受動光網システム、電力制御方法、およびONU
【課題】消費電力を低減することができる受動光網システムを提供する。
【解決手段】本発明の受動光網システムはONUが光信号の送信電力を変えながらOLTへ所定のデータを送り、OLTがそのデータをONUへ折り返し、ONU側で折り返されたデータの誤り率を算出し、算出した誤り率と、折り返されたデータのもととなったデータの送信電力とに基づいて、所定の誤り率を実現できる最低電力を決定する。
【解決手段】本発明の受動光網システムはONUが光信号の送信電力を変えながらOLTへ所定のデータを送り、OLTがそのデータをONUへ折り返し、ONU側で折り返されたデータの誤り率を算出し、算出した誤り率と、折り返されたデータのもととなったデータの送信電力とに基づいて、所定の誤り率を実現できる最低電力を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システム、当該受動光網システムにおける電力制御方法、および当該受動光網システムに用いられるONUに関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速・広帯域化が進む中、それらに対応するために加入者向け通信ネットワークとして光ネットワークの導入が進められている。この光ネットワークは1つの局側光伝送路終端装置(以下OLTと称する)と複数の宅内光伝送路終端装置(以下ONUと称する)が光ファイバを介してポイントトゥマルチポイントで通信を行なうネットワークである。
【0003】
また、このような分野の従来技術として、下記の特許文献1には、1対複数間の一心双方向光通信において、中央装置の光信号の受信レベルが各子装置光信号間で一定となるように簡単な回路で構成することを目的とし、受光電力を検出する光信号レベル検出回路と、受光電力に逆比例した光レベルを出すように制御する光信号レベル制御回路により構成される光送受信器が開示されている。当該特許文献1の技術により、1対複数間の一心双方向光通信において、中央装置と各子装置間の伝送距離が異なっても、子装置により光電力制御を行うことによって、中央装置において受光する各子装置の光信号レベルを簡単かつ安価な回路で一定とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−223727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各ONUの受光素子や送光素子には、ある程度の性能のばらつきがあるため、上記特許文献1に開示されている技術を適用したとしても、実際にはOLT側で一定の受信電力とすることはできず、それぞれのONUからの光信号の受信電力がOLT端でばらつくことになる。そのため、各ONUからの光信号の受信品質を一定以上に保つために、OLTでの受信電力のばらつきを考慮して、各ONUから送信される光信号の電力を高めに設定する必要がある。
【0006】
また、OLTでの受信電力が一定であれば、受信信号の品質が必ずしも一定になるとは限らず、伝送路の品質等の要因で、より低い電力であっても十分な信号品質が得られる場合もある。そのため、上記特許文献1に開示されている技術では、各ONUから送信される光信号の電力が無駄に高くなっている場合がある。
【0007】
各ONUから送信された光信号が十分な信号品質でOLTに届くのであれば、できるだけ低い電力で送信した方が、省電力の観点では好ましい。さらに、光信号の送信電力を削減することにより、各ONUの送信系およびOLTの受信系の素子への負担を軽減することができ、素子の劣化を抑え、機器の寿命を延ばすことにもなる。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、受動光網システムの消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0010】
本願は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムであって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信部と、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を有し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信部と、
前記OLT光信号受信部によって変換された電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信部と
を有し、
それぞれの前記ONUの送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の受動光網システムによれば、消費電力を低減することができる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る受動光網システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるOLTの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図5】試験データの送受信回数を説明するための概念図である。
【図6】電力調整における電力の変更幅を説明するための概念図である。
【図7】第1の実施形態の電力調整におけるOLTの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図10】誤り率保持部に保持されるデータの構造の一例を示す図である。
【図11】それぞれのスロット期間と、連続送信される試験データの関係を説明するための概念図である。
【図12】第2の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図13】第2の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】ステップS501が実行された後の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図15】ステップS502が実行された後の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図16】ステップS503の実行直前の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図17】連続送信処理(S600)の一例を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態におけるOLTの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図19】レポートフレームのデータ構造の一例を示す概念図である。
【図20】第3の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図21】第3の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図22】第3の実施形態の電力調整におけるOLTの動作の一例を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る受動光網システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。受動光網システム10は、OLT30と、それぞれのユーザの端末11毎に設けられた複数のONU20とを備える。
【0016】
OLT30は、それぞれのONU20に接続された端末11宛のデータを、当該ONU20に予め定められたスロットタイミングで、当該ONU20に予め割り当てられた波長の光信号に変換して送信する。OLT30から送信された下り方向の光信号は、スプリッタ12によって波長毎に分けられ、各ONU20へ送られる。それぞれのONU20は、自装置に割り当てられたタイムスロット内のデータを、自装置宛のデータとして受信し、端末11へ送る。
【0017】
それぞれのONU20は、OLT30への送信データを、当該ONU20に予め定められたスロットタイミングで、所定の波長の光信号に変換して送出する。共通の波長の光信号において、異なるタイミングで各ONU20から送信された上り方向の光信号は、スプリッタ12で合成されてOLT30へ送られる。OLT30は、それぞれのONU20に予め割り当てられたスロットタイミング内の信号を光信号から取り出すことにより、それぞれのONU20からのデータを受信する。
【0018】
図2は、第1の実施形態におけるOLT30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。OLT30は、WDMフィルタ31、光電気変換部(O/E)32、光電気変換部(O/E)33、試験データ抜出部34、媒体アクセス制御部35、およびネットワーク側送受信部36を有する。
【0019】
WDMフィルタ31は、スプリッタ12によって合成された光信号を受信してO/E32へ送る。そして、波長毎に設けられたそれぞれのO/E33からの光信号を波長多重し、多重化した光信号をスプリッタ12へ送信する。O/E32は、WDMフィルタ31から受け取った光信号を電気信号に変換して試験データ抜出部34へ送る。それぞれのO/E33は、波長毎に設けられており、試験データ抜出部34または媒体アクセス制御部35から受け取った電気信号のデータを、自身が生成可能な波長の光信号に変換してWDMフィルタ31へ送る。
【0020】
試験データ抜出部34は、O/E32から受け取った電気信号を媒体アクセス制御部35へ送る。また、試験データ抜出部34は、媒体アクセス制御部35から上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、折り返し回数分のスロットの信号を折り返すよう指示された場合に、O/E32から受け取った電気信号において、媒体アクセス制御部35から指示された上り信号のスロットタイミングの電気信号を、媒体アクセス制御部35から指示された下り信号のスロットタイミングで、媒体アクセス制御部35から指示された波長の光信号を生成するO/E33へ送る。
【0021】
そして、媒体アクセス制御部35から指示された折り返し回数分のスロットの折り返しが終了した場合、試験データ抜出部34は、O/E32から受け取った電気信号の送信先を媒体アクセス制御部35へ戻す。これは、折り返し中はデータの中身を確認せずに機械的に折り返すため、所定回数で折り返し動作を終了させて元の動作に戻る必要があるためである。
【0022】
媒体アクセス制御部35は、試験データ抜出部34から受け取った電気信号のデータを、その宛先に応じてネットワーク側送受信部36を介してネットワーク13へ送信する。また、ネットワーク側送受信部36を介してネットワーク13からONU20に接続された端末11宛のデータを受信した場合、媒体アクセス制御部35は、当該ONU20に予め割り当てられている下り信号のスロットタイミングで、当該端末11宛のデータを、当該ONU20に予め割り当てられている波長の光信号を生成するO/E33へ送る。
【0023】
また、媒体アクセス制御部35は、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、電力調整を開始するための試験要求を示すデータを生成し、生成した試験要求を示すデータを、それぞれのONU20に予め割り当てられている下り信号のスロットタイミングで、当該ONU20に予め割り当てられている波長の光信号を生成するO/E33へ送る。なお、当該試験要求には、電力調整のためにONU20から送信されるスロットの個数を示す折り返し回数が含まれている。
【0024】
そして、媒体アクセス制御部35は、それぞれのONU20からの上り方向の信号について、上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、折り返し回数分のスロットの信号を折り返す旨を試験データ抜出部34に指示する。
【0025】
図3は、第1の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、光電気変換部(O/E)24、光電気変換部(O/E)25、比較部26、試験データ保持部27、およびWDMフィルタ28を有する。
【0026】
試験データ保持部27は、試験データを予め保持している。ここで、試験データとは、信号の誤り率を検出するために用いられるデータであり、擬似乱数であることが好ましい。また、本実施形態では、例えば10-4未満のビット誤り率を実現できる最小の送信電力を求めることを目的としているため、少なくとも104ビットの試験データが必要となる。さらに、誤り率の検出精度を高めるために、本実施形態では105ビットの擬似乱数を試験データとして用いる。
【0027】
WDMフィルタ28は、O/E24から送信された光信号をスプリッタ12へ送り、スプリッタ12を介して受信した光信号をO/E25送る。O/E24は、媒体アクセス制御部22または電力制御部23から受け取った電気信号を、上り方向の光信号として予め定められた波長の光信号に変換し、変換した光信号を電力制御部23から指定されたゲインで増幅してWDMフィルタ28へ送る。O/E25は、WDMフィルタ28から受け取った光信号を電気信号に変換して媒体アクセス制御部22へ送る。また、O/E25は、電力制御部23から指示された場合に、電気信号に変換したデータを比較部26へ送る。
【0028】
比較部26は、O/E25からデータを受け取った場合に、受信したデータの中から、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングにおけるデータを抽出する。そして、比較部26は、抽出したデータと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。
【0029】
媒体アクセス制御部22は、端末側送受信部21を介して端末11から受け取ったデータを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送る。また、媒体アクセス制御部22は、O/E25から受け取った電気信号から、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングのデータを抽出し、抽出したデータを、端末側送受信部21を介して端末11へ送る。
【0030】
また、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータが試験要求である場合、媒体アクセス制御部22は、当該試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。そして、O/E25は、折り返し回数分のスロットの送信が終了した場合に、電力調整モードを終了して通常の動作に戻る。
【0031】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示する。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、光信号のゲインをO/E24に指示する。
【0032】
そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率に基づいて、次に送信する試験データの光信号のゲインを決定し、再び、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、光信号のゲインをO/E24に指示する。誤り率に応じたゲインの決定方法については後述する。
【0033】
そして、電力制御部23は、所定の誤り率(例えば10-4未満)を実現できる最小の送信電力のゲインを決定し、決定したゲインをO/E24に指示すると共に、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示する。
【0034】
図4は、第1の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図ではOLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0035】
まず、OLT30は、折り返し回数を含む試験要求をONU20へ送信する(S100)。ONU20は、予め定められた初期ゲインG0dBで試験データの光信号を送信し(S101)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を施すことなく、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S102)。
【0036】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率(例えば10-4)未満であれば(S103)、次の試験データのゲインを(G0−A)dBとして光信号を送信し(S104)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S105)。
【0037】
同じように、ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率未満であれば(S106)、次の試験データのゲインを(G0−2A)dBとして光信号を送信し(S107)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S108)。
【0038】
そして、ONU20は、試験データのゲインをAdBずつ下げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S109〜S111)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値以上となった場合(S112)、今度は、ゲイン(G0−mA)dBをBdB増加させて、試験データの光信号を送信する(S113)。OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S114)。
