説明

回路基板及びその製造方法

【課題】表面実装部品を半田リフローで実装すると同時に半田ヒューズ部も形成し、且つ、過電流で溶けた半田の流出を防止することのできる回路基板を提供する。
【解決手段】本発明は、回路基板2の一面2aに形成された回路部を構成する導体パターン3に、過電流が流れた時に該導体パターン3の一部を断線させて前記回路部を保護する回路保護装置1を有した回路基板である。回路保護装置は、連続して形成された導体パターンの一部に非導通となる断線部を設け、その断線部を挟んだ両側の導体端部4、5間に導電性を有した導体部材6を架設し、その導体部材6を過電流により溶融させて、該断線部に形成した孔部7に溶融した導体部材を流し込んで前記導体端部4、5間をオープンとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流が流れた時に回路部を保護する回路保護装置を備えた回路基板及びその回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過電流が流れた時に回路部を保護する半田ヒューズを備えた、回路基板が提案されている。この半田ヒューズを安全装置とする技術の一つに、半田の濡れ性を利用した技術がある(例えば、特許文献1に記載)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、回路基板の一面にスルーホールを介して一の回路パターンと接続された一方の電極を円形状に設けると共に、その周囲に所定間隔を置いて他の回路パターンと接続される同芯且つ円環状の他方の電極を設け、さらに両電極を覆って完全溶融に近い半田を溶着させた構造としている。
【0004】
この安全装置では、過電流が流れた時に、両電極を覆って設けられた半田が、両電極間を所定距離置いた濡れ難い基板表面にはじかれることにより、濡れ易い一方の電極と他方の電極に半田がそれぞれ分離することで、これらの両電極間が非導通となる。
【特許文献1】特開2000−100310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、半田ヒューズとして通常の半田を使用しているため、表面実装部品(SMD)をリフローにより実装することができず、生産性の面で課題がある。また、特許文献1に記載の技術では、過電流で溶けた半田が基板表面に流れて別の回路パターンに半田が付いてしまう可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、表面実装部品を半田リフローで実装すると同時に半田ヒューズ部も形成し、且つ、過電流で溶けた半田の流出を防止することのできる回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、連続して形成された導体パターンの一部に非導通となる断線部を設け、その断線部を挟んだ両側の導体端部間に導電性を有した導体部材を架設し、その導体部材を過電流により溶融させて、該断線部に形成した孔部に溶融した導体部材を流し込んで前記導体端部間をオープンとする回路保護装置を回路基板に形成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面実装部品を半田リフローで実装すると同時に半田ヒューズ部も形成し、且つ、過電流で溶けた半田の流出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
「回路保護装置を有した回路基板の構成説明」
図1は本実施形態の回路保護装置を有した回路基板の平面図、図2(A)は図1の回路保護装置部分を示す要部拡大平面図、図2(B)は図2(A)のA−A線断面図、図2(C)は図2(A)の断線部を示す要部拡大平面図、図3は断線部を挟んだ両側の導体端部間に架設される導体部材を示し、図3(A)はその平面図、図3(B)は図3(A)のB−B線断面図、図4は過電流が流れた時に断線部に形成した孔部に溶融した導体部材が流れ込んで導体端部間がオープンとなった状態を示す回路保護装置部分の断面図、図5は半田部間の幅寸法よりも導体部材の幅寸法を小さくしたことを示す図である。
【0011】
回路保護装置1は、例えば図1に示すように、回路基板2の一面2aに形成された回路部を構成する電源線やアース線等の大電流が流れる部位に設けられ、過電流が流れたときに回路部を構成する導体パターン3の一部を断線させて当該回路部を保護する。
【0012】
この回路保護装置1は、図2に示すように、例えばガラスエポキシ樹脂等の如き絶縁樹脂材料からなる回路基板2の一面2aに連続して形成された導体パターン3の導体端部4、5一部に非導通となる断線部4a、5aを設け、その断線部4a、5aを挟んだ両側の導体端部4、5間に導電性を有した導体部材6を架設し、その導体部材6を過電流により溶融させて、該断線部4a、5aに形成した孔部7に溶融した導体部材6を流し込んで前記導体端部4、5間をオープンとする構造とされている。
