説明

台座

【課題】リサイクルを容易にし、かつ、電気素子を保持するために必要な強度を有する台座を提供する。
【解決手段】金属ピン11が、金属ピン貫通穴13に貫通される部分から突起する金属ピン突部を有する。そして、台座本体12が、金属ピン貫通穴13の中心軸を通る面に沿って金属ピン貫通穴を分割するように設けられた第1の分割部16及び第2の分割部17と、第1の分割部16、第2の分割部17を嵌合して第1の分割部16、第2の分割部17同士を固定する分割部嵌合穴が設けられた固定リング18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台座に係り、特に、電気素子が接続される金属ピンと、金属ピン貫通穴に前記金属ピンを貫通して当該金属ピンを支持する台座本体とを備えた台座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した台座として、例えば接触燃焼式ガスセンサを構成するガス検知素子(電気素子)と参照素子(電気素子)とを支持する台座が提案されている(例えば特許文献1、2、3)。この台座は、一端にガス検知素子、参照素子が接続され他端が基板上の電気回路に接続される金属ピンと、金属ピン貫通穴に金属ピンを貫通して当該金属ピンを支持する樹脂製の台座本体とを備えている。
【0003】
金属ピンは、ガス検知素子、参照素子を支持している。このため、金属ピンと台座本体との嵌合が不十分であると、金属ピンの位置が変動する。この金属ピンの位置変動により、ガス検知素子、参照素子自体を破壊してセンサとしての機能を失ってしまうことがある。そこで、通常、金属ピンの台座本体への固定は、金属ピンの一部にローレット等の加工を施したものを台座本体の金属ピン貫通穴に圧入したり、金属ピンと台座本体とを一体モールドして、強固に嵌合させる方法を取るのが一般的である。
【特許文献1】特開平7−43333号公報
【特許文献2】特開昭54−133892号公報
【特許文献3】実公昭50−23355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサが不要となったときに、ガス検知素子や参照素子を取り除いて台座を再利用することがある。この場合、ガス検知素子や参照素子の出力は微弱な電流であるため、金属ピンに残留するガス検知素子や参照素子の材料の溶接痕や、金属ピンに形成された表面酸化膜などを取り除いて使用する必要がある。この方法として、金属ピンへの薬液処理やブラスト処理などが考えられる。ところが、金属ピンと台座本体との分解が容易ではない従来の台座では、金属ピンのみに上記処理を施せないため、台座本体の形状が変化するなどの弊害が生じる。
【0005】
このため、不要となったセンサの台座本体は廃棄され、新品の台座本体を使用することとなる。また、廃棄時には金属ピンと樹脂製の台座本体との混合物として廃棄されるため、リサイクルが容易ではないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、リサイクルを容易にし、かつ、電気素子を保持するために必要な強度を有する台座を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、電気素子が接続される金属ピンと、金属ピン貫通穴に前記金属ピンを貫通して当該金属ピンを支持する台座本体とを備えた台座において、前記金属ピンが、前記金属ピン貫通穴に貫通される部分から突起する金属ピン突部を有し、そして、前記台座本体が、前記金属ピン貫通穴の中心軸を通る面に沿って前記金属ピン貫通穴を分割するように設けられた複数の分割部と、前記複数の分割部を嵌合して当該複数の分割部同士を固定する分割部嵌合穴が設けられた固定部とを有することを特徴とする台座に存する。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、金属ピンが、金属ピン貫通穴に貫通される部分から突起する金属ピン突部を有し、そして、台座本体が、金属ピン貫通穴の中心軸を通る面に沿って金属ピン貫通穴を分割するように設けられた複数の分割部と、複数の分割部を嵌合して当該複数の分割部同士を固定する分割部嵌合穴が設けられた固定部とを有する。以上の構成によれば、金属ピン突部により金属ピンが金属ピン貫通穴内で回転することがなく、金属ピンの位置が変動することがない。また、電気素子が不要となった場合には、金属ピンから電気素子を除去した後、固定部を取り外すことによって分割部が分離する。分割部が分離されると、金属ピンは容易に除去できるため、金属ピンと台座本体それぞれに適応した洗浄処理が容易となり、台座の繰り返しの使用が可能となる。また、廃棄する場合にも金属ピンと台座本体とを分離して廃棄することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記分割部が、前記金属ピン突部の突出方向と平行な面に沿って前記金属ピン貫通穴を分割するように設けられたことを特徴とする請求項1記載の台座に存する。