説明

和菓子

【課題】上品で豊かな味わいが得られる和菓子を提供する。
【解決手段】抹茶入りごはん22と、餡21とを組合わせた和菓子20を作る。また、前記抹茶入りごはん22は、うるち米及び/又はもち米を少なくとも含有し、その他に、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上の穀物を含有してもよい。また、前記抹茶入りごはん22が、ご飯に食酢で味をつけてなる鮨飯であってもよく、前記餡21が、小豆餡、白餡、うぐいす餡、栗餡、芋餡、ごま餡、及びずんだ餡から選ばれた1種であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抹茶入りごはんと、餡とを組合わせた和菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ごはんは和菓子の材料として、多種多様なものに用いられている。しかしながら、ごはんは、使用する材料、調味料、製造方法が常識的に決まっており、新しい風味を有する食品を提供する試みはあまりなされていない。
【0003】
そのような試みとして、下記特許文献1には、煮た油揚げの中に、鮨飯と餡とを充填した和菓子様の鮨が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、米飯を主体とするおにぎり本体の表面に、抹茶粉を分布させたおにぎりが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、米と水との混合物に第1の抹茶を冷間付与して冷間攪拌することにより抹茶含有米水混合物を作成する第1工程と、前記抹茶含有米水混合物の加熱炊飯を行なって抹茶含有炊飯米を作成する第2工程と、第2の抹茶と所定の調味料と酢液とを混合して冷間攪拌することにより前記第2の抹茶を含んだ混合酢液を作成する第3工程と、前記抹茶含有炊飯米に前記混合酢液を付与しつつ降温攪拌して抹茶すしのすし飯を作成する第4工程とを有することを特徴とする抹茶すしの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−337009号
【特許文献2】特開平10−271969号
【特許文献3】特開平1−98451号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、餡と鮨飯とを組み合わせているだけで、和菓子として食したときに味わいに乏しい。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3では、和菓子としてではなく、おにぎりや鮨として製造されているので、和菓子としての味わいが得られていない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、上品で豊かな味わいが得られる和菓子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、抹茶入りごはんと、餡とを組合わせたことを特徴とする和菓子を提供するものである。
【0010】
上記発明によれば、抹茶を含有したごはんと、餡とを組み合わせることで、抹茶の香りや苦味と餡の甘味によって、上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。
【0011】
また、抹茶をごはんに含有させることで、和菓子に抹茶特有の色彩を付与することができ、外観的に美しく、食欲増進につながる和菓子を得ることができる。
【0012】
本発明においては、前記抹茶入りごはんは、うるち米及び/又はもち米を少なくとも含有し、その他に、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上の穀物を含有するものであることが好ましい。これによれば、5種類以上の穀物を含有することで、栄養バランスに優れ、様々な穀物の食感や風味を味わうことができる。また、様々な色の穀物を加えることで、色彩豊かな和菓子を得ることができる。
【0013】
また、前記その他の穀物が十種類以上であることが好ましい。これによれば、十種類以上の穀物を米に混合することで、栄養バランスに優れ、様々な穀物の食感や風味を味わうことができる。また、様々な色の穀物を十種類以上加えることで、色彩が豊かな和菓子を得ることができる。
【0014】