【0039】
ここで、Bは、Aよりも小さい値である。これは、最初にAdBずつゲインを荒く調整した後に、BdBずつ細かく調整するためである。これにより、より迅速に最適なゲインを見つけることができる。
【0040】
そして、ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率未満であれば(S115)、次の試験データのゲインを(G0−mA+2B)dBとして光信号を送信し(S116)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S117)。
【0041】
そして、ONU20は、試験データのゲインをBdBずつ上げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S118〜S120)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値未満となった場合(S121)、現在のゲイン(G0−mA+nB)dBに、環境変化による変動等を想定したマージンCdBを加えて、(G0−mA+nB+C)dBを、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する(S122)。
【0042】
本実施形態では、10GE−PON(10Gigabit-Ethernet Passive Optical Network)を想定しており、マージンCは、例えば0.2dBである。
【0043】
ここで、本シーケンス図では、初期ゲインでの誤り率が予め定められた値未満である場合を例に説明したが、初期ゲインでの選び方によっては誤り率が予め定められた値以上となる場合もある。その場合には、ステップS104においてゲインを(G0+A)dBとして試験データを送信し、誤り率が予め定められた値未満となるまでステップAでゲインを上げることになる。
【0044】
そして、誤り率が予め定められた値未満となった場合、今度は、誤り率が予め定められた値以上となるまでステップBでゲインを下げることになる。そして、誤り率が予め定められた値以上となった場合、ONU20は、そのままでは誤り率が予め定められた値以上であるため、それの1つ前のゲインにマージンCdBを加えた値を、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する。
【0045】
また、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインを決定するために、試験データを最大で何回送信しなければならないかは、ONU20のO/E24のダイナミックレンジ、Aの値、およびBの値で決まる。例えば、ONU20のO/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aの値が3dBであり、Bの値が1dBである場合、初期ゲインを最大ゲインまたは最小ゲインとして電力調整を始めるとすれば、図5(a)に示すように、試験データの送信は最大で9回必要になる。そのため、OLT30は、この場合、折り返し回数として9回を含む試験要求を送信し、ONU20は、最大9回のスロットを用いて電力調整を行う。
【0046】
なお、初期ゲインを最大ゲインまたは最小ゲインとしなければ、より少ない回数で電力調整が可能となる。例えば、ONU20のO/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aの値が3dBであり、Bの値が1dBである場合、初期ゲインを8dBからはじめるとすれば、図5(b)に示すように、試験データの送信は最大でも6回で済む。そのため、電力調整の初期ゲインは、ONU20のO/E24のダイナミックレンジの中央付近のゲインとすることが好ましい。
【0047】
また、定期的に電力調整を行う場合は、最適なゲインが現在の調整値から大幅にずれている可能性は低いため、現在のゲインを初期ゲインとして電力調整を開始することが好ましい。これにより、より迅速に電力調整を終了することができる。
【0048】
また、OLT30における受信電力と誤り率の特性において、例えば、図6に示すように、誤り率の曲線を近似した直線40の傾きが大きい場合には、ゲインの調整ステップとなるAおよびBの値を小さくし、直線41の傾きが小さい場合には、大きくすることが好ましい。
【0049】
次に、OLT30の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、OLT30は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0050】
まず、媒体アクセス制御部35は、ONU20のO/E24のダイナミックレンジ、調整ステップA、および調整ステップBに基づいて予め設定された繰り返し回数を含む試験要求を作成し、作成した試験要求を、O/E33およびWDMフィルタ31を介してONU20へ送信する(S200)。
【0051】
次に、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31、O/E32、および試験データ抜出部34を介して、許可応答をONU20から受信したか否かを判定する(S201)。許可応答をONU20から受信した場合(S201:Yes)、媒体アクセス制御部35は、カウンタnを0にリセットし(S202)、試験要求の送信先のONU20に割り当てられた上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、信号の折り返しを試験データ抜出部34に指示する。
【0052】
次に、試験データ抜出部34は、試験要求の送信先のONU20に割り当てられたスロットタイミングか否かを判定する(S203)。スロットタイミングになった場合(S203:Yes)、試験データ抜出部34は、スロット内のデータを、媒体アクセス制御部35から指示された下り信号のスロットタイミングで、媒体アクセス制御部35から指示された波長の光信号を生成するO/E33へ送ることにより、スロット内のデータを折り返す(S204)。
【0053】
次に、媒体アクセス制御部35は、カウンタnに1を加え(S205)、カウンタnが予め設定された繰り返し回数n0に達したか否かを判定する(S206)。カウンタnが繰り返し回数n0に達していない場合(S206:No)、試験データ抜出部34は、再びステップS203に示した処理を実行する。一方、カウンタnが繰り返し回数n0に達した場合(S206:Yes)、媒体アクセス制御部35は、試験データ抜出部34に通常動作への復帰を指示し、OLT30は、本フローチャートに示した処理を終了する。
【0054】
次に、ONU20の動作について図8のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を受信した場合に、ONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0055】
まず、媒体アクセス制御部22は、接続されている端末11によるデータ通信が行われていなければ、試験応答を、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する(S300)。これは、電力調整よりも、端末11によるデータ通信を優先させるためである。そして、媒体アクセス制御部22は、試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。
【0056】
電力制御部23は、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示し、光信号のゲインGを初期ゲインG0にするようO/E24に指示する(S301)。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S302)。
【0057】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S303)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S304)。
【0058】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S304:No)、電力制御部23は、Aだけ減少させたゲインGをO/E24に指示する(S305)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S306)。
【0059】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S307)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S308)。
【0060】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S308:No)、電力制御部23は、再びステップS305に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S308:Yes)、電力制御部23は、Bだけ増加させたゲインGをO/E24に指示する(S309)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S310)。
【0061】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S311)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S312)。
【0062】
比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S312:Yes)、電力制御部23は、再びステップS309に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S312:No)、電力制御部23は、現在のゲインGにマージンCを加えたゲインを調整値として決定し(S313)、決定したゲインをO/E24に指示する。そして、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0063】
一方、ステップS304において、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S304:Yes)、電力制御部23は、Aだけ増加させたゲインGをO/E24に指示する(S314)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S315)。
【0064】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S316)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S317)。
【0065】
比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S317:Yes)、電力制御部23は、再びステップS314に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S317:No)、電力制御部23は、Bだけ減少させたゲインGをO/E24に指示する(S318)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S319)。
【0066】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S320)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S321)。
【0067】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S321:No)、電力制御部23は、再びステップS318に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S321:Yes)、電力制御部23は、現在のゲインGをB増加させた上でマージンCを加えたゲインを調整値として決定し(S322)、決定したゲインをO/E24に指示する。そして、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0068】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0069】
上記説明から明らかなように、本実施形態の受動光網システム10によれば、所定のビット誤り率を実現できる最小の送信電力を設定することができるため、ONU20の消費電力を低減することができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。第1の実施形態では、OLT30から折り返された試験データの誤り率に基づいて次に送信する試験データのゲインを決定するが、本実施形態では、Aステップ毎にゲインを変更した試験データを連続送信した後に、折り返されたそれぞれの試験データの誤り率に基づいて、Bステップ毎にゲインを変える際の初期ゲインを決定し、決定したゲインから、Bステップ毎にゲインを変更した試験データを連続送信する点が異なる。
【0071】
OLT30の構成は第1の実施形態と同様である。図9は、第2の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、O/E24、O/E25、比較部26、試験データ保持部27、WDMフィルタ28、および誤り率保持部29を有する。なお、以下に説明する点を除き、図9において、図3と同じ符号を付した構成は、図3における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0072】
誤り率保持部29は、例えば図10に示すように、試験データの送信順番を示す番号290に対応付けて、当該試験データが送信されたときのゲイン291、および、当該試験データが折り返されたときの誤り率292を保持する。
【0073】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、試験データの送信順番に対応付けて、最大ゲインから最小ゲインまでAステップ毎に減少させたゲインを誤り率保持部29に登録し、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示する。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ複数送ると共に、光信号のゲインを、それぞれの試験データ毎にO/E24に指示する。
【0074】
例えば、図5(a)に示すように、ダイナミックレンジが15dBであり、Aが3dBである場合、電力制御部23は、試験データを6回送信することになる。また、例えば、1スロット期間に送信可能なビット数が32kバイトであり、1つの試験データが105ビットである場合、電力制御部23は、図11に示すように1番目および2番目の試験データ50と3番目の試験データ50の途中までを最初のスロット期間でO/E24へ送り、3番目の試験データ50の残りと、4番および5番目の試験データ50と、6番目の試験データ50の途中までを次のスロット期間でO/E24へ送り、6番目の試験データ50の残りをさらに次のスロット期間でO/E24へ送る。
【0075】
また、電力制御部23は、それぞれの試験データをO/E24へ送る際に、試験データの送信順番に対応するゲインを誤り率保持部29から抽出してO/E24に指示する。これにより、図11に示すように、それぞれの試験データを、より短い時間で、それぞれの試験データに対応するゲインでOLT30へ送信することができる。
【0076】
比較部26は、O/E25からデータを受け取った場合に、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングにおけるデータを抽出する。そして、比較部26は、抽出したデータの先頭から順に試験データのビット数分取り出して、試験データ保持部27内の試験データと比較して誤り率を算出する。そして、比較部26は、算出した誤り率を、対象となる試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0077】
電力制御部23は、Aステップでゲインを変更した試験データの連続送信が終了した後に、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持されていれば、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを初期ゲインとして決定する。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29内のデータを削除し、決定した初期ゲインから順番にBステップ毎に増加させたゲインを、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0078】
ここで、決定した初期ゲインからAステップ増加させたゲインでは誤り率が予め定められた値未満であるため、Bステップ毎にゲインを増加させる回数は、(A÷B)回で十分である。そのため、電力制御部23は、決定した初期ゲインから順番に、Bステップ毎に増加させたゲインを、(A÷B)回分、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0079】
例えば、Aが3dBであり、Bが1dBである場合、(A÷B)は3なので、電力制御部23は、Bステップ毎にゲインを増加させた試験データを3回送信することになる。そのため、電力制御部23は、図11で説明したように、1番目および2番目の試験データ50と3番目の試験データ50の途中までを最初のスロット期間でO/E24へ送り、3番目の試験データ50の残りを次のスロット期間でO/E24へ送ると共に、それぞれの試験データをO/E24へ送る際に、試験データの送信順番に対応するゲインを誤り率保持部29から抽出してO/E24に指示する。
