説明

取り外し可能なマスクを用いる基板処理システム及び方法

【課題】取り外し可能なマスクを用いて基板上にパターン化された層を製造し得る装置及び方法を提供する。
【解決手段】マスクを基板上に直接形成する従来の技術と異なり、マスク110は基板105とは独立に形成される。使用中、マスク110は、例えば堆積、スパッタリング、エッチング等の処理のために基板105の一部分のみが露出されるように、基板105に接近して又は接触して設置される。処理が終了したら、マスク110は基板105から取り外され、廃棄されるか、別の基板105に使用される。マスク110は所定の数の基板105に対して循環使用された後に、洗浄又は廃棄のために取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年6月30日及び2009年5月6日にそれぞれ出願された米国仮出願第61/077,054号及び第61/176,003号に関連し、その優先権の恩恵を主張するものであり、参考としてここに付記する。
【0002】
本発明は、基板の処理、より詳しくは光電池(セル)として動作するように製造された基板の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
基板処理用具は、半導体ウェハ、ガラス、ステンレススチール等の材料からなる基盤から、ハードドライブディスク、半導体コンピュータチップ、太陽電池パネル等を作るために使用されている。一般に、基板処理用具は、基板を変更する種々のプロセス、例えば堆積、洗浄、エッチング、加熱/冷却等を実行するいくつかの基板チャンバを含む。半導体製造分野においては、堆積及びエッチング等の種々の処理ステップは基板の選択された部分のみに実行されるが、ハードドライブディスク及び太陽電池製造においては、処理は一般に基板の全表面に対して実行される。
【0004】
例えば、半導体製造分野においては基板の表面にマスクを形成することによって種々の回路素子を描画することが知られている。マスクは一般にフォトレジストからなり、これが露光され現像されて所望のパターンを形成する。次に、基板はチャンバ内で、パターンを基板の選択された層上に転写する処理が行われ、時には最初にパターンを二次ハードマスクに転写することが行われる。その後、マスクを除去し、基板表面を洗浄して、次のマスクに備える。このシーケンスが多数回繰り返され、種々の設計のマスクを繰り返し形成し除去することによって基板上に種々の層が形成される。そして、半導体技術に不可欠なこのようなマスクの使用はハードウェア回路を製造する時間及びコストを劇的に増大することを認識されたい。
【0005】
他方、ハードドライブディスク及び太陽電池製造においては、一般に個別のセルは形成されず、種々の層が基板全体上に形成され、磁気メモリ又は太陽電池として機能する種々の材料のスタックを生成する。例えば、ほとんどの太陽電池では、種々の層は一般に背面接点層、吸収層(例えばp型)、一般にバッファ層又はウィンドウ層と呼ばれているコンプリメンタリ層(例えばn型)、透明の最上面接点層及び保護及び/又は反射防止層を含む。例えば、銅−インジウム−ガリウム−セレナイド(CIGS)太陽電池セルの形成時には、最初にモリブデンのような背面導電層を基板上に形成し、次にp型CIGSの層を、次にn型のバッファ層、例えば硫化カドミウムCdSの層、次に透明の導電層、例えば酸化亜鉛ZnO又は酸化インジウム錫ITOを形成する。
【0006】
太陽電池構造のために、最上面導電層用に通常選択される材料は一般に高い抵抗値を有する。従って、電池からの電流収集を増大するために、高い導電性材料のパターン又は格子がスタックの上部に形成される。この上部格子は、シルクスクリーン又はインクジェット印刷技術を用いて、一般に導電性ペースト、例えば銀ペーストで形成される。しかし、印刷技術を用いて達成し得る抵抗率より低い抵抗率を有する高品質のパターン化された導電層を形成することができる技術の開発が望まれている。
【0007】
加えて、所定の太陽電池セル構造においては、基板のエッジ部において底面及び最上面導電層の間にショート(短絡)又はシャント(分路)が時々不注意に形成される。この問題は、特にCIGS薄膜太陽電池に対して問題になる。このようなシャントの除去のために使用される従来の方法はウェットエッチング、バッチプラズマエッチング又はレーザスクライビングを用いている。ウェットエッチングにおいては、ウェハを浴内の酸性溶液の表面に置き、浴内に小さな波を生じさせて、酸性溶液がウェハと接触し、液体の表面張力によりウェハの背面の均一なエッチングが得られるようにする。バッチエッチングにおいては、ウェハをコインのように積み重ね、たる型エッチング装置内に置いて、積み重ねられたウェハの周縁のみがエッチングされるようにする。レーザスクライビングにおいては、レーザビームを用いてウェハのほとんどエッジ部に溝をスクライブする。しかし、エッジシャントのもっと良い解決法を与える技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,319,373号明細書
