説明

固体アクチュエータ駆動装置

本発明は、固体アクチュエータ駆動装置であって、軸(1;1°)と、該軸(1;1°)を回転可能に支承するための回転軸受け(2)と、駆動体(6;6°)と、該駆動体(6;6°)と軸(1;1°)とを互いに相対的に励起し、該軸(1;1°)を駆動体(6;6°)に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータ(5.1,5.2)と、前記コンポーネントが取り付けられたベースエレメントとが設けられており、駆動体(6)が、駆動体開口(6.1)を備えて形成されており、軸(1)が、駆動体開口(6.1)内に少なくとも導入されているかまたは軸(1゜)が、中空軸として形成されており、駆動体(6°)の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメント(6.1゜)が、中空軸内に配置されている形式のものに関する。本発明によれば、駆動体(6)が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、軸(1;1°)が、回転軸受け(2)に配置されていて、固体アクチュエータ(5.1,5.2)によって軸(1;1°)の半径方向にベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体アクチュエータ駆動装置であって、軸と、該軸を回転可能に支承するための回転軸受けと、駆動体と、該駆動体と軸とを互いに相対的に励起し、該軸を駆動体に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータと、前記コンポーネントが取り付けられたベースエレメントとが設けられており、駆動体が、駆動体開口を備えて形成されており、軸が、駆動体開口内に少なくとも導入されているかまたは軸が、中空軸として形成されており、駆動体の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメントが、中空軸内に配置されている形式のものに関する。
【0002】
欧州特許第1098429号明細書に基づき、固体アクチュエータ駆動装置を備えた電気機械的なモータが公知である。第1の直径を備えた回転可能に支承された軸は、円筒状の孔の形の駆動体開口を備えた駆動体によって取り囲まれる。軸の軸表面は、第1の直径に比べてやや大きな第2の直径を有する駆動体開口の内面に対して転動することができる。この場合、軸の軸線と駆動体開口の中心の軸線とは互いに平行に方向付けられている。軸の転動運動ひいては回転は、駆動体の円形の変位運動によって生ぜしめられるかもしくは軸の軸線に対して平行な駆動体の軸線の円形の変位運動によって生ぜしめられる。駆動体開口の軸線と軸の軸線との間の円形の相対運動は、最も簡単な事例では、リニアアクチュエータの形の、特に互いに独立して運転可能な2つの電気機械的なアクチュエータによって発生させられる。両アクチュエータの作用方向、すなわち、使用される長さ変化の方向は、互いに直交方向に位置している。アクチュエータは、最も簡単な事例では、その作用方向が軸の軸線もしくは環状孔軸線に対して垂直な平面を展開するように配置されている。アクチュエータの適切な電気的な制御によって、一方のアクチュエータが励起され、これによって、時間を関数とした周波数および振幅のサイン状の変位が生ぜしめられ、他方のアクチュエータが励起され、これによって、時間を関数とした周波数および振幅のコサイン状の変位が生ぜしめられる。この場合、変位振幅は、駆動体開口と軸との間の直径差が確実に乗り越えられるようにするために、量に関して、第1の直径と第2の直径との直径差の半分を上回る。両リニアアクチュエータのリニア運動が互いに独立して重畳される限り、全体として、駆動体と軸とが互いに円形に変位させられ、回転可能に支承された軸が回転させられる。
【0003】
軸にトルク負荷が加えられている場合には、駆動体と軸との間の力伝達が、前述した実施形態では、摩擦接続によって行われる。力伝達は歯列の導入によって改善することができる。この事例では、もはやスリップが生ぜしめられ得ないので、付加的に作動過程の極めて高い作動精度と再現可能性とが得られる。
【0004】
図5には、著しく抽象化して公知先行技術による1つの実施形態の原理的な構造が示してある。この場合、駆動体開口と軸との間の力伝達は摩擦接続的にまたは形状接続的に行われてよい。
【0005】
軸1は、半径方向に剛性的な2つの回転軸受け2、たとえば滑り軸受け、玉軸受けまたは針状ころ軸受けによって、それぞれ1つの軸受けホルダ3に回転可能に支承されている。両軸受けホルダ3は2つのブリッジエレメントを介して剛性的に結合される。各ブリッジエレメント4は、アクチュエータに対する支持体を提供している。以下、両アクチュエータ5.1,5.2を、軸線Zに対して垂直な第1の方向Xへの運動に用いられるXアクチュエータおよび軸線Zに対して垂直なかつ第1の方向Xに対して垂直な第2の方向Yへの運動に用いられるYアクチュエータと呼ぶ。両アクチュエータ5.1,5.2は支持体側で機械的に剛性的に所属のブリッジエレメント4に結合されている。実際のモータ構成では、機能エレメント、すなわち、軸受けホルダとブリッジエレメントとが、有利には1つまたはそれ以上の部材から成るモータハウジングの構成要素として形成される。したがって、モータホルダ(図示せず)、たとえばフレームまたは機台への一方のブリッジエレメントの、三角形によってシンボリックに示した機械的に剛性的な取付けを、意味に関して、モータハウジングもしくは支持エレメントへの固定と解釈することができる。アクチュエータ5.1,5.2はその駆動側の端部で、円筒状の孔の形の駆動体開口6.1を備えた駆動体6に機械的に剛性的に結合される。軸1は駆動体開口6.1を貫通しているかまたは駆動体開口6.1内に導入されている。
【0006】
このような構成では、モータ運転中、モータハウジングが回転軸受け2および軸1と共に並進運動に対して静止していると見なされ、駆動体6が運動していると見なされる。
【0007】
