説明

土中成育農作物掘上機

【課題】走行機体を東側端から西側端に向って駆動させて、第iの畝内から掘上げられた農作物が走行機体の駆動輪によって、第(i・(i+1))の畝合いに押込まれないようにする。
【解決手段】土中生育農作物掘上機において、掘上機構装架用板12の後部のそれぞれの内側面上に、短冊状の農作物落下防止用板31が第1及び第2の回動位置間において回動自在に取付けられ、農作物落下防止用板31が掘上機構装架用板12の後部に回動自在に取付けられている状態でみて、掘上機構装架用板12の後部に回動自在に取付けている上部から下部に向かうに従い、掘上機構装架用板12側にそれぞれ湾曲延長しているとともに、第1の回動位置の状態で、農作物堀上時における畝の上面に近接対向している状態に前後方向に延長しているが、第2の回動位置の状態で、畝の上面から離間している状態に延長している端面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬鈴薯、里芋、さつま芋などの土中成育農作物を土中から掘上げるのに用いる土中成育農作物掘上機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、馬鈴薯、里芋、さつま芋などの土中成育農作物(以下、簡単のため、単に農作物と称す。)を土中から掘上げるのに用いる土中成育農作物掘上機(以下、簡単のため、単に農作物掘上機と称す。)として、特開2004−81093号公報に「農作物掘取機」と称して示されているような、次に述べる構成の農作物掘上機が、提案されている。
【0003】
すなわち、図5及び図6に示すように、原動機(図示せず)を内装し且つその原動機に連結している駆動軸3を有する原動機機体2と、それにその後方からみてその左側下部及び右側下部に下方に延長してそれぞれ装着された左駆動輪取付用板4L及び右駆動輪取付用板4R間に橋架され且つ駆動軸3によって回転連結機構5を介して回転駆動される駆動輪軸6の左端部及び右端部にそれぞれ取付けられた左駆動輪7L及び右駆動輪7Rと、原動機機体2の後上方左側部に装架され且つ原動機機体2が内装している原動機乃至それに連結されている駆動軸3の駆動を原動機機体2が内装している原動機を介してまたは介することなしに制御する駆動制御部8と、原動機機体2の後上方部であって後方からみて駆動制御部8よりも左側の部に連結して後方に延長している連結杆9の後方遊端に取付けられている操縦用把手10とを有する走行機体1を有し、そして、その後方部に農作物掘上機構11が装架されている。
【0004】
この農作物掘上機構11は、走行機体1の後方部に後方からみてその左側下部及び右側下部おいて後下方に延長状態に固定して取付けられた左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rと、それら左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間にその前方下部において取付けられた鋤13と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に鋤13よりも後方の部において後上りに取付けられた農作物コンベア14と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物コンベア14よりも後方の部において後下がりに取付けられた農作物シュータ15とを有し、鋤13は、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物掘上時において畝内位置になる高さ位置において左右に延長している前下がりの鋤刃16を有し、農作物コンベア14は、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物掘上時において畝の最も高い位置よりも高い高さ位置になるように取り付けられ且つ原動機機体2の駆動軸3によって回転連結機構17を介して回転駆動されるコンベア駆動輪18と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物掘上時において畝内の鋤13の鋤刃16の高さ位置に近い高さ位置になるように取り付けられたコンベアアイドル輪19と、コンベア駆動輪18及びコンベアアイドル輪19間に懸架され且つ予定以上の大きさの農作物は通さない(落下させない)がほぐされた土壌を通す(落下させる)スリット21(図6を参照のこと。)