また、前記抹茶入りごはんが、ご飯に食酢で味をつけてなる鮨飯であることが好ましい。これによれば、ご飯に食酢で味をつけてなる鮨飯とすることで、鮨飯の風味と、抹茶特有の香りと苦味と、餡の甘味を味わうことができ、いままでに味わったことがない豊かな味わいの和菓子を得ることができる。
【0015】
また、前記餡が、小豆餡、白餡、うぐいす餡、栗餡、芋餡、ごま餡、、及びずんだ餡から選ばれた1種であることが好ましい。これによれば、上記のいずれか1種を選択することで、様々な風味や食感、色彩の和菓子を得ることができる。
【0016】
また、前記抹茶入りごはんが油揚げの皮で包まれ、この油揚げの皮の開口部から露出する前記抹茶入りごはんの表面に、前記餡が付着するように充填されていることが好ましい。これによれば、抹茶ごはんと、餡と油揚げとを組み合わせることで、油揚げの風味と、抹茶の香りや苦味と、餡の甘味によって上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。また、抹茶入りごはんが油揚げの皮で包まれ、抹茶入りごはんの表面に餡が付着されているので、抹茶入りごはんから蒸発する水分量を減らすことができ、抹茶入りごはんが硬化するのを防ぐことができる。また、調味液で煮た油揚げによって、抹茶入りごはんが覆われているので、調味液が抹茶入りごはんに浸透し風味が良好となる。
【0017】
また、前記抹茶入りごはんが円筒形状をなし、その内部に前記餡が含有されていることが好ましい。これによれば、円筒状の抹茶ごはんの内部に餡が含有されているので、抹茶の香りや苦味と、餡の甘味によって豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。また、抹茶ごはんの内部に餡があるので、食する際に手が汚れることなく、手軽に食することができる。また、製造に際し、従来の海苔巻き等に用いる製造機械を転用することができるので、製造費用を安く抑えられ、容易に和菓子を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記発明によれば、抹茶を含有したごはんと、餡とを組み合わせることで、抹茶の香りや苦味と、餡の甘味によって上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。また、抹茶をごはんに含有させることで、和菓子に抹茶特有の色彩を付与することができ、外観的に美しく、食欲増進につながる和菓子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明において米としては、もち米又はうるち米のどちらを用いてもよく、両者を併用してもよい。もち米を用いた場合には、穀物と混合して炊いたときに米飯に粘り気があり、モチモチした食感を得ることができる。また、うるち米を用いた場合には、もち米よりも全体として食感が硬く、シャリシャリした食感を得ることができる。
【0020】
なお、もち米とうるち米とを併用する場合には、もち米1に対して、うるち米0.1〜10の質量比で配合することが好ましい。もち米の配合比が上記よりも多いと粘りが強くべたついた組織となり、もち米の配合比が上記よりも少ないと相互の粘着性が弱く、成形性が悪くなる。
【0021】
また、前記うるち米及び/又はもち米が、白米、玄米、胚芽米、発芽玄米から選ばれた1種以上のどれを用いてもよい。前記うるち米及び/又はもち米が白米以外の玄米、発芽玄米である場合には、白米よりも食感が硬く、特有の風味があり、栄養価の高い混合米を得ることができる。また、前記うるち米及び/又はもち米が白米である場合には、全体として食感がやわらかく、食べやすい混合米を得ることができ、胚芽米である場合には、食感は白米と変わらず、白米よりも栄養価の高い混合米を得ることができる。このように、好みに合わせて様々な風味、食感の混合米を用いることができる。
【0022】
また、本発明において、うるち米及びもち米以外の穀物としては、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上を用いる。これらの穀物は市販されているものを用いることができる。
【0023】
前記アマランサスとは、南米産のヒエ科の穀物で、たんぱく質や脂質、ミネラル、食物繊維等を豊富に含んでおり、稗や粟に似た小粒の穀物であり、プチプチした食感が得られる。
【0024】
前記赤米、黒米、緑米、紫米は、イネの原種である野生稲の特徴を受け継いでいる米で、古代米と呼ばれ、ビタミンE、ミネラル、繊維質等を豊富に含み、玄米のようなプチプチした食感とモチモチ感が得られる。
【0025】
