説明

回路基板の補強位置決定方法及び基板組立体

【課題】電子部品の周辺にスタッドが配置された回路基板において、必要最小限の反り低減対策を容易に決定することを目的とする。
【解決手段】回路基板の補強位置決定方法は、表面に、電子部品が複数のバンプにより実装され、裏面に、前記電子部品の角部に配置されたバンプに対応する位置に補強部材が貼り付けられた回路基板の数値モデルを設定する。そして、前記数値モデルに、前記電子部品の周囲に配置され且つ前記回路基板を電子機器の筐体に固定するスタッドに関する情報を取り込み、前記回路基板の裏側から前記電子部品に向かって力を加えたときに、前記角部のバンプにそれぞれ発生する応力値を求めるシミュレーションを行う。前記シミュレーションにより求めた前記応力値に基づいて、前記スタッドの位置に対応する前記補強部材の配置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の補強位置決定方法及び基板組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が基板上に実装される場合、バンプを用いて、フリップチップ実装が行われている。このとき、バンプは、電子部品と回路基板との電気的接続を得るとともに電子部品を機械的に回路基板に固定する機能を有する。そして、バンプの間には、アンダーフィルが流し込まれ、電子部品と回路基板との接合部が補強される。
【0003】
ところが、アンダーフィルを使用すると、部品の取り外しが困難となることがある。部品の取り外しができなければ、高価な部品を搭載した回路基板全体が使用できないこととなる。
【0004】
そこで、アンダーフィルを使用せずに、回路基板と電子部品とをバンプ実装する例も増えている。ただし、アンダーフィルを使用しない場合には、機械的な強度が十分に確保されない場合もあり、そのような場合には、機械的な強度を補う対策が必要になる。例えば、半導体装置が実装された回路基板の裏側に、反り低減部材をはんだ接合し、半導体装置が実装された部分を補強することが提案されている。
【0005】
上記の反り低減部材は、はんだ付け時や稼動時など、発熱により生じる回路基板の反りの抑制を目的とするものである。しかしながら、回路基板の反りは、このような発熱による要因に限られない。発熱以外に、外部からの圧力(外力)を加えられた場合にも生じる。この場合、筐体に対する回路基板の固定状態によって、回路基板の反りの状態は変わってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−88293号公報
【特許文献2】特開2007−12695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、携帯電話など小型の電子機器では、超高密度の部品実装が要求されている。このような機器においては、反り低減部材を必要最小限に抑え、回路基板の部品実装領域を広く確保することが求められる。すなわち、回路基板の部品実装領域を広く確保することが最優先になる。そこで、反り低減部材の最小限の配置を決定し、その後に、回路基板を筐体と固定するスタッドの位置を決定するなど、柔軟な設計が求められている。
【0008】
しかしながら、スタッドの位置によって、どのような反り低減対策が必要になるのかということまで検討することは通常困難であり、柔軟な設計ができないという問題があった。
【0009】
そこで、本明細書開示の回路基板の補強位置決定方法及び基板組立体は、電子部品の周辺にスタッドが配置された回路基板において、必要最小限の反り低減対策を容易に決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書開示の回路基板の補強位置決定方法は、表面に、電子部品が複数のバンプにより実装され、裏面に、前記電子部品の角部に配置されたバンプに対応する位置に補強部材が貼り付けられた回路基板の数値モデルを設定し、前記数値モデルに、前記電子部品の周囲に配置され且つ前記回路基板を電子機器の筐体に固定するスタッドに関する情報を取り込み、前記回路基板の裏側から前記電子部品に向かって力を加えたときに、前記角部のバンプにそれぞれ発生する応力値を求めるシミュレーションを行い、前記シミュレーションにより求めた前記応力値に基づいて、前記スタッドの位置に対応する前記補強部材の配置を決定することを特徴とする。
【0011】
これにより、必要最小限の反り低減対策となる補強部材の配置を容易に決定することができる。
【0012】
本明細書開示の基板組立体は、筐体に固定される基板組立体であって、表面に矩形状に配列された複数のバンプにより電子部品が実装された回路基板と、前記電子部品の周囲に配置され且つ前記回路基板を前記筐体に固定するスタッドと、前記回路基板の裏面であって、前記電子部品の角部の一部に対応する位置に貼り付けられた補強部材とを備え、前記電子部品の中心の位置が、前記スタッドと前記補強部材を結ぶ線上に存在する場合、前記補強部材は、前記回路基板の裏側から前記電子部品に向かって圧力を加えたときに発生する応力が最も小さい角部以外の角部に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
応力が最も小さい角部には、補強部材を配置しない。これにより、電子部品の各角部に生じる応力を平準化することができ、必要最小限の反り低減対策となる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書開示の回路基板の補強位置決定方法、基板組立体によれば、回路基板が用いられる種々の条件下において、容易に必要最小限の反りの低減対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、基板組立体が組み込まれた電子機器の断面図である。
【図2】図2は、基板組立体に生じる応力の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、実施例の補強位置決定方法に使用される情報処理装置を示すブロック図の一例である。
【図4】図4は、実施例の回路基板の各部の寸法を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例の基板組立体の補強位置決定方法を説明するフロー図の一例である。
【図6】図6はシミュレーションに用いられるモデルを模式的に示す説明図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は平面図である。
【図7】図7は、電子部品の周囲を複数の領域に分割する例を示す説明図である。
【図8】図8は、シミュレーションNo.1.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図9】図9は、シミュレーションNo.2.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図10】図10は、シミュレーションNo.3.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図11】図11は、シミュレーションNo.4.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図12】図12は、シミュレーションNo.5.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図13】図13は、シミュレーションNo.6.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図14】図14は、シミュレーションNo.7.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図15】図15は、シミュレーションNo.8.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図16】図16は、シミュレーションNo.9.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図17】図17は、シミュレーションNo.10.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図18】図18は、シミュレーションNo.11.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図19】図19は、シミュレーションNo.12.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図20】図20は、シミュレーションNo.13.2に基づいて補強された回路基板を示す説明図である。
