説明

可動機械システム、可動機械制御システム及び判定装置

【課題】
安定した大きさのアンテナの受信範囲を設定することができ、複数の送信元が存在しても、前記安定した大きさの受信範囲に、いずれの送信元が存在しているか否かの判定することができる可動機械システムを提供する。
【解決手段】
ロボットシステムはID情報及びTPデータを含む信号を無線送信する教示操作装置10を備え、受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された2個のアンテナ61,62と、各アンテナ61,62がID情報及びTPデータを含むデータパケットを受信した際に受信信号強度を検出する信号強度測定部43を備える。データパケットの受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する2つのデータパケットの受信信号強度がそれぞれ重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定部22で判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式教示操作装置と可動機械制御装置を無線で接続する可動機械システム、可動機械制御システム及び判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動機械制御装置と可搬式教示操作装置(以下、単に教示操作装置という)との間で、無線通信を行いながら運用する可動機械制御システムが提案されている(特許文献1〜3参照)。これらの装置では、一般的に作業者は、可動機械制御装置にケーブルでつながる機械的に動作する可動機械を前に教示操作装置を使って動作教示を行う。
【0003】
この場合、図13に示すように、安全柵530外に配置され、可動機械(例えば、ロボット)540は安全柵530内に配置される。特に、特許文献2,3では、図13に示すように、可動機械制御装置500は、安全柵530外に配置され、可動機械(例えば、ロボット)540は安全柵530内に配置される。特に、特許文献2,3,4では、図13に示すように、教示操作装置510との間で無線通信を行うための送受信機器520は、これまで可動機械制御装置500の中か、その近傍に配置されている。
【0004】
ところで、特許文献2〜4に示される従来の方法では以下の問題を解決できていない。
すなわち、可動機械制御装置500との間で安全通信を確立している教示操作装置510が安全柵530内にある可動機械540の付近なのかどうかを判別できないため、安全柵530外から安全通信を確立している教示操作装置510から可動機械540を動かすことを禁止できない。すなわち、図14に示すように安全柵530(安全防護空間)内に別の作業者Mがいる場合には、危険な状態にさらされる。なお、安全通信とは、教示操作装置510と可動機械540との間で行われる非常停止機能のための通信である。教示操作装置510の図示しない非常停止スイッチが操作された場合に可動機械540を停止させるか、又は、安全通信における通信エラーや通信機の故障により、安全入力を正しく伝達できないような安全通信エラー状態が発生した場合、教示操作装置510及び可動機械制御装置500の安全通信エラー検出機能が作動して、可動機械制御装置500が可動機械540に非常停止を指示するようにされている。
【0005】
特許文献5では、指向性アンテナと無指向性アンテナの複数のアンテナの検知領域を重ねることによって限定した領域に教示操作装置を持った作業者がいるかどうかが分かる技術が提案されている(図15参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−9872号公報
【特許文献2】特開2007−42061号公報
【特許文献3】特開2006−341356号公報
【特許文献4】特表2006−103838号公報
【特許文献5】特開2008−59087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、前記特許文献2,3,4での問題は、特許文献5の技術を応用して、複数のアンテナの検知領域を重ねることによって限定した検知領域に、教示操作装置を持った操作者(送信元)がいるかどうかが分かる。
【0008】
しかし、特許文献5の技術では、下記の問題を解決できない。
すなわち、特許文献5では、図15に示すように、指向性アンテナの検知領域600と無指向性アンテナの検知領域610により、設定できる検知領域(多重検知領域)620は、その形を扇型の形状とすることができる。しかし、特許文献5では、受信電波強度の測定値に応じて、送信元までの距離を特定しているため、マルチパスに限らず、外乱により電波強度が変動すると、検知領域610(多重検知領域)の大きさが変化するので、安定した大きさの検知領域を設定することが難しい。
【0009】
又、特許文献5では、送信する側の電波強度が異なる複数の送信元が存在すると、受信する無指向性アンテナの中心から各送信元がそれぞれどれだけ離れているのかを特定することが難しく、所定の大きさの検知領域610(多重検知領域)にすべてが存在しているかどうかを判定できない。
【0010】