を有するコンベアベルト20とを有し、農作物シュータ15は、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物掘上時において畝の最も高い位置よりも高い高さ位置になるように橋架し且つ左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R中のいずれか一方例えば右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長して取り付けられた回動軸22と、その回動軸22に軸方向に予定以上の大きさの農作物は通さない(落下させない)がほぐされた土壌を通し得る(落下させ得る)間隔で左右に配列して後下がりに取り付けられた多数の細杆23と、回動軸22が右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長しているとしたのに対応して右掘上機構装架用板12Rにその右外に取り付けられ且つ原動機機体2の駆動軸3によって回転連結機構24を介して回転駆動されるカム駆動軸25と、そのカム駆動軸25に取り付けられたカム26と、回動軸22が右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長しているとしたのに対応して回動軸22の右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長している部に取り付けられてカム26のカム面と係合し得るに十分なだけ延長している係合片27と、その係合片27と右掘上機構装架用板12Rとの間に係合片27がカム26のカム面に係合するように装架された発条28とを有する。
【0005】
以上が、従来提案されている農作物掘上機の構成である。
このような構成を有する従来の農作物掘上機によれば、いま、図7に示すように、農作物を育成している土壌でなる複数の第(i−1)、第i、第(i+1)……の畝(iは1以上の整数)が例えば東西に延長しているとして、走行機体1を、その左駆動輪7Lを第(i−1)の畝と第iの畝との間の第((i−1)・i)の畝合いに、右駆動輪7Rを第iの畝と第(i+1)の畝との間の第(i・(i+1))の畝合いにそれぞれ配して、例えば西側端から東側端に向って駆動し、次で、右駆動輪7Rを第iの畝と第(i+1)の畝合いとの間の第(i・(i+1))の畝合いに、左駆動輪7Lを第(i+1)の畝と第(i+2)の畝との間の第((i+1)・(i+2))の畝合いに配して、東側端から西側端に向って駆動させれば、農作物掘上機構11によって、その鋤13、農作物コンベア14、農作物シュータ15を介して、第iの畝内から農作物を掘上げ、その掘上げた農作物を第iの畝上に置き、次で第(i+1)の畝内から農作物を掘上げ、その掘上げられた農作物を第(i+1)の畝上に置くことができることは明らかである。
このため、農作物掘上機構11によって第iの畝内から掘上げられて第iの畝上に置かれた農作物、及び第(i+1)内から掘上げられて第(i+1)の畝上に置かれた農作物については、それ自体公知の農作物収合機などを用いて収合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−81093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した構成を有する従来提案されている農作物掘上機によれば、上述したように、農作物を育成している複数の第(i−1)、第i、第(i+1)……の畝(iは1以上の整数)が東西に延長しているとして、走行機体1を、第iの畝内から農作物を掘上げるべく西側端から東側端に向って駆動させ、次で第(i+1)の畝内から農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動させることで、農作物掘上機構11によって、第iの畝内から農作物を掘上げ、その農作物を第iの畝上に置き、次で、第(i+1)の畝内から農作物を掘上げ、その農作物を第(i+1)の畝上に置くことができる。
【0008】
しかしながら、この場合、農作物掘上機構11によって第iの畝内から掘上げられた多数の農作物について、それらの全てが第iの畝上に置かれることになるとは限らず、一部が不必要に第((i−1)・i)の畝合い及び第(i・(i+1))の畝合いに転がり落ち、また、第(i+1)の畝内から掘上げられた多数の農作物についても、それらの全てが第(i+1)の畝上に置かれることになるとは限らず、一部が不必要に第(i・(i+1))の畝合い及び第((i+1)・(i+2))の畝合いに転がり落ちるのを余儀なくされるのは否めない。
【0009】
このため、農作物掘上機構11によって第iの畝内から掘上げられて第iの畝上に置かれた農作物、及び第(i+1)内から掘上げられて第(i+1)の畝上に置かれた農作物については、それ自体公知の農作物収合機などを用いて比較的容易に収合することができるとしても、第((i−1)・i)の畝合い及び第(i・(i+1))の畝合いに転がり落ちた農作物、及び第(i・(i+1))の畝合い及び第((i+1)・(i+2))の畝合いに転がり落ちた農作物については、農作物収合機などを用いて収合することが困難である。
【0010】
