移動路24内を移動する量が多くなる等の場合、レール部材40は内側に自動的に移動するので、移動路24の詰まりを防止しつつ、花托部Kを確実・円滑に搬送して、ヘッドロスを減少させる。
また、左右のレール部材40は常時バネ45により外側に付勢されているので、レール部材40はバネ45の弾力によりひまわりの茎部分の挾持作用を奏し、保持力が向上し、移動路24からの茎こぼれを抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例として、主として茎部が長く背丈が高いひまわりの収穫用の収穫機の例を図面により説明すると、1は機体フレーム、2は機体フレーム1の下部に設けた走行装置、3は機体フレーム1上に設けたひまわりの花托部K(図5)から種子を脱粒させる脱穀装置、4は脱穀装置3の前方の一側に設けた操縦部、5は前記操縦部4の前方に設けたひまわりを刈り取って後方へ搬送する刈取部、7は穀粒貯留装置である。
刈取部5は、左右側壁6と、後述するオーガー8の下方に位置する底板9と、左右の側壁6と底板9とを連結するように設けた後板10によりオーガーフレーム11を構成する。オーガーフレーム11の左右側壁6の前部には圃場のひまわりを分草する分草体13を設ける。左右の分草体13の間のオーガーフレーム11には、ひまわりの花托部Kを刈り取り搬送する刈取搬送装置15を左右に複数並設する。刈取搬送装置15の上方には、ひまわりを掻き込むリール16を設け、刈取搬送装置15の後部所定位置には刈刃17を設ける。
【0007】
前記オーガーフレーム11の後板10の反操縦部4側には前記搬送エレベーター18の先端を接続する。前記オーガー8は、刈り取られたひまわりの花托部Kを集めるものであり、略同径の円筒状部材により構成する。オーガー8の外周面の前記搬送エレベーター18との接続部分の開口させた部分には搬送エレベーター18にひまわりの花托部Kを送り込むオーガーフィンガー19を設け、該オーガーフィンガー19の左右両側にはオーガーフィンガー19にひまわりの花托部Kを集送するスパイラル翼20を設ける。
搬送エレベーター18の基部は前記脱穀装置3の脱穀室に接続すると共に、脱穀装置3の固定部に横軸回動自在に取付ける。したがって、刈取部5は、オーガーフレーム11ごと搬送エレベーター18を刈取上下シリンダ21により上下させて刈り高さを調節する。
【0008】
しかして、前記刈取搬送装置15は、オーガーフレーム11の左右の側壁6の左側寄りの位置に、互いに所定間隔を置いて5基乃至6基設ける。各刈取搬送装置15は左右の隣接する他の刈取搬送装置15との間に前記ひまわりの茎部部分が移動する移動路24を形成し、移動路24を移動中のひまわりの花托部Kを切断する前記刈刃17を設け、刈刃17により刈り取った花托部Kを搬送する搬送装置25を設けて構成している。
搬送装置25は、刈取搬送装置15の支持フレーム26の前側に横軸回転の従動輪27を、支持フレーム26の後側に横軸回転の駆動輪28を夫々軸装して構成している。従動輪27と駆動輪28との間には無端状の搬送ベルト29を掛け回す。搬送ベルト29には所定間隔をおいて左右方向の搬送ラグ30を設ける。31は中間輪である。
【0009】
前記支持フレーム26の上部部分は、花托部Kを搬送する搬送テーブル32に形成し、搬送テーブル32上に載った花托部Kを前記搬送ベルト29の搬送ラグ30が後方のオーガー8に向けて搬送する。
前記搬送ベルト29は前記搬送テーブル32の左右中間位置に設けた案内凹部33内を移動するように、案内凹部33に嵌合させ、搬送ラグ30は搬送テーブル32上を移動させる。
前記刈刃17の構成は任意であるが、移動路24に対して交差方向に設ければよく、一例を示すと、後方のオーガー8に向けて花托部Kを搬送する往路の搬送ベルト29と、支持フレーム26の前方に向けて移動する復路の搬送ベルト29との上下中間位置に刈刃17を位置させる。
【0010】
