説明

固定用部品及び電子機器

【課題】 従来のロック部品とレバー部品とを含む固定構造の機能を維持しつつ、部品点数及び製造コストを低減できる固定用部品を提供することを課題とする。
【解決手段】 第1操作部33は第1方向への移動操作を受けて、第1方向と交差する第2方向への移動を許可する。装着部品係合部36は、第1操作部33に連結され、第1操作部33の第2方向への移動により装着部品20との係合を解除する。第2操作部35は装着部品係合部36に連結され、第2方向への移動操作を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は電子機器の筐体に部品を取り外し可能に固定するための固定用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、筐体に対して取り外し可能に取り付けられる部品を有するものがある。例えば、バッテリ駆動の携帯型電子機器には、電池パックが取り外し可能に筐体に取り付けられる構造が適用されることが多い。このような電池パックを筐体に取り付けて固定するために、筐体は固定用部品を使った固定構造を有する。
【0003】
携帯型電子機器は、その持ち運びのときなどに様々な外力を受ける。そのため、電池パックの固定構造は、外力により電池パックが簡単に外れてしまわないような構造とすることが好ましい。そこで、電池パックの固定構造は、例えば、第1方向(以下、X方向ともいう)にスライドして電池パックに係合するロック部品と、X方向に垂直な第2方向(以下、Y方向ともいう)にスライドしてロック部品のスライドを可能及び不能にするレバー部品とを設けた固定構造が採用される。
【0004】
すなわち、ロック部品が電池パックに係合して電池パックが固定された状態において、レバー部品がロック部品を移動不能な状態(スライドできない状態)とする。レバー部品は、ロック部品を移動不能の状態にする位置に付勢される。ロック部品は、レバー部品が付勢力に抗して移動してロック部品の移動を許可する状態(移動可能な状態)にならないと移動されない。したがって、レバー部品が操作されるような外力と、ロック部品が操作されるような外力とが同時に作用しない限り、電池パックの固定は解除されない。
【0005】
上述の電池パックの固定構造は、上述のように機能するために、ロック部品とレバー部品の2つの部品を使用しており、その分、部品コストがかかる。また、電池パックを取り外す際には、ユーザは、レバー部品を一方の手で操作し、ロック部品を他方の手で操作するというように、両手を使わなければならず、面倒な操作であった。
【0006】
固定構造の先行技術として、スライド可能に保持された蓋部にロック用爪が弾性支持され、ロック用爪が筐体側の突起と係合してロック機能を果たす固定構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、筐体の孔からピンを差し入れてピンにより蓋部のロック解除部を押すことにより蓋部のロックが解除され、蓋部を移動することができるようになる固定構造が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−22347号公報
【特許文献2】特開2001−68082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の先行技術の固定構造において、固定された蓋部のロックを解除する操作は、ボタン等を押圧する操作であり、蓋部を移動する方向が含まれる面(XY面)に対し垂直な方向(Z方向)となる。ところが、上述のロック部品とレバー部品とを有する固定構造は、ロック部品が移動する方向を含む面とレバー部品が移動する方向を含む面が同一面(XY面)である。したがって、上述のロック部品とレバー部品とを有する固定構造は、上述の先行技術の固定構造をそのまま採用し得ない。
【0009】
そこで、従来のロック部品とレバー部品とを含む固定構造の機能を維持しつつ、部品点数を減らして製造コストを低減できる固定用部品の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、第1方向への移動操作を受けて、該第1方向と交差する第2方向への移動を許可する第1操作部と、前記第1操作部に連結され、前記第1操作部の前記第2方向への移動により装着部品との係合を解除する装着部品係合部と、前記装着部品係合部に連結され、前記第2方向への移動操作を受ける第2操作部とを有する固定用部品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
