説明

圧力制御装置

【課題】圧力制御装置において、低電流で大流量の圧力制御を可能として応答性の向上を図る。
【解決手段】ハウジング11内に駆動ピストン18と環状ピストン20を相対移動自在に支持し、その間にリアクションディスク22を設けて倍力手段を構成し、一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン18及び圧力制御弁24をリターンスプリング23,25により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20及びリアクションディスク22を介して駆動ピストン18及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力によりポペット弁を移動して流路の連通遮断を行うことで圧力差を制御する圧力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な圧力制御装置として、ポペット弁を有する電磁弁は、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載された電磁弁は、バルブボディに流入通路と吐出通路を形成すると共に、このバルブボディ内に球状弁体をスプリングにより付勢支持してシート部材に着座することで、流入通路と吐出通路を連通する貫通孔を遮断しており、ソレノイドを励磁してプランジャをコアに吸引し、ロッド及びピンを介して球状弁体を押圧し、この球状弁体をシート部材から離間させることで貫通孔を開放し、流入通路と吐出通路を連通して流体を流動可能としたものである。
【0004】
【特許文献1】特開平06−193670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の電磁弁において、圧力制御の応答性を上げるためには、例えば、ポペット弁による開閉する流路を拡大して開放時の流量を確保することが考えられる。しかし、流路を拡大すると、ポペット弁が閉止する流路のシール径が大きくなると共に、流体力が増大してポペット弁を閉止方向に付勢支持するスプリングの弾性力が大きくなる。そのため、ポペット弁が弁座に着座して流路を閉止している状態から、電磁力によりポペット弁を移動して流路を開放する場合、大きな電磁力が必要となってしまう。この大きな電磁力を確保するためには、ソレノイドにおけるコイルの巻数を増加することが考えられるが、これにより装置が大型化したり、製造コストが増加すると共に、コイルの発熱量が大きくなって冷却装置が必要となってしまう。また、コイルの巻数を増やして電磁力を上げると、インダクタンス(コイル抵抗)が増加し、初期動作時における応答遅れが発生し、制御性が悪化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、低電流で大流量の圧力制御を可能として応答性の向上を図った圧力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の圧力制御装置は、中空形状をなして第1ポート及び第2ポートを有するハウジングと、該ハウジング内に移動自在に支持された駆動弁と、該駆動弁を弁座に接近または離間する方向に付勢することで前記第1ポートと前記第2ポートを連通または遮断する付勢手段と、電磁力により前記駆動弁を前記付勢手段の付勢力に抗して移動することで前記第1ポートと前記第2ポートを連通または遮断して圧力差を制御するソレノイドと、前記駆動弁の駆動力を倍力する倍力手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の圧力制御装置では、前記駆動弁は、第1ピストンと第2ピストンを有し、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に前記倍力手段としての弾性部材が設けられたことを特徴としている。
【0009】
本発明の圧力制御装置では、前記第1ピストンは、環状なして前記ハウジングの内面に沿って移動自在であると共に前記ソレノイドにより移動可能であり、前記第2ピストンは、前記第1ピストンの内面に沿って該第1ピストンと相対移動自在であり、前記弾性部材は、前記ハウジングの端部に前記第1ピストン及び第2ピストンの端部に接触した状態で配置されたことを特徴としている。
【0010】
本発明の圧力制御装置では、前記弾性部材は、前記第1ピストン及び前記第1ピストンとの接触方向の移動のみが許容され、前記第2ピストンと前記弾性部材との接触面積は、前記第2ピストンと前記弾性部材との接触面積よりも大きく設定されたことを特徴としている。
【0011】
本発明の圧力制御装置では、前記第2ピストンの移動方向後方に第1弾性部材が配置されると共に、前記第2ピストンの移動方向前方に第2弾性部材が配置されたことを特徴としている。
【0012】
本発明の圧力制御装置では、前記第2弾性部材は、前記付勢手段として機能することを特徴としている。
【0013】
本発明の圧力制御装置では、前記駆動弁は、同心上に配設された第1ピストンと第2ピストンと中間ピストンを有し、前記第1ピストンと前記中間ピストンとの間に第1ボールねじ機構が介装されると共に、前記中間ピストンと前記第3ピストンとの間に第2ボールねじ機構が介装され、前記第1、第2ボールねじ機構により前記倍力手段が構成され、前記第1ボールねじ機構のねじピッチは、前記第2ボールねじ機構のねじピッチより大きく設定されたことを特徴としている。
【0014】
本発明の圧力制御装置では、前記第2ピストンの移動方向前後に前方圧力室及び後方圧力室が設けられ、前記第1ピストンにおける前記後方圧力室からの受圧面積は、前記前方圧力室からの受圧面積に対して小さく設定されたことを特徴としている。
【0015】
本発明の圧力制御装置では、前記前方圧力室と前記後方圧力室は、前記第1ピストン内に形成された連通路により連通されたことを特徴としている。
【0016】
本発明の圧力制御装置では、前記第1ポートとしての高圧ポート及び減圧ポートが設けられると共に、前記第2ポートとしての制御圧ポートが設けられ、前記ハウジング内に前記駆動弁または前記第1ピストンの移動方向前方に位置して圧力制御弁が移動自在で且つ前記高圧ポートと前記制御圧ポートを遮断する方向に付勢支持され、前記ソレノイドの電磁力により前記駆動弁または前記第1ピストンを移動して前記圧力制御弁を押圧することで、前記減圧ポートと前記制御圧ポートを遮断すると共に前記高圧ポートと前記制御圧ポートを連通可能とする一方、前記ソレノイドの電磁力を低減して前記駆動弁または前記第1ピストンを移動して前記圧力制御弁の押圧力を低下することで、前記減圧ポートと前記制御圧ポートを連通すると共に前記高圧ポートと前記制御圧ポートを遮断可能とすることを特徴としている。
【0017】
本発明の圧力制御装置では、前記圧力制御弁は、前記制御圧ポートに連通する圧力室と前記高圧ポートに連通する高圧室とをシールする第1シール部を有すると共に、前記高圧室と前記減圧ポートに連通する減圧室とをシールする第2シールを有し、前記第1シール部のシール径と前記第2シール部のシール径が同径に設定されたことを特徴としている。
【0018】
本発明の圧力制御装置では、前記ハウジングの外部から前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動弁を押圧可能な外部ピストンが設けられたことを特徴としている。
【0019】
本発明の圧力制御装置では、前記駆動弁と前記外部ピストンとの間にチャンバが設けられ、該チャンバにおける前記駆動弁のシール径と前記チャンバにおける前記外部ピストンのシール径が同径に設定されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の圧力制御装置によれば、中空形状をなして第1ポート及び第2ポートを有するハウジング内に、駆動弁を移動自在に支持し、駆動弁を付勢手段により弁座に接近または離間する方向に付勢することで第1ポートと第2ポートを連通または遮断可能すると共に、ソレノイドの電磁力により駆動弁を付勢手段の付勢力に抗して移動することで第1ポートと前記第2ポートを連通または遮断して圧力差を制御可能に構成し、駆動弁の駆動力を倍力する倍力手段を設けたので、ソレノイドの電磁力により駆動弁が移動するとき、倍力手段によりこの駆動弁の駆動力が倍力されることとなり、低電流で大流量の圧力制御が可能となり、応答性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る圧力制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る圧力制御装置を表す概略構成図、図2は、実施例1の圧力制御装置における作動状態を表す概略図である。
【0023】
実施例1の圧力制御装置において、図1に示すように、中空円筒形状をなすハウジング11は、縦断面がコ字形状をなす上部ハウジング12と下部ハウジング13とから構成され、上部ハウジング12内に下部ハウジング13が嵌合し、リング形状をなす係止部材14により係止されることで、上下のハウジング12,13が一体に固定され、内部が密閉状態となっている。
【0024】