即ち、支持フレーム26の一部を切り欠いて開口部34を形成し、複数並設した各刈取搬送装置15の支持フレーム26の開口部34を貫通するように刈刃17を設け、隣接する各刈取搬送装置15間の移動路24中に刈刃17を臨ませ、移動路24を移動中のひまわりの花托部Kを切断する。
また、刈刃17への駆動伝動構成は要件ではなく、任意に構成すれよく、詳細は省略する。
また、各刈取搬送装置15の支持フレーム26の夫々は、前記刈刃17よりも後側の位置において、刈刃17と同様に各刈取搬送装置15の支持フレーム26を貫通するように左右方向の長尺状の連結フレーム35を設け、連結フレーム35により各刈取搬送装置15の支持フレーム26を一体状に連結する(図3)。連結された各刈取搬送装置15の支持フレーム26は、例えば前記駆動輪28の軸心を中心として上下回動自在に構成し、オーガーフレーム11とは別個に独立して刈取搬送装置15の先端高さ調節自在に構成する。
【0011】
即ち、圃場のひまわりの高さに応じて刈取部5を上下させ、次に、刈取搬送装置15の先端高さをシリンダ(図示省略)により調節して、前記中間輪31より後方の搬送テーブル32の部分の傾斜が後傾状態となるようにして、花托部Kが搬送テーブル32上を前方移動するのを防止して、最適状態で刈取作業を行う。
36は支持フレーム26の下部に設けたカバー部であり、復路を移動する搬送ベルト29および搬送ラグ30とひまわりとの接触を防止している。
【0012】
しかして、案内凹部33の左右両側の搬送テーブル32には、レール部材40を搬送テーブル32に対して左右方向に移動自在に設ける。レール部材40は搬送テーブル32と共に花托部Kを搬送する搬送テーブルの作用を奏すると共に、左右に隣接する刈取搬送装置15の搬送テーブル32(レール部材40)との間の移動路24の左右幅を広狭に調節しうるように構成する。
刈取搬送装置15は、例えば、刈刃17により切断した花托部Kが搬送テーブル32上に載って搬送ラグ30で搬送される場合(図5)と、左右の搬送テーブル32(レール部材40)により支持された状態で花托部Kが搬送ラグ30で搬送される場合(図6)が想定され、そのため、搬送テーブル32の下方の移動路24をひまわりの茎部分は移動するが、左右の搬送テーブル32の間の移動路24から花托部Kが下方に落下しない幅にし、左右の搬送テーブル32により花托部Kを支持しうるように、左右の刈取搬送装置15の間の移動路24の左右幅を広狭に調節する。
【0013】
したがって、大きい花托部Kのみならず小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送でき、ヘッドロスを減少させる。
図4の実施例では、レール部材40は搬送テーブル32にボルト41により移動自在に固定しており、レール部材40または搬送テーブル32の何れかに長孔を形成している。なお、レール部材40を取付ける部分は支持フレーム26の何れの部分であればよく、搬送テーブル32以外の部分でも良い。
しかして、図7のレール部材40は、左右の搬送テーブル32に対して常時最も移動路24が狭くなるように構成したものである。
具体的には、レール部材40は断面L型形状に形成し、レール部材40の縦板部42に固定の横軸43を、支持フレーム26の縦板部44に移動自在に軸装し、バネ45により横軸43が常時外側に突出するように付勢させる。
横軸43とバネ45の取付構成は任意であり、46は抜け止めピン、47はバネ受体である。
【0014】
そのため、レール部材40はひまわりの茎の太さ・移動路24内を移動する量に応じて出入りし、最適状態で刈取作業を行って、大きい花托部Kのみならず小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送でき、ヘッドロスを減少させる。
また、ひまわりの茎の太さやひまわりの移動量に応じてレール部材40が出入りして、移動路24の間隔が変化するので、移動路24のひまわりにより詰まり発生を抑制する。