【0013】
断線部4a、5aは、例えば2つの電子部品8、9間を接続するアース線(導体パターン3)の途中部位に設けられる。かかる断線部4a、5aは、連続して形成された導体パターン3の途中部位を非導通とするように所定距離を置いて配線を形成しないことで形成される。この断線部4a、5aを挟んでその両側に形成された両導体端部4、5は、図2(C)に示すように、断線部の略中心(孔部7から所定間隔を有して)に形成された孔部7にそれぞれ開口を向けた平面視略C字状とされている。両導体端部4、5が略C字状に形成されることで、導体部材6の実装面積を大きくでき、導体部材6を溶融させるための電流量を確保することができる。この導体端部4、5の形状は、一例であり、前記したC字状に制限されることはない。
【0014】
前記断線部4a、5aの中心に形成された孔部7は、回路基板2を板厚方向にその一面2aから他面(裏面)2bに貫通する例えば円形孔であるスルーホールとして形成されている。この孔部7は、後述する導体部材6が過電流で溶けて流れ込む部位(換言するとトラップ孔)として機能する。孔部7の内部には、溶けた導体部材6の濡れ性を高める銅メッキ12が形成されている。別の見方をすると、銅メッキ12によって孔部7の内壁が被覆されている。
【0015】
また、孔部7を銅メッキによって被覆することで、孔部7内での溶融した導体部材6付着強度が向上し、例えば、振動等によっても導体部材6が孔部7から飛び出すことを抑制でき、飛び出した導体部材6によって導体端部4、5間を導通状態にしてしまうことを防止できる。
【0016】
この孔部7の体積は、少なくとも溶融した導体部材6の体積以上となるようにされている。つまり、前記孔部7は、溶融した導体部材6のほぼ全てを孔部7に流し込ませて、前記両導体端部4、5間が溶融した前記導体部材6の接触によって短絡しない程度の内部空間を持った大きさとされている。
【0017】
前記導体部材6は、前記孔部7を挟んでその両側に設けられた両導体端部4、5間に跨るように橋梁の如く架設されている。かかる導体部材6は、各導体端部4、5の上に半田ペーストを塗布して形成された半田部10の上に半田付けされることによって、過電流が流れる前の状態において前記断線部を導通させている。この導体部材6は、前記半田部10よりも融点の高い半田ペーストを塗布して形成される。
【0018】
前記導体部材6は、図3に示すように例えば平面視楕円形状をなし、孔部7と対応するその中央部位に切欠部11を有している。この切欠部11は、過電流によって溶融したときに一部が先に溶融して前記孔部7に溶け込んで行くように前記導体部材6を溶融させる。この実施形態では、導体部材6の略中央部であって表面と裏面の両方に2本の断面略V字状をなすスリット溝を平行に形成することで切欠部11としている。表面と裏面のそれぞれにスリット溝として形成された切欠部11は、表裏で互いに相対向する位置に形成されており、他の部位に比べてその厚みが薄くされている。そのため、導体部材6は、過電流が流れた時に厚みが薄くなった切欠部11から溶け始める。
【0019】
また、回路基板2の他面2bには、溶融した導体部材6が孔部7から流れ出ないようにするための絶縁シート13を設けている。絶縁シート13は、少なくとも孔部7に対応する部位に設ければ良いが、本実施形態では回路基板2の他面全ての部位に設けられている。
【0020】
以上のように構成された回路基板において、例えばアース線に過電流が流れた場合、導体パターン3と半田部10と導体部材6とが発熱し、その熱により導体部材6が溶融する。この時、導体部材6は、前記孔部7と対向する位置に切欠部11が形成されているため、初めに厚みの薄くなった切欠部11から溶け出す。
【0021】
導体部材6は、その略中央部位の切欠部11から溶け出すことで、全体が下向きにくの字状に折れ曲がり、切欠部11から前記孔部7内に溶け込んで行く。このとき、導体部材6よりも融点の低い半田部10も溶け、前記導体部材6と共に前記半田部10も孔部7に流れ込む。この時、孔部7には濡れ性を向上させる銅メッキ12が形成されているため、導体部材6は銅メッキ12によって孔部7へと流れ込み易くなる。
【0022】
また、孔部7に流れ込んだ導体部材6は、少なくとも孔部7と対応する回路基板2の他面2bに設けられた絶縁シート13によって孔部7から外部に漏れ出ることが防止される。そして、導体部材6が溶けて孔部7に流れ込むと、前記導体部材6は、図4に示すように両導体端部4、5間をオープンにして、回路部を非導通させる。これにより、導体パターン3に接続された電子部品8、9は、過電流によって破損することはない。
【0023】
「作用効果」
次に、本実施形態の保護回路装置を有した回路基板の作用効果について説明する。