前記粟としては、うるち粟、もち粟等が挙げられ、前記黍としては、うるち黍、もち黍、高黍等が挙げられ、前記稗としては、うるち稗、もち稗等が挙げられる。
【0026】
前記押し麦は、大麦に蒸気をあてた後ローラーで伸ばして消化されやすくしたものであり、米と比べると比重が軽いのが特徴であり、歯ごたえ、満腹感が得られる。この押し麦としては、胚芽部分を残した胚芽押し麦、押し麦に緑茶を加えた緑茶押し麦、押し麦にビタミンを加えたVITA押し麦等が挙げられる。
【0027】
一方、前記米粒麦は、麦を蒸した後に押しつぶさず二分割したものであり、麦特有のクセが少なく、麦の黒いスジも目立たない。また、米粒と同じ形、比重に加工されているので、炊いたときに米とよく混じりあわせることができる。
【0028】
前記大豆としては、黄大豆、青大豆、黒大豆、白大豆、鞍掛豆、がんくい豆等が挙げられ、前記小豆としては、小豆、赤小豆、黒小豆、大納言等が挙げられる。
【0029】
前記いんげん豆としては、金時豆、白いんげん豆等が挙げられ、前記レンズ豆としては、フランス青レンズ豆、緑レンズ豆、赤レンズ豆、深紅レンズ豆、黒レンズ豆等が挙げられ、前記ひよこ豆としては、黒ひよこ豆等が挙げられ、前記えんどう豆としては、黄えんどう豆等が挙げられる。
【0030】
前記ごまとしては、黒ごま、白ごま、えごま等が挙げられる。
【0031】
前記キヌアは、南米アンデス高原が原産で、栄養が豊富で消化のよい穀物であり、無味無臭でさくさくプチプチとした食感が得られる。
【0032】
前記まこもの種は、イネ科の多年草で、穀粒は黒っぽい色をしており、サクサクした食感や独特の香りが得られる。
【0033】
前記クコの実は、中国原産の赤い色の木の実で、食感はやわらかく、赤い色が鮮やかさを加え、見た目からも食欲増進につながる。
【0034】
前記そば米は、そばの実から皮を取り除いたもので、ほのかにそばの香りがして、べたつかず、つるつるした食感が得られる。また、前記玄そばとは、殻のあるそばの実のことをいい、食物繊維を豊富に含み、そば特有の香りが得られる。
【0035】
このような穀物の5種以上と、うるち米及び/又はもち米とを混合することで、栄養価が高く、斬新な食感や風味を有する和菓子を製造することができる。また、様々な色の穀物を混合することができるので、色彩豊かな和菓子を製造することができる。
【0036】
また、本発明においては、上記米以外の穀物を十種類以上含有させてもよい、それによって栄養価が高く、斬新な食感や風味を有する和菓子を製造することができる。
【0037】
抹茶としては、細かい粉末状、ペースト状等のどの形状のものを用いてもよい。また、本発明に用いる抹茶は、市販されているものを使用し、茶葉の種類は特に限定しない。このように抹茶を用いることで、和菓子に抹茶特有の香りや色彩、苦味を加えることができ、餡と組み合わせること上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。また、抹茶には、各種ビタミンやタンニン、植物繊維等が多く含まれており、人体に有益な成分を摂取することができる。
【0038】
餡としては、小豆餡、白餡、うぐいす餡、栗餡、芋餡、ごま餡、及びずんだ餡のどれを用いてもよい。また、これらの餡は、皮を除いたこし餡でもよく、皮を除かない粒餡でもよい。
【0039】
これらの餡は、常法に従って製造すればよく、特に限定されないが、例えば、上記原料を軟らかくなるまで煮て、砂糖と、極少量の塩を加え、こし餡の場合は、すりつぶして布でこし、粒餡の場合は、豆を破らないように注意しながら練り上げることにより製造することができる。栗餡や、芋餡の場合は、餡の特性を出すために、白いんげんを併用することが好ましい。
【0040】
次に、抹茶ごはんの製造方法としては、研いだ米に水を適量加え、常法に従って炊飯する。そして、炊飯して得たごはんに抹茶を均一に混ぜ合わせ抹茶ごはんとする。ここで、米を炊飯する前に赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた各種穀物を適宜加えて炊飯してもよい。
【0041】
また、米の炊飯方法としては、釜で蒸す方法、電気釜を使用して炊飯する方法、鍋で煮る方法等いずれの方法を用いてもよい。
【0042】
以下、本発明について図面を用いて更に詳細に説明する。
【0043】
図1及び図2には、本発明の和菓子の第1の実施形態が示されている。
【0044】