本発明の目的は、安定した大きさのアンテナの受信範囲(検知領域)を設定することができ、複数の送信元が存在しても、前記安定した大きさの受信範囲(検知領域)に、いずれの送信元が存在しているか否かの判定することができる可動機械システム、可動機械制御システム及び判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、固有ID及び教示情報を含む信号を無線送信する可搬式教示操作装置と、受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、各前記指向性アンテナが前記固有ID及び教示情報を含む信号(以下、固有ID受信信号という)を受信した際に、各固有ID受信信号の受信信号強度を検出する検出手段と、各前記固有ID受信信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ前記重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ判定閾値以上と判定した場合、前記同じ固有IDを有する固有ID受信信号に含まれる教示情報に基づいて可動機械を制御する可動機械制御装置を含むことを特徴とする可動機械システムを要旨とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記可動機械の動作領域外に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記可動機械が人の出入りを制限する防護柵内に位置するように配置され、前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲における前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記防護柵内に位置していることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、各前記指向性アンテナが、固有ID及び教示情報を含む信号(以下、固有ID受信信号という)を受信した際に、各固有ID受信信号の受信信号強度を検出する検出手段と、各前記固有ID受信信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ前記重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ判定閾値以上と判定した場合、前記同じ固有IDを有する固有ID受信信号に含まれる教示情報に基づいて可動機械を制御する可動機械制御装置を含むことを特徴とする可動機械制御システムを要旨とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4において、前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記可動機械の動作領域外に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5において、前記可動機械が人の出入りを制限する防護柵内に位置するように配置され、前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲における前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記防護柵内に位置していることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、異なる位置に設けられた複数の指向性アンテナを介して固有IDを含む信号を受信した際に、各固有IDを含む信号の受信信号強度を検出する検出手段と、各前記固有IDを含む信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有IDを含む信号の受信信号強度がそれぞれ前記指向性アンテナの受信範囲の重複領域に送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定し、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有IDを含む信号の受信信号強度が判定閾値以上の場合は、前記固有IDを含む信号を送信した送信元が、前記複数の指向性アンテナの受信範囲のうち一部が互いに重なり合った重複領域に位置すると判定し、その判定結果を出力する判定手段を有すること特徴とする判定装置を要旨とするものである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7において、前記判定結果が、固有IDとともに受信した可動機械を作動させるための教示情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1及び請求項4の発明によれば、アンテナの受信範囲(検知領域)を設定することができ、複数の送信元が存在しても、前記安定した大きさの受信範囲(検知領域)にいずれの送信元が存在しているか否かの判定をすることができる。
【0020】
請求項2、請求項5の発明によれば、少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲における前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記可動機械の動作領域外に配置されていることにより、可動機械の動作領域外に、可搬式教示操作装置を位置させた場合に、上記請求項1、請求項4の発明の効果を実現でき、可搬式操作装置を持つ作業者の安全を図ることができる。
【0021】
請求項3、請求項6の発明によれば、防護柵内に前記重複領域があるため、防護柵内においてのみ作業者が教示することで、教示する作業者の安全を確保することができる。
請求項7の発明によれば、請求項1のロボットシステム、及び請求項2及びロボット制御システムを実現可能な判定装置として提供できる。
【0022】
請求項8の発明によれば、判定装置の判定結果に基づいて、固有IDを含む信号とともに送られた情報を、判定結果として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のロボットシステムの配置関係を示す概略図。