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、分割部が、金属ピン突部の突出方向と平行な面に沿って金属ピン貫通穴を分割するように設けられているので、金属ピンの台座本体への取り付け作業、台座本体から金属ピンの取り除き作業が容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記複数の分割部が、前記固定部に向かって突起する分割部突部を有し、そして、前記固定部が、前記分割部突部と嵌合する嵌合穴を有することを特徴とする請求項1又は2記載の台座に存する。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、複数の分割部が、固定部に向かって突起する分割部突部を有し、そして、固定部が、分割部突部と嵌合する嵌合穴を有する。従って、分割部突部、嵌合穴により、固定部内で複数の分割部が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定部が緩まないようにすることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記電気素子が、2つの電気素子から構成され、そして、前記分割部が、一方の前記電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第1の凹部が形成された第1の分割部と、他方の前記電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第2の凹部が形成された第2の分割部と、前記第1の凹部と重なって前記一方の電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第3の凹部及び前記第2の凹部と重なって前記他方の電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第4の凹部が形成された第3の分割部とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の台座に存する。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、分割部が、一方の電気素子に対する金属ピン貫通穴を構成する第1の凹部が形成された第1の分割部と、他方の電気素子に対する金属ピン貫通穴を構成する第2の凹部が形成された第2の分割部と、第1の凹部と重なって一方の電気素子に対する金属ピン貫通穴を構成する第3の凹部及び第2の凹部と重なって他方の電気素子に対する金属ピン貫通穴を構成する第4の凹部が形成された第3の分割部とを有するので、2つの電気素子に対応する金属ピンを設けた場合でも、金属ピンの台座本体への取り付け作業、台座本体から金属ピンの取り除き作業を容易にすることができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記2つの電気素子が種類の異なる電気素子から構成され、そして、前記第1の分割部と前記第2の分割部との何れか一方が、前記固定部に向かって突起する分割部突部を有し、前記固定部が、前記分割部突部と嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項4記載の台座に存する。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、2つの電気素子が種類の異なる電気素子から構成され、そして、第1の分割部と第2の分割部との何れか一方が、固定部に向かって突起する分割部突部を有し、固定部が、分割部突部と嵌合する嵌合部を有する。従って、分割部突部、嵌合穴により、固定部内で複数の分割部が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定部が緩まないようにすることができる。しかも、分割部突部によって2つの電気素子を識別することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、金属ピン突部により金属ピンが金属ピン貫通穴内で回転することがなく、金属ピンの位置が変動することがない。また、電気素子が不要となった場合には、金属ピンから電気素子を除去した後、固定部を取り外すことによって分割部が分離する。分割部が分離されると、金属ピンは容易に除去できるため、金属ピンと台座本体それぞれに適応した洗浄処理が容易となり、台座の繰り返しの使用が可能となる。また、廃棄する場合にも金属ピンと台座本体とを分離して廃棄することができるので、リサイクルを容易にし、かつ、電気素子を保持するために必要な強度を有する。