まず、研いだ米に水を適量加え、常法に従って炊飯する。このごはんに抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはん4を得る。次に、図2のように調味液で煮た油揚げの皮3に、抹茶ごはん4を適量充填し、油揚げの皮3の開口部に更に餡1を載せ、この餡1に適宜しその実2を載せて、和菓子10としたものである。ここで、図2では、米以外の穀物を含有していないが、米以外に5種以上の穀物を混合して抹茶ごはんを製造してもよい。また、抹茶ごはん4に、酢、塩、砂糖、昆布茶等で調味したすし酢を合わせ抹茶鮨飯として用いてもよい。これによれば、抹茶ごはんを食酢で味をつけて鮨飯とすることで、鮨飯の風味と、抹茶特有の香りと苦味と、餡の甘味を味わうことができ、いままでに味わったことがない豊かな味わいの和菓子を得ることができる。
【0045】
上記の和菓子10で使用する油揚げとしては、例えば、だし汁、しょうゆ、砂糖、みりん等の調味液で味付けされた汁で煮たものなどが使用される。油揚げとしては、市販されているものでよく、中を袋状にはがしやすいものが好ましい。
【0046】
また、餡の甘味を抑えるために、しその実2に限らず、青じそ、キュウリ、大根等の野菜類を添加したり、しば漬け、青がっぱ等の漬物類を添加してもよい。
【0047】
また、餡に保形性を持たせ、餡が和菓子からこぼれ落ちるのを防止するために、餡にシリアル、粒状の餅、粒状の葛もち、粒状のタピオカ等を添加してもよい。
【0048】
このように、抹茶ごはんと、餡と、油揚げとを組み合わせることで、油揚げの風味と、抹茶の香りや苦味と、餡の甘味によって上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。また、抹茶入りごはんが油揚げの皮で包まれ、抹茶入りごはんの表面に餡が付着されているので、抹茶入りごはんから蒸発する水分量を減らすことができ、抹茶入りごはんが硬化するのを防ぐことができる。また、調味液で煮た油揚げによって、抹茶入りごはんが覆われているので、調味液が抹茶入りごはんに浸透し風味が良好となる。
【0049】
また、図3及び図4には、本発明の和菓子の第2の実施形態が示されている。
【0050】
まず、研いだうるち米及び/又はもち米に、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上の穀物を混合し、その混合米に水を適量加え、常法に従って炊飯する。この混合米ごはんに抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはん22を得る。次に、上記製造方法によって製造した抹茶ごはん22をシート状に伸ばし、所定の大きさの長方形になるように裁断する。裁断したシート状の抹茶ごはん22の中央部に棒状の餡21を配置し、人手により、又はロール成形機等によって餡21を抹茶ごはん22で巻き、抹茶ごはん22が円筒形状をなし、その内部に餡21が含有されている和菓子20を製造する。ここで、図3及び図4では、米に5種以上の穀物を混合して抹茶ごはんを製造しているが、米以外の他の穀物を混合せずに抹茶ごはんを製造してもよい。
【0051】
このように、米と5種類以上の穀物からなる抹茶ごはん22によって変化に富んだ食感、風味、抹茶特有の香りや苦味を味わえると共に、食したときに内部から柔らかい餡21が出てきて抹茶ごはん22と混じり合うことにより、餡21の有する良好な甘味が均一に付与されるため、極めて美味しい和菓子を得ることができる。また、抹茶ごはんの内部に餡があるので、食する際に手が汚れることなく、手軽に食することができる。また、製造に際し、従来の海苔巻き等に用いる製造機械を転用することができるので、製造費用を安く抑えられ、容易に上記和菓子を製造することができる。
【0052】
また、図5には、本発明の和菓子の第3の実施形態が示されている。
【0053】
まず、研いだうるち米及び/又はもち米に、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上の穀物を混合し、その混合米に水を適量加え、常法に従って炊飯する。この混合米ごはんに抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはん32を得る。次に、抹茶ごはん32を所定量取り、人手により、又はプレス成形機等の機械成形によって所定形状に成形する。ここで、成形形状は、球型、俵型、三角型いずれの形状であってもよい。そして、図5に示すように、成形した抹茶ごはん32を餡31で覆い和菓子30を製造する。ここで、餡31は、ごはん表面上に餡を載せるだけでもよく、餡で抹茶ごはん全体を包み込むように覆ってもよい。また、抹茶ごはんを餡で覆った後にさらに、きな粉、ごま等の粉状体を抹茶ごはんにまぶしてもよい。また、図5では、米に5種以上の穀物を混合して抹茶ごはんを製造しているが、米以外の他の穀物を混合せずに抹茶ごはんを製造してもよい。