図5には、瞬間的な状況が示してある。この状況では、Yアクチュエータ5.2が丁度最大に変位させられており、駆動体6が、図面で見て、軸1に下方で接触している。したがって、左側の平面図では、隠して記入したXアクチュエータが撓んだ状態で示してある。この図面は、原理を明示するために意識的に著しく誇張して示してある。実際にアクチュエータとして使用される固体アクチュエータには、アクチュエータ変位量aがアクチュエータ長さの約1〜2/1000しか達成しないことが当てはまる。約30mmの現在一般的なアクチュエータ長さの場合には、最大a=60μmのアクチュエータ変位量が得られる。アクチュエータ変位量aが駆動体開口6.1の第2の直径Dと軸1の軸直径dとの間の直径差を上回らなければならない、すなわち、a>(D−d)という必須の前提条件を考慮して、作用方向に対して垂直なアクチュエータ5.1,5.2の「撓み」が無視できる程度に僅かなままであることが明らかになる。
【0008】
この構造の電気機械的なモータでは、駆動体6と軸1との間の形状接続的な力伝達を使用して、すでに最大2Nmのトルクが軸1で検出・測定されている。この場合、負荷トルクは軸1から、特に形状接続的に駆動体6に伝達され、そこからアクチュエータを介してモータハウジングもしくはブリッジエレメントに到達し、最終的にモータホルダ7に導出される。軸1は回転可能に支承されてモータハウジングもしくは軸受けホルダに組み込まれているので、軸受け箇所では、原理に起因して、トルク伝達は行われ得ない。
【0009】
したがって、作用するトルクMの負荷が全てアクチュエータ5.1,5.2によって受け止められ、導出されなければならない。これによって、アクチュエータ5.1,5.2が著しく撓み負荷される。既知のかつ新規の多くのアクチュエータ材料、特に現在使用されているセラミックス製の圧電性の多層アクチュエータは機械的に脆弱性と見なされる。したがって、特に高いトルク負荷時には、アクチュエータ材料にまず亀裂形成が生ぜしめられ、のちに破折による故障すら生ぜしめられ得る。
【0010】
撓み負荷によって、アクチュエータ材料の一部が引張負荷され、アクチュエータ材料の一部が圧縮負荷される。特に引張負荷は脆弱性のアクチュエータ材料、特に圧電セラミックス材料に対して著しく有害に作用する。これと異なり、圧縮負荷に対しては、この材料の高い強度および耐荷量が存在している。
【0011】
このような問題点の第1の解決手段は、まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願第102005022355号明細書に記載されているように、リニアアクチュエータを対を成して配置することにある。この場合、トルク負荷によって生ぜしめられるアクチュエータにおける機械的な応力の減少は、アクチュエータアッセンブリの面積慣性モーメントの増加によって達成される。
【0012】
同じく相応の面積慣性モーメントの増加を使用する別の解決手段が、方形の横断面を備えた圧電性の多層アクチュエータによる圧電性の環状モータに用いられる、製造に即した駆動ユニットの構造として、まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願第102006032993号明細書に記載されている。
【0013】
別の解決手段は、アクチュエータに対する機械的な高い圧力プリロードの能率的な提供を扱っている。ただし、この場合、この圧力プリロードはアクチュエータの変位を決して妨げてはならないかまたは僅かしか妨げてはならない。提供される圧力プリロードは、運転中に生ぜしめられる重畳する機械的な引張負荷成分を凌駕し、これによって、全体として、考えられる全ての運転状態において、アクチュエータ材料に有害な引張負荷が生ぜしめられ得ないことが望ましい。このような解決手段は、圧電性の作動駆動装置に設けられたピエゾアクチュエータに製造に即して機械的に圧力プリロードをかけるためのプリロードシステムとして、まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願第102006032995号明細書に記載され、圧電性の作動駆動装置に設けられたピエゾアクチュエータに製造に即して機械的な圧力プリロードをかけるための全周にわたって延びるばね線材として、まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願第102006032996号明細書に記載される。
【0014】
本発明の課題は、モータ軸に加えられるトルク負荷によって生ぜしめられる、特に機械的に脆弱性のアクチュエータの撓み負荷を減少させるかまたは完全に回避する固体アクチュエータ駆動装置の構成の提供にある。
【0015】
この課題を解決するために本発明の第1の固体アクチュエータ駆動装置では、駆動体が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、軸が、回転軸受けに配置されていて、アクチュエータによって軸の軸線に対して垂直なレベルでベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されているようにした。
【0016】
さらに、この課題を解決するために本発明の第2の固体アクチュエータ駆動装置では、駆動体が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、アクチュエータおよび/またはアクチュエータに、特に同時回転可能に配置された軸が、回転軸受けに配置されていて、駆動体に対して相対的に回転可能であり、軸が、アクチュエータによって軸の軸線に対して垂直なレベルでベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されているようにした。
【0017】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、駆動体が、ベースエレメントに固く取り付けられている。
【0018】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、それぞれ1つの駆動体開口を備えた2つの駆動体が設けられており、軸が、両駆動体と協働するようになっている。