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、金属ピンの台座本体への取り付け作業、台座本体から金属ピンの取り除き作業が容易となるので、より一層リサイクルを容易にすることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、分割部突部、嵌合穴により、固定部内で複数の分割部が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定部が緩まないようにすることができるので、分割部の固定をより強固にすることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、2つの電気素子に対応する金属ピンを設けた場合でも、金属ピンの台座本体への取り付け作業、台座本体から金属ピンの取り除き作業を容易にすることができるので、より一層リサイクルを容易にすることができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、分割部突部、嵌合穴により、固定部内で複数の分割部が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定部が緩まないようにすることができ、分割部の固定をより強固にすることができる。しかも、分割部突部によって2つの電気素子を識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1(A)〜(C)は、第1実施形態における本発明の台座を示す上面図、正面図及び側面図である。図2(A)〜(C)は、図1の台座を構成する金属ピンの正面図、上面図及び側面図である。図3(A)〜(C)は、図1の台座を構成する第1の分割部の上面図、正面図及び側面図である。図4は、図3に示す第1の分割部のA−A線断面図である。図5は、図3に示す第1の分割部のB−B線断面図である。図6は、図1の台座を構成する第2の分割部の上面図である。図7(A)〜(C)は、図1の台座を構成する固定リングの上面図、正面図及び側面図である。図8は、図7に示す固定リングのC−C線断面図である。
【0023】
図1に示すように、台座10は、金属ピン11と、樹脂製の台座本体12とを備えている。金属ピン11は、一対設けられている。一対の金属ピン11の一端には、それぞれ電気素子としての接触燃焼式のガス検知素子Rsの両端がそれぞれ接続されている。ガス検知素子Rsは、検知対象ガスと接触燃焼して温度が変化すると抵抗値が変化する電気素子である。一対の金属ピン11の他端は、基板上に設けた電気回路に接続される。
【0024】
台座本体12は、一対の金属ピン貫通穴13に一対の金属ピン11を貫通してその金属ピン11を支持する。金属ピン11は、図2に示すように、円軸状の軸部14と、一対の金属ピン突部15とを有している。金属ピン突部15は、軸部14の金属ピン貫通穴13に貫通される部分から突起している。金属ピン突部15は、平潰し状に設けられ、軸部14の径方向に突起するように設けられている。一対の金属ピン突部15は、互いに成す角度が180°になるように設けられている。
【0025】
また、台座本体12は、第1の分割部16と、第2の分割部17と、固定部としての固定リング18とを備えている。第1の分割部16及び第2の分割部17は、金属ピン貫通穴13の中心軸C(図3)を通り、かつ上記金属ピン突部15の突出方向Y1(図2及び図3)と平行な面に沿って金属ピン貫通穴13を2分割するように設けられている。
【0026】
第1の分割部16は、図3〜図5に示すように、金属ピン貫通穴13を構成する凹部である一対の座繰り部19が形成されている。第2の分割部17は、図6に示すように、一対の座繰り部19と重なって金属ピン貫通穴13を構成する凹部である一対の座繰り部20が形成されている。
【0027】
また、第1の分割部16は、図3に示すように、座繰り部19を挟んだ一方側に第2の分割部17に向かって突起する位置決め突部21が設けられている。第1の分割部16は、座繰り部19を挟んだ他方側に第2の分割部17から離れる方向に凹んだ位置決め凹部22が設けられている。
【0028】
一方、第2の分割部17は、図6に示すように、座繰り部20を挟んだ一方側に第1の分割部16から離れる方向に凹んだ位置決め凹部23が設けられている。第2の分割部17は、座繰り部20を挟んだ他方側に第1の分割部16に向かって突起する位置決め突部24が設けられている。
【0029】
上述した第1の分割部16の位置決め突部21を第2の分割部17の位置決め凹部23に嵌め込み、第2の分割部17の位置決め突部24を第1の分割部16の位置決め凹部22に嵌め込むように、第1の分割部16と第2の分割部17とを重ねると、座繰り部19と座繰り部20とが重なって金属ピン貫通穴13が形成される。また、第1の分割部16及び第2の分割部17は、互いに重なると下側に向かうに従って径が大きくなる円盤状になるように設けられている。