固定用部品が第1操作部と第2操作部とを含むため、装着部品を固定するための部品が一つとなり、部品点数及び組み立て工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態によるノートパソコンの斜視図である。
【図2】ノートパソコンの底面の平面図である。
【図3】電池パックを取り外した状態のノートパソコンの底面を示す平面図である。
【図4】筐体の斜視図であり、固定用部品と電池パック20が取り外された状態が示されている。
【図5】図4に示す固定用部品の拡大図斜視図である。
【図6】図5に示す固定用部品の上下を逆にした状態の斜視図である。
【図7】図6に示す固定用部品の第1の端部の拡大斜視図である。
【図8】固定用部品をレバーとスライドノブの側から見た平面図である。
【図9】電池パックが固定された状態の筐体の底面の一部を示す図である。
【図10】図9のX−X線に沿った断面図である。
【図11】固定用部品の第1の端部付近の図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】固定用部品の第2操作部付近の図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線に沿った断面図である。
【図15】電池パック固定用レバーを引き下げた状態の筐体の底面の一部を示す図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿った断面図である。
【図17】固定用部品の第1の端部付近の図16におけるXVII−XVII線に沿った断面図である。
【図18】電池パックの固定が解除された状態の筐体の底面の一部を示す図である。
【図19】図18のXIX−XIX線に沿った断面図である。
【図20】固定用部品の第1の端部付近の図19におけるXX−XX線に沿った断面図である。
【図21】図20におけるXXI−XXI線に沿った断面図である。
【図22】固定用部品の第2操作部付近の図19におけるXX−XX線に沿った断面図である。
【図23】図22におけるXXIII−XXIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は一実施形態による電池パック固定用部品が組み込まれた筐体を有する携帯型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)の斜視図である。図2は図1に示すノートパソコンの底面を示す平面図である。
【0014】
ノートパソコン10は、筐体12を含む本体部14と、本体部14の一辺側に回動可能に取り付けられた表示パネル部16とを有する。筐体12は通常プラスチック部品であり、内部に回路基板、記憶装置、入出力装置などの部品が組み込まれている。ノートパソコン10は携帯型電子機器であり、ユーザが持ち運びしやすいように小型で軽量となるように設計されている。
【0015】
ノートパソコン10は、内部電源として電池を有し、電池からの電力で動作する。電池は、交換可能なように、電池パック20としてノートパソコン10の筐体12に組み込まれる。図2に示すように、電池パック20の外面20aはノートパソコン10の筐体12の底面12aの一部を形成している。なお、ノートパソコン10は、電池だけではなく、外部電源によって動作可能であってもよい。
【0016】
本実施形態は上述の電池パック20を筐体12に組み込んで固定するための固定用部品に係わるものである。本実施形態では電子機器の一例としてノートパソコンについて説明するが、ノートパソコンに限らず様々な電子機器にこの固定用部品を適用することができる。特に、持ち運びの際に様々な外力が作用するような携帯型電子機器にこの固定用部品を適用することで大きな効果を得ることができる。また、筐体に組み込まれて固定される部品は電池パックに限られず、例えば、ハードディスク装置やメモリ装置などの他の部品であってもよい。また、これらの部品を開口部から筐体内に収容してから筐体の開口部を閉鎖するためのカバーあるいは蓋もその部品とみなしてもよい。
【0017】
電池パック20は、装着部品として筐体12に装着されて固定されているが、筐体12から取り外し可能である。ユーザが電池パック20を取り外すときは、まず、レバー32を引き下げ(図2において電池パック10から遠ざかるY方向に移動し)、スライドノブ34の移動を可能にする。すなわち、レバー32は、電池パック20に向かう方向に付勢されており、通常はスライドノブ34の移動を防止する位置にある。スライドノブ34が移動可能となるには、レバー32を引き下げる必要がある。
【0018】
