説明

固定脚構造及び電気接続箱の固定脚構造

【課題】強度向上を図ることが可能な固定脚構造及び電気接続箱の固定脚構造を提供する。
【解決手段】固定脚構造は、本体フレーム25の下側からロアカバー27を重ね合わせると、本体フレーム25のフレーム側固定脚28におけるボルト固定部32と、ロアカバー27のカバー側固定脚29におけるボルト固定部45とが重なり合う。この時、ボルト固定部32の係合凹凸部42と、ボルト固定部45の係合凹凸部52とが係合する。係合凹凸部42と係合凹凸部52とが係合すると、この係合部分は厚肉部分になる。仮に過剰な締め付け固定を行ったとしても座屈するようなことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品の固定脚構造と、電気接続箱を構成する樹脂部品の固定脚構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されて例えば電源分配をしたりするものとしては、電気接続箱が広く知られている。電気接続箱とは、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものとして知られている。
【0003】
電気接続箱は、樹脂製の筐体を有しており、この筐体の側部から伸びる固定脚を車両のパネル部材やボディ等にボルト止めすることにより固定されている。上記筐体は、本体フレームと、この本体フレームの上側に重なるアッパーカバーと、本体フレームの下側に重なるロアカバーとで構成されている。或いは、重なり合うアッパーカバーとロアカバーとで構成されている。固定脚は、ロアカバーの側部から突出する脚状の形状に形成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−39879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記固定脚は、電気接続箱を固定相手先の所定固定位置に固定するためとして設けられているが、この固定脚に関し次のような問題点を有している。以下、図面を参照しながら説明をする。図6には一般的な固定脚が図示されている。
【0006】
図6において、例えば樹脂製のロアカバーの側部には、固定脚1が設けられている。この固定脚1は、固定脚本体部2とボルト固定部3とを有している。固定脚本体部2の一端は、上記側部に連成されている。固定脚本体部2の他端には、ボルト固定部3が連成されている。このような固定脚1は、図6(a)に示す如く表面側から見ると、樹脂の塊のような形状になっている。しかしながら、上記側部の肉厚に対し十分に厚くなるような塊状に樹脂成形をしてしまうと、所謂「ひけ」が生じてしまうことから、実際には図6(b)に示す如く、肉抜き形状に樹脂成形されることが一般的になっている。
【0007】
固定脚1の上記肉抜き形状について説明をすると、固定脚本体部2は図6(a)及び(b)に示す如く、上壁4と、この上壁4の両側から下方に伸びる側壁5とを有している。上壁4の裏面には、固定脚本体部2の伸びる方向に沿う縦リブ6が側壁5、5の間で等間隔に三つ形成されている。また、上壁4の裏面には、側壁5、5及び三つの縦リブ6を繋ぐ横リブ7が一つ形成されている。上壁4、側壁5、縦リブ6、及び横リブ7は、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0008】
ボルト固定部3の肉抜き形状も上記の固定脚本体部2と同様であって、図6(b)及び(c)に示す如く、略円形の上壁8と、この上壁8の周縁から下方に伸びる周側壁9とを有している。上壁8の中央には、固定用のボルト(図示省略)を挿通するための部分として貫通孔10が形成されている。上壁8の裏面には、貫通孔10を深くするような部分として円形リブ11が形成されている。また、上壁8の裏面には、90度ピッチで円形リブ11から放射状に伸びて周側壁9に連続する放射リブ12が形成されている。上壁8、周側壁9、円形リブ11、及び放射リブ12は、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0009】
固定脚1は、必要最低限度の強度を確保できる肉抜き形状にて形成されている。従って、想定外の過大な外力が加わった場合に、破損が生じてしまうという問題点を有している。また、図示しないボルトにて過剰に締め付けを行った場合に、ボルト固定部3が座屈してしまうという問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、強度向上を図ることが可能な固定脚構造及び電気接続箱の固定脚構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の固定脚構造は、二以上有して重ね合わせる樹脂部品のうち、少なくとも二つの前記樹脂部品に固定脚を設け、それぞれの該固定脚は、前記樹脂部品の重ね合わせ方向に対し同位置又は別位置で前記樹脂部品に一体となり、且つ、それぞれの前記固定脚は、固定相手先の所定固定位置に向けて伸びる固定脚本体部と、該固定脚本体部に連続するボルト固定部とを有し、且つ、少なくともそれぞれの該ボルト固定部は、これら同士が重なり合う形状を有し、且つ、それぞれの前記固定脚は、全体に剛性を持たせた形状を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の本発明の固定脚構造は、請求項1に記載の固定脚構造において、それぞれの前記ボルト固定部は、前記重ね合わせ方