【0024】
以上のように構成された回路基板2によれば、導体パターンの断線部4a、5aを挟んだ両側の導体端部4、5間に導体部材6を架設し、その導体部材6を過電流により溶融させて該断線部4a、5aに形成した孔部7に、溶融した導体部材6を流し込んで前記導体部材4、5間をオープンとする回路保護装置であるので、過電流で溶けた導体部材6が孔部7に流れ込むことにより半田の流出が防止され、回路基板2上の導体端部4、5間の短絡が回避される。
【0025】
また、本実施形態の回路基板によれば、過電流により溶融したときに一部が先に溶融して前記孔部7に溶け込んで行くように溶融させる切欠部11を導体部材6に形成したので、この切欠部11から溶け始めて孔部7に溶け込む経路(流れ)を確保することができる。これによって、溶融した導体部材6が両導体端部4、5間の内部空間に留まることが抑制でき、両導体端部4、5間の非導通が確保される。
【0026】
また、本実施形態の回路基板によれば、回路基板2の板厚方向に貫通するスルーホールとして孔部7を形成したので、過電流で溶融した導体部材6を流し込む孔部7を簡単に形成することができると共に他の部位に形成するスルーホールと一緒に形成できる。
【0027】
また、本実施形態の回路基板によれば、スルーホールである孔部7の内部に銅メッキ12を形成したので、この銅メッキ12に対する溶融した導体部材6の濡れ性が向上し、該導体部材6が孔部7に流れ込み易くなる。
【0028】
また、本実施形態の回路基板によれば、孔部7の体積を少なくとも溶融した導体部材6の体積以上としたので、溶けた導体部材6を孔部7に流し込むことができ、回路基板2の回路パターンが形成される面に溢れ出るのを防止することができる。
【0029】
また、本実施形態の回路基板によれば、回路基板2の一面2aとは反対側の他面2bに少なくとも孔部7と対応する部位に絶縁シート13を設けたので、孔部7に流れ込んだ導体部材6がこの絶縁シート13によって孔部下方から流れ出すのが防止される。
【0030】
また、本実施形態の回路基板によれば、回路基板2の一面2aとは反対側の他面2bに少なくとも孔部7と対応する部位に絶縁シート13を設けたので、例えば回路基板2の他面2bに導体パターンが形成される場合、溶融した導体部材6と当該導体パターンとの接触を抑制することができ、回路基板2の一面2a側の導体パターンと他面2b側の導体パターンとの接触による短絡等を防止することができる。
【0031】
「回路基板の製造方法の説明」
回路保護装置1を形成するには、回路基板2の一面2aに形成される回路部を構成する導体パターン3を途中部位で離間させる。換言すれば、連続する導体パターン3の途中部位を破断させて非導通となる部位(断線部)を形成する。この断線部4a、5aを挟んだ導体パターン3の導体端部4、5の形状を、例えば互いにその開口を向き合うようにする平面視C字状とする。
【0032】
また、断線部には、回路基板2の板厚方向に一面2aから他面2bに向かって貫通する孔部7をスルーホールとして形成する。孔部7は、少なくとも溶融する導体部材6の体積以上の体積空間を持つように形成する。この孔部7には、その孔周囲を取り囲むようにして銅メッキ12を形成する。
【0033】
そして、回路基板2の他面2bには、少なくとも孔部7を塞ぐように絶縁シート13を設ける。次に、離間させた断線部を挟む各導体端部4、5の上に半田ペーストを塗布して半田部10を形成する。
【0034】
次いで、前記半田ペーストよりも高融点の半田ペーストを、図5に示すように、前記半田部10間の幅寸法Bよりも小さな幅寸法Aとなる(A<B)ように各導体端部4、5間に跨るように架設して設ける。この結果、切断部を挟んだ両側の導体端部4、5間に導体部材6が橋梁の如く架設される。なお、導体部材6には、半田ペーストの略中央部分から孔部7に溶け込んで行くように溶融させる切欠部11を表面と裏面にそれぞれ形成しておく。
【0035】
「作用効果」
次に、本実施形態の回路基板の製造方法の作用効果について説明する。
【0036】
本実施形態の製造方法によれば、導体部材6を半田ペーストとしているので、同じ回路基板2上に実装する電子部品8、9と一緒に半田リフローにて形成することができる。そのため、本実施形態の回路基板を製造するに際して、製造工程を簡略化でき製造コストも低減できる。
【0037】
また、本実施形態の製造方法では、導体部材6のベースとなる半田ペーストである半田部10間の幅寸法Bよりも小さな幅寸法Aとなるように各導体端部8、9間に跨るように前記半田ペーストより高い融点の半田ペーストである導体部材6を架設しているので、過電流が流れた時に導体部材6の溶融によって孔部7に流れ落ち込み易くなる。
【0038】
「その他の実施形態」