【0030】
上述した固定リング18は、図7及び図8に示すように、第1の分割部16及び第2の分割部17を嵌合する分割部嵌合穴25が設けられている。固定リング18は、下側に向かうに従って分割部嵌合穴25の径が大きくなるように設けられている。固定リング18は、第1の分割部16及び第2の分割部17を分割部嵌合穴25内に嵌合して、第1の分割部16及び第2の分割部17同士を固定している。
【0031】
また、上述した第2の分割部17は、固定リング18に向かって突起する分割部突部26を有している。この分割部突部26は、第2の分割部17の下端に設けられている。固定リング18は、この分割部突部26と嵌合する嵌合穴27を有している。この嵌合穴27は、固定リング18の下端に設けられている。
【0032】
次に、上述した構成の台座10の組立作業について説明する。まず、第1の分割部16及び第2の分割部17の何れか一方の座繰り部19、20に金属ピン11を嵌め込む。この状態で、第1の分割部16の位置決め突部21を第2の分割部17の位置決め凹部23に嵌め込み、第2の分割部17の位置決め突部24を第1の分割部16の位置決め凹部22に嵌め込むように、第1の分割部16と第2の分割部17とを重ねると、座繰り部19と座繰り部20とが重なって形成される金属ピン貫通穴13に金属ピン11が貫通する。
【0033】
次に、上側から第2の分割部17の分割部突部26を固定リング18の嵌合穴27に嵌合させるように、第1の分割部16及び第2の分割部17を固定リング18の分割部嵌合穴25に嵌合させて、第1の分割部16及び第2の分割部17を強固に固定させる。その後、金属ピン11の一端にガス検知素子Rsを取り付ける。
【0034】
次に、上述した構成の台座10の分解作業について説明する。第1の分割部16、第2の分割部17から固定リング18を取り外す。その後、第1の分割部16と第2の分割部17とを分離して、金属ピン11を取り外す。
【0035】
上述した台座10によれば、金属ピン11が、金属ピン貫通穴13に貫通される部分から突起する金属ピン突部15を有し、そして、台座本体12が、金属ピン貫通穴13の中心軸Cを通る面に沿って金属ピン貫通穴13を2分割するように設けられた第1の分割部16、第2の分割部17と、分割部嵌合穴25に第1の分割部16及び第2の分割部17を嵌合して第1の分割部16、第2の分割部17同士を固定する固定リング18とを有する。
【0036】
以上の構成によれば、金属ピン突部15により金属ピン11が金属ピン貫通穴13内で回転することがなく、金属ピン11の位置が変動することがなく、ガス検知素子Rsを保持するために必要な強度を持たせることができる。また、ガス検知素子Rsが不要となった場合には、金属ピン11からガス検知素子Rsを除去した後、固定リング18を取り外すことによって第1の分割部16、第2の分割部17が分離する。第1の分割部16、第2の分割部17が分離されると、金属ピン11を容易に除去できるため、金属ピン11と樹脂製の台座本体12それぞれに適応した洗浄処理が容易となり、台座10の繰り返しの使用が可能となる。また、廃棄する場合にも金属ピン11と台座本体12とを分離して廃棄することができるので、リサイクルを容易にする。
【0037】
また、上述した台座10によれば、第1の分割部16、第2の分割部17が、金属ピン突部15の突出方向Y1と平行な面に沿って分割するように設けられているので、金属ピン11の台座本体12への取り付け作業、台座本体12から金属ピン11の取り除き作業が容易となるので、より一層リサイクルを容易にすることができる。
【0038】
また、上述した台座10によれば、第2の分割部17が、固定リング18に向かって突起する分割部突部26を有し、そして、固定リング18が、分割部突部26と嵌合する嵌合穴27を有する。従って、分割部突部26、嵌合穴27により、固定リング18内で第1の分割部16、第2の分割部17が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定リング18が緩まないようにすることができ、第1の分割部16、第2の分割部17の固定をより強固にすることができる。
【0039】
なお、第1実施形態では、第2の分割部17に分割部突部26が設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、第1の分割部16に分割部突部26を設けてもよいし、第1の分割部16と第2の分割部17との両方に設けてもよい。
【0040】