このハウジング11内には、その上下方向における中間部に支持ブロック15が固定されており、この支持ブロック15の中央部には、上下方向に貫通する支持孔16が形成されると共に、この支持孔16の下部に下方に向けて広角する弁座16aが形成されている。そして、支持ブロック15の上部には、円筒形状をなすスプリングサポート17が配設されており、駆動ピストン(第2ピストン)18がスプリングサポート17を貫通し、支持ブロック15の支持孔16に移動自在に嵌合している。
【0025】
この駆動ピストン18は、円柱形状をなす第1支持部18aと、この第1支持部18aの先端部(図1にて下端部)に形成された球面形状をなす弁部18bと、後部(図1にて上部)に形成された段付部18c及びフランジ部18dと、後端部(図1にて上端部)に形成された円柱形状をなす第2支持部18eとから構成されている。そして、第1支持部18aが支持孔16に移動自在に嵌合すると共に、第2支持部18eが上部ハウジング12の上部に形成された凹部12aに移動自在に嵌合している。
【0026】
また、上部ハウジング12の内壁面には、支持ブロック15の上部に位置して円筒形状をなす永久磁石19が固定されており、この永久磁石19の内周面に上述したスプリングサポート17のフランジ17aが接触している。従って、ハウジング11と一体の永久磁石19によりスプリングサポート17が位置決めされ、この位置決めされたスプリングサポート17により駆動ピストン18が支持されることとなり、このスプリングサポート17により駆動ピストン18の移動が円滑となり、推進性を向上することができる。
【0027】
上部ハウジング12の内側には、永久磁石19の上方に位置して円筒形状をなす鉄製の環状ピストン(第1ピストン)20が上下方向に沿って移動自在に支持されており、駆動ピストン18のフランジ部18dがこの環状ピストン20の内周面に相対移動自在に嵌合している。そして、上部ハウジング12の外側には、環状ピストン20に対向してコイル21が巻装されており、このコイル21に電流を流すことで環状ピストン20に電磁力を付与し、この環状ピストン20を永久磁石19との反発力により上方に移動することができる。
【0028】
なお、本実施例では、駆動ピストン18と環状ピストン20により本発明の駆動弁が構成され、環状ピストン20とコイル21により本発明のソレノイドが構成されている。
【0029】
また、上部ハウジング12の上端部には、円盤形状をなすリアクションディスク22が配置されている。このリアクションディスク22は、駆動ピストン18と環状ピストン20からなる駆動弁の倍力手段として機能するものであり、弾性部材としてのゴム部材により形成されている。そして、リアクションディスク22は、中央部に駆動ピストン18の第2支持部18eが貫通すると共に、フランジ部18dと環状ピストン20の上面が接触している。そして、駆動ピストン18のフランジ部18dとスプリングサポート17との間に、リターンスプリング(付勢手段)23が介装されている。
【0030】
従って、駆動ピストン18は、リターンスプリング23の付勢力により第2支持部18eが凹部12aに当接すると共に、フランジ部18dがリアクションディスク22に接触した位置に規制されており、環状ピストン20が上方に移動してリアクションディスク22を押圧すると、その押圧力が駆動ピストン18に伝達され、この駆動ピストン18がリターンスプリング23の付勢力に抗して下方に移動することができる。
【0031】
即ち、リアクションディスク22は、ハウジング11内で上方側と径方向における外側及び内側への移動が規制されることで、駆動ピストン18と環状ピストン20との接触方向(図1にて、下方)の移動のみが許容されている。また、リアクションディスク22の外径に対応する面積をA1、駆動ピストン18のフランジ部18dの外径に対応する面積をA2とすると、A1−A2<A2の関係が成立するように、つまり、駆動ピストン18とリアクションディスク22との接触面積が、環状ピストン20とリアクションディスク22との接触面積よりも大きくなるようにリアクションディスク22及びフランジ部18dの外径が設定されている。
【0032】
そのため、駆動ピストン18と環状ピストン20との間にリアクションディスク22が設けられたこととなり、且つ、リアクションディスク22が環状ピストン20により押圧される面積に対して、その弾性力により駆動ピストン18を押圧する面積が大きくなることから、リアクションディスク22が駆動ピストン18を押圧する押圧荷重が倍力されることとなり、環状ピストン20が移動する小さな荷重で駆動ピストン18は大きな駆動力を得ることができる。
【0033】
下部ハウジング13には、支持孔16と同心上に支持孔13aが形成され、この支持孔13aに円柱形状をなす圧力制御弁24が上下方向に沿って移動自在に支持されている。この圧力制御弁24は、先端部(図1にて、上端部)に球面傘形状をなす弁部24aが形成されている。そして、圧力制御弁24と下部ハウジング13との間にリターンスプリング25が介装されており、この圧力制御弁24は、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座する方向に付勢支持されている。
【0034】
また、圧力制御弁24の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔26が形成されると共に、この支持孔26の上部に上方に向けて広角する弁座26aが形成されている。そして、駆動ピストン18は、弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座可能となっている。
【0035】
本実施例の圧力制御装置は、上述したように、ハウジング11内に駆動ピストン18や圧力制御弁24が移動自在に支持されることから、下部ハウジング13と支持ブロック15と圧力制御弁24により区画される高圧室R1と、下部ハウジング13と圧力制御弁24の貫通孔26により区画される減圧室R2と、上部ハウジング12と支持ブロック15と駆動ピストン18と圧力制御弁24により区画される圧力室R3とが設けられている。
【0036】
そして、この圧力室R3は、駆動ピストン18の移動方向前後の前方圧力室R31及び後方圧力室R32から構成され、前方圧力室R31と後方圧力室R32は、駆動ピストン18内に形成された連通孔27により連通されている。この場合、駆動ピストン18における前進側の受圧面積をB1、駆動ピストン18における後退側の受圧面積をB2とすると、B1−B2<B1の関係が成立するように、つまり、駆動ピストン18における後方圧力室R32からの受圧面積B2が、前方圧力室R31からの受圧面積B1に対して小さくなるように駆動ピストン18の各支持部18a,18eの外径が設定されている。
【0037】
また、圧力制御弁24は、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座する第1シール部と、下部ハウジング13の支持孔13aに嵌合する第2シール部を有しており、圧力室R3(前方圧力室R31)と高圧室R1とをシールする第1シール部のシール径C1と、高圧室R1と減圧室R2とをシールする第2シールのシール径C2が同径に設定されている。
【0038】
そして、上下のハウジング12,13を貫通して高圧室R1に連通する高圧ポートP1が形成されると共に、下部ハウジング13を貫通して減圧室R2に連通する減圧ポートP2が形成されている。また、上部ハウジング12及び支持ブロック15を貫通して圧力室R3(前方圧力室R31)に連通する制御圧ポートP3が形成されている。この場合、高圧ポートP1及び減圧ポートP2が本発明の第1ポートとして機能し、制御圧ポートP3が本発明の第2ポートとして機能する。更に、上部ハウジング12と支持ブロック15とスプリングサポート17を貫通して圧力調整室R4に連通する圧力調整ポートP4が形成されている。高圧ポートP1は高圧ラインL1を介して高圧源28に連結され、減圧ポートP2は減圧ラインL2を介してリザーバタンク29に連結され、制御圧ポートP3は制御ラインL3を介して圧力供給部30に連結され、圧力調整ポートP4は圧力調整ラインL4を介してリザーバタンク29に連結されている。
【0039】
従って、コイル21に通電しないとき、駆動ピストン18はリターンスプリング23の付勢力により第2支持部18eが上部ハウジング12の凹部12aに当接し、フランジ部18dがリアクションディスク22に接触した位置に位置決めされると共に、圧力制御弁24は、リターンスプリング25の付勢力により弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座した位置に位置決めされており、駆動ピストン18の弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して通路を連通している。
【0040】
そして、コイル21に通電すると、環状ピストン20に電磁力が付与され、この環状ピストン20が永久磁石19との反発力により上方に移動してリアクションディスク22を押圧し、その押圧力が駆動ピストン18に倍力伝達され、この駆動ピストン18がリターンスプリング23の付勢力に抗して下方に移動する。すると、駆動ピストン18の弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して通路を遮断すると共に、この圧力制御弁24をリターンスプリング25の付勢力に抗して移動し、圧力制御弁24は、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を連通することができる。