【発明の概要】
【0009】
以下に記載する本発明の概要は、本発明のいくつかの態様及び特徴の基本的な理解を提供するために記載されている。この概要は本発明の広範な概説ではなく、特に本発明の主要な又は重要な要素を特定するものでなく、また本発明の範囲を限定するものではない。その唯一の目的は、本発明のいくつかの概念を後に提示される詳細な説明の前置きとして簡略化された形で提示することにある。
【0010】
本発明の態様によれば、取り外し可能なマスクを用いて基板上にパターン化された層を製造し得る装置及び方法が提供される。マスクを基板上に直接形成する従来の技術と異なり、本発明のいくつかの態様によればマスクは基板とは独立に形成される。使用中、マス
クは、例えば堆積、スパッタリング、エッチング等の処理のために基板の一部分のみが露出されるように、基板に接近して又は接触して設置される。処理が終了したら、マスクは基板から除去され、廃棄されるか、別の基板に使用される。マスクは所定の数の基板に対して循環使用された後に、洗浄又は廃棄のために除去することができる。
【0011】
本発明の一つの態様によれば、マスクはステンレススチールのような硬質材料からなり、基板に形成すべきパターンの形の開口を有する。このマスクを基板の表面上に接触して又は近接して設置し、スパッタリングを実行してマスクの開口を通して基板表面に材料を堆積する。マスクは、各基板又はいくつかの基板への堆積後に廃棄又は洗浄することができる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、例えばエッジシャントを避けるため又は修理するために、マスクをエッチング処理工程で使用する。本発明の一実施例によれば、このマスクは固体材料からなり、基板の形を有するが、基板の外周より少し小さい外周を有する。このマスクを基板上に設置し、例えばプラズマ又はイオンビームを用いてマスクを通してエッチングを行う。マスクは基板の大部分を覆うため、イオンビーム又はプラズマは基板の周縁部のみをエッチングし、これにより基板の周縁部の最上導電層が除去される。その結果、エッジシャントが避けられる。
【0013】
本発明の態様によれば、複数の処理チャンバと、基板キャリアと、前記基板キャリアをチャンバからチャンバへ移動させる駆動機構と、前記基板キャリア上の基板の少なくとも一部分を覆い隠すようにマスクを前記基板キャリアにロード(搭載)し、前記基板の処理後にマスクを前記基板キャリアからアンロード(除去)するマスクロード/アンロードモジュールとを備える基板処理システムが提供される。本システムは、更に、新しい基板を前記基板キャリアにロードし、処理された基板を前記基板キャリアからアンロードする基板ロード/アンロードモジュール及び/又は基板カセットを前記システムに供給するフロントエンドモジュールを更に備える。前記マスクロード/アンロードモジュールは、マスク又はマスクカセットを真空環境内に出し入れするためのロードロックを備えることができる。前記マスクロード/アンロードモジュールは、前記マスクカセットからマスクを取り出すためのリフトブレードを更に備えることができる。前記複数の処理チャンバは、スパッタリングチャンバ及びエッチングチャンバの少なくとも一つを備えることができる。前記複数の処理チェンバは、処理チェンバの第1の直線列及び該第1の直線列に積み重ねられた処理チェンバの第2の直線列を備えることができ、前記マスクロード/アンロードモジュールは互いに積み重ねられたマスクロードモジュール及びマスクアンロードモジュールを備えることができる。前記基板キャリアの各々は前記マスクを前記基板の前に取り付ける機械的機構、仮接着剤または磁気的機構を備えることができる。
【0014】
本発明の一つの態様によれば、少なくとも一つの基板を基板キャリアにロードするステップと、前記キャリアをマスクロードモジュールに移送するステップと、少なくとも一つのマスクを前記キャリアに、前記マスクが前記基板の一表面を部分的に覆い隠すようにロードするステップと、前記キャリアをプラズマ処理のために少なくとも一つのプラズマ処理チャンバ内を移送させるステップと、前記マスクを前記基板から除去するステップと、 前記基板を前記キャリアから除去するステップとを備える基板処理方法が提供される。本方法は、複数のマスクを有するカセットを準備するステップを更に備えることができ、前記マスクをロードするステップは、前記カセットから一つのマスクを取り出し、それを前記キャリアにロードするものとすることができる。本方法は、マスクカセットを準備するステップを更に備えることができ、前記マスクが前記キャリアから所定の回数除去された後に、前記マスクを前記カセットに収容するものとすることができる。前記マスクを前記キャリアから除去した後に、本方法は、前記マスクを処理のために入来する基板に再びロードするステップに進むことができ、前記マスクが前記キャリアから所定の回数除去された後に、前記マスクをカセットに収容することができる。