また、上述したように、農作物掘上機構11によって、第iの畝内から農作物を掘上げてから、第i+1の畝内の農作物を掘上げる場合に、第iの畝内からの農作物の掘上げ時に第(i・(i+1))の畝合いに農作物が転がり落ちているとすれば、この場合、走行機体1が、その右駆動輪7Rを第(i・(i+1))の畝合いに配して駆動されるので、第(i・(i+1))の畝合いに転がり落ちていた農作物が、走行機体1が、その右駆動輪7Rによって、第(i・(i+1))の畝合いの底下の土壌中に押込まれ、そして、そのように第(i・(i+1))の底下の土壌中に押込まれた農作物については、それを人手による拾い上げによっても容易に収合できるという状態にはならないという不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による土中成育農作物掘上機は、走行機体と、それに装架された農作物掘上機構とを有し、上記走行機体が、原動機を内装し且つその原動機に連結している駆動軸を有する原動機機体と、上記駆動軸によって回転駆動される左駆動輪及び右駆動輪と、上記駆動軸の駆動を制御する駆動制御部と、上記原動機機体から後方に延長している連結杆の遊端に取付けられている操縦用把手とを有し、上記農作物掘上機構が、上記走行機体の後方部にその左側下部及び右側下部においてそれぞれ後下方に延長状態に固定して取付けられた左掘上機構装架用板及び右掘上機構装架用板と、それら左掘上機構装架用板及び右掘上機構装架用板間にそれら間の前方下部において幅方向を左右方向として前下がりに装架された鋤刃を有する鋤と、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板間にそれら間の上記鋤の鋤刃よりも後方部において幅方向を左右方向として後上りに装架された農作物コンベアと、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板間に上記農作物コンベアよりも後方部において幅方向を左右方向として後下がりに装架された農作物シュータとを有する、土中生育農作物掘上機において、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部に、上記右掘上機構装架用板及び上記左掘上機構装架用板にそれぞれ対向しているそれぞれの内側面上において、短冊状の左農作物落下防止用板及び右農作物落下防止用板が、それらの上部において第1の回動位置及び第2の回動位置間において、それぞれ回動自在に取付けられ、上記左農作物落下防止用板及び上記右農作物落下防止用板が、(a)上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部にそれぞれ回動自在に取付けられている状態でみて、ともに、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部にそれぞれ回動自在に取付けているそれぞれの上記上部から下部に向かうに従い、上記右掘上機構装架用板側及び上記左掘上機構装架用板側にそれぞれ湾曲して延長しているとともに、(b)上記第1の回動位置をとっている状態でみて、農作物堀上時における畝の上面に近接対向している状態に前後方向に延長しているが、上記第2の回動位置をとっている状態でみて、上記農作物堀上時における上記畝の上面から離間している状態に延長している端面を有している。
【発明の効果】
【0012】
農作物を育成している複数の第(i−1)、第i、第(i+1)……の畝(iは1以上の整数)が東西に延長しているとして、走行機体を、第iの畝内から農作物を掘上げるべく西側端から東側端に向って駆動させ、次で第(i+1)の畝内から農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動させるとするとき、走行機体を、第iの畝内から農作物を掘上げるべく、西側端から東側端に向って駆動させる場合に、右農作物落下防止用板によって農作物が第(i・(i+1))の畝合いに転がり落ちないようにした状態にして駆動し、次で、走行機体を、第(i+1)の畝内から農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動させる場合に、左農作物落下防止用板によって農作物が第((i+1)・(i+2))の畝合いに転がり落ちないようにした状態にして駆動し、それによって、第(i+1)の畝内から農作物を堀上げる場合に、第iの畝内から掘上げられた農作物が、走行機体の駆動輪によって、不必要に、第(i・(i+1))の畝合いに押込まれないようにし、従って、第iの畝内から掘上げられた農作物の全てを容易に収合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明による土中成育農作物掘上機の実施例を、右掘上機構装架用板が省略されているとして示している略線的右側面図である。
【図2】図2は本発明による土中成育農作物掘上機の実施例を示す略線的平面図である。
【図3】図3は本発明による土中成育農作物掘上機に適用される、左農作物落下防止用板の正面図及び右農作物落下防止用板の実施例を示す略線的背面図(図3A)、左農作物落下防止用板の略線的平面図(図3B)、及び右農作物落下防止用板の略線的平面図(図3C)である。
【図4】図4は本発明による土中成育農作物掘上機の使用例の説明に供する図である。
【図5】図5は従来の土中成育農作物掘上機を、右掘上機構装架用板が省略されているとして示している略線的右側面図である。
【図6】図6は従来の土中成育農作物掘上機を示す略線的平面図である。