【0019】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、2つの駆動体が、結合エレメントを介して互いに結合されていて、該結合エレメントを介してベースエレメントに取り付けられている。
【0020】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、2つの回転軸受けが設けられており、両回転軸受けが、それぞれ少なくとも1つのアクチュエータを介して、それぞれ少なくとも1つの駆動体に連結されている。
【0021】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、両回転軸受けが、結合エレメントを介して互いに結合されていて、該結合エレメントを介してアクチュエータによって駆動体に連結されている。
【0022】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、アクチュエータにリニアに作用する負荷の検出によって、軸に作用するトルクを測定するための検知装置が設けられている。
【0023】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、軸と、該軸によって駆動したいエレメントとの間に配置されたカップリング装置が設けられており、該カップリング装置が、軸と、駆動したいエレメントとの間で回転運動を伝達しかつ半径方向への軸の運動を絶縁するために形成されている。
【0024】
本発明の固体アクチュエータ駆動装置の有利な構成では、ベースエレメントが、当該駆動装置のハウジングまたはフレームであり、該ハウジングもしくは該フレームが、駆動体を上位の装置に固く結合している。
【0025】
本発明は、軸に作用するトルク負荷が、駆動体またはモータハウジング、軸受けホルダ、ブリッジエレメント等に直接伝達され、そこからモータホルダ、たとえばフレームまたは機台に直接導出されることに基づいている。この場合、アクチュエータは、有利には適切に配置された回転支承部材によって、トルクを伝達する一連のエレメントに関与しない。
【0026】
本発明によれば、軸と、この軸を半径方向に剛性的にかつ容易に回転可能に支承するための回転軸受けと、駆動体と、この駆動体と軸とを互いに相対的に励起し、この軸を駆動体に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータと、これらのコンポーネントが取り付けられたベースエレメントとを備えた固体アクチュエータ駆動装置が有利となる。この場合、1つの実施態様によれば、駆動体が、駆動体開口を備えて形成されており、軸が、駆動体開口内に少なくとも導入されているかまたは、別の実施態様によれば、軸が、中空軸として形成されており、駆動体の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメントが、中空軸内に配置されている。この場合、駆動体はベースエレメントに対して相対的に不動に配置されている。軸は回転軸受けによって固体アクチュエータに対して相対的に容易に回転可能に配置されていて、この固体アクチュエータによって軸の軸線に対して垂直なレベルでベースエレメントに対して相対的に調節可能であるかもしくは軸の半径方向にかつ接線方向にベースエレメントに対して相対的に調節可能である。この場合、駆動する方向成分は軸の軸線に対して垂直なレベルに位置している。この場合、場合により、揺動運動が、たとえば軸によって駆動されるエレメントの定置の回転支承に基づき生ぜしめられ得る。
【0027】
有利には、このような固体アクチュエータ駆動装置では、アクチュエータにトルク荷重が全く作用しないかまたは、場合により、もはや僅かなトルク荷重しか作用しない。このためには、半径方向への軸の、一目で不適切な軸振動もしくは横方向の運動が甘受される。しかし、詳しく考察してみると、軸の横方向の運動は、無視することができるかまたは補償することができる程度に僅かであることを確認することができる。重要な利点は、軸に作用しかつ公知先行技術ではアクチュエータに伝達されるトルク負荷によって生ぜしめられる、アクチュエータの一部における撓み荷重、特に撓み荷重に随伴した著しく有害な引張負荷が、アクチュエータが回転支承部材によって軸に対して相対的に軸におけるトルク負荷から絶縁されることによって、ここでは原理に起因して回避されることである。軸におけるトルク負荷は、アクチュエータが次第に過度に強く損傷されるかまたは完全に破壊されるように、もはやアクチュエータに作用し得ない。
【0028】
さらに有利には、このような固体アクチュエータ駆動装置では、アクチュエータがベースエレメントに対して相対的に回転しないことが有利である。これによって、アクチュエータの電気的な接続が容易になる。
【0029】
特に軸と、回転軸受けと、駆動体と、この駆動体と軸とを互いに相対的に励起し、この軸を駆動体に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータと、これらのコンポーネントが取り付けられたベースエレメントとを備えた固体アクチュエータ駆動装置に基づく実施態様も有利となる。この場合、駆動体が、駆動体開口を備えて形成されており、軸が、駆動体開口内に少なくとも導入されているかまたは軸が、中空軸として形成されており、駆動体の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメントが、中空軸内に配置されており、この場合、駆動体が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、アクチュエータおよび/またはアクチュエータに、特に同時回転可能に配置された軸が、回転軸受けに配置されていて、駆動体に対して相対的に回転可能であり、軸が、アクチュエータによって軸の半径方向にベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されている。この変更された別の実施態様によれば、アクチュエータが、1つには、軸に、特に剛性的に結合され、もう1つには、ベースエレメントに対して相対的に回転可能に支承される。これによって、アクチュエータも同じくトルクなしとなるものの、軸と共に回転する。