また、左右のレール部材40は常時バネ45により外側に付勢されているので、レール部材40はバネ45の弾力によりひまわりの茎部分の挾持作用を奏し、保持力が向上し、移動路24からの茎こぼれを抑制する。
しかして、前記搬送ベルト29の搬送ラグ30は、樹脂などの一体成型の弾性部材により搬送ラグ30に取付ける取付部50と取付部50の左右方向に突出するラグ部51を有して構成する。ラグ部51は先端にかけて先細の形状に形成する。
そのため、全体を金属製に形成した搬送ラグ30に比してひまわりなどの特有な茎幹の搬送力を向上させ、スムーズに搬送できると共に、取付部50より左右側に突出するラグ部51は弾性変形するので、ひまわりの茎部により過剰負荷が掛かると変形退避するが、負荷がなくなると、弾性回復する。したがって、搬送ラグ30の変形・破損を抑制し、メンテナンスを容易にする。
【0015】
前記取付部50は後方に突出する突部52を設けて構成し、左右の突部52間に搬送ベルト29の一部を嵌合させてボルト・ピン等の固定具53により固定する。
また、図11の搬送ベルト29の搬送ラグ30の実施例では、搬送ベルト29の左右両側に対称の形状にラグ部51を突出させて形成する。搬送ラグ30は搬送ベルト29との取付部50を金属部材により形成し、取付部50にゴム・合成樹脂材等の弾性を有するラグ部51を取り付けて構成する。
前記支持フレーム26の案内凹部33の部分は金属部材により構成し、搬送ベルト29および搬送ラグ30を支持する。
したがって、ひまわりなどの特有な茎幹の搬送力えるための搬送ベルト29への搬送ラグ30の取付強度を向上させ、スムーズに搬送できると共に、対称形状のため、組立に取付方向等の配慮を不要とし、作業を容易にする。
前記取付部50は前後に起立部55を設けて構成し、前後の起立部55間にラグ部51を嵌合させてボルト等の固定具56により固定する。
【0016】
そのため、取付部50より左右側に突出するラグ部51は弾性変形するので、ひまわりの茎部により過剰負荷が掛かると変形退避するが、負荷がなくなると、弾性回復する。したがって、搬送ラグ30の変形・破損を抑制し、メンテナンスを容易にする。
なお、ラグ部51は帆布ベルトの短寸物が、耐久面コスト面で好適であった。
しかして、前記リール16は、回転軸60にリールフレーム61の中心を取付け、リールフレーム61にはリールタイン62を取付ける。
前記回転軸60の両端は左右一対のリール取付アーム65に着脱自在に夫々取付ける。リール取付アーム65はその基部をオーガーフレーム11に回動自在に取付け、オーガーフレーム11とリール取付アーム65の間に設けた上下シリンダ66により高さ位置を上下調節する。また、左右のリール取付アーム65には前後位置調節用アクチュエータ67を設け、前記リール16の前後位置を調節しうるようにする。また、前記リールタインリールタイン62の地面に対する角度も調節可能に構成している。
【0017】
前記リール16の回転軸60には入力歯車68を設け、前記リール取付アーム65の基部側に設けた変速用歯車69との間に無端状のチエン70を掛け回す。変速用歯車69はスライドギヤ71に直径(歯数)の相違する複数の変速スプロケット72をスライドギヤ71の中心から同心円状に複数設け、複数の変速スプロケット72の何れかを選択的にチエン70に噛みあせて変速する。
前記各変速スプロケット72の取付用回転軸73の内面側には嵌合凹部74を設け、嵌合凹部74にはリール中間出力軸75の係合爪76を係合離脱自在に構成する。リール中間出力軸75には中間輪77を設け、中間輪77には前記搬送エレベーター18からの回転を入力させる。
スライドギヤ71は取付軸78に摺動のみ自在に取付け、スライドギヤ71の外周歯79には切替用歯車80を噛み合わせ、切替用歯車80は他端に操作ハンドル(図示省略)を設けた操作軸81に取付ける。操作軸81は操作ハンドルにより軸方向に移動自在かつ回転自在とる。