【図7】図7は従来の土中成育農作物掘上機の使用例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
農作物を育成している複数の第(i−1)、第i、第(i+1)……の畝(iは1以上の整数)が東西に延長しているとして、走行機体を、第iの畝内から農作物を掘上げるべく西側端から東側端に向って駆動させ、次で第(i+1)の畝内から農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動させるとするとき、走行機体を、第iの畝内から農作物を掘上げるべく、西側端から東側端に向って駆動させる場合に、左農作物落下防止用板によって農作物が第(i・(i+1))の畝合いに転がり落ちないようにした状態にして駆動し、次で、走行機体を、第(i+1)の畝内から農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動させる場合に、右農作物落下防止用板によって農作物が第((i+1)・(i+2))の畝合いに転がり落ちないようにした状態にして駆動し、それによって、第(i+1)の畝内から農作物を堀上げる場合に、第iの畝内から掘上げられた農作物が、一部たりとも、走行機体の駆動輪によって、第(i・(i+1))の畝合いに押込まれないようにし、従って、第iの畝内から掘上げられた農作物の全てを容易に収合することができるようにする。
【実施例1】
【0015】
次に図1〜3を伴って、本発明による土中成育農作物掘上機の実施例を詳述しよう。
本発明による農作物掘上機の実施例は、図5及び図6を伴って前述した従来の農作物掘上機の場合と同様に、走行機体1と、それに装架された農作物掘上機構11とを有する。
【0016】
そして、走行機体1が、同じく前述した従来の農作物掘上機の場合と同様に、原動機を内装し且つその原動機に連結している駆動軸3を有する原動機機体2と、その原動機機体2の駆動軸3によって回転駆動される左駆動輪7L及び右駆動輪7Rと、原動機機体2の駆動軸3の駆動を制御する駆動制御部8と、原動機機体2の前面左側部から後方に延長している連結杆9の遊端に取付けられている操縦用把手10とを有する。
【0017】
この場合、同じく、前述した従来の農作物掘上機の場合と同様に、原動機機体2に、その後方からみたその左側下部及び右側下部において左駆動輪取付用板4L及び右駆動輪取付用板4Rがそれぞれ下方に延長して装着され、そして、それら左駆動輪取付用板4L及び右駆動輪取付用板4R間に、回転連結機構5を介して回転駆動される駆動輪軸6が左右方向に延長して橋架され、その駆動輪軸6の左端部及び右端部に上述した左駆動輪7L及び右駆動輪7Rがそれぞれ取付けられ、駆動制御部8による駆動軸3の駆動制御が、原動機機体2が内装している原動機の駆動を制御したり、原動機と駆動軸3との間の回転連結態様を制御したりすることによって行われている。
【0018】
また、上述した農作物掘上機構11が、同じく、前述した従来の農作物掘上機の場合と同様に、走行機体1の後方部にその左側下部及び右側下部においてそれぞれ後下方に延長状態に固定して取付けられた左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rと、それら左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間にそれら間の前方下部において幅方向を左右方向として前下がりに装架された鋤刃16を有する鋤13と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間にそれら間の鋤13の鋤刃16よりも後方部において幅方向を左右方向として後上りに装架された農作物コンベア14と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物コンベア14よりも後方部において幅方向を左右方向として後下がりに装架された農作物シュータ15とを有する。
【0019】
この場合、同じく、前述した従来の農作物掘上機の場合と同様に、(a)鋤13が、その鋤刃16の高さ位置を農作物を育成している畝の下部の高さに対応する高さ位置とするように、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間にその前方下部において装架され、また、(b)農作物コンベア14が、原動機機体2の駆動軸3によって回転連結機構17を介して回転駆動されるコンベア駆動輪18と、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に農作物掘上時において畝内の鋤13の鋤刃16の高さ位置に近い高さ位置になるように取り付けられたコンベアアイドル輪19と、コンベア駆動輪18及びコンベアアイドル輪19間に懸架され且つ予定以上の大きさの農作物は通さない(落下させない)がほぐされた土壌を通す(落下させる)スリット21(図6を参照のこと。)