【図21】図21は、シミュレーションNo.14.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図22】図22は、シミュレーションNo.15.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図23】図23は、シミュレーションNo.16.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図24】図24は、シミュレーションNo.17.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図25】図25は、シミュレーションNo.18.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図26】図26は、シミュレーションNo.19.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【図27】図27は、シミュレーションNo.20.0のスタッドの配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図示の便宜上、図面の記載において、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。例えば、図面に描かれた、バンプの数は、実際のものとは異なっている。
【実施例】
【0017】
まず、図1を参照して基板組立体1を備えた電子機器の概略構成について説明する。電子機器100は、携帯型電子機器の一例としてパーソナルコンピュータを想定しているが、他の機器、例えば、携帯型電話器等であってもよい。電子機器100は、筐体101内に基板組立体1が内装されている。基板組立体1は、電子部品4が実装された回路基板2を含む。本実施例では、電子部品としてBGA(Ball grid array)型パッケージのCPU(Central Processing Unit)を想定しているが、他の電子部品であってもよい。電子部品4には放熱部材3が積層されて配置されている。電子部品4は、バンプ(はんだバンプ)5を介して回路基板2にフリップチップ実装されている。バンプ5は、図4等に示すように矩形状に配列されている。回路基板2は、周囲の一部が筐体101に挟持されるとともに、複数の箇所でスタッド6を介してネジ7を用いて固定されている。スタッド6は、電子部品4の周囲に配置されている。スタッド6は、回路基板2の電子機器の筐体101への固定に用いられる。このように、筐体101により挟持された箇所や、スタッド6で固定された箇所は、回路基板2の固定部となる。なお、電子部品4は、四角形であり、4つの角部を備えている。すなわち、電子部品4には、図5等に示すように角部A、角部B、角部C及び角部Dの4つの角部が形成されている。回路基板2が柔軟性を有するのに対し、電子部品4は、剛体と見なせるものとする。
【0018】
図2は、基板組立体1に生じる応力の一例を示す説明図である。電子部品4の角部Aから角部Aに最も近い固定部となるスタッド6までの距離をL1とする。角部Cから角部Cに最も近い固定部となるスタッド6までの距離をL2とする。そして、電子部品4に荷重Pが加わったと仮定する。このとき、角部Aに発生するモーメントMと角部Cに発生するモーメントMは、以下の式で表すことができる。
=L1×2/P
=L2×2/P
【0019】
このため、モーメントの比は、L1とL2との比に倣う。すなわち、例えば、L1:L2=1:2であれば、モーメントの比も1:2となる。モーメントと応力値との関係は、Zを断面係数とすると、
σ=M/Z
電子部品4の厚さをh、幅をbとすると、断面係数Zは、
Z=bh/6
【0020】
よって、角部A、角部Cに発生する応力値は、荷重Pが作用した位置から固定部までの距離L1、L2に依存する。このように、電子部品4の各角部と、固定部との距離に応じて、反り方が異なり、角部のバンプ5に生じる応力にバラツキが生じる。このように、スタッド6の配置は、基板組立体1の反り方、応力値に影響を及ぼすものである。本実施例の基板組立体1は、この応力値のバラツキを平準化し、できるだけ均一に近づける。
【0021】
なお、スタッド6等の固定部と電子部品4との位置関係によっては、ねじれの要素が存在するなど、単純にモーメントの評価のみでは、適切な補強箇所を選定することができない場合がある。このような場合であっても、以下に説明する方法によって適切な箇所に補強を配し、角部に生じる応力の平準化を図る。
【0022】
荷重Pが回路基板2のどの位置に加わるのか、どの角部に補強が施されているのかが加味された数値モデルが設定される。数値モデルには、回路基板2に搭載される電子部品4の長さ、幅、厚みの値に関する情報が含まれる。また、数値モデルには、回路基板2の強度等、機械的性質に関する情報も含まれる。この数値モデルにスタッド6に関する情報、すなわち、スタッド6の回路基板2の周囲にどのように配置されているかに関する情報が加味される。
【0023】
ここで、図4に示す基板組立体11を作成する際に行われる回路基板の補強位置決定方法について説明する。シミュレーションは、TEG(Test element group)評価によって行う。基板組立体11に含まれ、回路基板2を形成する電子部品(BGAパッケージ)14の寸法は、W1×W2=28mm×34mm、スタッド6αの中心点と角部Dに位置する、バンプ5dの中心点との距離は、Ld1=10mm、Ld2=2mmである。スタッド6βの中心点と角部Bに位置する、バンプ5bの中心点との距離は、Lb1=6mm、Lb2=2mmである。バンプの平均径は0.5mm、バンプの平均高さは0.4mmである。また、電子部品14の中央部へ、電子部品14の裏面側(回路基板2側)から40Nを印加した。
【0024】
このような基板組立体11を作成する際に行われる回路基板の補強位置の決定フローにつき、図5に示すフロー図を参照しつつ説明する。事前に反り低減措置として補強すべき箇所を特定しておき、部品情報として設計情報に組み込むことが可能となる。本実施例の回路基板の補強位置決定方法では、反り低減措置として補強が必要な電子部品4とその周辺に配置されるスタッド等の固定部との位置関係も重要な要素となる。
【0025】
回路基板の補強位置決定方法は、図3にブロック図を示す情報処理装置10を用い、数値モデルを用いたシミュレーションを行うことによって実行される。情報処理装置10は、演算部11、入力部12及び記憶部13を備える。シミュレーションは、具体的には、「配線基板の裏側から電子部品に向かって所定の圧力を加えたときに、回路基板の変形に起因して電子部品の4隅のバンプ5に加わる応力を確認するシミュレーションを行う」ことを意味する。
【0026】
表1は、図5に示すフロー図に従って得られたシミュレーション結果を纏めた表である。
【0027】
(表1)

単位:MPa
【0028】
まず、ステップS1の処理について説明する。ステップS1では、全ての角部、すなわち、4つの角部A〜Dに補強部材を張り付けた数値モデルを用いて角部毎の第1の応力値を求める。このとき、スタッド6に関する情報も取り込まれ、演算に反映される。第1の応力値を求める演算は、演算部11が行う。角部Aにおける第1の応力値は、9.75MPa、角部Bにおける第1の応力値は、94.62MPa、角部Cにおける第1の応力値は、7.84MPa、角部Dにおける第1の応力値は、194.10MPaであった。これらの数値モデル、スタッド6に関する情報、及び第1の応力値は、記憶部13に記憶される。ここまでは、例えば、以下の手順で行われる。先ず、表面に、電子部品4が複数のバンプ5により実装され、裏面に、前記電子部品4角部A〜Dに配置されたバンプ5に対応する位置に補強部材が貼り付けられた回路基板2の数値モデルを設定する。具体的には、このような回路基板2の数値モデルを情報処理装置10の記憶部13に記憶させる。次に、前記数値モデルに、電子部品4の周囲に配置され且つ回路基板2を電子機器100の筐体101に固定するスタッド6に関する情報を取り込む。即ち、前記数値モデルにスタッド6に関する情報を加えて、記憶部13に記憶させる。このようにスタッド6に関する情報を記憶部13に取り込んだ後、回路基板2に外力を加えた場合のシミュレーションを行う。具体的には、回路基板2の裏側から電子部品4に向かって力を加えたときに、角部A〜Dのバンプ5にそれぞれ発生する応力値を求めるシミュレーションを行う。
