説明

培土器

【課題】 一種類の培土器で外盛り仕様、あるいは、内盛り仕様の畝立てを任意に行うことができるようにして、ユーザーにかかる経済的負担を少なくするとともに、機器の管理も容易なものにする。
【解決手段】 畝底面を形成する下端辺aと畝側面を形成する傾斜側端辺bとを備えた左右の分割成形板21を、それぞれの傾斜側端辺bが外向きとなって互いに近接して左右方向に配置する逆台形形状の外盛り仕様と、左右の分割成形板21を、それぞれの傾斜側端辺bが内向きとなって間隔をもって左右方向に配置する内盛り仕様とに切換え可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機に装着して畝立て作業に利用する培土器に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機に装着する培土器としては、走行機体の後部ヒッチに連結して使用するよう構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−52202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
畝を成形する形態としては、耕起された土を培土器によって左右に押し分け押圧して機体通過跡に畝底を形成してゆく外盛り仕様と、耕起された土を培土器によって左右中央に盛り上げて機体通過跡に畝を形成してゆく内盛り仕様とがあり、各仕様に応じた培土器を使い分けるようにしていた。このため、ユーザーは外盛り仕様と内盛り仕様の培土器をそれぞれ用意する必要があり、経済的負担がかかるとともに、使用しない培土器を管理する手間の生じるものであった。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、一種類の培土器で外盛り仕様、あるいは、内盛り仕様の畝立てを任意に行うことができるようにして、ユーザーにかかる経済的負担を少なくし、機器の管理も容易なものにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は培土器において、畝底面を形成する下端辺と畝側面を形成する傾斜側端辺とを備えた左右の分割成形板を、それぞれの傾斜側端辺が外向きとなって互いに近接して左右方向に配置する逆台形形状の外盛り仕様と、左右の分割成形板を、それぞれの傾斜側端辺が内向きとなって間隔をもって左右方向に配置する内盛り仕様とに切換え可能に構成してあることを特徴とする。
【0006】
上記構成によると、例えば図4に示すように、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bが外向きとなるように、左右の分割成形板21(培土器20)を互いに近接して左右方向に配置することにより、外盛り仕様の培土器20(左右の分割成形板21)を得ることができる。これにより、例えば図4に示すように、培土器20(左右の分割成形板21)の進行に伴って土が左右に押し分けられ、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bにより左右の畝の畝側面が成形される。
【0007】
例えば図6に示すように、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bが内向きとなるように、左右の分割成形板21(培土器20)を間隔をもって左右方向に配置することにより、内盛り仕様の培土器20(左右の分割成形板21)を得ることができる。これにより、例えば図6に示すように、培土器20(左右の分割成形板21)の進行に伴って土が中央に盛り上げられ、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bにより中央の畝の左右の畝側面が成形される。
【0008】
従って、第1の発明によると、一種類の培土器で外盛り仕様、あるいは、内盛り仕様の畝立てを任意に行うことができ、ユーザーにかかる経済的負担が少なくなるとともに、機器の管理も容易となる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
分割成形板を、歩行型管理機における左右のフェンダに連結可能に構成してあるものである。
【0010】
上記構成によると、専用の培土器の取り付け部を走行機体に備えることなく、フェンダの横幅を利用して左右の分割成形板を所定の姿勢に確実強固に支持することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、
左右の分割成形板を、支持枠にゴム板を取り付けて構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、土が付着しにくいゴム板で土を押圧して、滑らか表面をもった仕上がりの良い畝を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、歩行型管理機の全体側面が、図2に、その平面がそれぞれ示されている。この歩行型管理機の走行機体1は、エンジン2を上端に直結した伝動ケース3から後方に操縦ハンドル4を延出するとともに、伝動ケース3の下部左右に回転軸5を横架支承し、伝動ケース3の上部左右に板金構造のフェンダ6を張り出し配備して構成されている。
【0014】
エンジン2は、縦軸型の空冷式ガソリンエンジンが使用されており、エンジン2の上部に備えたリコイルスタータ7を用いて手動でエンジン始動を行うよう構成されている。前記リコイルスタータ7から後方にリコイルロープ8が導出されるとともに、リコイルロープ8の後端に備えた引き手8aが、操縦ハンドル4に備えられたロープフック9に挿通支持されている。
【0015】
操縦ハンドル4は、丸パイプ材からなるハンドル基部4aと、その後端に横向きの支点p周りに回動可能に枢支連結された左右二股状の操作ハンドル部4bとから構成されている。支点pに備えたノブ付きボルト10を緩めて操作ハンドル部4bを上下に回動し、任意の回動位置でノブ付きボルト10を締め込むことで、操作ハンドル部4bの高さを調節することができるとともに、操作ハンドル部4bを前方に大きく回動することで、エンジン2の上方にまで格納可能となっている。
【0016】