を有するコンベアベルト20とを有し、そして、コンベア駆動輪18の高さ位置を農作物を育成している畝の最も高い位置よりも高い高さ位置とするように且つコンベアアイドル輪19の高さ位置を鋤13の鋤刃16の高さ位置とするように、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に装架され、(c)さらに、農作物シュータ15が、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R中のいずれか一方例えば右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長して取り付けられた回動軸22と、その回動軸22に、その軸方向に、予定以上の大きさの農作物は通さない(落下させない)がほぐされた土壌を通し得る(落下させ得る)間隔で、左右に配列して後下がりに取り付けられた多数の細杆23と、回動軸22が右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長しているとしたのに対応して右掘上機構装架用板12Rにその右外に取り付けられ且つ原動機機体2の駆動軸3によって回転連結機構24を介して回転駆動されるカム駆動軸25と、そのカム駆動軸25に取り付けられたカム26と、回動軸22が右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長しているとしたのに対応して回動軸22の右掘上機構装架用板12Rを貫通して右外に延長している部に取り付けられてカム26のカム面と係合し得るに十分なだけ延長している係合片27と、その係合片27と右掘上機構装架用板12Rとの間に係合片27がカム26のカム面に係合するように装架された発条28とを有し、そして、回動軸22の高さ位置を農作物コンベア14のコンベア駆動輪18よりもわずかに低い高さ位置とするように左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に装架されている。
【0020】
また、本発明による農作物掘上機の実施例は、上述した従来の農作物掘上機と同様の構成を有する外、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rの後部に、右掘上機構装架用板12R及び左掘上機構装架用板12Lにそれぞれ対向しているそれぞれの内側面上において、短冊状の左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rが、それらの上部uの図1て○印で示す位置において、図1で実線図示の第1の回動位置及び図1に点線図示の第2の回動位置間においてそれぞれ回動自在に、取付用軸を用い取付けられている。
【0021】
この場合、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rが、図3に示すように、
(a)左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rの後部にそれぞれ回動自在に取付けられている状態でみて、ともに、当該左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rを左掘上機構装架用板12L及び記右掘上機構装架用板12Rの後部にそれぞれ回動自在に取付けているそれぞれの上部uから下部dに向かうに従い、右掘上機構装架用板12R側及び左掘上機構装架用板12L側にそれぞれ湾曲して延長しているとともに、
(b)上記の第1の回動位置をとっている状態でみて、農作物堀上時における畝の上面に近接対向している状態に前後方向に延長しているが、上記の第2の回動位置をとっている状態でみて、農作物堀上時における畝の上面から離間している状態に延長している下部kにおける端面k′を有する。
【0022】
いま、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rのより具体例を述べれば、次のとおりである。
すなわち、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rが、それぞれそれらの上部uにおいて左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rの後部に回動自在に取付けられている。その状態で、(a)それらの下部dがそれぞれ例えば繋止用紐でなる左繋止用具32L及び右繋止用具32Rによって左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rにそれぞれ繋止されていることによって、ともに下部kの端面k′が農作物を育成している畝の上面と近接対向している第1の回動位置をとり、(b)また、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rが、それらの下部qの端面q′で、左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間に左右方向に固定延長している部材33にそれぞれ受けられることによって、ともに第2の回動位置をとるようになされている。
【0023】