【0041】
なお、上部ハウジング12と下部ハウジング13との間には、シール部材31が介装され、上部ハウジング12と支持ブロック15との間にはシール部材32が介装され、支持ブロック15と駆動ピストン18との間にはシール部材33が介装され、下部ハウジング13と圧力制御弁24との間にはシール部材34が介装され、上部ハウジング12と支持ブロック15と駆動ピストン18との間にはシール部材としてのリアクションディスク22が介装されることで、シール性が確保されている。また、ハウジング11は、図示しないケーシングに支持されており、上部ハウジング12とケーシングとの間にはシール部材35が介装されることで、シール性が確保されている。
【0042】
ここで、上述した本実施例の圧力制御装置による圧力制御について詳細に説明する。
【0043】
本実施例の圧力制御装置において、図1に示す状態では、上述したように、コイル21が消磁状態にあり、駆動ピストン18はリターンスプリング23によりフランジ部18dがリアクションディスク22に接触した位置にあり、一方、圧力制御弁24は、リターンスプリング25により弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座した位置にあり、且つ、駆動ピストン18の弁部18bが弁座26aから離間した位置にある。従って、高圧室R1と圧力室R3とが遮断され、圧力室R3と減圧室R2とが連通している。
【0044】
この状態から、コイル21に通電すると、図2に示すように、発生する電磁力により環状ピストン20が永久磁石19との反発力により上方に移動してリアクションディスク22を押圧し、その押圧力が駆動ピストン18に伝達され、この駆動ピストン18がリターンスプリング23の付勢力に抗して下方に移動する。このとき、リアクションディスク22は、図1及び図2に示すように、駆動ピストン18と環状ピストン20との接触方向の移動のみが許容され、駆動ピストン18とリアクションディスク22との接触面積が、環状ピストン20とリアクションディスク22との接触面積よりも大きく設定されている。そのため、リアクションディスク22が環状ピストン20により押圧される面積よりも、リアクションディスク22の弾性力により駆動ピストン18を押圧する面積が大きくなることから、駆動ピストン18が移動する駆動力が倍力され、大きな駆動力を得ることができる。
【0045】
また、圧力室R3を構成する前方圧力室R31と後方圧力室R32が連通孔27により連通され、駆動ピストン18における後方圧力室R32からの受圧面積B2が、前方圧力室R31からの受圧面積B1よりも小さく設定されている。そのため、駆動ピストン18が移動するとき、環状ピストン20に付与する電磁力、つまり、コイル21への電流値は、駆動ピストン18の前後の受圧面積差B1−B2に対応する駆動力と、リターンスプリング23の付勢力及び各種の摺動抵抗に対応する駆動力と合力を確保できるものとすればよく、消費電力を低減することができる。
【0046】
そして、図1に戻り、駆動ピストン18が下方に移動すると、まず、弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断し、更に駆動ピストン18が下方に移動すると、次に、圧力制御弁24をリターンスプリング25の付勢力に抗して下方に移動する。すると、圧力制御弁24は、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放する。この場合、圧力制御弁24は、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座する第1シール部と、下部ハウジング13の支持孔13aに嵌合する第2シール部を有しており、圧力室R3と高圧室R1とをシールする第1シール部のシール径C1と、高圧室R1と減圧室R2とをシールする第2シールのシール径C2が同径に設定されている。そのため、駆動ピストン18は、リターンスプリング25の付勢力と各種の摺動抵抗に対応する駆動力と合力に打ち勝つだけの駆動力で十分となり、駆動ピストン18による圧力制御弁24の初期動作駆動力を低減することができる。
【0047】
従って、図2に示すように、駆動ピストン18の弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座することで、減圧室R2と圧力室R3との連通が遮断される一方、圧力制御弁24の弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間することで、高圧室R1と圧力室R3とが連通される。そのため、高圧源28から高圧ポートP1を通して高圧室R1に作用する圧力、つまり、高圧の作動油は、圧力制御弁24の弁部24aと支持ブロック15の弁座16aとの隙間を通って圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給されることとなる。
【0048】
なお、上述した環状ピストン20及び駆動ピストン18の作動時に、圧力調整室R4の容積が増減するため、圧力調整ポートP4及び圧力調整ラインL4を介してリザーバタンク29から作動油の給排が行われる。
【0049】
そして、この状態から、コイル21に通電する電流値を低下すると、発生する電磁力が減少して環状ピストン20と永久磁石19との反発力が減少して下方に移動し、リアクションディスク22への押圧が低下し、駆動ピストン18はリターンスプリング23の付勢力により上方に移動する。このとき、駆動ピストン18は、リアクションディスク22の変形戻りに応じて上昇するため、ゴムの反動及び復元力により減衰力が作用し、応答性が向上する。
【0050】
そして、駆動ピストン18が上方に移動すると、まず、弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断したまま、圧力制御弁24はリターンスプリング25の付勢力により上方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座して通路を遮断する。次に、更に駆動ピストン18が上方に移動すると、弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して連通孔27を開放する。
【0051】
従って、図1に示すように、圧力制御弁24の弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座することで、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、駆動ピストン18の弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aから離間することで、減圧室R2と圧力室R3とが連通する。そのため、圧力室R3から制御圧ポートP3及び制御ラインL3を通して圧力供給部30に作用する制御圧、つまり、作動油は、駆動ピストン18の弁部18bと圧力制御弁24の弁座26aとの隙間を通って連通孔27から減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク29に排出される。
【0052】
そして、この環状ピストン20及び駆動ピストン18の作動時に、圧力調整室R4の容積が増減するため、上述と同様に、圧力調整ポートP4及び圧力調整ラインL4を介してリザーバタンク29から作動油の給排が行われる。
【0053】
このように実施例1の圧力制御装置にあっては、ハウジング11内の支持ブロック15に駆動ピストン18を移動自在に支持すると共に、ハウジング11とこの駆動ピストン18との間に環状ピストン20を相対移動自在に支持し、駆動ピストン18と環状ピストン20との間にリアクションディスク22を設けて倍力手段を構成し、一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン18をリターンスプリング23により付勢支持すると共に、圧力制御弁24をリターンスプリング23により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20及びリアクションディスク22を介して駆動ピストン18及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能としている。
【0054】
従って、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20が移動すると、リアクションディスク22によりその駆動力が倍力されて駆動ピストン18に伝達されることとなり、ソレノイドの電磁力による環状ピストン20の必要駆動力が低減されることで、低電流で大流量の圧力制御が可能となり、応答性の向上を図ることができる。
【0055】
即ち、ハウジング11内にて、リアクションディスク22は、駆動ピストン18と環状ピストン20との接触方向の移動のみが許容されており、且つ、駆動ピストン18とリアクションディスク22との接触面積が、環状ピストン20とリアクションディスク22との接触面積よりも大きくなるように設定されている。従って、リアクションディスク22が環状ピストン20により押圧される面積に対して、その弾性力により駆動ピストン18を押圧する面積が大きくなることから、リアクションディスク22が駆動ピストン18を押圧する押圧荷重が倍力されることとなり、環状ピストン20を移動する小さな駆動力で駆動ピストン18は大きな駆動力を得ることができる。