【0054】
このように、米と5種類以上の穀物からなる抹茶ごはん32によって変化に富んだ食感、風味を味わえると共に、外側の餡31と抹茶ごはん32とが混じり合うことにより、抹茶特有の香りや苦味と、餡31の有する良好な甘味とによって上品で豊かな味わいを有する和菓子を得ることができる。
【0055】
また、図6には、本発明の和菓子の第4の実施形態が示されている。
【0056】
まず、研いだ米に水を適量加え、常法に従って炊飯する。このごはんに抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはん42を得る。次に、抹茶ごはん42を所定量取り、抹茶ごはん42の中央部分に所定量の餡を埋め込み、人手により、又はプレス成形機等の機械成形によって所定形状に成形する。ここで、成形形状は、球型、俵型、三角型いずれの形状であってもよい。最後にのり43で抹茶ごはんの側面部を覆い和菓子40を製造する。ここで、使用するのり43としては、市販されているものを用いることができ、本発明に使用できるものであればよい。また、図6では、米以外の穀物を含有していないが、米以外に5種以上の穀物を混合して抹茶ごはんを製造してもよい。
【0057】
このように、抹茶ごはんの香りや苦味と、餡の甘味とを組み合わせることで、上品で豊かな味わいのある、極めて美味しい和菓子を得ることができる。また、抹茶ごはんの内部に餡があるので、食する際に手が汚れることなく、手軽に食することができる。
【0058】
図7は、こうして得られた和菓子をプラスチックの容器50に入れてパックした状態を示している。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
使用する油揚げは、一般的な稲荷鮨に使用されている油揚げを用いた。まず、油揚げを半分に切り、お湯で油抜きし、塩、砂糖、だし汁で煮て、味付けした。これを約40分煮てざるに上げて自然に煮汁をきった。
【0060】
次に、うるち米を水で研ぎ、所定量の水を加え、常法によって炊飯した。このごはんに市販されている粉末状の抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはんを得た。この抹茶ごはんと、酢、塩、砂糖、昆布茶で調味したすし酢とを合わせ鮨飯を作り、油揚げを開いて鮨飯を詰めた。そして、市販されている小豆餡を油揚げの開口されている部分(米飯の上部)に乗せて、図1に示すような和菓子を製造した。この和菓子を食してみると、鮨飯の酸味と抹茶の香りや苦味、餡の甘味とがマッチして、他の和菓子では得られない上品で豊かな味わいが得られ、非常においしかった。
【0061】
(実施例2)
うるち米6kgに、穀物として、もち黍、もち粟、押し麦、はと麦、米粒麦、玄そば、大豆、とうもろこし、アマランサス、赤米の10種類を600gとし、うるち米と、その他の穀物との混合比が、質量比で1:0.1になるように混合した。
【0062】
この混合米を水で研ぎ、所定量の水を加え、常法によって炊飯し、炊き上がった混合米ごはんを得た。この混合米ごはんに市販されている粉末状の抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはんを得た。
【0063】
次に、この抹茶ごはんを、公知のロール成形機にかけて、シート状に伸ばして裁断し、所定の大きさの長方形にする。このシート状の抹茶ごはんの中央部に棒状の餡を配置し、上記ロール成形機によって餡を混合ごはんで巻いて、図3に示すような抹茶ごはんが円筒形状をなし、その内部に餡が含有されている和菓子を製造した。この和菓子の外観は、米に含有させた穀物の色彩と抹茶特有の色彩とが混じり合い彩り豊かなものであった。また、この和菓子を食してみると、穀物特有の食感や風味を十分に味わうことができ、抹茶特有の香りや苦味と、餡の甘味とがよく合い上品で豊かな味わいが得られ、非常においしかった。
【0064】
(実施例3)