【0030】
種々異なる構成の一般的な基本思想は、1つまたは場合により複数の駆動体がベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、軸が、この軸の横方向の運動を甘受してベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されていることにある。
【0031】
有利には、特にこのような固体アクチュエータ駆動装置では、駆動体がベースエレメントに固く固定されている。言い換えるならば、駆動体がベースエレメントに対して相対的に定置に配置されていて、有利かつ選択的には、別の剛性的なエレメントを介在して、このようなベースエレメントにねじ締結されているかまたは溶接されているかまたはその他の形式で固く固定されている。
【0032】
それぞれ1つの駆動体開口を備えた2つの駆動体が有利である。この場合、軸は両駆動体と協働する。このようなアッセンブリでは、相応して、両駆動体または、場合により、さらに多くの駆動体が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されている。有利には、このようなアッセンブリでは、軸の長手方向における互いに間隔を置いて配置された2つの箇所で所定の駆動力が軸に作用し、これによって、軸の、有利には傾倒なしの安定した駆動が行われる。
【0033】
2つの駆動体は、有利には結合エレメントを介して互いに結合されていて、この結合エレメントを介してベースエレメントに取り付けられている。このような構成は、有利には、両駆動体の互いに相対的な不動の配置と同時に、共通のベースエレメントへの互いに平行な両駆動体の、間隔を置いて配置された固定可能性を提供する。
【0034】
有利には、それぞれ少なくとも1つのアクチュエータを介して、それぞれ少なくとも1つの駆動体に連結された2つの回転軸受けが使用される。2つまたはそれ以上のこのような回転軸受けは、有利には、軸を傾倒なしに、互いに間隔を置いて配置された2つの回転軸受けによって案内する可能性を提供する。両回転軸受けは、有利には結合エレメントを介して互いに結合されていて、この結合エレメントを介してアクチュエータによって駆動体に連結されている。
【0035】
有利には、このような固体アクチュエータ駆動装置では、アクチュエータにリニアに作用する負荷を検出することによって、軸に作用するトルクを測定するための検知装置が設けられている。アクチュエータへの直接的なトルク伝達が種々異なる実施態様によってまさに有利に回避されるとはいえ、にもかかわらず、驚くべきことに、軸に作用するトルクのトルク測定を実施することができる。これにより、たとえば制御装置が適切なアルゴリズムによって、アクチュエータにリニアに作用する負荷を検知することができる。このためには、場合によりアクチュエータに付与された制御電流または制御電圧が算出され、これにより、最終的にこのように測定された値によって、このようなトルクを推測することができる。したがって、検知装置は、有利にはアクチュエータと、制御のために提供された制御装置とによって置き換えられるかまたは、場合により、これに対して別個に提供された回路アッセンブリまたは制御アッセンブリによって置き換えられる。
【0036】
有利には、このような固体アクチュエータ駆動装置では、カップリング装置が設けられている。このカップリング装置は、軸と、この軸によって駆動したいエレメントとの間に配置されている。この場合、カップリング装置は、軸と、駆動したいエレメントとの間で回転運動を伝達しかつ半径方向への軸の運動を絶縁するために形成されている。したがって、このようなカップリング装置によって、有利には、ベースエレメントに対して相対的な軸の横方向の運動が、軸によって駆動したいエレメントへの伝達時に切り離され、これによって、この駆動したいエレメントも同様にこのような横方向の運動を実施しない。簡単な形式では、カップリング装置が、たとえば自体公知のベローズクラッチによって置き換えられていてよい。
【0037】
ベースエレメントは、特に駆動装置のハウジングまたはフレームである。この場合、このハウジングもしくはフレームは駆動体を上位の装置に固く結合する。
【0038】
したがって、機能的には、固体アクチュエータ駆動装置の作用原理における電気機械的なモータが提供される。このモータでは、駆動エレメントにおけるトルク荷重が、軸もしくは中空軸を介して、ベースエレメントの形のモータ保持部材に直接伝達される。この場合、アクチュエータがトルクの伝達路に位置していないことが有利である。アクチュエータと少なくとも1つの回転支承部材との協働によって、有利には半径方向の力しか駆動軸もしくは駆動エレメントに伝達され得ない。有利には、軸と、駆動したいエレメントとの間での回転の伝達に対する駆動エレメント、すなわち、軸もしくは中空軸の横方向の運動の絶縁が、たとえばベローズクラッチを介して提案される。
【0039】
多層状のPMA構造における固体アクチュエータのほかに、別の形式の固体アクチュエータ、たとえば磁気歪み式の固体アクチュエータ、電気歪み式の固体アクチュエータまたは電磁的に作用する固体アクチュエータを備えた構成も使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】固体アクチュエータを備えた第1の実施形態による有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントの概略的な平面図および側方の断面図である。
【図2】固体アクチュエータを備えた第2の実施形態による有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントの概略的な平面図および側方の断面図である。
【図3】固体アクチュエータを備えた第3の実施形態による有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントの概略的な平面図および側方の断面図である。
