説明

回路板および回路板の製造方法

【課題】絶縁性コア基板と金属板との間の隙間に起因する金属板の剥がれを防止することができる回路板および回路板の製造方法を提供する。
【解決手段】回路板20は、絶縁性コア基板40,60の表面にパターニングした銅板50,70が接着されるとともに電子部品80が実装されている。絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との積層体S1において絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との間のガスが電子部品80の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔としての貫通孔90,91が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路板および回路板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、金属板上に絶縁接着材層を介して導体回路を形成する工程と、前記導体回路上に絶縁接着剤層を介して回路用導体層を接合する工程を有する金属ベース多層回路基板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−139580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、絶縁性コア基板にパターン形成用銅板を接着し、その後に部品をリフローはんだ付けする場合において、銅板と絶縁性コア基板の間に密着不良による隙間(空隙)があると部品リフロー実装時(高温雰囲気下)に、前記隙間が膨れて大きくなり、この膨れによる銅板の剥がれが発生してしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、絶縁性コア基板と金属板との間の隙間に起因する金属板の剥がれを防止することができる回路板および回路板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、絶縁性コア基板の少なくとも一方の面にパターニングした金属板が接着されるとともに電子部品が実装される回路板であって、前記絶縁性コア基板と前記金属板との積層体において前記絶縁性コア基板と前記金属板との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔を設けたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、絶縁性コア基板に金属板を接着する時に、絶縁性コア基板と金属板との間に隙間が形成されても、電子部品を実装する時に高温になり隙間が膨れようとするとガス抜き孔を通してガスが抜かれる。これにより、絶縁性コア基板と金属板との間の隙間に起因する金属板の剥がれを防止することができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の回路板において、前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板と前記金属板とを貫通する貫通孔であるとよい。
請求項3に記載のように、請求項1に記載の回路板において、前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板と前記金属板との接着面に設けられる溝であるとよい。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の回路板において、前記ガス抜き孔は、前記貫通孔に導電材を充填して前記絶縁性コア基板の両面に接着した前記金属板による導体パターンを電気的に接続したことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、絶縁性コア基板の両面に接着した金属板による導体パターンを電気的に接続するときにメッキ処理が不要となる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路板において、前記絶縁性コア基板と前記金属板との積層体が放熱部材に接着されていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、絶縁性コア基板と金属板との積層体が放熱部材に接着されているので、電子部品で熱が発生すると放熱部材から放熱することができる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の回路板において、前記放熱部材において前記放熱部材と前記積層体との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔を設けたことを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、放熱部材に積層体を接着する時に、放熱部材と積層体との間に隙間が形成されても、電子部品を実装する時に高温になり隙間が膨れようとすると放熱部材に設けたガス抜き孔を通してガスが抜かれる。これにより、剥がれを防止することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の回路板において、前記絶縁性コア基板の一方の面に前記パターニングした金属板が接着されるとともに、前記絶縁性コア基板の他方の面にスペーサを介して積層された部品埋込用絶縁基板の間において電子部品が埋め込まれており、前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板を貫通する貫通孔を含み、当該貫通孔に導電材を充填して前記電子部品と前記金属板による導体パターンを電気的に接続したことを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明によれば、絶縁性コア基板を貫通する貫通孔に導電材を充填して電子部品と金属板による導体パターンを電気的に接続することができ、小型化を図ることが可能となる。
【0015】