第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。図9(A)〜(C)は、第2実施形態における本発明の台座を示す正面図、上面図及び側面図である。図10(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第1の分割部の上面図及び正面図である。図11(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第2の分割部の上面図及び正面図である。図12(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第3の分割部の上面図及び正面図である。なお、図9〜図12において、図1〜図8について上述した第1実施形態ですでに説明したものと同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
図1に示すように、台座10は、金属ピン11と、樹脂製の台座本体12とを備えている。金属ピン11は、二対設けられている。二対の金属ピン11のうち一方には、その一端に電気素子としての接触燃焼式のガス検知素子Rsの両端が接続されている。ガス検知素子Rsは、検知対象ガスと接触燃焼して温度が変化すると抵抗値が変化する電気素子である。
【0042】
二対の金属ピン11のうち他方には、その一端に電気素子としての参照素子Rrefの両端が接続されている。参照素子Rrefは、ガス検知素子Rsが検知対象ガスと接触燃焼していないときの抵抗値と等しい抵抗値となる電気素子である。二対の金属ピン11の他端は、基板上に設けた電気回路に接続される。
【0043】
台座本体12は、二対の金属ピン貫通穴13に二対の金属ピン11を貫通してその金属ピン11を支持する。金属ピン11は、第1実施形態と同様で図2に示すように、円軸状の軸部14と、一対の金属ピン突部15とを有している。
【0044】
また、台座本体12は、第1の分割部31と、第2の分割部32と、第3の分割部33と、固定部としての固定リング18とを備えている。第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33は、金属ピン貫通穴13の中心軸C(図10及び図12)を通り、かつ上記金属ピン突部15の突出方向Y1(図10及び図12)と平行な面に沿って金属ピン貫通穴13を2分割するように設けられている。
【0045】
第1の分割部31は、図10に示すように、参照素子Rrefに対する金属ピン貫通穴13を構成する第1の凹部としての座繰り部34が形成されている。第2の分割部32は、図11に示すように、ガス検知素子Rsに対する金属ピン貫通穴13を構成する第2の凹部としての座繰り部35が形成されている。第3の分割部33は、図12に示すように、座繰り部34と重なって金属ピン貫通穴13を構成する第3の凹部としての座繰り部36及び座繰り部35と重なって金属ピン貫通穴13を構成する第4の凹部としての座繰り部37が形成されている。
【0046】
また、第1の分割部31は、図10に示すように、座繰り部34を挟んだ両側に第3の分割部33に向かって突起する位置決め突部38が設けられている。第2の分割部32は、図11に示すように、座繰り部35を挟んだ両側に第3の分割部33に向かって突起する位置決め突部39が設けられている。これに対して、第3の分割部33は、図12に示すように、座繰り部36を挟んだ両側に第1の分割部31から離れる方向に凹んだ位置決め凹部40が設けられている。第3の分割部33は、座繰り部37を挟んだ両側に第2の分割部32から離れる方向に凹んだ位置決め凹部41が設けられている。
【0047】
上述した第1の分割部31の位置決め突部38を第3の分割部33の位置決め凹部40に嵌め込み、第2の分割部32の位置決め突部39を第3の分割部33の位置決め凹部41に嵌め込むように、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を重ねると、座繰り部34と座繰り部36とが重なって参照素子Rrefに対する金属ピン貫通穴13が形成され、座繰り部35と座繰り部37とが重なってガス検知素子Rsに対する金属ピン貫通穴13が形成される。また、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33は、互いに重なると下側に向かうに従って径が大きくなる円盤状になるように設けられる。
【0048】
上述した固定リング18は、第1実施形態と同様に図9に示すように、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を嵌合する分割部嵌合穴25が設けられている。固定リング18は、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を分割部嵌合穴25内に嵌合して、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を固定している。
【0049】
