説明

圧電モジュール及びこれを含む車両用シート

【課題】環境にやさしいコンセプトカーを設計するための圧電モジュール及びこれを含む車両用シートを提供する。
【解決手段】搭乗者の下半身を支持する座板部210と、搭乗者の上半身を支持する背もたれ部220と、座板部210の内部に形成され、車両の振動により発生した電流の流れを用いて、熱気及び冷気を発生させて搭乗者の身体に伝達する圧電モジュール100と、を含む。車両が走行する際に生じる振動により発生した電気エネルギーを用いて圧電モジュール100を駆動することにより、電圧供給なしでも車両用シートの温度を調節できる。車両の振動エネルギーにより発生するエネルギーを用いる点で、電気エネルギーあるいは炭素エネルギー低減に寄与する環境にやさしいコンセプトカーを設計することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電モジュール及びこれを含む車両用シートに関し、特に、加熱及び冷却が可能な圧電モジュール及びこれを含む車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両用シートの内部には熱線を設けて、寒冷期等はシートの温度を上昇させることにより、搭乗者が快適な温度でシートに着席できるようにしている。
【0003】
熱線は、電源が印加されると、電気抵抗による抵抗熱を発生させることにより、シートを加熱する。
【0004】
前記技術構成は、本発明の理解を容易にするための背景技術であって、本発明が属する技術分野において広く知られた従来技術を意味するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2010−0030870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電気エネルギー及び炭素エネルギーを減少させることにより、環境にやさしいコンセプトカーを設計するための圧電モジュール及びこれを含む車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の実施形態による車両用シートは、搭乗者の下半身を支持する座板部と、前記座板部の一側で直交する方向に延長して形成され、前記搭乗者の上半身を支持する背もたれ部と、前記座板部の内部に形成され、車両の振動により発生した電流の流れを用いて熱気及び冷気を発生させて前記搭乗者の身体に伝達する圧電モジュールと、を含む。
【0008】
また、前記課題を解決するための本発明の実施形態による圧電モジュールは、車両の振動を検知する振動検知手段と、前記振動検知手段から印加される前記車両の振動により発生された電気エネルギーを交流電圧に変換する圧電部と、前記圧電部から提供された交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧を蓄電する変換部と、前記変換部に保存された前記直流電圧に応じて前記熱気または前記冷気を発生させて搭乗者の身体に冷気または温気を伝達する熱電部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態による圧電モジュール及びこれを含む車両用シートによると、車両が走行する際に生じる振動により発生した電気エネルギーを用いて圧電モジュールを駆動することにより、電圧供給がない場合でも車両用シートの温度を調節することができる。
【0010】
さらに、圧電モジュールを含む車両用シートは、車両の振動エネルギーにより発生するエネルギーを用いる点において、電気エネルギーあるいは炭素エネルギーの低減に寄与する環境にやさしいコンセプトカーを設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による圧電モジュールを含む車両用シートを示す図面である。
【図2】図1の圧電モジュールを示す具体的な図面である。
【図3】図2の熱電部を示す詳細図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。しかし、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0013】
本発明を説明するにあたり、本発明に係わる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、これは使用者、運用者の意図または慣例などによって変わることができる。従って、その定義は本明細書の全体における内容を基に判断すべきであろう。
【0014】
本発明の技術的思想は請求範囲によって決まり、以下の実施形態は本発明の技術的思想を本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に効率的に説明するための一つの手段に過ぎない。
【0015】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態による圧電モジュール及びこれを含む車両用シートを説明すると次のとおりである。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による圧電モジュール及びこれを含む車両用シートを示す図面である。
【0017】
図1に図示されたように、本発明による車両用シート1000は、車両の搭乗者の重量を安定的に支持してリラックスした姿勢で車両に搭乗できるようにするとともに、車両の走行過程において発生する振動及び衝撃を吸収するものである。
【0018】
このような車両用シート1000は、搭乗者の下半身を支持する座板部210と、座板部210の一側で直交する方向に延長して形成され、搭乗者の上半身を支持する背もたれ部220と、を含んでなることができる。
【0019】
この場合、座板部210及び背もたれ部220は、例えば、カバー(不図示)の内部に合成樹脂発泡材などからなるシートフォーム(不図示)を挿入し、シートフォームの内側にシートのフレーム(不図示)及びバネ(不図示)などが挿入されるようにして搭乗者の身体を安定的に支持することができる。
【0020】
また、座板部210の内部には、圧電モジュール100が備えられ、この圧電モジュール100は、搭乗者の身体に直接、冷気または温気を伝達するものであって、車両の走行時に生じた振動により生成される電流の流れによって、熱気または冷気を発生させることができる。
【0021】
より具体的に、本発明による圧電モジュール100は、車両の運行中に発生する振動を車両用シート1000の座板部210の裏面に位置した振動検知手段300から印加されることができる。
【0022】
また、圧電モジュール100は、振動検知手段300から印加された振動により発生した電気エネルギー、即ち、交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧を通じて搭乗者の身体に直接、冷気または温気を伝達することができる。
【0023】
以下、本発明による圧電モジュール100の具体的な説明は、図2で説明する。
【0024】
このように、本発明による圧電モジュール100を含む車両用シート1000は、車両が走行する際に生じる振動により発生された電気エネルギーを用いて圧電モジュールを駆動することにより、電圧供給なしでも車両用シートの冷温を調節することができる。
【0025】
さらに、圧電モジュール100を含む車両用シート1000は、車両の振動エネルギーにより発生するエネルギーを用いる点において、電気エネルギーあるいは炭素エネルギーの低減に寄与する環境にやさしいコンセプトカーを設計することができる。