請求項8に記載のように、請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路板において、前記金属板は銅板であるとよい。
請求項9に記載の発明では、絶縁性コア基板と金属板とを積層する積層工程と、押圧部材で押圧して前記絶縁性コア基板と前記金属板とを接着し、ガス抜き孔を形成する基板形成工程と、前記金属板に電子部品が実装される実装工程と、前記絶縁性コア基板と前記金属板との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張してガス抜き孔を介して大気開放側に抜けるガス抜き工程と、を有することを要旨とする。
【0016】
請求項9に記載の発明によれば、ガス抜き工程において、絶縁性コア基板と金属板との間のガスが電子部品の実装時に膨張してガス抜き孔を介して大気開放側に抜けるので、縁性コア基板と金属板との間の隙間に起因する金属板の剥がれを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、絶縁性コア基板と金属板との間の隙間に起因する金属板の剥がれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態における電子機器の縦断面図。
【図2】第1の実施形態における電子機器の製造方法を説明するための縦断面図。
【図3】第2の実施形態における電子機器の縦断面図。
【図4】第2の実施形態における電子機器の製造方法を説明するための縦断面図。
【図5】第3の実施形態における電子機器の縦断面図。
【図6】第3の実施形態における電子機器の製造方法を説明するための縦断面図。
【図7】別例における電子機器の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1,2に従って説明する。
図1に示すように、電子機器10は、回路板20を備えている。回路板20は、配線板30に電子部品(表面実装部品)80が実装されている。
【0020】
配線板30は、絶縁性コア基板40の上に、金属板としての銅板50、絶縁性コア基板60、金属板としての銅板70が順に積層されている。銅板50は打ち抜き加工により所望の形状にパターニングされ、導体パターン51が形成されている。同様に、銅板70も打ち抜き加工により所望の形状にパターニングされ、導体パターン71,72が形成されている。
【0021】
このように、絶縁性コア基板40の上面には、パターニングした銅板50が接着されている。銅板50の上面には絶縁性コア基板60が接着されている。絶縁性コア基板60の上面には、パターニングした銅板70が接着されている。絶縁性コア基板40と銅板50と絶縁性コア基板60と銅板70とは積層プレスにて接着される。つまり、台の上に、図2に示すように、絶縁性コア基板40、接着シート、銅板50、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層し、その上から押圧部材を下降させて押圧することにより接着している。
【0022】
パターニングした銅板70の上には電子部品80が搭載され、はんだ81,82により接合されている。詳しくは、銅板70による導体パターン71と電子部品80、および、銅板70による導体パターン72と電子部品80が、はんだ付けによって電気的に接続されている。
【0023】
このようにして、本実施形態では、配線板30として、厚銅基板を用いている。
絶縁性コア基板40と銅板50と絶縁性コア基板60と銅板70との積層体S1においては、銅板50と絶縁性コア基板60と銅板70を貫通するガス抜き孔としての貫通孔90,91が形成されている。貫通孔90,91は、はんだリフロー工程におけるガス抜き孔として機能する。つまり、絶縁性コア基板40と銅板50との間に形成された隙間(空隙)、銅板50と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間(空隙)、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間(空隙)が膨れるのを防止する。
【0024】
このように本実施形態では、ガス抜き孔は、絶縁性コア基板60と銅板50,70とを貫通する貫通孔90,91である。
また、銅板50と絶縁性コア基板60と銅板70を貫通する貫通孔91の内部には、導電材としてのはんだ92が充填されている。このはんだ92により、銅板50による導体パターン51と銅板70による導体パターン72との導通がとられている。
【0025】
次に、このように構成した電子機器10の作用について説明する。
製造工程における積層プレス時において、図2に示すように、絶縁性コア基板40、接着シート、銅板50、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層する(積層工程)。そして、高温において、その上から押圧部材を下降させて押圧して絶縁性コア基板40と銅板50、銅板50と絶縁性コア基板60、絶縁性コア基板60と銅板70を、それぞれ接着し、貫通孔90,91を形成する(基板形成工程)。
【0026】
このとき、絶縁性コア基板40と銅板50との間に隙間が形成されたり、銅板50と絶縁性コア基板60との間に隙間が形成されたり、絶縁性コア基板60と銅板70との間に隙間が形成されたりする。これらの隙間は銅板と絶縁性コア基板との間の密着不良により発生する。
【0027】
その後の電子部品(表面実装部品)80の実装工程で、はんだリフロー炉において銅板70の上に塗布した、はんだペーストが高温にされる。例えば、250℃程度の高温にされる。
【0028】
このとき、絶縁性コア基板40と銅板50との間に形成された隙間、銅板50と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間が膨れようとすると、ガス抜き孔としての貫通孔90,91を通してガスが抜かれる(ガス抜き工程)。これにより、絶縁性コア基板40と銅板50との間に形成された隙間、銅板50と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間が膨れるのが防止される。その結果、銅板50,70の剥がれを防止して、絶縁性コア基板40と銅板50との間の密着性、銅板50と絶縁性コア基板60との間の密着性、絶縁性コア基板60と銅板70との間の密着性を高めることができる。