向に凹凸となる係合凹凸部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の本発明の固定脚構造は、請求項2に記載の固定脚構造において、前記係合凹凸部は、樹脂成型における肉抜き部分を兼用することを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4記載の本発明の電気接続箱の固定脚構造は、電気接続箱の樹脂筐体を構成する本体フレームにフレーム側固定脚を設けるとともに、前記樹脂筐体を構成し且つ前記本体フレームに重なるロアカバーにカバー側固定脚を設け、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、前記本体フレーム及び前記ロアカバーの重ね合わせ方向に対し同位置又は別位置で前記本体フレーム及び前記ロアカバーに一体となり、且つ、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、固定相手先の所定固定位置に向けてそれぞれ伸びる固定脚本体部と、該固定脚本体部に連続するボルト固定部とを有し、且つ、少なくともそれぞれの該ボルト固定部は、これら同士が重なり合う形状を有し、且つ、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、それぞれ全体に剛性を持たせた形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、固定相手先との固定部分として固定脚を設け、この固定脚を、固定相手先の所定固定位置毎に少なくとも二つ設けることから、また、剛性を有するように固定脚を形成し、固定脚の少なくともボルト固定部同士を重なり合う形状に形成することから、一つの場合よりも当然に固定脚の肉厚を増やすことができるという効果を奏する。従って、従来の固定脚に比べて格段に強度向上を図ることができるという効果を奏する。この他、本発明によれば、少なくとも二つの固定脚にて固定をすることから、重ね合わせる樹脂部品同士のガタ付きを抑えることができるという効果も奏する。また、本発明によれば、樹脂部品同士の重ね合わせ方向に対し同位置又は別位置で固定脚を設けることから、固定脚を樹脂部品に一体化させる位置に左右されずに強度向上を図ることができるという効果も奏する。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、ボルト固定部に係合凹凸部を設けることから、ボルト固定部同士の重ね合わせに伴って係合凹凸部同士を係合させることができる。これにより、係合凹凸部の分だけ肉厚を増すことができるのは勿論のこと、位置決めや、ボルト締めの際の回り止め防止等もすることができるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、係合凹凸部を樹脂成型における肉抜き部分として兼用することから、「ひけ」を防止して安定した固定を図ることができるという効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載された本発明によれば、電気接続箱に採用するより良い固定脚構造を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の固定脚構造を採用する電気接続箱の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である(実施例1)。
【図2】図1の電気接続箱の図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図3】図1及び図2の固定脚に係る図であり、(a)は背面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】本発明の固定脚構造を採用する電気接続箱の他の例に係る図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である(実施例2)。
【図5】図4の固定脚に係る図であり、(a)は背面図、(b)は一部破断した状態の背面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図6】従来例の固定脚構造に係る図であり、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は(b)のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
固定脚構造は、樹脂部品に固定脚を設けるとともに、この樹脂部品に重なる他の樹脂部品にも固定脚を設けて、固定相手先との固定をする構造である。固定脚は、少なくともそれぞれのボルト固定部同士を重なり合うように形成してなる。それぞれのボルト固定部は、これら同士の重ね合わせ方向に凹凸となる係合凹凸部を有する。係合凹凸部は、樹脂成型における肉抜き部分を兼用する。
【実施例1】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明の固定脚構造を採用する電気接続箱の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。また、図2は図1の電気接続箱の図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。さらに、図3は図1及び図2の固定脚に係る図であり、(a)は背面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0022】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0023】