【図2】(a)はロボットシステムのブロック図、(b)は、教示操作装置のブロック図。
【図3】データパケットの説明図。
【図4】判定部22が実行する領域検知判定のフローチャート。
【図5】アンテナ、安全柵、教示操作装置(局)の配置関係を示す説明図。
【図6】アンテナ、安全柵、教示操作装置(局)の配置関係を示す説明図。
【図7】アンテナ、安全柵、教示操作装置(局)の配置関係を示す説明図。
【図8】一実施形態の作用の説明図。
【図9】一実施形態の作用の説明図。
【図10】一実施形態の作用の説明図。
【図11】一実施形態の作用の説明図。
【図12】他の実施形態のアンテナの配置の説明図。
【図13】従来のシステムの配置を示す概略図。
【図14】従来のシステムの使用状況を示す概略図。
【図15】従来の検知領域の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の可動機械システムをロボットシステムに具体化した一実施形態を図1〜図11を参照して説明する。
図1に示すように、ロボットシステムは、可搬式教示操作装置(以下、教示操作装置10という)と、可動機械制御装置としてのロボット制御装置20とがネットワーク手段としての無線LAN(ローカルエリアネットワーク)を行うことができる送受信装置40A,40Bを介して接続されることにより構成されている。又、可動機械制御装置としてのロボット制御装置20と、ネットワーク手段としての無線LAN(ローカルエリアネットワーク)を行うことができる送受信装置40A,40Bとにより、可動機械制御システムとしてのロボット制御システムが構成されている。なお、図1では、ロボット制御装置20に対して、複数の教示操作装置10が無線通信可能であるが、説明の便宜上、図1では、1つの教示操作装置10のみを図示している。
【0025】
このロボットシステムのロボット制御装置20が制御するロボットRは、例えば溶接ロボットである。なお、可動機械としては、溶接ロボットに限定されるものではなく、例えば搬送ロボット等の他のロボット等の可動する装置であってもよい。
【0026】
ロボットRは、防護柵としての安全柵50に囲まれている。本実施形態では、安全柵50は、平面視で四角枠状に形成され、ロボットRの高さよりも高い高さを有する。なお、安全柵50の高さは、限定されるものではなく、作業者Mが容易に入れない高さであればよい。又、安全柵50の平面視の形状は四角枠に限定されるものではなく、円形状、楕円状等の他の形状であってもよい。安全柵50で囲まれた空間のうち、ロボットのアームの作動が許容される空間は、動作領域Dである。又、動作領域D外の安全柵50内の空間領域が作業者が入る許容空間である。安全柵50には、出入口扉92が設けられており、出入口扉92を開放することにより、安全柵50内に設けられた出入口を介して作業者Mは入ることが可能となっている。出入口扉92は、前記出入口を閉鎖する位置に位置した際にドアロックされることが可能である。
【0027】
教示操作装置10は、CPU(中央処理装置)11、ROM12、RAM13、ハードディスク14、無線LANI/F(インターフェイス)15、キーボード16、表示装置17の各部を備えているとともに各部はバス19を介して接続されている。
【0028】
ROM12には、教示操作装置10からのロボットRの操作や通信を実行するためのプログラムが格納されている。さらに、ROM12が格納するプログラムには、例えば、表示装置17を表示制御するためのGUI表示処理プログラム、CPU11をパソコンとして機能させるための各種プログラムが格納されている。RAM13は、CPU11のワーキングエリアとして用いられ、計算途中のデータが一時的に格納されている。ハードディスク14には、制御プログラムの実行変数が格納されている。
【0029】
無線LANI/F15はロボット制御装置20との無線接続に使用される通信機であって、送受信部15aを備えており、該送受信部15aにより、ロボット制御装置20の送受信装置40A,40Bと無線通信が可能である。
【0030】
送受信装置40A,40Bのアンテナ61,62は、指向性アンテナからなり、図2に示すように安全柵50の対角線上の対向するコーナにそれぞれ設けられている。前記指向性アンテナは、例えば、八木宇田アンテナでもよく、或いはパラボラアンテナでもよい。本実施形態では、アンテナ61,62により、ダイバーシティアンテナが構成されている。
【0031】
送受信装置40A及び送受信装置40Bは同一構成のため、以下の説明では、送受信装置40Aが備える各部の機能について説明するが、送受信装置40Bの機能についても、送受信装置40Aが備える各部と同一の構成は同様の機能を備えるものと理解されたい。又、以下では、送受信装置40Bの各部において、送受信装置40Aと同一構成については、説明の便宜上、同一符号を付した構成で説明することがある。
【0032】
送受信装置40Aは、送信機41、受信機42、信号強度測定部43(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、送信元ID確認部44、及びデータ処理部45を備えている。
【0033】
送信機41及び受信機42は、教示操作装置10をはじめとする複数の教示操作装置の無線LANI/F15と無線通信が可能である。受信機42と無線LANI/F15間のパケット通信において、教示操作装置10から送信されるデータパケットは、教示操作装置10のCPU11により予め定められた通信プロトコルによってパケットの形式で生成される。データパケットは、固有ID受信信号に相当する。
【0034】
ここで、受信機42が受信するデータパケットについて説明する。