【0029】
また、貫通孔91に、はんだ付け工程において、はんだ92を充填することにより銅板50による導体パターン51と銅板70による導体パターン72との間(層間)の導通をとることができる。
【0030】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回路板20の構成として、絶縁性コア基板40,60の表面にパターニングした銅板50,70が接着されるとともに(広義には、絶縁性コア基板(40,60)の少なくとも一方の面にパターニングした銅板(50,70)が接着されるとともに)電子部品80が実装されている。また、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との積層体S1において絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との間のガスが電子部品80の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔としての貫通孔90,91を設けた。つまり、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70とを積層した状態においてプレスする時におけるガス抜き構造となっている。
【0031】
よって、絶縁性コア基板40,60に銅板50,70を接着する時に、絶縁性コア基板40と銅板50との間に隙間が形成されても、銅板50と絶縁性コア基板60との間に隙間が形成されても、絶縁性コア基板60と銅板70との間に隙間が形成されても、次のようになる。電子部品80を実装する時に高温になり隙間が膨れようとすると貫通孔90,91を通してガスが抜かれる。これにより、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との間の隙間に起因する銅板50,70の剥がれを防止することができる。
【0032】
つまり、厚銅基板において、銅板50,70および絶縁性コア基板40,60の積層体S1に貫通孔90,91を設けることにより、ガス抜き構造を構築することができ、はんだリフロー時の銅板50,70の剥がれを防止することができる。その結果、密着性を高めることができる。
【0033】
(2)ガス抜き孔は、貫通孔91に導電材としてのはんだ92を充填して絶縁性コア基板60の両面に接着した銅板50,70による導体パターン51,72を電気的に接続した。よって、絶縁性コア基板60の両面に接着した銅板50,70による導体パターン51,72を電気的に接続するときにメッキ処理が不要となる。
【0034】
(3)回路板の製造方法として、積層工程と基板形成工程と実装工程とガス抜き工程と、を有する。積層工程では、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70とを積層する。基板形成工程では、押圧部材で押圧して絶縁性コア基板40,60と銅板50,70とを接着し、ガス抜き孔としての貫通孔90,91を形成する。実装工程では、銅板50,70に電子部品80が実装される。ガス抜き工程では、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との間のガスが電子部品80の実装時に膨張してガス抜き孔としての貫通孔90,91を介して大気開放側に抜ける。よって、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との間の隙間に起因する銅板50,70の剥がれを防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
図1に代わり、本実施形態では図3に示す構成としている。図3において、電子機器11は、アルミ製の放熱板100の上に回路板20が搭載され、電子部品80に発生する熱は積層体S1を通して放熱板100から逃がされる。
【0036】
放熱板100の上面には絶縁性コア基板40が接着されている。放熱板100と絶縁性コア基板40と銅板50と絶縁性コア基板60と銅板70とは積層プレスにて接着される。つまり、台の上に、図4に示すように、放熱板100、接着シート、絶縁性コア基板40、接着シート、銅板50、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層し、その上から押圧部材を下降させて押圧することにより接着している。
【0037】
放熱部材としての放熱板100には、ガス抜き孔としての貫通孔101,102が形成されている。
次に、このように構成した電子機器11の作用について説明する。
【0038】
製造工程における積層プレス時において、図4に示すように、放熱板100、接着シート、絶縁性コア基板40、接着シート、銅板50、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層する。そして、その上から押圧部材を下降させて押圧して放熱板100と絶縁性コア基板40、絶縁性コア基板40と銅板50、銅板50と絶縁性コア基板60、絶縁性コア基板60と銅板70を、それぞれ接着する。
【0039】
このとき、放熱板100と絶縁性コア基板40との間に隙間(空隙)が形成されたり、絶縁性コア基板40と銅板50との間に隙間(空隙)が形成されたり、銅板50と絶縁性コア基板60との間に隙間(空隙)が形成されたり、絶縁性コア基板60と銅板70との間に隙間(空隙)が形成されたりする。
【0040】
その後の電子部品(表面実装部品)80の実装工程で、はんだリフロー炉において銅板70の上に塗布した、はんだペーストが高温にされる。
このとき、放熱板100と絶縁性コア基板40との間に形成された隙間が膨れようとすると、ガス抜き孔としての貫通孔101,102を通してガスが抜かれる。同様に、絶縁性コア基板40と銅板50との間に形成された隙間、銅板50と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間が膨れようとすると、ガス抜き孔としての貫通孔90,91を通してガスが抜かれる。