ユーザは、レバー32を引き下げてスライドノブの固定が解除された状態で、スライドノブ34を移動する(図2においてレバー32の向きであるX方向に移動する)。それにより、電池パック20は、その固定が解除され、筐体12から取り外し可能となる。本実施形態では、レバー32とスライドノブ34とが一体の一つの部品(固定用部品30:図4参照)として形成される。これにより、レバー32を含む部品(すなわち、スライドノブ34の移動を可能及び不能とするための部品)と、スライドノブ34を含む部品(すなわち、電池パック20に係合して固定するための部品)とを別々の部品として筐体12に組み込む必要がなくなる。また、これにより部品点数が削減され、組み立て工数が削減される。
【0019】
レバー32とスライドノブ34とを一体にした一つの固定用部品30のため、スライドノブ34が移動されると、レバー32も同じ方向に移動する。したがって、レバー32が突出するように筐体12に設けられたレバー用開口12fは、レバー32が横方向(X方向)にも移動できるような大きさに形成されている。このような構成によれば、レバー32が引き下げながら横方向に移動されることで、レバー32とスライドノブ34とが一体となった固定用部品30は横方向に移動される。すなわち、レバー32が引き下げてから横方向に移動することで、スライドノブ34が移動し、電池パック20の固定が解除される。したがって、レバー32を引き下げてスライドノブ34の固定を解除してからスライドノブ34を移動して電池パック20の固定を解除するという2つの動作を、ユーザは、レバー32を片手で操作するだけで達成することができる。ただし、片手だけによるレバー32の操作がやり難い場合、ユーザは、一方の手でレバー32を引き下げ、他方の手でスライドノブ34を移動するというように両手で操作して、電池パック20の固定を解除してもよい。
【0020】
次に、固定用部品30の形状について詳細に説明する。
【0021】
図3は電池パック20を取り外した状態のノートパソコン10の底面を示す平面図である。図4は筐体12の斜視図であり、固定用部品30と電池パック20が取り外された状態が示されている。
【0022】
まず装着部品としての電池パック20について説明する。電池パック20は図4に示すように細長い直方体のケースの中に電池(セル)が収容されたものである。図4には、電池パック20がその表側(図2に示された外面20a)を下にして示されている。
【0023】
電池パック20は、その裏側(図4における上側)に電極22を備える。電池パック20が筐体12の電池収容部12bに収容されると、電池パック20の電極22は、筐体12の電池収容部12bの奥に配置された機器側の電極12cに接続される。これにより、電池パック20の電池からノートパソコン10に電力が供給される。
【0024】
図4に示すように、電池パック20の側面には、固定用部品30と係合することで電池パック20を固定するための爪部24が突出して形成されている。電池パック20の一部である爪部24は、電池パック20が電池収容部12b内に収容されると、電池収容部12bの内壁に形成されたスリット状の開口12d内に突出した状態となる。後述のように、スリット状の開口12dには固定用部品30のロックレバー36の係合部が移動可能に配置されている。固定用部品30が移動されることで、ロックレバー36の係合部は、開口12d内にて電池パック20の爪部24に係合し、これにより電池パック20が固定される。電池パック20の固定動作及び固定状態について後述する。
【0025】
ここで、固定用部品30の形状について説明する。図5は図4に示す固定用部品30の拡大図斜視図である。図6は図5に示す固定用部品30を上下逆にした状態の斜視図である。
【0026】
上述のように、固定用部品30は、レバー32とスライドノブ34とを一体にして形成した部品である。レバー32はユーザが操作する第1操作部33に含まれ、スライドノブ34はユーザが操作する第2操作部に含まれる。レバー32を含む第1操作部33と、スライドノブ34を含む第2操作部35とは、装着部品係合部の一例であるロックレバー36により繋がっている。ロックレバー36には、図6に示すように、複数の係合部37が設けられている。係合部37は、固定用部品30が筐体12に組み込まれた際に、上述のようにスリット状の開口12dの中に位置するよう固定用部品30に設けられる。
【0027】
固定用部品30の第1操作部33には、レバー32が形成された係合プレート38が形成されている。図7は図6に示す第1操作部33の拡大斜視図である。図8は固定用部品30の平面図である。第1操作部33に設けられた係合プレート38は、弾性接続部39によりロックレバー36に接続される。弾性接続部39はコの字状の薄い板部材であり、容易に弾性変形する。
【0028】
