説明

吹錬中におけるスラグの採取方法

【課題】吹錬の前半において吹錬を中断することなく、又、サンプラープローブ11を未滓化のCaOなどによって破損することを防止しながらスラグSを採取することができるようにする。
【解決手段】本発明の吹錬中におけるスラグの採取方法では、スラグSを採取する採取部12を備えたサンプラープローブ11を用いて、吹錬中の転炉からスラグを採取するに際しては、転炉1への副原料の供給量の合計を20kg/t以上としたうえで、吹錬に要する時間の前半50%に達するまでに、サンプラープローブ11の下端を湯面9aより上方とすると共にサンプラープローブ11の採取部12を、H<a/(0.0065A)を満たすように位置の設定をする。Hは湯面9aから採取部12の下端までの設定高さ(m)、aは副原料の供給量の合計(t)、Aは転炉1の胴部5におけるパーマ煉瓦内の断面積(m)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹錬中におけるスラグの採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高炉から出銑した溶銑に対して溶銑予備処理を行った後、りんを低減させる脱りん処理や炭素を低減させる脱炭処理などを行っている。これら脱りん処理、脱炭処理は転炉で行われ、精錬処理中には転炉内にスラグ(精錬スラグ)が生成されることになる。このスラグを転炉から採取するために、様々な採取装置(プローブ)やスラグの採取方法が開発されている。
【0003】
特許文献1には、紙管の先端に溶融金属試料を採取するための採取容器を配置し、該採取容器の上方に鉱滓を付着させるために表面を粗面とした金属体を配置した鉱滓採取装置が開示されている。
特許文献2では、酸素転炉の吹錬中、転炉々口の上部より転炉内の溶融スラグ層へ、プローブを浸漬して該プローブ内にスラグを流入させている。
【0004】
スラグの採取技術としては、その他にも特許文献3〜12に示すようなものが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−304669号公報
【特許文献2】特公昭60−035409号公報
【特許文献3】特開2007−077503号公報
【特許文献4】実公昭57−050590号公報
【特許文献5】実開昭56−069650号公報
【特許文献6】特許第4071925号公報
【特許文献7】特公昭60−035409号公報
【特許文献8】登実03011699号公報
【特許文献9】特開昭53−126995号公報
【特許文献10】特開昭55−125216号公報
【特許文献11】特開昭54−099026号公報
【特許文献12】特公平05−088781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の如く、特許文献1〜12に示すように、スラグを採取する採取装置(プローブ)についての技術が数多く開発されている。
しかしながら、これら特許文献1〜12では、溶銑処理中すなわち吹錬中にスラグを採取することに関しては詳細に述べられておらず、これらの技術を用いても吹錬中にスラグを採取することが困難であると思われる。即ち、吹錬中にスラグを確実に採取するという技術は未だ開発されていないのが実情であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、吹錬中であってもスラグを確実に採取することができるスラグの採取方法、特に、吹錬の前半において吹錬を中断することなくスラグを確実に採取することができる吹錬中におけるスラグの採取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、スラグを採取する採取部を備えたサンプラープローブを用いて、吹錬中の転炉からスラグを採取するに際しては、前記転炉への副原料の供給量の合計を20kg/t以上としたうえで、前記吹錬に要する時間の前半50%に達するまでに、前記サンプラープローブの下端を湯面より上方とすると共に前記サンプラープローブの採取部を式(1)を満たす位置にして、スラグを採取することを特徴とする。
【0009】
H<a/(0.0065A) ・・・(1)
ただし、
H:湯面から採取部の下端までの設定高さ(m)