【0041】
これにより、放熱板100と絶縁性コア基板40との間に形成された隙間、絶縁性コア基板40と銅板50との間に形成された隙間、銅板50と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間が膨れるのが防止される。その結果、剥がれを防止して、放熱板100と絶縁性コア基板40との間の密着性、絶縁性コア基板40と銅板50との間の密着性、銅板50と絶縁性コア基板60との間の密着性、絶縁性コア基板60と銅板70との間の密着性を高めることができる。
【0042】
このようにして、積層プレスによる圧力不足でできた密着不足による隙間の膨れが解消される。
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0043】
(4)絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との積層体S1が放熱部材としての放熱板100に接着されているので、電子部品80で熱が発生すると放熱板100から放熱することができる。
【0044】
(5)放熱部材としての放熱板100において放熱板100と積層体S1との間のガスが電子部品80の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔としての貫通孔101,102を設けた。これにより、放熱板100に積層体S1を接着する時に、放熱板100と積層体S1との間に隙間が形成されても、電子部品80を実装する時に高温になり隙間が膨れようとすると放熱板100に設けた貫通孔101,102を通してガスが抜かれる。これにより、剥がれを防止して、放熱板100と積層体S1との間の密着性を高めることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
図1に代わり、本実施形態では図5に示す構成としている。図5において、電子機器12は、絶縁性コア基板40と絶縁性コア基板60との間において電子部品110が実装されている(内蔵されている)。
【0046】
また、絶縁性コア基板40と絶縁性コア基板60との間において電子部品110の周囲には電子部品110より厚いスペーサ120が配置されている。スペーサ120として、銅パターンなどの部材を用いることができる。さらに、電子部品110の上面と絶縁性コア基板60の下面との間には薄板材130が配置されている。薄板材130は、電子部品110の左右両側の電極に対し電気的絶縁を確保するための部材であり、例えば接着剤を用いることができる。
【0047】
絶縁性コア基板40の上面には電子部品110、スペーサ120が接着されている。スペーサ120の上面には絶縁性コア基板60が接着されている。絶縁性コア基板40とスペーサ120(電子部品110、薄板材130)と絶縁性コア基板60と銅板70とは積層プレスにて接着される。つまり、台の上に、図6に示すように、絶縁性コア基板40、接着シート、スペーサ120(電子部品110、薄板材130)、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層し、その上から押圧部材を下降させて押圧することにより接着している。
【0048】
絶縁性コア基板40とスペーサ120と絶縁性コア基板60と銅板70との積層体S2においては、スペーサ120と絶縁性コア基板60と銅板70を貫通するガス抜き孔としての貫通孔140,141が形成されている。貫通孔141の内部には、導電材としてのはんだ150が充填されている。このはんだ150により、電子部品110の第1電極と銅板70による導体パターン75の導通がとられている。
【0049】
また、絶縁性コア基板40とスペーサ120と絶縁性コア基板60と銅板70との積層体S2においては、スペーサ120と絶縁性コア基板60を貫通する貫通孔142が形成されている。貫通孔142の内部には、導電材としてのはんだ151が充填されている。はんだ151により、電子部品110の第2電極が絶縁性コア基板60の上面に引き出されている(露出している)。このように、電子部品110を基板内に内蔵する構成とし(絶縁性コア基板40と絶縁性コア基板60との間に電子部品110を挟み込み)、貫通孔141,142を通してはんだ付けで導通をとっている。
【0050】
次に、このように構成した電子機器12の作用について説明する。
製造工程における積層プレス時において、図6に示すように、絶縁性コア基板40、接着シート、スペーサ120(電子部品110、薄板材130)、接着シート、絶縁性コア基板60、接着シート、銅板70を順に積層する。そして、その上から押圧部材を下降させて押圧して絶縁性コア基板40とスペーサ120、スペーサ120と絶縁性コア基板60、絶縁性コア基板60と銅板70を、それぞれ接着する。
【0051】
このとき、絶縁性コア基板40とスペーサ120との間に隙間(空隙)が形成されたり、スペーサ120と絶縁性コア基板60との間に隙間(空隙)が形成されたり、絶縁性コア基板60と銅板70との間に隙間(空隙)が形成されたりする。
【0052】
その後の電子部品110の電気接続工程で、はんだリフロー炉において塗布した、はんだペーストが高温にされる。
このとき、絶縁性コア基板40とスペーサ120との間に形成された隙間、スペーサ120と絶縁性コア基板60との間に形成された隙間、絶縁性コア基板60と銅板70との間に形成された隙間が膨れようとすると、ガス抜き孔としての貫通孔140,141を通してガスが抜かれる。よって、隙間が膨れるのが防止され、剥がれを防止することができ、絶縁性コア基板40とスペーサ120との間の密着性、スペーサ120と絶縁性コア基板60との間の密着性、絶縁性コア基板60と銅板70との間の密着性を高めることができる。