【0080】
そして、電力制御部23は、Bステップでゲインを増加させた試験データの連続送信が終了した後に、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持されていれば、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを誤り率保持部29内で特定する。そして、電力制御部23は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整後のゲインとして決定する。
【0081】
図12は、第2の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図では、OLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0082】
まず、OLT30は、折り返し回数を含む試験要求をONU20へ送信する(S400)。ONU20は、最大ゲインG0dBからAdBずつゲインを減少させた試験データの光信号を連続送信し(S401)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を行わず、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S402)。図12では、説明の都合上、試験データの連続送信が全て終了してから試験データの折り返しが始まるように描いているが、実際は、OLT30は、上りスロット内のデータを受信するたびに、直近の下りスロットを用いて試験データを折り返す。
【0083】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを随時比較して誤り率を折り返しデータの受信順番に対応付けて保持する(S403)。AdBずつゲインを変えた試験データの連続送信が終了し、折り返しデータの誤り率が全て算出された場合、ONU20は、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを誤り率保持部29内で初期ゲインとして特定する(S404)。
【0084】
次に、ONU20は、初期ゲインからBdBずつゲインを増加させた試験データの光信号を連続送信し(S405)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を行わず、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S406)。ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを随時比較して誤り率を折り返しデータの受信順番に対応付けて保持する(S407)。
【0085】
Bステップでゲインを増加させた試験データの連続送信が終了し、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持された場合、ONU20は、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを誤り率保持部29内で特定する。そして、ONU20は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整値として決定する(S408)。
【0086】
次に、ONU20の動作について図13のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を受信した場合にONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。なお、OLT30の動作については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
まず、媒体アクセス制御部22は、試験応答を、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する(S500)。そして、媒体アクセス制御部22は、試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。
【0088】
電力制御部23は、試験データの送信順番に対応付けて、最大ゲインから最小ゲインまでAステップ毎に減少させたゲインを誤り率保持部29に登録する(S501)。ここで、O/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aが3dBである場合、ステップS501が実行されると、誤り率保持部29内のデータは例えば図14に示すような内容になる。
【0089】
次に、電力制御部23は、Aステップ毎にゲインを減少させた試験データを連続送信する連続送信処理を行う(S600)。連続送信処理については後述する。Aステップでの連続送信処理が終了すると、誤り率保持部29内には、例えば図10に示すような内容のデータが登録される。
【0090】
次に、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを初期ゲインとして決定する(S502)。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29内のデータを削除し、決定した初期ゲインから順番にBステップ毎に増加させたゲインを、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。初期ゲインが0dBであり、Aが3dBであり、Bが1dBである場合、この時点で、誤り率保持部29内には、例えば図15に示すような内容のデータが登録される。
【0091】
次に、電力制御部23は、Bステップ毎にゲインを減少させた試験データを連続送信する連続送信処理を行う(S600)。連続送信処理についてはゲインの変更幅が異なるだけで、ステップS600の処理と同様である。Bステップでの連続送信処理が終了すると、誤り率保持部29内には、例えば図16に示すような内容のデータが登録される。
【0092】
次に、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを特定する。そして、電力制御部23は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整値として決定し(S503)、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0093】
図17は、連続送信処理(S600)の一例を示すフローチャートである。
【0094】
まず、電力制御部23は、カウンタnを1に初期化し(S601)、次のスロットタイミングまで待機する(S602)。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインを特定し、特定したゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データを現在のスロットタイミングでO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信する(S603)。
【0095】
次に、電力制御部23は、カウンタnを1増やし(S604)、カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回ったか否かを判定する(S605)。カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回った場合(S605:Yes)、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0096】
一方、カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回っていない場合(S605:No)、電力制御部23は、現在のスロットに空きがあるか否かを判定する(S606)。現在のスロットに空きがない場合(S606:No)、電力制御部23は、ステップS602に示した処理を実行する。
【0097】
一方、現在のスロットに空きがある場合(S606:Yes)、電力制御部23は、その空きは試験データ1つ分以上の空きか否かを判定する(S607)。試験データ1つ分以上の空きである場合(S607:Yes)、電力制御部23は、ステップS603に示した処理を実行する。
【0098】
一方、試験データ1つ分以上の空きではない場合(S607:No)、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データの空き容量分を現在のスロットタイミングでO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信する(S608)。
【0099】
そして、電力制御部23は、次のスロットタイミングまで待機し(S609)、次のスロットタイミングで、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データの残りをO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信し(S610)、電力制御部23は、ステップS604に示した処理を実行する。
【0100】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0101】
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電力調整過程においてONU20からOLT30へ送信される試験データは、PON(Passive Optical Network)システムで用いられているレポートフレームに格納されて送信される点が第1の実施形態とは異なる。
【0102】
図18は、第3の実施形態におけるOLT30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。OLT30は、WDMフィルタ31、O/E32、O/E33、媒体アクセス制御部35、およびネットワーク側送受信部36を有する。なお、以下に説明する点を除き、図18において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0103】
媒体アクセス制御部35は、所定のタイミングで、O/E33およびWDMフィルタ31を介して、各ONU20にレポート要求を送信する。また、媒体アクセス制御部35は、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、レポート要求内に、試験要求を含めて各ONU20へ送信する。
【0104】
また、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31およびO/E32を介して、各ONU20からレポートフレームを受信した場合、受信したレポートフレームから試験データを抜き出し、エラー訂正等の操作を施すことなく、抜き出した試験データをO/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20へ折り返し送信する。
【0105】
ここで、本実施形態で用いられるサポートフレーム60は、例えば図19に示すように、ヘッダ61、ペイロード62、およびトレイラ63を有する。ヘッダ61には、宛先アドレスを示すDA610、送信元アドレスを示すSA611、サポートフレーム60全体の長さ等を示すTYPE612、ONUの制御信号等を示すOpcode613などが格納される。
【0106】
また、ペイロード62には、レポート情報621および試験データ622のそれぞれのサイズ620、レポート情報621、および試験データ622が格納される。トレイラ63には、FCS(frame check sequence)630が格納される。ここで、本実施形態では、電力調整過程において、サポートフレーム60内の試験データ622の電力を変更することを想定している。そのため、サポートフレーム60内の試験データ622とそれ以外のデータとは、送信電力が異なる場合がある。
【0107】
そして、試験データ622は、OLT30によるレポート情報621の収集とは使用目的が異なることから、本実施形態では、試験データ622を除いたサポートフレーム60内の他のデータについて算出された値をFCS630とし、媒体アクセス制御部35は、試験データ622を除いたサポートフレーム60内のデータについてFCS630によるエラー訂正を行うことで、試験データ622内のデータの誤りとは無関係にレポート情報を確実に収集することができる。
【0108】
図20は、第3の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、O/E24、O/E25、比較部26、試験データ保持部27、およびWDMフィルタ28を有する。なお、以下に説明する点を除き、図20において、図3と同じ符号を付した構成は、図3における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0109】
O/E24は、媒体アクセス制御部22から受け取った電気信号を、上り方向の光信号として予め定められた波長の光信号に変換し、変換した光信号を媒体アクセス制御部22から指定されたゲインで増幅してWDMフィルタ28へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った信号と試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。
【0110】
媒体アクセス制御部22は、OLT30へデータを送信する場合、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで、送信すべきデータをO/E24へ送ると共に、電力制御部23による電力調整後のゲインをO/E24に指示する。また、媒体アクセス制御部22は、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータがレポート要求である場合、レポート情報を収集してレポートフレームを作成し、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する。レポート要求は、例えば1時間毎にOLT30から送信される。
【0111】
また、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータが試験要求を含むレポート要求である場合、媒体アクセス制御部22は、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。試験要求が定期的に送信される場合、試験要求は例えば1ヶ月に1回程度の間隔でレポート要求内に格納されてOLT30から送信される。そして、ゲインの指示と共に試験データを電力制御部23から受け取った場合、媒体アクセス制御部22は、収集したレポート情報と共に、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレーム(図19参照)を作成する。
【0112】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインとするようO/E24に指示する。なお、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23からゲインの指示と共に試験データを受け取っても、OLT30からレポート要求を受信するまでは、レポートフレームを作成しない。
【0113】
そして、媒体アクセス制御部22は、当該試験データが折り返し送信された信号を受信した場合に、受信した信号を比較部26へ送る。
【0114】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、試験データを試験データ保持部27から取り出して、媒体アクセス制御部22へ送ると共に、光信号のゲインを媒体アクセス制御部22に指示する。ここで、媒体アクセス制御部22へ指示する光信号のゲインは、第1の実施形態で説明した方法と同様に、最初に初期ゲインを指示し、その後、比較部26から通知された誤り率に応じてAステップ毎にゲイン増加または減少させ、比較部26から通知された誤り率に応じてさらにBステップ毎にゲイン増加または減少させることで、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力を決定する。
【0115】
所定の誤り率を実現できる最小の送信電力を決定した場合、電力制御部23は、決定したゲインを電力調整後のゲインとして媒体アクセス制御部22に指示する。
【0116】
図21は、第3の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図では、OLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0117】
まず、OLT30は、OLT30の管理者から指示されたタイミング等の直後のレポート要求タイミングにおいて、試験要求を含むレポート要求をONU20へ送信する(S700)。ONU20は、試験データの部分を予め定められた初期ゲインG0dBとするレポートフレームの光信号を送信し(S701)、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを、誤り訂正等の操作を施すことなく、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S702)。