【0056】
また、駆動ピストン18と環状ピストン20により本発明の駆動弁を構成し、本発明の倍力手段及び弾性部材として、ゴム製のリアクションディスク22を適用し、ハウジング11の端部に駆動ピストン18と環状ピストン20との間で両者に接触するようにリアクションディスク22を配置している。従って、駆動ピストン18と環状ピストン20をハウジング11内に同心上に配置して相対移動可能とし、端部にリアクションディスク22を配置することで、装置のコンパクト化を図ることができると共に、駆動力を容易に倍力することができる。また、ゴム製のリアクションディスク22を適用することで、組付性を向上することができると共に、装置のコンパクト化や倍力機能の向上を図ることができる。
【0057】
また、本実施例では、圧力室R3を、駆動ピストン18の移動方向前後の前方圧力室R31及び後方圧力室R32から構成し、前方圧力室R31と後方圧力室R32を駆動ピストン18内に形成された連通孔27により連通しており、駆動ピストン18における後方圧力室R32からの受圧面積B2が、前方圧力室R31からの受圧面積B1よりも小さくなるように駆動ピストン18の各支持部18a,18eの外径を設定している。従って、駆動ピストン18が移動するとき、環状ピストン20に付与する電磁力、つまり、コイル21への電流値は、駆動ピストン18の前後の受圧面積差B1−B2に対応する駆動力と、リターンスプリング23の付勢力及び各種の摺動抵抗に対応する駆動力と合力を確保できるものとすればよく、コイル21の消費電力を低減することができる。
【0058】
更に、本実施例では、圧力制御弁24に、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座する第1シール部と、下部ハウジング13の支持孔13aに嵌合する第2シール部を設け、圧力室R3と高圧室R1とをシールする第1シール部のシール径C1と、高圧室R1と減圧室R2とをシールする第2シールのシール径C2を同径に設定している。従って、駆動ピストン18は、リターンスプリング25の付勢力と各種の摺動抵抗に対応する駆動力と合力に打ち勝つだけの駆動力で十分となり、駆動ピストン18による圧力制御弁24の初期動作駆動力を低減することができる。
【0059】
そして、本実施例では、本発明の圧力制御装置を三方弁として構成している。従って、電磁力により環状ピストン20により駆動ピストン18が下方に移動し、弁部18bを圧力制御弁24の弁座26aに着座し、圧力制御弁24を下方に移動して弁部24aを支持ブロック15の弁座16aから離間すると、減圧室R2と圧力室R3との連通が遮断される一方、高圧室R1と圧力室R3とが連通されることとなり、高圧の作動油を高圧室R1から圧力室R3に流し、制御圧ポートP3から制御圧として出力することができる。また、電磁力を低減して環状ピストン20を介して駆動ピストン18を上方に移動し、圧力制御弁24を上方に移動して弁部24aを支持ブロック15の弁座16aに着座し、駆動ピストン18の弁部18bを圧力制御弁24の弁座26aから離間すると、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、減圧室R2と圧力室R3とが連通されることとなり、圧力室R3の作動油を減圧室R2に流し、減圧ポートP2から排出して減圧することができる。その結果、駆動ピストン18と圧力制御弁24を移動することで、圧力室R3に対する高圧室R1及び減圧室R2の連通、遮断状態を容易に切換えることが可能となり、容易に制御圧を調整することができる。
【実施例2】
【0060】
図3は、本発明の実施例2に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
実施例2の圧力制御装置において、図3に示すように、ハウジング11は上部ハウジング12と下部ハウジング13とから構成され、上部ハウジング12内に下部ハウジング13が嵌合し、係止部材14により係止されることで、両者が一体に固定され、内部が密閉状態となっている。このハウジング11内には支持ブロック15が固定されており、この支持ブロック15の中央部には、上下方向に貫通する支持孔16が形成されると共に、その下部に弁座16aが形成されている。
【0062】
そして、この支持ブロック15の支持孔16には、駆動ピストン41がガイド部16bにより周方向に回転不能で、且つ、上下方向に沿って移動自在に嵌合している。この駆動ピストン41は、支持孔16に嵌合する第1支持部41aと、この第1支持部41aの先端部(図3にて下端部)に形成された球面形状をなす弁部41bと、後端部(図3にて上端部)に形成された円柱形状をなす第2支持部41cとから構成されている。
【0063】
また、上部ハウジング12の内壁面には、支持ブロック15の上部に位置して円筒形状をなす磁性体(例えば、永久磁石など)42が固定されると共に、この磁性体42の上方に位置して円筒形状をなす鉄製の環状ピストン43がガイド部材44により周方向に回転不能で、且つ、上下方向に沿って移動自在に支持されている。そして、上部ハウジング12の外側には、環状ピストン43に対向してコイル21が巻装されており、このコイル21に電流を流すことで環状ピストン43に電磁力を付与し、この環状ピストン43を磁性体42との吸引力により下方に移動することができる。
【0064】
そして、磁性体42及び環状ピストン43と駆動ピストン41との間には、円筒形状をなす中間ピストン45が配設されており、環状ピストン43と中間ピストン45との間に第1ボールねじ機構46が介装されると共に、中間ピストン45と駆動ピストン41との間に第2ボールねじ機構47が介装されている。即ち、環状ピストン43の内周面には第1雌ねじ部43aが形成され、中間ピストン45の外周面には第1雄ねじ部45aが形成され、第1雌ねじ部43aと第1雄ねじ部45aとの間には多数のボール48が介装されている。また、中間ピストン45の内周面には第2雌ねじ部45bが形成され、駆動ピストン41の外周面には第2雄ねじ部41dが形成され、第2雌ねじ部45bと第2雄ねじ部41dとの間には多数のボール49が介装されている。
【0065】
そして、第1ボールねじ機構46を構成する第1雌ねじ部43aと第1雄ねじ部45aのねじピッチは、第2ボールねじ機構47を構成する第2雌ねじ部41bと第2雄ねじ部41dのねじピッチより大きく設定されている。また、中間ピストン45と支持ブロック15との間に、リターンスプリング(付勢手段)50が介装されている。
【0066】
なお、本実施例では、駆動ピストン41と環状ピストン43と中間ピストン45により本発明の駆動弁が構成され、環状ピストン43とコイル21により本発明のソレノイドが構成されている。また、中間ピストン45と第1、第2ボールねじ機構46,47により本発明の倍力手段が構成されている。
【0067】
従って、環状ピストン43が回転せずに下方に移動すると、その下方移動力が第1ボールねじ機構46により回転力に変換されて中間ピストン45に伝達され、この中間ピストン45が回転し、その回転力が第2ボールねじ機構47により下方移動力に変換されて駆動ピストン41に伝達され、この駆動ピストン41が回転せずに下方に移動することができる。この場合、第1ボールねじ機構46のねじピッチが第2ボールねじ機構47のねじピッチより大きいため、環状ピストン43の移動量に比べて駆動ピストン41の移動量が少なくなり、つまり、環状ピストン43の移動速度が減速されて駆動ピストン41に伝達されることとなり、環状ピストン43が移動する小さな荷重で駆動ピストン41は大きな駆動力を得ることができる。
【0068】
下部ハウジング13には支持孔13aが形成され、圧力制御弁24が上下方向に沿って移動自在に支持されており、先端部に弁部24aが形成されている。また、下部ハウジング13の下端部にはリング形状をなすゴム製のリアクションディスク51が装着され、このリアクションディスク51の上部に円筒形状をなすスプリングサポート52が装着されており、圧力制御弁24とスプリングサポート52との間にリターンスプリング25が介装されている。
【0069】
従って、下部ハウジング13によりスプリングサポート52が位置決めされ、この位置決めされたスプリングサポート52により圧力制御弁24が支持されることとなり、このスプリングサポート52により圧力制御弁24の移動が円滑となり、推進性を向上することができる。また、この圧力制御弁24は、リアクションディスク51の弾性力及びリターンスプリング25の付勢力により弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座する方向に付勢支持されている。更に、下部ハウジング13と圧力制御弁24との間にリアクションディスク51が介装されることで、シール性が確保されている。
【0070】
また、圧力制御弁24の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔26が形成されると共に、この支持孔26の上部に弁座26aが形成されており、駆動ピストン41は、弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aに着座可能となっている。