a:副原料の供給量の合計(t)
A:転炉の胴部におけるパーマレンガ内の断面積(m
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吹錬中であっても転炉内からスラグを確実に採取することができる。特に、吹錬の前半において吹錬を中断することなく、又、サンプラープローブを未滓化のCaOなどによって破損することを防止しながらスラグを採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】転炉の全体図である。
【図2】サンプラープローブの全体図である。
【図3】各パラメータの説明図である。
【図4】サンプラープローブの平面視での位置を示す図である。
【図5】a/Aと、スラグ採取部の停止位置(設定高さ)、スラグ採取の有無との関係を示した図である。
【図6】スラグの採取前と、スラグの採取後を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
本発明に係るスラグの採取方法は、転炉にて吹錬を行いつつ吹錬中に生成されたスラグを採取する方法であって、特に、スラグの未滓化が比較的多い吹錬の前半(吹錬時間全体50%以内)において、確実にスラグを採取することができるスラグの採取方法である。
図1は、本発明のスラグの採取方法を適用する転炉の全体図である。まず、この転炉について説明する。
【0013】
転炉1は、大別して、容器本体を構成する鉄皮2と、この鉄皮2に施工された複数の耐火物3とを備えている。鉄皮2は、有底で筒状に形成されていて、底壁部4と、底壁部4から立ち上がる胴部5とを備えている。鉄皮2の胴部5には、溶湯を出湯するための出湯口6が形成され、鉄皮2の底壁部4には、ガスを吹き込む吹き込み口7が形成されている。
【0014】
鉄皮2の底壁部4の内面側(稼働面側)及び胴部5の稼働面には、耐火物3であるパーマ煉瓦3aが設けられ、このパーマ煉瓦3aの稼働面には耐火物3であるワーク煉瓦3bが設けられている。出湯口6の稼働面や吹き込み口7の稼働面も、耐火物3によって覆われている。この転炉1には、溶銑や溶鋼が装入されるが、説明の便宜上、これら溶銑や溶鋼のことをまとめて溶湯という。
【0015】
このような転炉1にて精錬処理を行うにあたっては、転炉1の炉口8から溶湯9を装入すると共にCaO(生石灰)などの副原料を添加する。転炉1を垂直の状態(起立状態)にして、転炉1の炉口8に酸素を吹き込む吹き込みランス10を挿入して、吹き込みランス10から酸素を吹き込んで吹錬を行う。
この精錬処理では、副原料の供給量の合計は、20kg/t以上としている。この副原料は、スラグSの滓化に関連する物質のことであって、副原料の供給量とは装入成分のうち鉄、酸化鉄を除いた供給量のことである。転炉1に供給した鉄、酸化鉄分は、ここで規定した副原料(20kg/t以上)には含まれない。
【0016】
副原料の供給量が20kg/t未満である場合、スラグの滓化性が悪く(溶融スラグが少なく)、十分に精錬処理を行うことができないばかりか、スラグを採取することができないため、精錬処理の条件として副原料の供給量は20kg/t以上としている。なお、転炉1にて行う精錬処理は、脱りん処理や脱炭処理などであるが、精錬処理はこれに限定されない。
【0017】
図2は、スラグを採取するサンプラープローブを示したものである。このサンプラープローブについて説明する。
図2に示すように、サンプラープローブ11は、棒状又は筒状に形成されたもので、長手方向中途部にスラグSを採取する採取部12が形成されている。
この採取部12は、表面を凹凸状とすることによって構成されたもので、この実施形態では、棒状又は筒状となっているプローブ本体13の外周に、軸方向に凹凸とされた鋼性の外套体(円筒体)を嵌め込むによって凹凸状の採取部12を構成している。この採取部12の長さL1は、100mm以上とされていて、この実施形態では、採取部12の長さL1は140mmに設定されている。採取部12の端部(下端部)からプローブ本体13の端部(下端部)までの長さL2は、例えば、1290mmとされている。なお、長さL2はこれに限定されない。また、採取部12は、例えば、特開平11−304669号公報や特開2007−77503号公報に記載されているような凹凸状であればよい。