【0118】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率(例えば10-4)未満であれば(S703)、次の試験データのゲインを(G0−A)dBに決定する。そして、ONU20は、次にレポート要求を受信した場合に(S704)、その応答タイミングで、試験データの部分のゲインを(G0−A)dBとするレポートフレームの光信号を送信する(S705)。そして、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S706)。
【0119】
そして、ONU20は、試験データのゲインをAdBずつ下げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S707〜S709)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値以上となった場合(S710)、今度は、現在のゲイン(G0−mA)dBをBdB増加させる。そして、ONU20は、次にレポート要求を受信した場合に(S711)、その応答タイミングで、試験データの部分のゲインを(G0−mA+B)dBとするレポートフレームの光信号を送信する(S712)。そして、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S713)。
【0120】
そして、ONU20は、試験データのゲインをBdBずつ上げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S714〜S716)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値未満となった場合(S717)、現在のゲイン(G0−mA+nB)dBに、環境変化による変動を想定したマージンCdBを加えて、(G0−mA+nB+C)dBを、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する(S718)。
【0121】
図22は、第3の実施形態の電力調整におけるOLT30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。
【0122】
まず、媒体アクセス制御部35は、レポート要求の送信タイミングか否かを判定する(S800)。レポート要求の送信タイミングである場合(S800:Yes)、媒体アクセス制御部35は、O/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20にレポート要求を送信する(S802)。そして、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31およびO/E32を介して、ONU20からレポートフレームを受信したか否かを判定する(S803)。
【0123】
ONU20からレポートフレームを受信した場合(S803:Yes)、媒体アクセス制御部35は、レポートフレームのペイロード内のサイズ情報を参照して、レポートフレーム内に試験データが格納されているか否かを判定する(S804)。レポートフレーム内に試験データが格納されていない場合(S804:No)、OLT30は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0124】
一方、レポートフレーム内に試験データが格納されている場合(S804:Yes)、媒体アクセス制御部35は、受信したレポートフレームから試験データを抜き出し、エラー訂正等の操作を施すことなく、抜き出した試験データをO/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20へ折り返し送信し(S805)、再びステップS801に示した処理を実行する。
【0125】
次に、ONU20の動作について図23のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を含むレポート要求を受信した場合に、ONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0126】
まず、媒体アクセス制御部22は、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して媒体アクセス制御部22へ送ると共に、光信号のゲインGを初期ゲインG0にするよう媒体アクセス制御部22に指示する(S900)。媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0127】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示された初期ゲインG0とするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインで送信する(S901)。
【0128】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S902)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S903)。
【0129】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S903:No)、電力制御部23は、試験データと共に、Aだけ減少させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S904)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S905)。レポート要求を受信した場合(S905:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0130】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S906)。
【0131】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S907)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S908)。比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S908:No)、電力制御部23は、再びステップS904に示した処理を実行する。
【0132】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S908:Yes)、電力制御部23は、試験データと共に、Bだけ増加させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S909)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S910)。レポート要求を受信した場合(S910:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0133】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S911)。
【0134】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S912)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S913)。比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S913:Yes)、電力制御部23は、再びステップS909に示した処理を実行する。
【0135】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S913:No)、電力制御部23は、現在のゲインGにマージンCを加えたゲインを調整後のゲインとして決定する(S914)。そして、電力制御部23は、決定した調整後のゲインを媒体アクセス制御部22に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0136】
また、ステップS903において、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S903:Yes)、電力制御部23は、試験データと共に、Aだけ増加させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S915)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S916)。レポート要求を受信した場合(S916:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0137】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S917)。
【0138】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S918)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S919)。比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S919:Yes)、電力制御部23は、再びステップS915に示した処理を実行する。
【0139】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S919:No)、電力制御部23は、試験データと共に、Bだけ減少させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S920)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S921)。レポート要求を受信した場合(S921:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0140】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S922)。
【0141】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S923)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S924)。比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S924:No)、電力制御部23は、再びステップS920に示した処理を実行する。
【0142】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S924:Yes)、電力制御部23は、現在のゲインGをB増加させた上でマージンCを加えたゲインを調整後のゲインとして決定する(S925)。そして、電力制御部23は、決定した調整後のゲインを媒体アクセス制御部22に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0143】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0144】
なお、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0145】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0146】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0147】
10・・・受動光網システム、11・・・端末、12・・・スプリッタ、13・・・ネットワーク、20・・・ONU、21・・・端末側送受信部、22・・・媒体アクセス制御部、23・・・電力制御部、24・・・O/E、25・・・O/E、26・・・比較部、27・・・試験データ保持部、28・・・WDMフィルタ、29・・・誤り率保持部、30・・・OLT、31・・・WDMフィルタ、32・・・O/E、33・・・O/E、34・・・試験データ抜出部、35・・・媒体アクセス制御部、36・・・ネットワーク側送受信部、60・・・サポートフレーム、61・・・ヘッダ、610・・・DA、611・・・SA、612・・・TYPE、613・・・Opcode、62・・・ペイロード、620・・・サイズ、621・・・レポート情報、622・・・試験データ、63・・・トレイラ、630・・・FCS
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システム、当該受動光網システムにおける電力制御方法、および当該受動光網システムに用いられるONUに関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速・広帯域化が進む中、それらに対応するために加入者向け通信ネットワークとして光ネットワークの導入が進められている。この光ネットワークは1つの局側光伝送路終端装置(以下OLTと称する)と複数の宅内光伝送路終端装置(以下ONUと称する)が光ファイバを介してポイントトゥマルチポイントで通信を行なうネットワークである。
【0003】
また、このような分野の従来技術として、下記の特許文献1には、1対複数間の一心双方向光通信において、中央装置の光信号の受信レベルが各子装置光信号間で一定となるように簡単な回路で構成することを目的とし、受光電力を検出する光信号レベル検出回路と、受光電力に逆比例した光レベルを出すように制御する光信号レベル制御回路により構成される光送受信器が開示されている。当該特許文献1の技術により、1対複数間の一心双方向光通信において、中央装置と各子装置間の伝送距離が異なっても、子装置により光電力制御を行うことによって、中央装置において受光する各子装置の光信号レベルを簡単かつ安価な回路で一定とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−223727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各ONUの受光素子や送光素子には、ある程度の性能のばらつきがあるため、上記特許文献1に開示されている技術を適用したとしても、実際にはOLT側で一定の受信電力とすることはできず、それぞれのONUからの光信号の受信電力がOLT端でばらつくことになる。そのため、各ONUからの光信号の受信品質を一定以上に保つために、OLTでの受信電力のばらつきを考慮して、各ONUから送信される光信号の電力を高めに設定する必要がある。
【0006】
また、OLTでの受信電力が一定であれば、受信信号の品質が必ずしも一定になるとは限らず、伝送路の品質等の要因で、より低い電力であっても十分な信号品質が得られる場合もある。そのため、上記特許文献1に開示されている技術では、各ONUから送信される光信号の電力が無駄に高くなっている場合がある。
【0007】
各ONUから送信された光信号が十分な信号品質でOLTに届くのであれば、できるだけ低い電力で送信した方が、省電力の観点では好ましい。さらに、光信号の送信電力を削減することにより、各ONUの送信系およびOLTの受信系の素子への負担を軽減することができ、素子の劣化を抑え、機器の寿命を延ばすことにもなる。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、受動光網システムの消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0010】
本願は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムであって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信部と、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を有し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信部と、
前記OLT光信号受信部によって変換された電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信部と
を有し、
それぞれの前記ONUの送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の受動光網システムによれば、消費電力を低減することができる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る受動光網システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるOLTの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図5】試験データの送受信回数を説明するための概念図である。
【図6】電力調整における電力の変更幅を説明するための概念図である。
【図7】第1の実施形態の電力調整におけるOLTの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図10】誤り率保持部に保持されるデータの構造の一例を示す図である。
【図11】それぞれのスロット期間と、連続送信される試験データの関係を説明するための概念図である。
【図12】第2の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図13】第2の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】ステップS501が実行された後の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図15】ステップS502が実行された後の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図16】ステップS503の実行直前の誤り率保持部の内容の一例を示す図である。