【0071】
そして、ハウジング11内には、下部ハウジング13と支持ブロック15と圧力制御弁24により区画される高圧室R1と、下部ハウジング13と圧力制御弁24の貫通孔26により区画される減圧室R2と、上部ハウジング12と支持ブロック15と駆動ピストン41と圧力制御弁24により区画される圧力室R3とが設けられている。また、高圧室R1に連通する高圧ポートP1が形成され、減圧室R2に連通する減圧ポートP2が形成され、圧力室R3に連通する制御圧ポートP3が形成されている。そして、高圧ポートP1は高圧ラインL1を介して高圧源28に連結され、減圧ポートP2は減圧ラインL2を介してリザーバタンク29に連結され、制御圧ポートP3は制御ラインL3を介して圧力供給部30に連結されている。
【0072】
このように構成された本実施例の圧力制御装置において、コイル21が消磁状態にあるとき、駆動ピストン41はリターンスプリング50により上方に付勢支持されており、一方、圧力制御弁24は、リターンスプリング25により弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座した位置にあり、且つ、駆動ピストン41の弁部41bが弁座26aから離間した位置にある。従って、高圧室R1と圧力室R3とが遮断され、圧力室R3と減圧室R2とが連通している。
【0073】
この状態から、コイル21に通電すると、発生する電磁力により環状ピストン43が磁性体42との吸引力により下方に移動し、下方移動力が第1ボールねじ機構46により回転力に変換されて中間ピストン45が回転し、その回転力が第2ボールねじ機構47により下方移動力に変換されて駆動ピストン41が下方に移動する。このとき、第1ボールねじ機構46のねじピッチが第2ボールねじ機構47のねじピッチより大きいため、環状ピストン43の移動速度が減速されて駆動ピストン41に伝達されることから、駆動ピストン41が移動する駆動力が倍力され、大きな駆動力を得ることができる。
【0074】
そして、駆動ピストン41が下方に移動すると、弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断し、圧力制御弁24をリアクションディスク51の弾性力及びリターンスプリング25の付勢力に抗して下方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放する。
【0075】
従って、駆動ピストン41の弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aに着座することで、減圧室R2と圧力室R3とが遮断される一方、圧力制御弁24の弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間することで、高圧室R1と圧力室R3とが連通される。そのため、高圧源28からの作動油が高圧ポートP1を通して高圧室R1に供給され、圧力制御弁24の弁部24aと支持ブロック15の弁座16aとの隙間を通って圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給される。
【0076】
一方、この状態から、コイル21に通電する電流値を低下すると、発生する電磁力が減少して環状ピストン43と磁性体42との吸引力が減少し、リターンスプリング50の付勢力により上方に移動する。すると、環状ピストン43の上方移動力が第1ボールねじ機構46、中間ピストン45、第2ボールねじ機構47を介して駆動ピストン41に伝達され、この駆動ピストン41が上方に移動する。
【0077】
そして、駆動ピストン41が上方に移動すると、弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断したまま、圧力制御弁24はリアクションディスク51の弾性力及びリターンスプリング25の付勢力により上方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座して通路を遮断し、弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して連通孔27を開放する。
【0078】
従って、圧力制御弁24の弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座することで、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、駆動ピストン41の弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aから離間することで、減圧室R2と圧力室R3とが連通する。そのため、作動油が圧力室R3から駆動ピストン41の弁部41bと圧力制御弁24の弁座26aとの隙間を通って連通孔27から減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク29に排出される。
【0079】
このように実施例2の圧力制御装置にあっては、ハウジング11内に環状ピストン43と駆動ピストン41と中間ピストン45を上下に移動自在に支持し、環状ピストン43と中間ピストン45との間に第1ボールねじ機構46を介装すると共に、中間ピストン45と駆動ピストン41との間に第2ボールねじ機構47を介装し、第1ボールねじ機構46のねじピッチを第2ボールねじ機構47のねじピッチより大きく設定して倍力手段を構成し、一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン41をリターンスプリング50により付勢支持すると共に、圧力制御弁24をリターンスプリング25により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン43及び中間ピストン45を介して駆動ピストン41及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能としている。
【0080】
従って、ソレノイドの電磁力により環状ピストン43が移動すると、中間ピストン45及び各ボールねじ機構46,47によりその駆動力が倍力されて駆動ピストン41に伝達されることとなり、ソレノイドの電磁力による環状ピストン43の必要駆動力が低減されることで、低電流で大流量の圧力制御が可能となり、応答性の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0081】
図4は、本発明の実施例3に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
実施例3の圧力制御装置において、図4に示すように、ハウジング11は上部ハウジング12と下部ハウジング13とから構成され、上部ハウジング12内に下部ハウジング13が嵌合し、係止部材14により係止されることで、両者が一体に固定され、内部が密閉状態となっている。このハウジング11内には支持ブロック15が固定されており、この支持ブロック15の中央部には、上下方向に貫通する支持孔16が形成されると共に、その下部に弁座16aが形成されている。そして、この支持ブロック15の支持孔16には、駆動ピストン18が上下方向に沿って移動自在に嵌合している。
【0083】
また、上部ハウジング12の内壁面には、支持ブロック15の上部に位置して円筒形状をなす永久磁石19が固定されると共に、この永久磁石19の上方に位置して円筒形状をなす鉄製の環状ピストン20が上下方向に沿って移動自在に支持されている。そして、上部ハウジング12の外側に、環状ピストン20に対向してコイル21が巻装されており、このコイル21に電流を流すことで環状ピストン20に電磁力を付与し、この環状ピストン20を永久磁石19との反発力により上方に移動することができる。
【0084】
また、上部ハウジング12の上端部には、リアクションディスク22が配置されると共に、支持ブロック15とスプリングサポート17との間にリアクションディスク61が配置されている。リアクションディスク22は、駆動ピストン18と環状ピストン20からなる駆動弁の倍力手段として機能するものであり、第1弾性部材としてのゴム部材により形成されている。一方、リアクションディスク61は、駆動ピストン18が初期位置、つまり、図4に表す位置に復帰するための復元力を付加するものであり、第2弾性部材としてのゴム部材により形成されている。
【0085】
従って、駆動ピストン18は、リターンスプリング23の付勢力によりフランジ部18dがリアクションディスク22に接触した位置に規制されており、環状ピストン20が上方に移動してリアクションディスク22を押圧すると、その押圧力がリアクションディスク22によって倍力されてから駆動ピストン18に伝達され、この駆動ピストン18がリターンスプリング23の付勢力に抗して下方に移動することができる。そして、環状ピストン20からリアクションディスク22を介して駆動ピストン18へ駆動力が伝達されなくなると、この駆動ピストン18は、リターンスプリング23の付勢力だけでなく、リアクションディスク61の弾性力により上方に移動して初期位置に復帰することができる。
【0086】