【0029】
ステップS2では、一部の角部の補強部材を取り去って、一部の補強部材を残した状態の数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める。具体的に、最大応力補強部材を残存させ、残りの3か所から任意の1か所の補強部材を取り去った数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める。ここで、最大応力補強部材とは、第1の応力値が最も大きいバンプに対応する補強部材をいう。本実施例では、角部Dの第1応力値が最も大きいため、角部Dに対応する補強部材が、最大応力補強部材となる。従って、ステップS2において、角部Dの補強部材は、残存させる。そして、まず、角部Aの補強部材を取り去り、角部B、角部C、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第2の応力値は、21.78MPa、角部Bにおける第2の応力値は、85.49MPa、角部Cにおける第2の応力値は、5.77MPa、角部Dにおける第2の応力値は、202.90MPaであった。これらの第2の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0030】
ステップS3では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第2の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第2の応力値202.90MPaとが比較される。
【0031】
ステップS4では、ステップS3での比較結果を判定する。具体的に、第2の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS5へ進み、Noと判断するときはステップS5の処理を飛ばしてステップS6へ進む。本この段階では、ステップS4における判断は、Noとなるため、ステップS4に引き続いて即座にステップS6の処理が行われる。
【0032】
ステップS6では、3つの数値モデルによる第2の応力値の取得が完了したか否かを判断する。ステップS2の処理において、最大応力補強部材を残存させ、残りの3か所から1か所を取り去った数値モデルが選択されている。ここで、残りの3か所から1か所を取り去った数値モデルは、3種類考えられる。具体的には、角部Aを取り去った数値モデル、角部Bを取り去った数値モデル、角部Cを取り去った数値モデルの3種類である。ステップS6では、この3種類の数値モデル全てについてシミュレーションが行われたか否かが判断される。初めてステップS6の処理を行うときは、Noと判断され、ステップS7へ進む。
【0033】
ステップS7では、数値モデルを他の数値モデルに変更し、角部毎の第2の応力値を求める。ここでは、角部Bの補強部材を取り去り、角部A、角部C、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第2の応力値は、7.47MPa、角部Bにおける第2の応力値は、133.30MPa、角部Cにおける第2の応力値は、5.59MPa、角部Dにおける第2の応力値は、203.00MPaであった。これらの第2の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0034】
再度行われるステップS3では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第2の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第2の応力値203.00MPaとが比較される。
【0035】
再度行われるステップS4では、ステップS3での比較結果を判定する。具体的に、第2の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS5へ進み、Noと判断するときはステップS5の処理を飛ばしてステップS6へ進む。本実施例では、ステップS4における判断は、再度Noとなるため、ステップS4に引き続いて即座にステップS6の処理が行われる。
【0036】
再度行われるステップS6では、3つの数値モデルによる第2の応力値の取得が完了したか否かを判断する。この段階で、角部Cを取り去り、角部A、角部B、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いたシミュレーションが行われていない。このため、再びステップS6でNoと判断する。
【0037】
再度行われるステップS7では、数値モデルをさらに他の数値モデルに変更し、角部毎の第2の応力値を求める。ここでは、最後に残った角部Cを取り去り、角部A、角部B、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第2の応力値は、9.67MPa、角部Bにおける第2の応力値は、87.47MPa、角部Cにおける第2の応力値は、20.36MPa、角部Dにおける第2の応力値は、194.50MPaであった。これらの第2の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0038】
再度行われるステップS3では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第2の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第2の応力値194.50MPaとが比較される。
【0039】
再度行われるステップS4では、ステップS3での比較結果を判定する。具体的に、第2の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS5へ進み、Noと判断するときはステップS5の処理を飛ばしてステップS6へ進む。本実施例では、ステップS4における判断は、再度Noとなるため、ステップS4に引き続いて即座にステップS6の処理が行われる。
【0040】
再度行われるステップS6では、3つの数値モデルによる第2の応力値の取得が完了したか否かを判断する。この段階で、3つの数値モデルについて第2の応力値を取得する工程が終了している。このため、ステップS6でYesと判断する。そして、ステップS8へ移行する。
【0041】
ステップS8では、さらに一部の角部の補強部材を取り去って、一部の補強部材を残した状態の数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求める。具体的に、最大応力補強部材を残存させ、残りの3か所から任意の2か所の補強部材を取り去った数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求める。本実施例では、上述の如く、角部Dの第1応力値が最も大きいため、角部Dに対応する補強部材が、最大応力補強部材となる。このため、ステップS8では、まず、角部Dの補強部材は、残存させる。そして、角部A及び角部Bの補強部材を取り去り、角部C、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第3の応力値は、4.22MPa、角部Bにおける第3の応力値は、125.20MPa、角部Cにおける第3の応力値は、5.28MPa、角部Dにおける第3の応力値は、202.60MPaであった。これらの第3の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0042】