前記カセットに所定の数のマスクが収容されたら、前記カセットを、マスクを廃棄するために又はマスクを再利用のために洗浄するために取り出すことができる。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は本発明の実施例を例示し、明細書の記載と一緒に、本発明の原理を説明し図解する働きをする。図面は模範的実施例の主要な特徴を図式的に示している。図面は実際の実施例の全ての特徴を描くことも、また描かれた要素の相対的寸法も示すことも意図されておらず、一定の寸法比で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aはマスクが存在しない擬似方形基板を有するキャリアの斜視図であり、 図1Bは基板及びトレースマスクを有するキャリアの斜視図であり、 図1Cは本発明の別の実施例による基板及びトレースマスクを有するキャリアの斜視図であり、 図1Dは本発明の種々の実施例に対して使用できるマスク設計の種々の例を示し、 図1Eは本発明の一実施例によるイオンビームミリングを示す概略図である。
【図2】図2は本発明の一実施例による処理システムを示す概略図である。
【図3】図3は本発明の別の実施例による処理システムの簡略図である。
【図4】図4A〜4Cは、本発明によるエッジシャントの回避又は除去に特に好適な取り外し可能なマスクの種々の実施例を示す。
【図5】取り外し可能なマスクを用いるシステムの別の実施例を示す。
【図6A】図6A本発明による取り外し可能なマスクを有する基板を処理するエッチングチャンバの断面を示す。
【図6B】図6Bは本発明による取り外し可能なマスクを有する基板を処理するエッチングチャンバの断面を示す。
【図6C】図6Cは本発明の一実施例による別のチャンバの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
取り外し可能なマスクを用いる基板処理を可能にする本発明の実施例の詳細な説明を以下に記載する。このような処理は特に太陽電池製造に有利である。図1Aは、マスクが存在しない擬似方形基板105を有する基板キャリア100の斜視図である。この特定の例では、次の処理工程は基板105の表面上にパターン化された層を形成するものである。この目的のために、パターン化されたマスクを基板表面に近接して又は実際に接触してキャリアにロードする。パターン化されたマスクを有するキャリアの一例が図1Bに示されている。この例では、キャリア100は、擬似方形基板105(マスクで隠されて見えない)と、回路パターン115が刻まれたトレースマスク110とを保持する。マスク115は、例えば厚さ0.03”の400シリーズステンレススチール製である。マスク110をロードしたら、キャリアをスパッタリングチャンバに移動させ、スパッタリングを実行して材料をマスク110のパターン115を通して基板105上にスパッタする。この実施例は、例えば導電性格子を例えばアルミニウム及び銀を用いてスパッタするのに使用することができる。このような格子は印刷された格子より良い導電率を有することができる。
【0018】
本発明の実施例によれば、マスク110は基板105と接触又は近接させることができることは理解されよう。マスク115はキャリア100にばねクリップのような機械的方法で取り付けることができる。また、マスク110は磁性材料(例えば400シリーズSS)製とし、キャリアに埋め込まれた磁石によりキャリア100に磁気的に保持することもできる。マスク110をキャリアに取り付けるために他の方法を考案することができること勿論である。マスク110は堆積、エッチング又は類似のプロセスに使用することができる。
【0019】
上記の例はパターン化層の形成に関するものであるが、本発明の実施例は基板上に非パターン化層を形成するために使用することもできる。図1Cは、マスク110を非パターン化層を形成するために使用する例を示す。図1Cの実施例では、マスク110は単一切除部115を有する。単一切除部115は擬似方形基板の形であるが、基板より僅かに小さい寸法を有する。この実施例は、特に底面層へのエッジシャントが形成されないように最上面層を形成するのに有用である。例えば、底面導体、CIGS及びバッファ層はマスクなしで形成することができ、次にマスクをキャリアに搭載し、最上面透明導電層を例えばスパッタリングを用いてマスク窓を通して形成することができる。このようにすると、最上面導電層は基板より少し小さく形成されるため、上部導電層は基板の外周エッジに届かず、底面導電層へのシャントは回避される。
【0020】
図1Dは、本発明の種々の実施例に対して使用できるマスク設計のいくつかの例を示す。これらの特定のマスク設計の可能な使用例の説明がここに与えられているが、これらは一例にすぎず、本発明の範囲及び精神から離れることなく他の設計をなすことができる。
【0021】