図6はその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。図6(a)では、導体部材6を、前記孔部7に向けてその中央部分が垂れ下がるように屈曲した状態で両導体端部4、5間に架設した例である。言い換えれば、孔部7と対応する導体部材6の部位を当該孔部7に向けて垂れ下がるように略V字状に屈曲した形状に前記導体部材6を形成する。
【0039】
この実施形態によれば、孔部7に向けてその中央部分が垂れ下がるように導体部材6を屈曲した形状としたので、過電流により導体部材6が発熱して溶けると、垂れ下がった部位がその真下の孔部7に流れ込んで行くことになる。したがって、本実施形態によれば、溶融した導体部材6の孔部7以外への流出を防止できる。
【0040】
また、図6(b)の場合、導体部材6の略中央部位を、孔部7に向けて垂れ下がるように形成することで、切欠部11がない形態においてもほぼ同様の効果を得ることができる。
【0041】
図7はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。図7では、回路基板2の一面2a側に設けられた孔部7の開口周縁部に絶縁部材14を設けている。絶縁部材14は、断線部を挟んだ両側の導体端部4、5と前記孔部7との間に形成され、当該孔部7に掛からない孔部開口周縁部に設けられている。
【0042】
この実施形態によれば、溶融した導体部材6が孔部7へ向けて流れ込む場合に、絶縁部材14により導体端部4、5に接触するのを回避できる。そのため、本実施形態では、導体端部4、5の短絡を抑制、非導通を確保することができ、回路保護装置の信頼性を高めることが可能となる。
【0043】
図8はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。図8では、絶縁部材14に、孔部7に向かう方向に該絶縁部材14の厚みが次第に薄くなる傾斜部14aを形成している。別の見方をすれば、絶縁部材14を孔部7を中心とするすり鉢形状としている。
【0044】
この実施形態によれば、上述した実施形態と、ほぼ同様の効果を得ることができ、さらには、溶けた導体部材6が絶縁部材14に形成された傾斜部14aによって孔部7へと案内され、当該孔部7へ溶融した導体部材6が流れ込み易くなるという効果も得ることができる。
【0045】
図9はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示す図である。図9では、回路基板2の一面2aに連続して形成された導体パターン3の導体端部4、5の一部に非導通となる断線部4a、5aを設け、この断線部4a、5aを挟んでその両側に形成された両導体端部4、5は、孔部7を挟んで導体パターン3と略同一形状とし、両側の導体端部4、5間に導電性を有した導体部材6を架設したものであり、この実施形態においても上述した各実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、上述した各実施形態において、導体部材6には表面と裏面の両方に2本の断面略V字状をなすスリット溝を平行に形成した切欠部11としているが、切欠部11は、図10に示すように導体部材6の表面のみ、または裏面のみに1本形成されても良いし、他の部位に比べて孔部7に対向する部位の厚みが薄くされていても良い。すなわち、導体部材6の孔部7と対向した部位(領域)が、導体端部4、5側に位置する導体部材6(導体部材6の両端部)に対して先行して溶融し、孔部7へ流れ込む形態であれば、上述した各実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、各実施形態に記載した構成を全て具備する、もしくはそれぞれを組み合わせることでも同様の効果を得ることができる。
【0048】
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本実施形態の回路保護装置を有した回路基板の平面図である。
【図2】図2(A)は図1の回路保護装置部分を示す要部拡大平面図、図2(B)は図2(A)のA−A線断面図、図2(C)は図2(A)の断線部を示す要部拡大平面図である。
【図3】図3は断線部を挟んだ両側の導体端部間に架設される導体部材を示し、図3(A)はその平面図、図3(B)は図3(A)のB−B線断面図である。
【図4】図4は過電流が流れた時に断線部に形成した孔部に溶融した導体部材が流れ込んで導体端部間がオープンとなった状態を示す回路保護装置部分の断面図である。
【図5】図5は半田部間の幅寸法よりも導体部材の幅寸法を小さくしたことを示す図である。
【図6】図6はその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。
【図7】図7はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。