【0018】
操作ハンドルは、操作軸81を機体進行方向の左方向に移動させると(図17において上方向)、変速スプロケット72の嵌合凹部74をリール中間出力軸75の係合爪76から離脱させ、次に、操作軸81を回転させると、リール中間出力軸75に別の径の変速スプロケット72が位置するようにスライドギヤ71を回転させ、次に、操作軸81を右方向に移動させると、変速スプロケット72の嵌合凹部74をリール中間出力軸75の係合爪76に係合させる。
この場合、変速スプロケット72とリール中間出力軸75は、所謂スプライン係合でなく、変速スプロケット72の嵌合凹部74とリール中間出力軸75の係合爪76とを係合させる構成のため、継ぐと離脱の「継脱」を円滑・確実に行える。
82はバネ、83は係合孔、84は係合ピンであり、変速スプロケット72の嵌合凹部74とリール中間出力軸75の係合爪76との係合を一層確実にする。
【0019】
しかして、スライドギヤ71は、側面視において、スライドギヤ71の変速スプロケット72がリール中間出力軸75の軸心に対して外れた位置で保持するように構成する。
そのため、変速スプロケット72とリール中間出力軸75とは、互いに係合不能状態となって、リール16への回転伝達を切りにした中立位置とすることができる。
したがって、リール16を手動で自由に回転させることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
また、リール16を手動で回転させたとき、全部の変速スプロケット72は自由回転するので、チエンの脱線等の不具合を防止でき、この点でも、メンテナンス性を向上させることができる。
【0020】
しかして、前記左右のリール取付アーム65の所定位置には、左右のリール取付アーム65を連結する連結フレーム85を設け、連結フレーム85と左右のリール取付アーム65に透明シート部材86の端部を着脱自在に固定する。
したがって、透明シート部材86の前端はリール取付アーム65の前後中間に位置させ、透明シート部材86の後端はオーガーフレーム11の後板10に取り付けられ、刈取搬送装置15により搬送された花托部Kや、オーガー8の回転により飛んだ花托部Kがオーガーフレーム11より後方へ飛び出すのを防止する。
即ち、透明シート部材86はオーガーフレーム11外への花托部Kの飛び出しをブロックし、ヘッドロスを抑制する。
また、透明シート部材86は、透明であるので、操縦部4のオペレータの視界の妨げとならず、作業性・操縦性を低下させない。
なお、透明シート部材86は理解を容易にするため、図20において斜線を施して図示しているが、これにより構成は限定されない。
【0021】
また、透明シート部材86の取付構成は任意であり、例えば、透明シート部材86の後部は図21のようにオーガーフレーム11の後板10に取付部材87により回動自在に取付け、前透明シート部材86の前端に係合フック88を設け、係合フック88を連結フレーム85に着脱自在に係合させる構成とする。
そのため、透明シート部材86の着脱をワンタッチで行え、操縦部4からのメンテナンスや、透明シート部材86の清掃を容易にする。
しかして、リール16および刈取搬送装置15を一旦外した刈取部5には、ロークロップユニット90を着脱自在に取付ける。ロークロップユニット90は、公知の構成であり、左右一対の分草体91を設け、分草体91の後方に引起搬送装置92を設けたユニット93を左右方向に複数連結して並設して構成し、オーガーフレーム11に着脱自在に取付ける。
94は引起搬送装置92の上側搬送装置、95は引起搬送装置92の下側搬送装置、96は円板状の刈刃である。
【0022】
前記刈刃96の後部下方には左右方向の下部フレーム97を設け、下部フレーム97にユニット上下用シリンダ98の先端を装着し、ユニット上下用シリンダ98の基部はオーガーフレーム11に回動自在に取付ける。ユニット上下用シリンダ98はロークロップユニット90の所定の部分を中心としてロークロップユニット90の先端が上下するように構成する。