図3は、教示操作装置10から無線通信で送信されるデータパケットの一例を示している。同図に示すように、データパケットには、教示操作装置10から、送信したいロボット制御装置20を特定する宛先データ70、送信元を特定する送信元データ80、教示データ或いは非教示データ等を含むTP(ティーチペンダント)データ90、誤り検出データ100等が含まれる。TPデータ90には、ロボットの動作を行わせるための各種動作指令、或いは、ロボット制御装置20の動作外処理部26でロボットの動作以外の処理を行わせるためのデータが含まれる。TPデータ90は、教示情報に相当する。
【0035】
前記送信元データ80は、ID情報82と経由地情報84とからなる。前記ID情報82は、送信元、すなわち、教示操作装置10を特定するための情報であり、固有IDに相当する。
【0036】
経由地情報84は、このデータパケットがどこを経由したかを示す受信アンテナの番号情報86及び受信信号強度88とを含む。教示操作装置10から送信する際には、教示操作装置10のCPU11により、受信アンテナの番号情報86としてどこも経由していないことを示す初期値、及び、受信信号強度88の初期値がセットされる。
【0037】
そして、受信機42においては、受信したデータパケットに対し、番号情報86として、当該データパケットを受信したアンテナ61の固有情報である受信アンテナの番号情報86が格納される。すなわち、送受信装置40Aでは、受信機42により、受信したデータパケットには、番号情報86により送受信装置40Aのアンテナ61を経由して受信されたことが示される。又、受信機42では、誤り検出データ100により、データ化けの通信エラーがないか否かを確認する。
【0038】
受信機42において、誤り検出データ100に基づいて通信エラーがない場合、前記信号強度測定部43は、前記データパケットに係る受信信号(無線信号)の受信レベル、すなわち、受信信号強度が検出可能である。信号強度測定部43は、検出手段に相当する。又、前記通信エラーがない場合、信号強度測定部43は、前記検出した当該データパケットの受信レベル(受信信号強度)を、受信したデータパケットの受信信号強度88として格納する。
【0039】
送信元ID確認部44では、受信機42で受信したデータパケットの送信元データ80のID情報82を確認し、図示しない記憶部に、無線通信を要求している教示操作装置10のID情報を格納する。
【0040】
このようにして、受信機42で受信されたデータパケットは、信号強度測定部43で、経由地情報84(番号情報86及び受信信号強度88)が格納され、かつ、送信元ID確認部44で確認された場合、データ処理部45を介して、ネットワークNL1を介してロボット制御装置20に送られる。
【0041】
なお、送受信装置40Bでは、教示操作装置10から送信されてアンテナ62を介して受信したデータパケットは、送受信装置40Aと同様に処理されて、データ処理部45を介して、ネットワークNL2を介してロボット制御装置20に送られる。
【0042】
ロボット制御装置20は、判定手段としての判定部22と、ロボット制御部24及び動作外処理部26とを備えている。本実施形態では、判定部22と、送受信装置40A,40Bの信号強度測定部43とにより、判定装置が構成されている。
【0043】
判定部22は、送受信装置40A,40Bのデータ処理部45にネットワークNL1,NL2を介してそれぞれ接続されている。判定部22は、CPU、ROM、RAMを備えており、該ROMに格納された領域検知判定プログラムに従い送受信装置40A,40Bのデータ処理部45から送られてきたデータパケットに関して、後述する領域検知判定を行う。
【0044】
ロボット制御部24は、図示はしないがCPU、ROM、RAM、ロボットRを駆動するためのサーボドライバ、及びビデオRAM等の各部を備えているとともに各部はバス(図示しない)を介して接続されている。前記ROMには、ロボット制御装置20が制御対象とするロボットRの動作制御を実行するための制御プログラムとその制御定数等が格納されている。前記サーボドライバは、ロボットRの各関節を駆動する図示しないモータに接続され、該モータに通電させる電流を制御する。そして、前記CPUは、教示データに基づいて、前記サーボドライバを介してロボットRを制御する。前記ビデオRAMは、教示操作装置10の表示装置17に表示するGUI画面のデータを教示操作装置10へ送出する前に一時保存するために使用される。
【0045】
ロボット制御部24のCPUは、前記判定部22の判定結果により、データパケットのTPデータが送られてきた場合に、TPデータ90(動作指令)に基づいてロボットRの動作を行わせる。
【0046】
動作外処理部26は図示はしないがCPU、ROM、RAMを備えており、前記判定部22の判定結果により、データパケットの動作指令以外のTPデータが送られてきた場合に、該TPデータ90に基づいて、ロボット制御とは無関係のロボット動作外処理を行う。このロボット動作外処理とは、例えば、ロボットRを管理するためのデータ作成、メンテナンス情報等の集計、報告等の処理があるが、これらの処理に限定されるものではない。
【0047】
又、安全柵50には、出入口扉92がドアロックがされている否かを検出するドアロック確認器94と接続されている。ドアロック確認器94は、出入口扉92が閉じられているときに、図示しない接点がオン(閉)となり、判定部22にオン信号を入力するようになっている。すなわち、出入口扉92が閉じられているときは、安全柵50内でロボットRの自動運転が行われる(作業者Mによる教示操作は行われない)ものとみなして判定部22にオン信号を入力し、出入口扉92が開いているときは、安全柵50内に作業者Mが侵入して教示操作を行うものとみなして判定部22にオン信号を入力しない。