【図4】固体アクチュエータを備えた第4の実施形態による有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントの概略的な平面図および側方の断面図である。
【図5】固体アクチュエータを備えた公知先行技術の実施形態による有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントの概略的な平面図および側方の断面図である。
【0041】
1つの実施例を以下に図面につき詳しく説明する。種々異なる図面において同じ符号を使用する限り、それぞれ同じかまたは同様に作用するコンポーネントまたは機能を表している。これに相俟って、それぞれ別の図面に対する説明で相応の構成を示している。
【0042】
図1から明らかであるように、例示した固体アクチュエータ駆動装置は多数の個別コンポーネントから成っている。この場合、図示のコンポーネントは、別のコンポーネントによって補足可能であるかもしくは同様に作用する別の構造のコンポーネントに交換可能である。
【0043】
固体アクチュエータ駆動装置は、概略的にしか図示していないハウジングまたはフレーム7を有している。このハウジングまたはフレーム7は別のコンポーネントを収容しているかまたは支持している。ハウジング内には、軸受けアッセンブリによって軸1が配置されている。この場合、この軸1の軸線Zは軸方向にハウジングを越えて延びている。軸1を軸線Zを中心として軸回転させるためには、駆動装置が働く。
【0044】
この駆動装置は、主として、有利には固体アクチュエータの形の、リニアに作用する、有利には2つまたはそれ以上のアクチュエータ5.1,5.2と、1つの駆動体6とを有している。さらに、駆動装置は、1つの軸受けホルダ3と、1つまたはそれ以上の回転軸受け2とを有している。
【0045】
図示の実施形態では、軸受けホルダ3が、同時に結合エレメントを形成して、側方に開放されたU字形のエレメントから形成されている。この場合、軸受けホルダ3の互いに平行な両脚部は、軸線Zに対して半径方向に延びている。軸受けホルダ3には、両方の回転軸受け2が配置されている。これらの回転軸受け2を軸1が貫通している。したがって、主として、軸1が少なくとも1つの回転軸受け2で、有利には傾倒に対する安定化のために2つの回転軸受け2で、回転可能であるものの、その半径方向には不動に軸受けホルダ3に支承されている。
【0046】
駆動体6は円形の駆動体開口6.1を有している。この駆動体開口6.1は、特に駆動体6を貫く貫通開口として形成されている。軸1は駆動体開口6.1を貫通しているかまたは少なくとも駆動体開口6.1内に導入されている。この場合、第1の直径dとしての軸1の外径は、第2の直径Dとしての駆動体開口6.1の内径よりも小さく寸法設定されている。両直径d,Dの比は、アクチュエータ5.1,5.2の最大のアクチュエータ変位量aが両直径の差よりも大きい、すなわち、a>(D−d)が当てはまるように設定されている。駆動体6は、軸1をアクチュエータ5.1,5.2によって駆動するために調節され、これによって、軸1の軸外壁が、有利には一貫して駆動体内壁に摩擦接触しており、これによって、アクチュエータ5.1,5.2による駆動体6の適切な制御によって、駆動体6が、軸1を軸回転させる運動にもたらされる。
【0047】
アクチュエータ5.1,5.2を駆動するためには、固体アクチュエータ駆動装置が、組み込まれたコンポーネントまたは場合により固有の外部のコンポーネントとしての制御装置Cを有している。この制御装置Cは、慣用の形式で導体を介してアクチュエータ5.1,5.2に接続されており、これによって、このアクチュエータ5.1,5.2に構成に応じて電荷または電圧が印加され、これによって、アクチュエータ5.1,5.2が制御に相応して長手方向にリニアに伸長しかつ/または収縮する。
【0048】
アクチュエータ5.1,5.2は、盲部材として駆動体6と軸受けホルダ3との間に配置されており、これによって、この軸受けホルダ3と回転軸受け2とを介して、軸1が駆動体6に対して相対的に擬円形の並進運動にもたらされる。言い換えるならば、軸1の軸線Zがアクチュエータ5.1,5.2の適切な制御によって駆動体開口軸線Zを中心として回転する。この駆動体開口軸線Zは軸線Zに対して平行に延びていて、駆動体開口6.1を通る中心軸線を形成している。しかし、知られている実施形態に対して、回転軸受け2を備えた軸受けホルダ3がフレーム7もしくはハウジングに固く結合されておらず、種々異なる実施形態では、駆動体6がフレーム7に固く結合されている。
【0049】
まとめると、このように有利な固体アクチュエータ駆動装置の主要な構造は、駆動体6が固く取り付けられたフレーム7と、軸1を支承するための軸受けホルダ3を駆動体6に調節可能に取り付けるアクチュエータ5.1,5.2とから成っている。これによって、駆動体6が定置にフレーム7に配置されているのに対して、軸1は駆動体6ひいてはフレーム7に対して相対的に僅かな回転運動または振動運動を実施する。
【0050】
駆動体6と軸受けホルダ3との間へのアクチュエータ5.1,5.2の配置は、有利には駆動体6と軸受けホルダ3とに対する固い結合によって行われる。この場合、有利には、アクチュエータ5.1,5.2が、軸受けホルダ3の、軸線Zに対して平行に延びる区分に位置固定されている。しかし、アクチュエータ5.1,5.2が、必ずしも固く固定されて駆動体6と軸受けホルダ3との間に配置されておらず、駆動体6と軸受けホルダ3との間に緩く挿入されている別の実施形態も可能である。このような配置事例は、たとえば2つよりも多くのアクチュエータ5.1,5.2が軸受けホルダ3と駆動体6との間に配置されており、これによって、回転軸受け2もしくは軸受けホルダ3に対して相対的な駆動体6の駆動のために、その都度アクチュエータ5.1,5.2の伸長運動しか使用されない場合に可能となる。
【0051】