なお、その他の構成、つまり、圧力制御弁24、貫通孔26、高圧室R1、減圧室R2、圧力室R3、圧力調整室R4などに関する構成は、前述した実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0087】
このように構成された本実施例の圧力制御装置において、コイル21に通電すると、電磁力により環状ピストン20が永久磁石19との反発力により上方に移動してリアクションディスク22を押圧し、その押圧力が倍力されて駆動ピストン18に伝達され、この駆動ピストン18が大きな駆動力を得てリターンスプリング23の付勢力に抗して下方に移動する。すると、弁部18bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断し、圧力制御弁24をリターンスプリング25の付勢力に抗して下方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放する。従って、減圧室R2と圧力室R3とが遮断される一方、高圧室R1と圧力室R3とが連通されることとなり、高圧源28からの作動油が高圧ポートP1を通して高圧室R1に供給され、この高圧室R1から圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給される。
【0088】
一方、コイル21に通電する電流値を低下すると、電磁力が減少して環状ピストン20と永久磁石19との反発力が減少し、リターンスプリング23の付勢力とリアクションディスク61の復元力により駆動ピストン18が上方に移動する。すると、駆動ピストン18と共に圧力制御弁24がリターンスプリング25の付勢力により上方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座して通路を遮断し、弁部41bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して連通孔27を開放する。従って、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、減圧室R2と圧力室R3とが連通されることとなり、圧力室R3の作動油が連通孔27を通って減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク29に排出される。
【0089】
このように実施例3の圧力制御装置にあっては、ハウジング11内に駆動ピストン18と環状ピストン20を相対移動自在に支持し、両者の間にリアクションディスク22を設けて倍力手段を構成すると共に、支持ブロック15とスプリングサポート17との間にリアクションディスク61を設けて駆動ピストン18の復元力を確保し、一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン18をリターンスプリング23により付勢支持すると共に、圧力制御弁24をリターンスプリング25により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20及びリアクションディスク22を介して駆動ピストン18及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能としている。
【0090】
従って、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20が移動すると、リアクションディスク22によりその駆動力が倍力されて駆動ピストン18に伝達されることとなり、ソレノイドの電磁力による環状ピストン20の必要駆動力を低減することができ、また、駆動ピストン18がリアクションディスク61の弾性力により確実に初期位置に復帰することができ、その結果、低電流で大流量の圧力制御が可能となり、応答性の向上を図ることができる。
【実施例4】
【0091】
図5は、本発明の実施例4に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
実施例4の圧力制御装置において、図5に示すように、ハウジング11は上部ハウジング12と下部ハウジング13とから構成され、上部ハウジング12内に下部ハウジング13が嵌合し、係止部材14により係止されることで、両者が一体に固定され、内部が密閉状態となっている。このハウジング11内には支持ブロック15が固定されており、この支持ブロック15の中央部には、上下方向に貫通する支持孔16が形成されると共に、その下部に弁座16aが形成されている。
【0093】
そして、この支持ブロック15の支持孔16には、駆動ピストン71が上下方向に沿って移動自在に嵌合している。この駆動ピストン71は、円柱形状をなす第1支持部71aと、この第1支持部71aの先端部(図5にて下端部)に形成された球面形状をなす弁部71bと、後部(図5にて上部)に形成されたフランジ部71cと、後端部(図5にて上端部)に形成された円柱形状をなす第2支持部71dとから構成されている。そして、第1支持部71aが支持孔16に移動自在に嵌合すると共に、第2支持部71dが上部ハウジング12の上部に形成された凹部12aに移動自在に嵌合している。また、駆動ピストン71には、後述する前方圧力室R31と後方圧力室R32トを連通する連通路72が形成されている。
【0094】
また、上部ハウジング12の内壁面には、支持ブロック15の上部に位置して円筒形状をなす永久磁石19が固定されると共に、この永久磁石19の上方に位置して円筒形状をなす鉄製の環状ピストン20が上下方向に沿って移動自在に支持されている。そして、上部ハウジング12の外側に、環状ピストン20に対向してコイル21が巻装されており、このコイル21に電流を流すことで環状ピストン20に電磁力を付与し、この環状ピストン20を永久磁石19との反発力により上方に移動することができる。
【0095】
また、上部ハウジング12の上端部には、リアクションディスク(第1弾性部材)22が配置されると共に、支持ブロック15と駆動ピストン71のフランジ部71cとの間にリアクションディスク(第2弾性部材)61が配置されている。リアクションディスク22は、駆動ピストン71と環状ピストン20からなる駆動弁の倍力手段として機能するものであり、第1弾性部材としてのゴム部材により形成されている。一方、リアクションディスク61は、駆動ピストン71が初期位置、つまり、図5に表す位置に付勢すると共に、この位置に復帰するための復元力を付加するものであり、本発明の付勢手段及び第1弾性部材としてのゴム部材により形成されている。また、リアクションディスク61は、上部ハウジング12と駆動ピストン71との間をシールすることで、圧力室R3からの作動油の漏洩を防止している。
【0096】
従って、駆動ピストン71は、リアクションディスク61の弾性力によりフランジ部71cがリアクションディスク22に接触した位置に規制されており、環状ピストン20が上方に移動してリアクションディスク22を押圧すると、その押圧力がリアクションディスク22によって倍力されてから駆動ピストン71に伝達され、この駆動ピストン71がリアクションディスク61の弾性力に抗して下方に移動することができる。そして、環状ピストン20からリアクションディスク22を介して駆動ピストン71へ駆動力が伝達されなくなると、この駆動ピストン71は、リアクションディスク61の弾性力により上方に移動して初期位置に復帰することができる。
【0097】
なお、その他の構成、つまり、圧力制御弁24、貫通孔26、リアクションディスク51、高圧室R1、減圧室R2、圧力室R3、圧力調整室R4などに関する構成は、前述した実施例1または2と同様であるため、説明は省略する。
【0098】
このように構成された本実施例の圧力制御装置において、コイル21に通電すると、電磁力により環状ピストン20が永久磁石19との反発力により上方に移動してリアクションディスク22を押圧し、その押圧力が倍力されて駆動ピストン71に伝達され、この駆動ピストン71が大きな駆動力を得てリアクションディスク61の弾性力に抗して下方に移動する。すると、弁部71bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断し、圧力制御弁24をリターンスプリング25及びリアクションディスク51の付勢力に抗して下方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放する。従って、減圧室R2と圧力室R3とが遮断される一方、高圧室R1と圧力室R3とが連通されることとなり、高圧源28からの作動油が高圧ポートP1を通して高圧室R1に供給され、この高圧室R1から圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給される。
【0099】
一方、コイル21に通電する電流値を低下すると、電磁力が減少して環状ピストン20と永久磁石19との反発力が減少し、リアクションディスク61の付勢力により駆動ピストン71が上方に移動する。すると、駆動ピストン71と共に圧力制御弁24がリターンスプリング25の付勢力により上方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座して通路を遮断し、弁部71bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して連通孔27を開放する。従って、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、減圧室R2と圧力室R3とが連通されることとなり、圧力室R3の作動油が連通孔27を通って減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク29に排出される。