また、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rが、上述したように左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12Rの後部に回動自在に取付けられ、その状態で、右掘上機構装架用板12R及び左掘上機構装架用板12L側にそれぞれ湾曲して延長している。そして、この場合、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rは、図2に示すように、上述した第1の回動位置をとった状態でみて、それらの遊端が左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間の左右方向の中央位置に対応する左右方向の位置またはその近傍まで延長しているのを可とする。
【0024】
以上が本発明による農作物掘上機の実施例の構成である。
このような構成を有する本発明による農作物掘上機の実施例によれば、いま、図4に示すように、図7を伴って上述したのに準じて、農作物を育成している土壌でなる複数の第(i−1)、第i、第(i+1)……の畝(iは1以上の整数)が例えば東西に延長しているとして、まず、農作物掘上機構11によって第iの畝内に育成している農作物を掘上げるべく走行機体1を、その左駆動輪7Lを第(i−1)の畝と第iの畝との間の第((i−1)・i)の畝合いに、右駆動輪7Rを第iの畝と第(i+1)の畝との間の第(i・(i+1))の畝合いにそれぞれ配して、例えば西側端から東側端に向って駆動し、次で、農作物掘上機構11によって第(i+1)の畝内に育成している農作物を掘上げるべく、走行機体1を、その右駆動輪7Rを第iの畝と第(i+1)の畝合いとの間の第(i・(i+1))の畝合いに、左駆動輪7Lを第(i+1)の畝と第(i+2)の畝との間の第((i+1)・(i+2))の畝合いに配して、東側端から西側端に向って駆動させるとするとき、まず、走行機体1を、農作物掘上機構11によって第iの畝内に育成している農作物を掘上げるべく、西側端から東側端に向って駆動する場合、左農作物落下防止用板31Lを上述した第2の回動位置にし、右農作物落下防止用板31Rを上述した第1の回動位置とし、次に、農作物掘上機構11によって第(i+1)の畝内に育成している農作物を掘上げるべく、東側端から西側端に向って駆動する場合、左農作物落下防止用板31Lを上述した第1の回動位置にし、右農作物農作物落下防止用板31Rを上述した第2の回動位置とすれば、図5及び図6を伴って上述した従来の農作物掘上機の場合に準じて、まず農作物掘上機構11によって、その鋤13、農作物コンベア14、農作物シュータ15を介して、第iの畝内から農作物を第1の畝上に掘上げ、その掘上げた農作物を右農作物落下防止用板31Rによって、第iの畝の第((i−1)・i)の畝合い側の半部上に寄せて置くことができ、次で、第(i+1)の畝内から農作物を第(i+1)の畝上に掘上げ、その掘上げられた農作物を左農作物落下防止用板31Lによって、第(i+1)の畝の第(i・(i+1))の畝合い側の半部上に寄せて置くことができることは明らかである。
【0025】
このため、従来の農作物掘上機の場合と同様に、農作物掘上機構11によって第iの畝内から掘上げられて第iの畝の第((i−1)・i)の畝合い側の半部上に置かれた農作物、及び第(i+1)内から掘上げられて第(i+1)の畝の第(i・(i+1))の畝合い側の半部上に置かれた農作物について、それらを、それ自体公知の農作物収合機などを用いて収合することができる。
【0026】
また、この場合、農作物掘上機構11によって第iの畝内から掘上げられた多数の農作物について、それらの全てが第iの畝の第((i−1)・i)の畝合い側の半部上に置かれることになるとは限らず、一部が不必要に第((i−1)・i)の畝合いに転がり落ちるとしても、第(i・(i+1))の畝合いにはほとんど転がり落ちず、このことは、第iの畝の上面が畝の幅方向の中央から、第(i・(i+1))の畝合い側に向って傾斜していても、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rの湾曲延長端が上述したように左掘上機構装架用板12L及び右掘上機構装架用板12R間の左右方向の中央位置に対応する左右方向の位置またはその近傍まで延長していれは、なおさらである。
【0027】
また、第(i+1)の畝内から掘上げられた多数の農作物についても、それらの全てが第(i+1)の畝の第(i・(i+1))の畝合い側の半部上に置かれることになるとは限らず、一部が不必要に第(i・(i+1))の畝合いには、第(i・(i+1))の畝合いについて上述した場合と同様に、ほとんど転がり落ちるとしても、第((i+1)・(i+2))の畝合いに転がり落ちることはない。
【0028】
このため、農作物掘上機構11によって、第iの畝内から農作物を掘上げてから、第i+1の畝内の農作物を掘上げる場合に、走行機体1が、その右駆動輪7Rを第(i・(i+1))の畝合いに配して駆動されるとしても、それによって、第iの畝内から農作物を掘上げた農作物を一部たりとも、第(i・(i+1))の畝合いの底下の土壌中に押込むということかなく、従って、第(i・(i+1))に転がり落ちた農作物について、それを農作物収合機などを用いて収合することが困難であるとしても、人手によって拾い上げることができ、よって、第iの畝内から掘上げられた農作物の全てを収合できる。