したがって、図1には、著しく抽象化して第1の実施形態の構造が示してある。この構造は、図4に示した公知先行技術と、主として、黒い三角形によってシンボリックに示した保持条件の変更の点でしか異なっていない。この場合、有利な駆動体6は静止していると見なすことができる。これに対して、たとえばモータハウジングとしてのベースエレメント7、軸受けホルダまたはブリッジエレメントは、回転軸受け2および軸1と共に、リニアアクチュエータとして形成されたアクチュエータ5.1,5.2によって駆動体6に対して相対的に運動させられる。
【0052】
モータ軸として使用可能な軸1が静止しておらず、アクチュエータ5.1,5.2によってモータ軸線、すなわち、特に駆動体開口軸線Zに対して平行に励起され、これによって、円形の変位運動が生ぜしめられることは煩わしいと感じられ得る。しかし、変位距離が、アクチュエータ変位量aの極端な事例において、現在の使用事例で多くとも最大200μmであることが考慮される場合には、駆動したいエレメントからの軸1の振動絶縁のための簡単な手段によって、軸の変位運動の問題を容易に排除することができることが明確となる。このことは、たとえば横方向に軟性であるものの、ねじりに対して剛性的なベローズクラッチの形のカップリング装置によって簡単に可能となる。寸法が記載される限り、この寸法によって、これと異なる寸法を備えた可能な別の実施形態への制限は設けられない。
【0053】
回転軸受け2は、この構造では、アクチュエータ5.1,5.2に、軸1に作用する負荷トルクMが伝達され得ることを阻止している。したがって、アクチュエータの撓み負荷が確実にまたは少なくとも十分確実に回避される。
【0054】
図2による別の実施形態では、図1による配置事例が変更されており、軸1が、ただ1つの駆動体6の駆動体開口6.1を貫通しておらず、互いに間隔を置いて配置された2つの駆動体6の駆動体開口6.1を貫通している。軸1の支承は、この実施形態では、ただ1つの回転軸受け2で行われる。この回転軸受け2は軸受けホルダ3内に配置されている。この軸受けホルダ3は、相応して、U字形のエレメントから形成されておらず、簡単な構成では、たとえば正方形のまたは円形のエレメントから形成されている。両駆動体6はブリッジエレメント4を介して互いに固く結合されており、これによって、両駆動体6は、共通の駆動体開口軸線Zを中心とした同様の運動を実施する。軸受けホルダ3への駆動体6のカップリングは、やはりアクチュエータ5.1,5.2を介して行われる。この場合、このアクチュエータ5.1,5.2は、図示の実施形態では、軸受けホルダ3の外壁と、ブリッジエレメント4の、軸受けホルダ3の外壁に向かい合って位置する壁との間に配置されている。この実施形態では、駆動体6も同じく位置不動にフレーム7に結合されている。この場合、このフレーム7への結合は、たとえば結合エレメントとしてのブリッジエレメント4を介して行われる。
【0055】
したがって、図2には、このように形成可能な電気機械的なモータの第2の実施形態が示してある。この場合、軸1は半径方向に剛性的であるものの、回転可能に1つの回転軸受け2によって軸受けホルダ3に支承されている。第1の直径dを備えた軸1は、第2の直径Dとしての僅かに大きな孔直径を備えた、たとえば環状孔として形成されたそれぞれ1つの駆動体開口6.1を備えた2つの駆動体6によって取り囲まれる。両駆動体6は、結合エレメント4としての、たとえば2つのブリッジエレメントによって機械的に剛性的に結合される。一方のブリッジエレメントは、Xアクチュエータとして軸線Zに対して横方向のX方向に作用しかつ配置されたアクチュエータ5.1に対する支持体を同時に提供しており、他方のブリッジエレメントは、YアクチュエータとしてX方向に対して横方向のかつ軸線Zに対して横方向のY方向に作用しかつ配置されたアクチュエータ5.2に対する支持体を提供している。
【0056】
機能エレメント、すなわち、駆動体6とブリッジエレメントとは、1つまたはそれ以上の部材から成るモータハウジングの統合的な構成要素として形成されていてよい。駆動側の端部では、リニア型のアクチュエータ5.1,5.2が、有利には機械的に剛性的に軸受けホルダ3に結合されている。電気機械的に作用するアクチュエータ5.1,5.2の適切な制御によって、軸1が円形の変位運動の形で駆動体6に対して相対的に変位させられる。これによって、軸1の外径が駆動体開口6.1内で転動する。これによって、軸1が回転させられる。このためには、二倍の変位振幅に相当する最大のアクチュエータ変位量aが、摩擦接続されたアッセンブリの事例において、両直径D,dの直径差を上回っていなければならない。駆動体6と軸1との間の力伝達は、この事例では、摩擦接続的に行われる。力伝達を改善しかつスリップを回避するためには、リングと、このリングに対応する軸区分との間に歯列が加工されてよい。
【0057】
モータ保持部材へのモータの機械的な取付けは、この事例では、再び三角形によって一方の結合エレメントにシンボリックに示したように、モータハウジングを介して行われる。したがって、たとえばモータハウジングの形の固定エレメント7は、静止していると見なすことができる。これに対して相対的に軸1と軸受けホルダ3とは運動させられる。駆動したいエレメントへの軸1の連結は、振動絶縁のために、有利には横方向に軟性であるものの、ねじり剛性的なカップリングエレメント、たとえばベローズクラッチを介して行われる。
【0058】
軸1に作用する負荷トルクは、摩擦接続または形状接続を介して駆動体6もしくは固定エレメント7に伝達され、そこから直接モータ保持部材に案内される。軸1と軸受けホルダ3との間の回転支承部材のおかげで、アクチュエータ5.1,5.2を介して、軸1からハウジングへのトルク伝達は行われ得ない。したがって、リニアに作用するアクチュエータ5.1,5.2が、軸1におけるトルク負荷によって撓み負荷されない。
【0059】
この第2のモータ変化形態は、第1の変化形態に対する利点として、静止したモータハウジングを有している。運動させられる質量体は、第2の変化形態では、理想的には著しく僅かであり、したがって、モータ支承部材に対する振動励起も理想的には同じく僅かになる。
【0060】