【0048】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたロボットシステムの作用を図4〜11を参照して説明する。
【0049】
図4は、領域検知判定プログラムに従い判定部22が実行する領域検知判定のフローチャートである。判定部22は、ドアロック確認器94からオン信号が入力されていない際に、判定部22は、S10において、送受信装置40A,40Bから送られてきたデータパケット(受信信号)の有無の確認を行う。すなわち、出入口扉92のドアロックがされている場合には、作動しないようになっている。
【0050】
S10において、データパケット(受信信号)がない場合は、S110に移行する。S110では、タイマがタイムアップするまで、待つ。このタイマは、所定時間カウントする毎にタイムアップしてリセットされ、再度タイマ動作する。本実施形態では、数msec毎にタイムアップするが、このタイマ動作の時間は限定されるものではない。なお、このタイマ動作の周期は、教示操作装置10が続けてデータパケットを送信する周期と同程度が好ましい。
【0051】
S10において、データパケット(受信信号)がある場合は、S20において、判定部22は、経由地情報84に基づいてアンテナ61のデータパケット(受信信号)の送信元データ80のID情報82を解読する。又、次のS30において、判定部22は、経由地情報84に基づいてアンテナ62のデータパケット(受信信号)の送信元データ80のID情報82を解読する。
【0052】
S40では、判定部22は、アンテナ61,アンテナ62が受信した信号(受信信号)の受信信号強度を、それぞれのアンテナが受信したデータパケットの受信信号強度88から読出し、それぞれのデータパケットから固有IDであるID情報82毎に、並べる。
【0053】
すなわち、この場合は、データパケットを送信した教示操作装置10は1つ以上ある場合があり、各教示操作装置10の固有IDであるID情報82毎にそれぞれのアンテナが受信したデータパケットの受信信号強度を並べるのである。
【0054】
次に、S50では、判定部22は、固有IDであるID情報82が同じもの(データパケット)同士で受信信号強度を確認する。
そして、S50において、判定部22は、固有IDであるID情報82が同じデータパケット(受信信号)が、共に判定閾値以上であれば、S70に移行し、判定閾値未満であれぱ、S100で、受信信号を破棄し、S110に移行する。なお、本実施形態では、判定閾値は受信信号強度で60%以上としているがこの数値に限定されるものではない。
【0055】
S70では、判定部22は、S60で判定した各データパケットのTPデータ90を比較する。そして、S80において、判定部22は、S70で比較した結果、TPデータが同じであり、相違しないと判定した場合はS90に移行し、TPデータが相違する場合は、S100で比較した各データパケットを破棄する。
【0056】
S90では、判定部22は、データパケットのTPデータが一致しているため、このTPデータが、ロボット動作に関する動作指令である場合は、ロボット制御部24に該データを送る。又、このTPデータが、動作指令でない場合は、動作外処理部26に該データを送る。この後、判定部22は、S10に戻る。
【0057】
従って、S80において、相違ないと判定されているため、ロボット制御部24又は動作外処理部26では、送られてきたデータパケットに基づいて必要な処理を行う。例えば、教示情報としてのTPデータがロボット制御部24に送られてきたときには、そのTPデータに基づいてロボットRを動作制御する。
【0058】
(受信信号強度について)
ここで、本実施形態の受信信号強度についての考え方について説明する。なお、下記説明の便宜上、図5、図6を参照して、アンテナの受信信号の強度の呼び方を定義する。
【0059】
図5においては、互いに離間して配置された一対の防護柵A,B(安全柵)が設けられているものとし、平面視で四角枠をなす各防護柵A,Bのそれぞれ1つのコーナに、水滴形の領域の受信範囲を有する指向性アンテナA1,B1が設けられているものとする。なお、この場合、使用する指向性アンテナA1,B1は、指向方向とは反対側である後方から届く信号については受信しないものを選択するものとする。
【0060】
又、図6に示すように、アンテナB1が、防護柵B内に位置するB局から受信する信号の強度(受信信号強度)をPower(B→B1)とし、隣の防護柵A内にあるアンテナA1が前記B局から受信する信号の強度(受信信号強度)をPower(B→A1)と表記する。なお、A局、B局は、前記実施形態の教示操作装置10に相当するものである。
【0061】
上記のようにして、受信信号強度の表示を定義した上で、図7に示す事例を考える。図7は、防護柵Aの各コーナに指向性アンテナA1〜A4を設けた場合の説明図である。ここでは、防護柵Aの各コーナに指向性アンテナA1〜A4が配置されているものとし、それぞれの指向性アンテナの指向方向が、防護柵Aの各コーナの対角線上における内方に向かっているものとする。又、指向性アンテナA2、A4は、防護作Aが囲む範囲であって、その受信範囲の一部が図7に示すように重複領域を有するように設定されているものとする。
【0062】
図7では、指向性アンテナA2,A4の受信信号強度が98%以上の範囲については、水滴形のラインで囲んでおり、同図に示すように、98%以上の受信信号強度の範囲の一部を、重複領域としている。なお、信号を送信する教示操作装置であるA局、A’局、B局の信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナA1〜A4が受信できた最大の信号の強度を100%とする。
【0063】