すなわち、係合プレート38に形成されたレバー32にロックレバー36から遠ざかる方向に力を加えると、弾性接続部39が弾性変形することで係合プレート38はロックレバー36から遠ざかる方向に移動する。なお、ロックレバー36から遠ざかる方向は、図2におけるロックレバー32を引き下げる方向に相当する。レバー32に加える力を無くすと、弾性接続部39の変形が戻ることで、レバー32を含む係合プレート38は元の位置に戻る。このように、ユーザは、レバー32に操作力を加えることで、係合プレート38を僅かに移動することができ、操作力を無くすことで係合プレート38を元の位置に戻すことができる。
【0029】
図7に示すように、係合プレート38には、2つの係合凹部38a,38bが形成されている。係合凹部38a,38bは、筐体12に形成された係合突起部12e(図4参照)に係合する形状である。2つの係合凹部38a,38bのどちらかが係合突起部12eに係合することで、係合プレート38を含む固定用部品30はその位置に固定される。特に、係合凹部38aが筐体12の係合突起部12eに係合しているときは、ユーザは、スライドノブ34を操作して固定用部品30を移動しようとしても、係合凹部38aと係合突起部12eとの係合を解除することができず、固定用部品30を移動することはできない。後述のように固定用部品30がこの位置において、電池パック20は筐体12に固定された状態となる。
【0030】
固定用部品30の第2操作部35には、スライドノブ34が形成されている。スライドノブ34とロックレバー36が繋がる部分は、その接続部の強度を確保するためにスライドノブ34の幅とほぼ同じ幅に形成されている。
【0031】
以上のような構成の固定用部品30は、筐体12の電池収容部12bの外壁に沿って移動可能に筐体12に配置される。固定用部品30が筐体12の電池収容部12bの外壁に沿って移動可能に配置された状態では、固定用部品30のレバー32は筐体12のレバー用開口12f内で筐体12の底面12a側に突出する。また、スライドノブ34は、筐体12の底面側に露出して、使用者により操作可能な状態になる。さらに、固定用部品30の係合部37は、筐体12の電池収容部12bのスリット状の開口37内に配置される。また、固定用部品30の係合プレート38に形成された係合凹部38aは、筐体12に形成された係合突起部12eに係合した状態となる。
【0032】
次に、固定用部品30による電池パック20の固定動作について説明する。
【0033】
まず、筐体12の電池収容部12bに収容された電池パック20が固定用部品30によって筐体12に固定された状態について説明する。図9は電池パック20が固定された状態の筐体12の底面の一部を示す図である。図10は図9のX−X線に沿った断面図である。図11は固定用部品30の第1操作部33付近の図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。図12は図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【0034】
電池パック20が筐体12に固定された状態では、図9に示すように、スライドノブ34はX方向の右側に移動した位置にある。また、レバー32は、図9及び図10に示すようにレバー用開口12f内でY方向の上側(電池パック20の側)に位置している。このとき、図11に示すように、固定用部品30の係合プレート38の係合凹部38aが筐体12の係合突起部12eに係合している。図11に示すように、係合突起部12eの左側面(外面)は固定用部品30の移動方向(X方向)に対して垂直な面となっており、且つ係合凹部38aの左側の内面も固定用部品30の移動方向(X方向)に対して垂直な面となっている。したがって、係合凹部38aの左側の内面と係合突起部12eの左側の外面とが当接するため、固定用部品30は左側に移動することはできず、その位置(電池ロック位置)で固定される。
【0035】
このように、固定用部品30が電池ロック位置で固定されているときは、図12に示すように、スリット状の開口12dの中で電池パック20の爪部24の上にロックレバー36の係合部37が乗り上げた状態となる。したがって、電池パック20の爪部24が固定用部品30の係合部37により押圧され、電池パック20は筐体12に対して固定された状態となる。
【0036】
図13は固定用部品30の第2操作部35付近の図10におけるXI−XI線に沿った断面図である。図14は図13におけるXIV−XIV線に沿った断面図である。上述のように固定用部品30が電池ロック位置で固定されているときは、図13及び図14に示すように、固定用部品30の第2操作部35に形成されたスライドノブ34は移動範囲の左側に寄った位置にある。そして、第2操作部35側でも、スリット状の開口12dの中で電池パック20の爪部24の上にロックレバー36の係合部37が乗り上げた状態となる。したがって、電池パック20の爪部24が固定用部品30の係合部37により押圧され、電池パック20は筐体12に対して固定された状態となる。