ステップS9では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第3の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第3の応力値202.60MPaとが比較される。
【0043】
ステップS10では、ステップS9での比較結果を判定する。具体的に、第3の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS11へ進み、Noと判断するときはステップS11の処理を飛ばしてステップS12へ進む。この段階では、ステップS10における判断は、Noとなるため、ステップS10に引き続いて即座にステップS12の処理が行われる。
【0044】
ステップS12では、3つの数値モデルによる第3の応力値の取得が完了したか否かを判断する。ステップS8の処理において、最大応力補強部材を残存させ、残りの3か所から2か所を取り去った数値モデルが選択されている。ここで、残りの3か所から2か所を取り去った数値モデルは、3種類考えられる。具体的には、角部A、角部Bを取り去った数値モデル、角部A、角部Cを取り去った数値モデル、角部B、角部Cを取り去った数値モデルの3種類である。ステップS12では、この3種類の数値モデル全てについてシミュレーションが行われたか否かが判断される。初めてステップS12の処理を行うときは、Noと判断され、ステップS13へ進む。
【0045】
ステップS13では、数値モデルを他の数値モデルに変更し、角部毎の第3の応力値を求める。ここでは、角部A及び角部Cの補強部材を取り去り、角部B、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第3の応力値は、31.42MPa、角部Bにおける第3の応力値は、103.70MPa、角部Cにおける第3の応力値は、12.50MPa、角部Dにおける第3の応力値は、201.30MPaであった。これらの第3の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0046】
再度行われるステップS9では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第3の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第3の応力値201.30MPaとが比較される。
【0047】
再度行われるステップS10では、ステップS9での比較結果を判定する。具体的に、第3の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS11へ進み、Noと判断するときはステップS11の処理を飛ばしてステップS12へ進む。本実施例では、ステップS10における判断は、再度Noとなるため、ステップS10に引き続いて即座にステップS12の処理が行われる。
【0048】
再度行われるステップS12では、3つの数値モデルによる第3の応力値の取得が完了したか否かを判断する。この段階で、角部B及び角部Cを取り去り、角部A、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いたシミュレーションが行われていない。このため、再びステップS12でNoと判断する。
【0049】
再度行われるステップS13では、数値モデルをさらに他の数値モデルに変更し、角部毎の第3の応力値を求める。ここでは、最後に残った角部B及び角部Cを取り去り、角部A、角部Dに補強部材を施した数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第3の応力値は、13.06MPa、角部Bにおける第3の応力値は、75.79MPa、角部Cにおける第3の応力値は、16.58MPa、角部Dにおける第3の応力値は、194.20MPaであった。これらの第3の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0050】
再度行われるステップS9では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第3の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第3の応力値194.20MPaとが比較される。
【0051】
再度行われるステップS10では、ステップS9での比較結果を判定する。具体的に、第3の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS11へ進み、Noと判断するときはステップS11の処理を飛ばしてステップS12へ進む。本実施例では、ステップS10における判断は、再度Noとなるため、ステップS10に引き続いて即座にステップS12の処理が行われる。
【0052】
再度行われるステップS12では、3つの数値モデルによる第3の応力値の取得が完了したか否かを判断する。この段階で、3つの数値モデルについて第3の応力値を取得する工程が終了している。このため、ステップS12でYesと判断する。そして、ステップS14へ移行する。
【0053】
ステップS14では、さらに一部の角部の補強部材を取り去って、一部の補強部材を残した状態の数値モデルを用いて角部毎の第4の応力値を求める。具体的に、最大応力補強部材のみを残存させ、残りの3か所の補強部材を取り去った数値モデルを用いて角部毎の第4の応力値を求める。本実施例では、上述の如く、角部Dの第1応力値が最も大きいため、角部Dに対応する補強部材が、最大応力補強部材となる。このため、ステップS14では、角部Dの補強部材のみを残存させ、角部A〜角部Cの補強部材を取り去った数値モデルを用いて角部毎の第4の応力値を求める。この結果、角部Aにおける第4の応力値は、12.22MPa、角部Bにおける第4の応力値は、122.80MPa、角部Cにおける第4の応力値は、19.60MPa、角部Dにおける第4の応力値は、175.40MPaであった。これらの第4の応力値は、一時的に記憶部13に記憶される。
【0054】
ステップS15では、最大応力補強部材が貼付された角部における第1の応力値と第4の応力値とが比較される。ここで、角部Dが最大応力補強部材が貼付された角部となるので、角部Dにおける第1の応力値194.10MPaと第4の応力値175.40MPaとが比較される。
【0055】
ステップS16では、ステップS15での比較結果を判定する。具体的に、第4の応力値≦第1の応力値であって、Yesと判断するときは、ステップS17へ進み、Noと判断するときはステップS17の処理を飛ばして処理は終了となる(エンド)。この段階で、ステップS16における判断は、Yesとなるため、ステップS16に引き続いてステップS17の処理が行われる。
【0056】
ステップS17では、ステップS14で求めた第4の応力値を、その時点まで第1の応力値とされていた194.10MPと置き換えられる。なお、このステップS17へ到達するまでにステップS4及びステップS11の工程を経ている。ステップS4やステップS11で第1の応力値の置き換えが行われているときは、その時点で第1の応力値として記憶されている値との置き換えが行われる。
【0057】
ステップS17の処理が終了した時点で第1の応力値として記憶されている値が、最終的に採用される第1の応力値となる。また、このような最終的に採用される第1の応力値を示す補強部材の配置位置が、最終的に採用される補強部材の配置位置となる。
【0058】
本実施例の場合、角部Dにのみ補強部材を配置した基板組立体1が最も効率よく反り対策が施された形態となる。表1には、参考として、4つの角部のいずれにも補強部材を配置していない状態で行ったシミュレーションの結果も掲載している。角部Dのみを補強した場合、角部4箇所の補強を行った場合と比較して、合計応力値はほとんど変わらないが、各角部における応力値の平準化が認められる。補強部材を全く配置しない場合、4つの角部のうち角部Cの応力値が最も大きく、250.80MPaが計測されている。本実施例の補強位置決定方法によって決定された補強位置に補強部材を配置することにより、角部Dにおける応力値を175.40MPaに低減することができた。一方、角部Bに着目すると、全く補強部材を配置しない場合の応力値が116.80MPaであるのに対し、角部Dにのみに補強部材を配置した場合は、122.80MPaに増大している。しかしながら、もっとも応力的に厳しい角部Dの応力値を低減することができている。すなわち、本実施例の補強位置決定方法によれば、各角部に発生する応力値を平準化するように必要最低限の反り低減措置を施すことができる。一部の角部の応力値が他の角部と比較して過大であると、その角部のみに負荷がかかることになる。本実施例の反り低減対策としての補強位置決定方法を採用することにより、各角部に発生する応力を平準化することができる。