【0053】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(6)絶縁性コア基板60の一方の面にパターニングした銅板70が接着されるとともに、絶縁性コア基板60の他方の面にスペーサ120を介して積層された部品埋込用絶縁基板としての絶縁性コア基板40の間において電子部品110が埋め込まれている。ガス抜き孔は、絶縁性コア基板60を貫通する貫通孔141を含み、貫通孔141に導電材としてのはんだ150を充填して電子部品110と銅板70による導体パターン75を電気的に接続した。よって、絶縁性コア基板60を貫通する貫通孔141に導電材としてのはんだ150を充填して電子部品110と銅板70による導体パターン75を電気的に接続することができる。これにより、小型化を図ることができる。
【0054】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図3において放熱板100の一方の面(上面)に回路板20を配置したが、放熱板100の両面(上下の両面)に回路板を配置した構成としてもよい。
【0055】
・ガス抜き用の貫通孔(例えば図1の貫通孔90,91)に代わり、図7に示すように溝160,161,162を形成してもよい。詳しくは、絶縁性コア基板40における上面に溝(凹条)160を形成し、溝(凹条)160を通してガスを抜く。絶縁性コア基板60における下面に溝(凹条)161を形成し、溝(凹条)161を通してガスを抜く。絶縁性コア基板60における上面に溝(凹条)162を形成し、溝(凹条)162を通してガスを抜く。
【0056】
つまり、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との積層体S1において絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との接着面が大気開放側につながるガス抜き孔としての溝160,161,162を設けた構成としてもよい。即ち、ガス抜き孔は、絶縁性コア基板40,60と銅板50,70との接着面に設けられる溝160,161,162であってもよい。
【0057】
また、溝160,161,162は絶縁性コア基板40,60ではなく銅板50,70に形成してもよい。さらに、溝160,161,162は絶縁性コア基板40,60と銅板50,70とに形成してもよい。
【0058】
・金属板として銅板(50,70)を用いたが、金属板としてアルミ板等の他の金属板を用いてもよい。
・打ち抜き加工にてパターニングした銅板を絶縁性コア基板に接着したが、これに代わり、パターニング前の薄い銅板を絶縁性コア基板に接着し、その後にエッチングによりパターニングしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…電子機器、11…電子機器、12…電子機器、20…回路板、30…配線板、40…絶縁性コア基板、50…銅板、60…絶縁性コア基板、70…銅板、80…電子部品、90…貫通孔、91…貫通孔、92…はんだ、100…放熱板、101…貫通孔、102…貫通孔、110…電子部品、120…スペーサ、140…貫通孔、141…貫通孔、160…溝、161…溝、162…溝、S1…積層体、S2…積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性コア基板の少なくとも一方の面にパターニングした金属板が接着されるとともに電子部品が実装される回路板であって、
前記絶縁性コア基板と前記金属板との積層体において前記絶縁性コア基板と前記金属板との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔を設けたことを特徴とする回路板。
【請求項2】
前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板と前記金属板とを貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の回路板。
【請求項3】
前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板と前記金属板との接着面に設けられる溝であることを特徴とする請求項1に記載の回路板。
【請求項4】
前記ガス抜き孔は、前記貫通孔に導電材を充填して前記絶縁性コア基板の両面に接着した前記金属板による導体パターンを電気的に接続したことを特徴とする請求項2に記載の回路板。
【請求項5】
前記絶縁性コア基板と前記金属板との積層体が放熱部材に接着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路板。
【請求項6】
前記放熱部材において前記放熱部材と前記積層体との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張して大気開放側に抜けるガス抜き孔を設けたことを特徴とする請求項5に記載の回路板。
【請求項7】
前記絶縁性コア基板の一方の面に前記パターニングした金属板が接着されるとともに、前記絶縁性コア基板の他方の面にスペーサを介して積層された部品埋込用絶縁基板の間において電子部品が埋め込まれており、前記ガス抜き孔は、前記絶縁性コア基板を貫通する貫通孔を含み、当該貫通孔に導電材を充填して前記電子部品と前記金属板による導体パターンを電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の回路板。
【請求項8】
前記金属板は銅板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路板。
【請求項9】
絶縁性コア基板と金属板とを積層する積層工程と、
押圧部材で押圧して前記絶縁性コア基板と前記金属板とを接着し、ガス抜き孔を形成する基板形成工程と、
前記金属板に電子部品が実装される実装工程と、
前記絶縁性コア基板と前記金属板との間のガスが前記電子部品の実装時に膨張してガス抜き孔を介して大気開放側に抜けるガス抜き工程と、
を有することを特徴とする回路板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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