【図8】図8はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示す要部拡大断面図である。
【図9】図9はさらにその他の実施形態の回路保護装置部分を示し、図9(A)は要部拡大平面図、図9(B)は図9(A)のA−A線断面図、図9(C)は図9(A)の断線部を示す要部拡大平面図である。
【図10】図10は導体部材に形成される切欠部のその他の例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…回路保護装置
2…回路基板
3…導体パターン
4,5…導体端部
6…導体部材
7…孔部
8,9…電子部品
10…半田部
11…切欠部
12…銅メッキ
13…絶縁シート
14…絶縁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の一面に形成された回路部を構成する導体パターンに、過電流が流れた時に該導体パターンの一部を断線させて前記回路部を保護する回路保護装置を有した回路基板において、
前記回路保護装置は、連続して形成された前記導体パターンの一部に非導通となる断線部を設け、その断線部を挟んだ両側の導体端部間に導電性を有した導体部材を架設し、その導体部材を過電流により溶融させて、該断線部に形成した孔部に溶融した導体部材を流し込んで前記導体端部間をオープンとする
ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板であって、
前記導体部材には、溶融したときに一部が先に溶融して前記孔部に溶け込んで行くように溶融させる切欠部が形成された
ことを特徴とする回路基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回路基板であって、
前記導体部材は、前記孔部に向けてその中央部分が垂れ下がるように屈曲した状態で前記両導体端部間に架設された
ことを特徴とする回路基板。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の回路基板であって、
前記孔部は、前記回路基板の板厚方向に貫通するスルーホールである
ことを特徴とする回路基板。
【請求項5】
請求項4に記載の回路基板であって、
前記孔部の内部には、溶けた前記導体部材の濡れ性を高める銅メッキが形成されている
ことを特徴とする回路基板。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の回路基板であって、
前記孔部の体積を、少なくとも溶融した導体部材の体積以上とした
ことを特徴とする回路基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の回路基板であって、
前記回路基板の一面側に設けられた前記孔部の開口周縁部に、絶縁部材を設けた
ことを特徴とする回路基板。
【請求項8】
請求項7に記載の回路基板であって、
前記絶縁部材には、前記孔部に向かう方向に該絶縁部材の厚みが次第に薄くなる傾斜部が形成された
ことを特徴とする回路基板。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の回路基板であって、
前記回路基板の一面とは反対側の他面に、少なくとも前記孔部と対応する部位に絶縁シートを設けた
ことを特徴とする回路基板。
【請求項10】
回路基板の一面に形成された回路部を構成する導体パターンに、過電流が流れた時に該導体パターンの一部を断線させて前記回路部を保護する回路保護装置を有した回路基板の製造方法において、
前記導体パターンを途中部位で離間させ、その離間させた断線部を挟む各導体端部に低融点半田ペーストを塗布する工程と、
前記低融点半田ペーストよりも高融点の半田ペーストを、該低融点半田ペースト間の幅寸法よりも小さな幅寸法となるように前記各導体端部間に跨るように架設して設ける工程と、
前記導体パターンを離間させた断線部に、過電流で溶融した高融点の半田ペーストを流し込む孔部を前記回路基板に貫通して形成する工程と、を備えた
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の回路基板の製造方法であって、
前記高融点の半田ペーストの前記孔部と対応する部位に、該半田ペーストの中央部分から前記孔部に溶け込んで行くように溶融させる切欠部を形成した
ことを特徴とする回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−73805(P2010−73805A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238178(P2008−238178)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】