【0059】
実際に補強後の基板組立体に圧迫試験を行ったところ、4箇所を補強した場合は、バンプにクラックの発生がみられたが、角部Dのみを補強した場合は、クラックの発生は認められなかった。
【0060】
このようなシミュレーションを予め行っておけば、スタッド6の位置に応じてどの角部を補強すべきかを、容易に判断することができる。
【0061】
なお、図5に示したフロー図は、補強位置決定方法の一例を示すものである。図5に示したフロー図では、1か所ずつ補強を取り去るシミュレーションから行っているが、先に2か所の補強を取り去るシミュレーションを行ってもよいし、3か所の補強を取り去るシミュレーションから行ってもよい。要は、最終的に、全ての補強位置の組み合わせに対するシミュレーションが行われていればよく、どの数値モデルからシミュレーションが行われるかの順番は問われない。
【0062】
以下、表2及び図6乃至図27を参照して、種々のスタッドの配置パターンに上記の補強位置決定方法を適用した結果について説明する。
【0063】
図6に示す模式的に示された基板組立体の数値モデルを用いて角部A、角部B、角部C、角部Dに生じる応力値が算出される。シミュレーションは、TEG(Test element group)評価によって行われる。本実施例では、回路基板2の大きさが縦110×横110mm、厚さt=1.0mm、電子部品(BGA部品)4の大きさが、縦23×横23mm、バンプ約600個のものを用いた。そして、電子部品の裏側中心部に40Nの荷重を印加した。また、固定部に相当する支持点は、電子部品4の最外郭に位置する、バンプ5から5mm離れた位置に設定した。
【0064】
表2は、補強が施されていない場合の各角部の応力、補強が施された場合の各角部の応力を一覧に纏めたものである。応力値の単位はMPaである。補強が施されたものについては、比較例として、角部A〜Dの全てに補強を施した場合の応力値についても掲載している。なお、補強を施した場合の一部の結果の掲載は省略されている。補強は、従来知られているどのような方法で行ってもよいが、本実施例では、対象箇所の裏側にはんだによる補強部材10を接合する方法を採用している。表2において太枠で囲った部分は、補強が必要とされる角部を示し、ハッチングの部分は、補強を行ったことを示している。
(表2)

【0065】
まず、固定点となるスタッド6の配置について説明する。固定点となるスタッド6は、図7に示された複数の領域のどの領域に存在するかが把握される。ここで、領域の区分けについて説明する。領域は、領域1xxと表記される領域、領域2xxと表記される領域、領域3xxと表記される領域に大別される。
【0066】
領域1xxは、角部を形成する辺を延長したラインを2辺とした矩形領域である。例えば、辺ABの延長線と辺DAの延長線とに囲まれ、角部Aが含まれる領域を、領域1aと表記する。他の角部についても同様に表記する。説明の便宜上、X方向とY方向を、図7の矢印で示した方向と定義する。また、X方向、Y方向それぞれについて、プラス(+)方向とマイナス(−)方向とを定義する。例えば、辺AB、角部Aに着目して領域1aのことを説明しようとすると、領域1aは、X方向、Y方向ともにプラス(+)の領域となる。
【0067】
領域2xxは、領域1xxに隣接する矩形領域である。具体的には、領域1xxから電子部品4の各辺に沿って各辺の中心点側に移動させた領域である。例えば、領域1aから辺ABに沿って移動した領域を、領域2abと表記する。領域2abは、角部AからX方向はプラス(+)、Y方向はマイナス(−)の領域と表される。
【0068】
領域3xxは、領域2xxに隣接する矩形領域である。具体的には、各辺の中心点を含む領域であり、領域2xxに挟まれた領域である。例えば、領域2abと領域2baとに挟まれた領域は、領域3abと表記される。領域3abは、辺ABに沿った角部Aからの距離と角部Bからの距離とがほぼ同一となる領域である。辺ABを二等分する線分がスタッド6を横切るときは、スタッド6は領域3abに位置している。領域3xxの幅はスタッド6の径と同一に設定する。例えばスタッド6の径φが5mmのときは、領域3xxの幅は5mmに設定される。
【0069】
(シミュレーションNo.1.0 図8)
シミュレーションNo.1.0は、図8に示すように、スタッド6αが一本だけ配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Cの応力値が1533.0MPaで最も大きい。角部Cの応力値が最も大きくなるのは、角部Aと角部Cと結ぶ直線(以下、「直線AC」と略す。)上に、力点、支点、作用点が存在するからである。固定されたスタッド6αの部分が支点となり、外力が加わる電子部品4の中央付近が力点となり、角部Cの位置が作用点となる。このような関係のときに、モーメントが大きくなる角部Cに応力が集中することに起因する。電子部品4は剛体と見なせるため角部B、角部Dにも応力は発生するが、角部B、角部Dはスタッド6αの位置からの距離が殆ど同じであり、発生した応力は等分されるため、角部B、角部Dそれぞれに発生する応力は小さくなる。以上により、補強が必要な点は角部Cとなる。そして、最も小さい応力値を示す角部Aは、回路基板2を支持するスタッド6αからの距離が最も近い角部である。このように、力点、支点、作用点が一直線上に存在する場合には、最も小さい応力値を示す角部Aの補強を外すことにより、最も大きい応力値を示す角部Cに発生する応力値が減少する。そのため、本条件下では、少なくとも角部Aについては補強部材10を張り付けていない。
(シミュレーションNo.1.1 図8)
シミュレーションNo.1.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は満遍なく低下している。しかしながら、角部Cの応力値は他の角部と比較して突出して大きな値を示している。このため、角部Cの疲労は他の角部と比較して早く進むことになると考えられる。
(シミュレーションNo.1.2 図8)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部Cにのみ補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部Bでは、4点を補強した場合と比較して応力値が増加しているが、他の角部では応力値が減少している。このような結果から、各角部間の応力値は平準化している。結果的に、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。
【0070】
(シミュレーションNo.2.0 図9)
シミュレーションNO.2.0は、図9に示すようにスタッド6αが一本だけ配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Aの応力値が1299.9MPaで最も大きい。この場合は、シミュレーションNo.1.0と比較して、角部Cに集中していた応力が、角部Dに分散される。そして、支点となるスタッド6αと角部Cとの距離が短くなるため、シミュレーションNo.1.0と比較して角部Cの応力は低下する。角部Aには、圧縮の応力が発生する。これは、支点(スタッド6α)、力点、作用点(角部A)が直線の関係になく、電子部品4から十分に遠い固定点とスタッド6αとが支点となり、ねじれが発生する。この時、電子部品4が剛体であり形状を維持しようとするため、基板の変形によりバンプ5を押しつぶそうとするためであると考えられる。スタッド6αは、基板変形を抑制しようとするため、その周辺の回路基板2の歪みは大きくなる。よって、スタッド6αに近い角部AにY方向の歪みが集中し、応力値が大きくなると考えられる。
(シミュレーションNo.2.1 図9)