【0018】
さて、図3に示すように、スラグSを採取するに際しては、まず、フォーミングしたスラグSの高さ(フォーミング高さ)Hsを予め式(2)などにより求める。
そして、式(2)で求めたフォーミング高さHsに基づいて、サンプラープローブ11がフォーミングしたスラグSに浸漬するように当該サンプラープローブ11の位置を設定し、このサンプラープローブ11をフォーミングしたスラグSに浸漬させることによって、スラグSを採取することができると考えられる。なお、式(2)では、スラグSの密度は固体、溶体であっても実質的に差が余りないため密度を一定とて仮定している。
【0019】
Hs=Ws/ρs/AL ・・・・(2)
式(2)において、Wsはスラグ重量(t)であり、ρsはスラグ密度(t/m)であり、ALは転炉1の断面積(m)である。
しかしながら、式(2)に示すように、スラグ密度ρsを一定と仮定してフォーミング高さHsを求めようとしたとしても、吹錬中でのスラグSの密度ρsは不明であって、吹錬中の実際の値を入力することができないのが実情である。また、スラグSの密度ρsを推定して、式(2)によってフォーミング高さHsを求めたとしても、式(2)で求めたフォーミング高さHsと、実操業でのフォーミング高さとが異なり、確実にスラグSを採取することができない可能性もある。
【0020】
そこで、本発明では、スラグSの採取のために、式(2)に示すようにフォーミング高さHsを、スラグ密度ρsを考慮して直接的に求めるのではなく、別の指標でスラグSを採取するためのサンプラープローブ11の高さ(サンプラープローブ11の停止位置)を設定して、このサンプラープローブ11にてスラグSを採取するものとしている。
具体的には、スラグSを採取する採取部12を備えたサンプラープローブ11を、式(1)を満たす位置で停止してスラグSを採取することとしている。
【0021】
H<a/(0.0065A) ・・・(1)
図3に示すように、式(1)における「H」は、湯面9aから採取部12の下端までの設定高さ(m)であって、言い換えれば、吹錬の開始前であって溶湯9が静止している状態での溶湯9の湯面9aから採取部12の先端(採取部12の下端)までの垂直距離である。このように、式(1)で示したサンプラープローブ11の設定高さHは、吹錬前の高さを規定したものであり、本発明では、後述するように、吹錬前の高さHに基づいて、吹錬中におけるサンプラープローブ11の位置を設定することとしている。
【0022】
また、図4に示すように、式(1)における「A」は、転炉1の胴部5におけるパーマ煉瓦内の断面積(m)であって、言い換えれば、転炉1の胴部5を水平に断面したとき、パーマ煉瓦3aで囲まれる面積のことである。パーマ煉瓦3aは、ワーク煉瓦3bの径外側に位置していて、精錬を行ったとしても、溶湯9が触れることがない部分である。つまり、精錬を繰り返し行ったとしてもパーマ煉瓦内の断面積は変化することがなく、精錬によって溶湯9が触れて溶損が進みチャージ毎に変化してしまうワーク煉瓦3b内の断面積を用いた場合に比べて、式(1)の右辺の値(高さ設定上限値)を変動の少ない安定した値(一定の値)とすることが可能であり、サンプラープローブ11の位置の管理が行い易い。また、パーマ煉瓦内の断面積を用いた場合、式(1)の高さ設定上限値を求めるために、ワーク煉瓦3bの溶損度合いを精錬毎にわざわざ測定したり推定する必要がなく、この点からもサンプラープローブ11の位置の管理が行い易い。
【0023】
加えて、式(1)における「a」は、上述した副原料の供給量の合計と同じであり、上述したように20kg/t以上となる。
以上、本発明では、まず、鉄分以外を除く副原料の供給量の合計aと、転炉1の胴部5におけるパーマ煉瓦内の断面積Aとから、式(1)の右辺の値(高さ設定上限値)を予め求める(高さ上限算出工程)。また、湯面9aから採取部12の下端までの設定高さH(湯面9aが静止している状態での高さ)が高さ設定上限値を下回る、即ち、式(1)を満たすサンプラープローブ11の位置を決定しておく(高さ決定工程)。
【0024】