【図17】連続送信処理(S600)の一例を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態におけるOLTの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図19】レポートフレームのデータ構造の一例を示す概念図である。
【図20】第3の実施形態におけるONUの詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図21】第3の実施形態においてONUとOLTとの間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図22】第3の実施形態の電力調整におけるOLTの動作の一例を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施形態の電力調整におけるONUの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る受動光網システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。受動光網システム10は、OLT30と、それぞれのユーザの端末11毎に設けられた複数のONU20とを備える。
【0016】
OLT30は、それぞれのONU20に接続された端末11宛のデータを、当該ONU20に予め定められたスロットタイミングで、当該ONU20に予め割り当てられた波長の光信号に変換して送信する。OLT30から送信された下り方向の光信号は、スプリッタ12によって波長毎に分けられ、各ONU20へ送られる。それぞれのONU20は、自装置に割り当てられたタイムスロット内のデータを、自装置宛のデータとして受信し、端末11へ送る。
【0017】
それぞれのONU20は、OLT30への送信データを、当該ONU20に予め定められたスロットタイミングで、所定の波長の光信号に変換して送出する。共通の波長の光信号において、異なるタイミングで各ONU20から送信された上り方向の光信号は、スプリッタ12で合成されてOLT30へ送られる。OLT30は、それぞれのONU20に予め割り当てられたスロットタイミング内の信号を光信号から取り出すことにより、それぞれのONU20からのデータを受信する。
【0018】
図2は、第1の実施形態におけるOLT30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。OLT30は、WDMフィルタ31、光電気変換部(O/E)32、光電気変換部(O/E)33、試験データ抜出部34、媒体アクセス制御部35、およびネットワーク側送受信部36を有する。
【0019】
WDMフィルタ31は、スプリッタ12によって合成された光信号を受信してO/E32へ送る。そして、波長毎に設けられたそれぞれのO/E33からの光信号を波長多重し、多重化した光信号をスプリッタ12へ送信する。O/E32は、WDMフィルタ31から受け取った光信号を電気信号に変換して試験データ抜出部34へ送る。それぞれのO/E33は、波長毎に設けられており、試験データ抜出部34または媒体アクセス制御部35から受け取った電気信号のデータを、自身が生成可能な波長の光信号に変換してWDMフィルタ31へ送る。
【0020】
試験データ抜出部34は、O/E32から受け取った電気信号を媒体アクセス制御部35へ送る。また、試験データ抜出部34は、媒体アクセス制御部35から上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、折り返し回数分のスロットの信号を折り返すよう指示された場合に、O/E32から受け取った電気信号において、媒体アクセス制御部35から指示された上り信号のスロットタイミングの電気信号を、媒体アクセス制御部35から指示された下り信号のスロットタイミングで、媒体アクセス制御部35から指示された波長の光信号を生成するO/E33へ送る。
【0021】
そして、媒体アクセス制御部35から指示された折り返し回数分のスロットの折り返しが終了した場合、試験データ抜出部34は、O/E32から受け取った電気信号の送信先を媒体アクセス制御部35へ戻す。これは、折り返し中はデータの中身を確認せずに機械的に折り返すため、所定回数で折り返し動作を終了させて元の動作に戻る必要があるためである。
【0022】
媒体アクセス制御部35は、試験データ抜出部34から受け取った電気信号のデータを、その宛先に応じてネットワーク側送受信部36を介してネットワーク13へ送信する。また、ネットワーク側送受信部36を介してネットワーク13からONU20に接続された端末11宛のデータを受信した場合、媒体アクセス制御部35は、当該ONU20に予め割り当てられている下り信号のスロットタイミングで、当該端末11宛のデータを、当該ONU20に予め割り当てられている波長の光信号を生成するO/E33へ送る。
【0023】
また、媒体アクセス制御部35は、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、電力調整を開始するための試験要求を示すデータを生成し、生成した試験要求を示すデータを、それぞれのONU20に予め割り当てられている下り信号のスロットタイミングで、当該ONU20に予め割り当てられている波長の光信号を生成するO/E33へ送る。なお、当該試験要求には、電力調整のためにONU20から送信されるスロットの個数を示す折り返し回数が含まれている。
【0024】
そして、媒体アクセス制御部35は、それぞれのONU20からの上り方向の信号について、上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、折り返し回数分のスロットの信号を折り返す旨を試験データ抜出部34に指示する。
【0025】
図3は、第1の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、光電気変換部(O/E)24、光電気変換部(O/E)25、比較部26、試験データ保持部27、およびWDMフィルタ28を有する。
【0026】
試験データ保持部27は、試験データを予め保持している。ここで、試験データとは、信号の誤り率を検出するために用いられるデータであり、擬似乱数であることが好ましい。また、本実施形態では、例えば10-4未満のビット誤り率を実現できる最小の送信電力を求めることを目的としているため、少なくとも104ビットの試験データが必要となる。さらに、誤り率の検出精度を高めるために、本実施形態では105ビットの擬似乱数を試験データとして用いる。
【0027】
WDMフィルタ28は、O/E24から送信された光信号をスプリッタ12へ送り、スプリッタ12を介して受信した光信号をO/E25送る。O/E24は、媒体アクセス制御部22または電力制御部23から受け取った電気信号を、上り方向の光信号として予め定められた波長の光信号に変換し、変換した光信号を電力制御部23から指定されたゲインで増幅してWDMフィルタ28へ送る。O/E25は、WDMフィルタ28から受け取った光信号を電気信号に変換して媒体アクセス制御部22へ送る。また、O/E25は、電力制御部23から指示された場合に、電気信号に変換したデータを比較部26へ送る。
【0028】
比較部26は、O/E25からデータを受け取った場合に、受信したデータの中から、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングにおけるデータを抽出する。そして、比較部26は、抽出したデータと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。
【0029】
媒体アクセス制御部22は、端末側送受信部21を介して端末11から受け取ったデータを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送る。また、媒体アクセス制御部22は、O/E25から受け取った電気信号から、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングのデータを抽出し、抽出したデータを、端末側送受信部21を介して端末11へ送る。
【0030】
また、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータが試験要求である場合、媒体アクセス制御部22は、当該試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。そして、O/E25は、折り返し回数分のスロットの送信が終了した場合に、電力調整モードを終了して通常の動作に戻る。
【0031】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示する。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、光信号のゲインをO/E24に指示する。
【0032】
そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率に基づいて、次に送信する試験データの光信号のゲインを決定し、再び、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、光信号のゲインをO/E24に指示する。誤り率に応じたゲインの決定方法については後述する。
【0033】
そして、電力制御部23は、所定の誤り率(例えば10-4未満)を実現できる最小の送信電力のゲインを決定し、決定したゲインをO/E24に指示すると共に、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示する。
【0034】
図4は、第1の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図ではOLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0035】
まず、OLT30は、折り返し回数を含む試験要求をONU20へ送信する(S100)。ONU20は、予め定められた初期ゲインG0dBで試験データの光信号を送信し(S101)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を施すことなく、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S102)。
【0036】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率(例えば10-4)未満であれば(S103)、次の試験データのゲインを(G0−A)dBとして光信号を送信し(S104)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S105)。
【0037】
同じように、ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率未満であれば(S106)、次の試験データのゲインを(G0−2A)dBとして光信号を送信し(S107)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S108)。
【0038】
そして、ONU20は、試験データのゲインをAdBずつ下げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S109〜S111)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値以上となった場合(S112)、今度は、ゲイン(G0−mA)dBをBdB増加させて、試験データの光信号を送信する(S113)。OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S114)。
【0039】
ここで、Bは、Aよりも小さい値である。これは、最初にAdBずつゲインを荒く調整した後に、BdBずつ細かく調整するためである。これにより、より迅速に最適なゲインを見つけることができる。
【0040】
そして、ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率未満であれば(S115)、次の試験データのゲインを(G0−mA+2B)dBとして光信号を送信し(S116)、OLT30は、受信した光信号を電気信号に変換した後に再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S117)。
【0041】
そして、ONU20は、試験データのゲインをBdBずつ上げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S118〜S120)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値未満となった場合(S121)、現在のゲイン(G0−mA+nB)dBに、環境変化による変動等を想定したマージンCdBを加えて、(G0−mA+nB+C)dBを、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する(S122)。
【0042】
本実施形態では、10GE−PON(10Gigabit-Ethernet Passive Optical Network)を想定しており、マージンCは、例えば0.2dBである。
【0043】
ここで、本シーケンス図では、初期ゲインでの誤り率が予め定められた値未満である場合を例に説明したが、初期ゲインでの選び方によっては誤り率が予め定められた値以上となる場合もある。その場合には、ステップS104においてゲインを(G0+A)dBとして試験データを送信し、誤り率が予め定められた値未満となるまでステップAでゲインを上げることになる。
【0044】
そして、誤り率が予め定められた値未満となった場合、今度は、誤り率が予め定められた値以上となるまでステップBでゲインを下げることになる。そして、誤り率が予め定められた値以上となった場合、ONU20は、そのままでは誤り率が予め定められた値以上であるため、それの1つ前のゲインにマージンCdBを加えた値を、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する。
【0045】
また、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインを決定するために、試験データを最大で何回送信しなければならないかは、ONU20のO/E24のダイナミックレンジ、Aの値、およびBの値で決まる。例えば、ONU20のO/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aの値が3dBであり、Bの値が1dBである場合、初期ゲインを最大ゲインまたは最小ゲインとして電力調整を始めるとすれば、図5(a)に示すように、試験データの送信は最大で9回必要になる。そのため、OLT30は、この場合、折り返し回数として9回を含む試験要求を送信し、ONU20は、最大9回のスロットを用いて電力調整を行う。
【0046】
なお、初期ゲインを最大ゲインまたは最小ゲインとしなければ、より少ない回数で電力調整が可能となる。例えば、ONU20のO/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aの値が3dBであり、Bの値が1dBである場合、初期ゲインを8dBからはじめるとすれば、図5(b)に示すように、試験データの送信は最大でも6回で済む。そのため、電力調整の初期ゲインは、ONU20のO/E24のダイナミックレンジの中央付近のゲインとすることが好ましい。
【0047】
また、定期的に電力調整を行う場合は、最適なゲインが現在の調整値から大幅にずれている可能性は低いため、現在のゲインを初期ゲインとして電力調整を開始することが好ましい。これにより、より迅速に電力調整を終了することができる。
【0048】
また、OLT30における受信電力と誤り率の特性において、例えば、図6に示すように、誤り率の曲線を近似した直線40の傾きが大きい場合には、ゲインの調整ステップとなるAおよびBの値を小さくし、直線41の傾きが小さい場合には、大きくすることが好ましい。
【0049】
次に、OLT30の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、OLT30は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0050】
まず、媒体アクセス制御部35は、ONU20のO/E24のダイナミックレンジ、調整ステップA、および調整ステップBに基づいて予め設定された繰り返し回数を含む試験要求を作成し、作成した試験要求を、O/E33およびWDMフィルタ31を介してONU20へ送信する(S200)。
【0051】
次に、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31、O/E32、および試験データ抜出部34を介して、許可応答をONU20から受信したか否かを判定する(S201)。許可応答をONU20から受信した場合(S201:Yes)、媒体アクセス制御部35は、カウンタnを0にリセットし(S202)、試験要求の送信先のONU20に割り当てられた上り信号のスロットタイミング、下り信号のスロットタイミング、および波長の情報と共に、信号の折り返しを試験データ抜出部34に指示する。
【0052】
次に、試験データ抜出部34は、試験要求の送信先のONU20に割り当てられたスロットタイミングか否かを判定する(S203)。スロットタイミングになった場合(S203:Yes)、試験データ抜出部34は、スロット内のデータを、媒体アクセス制御部35から指示された下り信号のスロットタイミングで、媒体アクセス制御部35から指示された波長の光信号を生成するO/E33へ送ることにより、スロット内のデータを折り返す(S204)。