うるち米6kgに、穀物として、もち黍、もち粟、押し麦、はと麦、米粒麦、玄そば、大豆、とうもろこし、アマランサス、赤米の10種類を600gとし、うるち米と、その他の穀物との混合比が、質量比で1:0.1になるように混合した。この混合米を水で研ぎ、所定量の水を加え、常法によって炊飯し、炊き上がった混合米ごはんを得た。この混合米ごはんに市販されている粉末状の抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはんを得た。この抹茶ごはんを球状型の成形型に投入し、プレス機によって圧縮し、球型に成形した抹茶ごはんを得た。
【0065】
次に、球型に成形した抹茶ごはんを市販されている小豆餡で包みこみ、図5のような和菓子を製造した。この和菓子は、食してみると、穀物特有の食感や風味を味わえ、抹茶特有の香りや苦味と、餡の甘味とがよく合い上品で豊かな味わいが得られ、非常においしかった。
【0066】
(実施例4)
うるち米を水で研ぎ、所定量の水を加え、常法によって炊飯し、炊き上がった混合米ごはんを得た。この混合米ごはんに市販されている粉末状の抹茶を加え均一に混ぜ合わせ抹茶ごはんを得た。次に、抹茶ごはんを所定量取り、抹茶ごはんの中央部分に所定量の市販されている小豆餡を埋め込み、三角形状型の成形型に投入し、プレス機によって圧縮し、三角型に抹茶ごはんを成形した。そして、三角型の抹茶ごはんの側面をのりで覆って、図6に示すような和菓子を製造した。この和菓子は、食してみると、穀物特有の食感や風味が味わえ、抹茶の香りや苦味と餡の甘味がよく合い上品で豊かな味わいが得られ、非常においしかった。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の和菓子の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同和菓子の断面図である。
【図3】本発明の和菓子の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図4】同和菓子の側面図である。
【図5】本発明の和菓子の第3の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の和菓子の第4の実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明の和菓子を容器に入れてパックした斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1、21、31 餡
2 しその実
3 油揚げの皮
10、20、30、40 和菓子
4、22、32、42 抹茶ごはん
43 のり
50 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抹茶入りごはんと、餡とを組合わせたことを特徴とする和菓子。
【請求項2】
前記抹茶入りごはんは、うるち米及び/又はもち米を少なくとも含有し、その他に、赤米、黒米、緑米、紫米、大麦、もち麦、丸麦、押し麦、米粒麦、はと麦、ライ麦、粟、黍、稗、アマランサス、大豆、小豆、いんげん豆、レンズ豆、ひよこ豆、えんどう豆、緑豆、とうもろこし、ごま、キヌア、まこもの種、クコの実、そば米、及び玄そばから選ばれた5種以上の穀物を含有するものである請求項1記載の和菓子。
【請求項3】
前記その他の穀物が十種類以上である請求項1又は2記載の和菓子。
【請求項4】
前記抹茶入りごはんが、ご飯に食酢で味をつけてなる鮨飯である請求項1〜3のいずれか1つに記載の和菓子。
【請求項5】
前記餡が、小豆餡、白餡、うぐいす餡、栗餡、芋餡、ごま餡、及びずんだ餡から選ばれた1種である請求項1〜4のいずれか1つに記載の和菓子。
【請求項6】
前記抹茶入りごはんが油揚げの皮で包まれ、この油揚げの皮の開口部から露出する前記抹茶入りごはんの表面に、前記餡が付着するように充填されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の和菓子。
【請求項7】
前記抹茶入りごはんが円筒形状をなし、その内部に前記餡が含有されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の和菓子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−35755(P2008−35755A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212566(P2006−212566)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(500465488)株式会社有明のり (8)
【Fターム(参考)】