なお、高さ決定工程では、吹錬前の湯面9aから採取部12の下端までの設定高さHを基に、吹錬中におけるサンプラープローブ11の位置を決定しているが、吹錬中の湯面9aから採取部12の下端までの設定高さを用いるのに比べて、サンプラープローブ11の位置が決定し易く管理が行い易い。また、本発明の高さ決定工程では、式(1)を満たしていたとしても、実操業においてサンプラープローブ11の先端部が、湯面9aよりも上方となる位置(サンプラープローブ11の先端部と湯面9aとが接触しない位置)に、サンプラープローブ11の位置を決定している。こうすることで、湯面9a上に存在する未滓化石灰により、サンプラープローブ11が折損することを防ぐことができるようになる。
【0025】
次に、高さ上限算出工程及び高さ決定工程が終了すると、転炉1に溶湯9を装入して転炉1を垂直の状態とし、吹き込みランス10から酸素を溶湯9に向けて吹き込み吹錬を開始する。ここで、吹錬全体の時間(吹き込みランス10で酸素の吹き込みを開始してから終了するまでの時間)を100%としたとき50%以内となるまで、即ち、吹錬に要する時間の前半50%に達するまでに、転炉1の炉口8からサンプラープローブ11を挿入すると共に、挿入したサンプラープローブ11が高さ決定工程で求めた高さとなるように当該サンプラープローブ11を停止させ、吹錬中のスラグSを採取する。
【0026】
例えば、吹錬全体の時間が16分であるとき、吹錬を開始してから0〜8分以内(吹錬全体の時間の前半50%以内、0分は含まない)に、サンプラープローブ11を高さ決定工程で求めた高さにする。即ち、吹錬全体の50%以内となるまでに(前半50%に達するまでに)、サンプラープローブ11を式(1)を満たす位置にする。
サンプラープローブ11を式(1)を満たす位置にした後は、サンプラープローブ11を上昇させ、当該サンプラープローブ11を転炉1の炉口8から抜き出し、スラグSの採取を終了する。なお、 高さ上限算出工程や高さ決定工程を終了した後に、吹錬を行っているが、吹錬中に高さ上限算出工程や高さ決定工程を行い、その後に、サンプラープローブ11の位置を設定してもよい。
【0027】
なお、図3に示すように、転炉1を設置しているグランドレベルGLを基準として湯面高さHhを求め、この湯面高さHhを用いて湯面9aから採取部12の下端までの設定高さHを求めてもよい。湯面高さHhを求めるにあたっては、湯面9aが静止している状態で予め転炉1の上部からマイクロ波式距離計を用いて湯面9aまでの距離を測定し、マイクロ波式距離計で測定した測定値を用いて湯面高さHhを求めてもよい。なお、マイクロ波式距離計を用いる代わりに、特開平08−269525号公報に示されているように、式(3)を用いて湯面高さHhを求めても良い。
【0028】
Hh=Th×(W−Wa)+Ha ・・・(3)
ただし、
Th:投入量トン当たりの湯面高さ換算係数
W:主原料の挿入量(t)
Wa:湯面測定実績がある最近数チャージの主原料挿入量の平均
Ha:湯面測定実績がある最近数チャージの湯面高さの平均
表1は、本発明の吹錬中におけるスラグの採取方法でスラグの採取を行った実施例と、このスラグの採取方法とは異なる方法でスラグの採取を行った比較例とを示したものである。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例及び比較例では、溶湯を250t挿入して精錬処理を行うことができる転炉1を用いた。また、精錬処理では、溶湯9の塩基度(CaO/SiO)を6以下とし、且つ、吹き込みランス10からの酸素の吹き込み量(送酸速度)を0.8Nm/min・t以上として一般的な吹錬を行った。なお、精錬処理において、副原料なども当業者常法通りに選定すると共に、他の実施条件についても当業者常法通りに行った。
【0031】
図4に示すように、サンプラープローブ11の中心(平面における中心位置)は、転炉1の胴部5の半径(転炉1の中心からパーマ煉瓦3aの稼働面側までの距離)rとしたとき、転炉1の中心部から0.22r径外方向へ離れた位置としている。なお、平面視において、サンプラープローブ11の位置は、火点を除く位置(火点)であればよく、図4に示す位置に限定されない。
【0032】
実施例及び比較例では、スラグSを採取するために、サンプラープローブ11を2.5分〜7分間、所定位置で停止させ、吹錬時間は16〜17分とた。