シミュレーションNo.2.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は角部Cを除いて低下している。しかしながら、角部Cの応力値は上昇している。そして、最も小さい角部Bとの間に大きな応力値の差が存在している。このため、角部Cの疲労は他の角部と比較して早く進むことになると考えられる。
(シミュレーションNo.2.2 図9)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部Aにのみ補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部Bや角部Dでは、4点を補強した場合と比較して応力値が増加しているが、他の角部では応力値が減少している。このような結果から各角部間の応力値は平準化している。結果的に、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。なお、この場合も、最も応力値が小さかった角部Bも補強がされていない。
【0071】
(シミュレーションNo.3.0 図10)
シミュレーションNO.3.0は、図10に示すようにスタッド6αが一本だけ配置された場合である。スタッド6αは、領域3abに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Cの応力値が849.4MPa、角部Dの応力値が797.6MPaで大きい。この場合、角部Cと角部Dにおける応力値とがほぼ同等であり、角部Aと角部Bの応力値とがほぼ同等となる。ただし、スタッド6αに近い角部Aと角部Bの距離が互いに離れているため、ねじれ方向の応力は無視される程度に小さくなり、モーメントが大きい角部Cと角部Dの応力が大きくなるっていると考えられる。このため、角部Cと角部Dの2箇所に補強を行うことが有効であると考えられる。
(シミュレーションNo.3.1 図10)
シミュレーションNo.3.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は低下している。このため、4点の角部A〜Dに補強を施すことも有効であると考えられる。しかしながら、4箇所に補強を施すことは、コスト面、製造工程の簡素化の点で不利になると考えられる。
(シミュレーションNo.3.2 図10)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部C、角部Dに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力は減少し、このような結果から、各角部間の応力値は平準化している。結果的に、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。また、4箇所に補強を施したシミュレーションNo.3.1の場合と比較して補強箇所が少ないので、コスト面、製造工程の簡素化の点で有利である。
【0072】
(シミュレーションNo.4.0 図11)
シミュレーションNO.4.0は、図11に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域1cに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Aの応力値が382.8MPa、角部Cの応力値が386.6MPaで大きい。この場合、いわば、両もち梁構造となる。このため、力点、支点、作用点が直線関係となるため、角部A、角部Cに応力が集中する。
(シミュレーションNo.4.1 図11)
シミュレーションNo.4.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部B、角部Dの応力値が際立って減少している。この結果、各角部間の応力値のバラツキが増大している。このため、角部A、角部Cの疲労は角部B、角部Dと比較して早く進むことになると考えられる。
(シミュレーションNo.4.2 図11)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部A、角部Cに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部Aと角部Cの応力値の減少がみられ、角部Bと角部Dの応力値の減少はほとんどみられない。しかしながら、各角部間の応力値のバラツキは小さくなり、平準化方向に推移している。この結果、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。
【0073】
(シミュレーションNo.5.0 図12)
シミュレーションNO.5.0は、図12に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域2cdに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Aの応力値が595.5MPaと大きい。また、角部Dの応力値が11.2MPaと小さく、応力値のバラツキが大きい。スタッドが二本であるため、シミュレーションNo.4.0と同様に両持ち梁の構造となる。ただし、角部付近のスタッドは辺に近いため、スタッド二本を結んだ直線上のバンプ5の歪みが大きくなり、応力が集中する。ここで、電子部品4はほぼ剛体とみなせるため、辺に近い側のスタッド6βのひずみは複数のバンプ5で受け持ち、角部Aに近いスタッド6αは角部Aの単一のバンプ5で歪みを受けることとなる。このため、角部Aに近いバンプ5に大きな応力発生する。
(シミュレーションNo.5.1 図12)
シミュレーションNo.5.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部A、角部Bの応力値が減少し、角部C、角部Dの応力値が増大している。
(シミュレーションNo.5.2 図12)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部Aに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、シミュレーションNo.5.1の場合と同様に角部A、角部Bの応力値が減少し、角部C、角部Dの応力値が増大している。ただし、4箇所に補強を施したシミュレーションNo.5.1の場合と比較して補強箇所が少ないので、コスト面、製造工程の簡素化の点で有利である。
【0074】
(シミュレーションNo.6.0 図13)
シミュレーションNO.6.0は、図13に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域3cdに位置している。このケースは、シミュレーションNo.5.0に類似するケースと評価することができる。従って、角部Aに補強を行うことが考えられる。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0075】
(シミュレーションNo.7.0 図14)
シミュレーションNO.7.0は、図14に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域2cdに位置している。角部Aの応力値が106.5MPa、角部Cの応力値が107.2MPaと高い。従って、角部Aと角部Cに補強をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0076】
(シミュレーションNo.8.0 図15)
シミュレーションNO.8.0は、図15に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域3cdに位置している。角部Aの応力値が226.2MPaと高い。従って、角部Aに補強をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0077】
(シミュレーションNo.9.0 図16)
シミュレーションNO.9.0は、図16に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域3abに位置している。スタッド6βは、領域3cdに位置している。この場合は、対称状態となるため両持ち梁構造となる。ただし、辺の中心に配置されたスタッドは複数のバンプ5で歪みを受けるため、角部の応力は発生しないと評価することができる。このため、この場合は、格別の補強は不要である。