図3には、さらに変更された実施形態が示してある。この実施形態では、軸1°が中空軸として形成されているかまたはベル状に形成されている。軸1°の内部には、1つまたはそれ以上の駆動体6°が配置されている。このような駆動体6°は少なくとも1つのリング状のまたはディスク状のエレメント6.1°を有している。第1の直径d°としてのエレメント6.1の直径は、第2の直径D°として働く軸1°の内径よりも僅かに小さく寸法設定されている。軸1°は再び2つまたはそれ以上のアクチュエータ5.1,5.2を介して駆動体6°に対して相対的に並進運動させられる。このためには、アクチュエータ5.1,5.2が、駆動体6°の、軸線Zに対して平行に延びる区分と、回転軸受け2を支承するための軸受けホルダ3との間に設置されている。特に3つまたはそれ以上のアクチュエータ5.1,5.2の配置事例では、固い結合が有利となるにもかかわらず、これらのアクチュエータ5.1,5.2が、有利には駆動体6°と軸受けホルダ3とに固く結合される必要はない。この配置事例では、回転軸受け2が、軸受けホルダ3を外面で取り囲んでガイドして、この軸受けホルダ3と、中空軸として形成された軸1°の内周面との間に装着されている。
【0061】
主要なアスペクトとして、この実施形態では、駆動体6°が、アッセンブリ全体を支持するフレーム7に位置不動に結合されている。
【0062】
したがって、この実施形態では、駆動体6°の内部に位置するアクチュエータ5.1,5.2を備えたモータ変化形態が提案される。このモータ変化形態では、駆動体6°の外面がベルハウジングを駆動する。このベルハウジングは軸1°に結合されているかもしくは自体中空軸を形成している。
【0063】
これに基づく変化形態は、円筒状のベルハウジングもしくは軸1°の内部、すなわち、第2の直径Dとしてのベルハウジングもしくは軸1゜の内径の内部に位置する、リニアに作用する電気機械的なアクチュエータ5.1,5.2を備えて形成されている。このアクチュエータ5.1,5.2は、軸受け側で機械的に剛性的にステータ3に取り付けられている。このステータ3は、固有のコンポーネントまたは駆動体6°のリング状のまたはディスク状のエレメント6.1として形成されている。このように形成されたモータは、ステータで、三角形によってシンボリックに示したように、モータホルダ(図示せず)、たとえばフレーム7または機台に取り付けられる。ステータは少なくとも1つの円筒状のディスクを有しているものの、対称性理由から、有利には2つの円筒状のディスクを有している。両ディスクは、ここでは第1の直径dとして働きかつベルハウジングもしくは軸1°の内径よりもほんの僅かに小さく選択される外径を備えている。軸1°は回転軸受け2によって半径方向に剛性的であるもの、回転可能に軸受けホルダ3に支承される。電気機械的に作用するアクチュエータ5.1,5.2はその駆動側の端部で機械的に剛性的に軸受けホルダ3に結合される。リニアアクチュエータの適切な制御によって、軸1°が軸受けホルダ3と回転軸受け2と共に円形に変位させられ、これによって、直径Dを備えた軸1°の内面がステータディスクの円筒状の外面に対して転動し、これによって、回転させられる。
【0064】
ベルハウジングの内径とステータディスクの外径との間の直径差は、摩擦接続的な力伝達時には、再び最大のアクチュエータ変位量a>(D−d)よりも僅かでなければならない。この場合、軸1°の内面とディスク外面との間の力伝達は摩擦接続的である。歯列の被着によって、力伝達の改善とスリップフリーの保証との既知の利点を備えた形状接続を達成することもできる。
【0065】
このように形成されたモータの回転運動は、ベルハウジングもしくは軸1°に作用させられる。この軸1°の、回転に重畳された円形の変位運動は、振動絶縁のための慣用の手段、たとえばベルハウジングもしくは軸1°と、駆動したいエレメントとの間への横方向に軟性であるものの、ねじり剛性的なベローズクラッチの使用によって容易に抑圧することができる。
【0066】
負荷トルクが軸1°に作用すると、この負荷トルクがステータディスクを介してモータ支承部材に伝達される。アクチュエータ5.1,5.2は回転軸受け2に基づきトルクなしのままであり、したがって、撓み負荷に決してさらされないかまたは過度に強い撓み負荷に決してさらされない。さらに、多数の別の変化形態が可能である。これらの変化形態は同一の基本構造に基づいている。したがって、たとえば軸を固体アクチュエータによってベースエレメントに対して相対的に軸の半径方向に調節可能にベースエレメントに取り付けることができ、さらに、駆動体を同じく直接ベースエレメントに取り付けることができる。このような事例では、結合エレメントが省略されるかもしくはベースエレメント自体が結合エレメントを形成している。
【0067】
さらに、回転軸受けが固有のエレメントとして形成されている必要はなく、機能的に相応の構成、たとえばアクチュエータの保持部材または端区分によって形成されていてよい。
【0068】
図4には、固体アクチュエータを備えた有利な固体アクチュエータ駆動装置のコンポーネントが概略的に平面図でかつ側方の断面図で第4の実施形態により示してある。この第4の実施形態はほぼ第3の実施形態に基づいている。違いは、軸1゜もアクチュエータ5.1,5.2も一緒にかつ互いに相対回動不能に回転軸受け2に配置されていることにある。したがって、軸1°もアクチュエータ5.1,5.2も駆動体2°に対して相対的に回転させられる。この事例では、制御装置へのアクチュエータの電流接続もしくは電圧接続が、たとえば誘導的にまたは摺動接点を介して行われる。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、軸と共に回転するアクチュエータの原理が、第1の実施例のコンセプトに転用されてもよい。原理的には、アクチュエータが第1の回転軸受けを介して軸に対して回転可能に支承されていて、第2の回転軸受けを介して駆動体に対して回転可能に支承されている転換すら可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,1° 軸、 2 回転軸受け、 3 軸受けホルダ、 4 ブリッジエレメント、 5.1,5.2 アクチュエータ、 6,6° 駆動体、 6.1 駆動体開口、 6.1° エレメント、 7 フレーム、 a アクチュエータ変位量、 C 制御装置、 d,d° 第1の直径、 D,D° 第2の直径、 M 負荷トルク、 Z 軸線、 Z 駆動体開口軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体アクチュエータ駆動装置であって、