【0053】
次に、媒体アクセス制御部35は、カウンタnに1を加え(S205)、カウンタnが予め設定された繰り返し回数n0に達したか否かを判定する(S206)。カウンタnが繰り返し回数n0に達していない場合(S206:No)、試験データ抜出部34は、再びステップS203に示した処理を実行する。一方、カウンタnが繰り返し回数n0に達した場合(S206:Yes)、媒体アクセス制御部35は、試験データ抜出部34に通常動作への復帰を指示し、OLT30は、本フローチャートに示した処理を終了する。
【0054】
次に、ONU20の動作について図8のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を受信した場合に、ONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0055】
まず、媒体アクセス制御部22は、接続されている端末11によるデータ通信が行われていなければ、試験応答を、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する(S300)。これは、電力調整よりも、端末11によるデータ通信を優先させるためである。そして、媒体アクセス制御部22は、試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。
【0056】
電力制御部23は、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示し、光信号のゲインGを初期ゲインG0にするようO/E24に指示する(S301)。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S302)。
【0057】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S303)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S304)。
【0058】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S304:No)、電力制御部23は、Aだけ減少させたゲインGをO/E24に指示する(S305)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S306)。
【0059】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S307)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S308)。
【0060】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S308:No)、電力制御部23は、再びステップS305に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S308:Yes)、電力制御部23は、Bだけ増加させたゲインGをO/E24に指示する(S309)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S310)。
【0061】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S311)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S312)。
【0062】
比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S312:Yes)、電力制御部23は、再びステップS309に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S312:No)、電力制御部23は、現在のゲインGにマージンCを加えたゲインを調整値として決定し(S313)、決定したゲインをO/E24に指示する。そして、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0063】
一方、ステップS304において、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S304:Yes)、電力制御部23は、Aだけ増加させたゲインGをO/E24に指示する(S314)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S315)。
【0064】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S316)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S317)。
【0065】
比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S317:Yes)、電力制御部23は、再びステップS314に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S317:No)、電力制御部23は、Bだけ減少させたゲインGをO/E24に指示する(S318)。そして、電力制御部23は、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで試験データ保持部27から取り出した試験データをO/E24へ送り、O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、電力制御部23から指示されたゲインGでWDMフィルタ28を介してOLT30へ送信する(S319)。
【0066】
次に、比較部26は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S320)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。そして、電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S321)。
【0067】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S321:No)、電力制御部23は、再びステップS318に示した処理を実行する。一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S321:Yes)、電力制御部23は、現在のゲインGをB増加させた上でマージンCを加えたゲインを調整値として決定し(S322)、決定したゲインをO/E24に指示する。そして、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0068】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0069】
上記説明から明らかなように、本実施形態の受動光網システム10によれば、所定のビット誤り率を実現できる最小の送信電力を設定することができるため、ONU20の消費電力を低減することができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。第1の実施形態では、OLT30から折り返された試験データの誤り率に基づいて次に送信する試験データのゲインを決定するが、本実施形態では、Aステップ毎にゲインを変更した試験データを連続送信した後に、折り返されたそれぞれの試験データの誤り率に基づいて、Bステップ毎にゲインを変える際の初期ゲインを決定し、決定したゲインから、Bステップ毎にゲインを変更した試験データを連続送信する点が異なる。
【0071】
OLT30の構成は第1の実施形態と同様である。図9は、第2の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、O/E24、O/E25、比較部26、試験データ保持部27、WDMフィルタ28、および誤り率保持部29を有する。なお、以下に説明する点を除き、図9において、図3と同じ符号を付した構成は、図3における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0072】
誤り率保持部29は、例えば図10に示すように、試験データの送信順番を示す番号290に対応付けて、当該試験データが送信されたときのゲイン291、および、当該試験データが折り返されたときの誤り率292を保持する。
【0073】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、試験データの送信順番に対応付けて、最大ゲインから最小ゲインまでAステップ毎に減少させたゲインを誤り率保持部29に登録し、電気信号に変換したデータを比較部26へ出力するようO/E25に指示する。そして、電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ複数送ると共に、光信号のゲインを、それぞれの試験データ毎にO/E24に指示する。
【0074】
例えば、図5(a)に示すように、ダイナミックレンジが15dBであり、Aが3dBである場合、電力制御部23は、試験データを6回送信することになる。また、例えば、1スロット期間に送信可能なビット数が32kバイトであり、1つの試験データが105ビットである場合、電力制御部23は、図11に示すように1番目および2番目の試験データ50と3番目の試験データ50の途中までを最初のスロット期間でO/E24へ送り、3番目の試験データ50の残りと、4番および5番目の試験データ50と、6番目の試験データ50の途中までを次のスロット期間でO/E24へ送り、6番目の試験データ50の残りをさらに次のスロット期間でO/E24へ送る。
【0075】
また、電力制御部23は、それぞれの試験データをO/E24へ送る際に、試験データの送信順番に対応するゲインを誤り率保持部29から抽出してO/E24に指示する。これにより、図11に示すように、それぞれの試験データを、より短い時間で、それぞれの試験データに対応するゲインでOLT30へ送信することができる。
【0076】
比較部26は、O/E25からデータを受け取った場合に、自装置に予め割り当てられた下り信号のスロットタイミングにおけるデータを抽出する。そして、比較部26は、抽出したデータの先頭から順に試験データのビット数分取り出して、試験データ保持部27内の試験データと比較して誤り率を算出する。そして、比較部26は、算出した誤り率を、対象となる試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0077】
電力制御部23は、Aステップでゲインを変更した試験データの連続送信が終了した後に、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持されていれば、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを初期ゲインとして決定する。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29内のデータを削除し、決定した初期ゲインから順番にBステップ毎に増加させたゲインを、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0078】
ここで、決定した初期ゲインからAステップ増加させたゲインでは誤り率が予め定められた値未満であるため、Bステップ毎にゲインを増加させる回数は、(A÷B)回で十分である。そのため、電力制御部23は、決定した初期ゲインから順番に、Bステップ毎に増加させたゲインを、(A÷B)回分、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。
【0079】
例えば、Aが3dBであり、Bが1dBである場合、(A÷B)は3なので、電力制御部23は、Bステップ毎にゲインを増加させた試験データを3回送信することになる。そのため、電力制御部23は、図11で説明したように、1番目および2番目の試験データ50と3番目の試験データ50の途中までを最初のスロット期間でO/E24へ送り、3番目の試験データ50の残りを次のスロット期間でO/E24へ送ると共に、それぞれの試験データをO/E24へ送る際に、試験データの送信順番に対応するゲインを誤り率保持部29から抽出してO/E24に指示する。
【0080】
そして、電力制御部23は、Bステップでゲインを増加させた試験データの連続送信が終了した後に、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持されていれば、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを誤り率保持部29内で特定する。そして、電力制御部23は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整後のゲインとして決定する。
【0081】
図12は、第2の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図では、OLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0082】
まず、OLT30は、折り返し回数を含む試験要求をONU20へ送信する(S400)。ONU20は、最大ゲインG0dBからAdBずつゲインを減少させた試験データの光信号を連続送信し(S401)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を行わず、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S402)。図12では、説明の都合上、試験データの連続送信が全て終了してから試験データの折り返しが始まるように描いているが、実際は、OLT30は、上りスロット内のデータを受信するたびに、直近の下りスロットを用いて試験データを折り返す。
【0083】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを随時比較して誤り率を折り返しデータの受信順番に対応付けて保持する(S403)。AdBずつゲインを変えた試験データの連続送信が終了し、折り返しデータの誤り率が全て算出された場合、ONU20は、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを誤り率保持部29内で初期ゲインとして特定する(S404)。
【0084】
次に、ONU20は、初期ゲインからBdBずつゲインを増加させた試験データの光信号を連続送信し(S405)、OLT30は、受信した光信号をO/E32において一旦電気信号に変換し、誤り訂正等の操作を行わず、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S406)。ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを随時比較して誤り率を折り返しデータの受信順番に対応付けて保持する(S407)。
【0085】
Bステップでゲインを増加させた試験データの連続送信が終了し、送信した全ての試験データの誤り率が誤り率保持部29内に保持された場合、ONU20は、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを誤り率保持部29内で特定する。そして、ONU20は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整値として決定する(S408)。
【0086】
次に、ONU20の動作について図13のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を受信した場合にONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。なお、OLT30の動作については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
まず、媒体アクセス制御部22は、試験応答を、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する(S500)。そして、媒体アクセス制御部22は、試験要求に含まれる折り返し回数と共に、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。
【0088】
電力制御部23は、試験データの送信順番に対応付けて、最大ゲインから最小ゲインまでAステップ毎に減少させたゲインを誤り率保持部29に登録する(S501)。ここで、O/E24のダイナミックレンジが15dBであり、Aが3dBである場合、ステップS501が実行されると、誤り率保持部29内のデータは例えば図14に示すような内容になる。
【0089】
次に、電力制御部23は、Aステップ毎にゲインを減少させた試験データを連続送信する連続送信処理を行う(S600)。連続送信処理については後述する。Aステップでの連続送信処理が終了すると、誤り率保持部29内には、例えば図10に示すような内容のデータが登録される。
【0090】
次に、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値以上となる最大のゲインを初期ゲインとして決定する(S502)。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29内のデータを削除し、決定した初期ゲインから順番にBステップ毎に増加させたゲインを、試験データの順番に対応付けて誤り率保持部29に登録する。初期ゲインが0dBであり、Aが3dBであり、Bが1dBである場合、この時点で、誤り率保持部29内には、例えば図15に示すような内容のデータが登録される。