図1Eは、本発明の一実施例によるイオンビームミリングを示す概略図である。集束イオンビームミリングの一般的な技術は周知であり、種々の既知の方法を用いてイオンビームを形成することができる。イオンビームはマスク上を走査して、基板のイオンビームミリングをマスクの設計切り欠きを介してのみ生じさせることができる。図1Eの例では、「リボン」イオンビーム130が使用され、双頭矢印で示すように、一方向に、垂直に走査される。ペンシルビームを使用する場合には、2次元、即ち水平及び垂直走査を使用することができる。
【0022】
図2は本発明の一実施例による処理システムを示す簡略図である。図2において、キャリア200は処理システム内で基板205を保持し搬送する。キャリアは基板205をプロセスチャンバ230,235及び240で処理するために搬送することができる。例えばチャンバ230及び235は、基板205上にブランク層、即ちパターン化されてない層をスパッタリングするためのスパッタリング機構232及び234をそれぞれ含むことができる。次に、キャリアはマスクロードチャンバ250に入り、ここで複数のマスク210から一つのマスクがキャリアにロードされる。次に、キャリアはチャンバ240に入り、チャンバ240内でさらに処理される。例えば、チャンバ240はマスク210のパターン215を通してパターン化された層をスパッタリングするスパッタリング機構242を含むことができる。チャンバ240は、例えばイオンビーム又はプラズマエッチングモジュールを用いるイオン又は反応イオンミリングチャンバとすることもできる。キャリアは次にマスクアンロードチャンバ255に入り、ここでマスク210がキャリア200から除去される。マスクは次に、矢印Aで示すように、マスク装着チャンバ250に戻されるか、洗浄のために送られるか、廃棄される。
【0023】
図3は、本発明の別の実施例による処理システムを示す概略図である。図3のシステムは、上下2列に積み重ねて直線的に配列された複数の処理チャンバ340を含む。積み重ねられた処理チャンバの後端に、上列から下列へキャリアを下降させるキャリアエレベータ380が配置される。積み重ねられたチャンバの前端に、フロントエンドモジュール360、基板ロードモジュール370及びマスクロードモジュール350が配置される。フロントエンドモジュール360はトラック364を有し、基板366をシステムに供給するためにこのトラック上をカセット362が輸送される。ロボットアーム368がカセット362から基板を取り出し、基板ロードモジュール370に搬入する。基板ロードモジュール370において、各基板366はキャリアにロードされ、次いでキャリアは基板366を真空環境内に挿入するために一つ以上の真空ステーション372に挿入される。真空ステーション372は、例えばマイスナートラップ等の蒸気除去システムを含むことができる。キャリアは次にマスクロードステーション350に入り、ここでマスクがキャリアにロードされる。次に、キャリアは処理のために基板をマスクとともに上列の処理チャンバ340内を搬送し、エレベータ380を経て下列に移動し、次に下列の処理チャンバ340を通過する。次にキャリアはマスクロードステーション350に入り、マスクがキャリアから除去され、洗浄のため又は廃棄のためにマスクカセット352に収容され除去されるか、別のキャリアにロードされる。キャリアは次に基板ロードモジュール370に入り、ここで基板が取り外され、このキャリアに別の基板がロードされるか、洗浄のためにこのキャリアが除去される。
【0024】
一例では、マスクロードモジュール350は5つのカセットを収容し、各カセットは25枚のマスクを有するものとすることができる。一実施例によれば、カセットは大気圧環境内に維持され、マスクは真空ロードロックを介してシステムに挿入されるが、別の実施例によれば、カセットは真空環境内に維持される。図3に具体的に示されていないが、真空内でリフトブレードを用いて、各マスクをカセットから取り出し、そのマスクをマスクロードステーション内の移送ヘッド354まで持ち上げることができる。移送ヘッドはマスクを受け取り、それを入来する基板と一緒にキャリア366に載置する。この処理は、全てのシステムキャリアがカセットからこれ以上マスクを受け取らなくなるまで繰り返される。キャリアがマスクアンロードテーション356に到達すると、移送ヘッドはマスクを除去し、それをリフトブレードの上に置く。するとリフトブレードはこのマスクをマスクロードステーション354まで持ち上げ、ここで移送ヘッドはこの使用済みマスクを入来する基板と一緒に別のキャリアに載置する。マスクは再利用され、例えば100回再利用された後に、これらのマスクはカセットに戻され、新しいマスクと取り替えられる。スループットの増大のために、使用済みのマスクをカセットに戻すことができるように第2のリフトブレードを用いることができる。使用済みマスクを有するカセットは出口ロックを介してシステムから一つづつ除去される。この実施例ではマスクロードモジュール350は基板ロードモジュール370と処理モジュール340との間に位置することが示されているが、マスクロードモジュールは、マスクロード前及びマスク除去後にいくつかの処理が基板に実行されるように、処理モジュール内の任意の位置に配置することができることに留意されたい。