【実施例の変型・変更】
【0029】
上述した本発明による土中成育農作物掘上機の実施例においては、本発明による土中成育農作物掘上機の1つの実施例を示したに過ぎず、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rを、本発明の精神を脱することなしに、図示の形状を有するものから、種々変形すること、左農作物落下防止用板31L及び右農作物落下防止用板31Rを第1及び第2の回動位置をとらせるための構成についても、上述した構成に限らず、本発明の精神を脱することなしに上述した構成から種々変型・変更することもできることは明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明による土中成育農作物掘上機は、畝内土中で育成された農作物を掘上けることができる種々の土中成育農作物掘上機に、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 走行機体
2 原動機機体
3 駆動軸
4L 左駆動輪取付用板
4R 右駆動輪取付用板
5 回転連結機構
6 駆動輪軸
7L 左駆動輪
7R 右駆動輪
8 駆動制御部
9 連結杆
10 操縦用把手
11 農作物掘上機構
12L 左掘上機構装架用板
12R 右掘上機構装架用板
13 鋤
14 農作物コンベア
15 農作物シュータ
16 鋤刃
17 回転連結機構
18 コンベア駆動輪
19 コンベアアイドル輪
20 コンベアベルト
21 スリット
22 回動軸
23 細杆
24 回転連結機構
25 カム駆動軸
26 カム
27 係合片
28 発条
31L 左農作物落下防止用板
31R 右農作物落下防止用板
32L 左繋止用具
32R 右繋止用具
33 部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、それに装架された農作物掘上機構とを有し、
上記走行機体が、原動機を内装し且つその原動機に連結している駆動軸を有する原動機機体と、上記駆動軸によって回転駆動される左駆動輪及び右駆動輪と、上記駆動軸の駆動を制御する駆動制御部と、上記原動機機体から後方に延長している連結杆の遊端に取付けられている操縦用把手とを有し、
上記農作物掘上機構が、上記走行機体の後方部にその左側下部及び右側下部においてそれぞれ後下方に延長状態に固定して取付けられた左掘上機構装架用板及び右掘上機構装架用板と、それら左掘上機構装架用板及び右掘上機構装架用板間にそれら間の前方下部において幅方向を左右方向として前下がりに装架された鋤刃を有する鋤と、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板間にそれら間の上記鋤の鋤刃よりも後方部において幅方向を左右方向として後上りに装架された農作物コンベアと、上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板間に上記農作物コンベアよりも後方部において幅方向を左右方向として後下がりに装架された農作物シュータとを有する、土中生育農作物掘上機において、
上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部に、上記右掘上機構装架用板及び上記左掘上機構装架用板にそれぞれ対向しているそれぞれの内側面上において、短冊状の左農作物落下防止用板及び右農作物落下防止用板が、それらの上部において第1の回動位置及び第2の回動位置間において、それぞれ回動自在に取付けられ、
上記左農作物落下防止用板及び上記右農作物落下防止用板が、
(a)上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部にそれぞれ回動自在に取付けられている状態でみて、ともに、当該上記左掘上機構装架用板及び上記右掘上機構装架用板の後部にそれぞれ回動自在に取付けているそれぞれの上記上部から下部に向かうに従い、上記右掘上機構装架用板側及び上記左掘上機構装架用板側にそれぞれ湾曲して延長しているとともに、
(b)上記第1の回動位置をとっている状態でみて、農作物堀上時における畝の上面に近接対向している状態に前後方向に延長しているが、上記第2の回動位置をとっている状態でみて、上記農作物堀上時における上記畝の上面から離間している状態に延長している端面を有する、
ことを特徴とする土中生育農作物掘上機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139184(P2012−139184A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294610(P2010−294610)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(310020138)
【Fターム(参考)】