【0091】
次に、電力制御部23は、Bステップ毎にゲインを減少させた試験データを連続送信する連続送信処理を行う(S600)。連続送信処理についてはゲインの変更幅が異なるだけで、ステップS600の処理と同様である。Bステップでの連続送信処理が終了すると、誤り率保持部29内には、例えば図16に示すような内容のデータが登録される。
【0092】
次に、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照して、誤り率が予め定められた値未満となる最小のゲインを特定する。そして、電力制御部23は、特定したゲインにマージンCdBを加えた値を調整値として決定し(S503)、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0093】
図17は、連続送信処理(S600)の一例を示すフローチャートである。
【0094】
まず、電力制御部23は、カウンタnを1に初期化し(S601)、次のスロットタイミングまで待機する(S602)。そして、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインを特定し、特定したゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データを現在のスロットタイミングでO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信する(S603)。
【0095】
次に、電力制御部23は、カウンタnを1増やし(S604)、カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回ったか否かを判定する(S605)。カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回った場合(S605:Yes)、電力制御部23は、電気信号に変換したデータを媒体アクセス制御部22へ出力するようO/E25に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0096】
一方、カウンタnが予め定められた折り返し回数n0を上回っていない場合(S605:No)、電力制御部23は、現在のスロットに空きがあるか否かを判定する(S606)。現在のスロットに空きがない場合(S606:No)、電力制御部23は、ステップS602に示した処理を実行する。
【0097】
一方、現在のスロットに空きがある場合(S606:Yes)、電力制御部23は、その空きは試験データ1つ分以上の空きか否かを判定する(S607)。試験データ1つ分以上の空きである場合(S607:Yes)、電力制御部23は、ステップS603に示した処理を実行する。
【0098】
一方、試験データ1つ分以上の空きではない場合(S607:No)、電力制御部23は、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データの空き容量分を現在のスロットタイミングでO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信する(S608)。
【0099】
そして、電力制御部23は、次のスロットタイミングまで待機し(S609)、次のスロットタイミングで、誤り率保持部29を参照してn番目の試験データに対応するゲインをO/E24に指示すると共に、n番目の試験データの残りをO/E24へ送る。O/E24は、電力制御部23から受け取った試験データを光信号に変換し、変換した光信号を、電力制御部23から指示されたゲインに増幅してOLT30へ送信し(S610)、電力制御部23は、ステップS604に示した処理を実行する。
【0100】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0101】
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電力調整過程においてONU20からOLT30へ送信される試験データは、PON(Passive Optical Network)システムで用いられているレポートフレームに格納されて送信される点が第1の実施形態とは異なる。
【0102】
図18は、第3の実施形態におけるOLT30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。OLT30は、WDMフィルタ31、O/E32、O/E33、媒体アクセス制御部35、およびネットワーク側送受信部36を有する。なお、以下に説明する点を除き、図18において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0103】
媒体アクセス制御部35は、所定のタイミングで、O/E33およびWDMフィルタ31を介して、各ONU20にレポート要求を送信する。また、媒体アクセス制御部35は、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、レポート要求内に、試験要求を含めて各ONU20へ送信する。
【0104】
また、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31およびO/E32を介して、各ONU20からレポートフレームを受信した場合、受信したレポートフレームから試験データを抜き出し、エラー訂正等の操作を施すことなく、抜き出した試験データをO/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20へ折り返し送信する。
【0105】
ここで、本実施形態で用いられるサポートフレーム60は、例えば図19に示すように、ヘッダ61、ペイロード62、およびトレイラ63を有する。ヘッダ61には、宛先アドレスを示すDA610、送信元アドレスを示すSA611、サポートフレーム60全体の長さ等を示すTYPE612、ONUの制御信号等を示すOpcode613などが格納される。
【0106】
また、ペイロード62には、レポート情報621および試験データ622のそれぞれのサイズ620、レポート情報621、および試験データ622が格納される。トレイラ63には、FCS(frame check sequence)630が格納される。ここで、本実施形態では、電力調整過程において、サポートフレーム60内の試験データ622の電力を変更することを想定している。そのため、サポートフレーム60内の試験データ622とそれ以外のデータとは、送信電力が異なる場合がある。
【0107】
そして、試験データ622は、OLT30によるレポート情報621の収集とは使用目的が異なることから、本実施形態では、試験データ622を除いたサポートフレーム60内の他のデータについて算出された値をFCS630とし、媒体アクセス制御部35は、試験データ622を除いたサポートフレーム60内のデータについてFCS630によるエラー訂正を行うことで、試験データ622内のデータの誤りとは無関係にレポート情報を確実に収集することができる。
【0108】
図20は、第3の実施形態におけるONU20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。ONU20は、端末側送受信部21、媒体アクセス制御部22、電力制御部23、O/E24、O/E25、比較部26、試験データ保持部27、およびWDMフィルタ28を有する。なお、以下に説明する点を除き、図20において、図3と同じ符号を付した構成は、図3における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0109】
O/E24は、媒体アクセス制御部22から受け取った電気信号を、上り方向の光信号として予め定められた波長の光信号に変換し、変換した光信号を媒体アクセス制御部22から指定されたゲインで増幅してWDMフィルタ28へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った信号と試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。
【0110】
媒体アクセス制御部22は、OLT30へデータを送信する場合、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングで、送信すべきデータをO/E24へ送ると共に、電力制御部23による電力調整後のゲインをO/E24に指示する。また、媒体アクセス制御部22は、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータがレポート要求である場合、レポート情報を収集してレポートフレームを作成し、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24を介してOLT30へ送信する。レポート要求は、例えば1時間毎にOLT30から送信される。
【0111】
また、O/E25から受け取った電気信号から抽出したデータが試験要求を含むレポート要求である場合、媒体アクセス制御部22は、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。試験要求が定期的に送信される場合、試験要求は例えば1ヶ月に1回程度の間隔でレポート要求内に格納されてOLT30から送信される。そして、ゲインの指示と共に試験データを電力制御部23から受け取った場合、媒体アクセス制御部22は、収集したレポート情報と共に、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレーム(図19参照)を作成する。
【0112】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインとするようO/E24に指示する。なお、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23からゲインの指示と共に試験データを受け取っても、OLT30からレポート要求を受信するまでは、レポートフレームを作成しない。
【0113】
そして、媒体アクセス制御部22は、当該試験データが折り返し送信された信号を受信した場合に、受信した信号を比較部26へ送る。
【0114】
電力制御部23は、媒体アクセス制御部22から電力調整の開始を指示された場合に、試験データを試験データ保持部27から取り出して、媒体アクセス制御部22へ送ると共に、光信号のゲインを媒体アクセス制御部22に指示する。ここで、媒体アクセス制御部22へ指示する光信号のゲインは、第1の実施形態で説明した方法と同様に、最初に初期ゲインを指示し、その後、比較部26から通知された誤り率に応じてAステップ毎にゲイン増加または減少させ、比較部26から通知された誤り率に応じてさらにBステップ毎にゲイン増加または減少させることで、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力を決定する。
【0115】
所定の誤り率を実現できる最小の送信電力を決定した場合、電力制御部23は、決定したゲインを電力調整後のゲインとして媒体アクセス制御部22に指示する。
【0116】
図21は、第3の実施形態においてONU20とOLT30との間で行われる電力調整過程の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。なお、それぞれのONU20の電力調整は独立に行われるため、本シーケンス図では、OLT30と1台のONU20との間の電力調整について説明する。
【0117】
まず、OLT30は、OLT30の管理者から指示されたタイミング等の直後のレポート要求タイミングにおいて、試験要求を含むレポート要求をONU20へ送信する(S700)。ONU20は、試験データの部分を予め定められた初期ゲインG0dBとするレポートフレームの光信号を送信し(S701)、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを、誤り訂正等の操作を施すことなく、O/E33において再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S702)。
【0118】
ONU20は、折り返された信号中の試験データにする部分と、試験データとを比較し、予め定められた誤り率(例えば10-4)未満であれば(S703)、次の試験データのゲインを(G0−A)dBに決定する。そして、ONU20は、次にレポート要求を受信した場合に(S704)、その応答タイミングで、試験データの部分のゲインを(G0−A)dBとするレポートフレームの光信号を送信する(S705)。そして、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S706)。
【0119】
そして、ONU20は、試験データのゲインをAdBずつ下げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S707〜S709)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値以上となった場合(S710)、今度は、現在のゲイン(G0−mA)dBをBdB増加させる。そして、ONU20は、次にレポート要求を受信した場合に(S711)、その応答タイミングで、試験データの部分のゲインを(G0−mA+B)dBとするレポートフレームの光信号を送信する(S712)。そして、OLT30は、受信したレポートフレーム内の試験データのみを再び光信号に変換してONU20へ折り返す(S713)。
【0120】
そして、ONU20は、試験データのゲインをBdBずつ上げて誤り率を判定する処理を繰り返し(S714〜S716)、折り返された信号中の試験データにする部分の誤り率が予め定められた値未満となった場合(S717)、現在のゲイン(G0−mA+nB)dBに、環境変化による変動を想定したマージンCdBを加えて、(G0−mA+nB+C)dBを、所定の誤り率を実現できる最小の送信電力のゲインとして決定する(S718)。
【0121】
図22は、第3の実施形態の電力調整におけるOLT30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、OLT30の管理者から指示されたタイミングや、予め定められた周期毎に、受動光網システム10は、本シーケンス図に示す動作を開始する。
【0122】
まず、媒体アクセス制御部35は、レポート要求の送信タイミングか否かを判定する(S800)。レポート要求の送信タイミングである場合(S800:Yes)、媒体アクセス制御部35は、O/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20にレポート要求を送信する(S802)。そして、媒体アクセス制御部35は、WDMフィルタ31およびO/E32を介して、ONU20からレポートフレームを受信したか否かを判定する(S803)。
【0123】
ONU20からレポートフレームを受信した場合(S803:Yes)、媒体アクセス制御部35は、レポートフレームのペイロード内のサイズ情報を参照して、レポートフレーム内に試験データが格納されているか否かを判定する(S804)。レポートフレーム内に試験データが格納されていない場合(S804:No)、OLT30は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0124】
一方、レポートフレーム内に試験データが格納されている場合(S804:Yes)、媒体アクセス制御部35は、受信したレポートフレームから試験データを抜き出し、エラー訂正等の操作を施すことなく、抜き出した試験データをO/E33およびWDMフィルタ31を介して、ONU20へ折り返し送信し(S805)、再びステップS801に示した処理を実行する。
【0125】
次に、ONU20の動作について図23のフローチャートを参照して説明する。OLT30から試験要求を含むレポート要求を受信した場合に、ONU20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0126】
まず、媒体アクセス制御部22は、電力調整の開始を電力制御部23に指示する。電力制御部23は、試験データを試験データ保持部27から取り出して媒体アクセス制御部22へ送ると共に、光信号のゲインGを初期ゲインG0にするよう媒体アクセス制御部22に指示する(S900)。媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0127】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示された初期ゲインG0とするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインで送信する(S901)。
【0128】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S902)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S903)。
【0129】
比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S903:No)、電力制御部23は、試験データと共に、Aだけ減少させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S904)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S905)。レポート要求を受信した場合(S905:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0130】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S906)。