【0037】
上述のように固定された電池パック20を筐体12から取り外す際には、ユーザは、まず、レバー32を電池パック20から遠ざかる方向(Y方向)に引き下げてスライドノブ34の固定を解除する。図15はレバー32を引き下げた状態の筐体12の底面の一部を示す図である。図16は図15のXVI−XVI線に沿った断面図である。図17は固定用部品30の第1操作部33付近の図16におけるXVII−XVII線に沿った断面図である。
【0038】
電池パック20を筐体12から取り外す際には、図15に示すように、ユーザは、レバー用開口12f内でレバー32をY方向に移動する。これにより、図17に示すように、係合プレート38を支持している弾性接続部39が弾性変形しながらレバー32はレバー用開口12f内を移動して反対側に位置するようになる。係合プレート38はレバー32と共に電池パック20から遠ざかる方向(Y方向)に移動するので、係合プレート38の係合凹部38aは、図17に示すように係合突起部12eから外れた状態に移動する。これにより、ロックレバー36を含む固定用部品30全体の固定が解除され、固定用部品30は電池パック20の長手方向に平行な方向(Y方向に垂直なX方向)に移動可能となる。
【0039】
上述のようにレバー32を引き下げた状態では固定用部品30はX方向に移動可能となるが、未だX方向に移動していない。したがって、固定用部品30の係合部37は、図12及び図14に示すように電池パックの爪部24に乗り上げたままであり、電池パック20の固定は解除されていない。
【0040】
レバー32を引き下げて固定用部品30(スライドノブ34)を移動可能にしたら、ユーザは、スライドノブ34をX方向に移動して電池パック20の固定を解除する。図18は電池パック20の固定を解除した状態の筐体12の底面の一部を示す図である。図19は図18のXIX−XIX線に沿った断面図である。図20は固定用部品30の第1操作部33付近の図19におけるXX−XX線に沿った断面図である。図21は図20のXXI−XXI線に沿った断面図である。図22は固定用部品30の第2操作部35付近の図19におけるXX−XX線に沿った断面図である。図23は図22におけるXXIII−XXIII線に沿った断面図である。
【0041】
レバー32が引き下げられた状態(Y方向に移動した状態)で、ユーザが図18に示すようにスライドノブ34をX方向に移動させると、ロックレバー36及び第1操作部33を含む固定用部品30全体がX方向に移動する。したがって、第1操作部33におけるレバー32と係合プレート38もX方向に移動し、係合凹部38bが筐体12の係合突起部12eに係合した状態となる。これにより固定用部品30はその位置に固定される。
【0042】
固定用部品30がX方向に移動すると、ロックレバー36に設けられている係合部37も開口12d内でX方向に移動し、図20乃至及び図23に示すように、電池パック20の爪部24から外れた位置になる。この状態が電池パック20の固定が解除された状態である。すなわち、電池パック20の爪部24の上から外れた位置に係合部37が移動したため、爪部24が上方に移動可能となり、ユーザは、電池パック20全体を持ち上げて筐体12の電池収容部12bから取り外すことができる。
【0043】
以上の操作で、ユーザは、筐体12に固定されていた電池パック20の固定を解除して電池パック20を筐体12から取り外すことができる。電池パック20を筐体12に固定するときは、ユーザは、電池パック20を電池収容部12bに収容してからスライドノブ34を押して図9に示す位置に移動させればよい。
【0044】
固定用部品30が電池パック20の固定を解除しているときは、図20に示すように係合凹部38bが係合突起部12eに係合している。ここで、係合凹部38bのX方向端部は傾斜面となっており、係合突起部12eのX方向端部も傾斜面となっている。したがって、係合プレート38がX方向とは反対の方向に移動しようとすると、係合プレート38は傾斜面に沿ってY方向に移動し、係合突起部12eと係合凹部38bの係合が外れることとなる。したがって、ユーザは、そのままスライドノブ34を移動させるだけで、スライドノブ34(固定用部品30)を電池パック20の固定位置(図9に示す位置)に移動することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態では、レバー32及び係合プレート38を含む第1操作部33とスライドノブ34を含む第2操作部と係合部37を含むロックレバー36とが一体の一つの部品(固定用部品30)として形成される。これにより、レバー32及び係合プレート38を含む部品(すなわち、スライドノブ34を含む固定用部品30の移動を可能及び不能とするための部品)と、スライドノブ34及びロックレバー36を含む部品(すなわち、電池パック20に係合して固定するための部品)とを別々の部品として筐体12に組み込む必要がない。これにより、部品点数が削減され、組み立て工数が削減される。