そのため、ロークロップユニット90の先端を上下させて高さ調節して、最適状態で刈取作業を行える。
また、引起搬送装置92の下方に下部フレーム97を設けているので、引起搬送装置92による作物の搬送の邪魔にならない箇所でロークロップユニット90の強度を向上させることができる。
また、刈刃96の下方に下部フレーム97を設けているので、下部フレーム97が刈刃96に一部をカバーする安全フレームとして作用する。
【0023】
図24は、ロークロップユニット90の上下構成の他の実施例であり、前記下部フレーム97と前記左右のリール取付アーム65との間を連結体99により連結し、左右のリール取付アーム65の上下によりロークロップユニット90の先端を上下させる。
左右のリール取付アーム65を上方回動させると、ロークロップユニット90を上方回動させることができ、ロークロップユニット90の下側からのメンテナンス作業を容易に行える。
【0024】
(実施例の作用)
エンジンを始動し、走行装置2により機体を走行させると、未刈ひまわりの茎部が左右に並設した刈取搬送装置15の間の移動路24に進入し、移動路24を移動中のひまわりの花托部Kは刈刃17により刈り取られ、刈り取った花托部Kは搬送装置25により回転するオーガー8の上方に搬送供給され、オーガー8は外周面のスパイラル翼20により集め、回転するオーガーフィンガー19により搬送エレベーター18内へ供給し、搬送エレベーター18により脱穀装置3へ供給されて脱穀される。
搬送装置25は、支持フレーム26の前側に横軸回転の従動輪27を、支持フレーム26の後側に横軸回転の駆動輪28を夫々軸装し、従動輪27と駆動輪28との間には複数の搬送ラグ30を所定間隔を設けた無端状の搬送ベルト29を掛け回し、搬送ラグ30は支持フレーム26の天板部分の搬送テーブル32上移動するので、未刈ひまわりの茎部が左右の搬送テーブル32間の下方の移動路24に進入し、搬送テーブル32の上方の移動路24間を花托部Kが移動し、移動中に刈刃17によりひまわりの茎部から花托部Kが切断され、搬送テーブル32上に載った花托部Kを搬送ベルト29の搬送ラグ30が後方のオーガー8に向けて搬送する。
【0025】
このとき、左右の搬送テーブル32間の移動路24が花托部Kより広いと、搬送装置25は花托部Kを搬送できないことになるが、本願では、案内凹部33の左右両側の搬送テーブル32にレール部材40を搬送テーブル32に対して左右方向に移動自在に設けているので、レール部材40は左右に隣接する搬送テーブル32の間の移動路24の左右幅を広狭に調節し、搬送テーブル32と共に花托部Kを搬送する搬送テーブルの作用を奏して、花托部Kを後方に搬送する。
即ち、左右のレール部材40の端縁間の移動路24の幅を、ひまわりの茎部分は移動するが、花托部Kが下方に落下しない幅に調節し、切断前の花托部Kおよびひまわりの茎部から切断された花托部Kの一部が左右のレール部材40上に載って搬送ラグ30により搬送する。
したがって、大きい花托部Kのみならず小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送でき、ヘッドロスを減少させる。
【0026】
具体的には、ボルト41を弛め、レール部材40全体を搬送テーブル32に対して左右方向に移動させ、再び、ボルト41を締めてレール部材40を搬送テーブル32に固定する。
図7のレール部材40は、バネ45によりレール部材40が常時外側に突出するように付勢しているので、レール部材40の間の移動路24は左右の搬送テーブル32に対して常時最も狭くなり、小振りな花托部Kも確実・円滑に搬送でき、ヘッドロスを減少させる。
また、レール部材40はひまわりの茎の太さ・移動路24内を移動する量が多くなると、ひまわりの茎部がレール部材40の端縁をバネ45の弾力に抗して押し込み、移動路24の詰まりを防止しつつ、花托部Kを確実・円滑に搬送して、ヘッドロスを減少させる。