【0078】
(シミュレーションNo.10.0 図17)
シミュレーションNO.10.0は、図17に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域1dに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Bの応力値が902.1MPa、角部Cの応力値が835.5MPaと大きい。この場合、片持ち梁に近い構造となる。このため、各スタッド6α、6βの位置から遠い部分となる角部B、角部Cに応力が集中する。
(シミュレーションNo.10.1 図17)
シミュレーションNo.10.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は低下し、平準化されている。このため、4点の角部A〜Dに補強を施すことも有効であると考えられる。しかしながら、4箇所に補強を施すことは、コスト面、製造工程の簡素化の点で不利になると考えられる。
(シミュレーションNo.10.2 図17)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部B、角部Cに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力は減少し、また、各角部間の応力値は平準化している。結果的に、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。また、4箇所に補強を施したシミュレーションNo.10.1の場合と比較して補強箇所が少ないので、コスト面、製造工程の簡素化の点で有利である。
【0079】
(シミュレーションNo.11.0 図18)
シミュレーションNO.11.0は、図18に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域2dcに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Cのみ応力値が低い。この場合、支点が2箇所あり、両持ち梁構造となるため、ほぼスタッド6α、6βを結んだ直線上にある角部Aの応力が大きくなる。これと同時に、角部D付近のバンプは力を辺で受けるため、辺に含まれる、バンプの応力は小さくなる。しかし、角部Dの応力は大きくなる。また、辺BCのうち、角部Bは支持点をスタッド二本とした片持ち梁構造に近い構造となるため、応力が集中する。このため、このケースでは、角部A、角部B、角部Dの3箇所の補強が必要となる。すなわち、最も応力値の小さい角部Cは補強箇所から除外される。
(シミュレーションNo.11.1 図18)
シミュレーションNo.11.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部Cの応力が他の角部と比較して低い。
(シミュレーションNo.11.2 図18)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部A、角部B、角部Dに補強がされた場合、各角部の応力は減少し、また、各角部間の応力値は平準化している。すなわち、4箇所全てを補強したシミュレーションNo.11.1と比較すると、角部Cの応力値は高いが、応力値の平準化ができていることにより、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。また、4箇所に補強を施したシミュレーションNo.11.1の場合と比較して補強箇所が少ないので、コスト面、製造工程の簡素化の点で有利である。
【0080】
(シミュレーションNo.12.0 図19)
シミュレーションNO.12.0は、図19に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域2dcに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Aの応力値が374.4MPa、角部Dの応力値が360.3MPaで大きい。この場合は、両持ち梁構造となり、スタッド6α、6βを結んだ直線上にある、バンプ5の応力が大きくなる。ただし、スタッド位置は辺に近いため、複数のバンプで受けることになるため辺部分の影響が小さく、角部A、角部Dのバンプの応力が大きくなる。
(シミュレーションNo.12.1 図19)
シミュレーションNo.12.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は減少している。しかしながら、角部A、角部Dの応力値と比較して角部B、角部Cの応力値は低い。すなわち、応力値のバラツキは解消されていない。
(シミュレーションNo.12.2 図19)
本実施例の補強位置決定方法に基づいて角部A、角部Dに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力は減少し、また、各角部間の応力値は平準化している。すなわち、4箇所全てを補強したシミュレーションNo.12.1と比較すると、角部B、角部Cの応力値は高いが、応力値の平準化ができていることにより、基板組立体1の耐圧迫性、長期信頼性は向上すると予想される。
【0081】
(シミュレーションNo.13.0 図20)
シミュレーションNO.13.0は、図20に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1abに位置している。スタッド6βは、領域2adに位置している。補強なしの状態のとき、すなわち、補強部材10を貼り付けていない場合には、角部Aの応力値が1287.0MPa、角部Cの応力値が801.4MPaで大きい。このため、角部Aと角部Cに補強が必要であると。
(シミュレーションNo.13.1 図20)
シミュレーションNo.13.0のスタッド配置において、角部A〜Dの4点に補強を施した場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、各角部の応力値は低下している。
(シミュレーションNo.13.2 図20)
本実施例の設計方針に基づいて角部A、角部Cに補強がされた場合についてシミュレーションをした結果である。このような条件では、角部A〜Dの4点に補強を施した場合、各角部の応力値は低下している。特に、応力値が大きかった角部Aと角部Cは、シミュレーションNo.13.1の場合よりも低下しており、また、応力値の平準化の面でも評価される。
【0082】
(シミュレーションNo.14.0 図21)
シミュレーションNO.12.0は、図21に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域3daに位置している。角部Aの応力値が830.5MPa、角部Cの応力値が951.7MPaと高い。従って、角部A、角部Cに補強を行うことが考えられる。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0083】
(シミュレーションNo.15.0 図22)
シミュレーションNO.15.0は、図22に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域1aに位置している。スタッド6βは、領域2daに位置している。角部Aの応力値が756.7MPa、角部Cの応力値が812.1MPaと高い。従って、角部Aと角部Cに補強をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0084】
(シミュレーションNo.16.0 図23)
シミュレーションNO.16.0は、図23に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域2adに位置している。角部Aの応力値が2076.0MPa、角部Cの応力値は1088.0MPaと高い。この場合、支点が2箇所あり、両持ち梁構造となるため、スタッドを結んだ直線上にある、角部Aの応力が大きくなる。また、電子部品4周辺の変形は角部A付近を固定した片持ち梁構造に近い変形を発生させるため、固定位置から遠い角部Cの応力が大きくなる。従って、角部A、角部Cに補をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0085】