また、上述した第2の分割部32は、固定リング18に向かって突起する分割部突部26を有している。この分割部突部26は、第2の分割部32の下端に設けられている。固定リング18は、この分割部突部26と嵌合する嵌合穴27を有している。この嵌合穴27は、固定リング18の下端に設けられている。また、第3の分割部33には、ガス検知素子Rsと参照素子Rrefとが相互の熱の影響を受けないための遮蔽板42が設けられている。
【0050】
次に、上述した構成の台座10の組立作業について説明する。まず、第1の分割部31及び第3の分割部33の何れか一方の座繰り部34、36に金属ピン11を嵌め込む。この状態で、第1の分割部31の位置決め突部38を第3の分割部33の位置決め凹部40に嵌め込むように、第1の分割部31と第3の分割部33とを重ねると、座繰り部34と座繰り部36とが重なって形成される金属ピン貫通穴13に金属ピン11が貫通する。
【0051】
同様に、第2の分割部32及び第3の分割部33の何れか一方の座繰り部35、37に金属ピン11を嵌め込む。この状態で、第2の分割部32の位置決め突部39を第3の分割部33の位置決め凹部41に嵌め込むように、第2の分割部32と第3の分割部33とを重ねると、座繰り部35と座繰り部37とが重なって形成される金属ピン貫通穴13に金属ピン11が貫通する。
【0052】
次に、第2の分割部32の分割部突部26を固定リング18の嵌合穴27に嵌合させるように、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を固定リング18の分割部嵌合穴25に嵌合させて、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33を強固に固定させる。その後、分割部突部26側の金属ピン11にガス検知素子Rsを取り付ける。分割部突部26と反対側の金属ピン11に参照素子Rrefを取り付ける。
【0053】
次に、上述した構成の台座10の分解作業について説明する。第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33から固定リング18を取り外す。その後、第1の分割部31、第2の分割部32及び第3の分割部33とを分離して、金属ピン11を取り外す。
【0054】
上述した第2実施形態の台座10によれば、第1実施形態と同様にリサイクルを容易にし、かつ、ガス検知素子Rsを保持するために必要な強度を持たせることができる。
【0055】
また、第2実施形態の台座10によれば、第1の分割部31と、第2の分割部32と、第3の分割部33とを有するので、2つの電気素子であるガス検知素子Rs、参照素子Rrefに対応する金属ピン11を設けた場合でも、金属ピン11の台座本体12への取り付け作業、台座本体12から金属ピン11の取り除き作業を容易にすることができ、より一層リサイクルが容易となる。
【0056】
また、第2実施形態の台座10によれば、電気素子が種類の異なるガス検知素子Rs、参照素子Rrefから構成され、そして、第2分割部32が、固定リング18に向かって突起する分割部突部26を有し、固定リング18が、分割部突部26と嵌合する嵌合部27を有する。従って、分割部突部26、嵌合穴27により、固定リング18内で第1、第2、第3の分割部31、32、33が回転するのを防止し、回転方向の応力で固定リング18が緩まないようにすることができ、第1、第2、第3の分割部31、32、33の固定をより強固にすることができる。しかも、分割部突部26によってガス検知素子Rs、参照素子Rrefを識別することができる。
【0057】
なお、第2実施形態では、第2の分割部32に分割部突部26が設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。分割部突部26は、第1の分割部31、第2の分割部32の何れか一方に設けていればよく、例えば第1の分割部31に設けていてもよい。
【0058】
また、第1及び第2実施形態では、電気素子としてガス検知素子Rs、参照素子Rrefを用いていたが本発明はこれに限ったものではなく、電気素子であれば何でもよい。
【0059】
また、第1及び第2実施形態では、金属ピン突部15は平潰し形状であったが、本発明はこれに限ったものではない。金属ピン突部15としては、金属ピン貫通穴13に貫通される部分に突起して設けられていればどんな形状であってもよい。
【0060】
また、第1及び第2実施形態では、分割部が、金属ピン突部15の突出方向Y1と平行な面に沿って金属ピン貫通穴13を分割するように設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、分割部が、金属ピン突部15の突出方向Y1と垂直な面に沿って金属ピン貫通穴13を分割するように設けてもよい。