また、図6に示すように、スラグSが採取できた場合は、良好「○」とし、スラグSが採取できなかった場合は、不良「×」とした。スラグ採取の有無は、図6に示したように顕著に表れるため、目視にて判定することができる。なお、図6において、紙面左側がスラグSの採取前の状態であり、紙面右側がスラグSの採取後の状態である。スラグSを採取することによって、転炉1の吹錬の制御において重要であるスラグSの塩基度、FeOなどのスラグSの組成を分析することができる。
【0033】
実施例1〜4では、吹錬全体を100%としたとき50%以内となるまでにサンプラープローブ11をスラグ採取のために停止させ(採取タイミングの欄)、副原料の供給量の合計(鉄分以外の挿入物の合計)を20kg/t以上とし(副原料原単位の欄)ている。
また、実施例では、湯面9aからの距離がプラスの数値となっていていて、サンプラープローブ11の先端部を湯面9aよりも上方の位置としている(プローブ先端停止位置の欄)。吹錬全体の50%よりも早い段階では、未滓化の固体石灰が溶湯9やスラグ界面に存在するため、サンプラープローブ11と固体の石灰が衝突しサンプラープローブ11が折損する虞があるが、実施例では、サンプラープローブ11の停止位置を溶湯9の湯面9aより高い位置で停止しているため、石灰とサンプラープローブ11の先端部との衝突を回避し、プローブの折損を防止することができる(プローブ折損防止の欄「○」)。
【0034】
加えて、実施例では、サンプラープローブ11を式(1)を満たす位置にしているため[H<a/(0.065A)の欄「○」]、プローブの折損もなく(プローブ折損防止の欄「○」)、スラグSも確実に採取することができる(スラグ採取の欄「○」)。
一方、比較例5及び7では、サンプラープローブ11の先端部から湯面9aまでの距離を示すプローブ先端位置の値がマイナスとなっていて、サンプラープローブ11の先端部が湯面9aよりも低い位置となっている。そのため、サンプラープローブ11の先端部と固体石灰とが接触してサンプラープローブ11が折損してしまった(プローブ折損防止の欄「○」)。
【0035】
また、比較例6、8、9では、サンプラープローブ11の位置が、式(1)を満たす位置ではないため[H<a/(0.065A)の欄「×」]、スラグSを採取することができなかった(スラグ採取の欄「×」)。
図5は、実施例及び比較例において、a/Aと、スラグSの停止位置(設定高さ)及びスラグ採取の有無をまとめたものである。図5に示すように、H=a/(0.0065A)を示す境界線によって、スラグ採取の有無が分かれており、式(1)を満たすようにサンプラープローブ11の位置を設定すれば、吹錬の前半(吹錬全体の50%以内)でも、確実にスラグSを採取することができる。
【0036】
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0037】
1 転炉
2 鉄皮
3 耐火物
3a パーマ煉瓦
3b ワーク煉瓦
4 底壁部
5 胴部
6 出湯口
7 吹き込み口
8 炉口
9 溶湯
9a 湯面
10 吹き込みランス
11 サンプラープローブ
12 採取部
13 プローブ本体
L1 採取部の長さ
S スラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグを採取する採取部を備えたサンプラープローブを用いて、吹錬中の転炉からスラグを採取するに際しては、
前記転炉への副原料の供給量の合計を20kg/t以上としたうえで、前記吹錬に要する時間の前半50%に達するまでに、前記サンプラープローブの下端を湯面より上方とすると共に前記サンプラープローブの採取部を式(1)を満たす位置にして、スラグを採取することを特徴とする吹錬中におけるスラグの採取方法。
H<a/(0.0065A) ・・・(1)
ただし、
H:湯面から採取部の下端までの設定高さ(m)
a:副原料の供給量の合計(t)
A:転炉の胴部におけるパーマレンガ内の断面積(m

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104069(P2013−104069A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246572(P2011−246572)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】