【0025】
図4A及び4Bは、エッジシャントを回避又は除去するのに特に好適な取り外し可能なマスクの実施例を示す。図4A及び4Bにおいて、基板405の表面の大部分を覆い隠すが基板405の外周の周囲の細い区域を露出するようにマスク410A及び410Bがキャリア400にロードされる。実際には、最上面導体層の完成後に、マスク410Aがキャリア400にロードされ、キャリアはミリングチャンバ、例えばイオンビーム又はプラズマエッチングチャンバに入る。このチャンバ内おいて、バイアスされた電極460(図4C参照、明瞭のためにマスク410は図4Cに示されていない点に注意)を基板の背面に対面させ、例えば適切なエッチングガスを用いてマスク側でプラズマを励起させることによって、イオンミリングが前面に実行される。このようにして、イオンミリング処理により導体層の露出された周縁部のみをエッチングする。C2H2/H2/Ar又は他のエッチングガスの減圧プラズマエッチングを用いて、セルの背面側で、あるいは保護前面シールドとともに、ITO,ZnO又はZAOストリング(透明導電性酸化膜)を除去することによって、任意のストリング又は他の生じ得るシャントを有効に且つ経済的に現場で除去することができる。
【0026】
図4Aから明らかなように、マスク410の中心部414は延長部412により保持され、この延長部が基板405の周縁の一部を覆い隠す。周縁のこの部分は、マスク410が配置されている間エッチングされない。このため、第1のイオンミリングステップ後に、マスク410Aを除去し、マスク410Bを装着する。マスク410Bはその延長部412をマスク410Aの延長部412とは異なる位置に有する。従って、マスク410Bの延長部412は基板の周縁の異なる部分を覆い隠す。マスク410Bを有するキャリアは次に、マスク410Aの延長部412により覆い隠されていた周縁の部分をエッチングするために、第2のエッチングステップのための別のイオンミリングチャンバに移送される。
【0027】
図5は、取り外し可能なマスクを用いるシステムの別の実施例を示す。特に、図5の実施例では、各キャリアは処理すべき2つの基板を保持する。このようなデュアル基板処理システムは特許文献1に開示されている。それゆえ、システム自体は図5に示さずに、仮想線で示唆するのみとした。図5のシステムは、前記特許文献1に開示されているものと同様に、基板ロードチャンバ500及び基板アンロードチャンバ505を有する。ロードチャンバ500は、処理すべき基板を保持するカセットと、ローディング位置520においてカセットからキャリアへ基板をロードするロボットアーム515を有する。アンロードチャンバ505は同様の構成を有し、アンローディング位置530でキャリアから処理済の基板を除去してカセットに収容するロボットアーム525を有する。
【0028】
図5の実施例も、マスクロードモジュール535及びマスクアンロードモジュール540を有し、マスクロード/アンロードモジュールは2つのマスクを同時にロード/アンロードするように構成されている。マスクロードモジュールにおいて、ロボットアーム550は2つのマスクをカセット555からマスクローディングステーション560に位置するキャリアにロードする。アンロードモジュールは同様の構成を有し、ロボットアーム545がマスクアンローディングステーション570においてキャリアから2つのマスクを除去してカセット575に収容する。次に、カセット575は、マスクを廃棄するために、又はカセットをマスクロードモジュールに移送してマスクを再利用するために、又は再利用の前にマスクを洗浄するために、取り出すことができる。
【0029】
図6A及び6Bは本発明の一実施例による真空処理チャンバの断面図を示す。このチャンバは、例えばエッチングチャンバとすることができ、例えば図3及び図5に示すシステムに使用するのに適している。キャリア620はトラック624上を走行する車輪621を有する。車輪621は磁石とすることができ、この場合にはトラック624は常磁性材料とすることができる。この実施例では、キャリアはリニアモータで移動されるが、他の推進力及び/又は装置を使用することができる。基板650及びマスク670はキャリア620に取り付けられて示されている。基板650は、エッジクリップのような通常の手段を用いて取り付けることができるが、マスク670は、例えばクリップ、磁石、仮粘着剤等の素子674によって保持することができる。
【0030】
チャンバが排気されると、陰極644が、図6Aに示すように、基板650の隣接位置、即ち基板に近接する又は接触する位置に移動される。先駆ガスが、例えばインジェクタ672を経てチャンバ内に供給される。接地された電極664に対向する可動陰極644にRFエネルギーを供給することによって、プラズマ680が励起され、維持される。プラズマの励起及び維持のために他の手段を使用できるが、可動陰極はプラズマの種を引き付け、プラズマの種を基板に向け加速して基板から材料をスパッタリングさせるために必要なバイアスエネルギーを供給する。即ち、可動陰極644が基板の表面に極めて近接すると、陰極がRFエネルギーを基板に容量的に結合するため、プラズマの種が基板に向け加速されて反対側の表面をエッチングする。しかし、図6に示すように、取り外し可能なマスクが基板の反対側に位置するため、プラズマの種は基板の周縁部に到達できるのみである。