【0061】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(A)〜(C)は、第1実施形態における本発明の台座を示す上面図、正面図及び側面図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1に示す金属ピンの正面図、上面図及び側面図である。
【図3】(A)〜(C)は、図1の台座を構成する第1の分割部の上面図、正面図及び側面図である。
【図4】図3に示す第1の分割部のA−A線断面図である。
【図5】図3に示す第1の分割部のB−B線断面図である。
【図6】図1の台座を構成する第2の分割部の上面図である。
【図7】(A)〜(C)は、図1の台座を構成する固定リングの上面図、正面図及び側面図である。
【図8】図7に示す固定リングのC−C線断面図である。
【図9】(A)〜(C)は、第2実施形態における本発明の台座を示す正面図、上面図及び側面図である。
【図10】(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第1の分割部の上面図及び正面図である。
【図11】(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第2の分割部の上面図及び正面図である。
【図12】(A)及び(B)は、図9の台座を構成する第3の分割部の上面図及び正面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 台座
11 金属ピン
12 台座本体
13 金属ピン貫通穴
15 金属ピン突部
16 第1の分割部(分割部)
17 第2の分割部(分割部)
18 固定リング(固定部)
25 分割部嵌合穴
26 分割部突部
27 嵌合穴
31 第1の分割部(分割部)
32 第2の分割部(分割部)
33 第3の分割部(分割部)
34 座繰り部(第1の凹部)
35 座繰り部(第2の凹部)
36 座繰り部(第3の凹部)
37 座繰り部(第4の凹部)
Rs ガス検知素子(電気素子)
Y1 突出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気素子が接続される金属ピンと、金属ピン貫通穴に前記金属ピンを貫通して当該金属ピンを支持する台座本体とを備えた台座において、
前記金属ピンが、前記金属ピン貫通穴に貫通される部分から突起する金属ピン突部を有し、そして、
前記台座本体が、前記金属ピン貫通穴の中心軸を通る面に沿って前記金属ピン貫通穴を分割するように設けられた複数の分割部と、前記複数の分割部を嵌合して当該複数の分割部同士を固定する分割部嵌合穴が設けられた固定部とを有することを特徴とする台座。
【請求項2】
前記分割部が、前記金属ピン突部の突出方向と平行な面に沿って前記金属ピン貫通穴を分割するように設けられたことを特徴とする請求項1記載の台座。
【請求項3】
前記複数の分割部が、前記固定部に向かって突起する分割部突部を有し、そして、
前記固定部が、前記分割部突部と嵌合する嵌合穴を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の台座。
【請求項4】
前記電気素子が、2つの電気素子から構成され、そして、
前記分割部が、一方の前記電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第1の凹部が形成された第1の分割部と、他方の前記電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第2の凹部が形成された第2の分割部と、前記第1の凹部と重なって前記一方の電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第3の凹部及び前記第2の凹部と重なって前記他方の電気素子に対する前記金属ピン貫通穴を構成する第4の凹部が形成された第3の分割部とを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の台座。
【請求項5】
前記2つの電気素子が種類の異なる電気素子から構成され、そして、
前記第1の分割部と前記第2の分割部との何れか一方が、前記固定部に向かって突起する分割部突部を有し、
前記固定部が、前記分割部突部と嵌合する嵌合部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の台座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−70129(P2008−70129A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246489(P2006−246489)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】