図1及び図2において、引用符号21は電気接続箱を示している。電気接続箱21は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものであって、自動車等の車両に搭載されている。電気接続箱21は、車両のパネル部材やボディ等の固定相手先22に対しボルト23により締め付け固定されるようになっている。固定部分は、本発明の固定脚構造が採用されている。
【0024】
電気接続箱21は、樹脂製の筐体24(樹脂筐体)を備えて構成されている。筐体24は、電気・電子部品やコネクタ接続部や回路等からなる機能部分(図示省略)を収容するための部材として備えられている。筐体24は、本実施例において、本体フレーム25と、この本体フレーム25の上側に重なるアッパーカバー26と、本体フレーム25の下側に重なるロアカバー27とを備えて構成されている。本体フレーム25、アッパーカバー26、及びロアカバー27は、重ね合わせる樹脂部品として備えられている。矢印Pは重ね合わせ方向(重なり合う方向、及び上下方向)を示している。
【0025】
筐体24は、公知のロック構造により本体フレーム25及びアッパーカバー26が嵌合し合うようになっている。また、本体フレーム25及びロアカバー27も公知のロック構造により嵌合し合うようになっている。嵌合部分は、公知の防水構造により水密な状態が形成されるようになっている。
【0026】
本体フレーム25は、本発明の固定脚構造を採用してなるフレーム側固定脚28(固定脚)を有している。また、ロアカバー27も本発明の固定脚構造を採用してなるカバー側固定脚29(固定脚)を有している。フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29は、少なくとも一部が上下に重なり合うような形状を有している(全部重なり合うのは実施例2を参照)。フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29は、略脚状となる形状の固定部分として形成されている。
【0027】
尚、本実施例においては、固定相手先22に対する固定箇所として、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29による一箇所を挙げているが、固定箇所はこの一箇所に限らないものとする。例えば複数の固定箇所を設ける場合には、固定箇所毎にフレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29を採用するものとする。
【0028】
先ず、フレーム側固定脚28について説明をする。図1ないし図3において、フレーム側固定脚28は、本体フレーム25の側部30に設けられている。フレーム側固定脚28の基端部分は、側部30において例えば位置Q(図1参照)に配置されている。また、フレーム側固定脚28の先端部分は、固定相手先22の所定固定位置R(図1参照)に対応する位置に配置されている。このようなフレーム側固定脚28は、上記基端部分を含む固定脚本体部31と、上記先端部分となるボルト固定部32とを有している。
【0029】
固定脚本体部31は、上記基端部分となる一端が側部30に連成されている。また、他端には、ボルト固定部32が連成されている。固定脚本体部31は、固定相手先22の所定固定位置R(図1参照)に向けて伸びるように形成されている。固定脚本体部31は、上記基端部分の近傍から斜め下方向にのびる形状に形成されている(一例であるものとする)。
【0030】
固定脚本体部31は、上壁33と、この上壁33の両側から下方に伸びる側壁34とを有している。上壁33の裏面には、固定脚本体部31の伸びる方向に沿う縦リブ35が形成されている。この縦リブ35は、側壁34、34間の中央位置に形成されている。また、上壁33の裏面には、側壁34、34及び縦リブ35を繋ぐ横リブ(図示省略。図5の横リブ55が参考になる)が形成されている。上壁33、側壁34、縦リブ35、及び横リブは、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0031】
固定脚本体部31は、樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、固定脚本体部31は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。固定脚本体部31は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0032】
固定脚本体部31とボルト固定部32との連続部分には、ボルト23の締め付け作業に配慮して逃がし部36が形成されている。
【0033】
ボルト固定部32は、略円形の上壁37と、この上壁37の周縁から下方に伸びる周側壁38とを有している。上壁37の中央には、固定用のボルト23を挿通するための貫通孔39が形成されている。上壁37の裏面には、貫通孔39を深くするような部分として円形リブ40が形成されている。また、上壁37の裏面には、90度ピッチで円形リブ40から放射状に伸びて周側壁38に連続する放射リブ41が形成されている。上壁37、周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41は、同じ厚みとなる薄肉に形成されている。