【0026】
図2は、図1の圧電モジュールを示す具体的な構成図である。
【0027】
図2のように、本発明の一実施形態による圧電モジュール100は、圧電部110、変換部120及び熱電部130を含む。
【0028】
圧電部110は、振動検知手段300から印加された振動を電気エネルギー、即ち、交流電圧(AC)に変換することができる。
【0029】
より具体的に、圧電部110は、振動検知手段300から振動を印加され、圧電効果を発生させる。即ち、圧電性結晶に圧力が作用することにより圧電性結晶に対向する二つの面に交流電圧が発生する。
【0030】
変換部120は、圧電部110から印加された電気エネルギー、即ち、交流電圧(AC)を直流電圧(DC)に変換して保存することができる。
【0031】
このような変換部120は、圧電部110から発生した交流電圧(AC)を既に設定された大きさの直流電圧(DC)に変換する整流部140と、変換された直流電圧(DC)を保存して熱電部130を駆動させる手段として用いられる蓄電部150と、を含んでなることができる。
【0032】
この場合、整流部140は、例えば、順方向抵抗が小さく逆方向抵抗が充分に大きいため、一方向のみに電流を通過させる整流作用が可能であり、ダイオードのような素子一つによっても整流は可能であるが、効果的な整流のためにブリッジダイオードD1、D2、D3、D4からなることが好ましい。
【0033】
また、本発明による蓄電部150は、例えば、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)C1からなることができる。
【0034】
熱電部130は、変換部120から提供される直流電圧に応じて熱気または冷気を発生して車両用シートに提供することができる。
【0035】
より具体的に、熱電部130は、例えば、図3のように、熱電モジュールとして形成することができる。即ち、P型熱電素子135とN型熱電素子136とが、電極133、134により電気的に連結されることができる。
【0036】
このような熱電部130は、蓄電部150に保存された直流電圧に応じて、上部基板131では吸熱が、下部基板132では放熱が生じる。一方、吸熱及び放熱は、前記実施形態のように限定されるものではなく、電流の方向に応じて吸熱と放熱の位置は変更されることができる。
【0037】
一方、本発明の熱電部130は、複数個に形成され、複数個の熱電部130は、車両の時速に応じて選択的に駆動され、熱気または冷気を発生させて車両用シートに提供することができる。
【0038】
より具体的に説明すると、例えば、一台の車両が1km/hで走行すると仮定する場合、圧電部110は、400Whの消費電力量を発生させることができる。
【0039】
また、複数個の熱電部130のうち何れか一つを駆動する場合、100Wの電力が必要となると仮定する場合、前記のように、圧電部110が400Whの消費電力量を発生させることができるため、一台の車両が1km/hで走行する場合、計4個の熱電部130が駆動され、それに相当する熱を発生させることができる。従って、複数個の熱電部130は、少なくとも4個、形成することができ、車両の時速に応じて選択的に活性化及び非活性化することができる。
【0040】
このように、本発明による圧電モジュール100を含む車両用シート1000は、車両が走行する際に生じる振動による電気エネルギーを用いて圧電モジュールを駆動することにより、電圧供給なしでも車両用シートの冷温を調節することができる。
【0041】
さらに、圧電モジュール100を含む車両用シート1000は、車両の振動エネルギーにより発生するエネルギーを用いる点において、電気エネルギーあるいは炭素エネルギーの低減に寄与する環境にやさしいコンセプトカーを設計することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 圧電モジュール
110 圧電部
120 変換部
130 熱電部
140 整流部
150 蓄電部
210 座板部
220 背もたれ部
300 振動検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者の下半身を支持する座板部と、
前記座板部の一側で直交する方向に延長して形成され、前記搭乗者の上半身を支持する背もたれ部と、
前記座板部の内部に形成され、車両の振動により発生した電流の流れを用いて熱気及び冷気を発生させて前記搭乗者の身体に伝達する圧電モジュールと、を含む車両用シート。
【請求項2】
前記座板部の裏面に位置し、車両の運行中に発生する前記車両の振動を前記圧電モジュールに伝達する振動検知手段をさらに含む請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記圧電モジュールは、
前記振動検知手段から印加される前記車両の振動により発生された電気エネルギーを交流電圧に変換する圧電部と、
前記圧電部から提供された交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧を蓄電する変換部と、
前記変換部に保存された前記直流電圧に応じて前記熱気または前記冷気を発生させる熱電部と、を含む請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記変換部は、
前記圧電部から発生した前記交流電圧を、既に設定された大きさの前記直流電圧に変換する整流部と、
前記整流部により変換された前記直流電圧を保存する蓄電部と、を含む請求項3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記整流部は、ブリッジダイオードからなる請求項4に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記蓄電部は、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)からなる請求項4に記載の車両用シート。
【請求項7】
車両の振動を検知する振動検知手段と、
前記振動検知手段から印加される前記車両の振動により発生した電気エネルギーを交流電圧に変換する圧電部と、
前記圧電部から提供された交流電圧を直流電圧に変換し、変換された直流電圧を蓄電する変換部と、
前記変換部に保存された前記直流電圧に応じて、前記熱気または前記冷気を発生させて搭乗者の身体に冷気または温気を伝達する熱電部と、を含む圧電モジュール。
【請求項8】
前記変換部は、
前記圧電部から発生した前記交流電圧を、既に設定された大きさの前記直流電圧に変換する整流部と、
前記整流部により変換された前記直流電圧を保存する蓄電部と、を含む請求項7に記載の圧電モジュール。
【請求項9】
前記整流部はブリッジダイオードからなる請求項8に記載の圧電モジュール。
【請求項10】
前記蓄電部はスーパーキャパシタ(Super Capacitor)からなる請求項8に記載の圧電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−22459(P2013−22459A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157271(P2012−157271)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】