【0027】
また、左右のレール部材40は常時バネ45により外側に付勢されているので、レール部材40はバネ45の弾力によりひまわりの茎部分の挾持作用を奏し、保持力が向上し、移動路24からの茎こぼれを抑制する。
しかして、搬送装置25の搬送ベルト29の搬送ラグ30は、樹脂などの一体成型の弾性部材により搬送ラグ30に取付ける取付部50と取付部50の左右方向に突出するラグ部51を有して構成し、ラグ部51は先端にかけて先細の形状に形成しているから、全体を金属製に形成した搬送ラグ30に比してひまわりなどの特有な茎幹の搬送力を向上させ、スムーズに搬送できると共に、取付部50より左右側に突出するラグ部51は弾性変形するので、ひまわりの茎部により過剰負荷が掛かると変形退避するが、負荷がなくなると、弾性回復する。
【0028】
したがって、搬送ラグ30の変形・破損を抑制し、メンテナンスを容易にする。
また、搬送ラグ30は、搬送ラグ30の取付部50の前後に起立部突部52を設けて構成し、前後の突部52間にラグ部51を嵌合させてボルト・ピン等の固定具突部52により固定するので、組立が容易であり、仮に、搬送ラグ30が破損したときも、交換が容易にできる。
また、図11の搬送ベルト29の搬送ラグ30の実施例では、搬送ベルト29の左右両側に対称の形状にラグ部51を突出させて形成し、取付部50を金属部材により、取付部50にゴム・合成樹脂材等の弾性を有するラグ部51を取り付けて構成しているので、ひまわりなどの特有な茎幹の搬送力を得るための搬送ベルト29への搬送ラグ30の取付強度を向上させ、スムーズに搬送できると共に、対称形状のため、組立に取付方向等の配慮を不要とし、作業を容易にする。
搬送ラグ30は、取付部50の前後の突部52間にラグ部51を嵌合させてボルト等の固定具56により固定しているので、取付部50より左右側に突出するラグ部51は弾性変形し、ひまわりの茎部により過剰負荷が掛かると変形退避するが、負荷がなくなると、弾性回復し、しかも、ラグ部51の中央部分が取付部50の前後の突部52により挟持されているので、搬送ラグ30と搬送ベルト29との取付強度を向上させ、搬送ラグ30によるひまわりの搬送力を向上させられる。
【0029】
しかして、前記左右のリール取付アーム65の所定位置には、左右のリール取付アーム65を連結する連結フレーム連結フレーム85を設け、連結フレーム連結フレーム85と左右のリール取付アーム65に透明シート部材86の端部を着脱自在に固定しているから、透明シート部材86の前端はリール取付アーム65の前後中間の所定位置に位置し、透明シート部材86の後端はオーガーフレーム11の後板10に取り付けられて、刈取搬送装置15により搬送された花托部Kや、オーガー8の回転により飛んだ花托部Kがオーガーフレーム11より後方へ飛び出すのを防止する。
したがって、透明シート部材86はオーガーフレーム11外への花托部Kの飛び出しをブロックし、ヘッドロスを抑制する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】収穫機の側面図。
【図2】収穫機の刈取部の平面図。
【図3】刈取移送装置部分の側面図。
【図4】同正面図。
【図5】刈取移送装置間にひまわり等の植物が位置した状態の一例を示す状態図。
【図6】刈取移送装置間にひまわり等の植物が位置した状態の他の例を示す状態図。
【図7】レール部材の他の移動構成の正面図。
【図8】同拡大図。
【図9】搬送ラグの斜視図。
【図10】同側面図。
【図11】搬送ラグの他の実施例の斜視図。
【図12】同側面図。
【図13】リールの側面図。
【図14】リールの回転変速機構の部分の側面図。
【図15】変速歯車の係合状態図。
【図16】変速歯車の係合凹部の底面図。
【図17】同係合状態斜視図。
【図18】リールの回転変速機構の部分の平面図。