【0034】
上壁37の裏面は、周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41により凹凸するような形状に形成されている。すなわち、係合凹凸部42となる形状に形成されている。係合凹凸部42は、重ね合わせ方向Pに凹凸となる形状に形成されている。
【0035】
ボルト固定部32は、固定脚本体部31と同様に樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、ボルト固定部32は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。ボルト固定部32は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0036】
次に、ロアカバー27のカバー側固定脚29について説明をする。カバー側固定脚29は、ロアカバー27の側部43に設けられている。カバー側固定脚29の基端部分は、側部43において例えば位置S(図1参照)に配置されている。また、カバー側固定脚29の先端部分は、固定相手先22の所定固定位置R(図1参照)に対応する位置に配置されている。このようなカバー側固定脚29は、上記基端部分を含む固定脚本体部44と、上記先端部分となるボルト固定部45とを有している。
【0037】
固定脚本体部44は、上記基端部分となる一端が側部43に連成されている。また、他端には、ボルト固定部45が連成されている。固定脚本体部44は、固定相手先22の所定固定位置R(図1参照)に向けて伸びるように形成されている。固定脚本体部44は、上記基端部分の近傍から斜め下方向にのびる形状に形成されている。
【0038】
固定脚本体部44は、上壁46と、この上壁46の両側から下方に伸びる側壁47とを有している。上壁46の裏面には、固定脚本体部44の伸びる方向に沿う縦リブ48が形成されている。この縦リブ48は、側壁47、47間の中央位置に形成されている。また、上壁46の裏面には、側壁47、47及び縦リブ48を繋ぐ横リブ(図示省略。図5の横リブ56が参考になる)が形成されている。上壁46、側壁47、縦リブ48、及び横リブは、同じ厚みとなる薄肉の板状に形成されている。
【0039】
固定脚本体部44は、樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、固定脚本体部44は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。固定脚本体部44は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0040】
固定脚本体部44とボルト固定部45との連続部分には、ボルト固定部32に対する段部49が形成されている。
【0041】
ボルト固定部45は、略円形の下壁50を有している。この下壁50の中央には、固定用のボルト23を挿通するための貫通孔51が形成されている。下壁50の表面には、ボルト固定部32の周側壁38、円形リブ40、及び放射リブ41に係合する部分、すなわち係合凹凸部42に係合する部分として係合凹凸部52が形成されている。係合凹凸部52は、下壁50の表面側が凸となり且つ裏面側が凹となる係合リブ53と、隣り合う係合リブ53との間に凹状に形成される係合溝54とを有している。下壁50及び係合凹凸部52は、同じ厚みとなる薄肉に形成されている。
【0042】
係合凹凸部52は、重ね合わせ方向Pに凹凸となる形状に形成されている。ボルト固定部45は、固定脚本体部44と同様に樹脂成型における肉抜き部分を有する形状に形成されている。すなわち、ボルト固定部45は、「ひけ」が発生し難くなる形状に形成されている。ボルト固定部45は、樹脂の塊でない形状に形成されている。
【0043】
上記構成及び構造において、本発明の固定脚構造は、本体フレーム25の下側からロアカバー27を重ね合わせると、本体フレーム25のフレーム側固定脚28におけるボルト固定部32と、ロアカバー27のカバー側固定脚29におけるボルト固定部45とが重なり合う。この時、ボルト固定部32の係合凹凸部42と、ボルト固定部45の係合凹凸部52とが係合する。係合凹凸部42と係合凹凸部52とが係合すると、この係合部分は、図3(b)に示す如くの厚肉部分になることから、仮に過剰な締め付け固定を行ったとしても座屈するようなことはない。本発明の固定脚構造は、従来に比べ肉厚を増やす構造であることから、強度を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の固定脚構造は、本体フレーム25のフレーム側固定脚28とロアカバー27のカバー側固定脚29とにそれぞれ剛性を持たせていることから、さらにはフレーム側固定脚28とカバー側固定脚29との二つで固定をすることから、一つの固定脚の場合と比べて格段に強度を向上させることができる。
【0045】
この他、本発明の固定脚構造は、フレーム側固定脚28とカバー側固定脚29との二つで固定をすることから、重ね合わせる本体フレーム25とロアカバー27とのガタ付きを抑えることができる。また、本発明の固定脚構造は、重ね合わせ方向Pで見て別位置となる位置Q、Sにフレーム側固定脚28とカバー側固定脚29とを設けていることから、これらを同じ位置で一体化しなくても強度を向上させることができる。
【0046】