【0131】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S907)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S908)。比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S908:No)、電力制御部23は、再びステップS904に示した処理を実行する。
【0132】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S908:Yes)、電力制御部23は、試験データと共に、Bだけ増加させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S909)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S910)。レポート要求を受信した場合(S910:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0133】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S911)。
【0134】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S912)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S913)。比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S913:Yes)、電力制御部23は、再びステップS909に示した処理を実行する。
【0135】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S913:No)、電力制御部23は、現在のゲインGにマージンCを加えたゲインを調整後のゲインとして決定する(S914)。そして、電力制御部23は、決定した調整後のゲインを媒体アクセス制御部22に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0136】
また、ステップS903において、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S903:Yes)、電力制御部23は、試験データと共に、Aだけ増加させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S915)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S916)。レポート要求を受信した場合(S916:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0137】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S917)。
【0138】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S918)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S919)。比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S919:Yes)、電力制御部23は、再びステップS915に示した処理を実行する。
【0139】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S919:No)、電力制御部23は、試験データと共に、Bだけ減少させたゲインGを媒体アクセス制御部22に指示する(S920)。そして、媒体アクセス制御部22は、OLT30からレポート要求を受信したか否かを判定する(S921)。レポート要求を受信した場合(S921:Yes)、媒体アクセス制御部22は、電力制御部23から受け取った試験データを含むレポートフレームを作成する。
【0140】
そして、媒体アクセス制御部22は、作成したレポートフレームを、自装置に予め割り当てられた上り信号のスロットタイミングでO/E24へ送ると共に、作成したレポートフレームにおいて、試験データ以外の部分を電力調整後のゲインとするようO/E24に指示し、試験データの部分を電力制御部23から指示されたゲインGとするようO/E24に指示する。O/E24は、レポートフレームを光信号に変換し、媒体アクセス制御部22から指示されたゲインGで送信する(S922)。
【0141】
次に、媒体アクセス制御部22は、O/E25を介してOLT30から折り返された試験データを受け取り、受け取った試験データを比較部26へ送る。比較部26は、媒体アクセス制御部22から受け取った試験データと試験データ保持部27内の試験データとを比較して誤り率を算出し(S923)、算出した誤り率を電力制御部23に通知する。電力制御部23は、比較部26から通知された誤り率が所定値以上か否かを判定する(S924)。比較部26から通知された誤り率が所定値未満である場合(S924:No)、電力制御部23は、再びステップS920に示した処理を実行する。
【0142】
一方、比較部26から通知された誤り率が所定値以上である場合(S924:Yes)、電力制御部23は、現在のゲインGをB増加させた上でマージンCを加えたゲインを調整後のゲインとして決定する(S925)。そして、電力制御部23は、決定した調整後のゲインを媒体アクセス制御部22に指示し、ONU20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0143】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0144】
なお、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0145】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0146】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0147】
10・・・受動光網システム、11・・・端末、12・・・スプリッタ、13・・・ネットワーク、20・・・ONU、21・・・端末側送受信部、22・・・媒体アクセス制御部、23・・・電力制御部、24・・・O/E、25・・・O/E、26・・・比較部、27・・・試験データ保持部、28・・・WDMフィルタ、29・・・誤り率保持部、30・・・OLT、31・・・WDMフィルタ、32・・・O/E、33・・・O/E、34・・・試験データ抜出部、35・・・媒体アクセス制御部、36・・・ネットワーク側送受信部、60・・・サポートフレーム、61・・・ヘッダ、610・・・DA、611・・・SA、612・・・TYPE、613・・・Opcode、62・・・ペイロード、620・・・サイズ、621・・・レポート情報、622・・・試験データ、63・・・トレイラ、630・・・FCS
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムであって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信部と、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を有し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信部と、
前記OLT光信号受信部によって変換された電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信部と
を有し、
それぞれの前記ONUの送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項2】
請求項1に記載の受動光網システムであって、
前記送信電力制御部は、
複数の前記試験データのそれぞれについて、異なる増幅率を前記ONU光信号送信部に指示し、
前記ONU光信号送信部は、
複数の前記試験データを、前記送信電力制御部から指示されたそれぞれの増幅率の光信号で、連続して前記OLTへ送信し、
前記比較部は、
前記ONU光信号受信部が、前記OLTから連続して受信および変換した受信データの誤り率をそれぞれ算出し、
前記送信電力制御部は、
前記比較部によって算出されたそれぞれの受信データの誤り率に基づいて、当該誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受動光網システムであって、
前記ONU光信号送信部は、
前記試験データをレポートメッセージのペイロードに含め、当該ペイロード内の試験データに対応する部分の光信号の増幅率を前記送信電力制御部から指示された増幅率として、当該レポートメッセージに対応する光信号を前記OLTへ送信し、
前記OLT光信号送信部は、
前記ONUから送信されたレポートメッセージのペイロード内の前記試験データに対応する部分の電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信することを特徴とする受動光網システム。
【請求項4】
OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムにおける電力制御方法であって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信ステップと、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信ステップと、
前記ONU光信号受信ステップにおいて変換した電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較ステップと、
前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を増加させ、前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を減少させる送信電力制御ステップと
を実行し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信ステップと、
前記OLT光信号送信ステップにおいて変換した電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信ステップと
を実行し、
それぞれの前記ONUは、前記送信電力制御ステップにおいて、
前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を変更することにより、前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項5】
受動光網システムに用いられるONU(Optical Network Unit)であって、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅してOLT(Optical Line Terminal)へ送信する光信号送信部と、
前記光信号送信部から送信された前記試験データに対応する光信号を前記OLTが一旦電気信号に変換し、前記OLTが再度光信号に変換した光信号を受信して電気信号に変換する光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を備え、
前記送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とするONU。
【請求項1】
OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムであって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信部と、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を有し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信部と、
前記OLT光信号受信部によって変換された電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信部と
を有し、
それぞれの前記ONUの送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項2】
請求項1に記載の受動光網システムであって、
前記送信電力制御部は、
複数の前記試験データのそれぞれについて、異なる増幅率を前記ONU光信号送信部に指示し、
前記ONU光信号送信部は、
複数の前記試験データを、前記送信電力制御部から指示されたそれぞれの増幅率の光信号で、連続して前記OLTへ送信し、
前記比較部は、
前記ONU光信号受信部が、前記OLTから連続して受信および変換した受信データの誤り率をそれぞれ算出し、
前記送信電力制御部は、
前記比較部によって算出されたそれぞれの受信データの誤り率に基づいて、当該誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受動光網システムであって、
前記ONU光信号送信部は、
前記試験データをレポートメッセージのペイロードに含め、当該ペイロード内の試験データに対応する部分の光信号の増幅率を前記送信電力制御部から指示された増幅率として、当該レポートメッセージに対応する光信号を前記OLTへ送信し、
前記OLT光信号送信部は、
前記ONUから送信されたレポートメッセージのペイロード内の前記試験データに対応する部分の電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信することを特徴とする受動光網システム。
【請求項4】
OLT(Optical Line Terminal)と複数のONU(Optical Network Unit)を備える受動光網システムにおける電力制御方法であって、
前記複数のONUのそれぞれは、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅して前記OLTへ送信するONU光信号送信ステップと、
前記OLTから受信した光信号を電気信号に変換するONU光信号受信ステップと、
前記ONU光信号受信ステップにおいて変換した電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較ステップと、
前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を増加させ、前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を減少させる送信電力制御ステップと
を実行し、
前記OLTは、
それぞれの前記ONUから受信した光信号を電気信号に変換するOLT光信号受信ステップと、
前記OLT光信号送信ステップにおいて変換した電気信号を光信号に再度変換して前記ONUへ送信するOLT光信号送信ステップと
を実行し、
それぞれの前記ONUは、前記送信電力制御ステップにおいて、
前記ONU光信号送信ステップにおける光信号の増幅率を変更することにより、前記比較ステップにおいて算出した誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とする受動光網システム。
【請求項5】
受動光網システムに用いられるONU(Optical Network Unit)であって、
予め定められたビットパターンを示す試験データに対応する電気信号を光信号に変換し、変換した光信号を、指定された増幅率で増幅してOLT(Optical Line Terminal)へ送信する光信号送信部と、
前記光信号送信部から送信された前記試験データに対応する光信号を前記OLTが一旦電気信号に変換し、前記OLTが再度光信号に変換した光信号を受信して電気信号に変換する光信号受信部と、
前記ONU光信号受信部によって変換された電気信号に対応するビットパターンである受信データと、前記試験データとを比較して、前記試験データに対する前記受信データの誤り率を算出する比較部と、
前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値以上である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を増加させ、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満である場合に、前記ONU光信号送信部に指示して、前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を減少させる送信電力制御部と
を備え、
前記送信電力制御部は、
前記ONU光信号送信部が出力する光信号の増幅率を変更することにより、前記比較部によって算出された誤り率が予め定められた値未満となる最小の増幅率を、前記OLTへ送信する光信号の増幅率として決定することを特徴とするONU。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図11】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−9060(P2013−9060A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139028(P2011−139028)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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