(シミュレーションNo.17.0 図24)
シミュレーションNO.17.0は、図24に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域3daに位置している。角部Aの応力値が1069.0MPa、角部Cの応力値は672.5MPaと高い。従って、角部A、角部Cに補をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0086】
(シミュレーションNo.18.0 図25)
シミュレーションNO.18.0は、図25に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2abに位置している。スタッド6βは、領域2daに位置している。角部Aの応力値が1127.0MPa、角部Cの応力値は440.2MPaと高い。従って、角部A、角部Cに補をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0087】
(シミュレーションNo.19.0 図26)
シミュレーションNO.19.0は、図26に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域3abに位置している。スタッド6βは、領域3daに位置している。角部Aの応力値が377.7MPa、角部Cの応力値は471.8MPaと高い。従って、角部A、角部Cに補をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0088】
(シミュレーションNo.20.0 図27)
シミュレーションNO.20.0は、図27に示すようにスタッドが二本、すなわち、スタッド6αとスタッド6βが配置された場合である。スタッド6αは、領域2baに位置している。スタッド6βは、領域2daに位置している。角部Aの応力値が161.4MPa、角部Cの応力値は217.9MPaと高い。従って、角部A、角部Cに補をすればよい。補強を行った場合のシミュレーション結果については、記載を省略する。
【0089】
以上、種々のスタッド配置に対して、必要最小限の反り低減対策となる補強部材の配置を決定することができる。このようにして補強部材が配置された基板組立体は、表面に矩形状に配列されたバンプ5により電子部品4が実装された回路基板2を備えている。また、電子部品4の周囲に配置され且つ回路基板2を筐体に固定するスタッド6を備えている。そして、回路基板2の裏面の、電子部品4の角部A〜角部Dに対応する位置に貼り付けられた補強部材10を備えている。ここで、表2から明らかであるように、補強部材10は、回路基板2の裏側から電子部品4に向かって圧力を加えたときに発生する応力が最も小さい角部以外の角部に対応する位置に配置されている。換言すれば、応力が最も小さい角部には、少なくとも補強部材10は配置されていない。
【0090】
以上のような手順を用いて補強部材10の補強箇所を決定することにより、電子部品4の全ての角部に補強部材を配置した場合に比べて、当該角部に加わる応力値の最大値を増加させることなく、どの補強部材10を減らすべきかを決定することが可能となる。また、電子部品4の中心の位置が、スタッド6と補強部材10とを結ぶ線上に存在する場合、最も応力値が小さい角部を補強箇所から除外することにより、各角部の応力値を平準化させることができる。
【0091】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 基板組立体
2 回路基板
3 放熱部材
4 電子部品
5 バンプ
6 スタッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に、電子部品が複数のバンプにより実装され、裏面に、前記電子部品の角部に配置されたバンプに対応する位置に補強部材が貼り付けられた回路基板の数値モデルを設定し、
前記数値モデルに、前記電子部品の周囲に配置され且つ前記回路基板を電子機器の筐体に固定するスタッドに関する情報を取り込み、前記回路基板の裏側から前記電子部品に向かって力を加えたときに、前記角部のバンプにそれぞれ発生する応力値を求めるシミュレーションを行い、
前記シミュレーションにより求めた前記応力値に基づいて、前記スタッドの位置に対応する前記補強部材の配置を決定する
ことを特徴とする回路基板の補強位置決定方法。
【請求項2】
前記シミュレーションは、
全ての角部に補強部材を貼り付けた数値モデルを用いて角部毎の第1の応力値を求める工程と、
一部の角部の補強部材を取り去って、一部の角部の補強部材を残した状態の数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求める工程と、を含み、
前記第1の応力値のうち、最大の値と、前記最大の値を示した角部と同一の角部において示された前記第2の応力値とを比較し、前記第2の応力値が前記最大の値以下の場合には、前記第2の応力値が示された前記補強部材の配置位置を選択する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の補強位置決定方法。
【請求項3】
前記シミュレーションは、
前記電子部品の全ての角部となる4つの角部にそれぞれ補強部材を貼り付けた数値モデルを用いて角部毎の第1の応力値を求める工程と、
前記第1の応力値のうち、最大の値を示した角部に対応する位置に配置された最大応力補強部材を残存させ、この最大応力補強部材以外の任意の補強部材を1か所取り去った3つの数値モデルのそれぞれにつき、当該数値モデルを用いて角部毎の第2の応力値を求め、その時点での第1の応力値のうち、最大の値と、前記最大の値を示した角部と同一の角部において示された第2の応力値とを比較し、前記第2の応力値が前記最大の値以下の場合に、当該第2の応力値を前記第1の応力値と置き換える工程と、
前記第1の応力値のうち、最大の値を示した角部に対応する位置に配置された最大応力補強部材を残存させ、この最大応力補強部材以外の任意の補強部材を2か所取り去った3つの数値モデルのそれぞれにつき、当該数値モデルを用いて角部毎の第3の応力値を求め、その時点での第1の応力値のうち、最大の値と、前記最大の値を示した角部と同一の角部において示された第3の応力値とを比較し、前記第3の応力値が前記最大の値以下の場合に、当該第3の応力値を前記第1の応力値と置き換える工程と、
前記第1の応力値のうち、最大の値を示した角部に対応する位置に配置された最大応力補強部材を残存させ、この最大応力補強部材以外の3か所の補強部材を取り去った数値モデルにつき、当該数値モデルを用いて角部毎の第4の応力値を求め、その時点での第1の応力値のうち、最大の値と、前記最大の値を示した角部と同一の角部において示された第4の応力値とを比較し、前記第4の応力値が前記最大の値以下の場合に、当該第4の応力値を前記第1の応力値と置き換える工程と、を含み、
前記シミュレーション終了時に前記第1の応力値の置き換えが行われている前記補強部材の配置位置を選択する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の補強位置決定方法。
【請求項4】
筐体に固定される基板組立体であって、
表面に矩形状に配列された複数のバンプにより電子部品が実装された回路基板と、
前記電子部品の周囲に配置され且つ前記回路基板を前記筐体に固定するスタッドと、
前記回路基板の裏面であって、前記電子部品の角部の一部に対応する位置に貼り付けられた補強部材と
を備え、
前記電子部品の中心の位置が、前記スタッドと前記補強部材を結ぶ線上に存在する場合、前記補強部材は、前記回路基板の裏側から前記電子部品に向かって圧力を加えたときに発生する応力が最も小さい角部以外の角部に対応する位置に配置されている
ことを特徴とする基板組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−109671(P2013−109671A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255535(P2011−255535)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】