図7に示すように、A局は、指向性アンテナA2,A4の受信信号強度が98%以上となる受信範囲の重複領域に位置する。
又、A’局は、指向性アンテナA2の受信信号強度が98%以上の受信範囲から外れた、79%の受信信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の受信信号強度が98%以上となる受信範囲に位置するものとする。
【0064】
又、B局は、防護柵Aから外れた位置であり、指向性アンテナA2の受信信号強度が75%の受信範囲であって、指向性アンテナA4の受信信号強度が2%の受信範囲(すなわち、指向性アンテナA4の後方)に位置する。
【0065】
この場合、各教示操作装置(A局、A’局、B局)から送信される信号を、指向性アンテナA2,A4で構成されるダイバーシティーアンテナが受信するとき、およそ図7に示すような受信信号強度となる。
【0066】
指向性アンテナA2の各局の受信信号強度
Power(A→A2)=98%
Power(A’→A2)=79%
Power(B→A2)=75%
指向性アンテナA4の各局の受信信号強度
Power(A’→A4)=98%
Power(A→A4)=98%
Power(B→A4)=2%
さて、図8は、図7の事例にさらに、A”局を追加した事例であり、前記フローチャートのS60の判定と関連して説明する。
【0067】
なお、信号を送信する教示操作装置であるA局、A’局、A”局、B局の信号出力を同じとし、その位置をさまざまに変えて、それぞれのアンテナA1〜A4が受信できた最大の信号の強度を100%とする。
【0068】
そして、A”局は、防護柵A内であって、指向性アンテナA2,A4の受信強度が30%の受信範囲に位置するものとする。
この場合、A”局から送信される信号を、アンテナA2,A4で構成されるダイバーシティーアンテナが受信するとき、図8に示すような強度となる。
【0069】
指向性アンテナA2のA”局の受信信号強度
Power(A”→A2)=30%
指向性アンテナA4のA”局の受信信号強度
Power(A”→A4)=30%
図8の例において、例えば、前記実施形態のS60の判定閾値を60%以上の受信信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の受信信号強度の位置、すなわち、重複領域に、A局及びA’局が位置することが判定できる。A局に関しては、受信信号強度が指向性アンテナA2,A4の98%以上となる重複領域に位置したことが判定されたことになる。又、A’局に関しては、指向性アンテナA2の受信信号強度が79%の受信範囲と、指向性アンテナA4の受信信号強度が98%以上となる受信範囲の重複領域に位置することが判定できたことになる。
【0070】
図9は、図8の事例と異なり、指向性アンテナA2,A4の98%以上の受信信号強度の範囲が、防護柵Aで囲む領域を越えており、かつ、防護柵A内に重複領域が存在する場合であり、各教示操作装置(A局、A’局、A”局、B局)の位置は、図7の例と同じ位置であるとする。
【0071】
この場合、
指向性アンテナA2のA”局の受信信号強度
Power(A”→A2)=99%
指向性アンテナA4のA"局の受信信号強度
Power(A”→A4)=99%
になったとする。
【0072】
この図9の例においても、前記実施形態のS60の判定閾値を60%以上の受信信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の受信信号強度の位置、すなわち、重複領域に、A局及びA’局が位置することが判定できる。A局に関しては、受信信号強度が指向性アンテナA2,A4の98%以上となる重複領域にA局が位置したことが判定されたことになる。又、A’局に関しては、指向性アンテナA2の受信信号強度が99%の受信範囲と、指向性アンテナA4の受信信号強度が99%以上となる受信範囲の重複領域にA’局が位置することが判定できたことになる。
【0073】
図10の例では、指向性アンテナA2,A4の受信信号強度が98%以上の範囲については、水滴形のラインで囲んでおり、同図に示すように、98%以上の受信信号強度の範囲に、重複領域がない場合の事例である。
【0074】
この場合、図10に示すように、A局は、指向性アンテナA2,A4の受信信号強度が30%となる受信範囲の重複領域に位置する。
又、A’局は、指向性アンテナA2の受信信号強度が20%受信信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の受信信号強度が99%となる受信範囲に位置するものとする。又、A”局は、指向性アンテナA2の受信信号強度が10%受信信号強度となる位置であって、指向性アンテナA4の受信信号強度が10%となる受信範囲に位置するものとする。又、B局は、防護柵Aから外れた位置であり、指向性アンテナA2の受信信号強度が3%の受信範囲であって、指向性アンテナA4の受信信号強度が2%の受信範囲(すなわち、指向性アンテナA4の後方)に位置する。
【0075】
図10の例において、例えば、前記実施形態のS60の判定閾値を60%以上の受信信号強度とした場合、指向性アンテナA2,A4の受信範囲が所定閾値(判定閾値)以上の受信信号強度の位置、すなわち、重複領域に、A局,A’局,A”局、B局が位置していないことが判定できる。
【0076】
さて、本実施形態によれば、以下のような特徴がある。