【図19】変速歯車の中立状態の一例を示す概略図。
【図20】収穫機の平面図。
【図21】透明部材の斜視図。
【図22】コンバインの平面図。
【図23】コンバインのロークロップロップ部分の側面図。
【図24】コンバインのロークロップロップ部分の他の実施例の側面図。
【符号の説明】
【0031】
1…フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…操縦部、5…刈取部、6…左右の側壁、8…オーガー、9…底板、10…後板、11…オーガーフレーム、12…リール、15…刈取搬送装置、17…刈刃、18…搬送エレベーター、19…オーガーフィンガー、20…スパイラル翼、21…刈取上下シリンダ、24…移動路、25…搬送装置、26…支持フレーム、27…従動輪、28…駆動輪、29…搬送ベルト、30…搬送ラグ、31…中間輪、32…搬送テーブル、33…案内凹部、35…連結フレーム、36…カバー部、40…レール部材、41…ボルト、42…縦板部、43…横軸、44…縦板部、45…バネ、50…取付部、51…ラグ部、52…突部、56…固定具、60…回転軸、61…リールフレーム、62…リールタイン、65…リール取付アーム、66…上下シリンダ、67…前後位置調節用アクチュエータ、68…入力歯車、69…変速用歯車、70…チエン、71…スライドギヤ、72…変速スプロケット、73…取付用回転軸、74…嵌合凹部、75…リール中間出力軸、76…係合爪、77…中間歯車、78…取付軸、79…外周歯、80…切替用歯車、81…操作軸、85…連結フレーム、86…透明シート部材、87…取付部材、88…係合フック、90…ロークロップユニット、97…下部フレーム、98…ユニット上下用シリンダ、99…連結体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方にひまわり等の茎部の先端にある植物の花托部(K)を刈取って後方へ移送する刈取部(5)を設け、走行装置(2)の上方に刈取部(5)が刈り取った植物の種子を脱粒させる脱穀装置(3)を設け、前記刈取部(5)は、左右の側壁(6)と底板(9)と左右の側壁(6)と底板(9)とを連結する後板(10)により構成するオーガーフレーム(11)に、圃場の前記花托部(K)を茎部から切断する刈刃(17)を有する支持フレーム(26)に設けた横軸回転の従動輪(27)と駆動輪(28)との間に搬送ラグ(30)を有する無端状の搬送ベルト(29)を掛け回して構成した刈取搬送装置(15)を、所定間隔をおいて左右方向に複数並設し、前記各刈取搬送装置(15)の支持フレーム(26)の上部には花托部(K)を載置して後方へ搬送する搬送テーブル(32)を設け、前記支持フレーム(26)には前記搬送テーブル(32)に対して左右方向に移動自在のレール部材(40)を設け、該レール部材(40)は隣接する前記刈取搬送装置(15)の搬送テーブル(32)との間の移動路(24)の左右幅を広狭に調節しうるように構成したことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
請求項1において、前記レール部材(40)を、移動路(24)が狭くなる側に常時付勢したことを特徴とする収穫機。
【請求項3】
請求項2において、前記レール部材(40)は、前記支持フレーム(26)に対して左右方向移動自在に取付けると共に、レール部材(40)の端縁が常時外側に突出するようにバネ(45)により付勢したことを特徴とする収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−232739(P2009−232739A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82587(P2008−82587)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】