【0046】
本明細書は以下の事項を開示する。
(付記1)
電子機器の筐体に装着部品を固定する固定用部品であって、
第1方向への移動操作を受けて、該第1方向と交差する第2方向への移動を許可する第1操作部と、
前記第1操作部に連結され、前記第1操作部の前記第2方向への移動により装着部品との係合を解除する装着部品係合部と、
前記装着部品係合部に連結され、前記第2方向への移動操作を受ける第2操作部と
を有する固定用部品。
(付記2)
付記1記載の固定用部品であって、
前記第1操作部は、前記装着部品が装着される部材の一部と係合する部材係合部を有する固定用部品。
(付記3)
付記2記載の固定用部品であって、
前記装着部品が装着される部材の一部は突起部を含み、前記部材係合部は前記第2方向での異なる位置において前記突起部に各々係合する2つの凹部を含む固定用部品。
(付記4)
付記3記載の固定用部品であって、
前記2つの凹部の各々は、前記第2方向に垂直な方向に延在する第1側面と、前記第2の方向に対して傾斜した第2側面とを含む固定用部品。
(付記5)
付記2乃至4のうちいずれか一項記載の固定用部品であって、
前記第1の操作部は、前記部材係合部を前記第1方向に移動可能に支持する弾性接続部を含む固定用部品。
(付記6)
付記1乃至5のうちいずれか一項記載の固定用部品であって、
前記装着部品係合部は、前記第1方向に突出して前記装着部品の一部に係合する係合部を含む固定用部品。
(付記7)
付記1乃至6のうちいずれか一項記載の固定用部品と、
前記固定用部品を前記第2方向へ移動可能に支持する筐体と
を有する電子機器。
(付記8)
付記7記載の電子機器であって、
前記筐体は前記装着部品を収容する部品収容部を有し、前記固定用部品は前記部品収容部に沿って延在する電子機器。
(付記9)
前記固定用部品の前記第1操作部は前記筐体から露出して前記第1方向への移動操作を受ける部位を含み、前記前記固定用部品の前記第2操作部は前記筐体から露出して前記第2方向への移動操作を受ける部位を含む電子機器。
【符号の説明】
【0047】
10 ノートパソコン
12 筐体
12a 底面
12b 電池収容部
12c 電極
12d 開口
12e 係合突起部
12f レバー用開口
14 本体
16 表示パネル部
20 電池パック
20a 外面
22 電極
24 爪部
30 固定用部品
32 レバー
33 第1の端部
34 スライドノブ
35 第2操作部
36 ロックレバー
37 係合部
38 係合プレート
38a,38b 係合凹部
39 弾性接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向への移動操作を受けて、該第1方向と交差する第2方向への移動を許可する第1操作部と、
前記第1操作部に連結され、前記第1操作部の前記第2方向への移動により装着部品との係合を解除する装着部品係合部と、
前記装着部品係合部に連結され、前記第2方向への移動操作を受ける第2操作部と
を有する固定用部品。
【請求項2】
請求項1記載の固定用部品であって、
前記第1操作部は、前記装着部品が装着される部材の一部と係合する部材係合部を有する固定用部品。
【請求項3】
請求項2記載の固定用部品であって、
前記装着部品が装着される部材の一部は突起部を含み、前記部材係合部は前記第2方向での異なる位置において前記突起部に各々係合する2つの凹部を含む固定用部品。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の固定用部品であって、
前記装着部品係合部は、前記第1方向に突出して前記装着部品の一部に係合する係合部を含む固定用部品。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の固定用部品と、
前記固定用部品を前記第2方向へ移動可能に支持する筐体と
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−141803(P2012−141803A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294283(P2010−294283)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】