【0031】
処理が終了し、例えば最上導体層が基板650の周縁部からエッチング除去されると、ガス供給が停止し、プラズマが消滅する。次に、陰極644は、図6Bに示すように、遠位置又は後退位置、即ち基板から離れた位置に移動する。この位置において、キャリアをチャンバから外部へ移送し、新しいキャリアをチャンバ内に移動させることができる。
【0032】
図6Cは、本発明の一実施例による別のチャンバの断面を示す。図6Cのチャンバは、基板上に所望の層を堆積するために2つの標準のスパッタリングソース680A及び680Bが設けられている点を除いて、図6A及び6Bのチャンバと同様である。また、キャリア620は背中合わせに配置された2つの基板650A及び650Bを支持する。2つのマスク670A及び670Bが各基板の前面を覆うように配置される。このようにして、2つの基板を単一の基板を処理するために使用されるチャンバと同一の設置面積を有する一つのチャンバを用いて2つの基板を同時に処理することができる。この特徴によれば設置面積を変えることなくシステムのスループットを2倍にできる。
【0033】
ここに記載されたプロセス及び技術は任意の特定の装置に本質的に関連するものではなく、構成要素の任意の適切な組み合わせにより実現することができるものである。更に、ここに記載された教えに従って、種々のタイプの汎用デバイスを使用することができる。本発明は特定の例に関連して記載されているが、これらの例はあらゆる面で限定のためというより解説のためである。当業者であれば、多くの異なる組み合わせが本発明を実施するために好適であることを理解されよう。
【0034】
本発明は特定の例に関連して記載されているが、これらの例はあらゆる面で限定のためというより解説のためである。当業者であれば、多くの異なる組み合わせが本発明を実施するために好適であることを理解されよう。更に、ここに開示する本発明の詳細な説明及び実施の形態を考察すれば、本発明の他の実施が当業者に明らかであろう。記載された実施例の種々の特徴及び/又は構成要素は単独で又は組み合わせて使用することができる。詳細な説明及び実施例は模範例とみなされ、本発明の範囲及び精神は後記の請求項によって決定されるものと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理チャンバと、
基板キャリアと、
前記基板キャリアをチャンバからチャンバへ移動させる駆動機構と、
前記基板キャリアに位置する基板の少なくとも一部分を覆い隠すようにマスクを前記基板キャリアにロードし、前記基板の処理後にマスクを前記基板キャリアから除去するマスクロード/アンロードモジュールと、
を備えることを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
新しい基板を前記基板キャリアにロードし、処理された基板を前記基板キャリアからアンロードする基板ロード/アンロードモジュールを更に備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
基板カセットを前記システムに供給するフロントエンドモジュールを更に備えることを特徴とする請求項2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記マスクロード/アンロードモジュールは、マスクを真空環境内に出し入れするためのロードロックを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記マスクロード/アンロードモジュールは、マスクカセットを真空環境内に出し入れするためのロードロックを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記マスクロード/アンロードモジュールは、前記マスクカセットからマスクを取り出すためのリフトブレードを更に備えることを特徴とする請求項5記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記複数の処理チャンバは、スパッタリングチャンバ、イオンミリングチャンバ及びエッチングチャンバのうちの少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記複数の処理チェンバは、処理チェンバの第1の直線列及び該第1の直線列に積み重ねられた処理チェンバの第2の直線列を備え、前記マスクロード/アンロードモジュールは互いに積み重ねられたマスクロードモジュール及びマスクアンロードモジュールを備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記基板キャリアの各々は前記マスクを前記基板の前に取り付ける機械的機構を備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記基板キャリアの各々は前記マスクを前記基板の前に取り付ける磁気的機構を備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記基板キャリアは2つの基板を同時に支持するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項12】