(1) 本実施形態のロボットシステムでは、ID情報(固有ID)及びTPデータ(教示情報)を含む信号を無線送信する教示操作装置10(可搬式教示操作装置)を備える。又、ロボットシステムは、受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された2個のアンテナ61,62(指向性アンテナ)と、各アンテナ61,62が、ID情報及びTPデータを含むデータパケット(固有ID受信信号)を受信した際に、この受信信号の受信信号強度を検出する信号強度測定部43(検出手段)を備える。又、ロボットシステムは、前記データパケット(固有ID受信信号)の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する2つのデータパケット(固有ID受信信号)の受信信号強度がそれぞれ重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定する判定部22(判定手段)を備える。
【0077】
そして、ロボットシステムは、判定部22が、同じID情報を有する2つのデータパケット(固有ID受信信号)の受信信号強度がそれぞれ判定閾値以上と判定した場合、同じID情報を有するデータパケット(固有ID受信信号)に含まれるTPデータ(教示情報)に基づいてロボットR(可動機械)を制御するロボット制御装置20(可動機械制御装置)を備えている。
【0078】
この結果、本実施形態のロボットシステムによれば、アンテナ61,62の受信範囲(検知領域)を設定することができ、複数の送信元としての教示操作装置10が存在しても、判定閾値以上の安定した大きさの受信範囲(検知領域)にいずれの教示操作装置10(送信元)が存在しているか否かの判定をすることができる。
【0079】
(2) 本実施形態のロボットシステムでは、2個のアンテナ61,62の受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、ロボットR(可動機械)の動作領域D外に配置されている。
【0080】
この結果、本実施形態のロボットシステムによれば、ロボットRの動作領域D外に、教示操作装置10を位置させた場合に、上記(1)の作用効果を実現でき、教示操作装置10を持つ作業者Mの安全を図ることができる。
【0081】
(3) 本実施形態のロボットシステムによれば、ロボットR(可動機械)が人の出入りを制限する安全柵50(防護柵)内に位置するように配置され、2個のアンテナ61,62の受信範囲における判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、安全柵50(防護柵)内に位置している。この結果、安全柵50(防護柵)内に前記重複領域があるため、安全柵50(防護柵)内においてのみ作業者Mが教示することで、教示する作業者の安全を確保することができる。
【0082】
(4) 本実施形態のロボット制御システムでは、(1)で説明した2個のアンテナ61,62(指向性アンテナ)と、信号強度測定部43(検出手段)と、判定部22(判定手段)と、ロボット制御装置20(可動機械制御装置)を備えている。
【0083】
この結果、このロボット制御システムを使用することにより前記ロボットシステムにおいて、上記(1)の作用効果を容易に実現することができる。
(5)、本実施形態のロボット制御システムでは、2個のアンテナ61,62の受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、ロボットR(可動機械)の動作領域D外に配置されている。この結果、上記(2)と同様の効果を奏する。
【0084】
(6) 本実施形態のロボット制御システムでは、ロボットR(可動機械)が人の出入りを制限する安全柵50(防護柵)内に位置するように配置され、2個のアンテナ61,62の受信範囲における判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、安全柵50(防護柵)内に位置している。この結果、上記(3)の作用効果を容易に実現することができる。
【0085】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前記実施形態では、検出手段としての信号強度測定部43が送受信装置40A,40Bにそれぞれ設けられ、判定手段としての判定部22がロボット制御装置20に設けられていた。この実施形態の構成に代えて、アンテナ61,62の受信信号の受信信号強度をそれぞれ検出する検出手段としての信号強度測定部43を送受信装置40A,40Bから分離するとともに、判定手段としての判定部22をロボット制御装置20から分離して、各指向性アンテナの受信信号の受信信号強度を検出する信号強度測定部43と判定部22とを備える判定装置として構成してもよい。
【0086】
この場合、この判定装置では判定結果として、前記実施形態と同様に固有IDとともに受信したTPデータ(教示情報)を出力するようにする。このTPデータの出力により、ロボット制御装置では、このTPデータに基づいて、ロボットを動作制御することが可能となる。
【0087】
○ 前記実施形態では、判定閾値を60%以上としたが、判定閾値を変更してもよい。例えば、図11の例では、判定閾値を90%以上とした場合である。この場合は、A局のみが指向性アンテナA2,A4の受信信号強度が98%となるため、A局のみが判定閾値以上の重複領域に存在することが判定できることになる。
【0088】
○ 安全柵の平面視形状が円形の場合には、安全柵において、等角度間隔、或いは、不等角度間隔に複数のアンテナを配置してダイバーシティアンテナとしてもよい。
○ 前記実施形態では、アンテナ61,62(ダイバーシティアンテナ)で構成したが、ダイバーシティアンテナの構成は、指向性アンテナが2本に限定されるものではなく、3本以上であってもよい。受信範囲を重ねるために3本や4本であってもよい。この場合、少なくとも一対のアンテナ61の受信範囲の重複領域が判定閾値以上の受信信号強度を持つようにすればよい。
【0089】