【0100】
このように実施例4の圧力制御装置にあっては、ハウジング11内に駆動ピストン71と環状ピストン20を相対移動自在に支持し、両者の間にリアクションディスク22を設けて倍力手段を構成すると共に、支持ブロック15と駆動ピストン71との間にリアクションディスク61を設け、一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン71をこのリアクションディスク61により付勢支持すると共に、圧力制御弁24をリターンスプリング25により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20及びリアクションディスク22を介して駆動ピストン71及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能としている。
【0101】
従って、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20が移動すると、リアクションディスク22によりその駆動力が倍力されて駆動ピストン71に伝達されることとなり、ソレノイドの電磁力による環状ピストン20の必要駆動力を低減することができ、また、支持ブロック15と駆動ピストン71との間にリアクションディスク61が設けられていることから、駆動ピストン71を初期位置に復帰させる付勢手段として機能させると共に、圧力室R3からの作動油の漏洩を防止することができ、その結果、低電流で大流量の圧力制御が可能となり、応答性の向上を図ることができると共に、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【実施例5】
【0102】
図6は、本発明の実施例5に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0103】
実施例5の圧力制御装置において、図6に示すように、ハウジング11内には支持ブロック15が固定され、この支持ブロック15の支持孔16に駆動ピストン71が上下方向に沿って移動自在に嵌合している。そして、駆動ピストン71の第1支持部71aが支持孔16に移動自在に嵌合すると共に、第2支持部71dが上部ハウジング12の上部に形成された凹部12aに移動自在に嵌合している。
【0104】
ハウジング11の内壁面には、支持ブロック15の上部に位置して永久磁石19が固定されると共に、この永久磁石19の上方に環状ピストン20が上下方向に沿って移動自在に支持されており、ハウジング11の外側に環状ピストン20に対向してコイル21が巻装されている。そして、ハウジング11の上端部にリアクションディスク22が配置されると共に、支持ブロック15と駆動ピストン71のフランジ部71cとの間にリアクションディスク61が配置されている。
【0105】
ハウジング11の下部には圧力制御弁24が上下方向に沿って移動自在に支持され、先端部に弁部24aが形成されている。そして、この圧力制御弁24は、リアクションディスク51とリターンスプリング25により弁部24a支持ブロック15の弁座16aに当接する方向に付勢支持されている。
【0106】
そして、ハウジング11内に、下部ハウジング13と支持ブロック15と圧力制御弁24により区画される高圧室R1と、下部ハウジング13と圧力制御弁24の貫通孔26により区画される減圧室R2と、上部ハウジング12と支持ブロック15と駆動ピストン71と圧力制御弁24により区画される圧力室R3とが設けられている。
【0107】
また、上部ハウジング12の上端部には、外部ピストン81が駆動ピストン71と同心上で、且つ、同じ移動方向に沿って移動自在に支持されている。この外部ピストン81は、上部ハウジング12の外部に突出して外部から押圧可能な入力部81aと、円板形状をなすストッパ部81bとを有し、上部ハウジング12の突出部12bにシール部材82を介して移動自在に支持されている。そして、上部ハウジング12とリアクションプレート22との間には、このリアクションプレート22の変形を防止するガイドプレート83が設けられている。
【0108】
また、ハウジング11内に区画された圧力室R3は、駆動ピストン71の移動方向前後の前方圧力室R31及び後方圧力室R32から構成され、後方圧力室R32が本発明のチャンバとして機能する。そして、前方圧力室R31と後方圧力室R32は、駆動ピストン71内に形成された連通路72により連通されている。この場合、駆動ピストン71における後方圧力室R32からの受圧面積が、前方圧力室R31からの受圧面積に対して小さくなるように駆動ピストン71の各支持部71a,71dの外径が設定されている。また、チャンバとしての後方圧力室R32における駆動ピストン71弁のシール径C11と外部ピストン81のシール径C12が同径となるように設定されている。
【0109】
このように構成された本実施例の圧力制御装置において、コイル21に通電すると、電環状ピストン20が上方に移動してリアクションディスク22を押圧し、その押圧力が倍力されて駆動ピストン71に伝達され、この駆動ピストン71が大きな駆動力を得て下方に移動する。すると、弁部71bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断すると共に、圧力制御弁24を下方に移動して弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放する。従って、減圧室R2と圧力室R3とが遮断される一方、高圧室R1と圧力室R3とが連通されることとなり、高圧源28からの作動油が高圧ポートP1を通して高圧室R1に供給され、この高圧室R1から圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給される。
【0110】
一方、コイル21に通電する電流値を低下すると、リアクションディスク61の付勢力により駆動ピストン71が上方に移動する。すると、駆動ピストン71と共に圧力制御弁24がリターンスプリング25の付勢力により上方に移動し、弁部24aが支持ブロック15の弁座16aに着座して通路を遮断し、弁部71bが圧力制御弁24の弁座26aから離間して連通孔27を開放する。従って、高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、減圧室R2と圧力室R3とが連通されることとなり、圧力室R3の作動油が連通孔27を通って減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク29に排出される。
【0111】
そして、コイル21を含む制御系が失陥した場合には、外部から外部ピストン81を直接押圧することで、後方圧力室R32(チャンバ)を介して駆動ピストン71を押圧して下方に移動することができる。そのため、前述と同様に、駆動ピストン71の弁部71bが圧力制御弁24の弁座26aに着座して連通孔27を遮断すると共に、圧力制御弁24を下方に移動して弁部24aが支持ブロック15の弁座16aから離間して通路を開放することができ、高圧室R1の作動油を圧力室R3から制御圧ポートP3、制御ラインL3により制御圧として圧力供給部30に供給することができる。
【0112】
このように実施例5の圧力制御装置にあっては、ハウジング11内に駆動ピストン71と環状ピストン20を相対移動自在に支持し、両者の間にリアクションディスク22を設けて倍力手段を構成する一方、ハウジング11内に圧力制御弁24を移動自在に支持し、駆動ピストン71をこのリアクションディスク61により付勢支持すると共に、圧力制御弁24をリターンスプリング25により付勢支持することで、圧力室R3と減圧室R2を連通可能とする一方、ソレノイドの電磁力により環状ピストン20及びリアクションディスク22を介して駆動ピストン71及び圧力制御弁24を移動することで、高圧室R1と圧力室R3を連通可能とすると共に、ハウジング11の上端部に駆動ピストン71と対向して外部ピストン81を設けている。
【0113】
従って、制御系が失陥した場合であっても、外部ピストン81を押圧すると、駆動ピストン71に駆動力を伝達して下方に移動し、弁部71bにより連通孔27を遮断すると共に、圧力制御弁24を下方に移動して弁部24aを弁座16aから離間して通路を開放することができ、確実に高圧室R1の作動油を圧力室R3に供給して制御圧として圧力供給部30に供給することができる。
【0114】
この場合、駆動ピストン71と外部ピストン81との間には、チャンバとしての後方圧力室R32が設けられ、この後方圧力室R32における駆動ピストン71弁のシール径C11と外部ピストン81のシール径C12が同径に設定されている。従って、駆動ピストン71の受圧面積と外部ピストン81の受圧面積が同等となり、制御系の失陥時に容易に外部ピストン81を介して駆動ピストン71を押圧することができる。また、外部ピストン81の押圧荷重や押圧ストロークなどに基づいて、駆動ピストン71の駆動特性、例えば、リアクションディスク61による付勢力、駆動ストローク、必要電流値などを適正に把握することができ、各種設定値の調整を容易に行うことができる。