−軸(1;1°)と、
−該軸(1;1°)を回転可能に支承するための回転軸受け(2)と、
−駆動体(6;6°)と、
−該駆動体(6;6°)と軸(1;1°)とを互いに相対的に励起し、該軸(1;1°)を駆動体(6;6°)に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータ(5.1,5.2)と、
−前記コンポーネントが取り付けられたベースエレメントとが設けられており、
−駆動体(6)が、駆動体開口(6.1)を備えて形成されており、軸(1)が、駆動体開口(6.1)内に少なくとも導入されているか
−または軸(1゜)が、中空軸として形成されており、駆動体(6°)の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメント(6.1゜)が、中空軸内に配置されている形式のものにおいて、
−駆動体(6)が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、
−軸(1;1°)が、回転軸受け(2)に配置されていて、アクチュエータ(5.1,5.2)によって軸(1;1°)の軸線に対して垂直なレベルでベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されていることを特徴とする、固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項2】
固体アクチュエータ駆動装置であって、
−軸(1;1°)と、
−回転軸受け(2)と、
−駆動体(6;6°)と、
−該駆動体(6;6°)と軸(1;1°)とを互いに相対的に励起し、該軸(1;1°)を駆動体(6;6°)に対して相対的に回転させるための少なくとも2つのアクチュエータ(5.1,5.2)と、
−前記コンポーネントが取り付けられたベースエレメントとが設けられており、
−駆動体(6)が、駆動体開口(6.1)を備えて形成されており、軸(1)が、駆動体開口(6.1)内に少なくとも導入されているか
−または軸(1゜)が、中空軸として形成されており、駆動体(6°)の、リング状のまたはディスク状の周面を備えたエレメント(6.1゜)が、中空軸内に配置されている形式のものにおいて、
−駆動体(6)が、ベースエレメントに対して相対的に不動に配置されており、
−アクチュエータ(5.1,5.2)および/またはアクチュエータ(5.1,5.2)に、特に同時回転可能に配置された軸(1゜)が、回転軸受け(2)に配置されていて、駆動体(6゜)に対して相対的に回転可能であり、
−軸(1゜)が、アクチュエータによって軸(1゜)の軸線に対して垂直なレベルでベースエレメントに対して相対的に調節可能に配置されていることを特徴とする、固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項3】
駆動体(6)が、ベースエレメントに固く取り付けられている、請求項1または2記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項4】
それぞれ1つの駆動体開口(6.1)を備えた2つの駆動体(6)が設けられており、軸(1;1°)が、両駆動体と協働するようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項5】
2つの駆動体(6)が、結合エレメント(4)を介して互いに結合されていて、該結合エレメント(4)を介してベースエレメントに取り付けられている、請求項4記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項6】
2つの回転軸受け(2)が設けられており、両回転軸受け(2)が、それぞれ少なくとも1つのアクチュエータ(5.1,5.2)を介して、それぞれ少なくとも1つの駆動体(6)に連結されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項7】
両回転軸受け(2)が、結合エレメント(4)を介して互いに結合されていて、該結合エレメント(4)を介してアクチュエータ(5.1,5.2)によって駆動体(6)に連結されている、請求項6記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項8】
アクチュエータ(5.1,5.2)にリニアに作用する負荷の検出によって、軸に作用するトルク(M)を測定するための検知装置が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項9】
軸(1)と、該軸によって駆動したいエレメントとの間に配置されたカップリング装置が設けられており、該カップリング装置が、軸と、駆動したいエレメントとの間で回転運動を伝達しかつ半径方向への軸(1)の運動を絶縁するために形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の固体アクチュエータ駆動装置。
【請求項10】
ベースエレメントが、当該駆動装置のハウジングまたはフレーム(7)であり、該ハウジングもしくは該フレームが、駆動体(6;6°)を上位の装置に固く結合している、請求項1から9までのいずれか1項記載の固体アクチュエータ駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−504732(P2010−504732A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529660(P2009−529660)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059855
【国際公開番号】WO2008/037633
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】