尚、上記実施例においては、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29の二つを挙げていたが、アッパーカバー26に三つ目の固定脚を設け、更なる強度向上を図ってもよいものとする。また、上記実施例においては、係合凹凸部42及び係合凹凸部52を、ボルト固定部32及びボルト固定部45に設けていたが、同様の凹凸係合部を固定脚本体部31及び固定脚本体部44に設けてもよいものとする。さらに、上記実施例においては、ロアカバー27のカバー側固定脚29が側部43に連成されていたが、ロアカバー27の底部(下部)等であってもよいものとする。
【0047】
本発明の固定脚構造は、上記電気接続箱21に限らず、例えばワイヤハーネスの配索に用いられる樹脂製のプロテクタにも適用可能であるものとする。
【実施例2】
【0048】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図4は本発明の固定脚構造を採用する電気接続箱の他の例に係る図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。また、図5は図4の固定脚に係る図であり、(a)は背面図、(b)は一部破断した状態の背面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【0049】
図中の符号に関しては、上記実施例1と基本的に同じ構成部材を用いていることから、同一の符号を付すものとする。
【0050】
図4及び図5において、実施例2の電気接続箱21は、実施例1に対し、次の点で異なっている。すなわち、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29が位置Tに配置される点で異なっている。また、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29の、のびる方向が固定相手先22の所定固定位置Uである点で異なっている。さらに、フレーム側固定脚28及びカバー側固定脚29の全部が上下に重なり合う形状に形成される点で異なっている。
【0051】
実施例2の電気接続箱21は、実施例1の電気接続箱21と同様の効果を奏するようになっている。
【0052】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
21…電気接続箱
22…固定相手先
23…ボルト
24…筐体(樹脂筐体)
25…本体フレーム(樹脂部品)
26…アッパーカバー(樹脂部品)
27…ロアカバー(樹脂部品)
28…フレーム側固定脚(固定脚)
29…カバー側固定脚(固定脚)
30…側部
31…固定脚本体部
32…ボルト固定部
33…上壁
34…側壁
35…縦リブ
36…逃がし部
37…上壁
38…周側壁
39…貫通孔
40…円形リブ
41…放射リブ
42…係合凹凸部
43…側部
44…固定脚本体部
45…ボルト固定部
46…上壁
47…側壁
48…縦リブ
49…段部
50…下壁
51…貫通孔
52…係合凹凸部
53…係合リブ
54…係合溝
55、56…横リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上有して重ね合わせる樹脂部品のうち、少なくとも二つの前記樹脂部品に固定脚を設け、それぞれの該固定脚は、前記樹脂部品の重ね合わせ方向に対し同位置又は別位置で前記樹脂部品に一体となり、且つ、それぞれの前記固定脚は、固定相手先の所定固定位置に向けて伸びる固定脚本体部と、該固定脚本体部に連続するボルト固定部とを有し、且つ、少なくともそれぞれの該ボルト固定部は、これら同士が重なり合う形状を有し、且つ、それぞれの前記固定脚は、全体に剛性を持たせた形状を有する
ことを特徴とする固定脚構造。
【請求項2】
請求項1に記載の固定脚構造において、
それぞれの前記ボルト固定部は、前記重ね合わせ方向に凹凸となる係合凹凸部を有する
ことを特徴とする固定脚構造。
【請求項3】
請求項2に記載の固定脚構造において、
前記係合凹凸部は、樹脂成型における肉抜き部分を兼用する
ことを特徴とする固定脚構造。
【請求項4】
電気接続箱の樹脂筐体を構成する本体フレームにフレーム側固定脚を設けるとともに、前記樹脂筐体を構成し且つ前記本体フレームに重なるロアカバーにカバー側固定脚を設け、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、前記本体フレーム及び前記ロアカバーの重ね合わせ方向に対し同位置又は別位置で前記本体フレーム及び前記ロアカバーに一体となり、且つ、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、固定相手先の所定固定位置に向けてそれぞれ伸びる固定脚本体部と、該固定脚本体部に連続するボルト固定部とを有し、且つ、少なくともそれぞれの該ボルト固定部は、これら同士が重なり合う形状を有し、且つ、前記フレーム側固定脚及び前記カバー側固定脚は、それぞれ全体に剛性を持たせた形状を有する
ことを特徴とする電気接続箱の固定脚構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196045(P2012−196045A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57957(P2011−57957)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】