前記基板キャリアは前記2つの基板を互いに向き合うように背中合わせに支持するように構成されていることを特徴とする請求項11記載の基板処理システム。
【請求項13】
前記基板キャリアは前記2つの基板を前後にタンデムに支持するように構成され、前記マスクロード/アンロードモジュールは2つのマスクを同時にロード/アンロードするように構成されていることを特徴とする請求項11記載の基板処理システム。
【請求項14】
前記処理チェンバの少なくとも一つは、2つのスパッタリング源を有するスパッタリングチェンバであり、各スパッタリング源がそれぞれ前記2つの基板の一つをスパッタするように配置されていることを特徴とする請求項12記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記処理チェンバの少なくとも一つは、可動陰極を有するエッチングチェンバを備えることを特徴とする請求項13記載の基板処理システム。
【請求項16】
少なくとも一つの基板を基板キャリアにロードするステップと、
前記キャリアをマスクロードモジュールに移送するステップと、
少なくとも一つのマスクを前記キャリアに、前記マスクが前記基板の一表面を部分的に覆い隠すようにロードするステップと、
前記キャリアをプラズマ処理のために少なくとも一つのプラズマ処理チャンバ内に移送するステップと
前記マスクを前記基板から除去するステップと、
前記基板を前記キャリアから除去するステップと、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項17】
複数のマスクを有するカセットを準備するステップを更に備え、前記マスクをロードするステップは、前記カセットから一つのマスクを取り出して前記キャリアにロードすることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
マスクカセットを準備するステップを更に備え、前記マスクが前記キャリアから所定の回数除去された後に、前記マスクを前記カセットに収容することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記マスクを前記キャリアから除去した後に、当該方法は、前記マスクを処理のために入来する基板に再びロードするステップに進み、前記マスクが前記キャリアから所定の回数除去された後に、前記マスクをカセットに収容することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記カセットに所定の数のマスクが収容されたら、前記カセットを、マスクの廃棄のために又は再利用のためのマスク洗浄のために取り出すことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記マスクが前記キャリアから除去された後に前記マスクを廃棄するステップを更に備えることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項22】
太陽電池回路を基板上に形成するステップと、
前記基板をホルダに支持するステップと、
前記基板に類似の形状を有するが基板の外周より小さい外周を有する固体材料からなるマスクを準備するステップと、
前記基板の周縁部のみを露出するように、前記マスクを前記基板の前に支持するステップと、
前記マスクを通してイオンミリングを実行して前記基板の周縁部における最上導電層を除去するステップと、
を備えることを特徴とする太陽電池製造におけるエッジシャント修復方法。
【請求項23】
前記イオンミリングは、前記基板の周囲にプラズマを励起させることによって又はイオンビームを前記基板に向けることによって実行することを特徴とする請求項22記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−80919(P2010−80919A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−156088(P2009−156088)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(507310307)インテヴァック インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】