例えば、前記実施形態において、安全柵50の平面視で四角の形状のうち、3つのコーナに指向性アンテナを配置して、安全柵50内において、ロボットRの動作領域D外の空間領域に受信範囲を重複させてもよい。又、図12に示すように、安全柵50の4つのコーナに指向性アンテナをそれぞれ設けて、安全柵50内において、ロボットRの動作領域D外の空間領域に受信範囲を重複させてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…教示操作装置(可搬式教示操作装置)、
20…ロボット制御装置、22…判定部(判定手段)、
24…ロボット制御部、40A,40B…送受信装置、
50…安全柵(防護柵)、61,62…アンテナ(指向性アンテナ)、
82…ID情報(固有ID)、90…TPデータ(教示情報)、
D…動作領域、R…ロボット(可動機械)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有ID及び教示情報を含む信号を無線送信する可搬式教示操作装置と、
受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、
各前記指向性アンテナが前記固有ID及び教示情報を含む信号(以下、固有ID受信信号という)を受信した際に、各固有ID受信信号の受信信号強度を検出する検出手段と、
各前記固有ID受信信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ前記重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ判定閾値以上と判定した場合、前記同じ固有IDを有する固有ID受信信号に含まれる教示情報に基づいて可動機械を制御する可動機械制御装置を含むことを特徴とする可動機械システム。
【請求項2】
前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記可動機械の動作領域外に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の可動機械システム。
【請求項3】
前記可動機械が人の出入りを制限する防護柵内に位置するように配置され、
前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲における前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記防護柵内に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可動機械システム。
【請求項4】
受信範囲の一部が互いに重なり合った重複領域を有するように配置された少なくとも2個以上の指向性アンテナと、
各前記指向性アンテナが、固有ID及び教示情報を含む信号(以下、固有ID受信信号という)を受信した際に、各固有ID受信信号の受信信号強度を検出する検出手段と、
各前記固有ID受信信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ前記重複領域において送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有ID受信信号の受信信号強度がそれぞれ判定閾値以上と判定した場合、前記同じ固有IDを有する固有ID受信信号に含まれる教示情報に基づいて可動機械を制御する可動機械制御装置を含むことを特徴とする可動機械制御システム。
【請求項5】
前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲であって、前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記可動機械の動作領域外に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の可動機械制御システム。
【請求項6】
前記可動機械が人の出入りを制限する防護柵内に位置するように配置され、
前記少なくとも2個以上の指向性アンテナの受信範囲における前記判定閾値以上の受信信号強度の重複領域が、前記防護柵内に位置していることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の可動機械制御システム。
【請求項7】
異なる位置に設けられた複数の指向性アンテナを介して固有IDを含む信号を受信した際に、各固有IDを含む信号の受信信号強度を検出する検出手段と、
各前記固有IDを含む信号の受信信号強度のうち、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有IDを含む信号の受信信号強度がそれぞれ前記指向性アンテナの受信範囲の重複領域に送信元が位置したか否かを判定するための判定閾値以上か否かを判定し、同じ固有IDを有する少なくとも2つの固有IDを含む信号の受信信号強度が判定閾値以上の場合は、前記固有IDを含む信号を送信した送信元が、前記複数の指向性アンテナの受信範囲のうち一部が互いに重なり合った重複領域に位置すると判定し、その判定結果を出力する判定手段を有すること特徴とする判定装置。
【請求項8】
前記判定結果が、固有IDとともに受信した可動機械を作動させるための教示情報であることを特徴とする請求項5に記載の判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−228065(P2010−228065A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80230(P2009−80230)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】