【0115】
なお、上述した各実施例では、本発明の倍力手段を弾性部材として、ゴム製のリアクションディスク22を用いたり、2つのボールねじ機構46,47にて構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、作動油を密封したり、遊星歯車機構などを適用してもよい。また、駆動弁を駆動ピストン18,41,71と環状ピストン20,43により構成し、ハウジング11内にて、駆動ピストン18,41,71の外側に環状ピストン20,43を配設してコンパクト化を図ったが、この構成に限定されるものではなく、駆動弁として2つのピストンを直列に配設したり、駆動弁を1つの駆動ピストンとしてもよい。
【0116】
また、上述した各実施例では、本発明の圧力制御装置をポペット式の三方弁に適用したが、二方弁に適用しても前述と同様の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上のように、本発明に係る圧力制御装置は、低電流で大流量の圧力制御を可能とすることで応答性の向上を図ったものであり、いずれの種類の圧力制御装置に用いても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施例1に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。
【図2】実施例1の圧力制御装置における作動状態を表す概略図である。
【図3】本発明の実施例2に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。
【図4】本発明の実施例3に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。
【図5】本発明の実施例4に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。
【図6】本発明の実施例5に係る圧力制御装置を表す概略構成図である。
【符号の説明】
【0119】
11 ハウジング
15 支持ブロック
18,41,71 駆動ピストン(駆動弁)
18a,41a,71a 第1支持部
18b,41b,71b 弁部
18d,71c フランジ部
18e,41c,71d 第2支持部
19,42 永久磁石
20,43 環状ピストン(駆動弁、ソレノイド)
21 コイル(ソレノイド)
22 リアクションディスク(倍力手段、弾性部材、第1弾性部材)
23,50 リターンスプリング(付勢手段)
24 圧力制御弁
26 貫通孔
27 連通孔(連通路)
28 高圧源
29 リザーバタンク
30 圧力供給部
45 中間ピストン(駆動弁)
46 第1ボールねじ機構(倍力手段)
47 第2ボールねじ機構(倍力手段)
51 リアクションディスク
61 リアクションディスク(第2弾性部材、付勢手段)
81 外部ピストン
1 高圧室
2 減圧室
3 圧力室
31 前方圧力室
32 後方圧力室(チャンバ)
4 圧力調整室
1 高圧ポート
2 減圧ポート
3 制御圧ポート
4 圧力調整ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状をなして第1ポート及び第2ポートを有するハウジングと、該ハウジング内に移動自在に支持された駆動弁と、該駆動弁を弁座に接近または離間する方向に付勢することで前記第1ポートと前記第2ポートを連通または遮断する付勢手段と、電磁力により前記駆動弁を前記付勢手段の付勢力に抗して移動することで前記第1ポートと前記第2ポートを連通または遮断して圧力差を制御するソレノイドと、前記駆動弁の駆動力を倍力する倍力手段とを具えたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力制御装置において、前記駆動弁は、第1ピストンと第2ピストンを有し、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に前記倍力手段としての弾性部材が設けられたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力制御装置において、前記第1ピストンは、環状なして前記ハウジングの内面に沿って移動自在であると共に前記ソレノイドにより移動可能であり、前記第2ピストンは、前記第1ピストンの内面に沿って該第1ピストンと相対移動自在であり、前記弾性部材は、前記ハウジングの端部に前記第1ピストン及び第2ピストンの端部に接触した状態で配置されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力制御装置において、前記弾性部材は、前記第1ピストン及び前記第1ピストンとの接触方向の移動のみが許容され、前記第2ピストンと前記弾性部材との接触面積は、前記第2ピストンと前記弾性部材との接触面積よりも大きく設定されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一つに記載の圧力制御装置において、前記第2ピストンの移動方向後方に第1弾性部材が配置されると共に、前記第2ピストンの移動方向前方に第2弾性部材が配置されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の圧力制御装置において、前記第2弾性部材は、前記付勢手段として機能することを特徴とする圧力制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の圧力制御装置において、前記駆動弁は、同心上に配設された第1ピストンと第2ピストンと中間ピストンを有し、前記第1ピストンと前記中間ピストンとの間に第1ボールねじ機構が介装されると共に、前記中間ピストンと前記第2ピストンとの間に第2ボールねじ機構が介装され、前記第1、第2ボールねじ機構により前記倍力手段が構成され、前記第1ボールねじ機構のねじピッチは、前記第2ボールねじ機構のねじピッチより大きく設定されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項8】
請求項2から6のいずれか一つに記載の圧力制御装置において、前記第2ピストンの移動方向前後に前方圧力室及び後方圧力室が設けられ、前記第1ピストンにおける前記後方圧力室からの受圧面積は、前記前方圧力室からの受圧面積に対して小さく設定されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の圧力制御装置において、前記前方圧力室と前記後方圧力室は、前記第1ピストン内に形成された連通路により連通されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の圧力制御装置において、前記第1ポートとしての高圧ポート及び減圧ポートが設けられると共に、前記第2ポートとしての制御圧ポートが設けられ、前記ハウジング内に前記駆動弁または前記第1ピストンの移動方向前方に位置して圧力制御弁が移動自在で且つ前記高圧ポートと前記制御圧ポートを遮断する方向に付勢支持され、前記ソレノイドの電磁力により前記駆動弁または前記第1ピストンを移動して前記圧力制御弁を押圧することで、前記減圧ポートと前記制御圧ポートを遮断すると共に前記高圧ポートと前記制御圧ポートを連通可能とする一方、前記ソレノイドの電磁力を低減して前記駆動弁または前記第1ピストンを移動して前記圧力制御弁の押圧力を低下することで、前記減圧ポートと前記制御圧ポートを連通すると共に前記高圧ポートと前記制御圧ポートを遮断可能とすることを特徴とする圧力制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の圧力制御装置において、前記圧力制御弁は、前記制御圧ポートに連通する圧力室と前記高圧ポートに連通する高圧室とをシールする第1シール部を有すると共に、前記高圧室と前記減圧ポートに連通する減圧室とをシールする第2シールを有し、前記第1シール部のシール径と前記第2シール部のシール径が同径に設定されたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つに記載の圧力制御装置において、前記ハウジングの外部から前記付勢手段の付勢力に抗して前記駆動弁を押圧可能な外部ピストンが設けられたことを特徴とする圧力制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の圧力制御装置において、前記駆動弁と前記外部ピストンとの間にチャンバが設けられ、該チャンバにおける前記駆動弁のシール径と前記チャンバにおける前記外部ピストンのシール径が同径に設定されたことを特徴とする圧力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−25711(P2008−25711A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198716(P2006−198716)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】