前記伝動ケース3の後部には板金構造の後部ヒッチ12が備えられており、この後部ヒッチ12の前後中間位置に操縦ハンドル4のハンドル基部4aが挿通されて、その前端部が伝動ケース3に連結されることで、ハンドル基部4aが所定の後上がり傾斜姿勢で強固に連結固定されている。
【0017】
前記後部ヒッチ12の後端には縦向きのボス部12aが備えられており、このボス部12aに丸棒材をくの字形に屈曲した抵抗棒13が挿通されて貫通ピン14で位置固定されている。抵抗棒13には上下複数のピン挿通孔15が形成されており、このピン挿通孔15を選択して貫通ピン14を挿通することで、抵抗棒13の高さを複数段階に調節することが可能となっている。
【0018】
図1は、前進走行によって走行機体1の通過跡に畝を形成してゆく畝立て形態に構成された歩行型管理機が示されており、伝動ケース3の下部に支承された左右の回転軸5に耕起ロータ16がそれぞれ装着され、耕起ロータ16をダウンカット方向(図1及び図3の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、走行機体1の後部において圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起を行うようになっている。
【0019】
耕起ロータ16は、爪軸17に複数種の耕起爪18を固定して構成されており、外盛り仕様で畝立てを行う場合には、耕起した土を左右に跳ね上げるように耕起爪18が所定の配列に配置されたものが使用される。内盛り仕様で畝立てを行う場合には、耕起した土を左右中央に跳ね上げるように耕起爪18が所定の配列に配置されたものが使用される。
【0020】
走行機体1に備えられたフェンダ6の後端部に培土器20が連結されている。この培土器20には、畝底を成形する下端辺aと畝側面を形成する左右の傾斜側端辺bを備えた左右の分割成形板21で構成されている。台形状のゴム板23の上端辺に金属製の支持枠22がボルト締め連結されて、ゴム板23の下端辺aに金属製の支持枠25がボルト締め連結され、金属製の支持枠26が支持枠22,25に亘って連結されて、左右の分割成形板21が構成されている。
【0021】
図4は、外盛り仕様で畝立てを行う場合が示されており、左右の分割成形板21は、その傾斜側端辺bがそれぞれ外向きになるように左右から突き合わせ配置され、支持枠22の上部を介してフェンダ6の後端部に連結されて、左右の分割成形板21の間に抵抗棒13が入り込んでいる。左右の分割成形板21の下部(支持枠25)が連結ステー24で繋がれて、全体として逆台形の1枚の培土器20(左右の分割成形板21)として機能するよう構成されている。
【0022】
上記構成によると、耕起ロータ16をダウンカット方向に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで所望の速度で前進しながら耕起および左右への土上げを行う。
これにより、耕起されて柔らかくなった土を培土器20(左右の分割成形板21)で押圧移動させ、左右の分割成形板21(培土器20)の下端辺aで中央の畝底を押圧成形するとともに、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bで左右の畝の畝側面を押圧成形する。
【0023】
培土器20は畝を成形する押圧反力によって後方へ変形されようとするが、左右の分割成形板21の下部(支持枠25)をつなぐ連結ステー24が抵抗棒13で受け止められて、培土器20は前倒れ傾斜した所定の成形作用姿勢に維持される。
【0024】
図6は、内盛り仕様で畝立てを行う場合が示されている。この場合、左右の分割成形板21は左右に入れ替えられて、その傾斜側端辺bがそれぞれ内向きに対向するよう間隔をもって離れて配置され、支持枠22の上部を介してフェンダ6の後端部に連結される(連結ステー24は使用しない)。
これにより、図6に示すように、耕起されて柔らかくなった土を培土器20(左右の分割成形板21)で押圧移動させ、左右の分割成形板21(培土器20)の下端辺aで左右
の畝底を押圧成形するとともに、左右の分割成形板21(培土器20)の傾斜側端辺bで
中央の畝の左右の畝側面を押圧成形する。
【0025】
〔他の実施例〕
(1)図7に示すように、培土器20を使用しない場合には、左右の分割成形板21を左右のフェンダ6の外端部に連結して延長フェンダとして利用することができる。
(2)左右の分割成形板21を金属板材で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】歩行型管理機の全体側面図
【図2】歩行型管理機の全体平面図
【図3】折り畳み格納状態の側面図
【図4】外盛り仕様に構成された培土器の背面図
【図5】培土器の縦断側面図
【図6】内盛り仕様に構成された培土器の背面図
【図7】使用しない培土器を格納した状態の平面図
【符号の説明】
【0027】
1 走行機体
6 フェンダ
21 分割成形板
22 支持枠
23 ゴム板
a 下端辺
b 傾斜側端辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝底面を形成する下端辺と畝側面を形成する傾斜側端辺とを備えた左右の分割成形板を、それぞれの傾斜側端辺が外向きとなって互いに近接して左右方向に配置する逆台形形状の外盛り仕様と、左右の分割成形板を、それぞれの傾斜側端辺が内向きとなって間隔をもって左右方向に配置する内盛り仕様とに切換え可能に構成してあることを特徴とする培土器。
【請求項2】
左右の前記分割成形板の上端部を、歩行型管理機における走行機体の左右のフェンダに連結可能に構成してある請求項1記載の培土器。
【請求項3】
左右の前記分割成形板を、支持枠にゴム板を取り付けて構成してある請求項1または2記載の培土器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183230(P2009−183230A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28011(P2008−28011)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】