説明

基板の切断構造

【課題】 ニッパで切断する必要がなくて手で基板を折り曲げるだけで基板を割ることができ、量産の際に切断工数を減らすことができてコストダウンを図れ、しかも、割る基板上のパターンの引き回しが行い易い基板の切断構造を提供する。
【解決手段】 基板1の一部を基板1の横縁辺2から縦縁辺3に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造において、基板1の横縁辺2から縦方向に形成されたスリット4の中途部の1箇所が階段状に形成され、階段状スリット4aにおける横方向のスリット4bのほぼ中間部分に第1連結片5が設けられ、横方向のスリット4bから縦方向に向けて形成されたスリット4cが下端で横方向のスリット6に連設されて縦縁辺3まで至り、この横方向のスリット6の途中に線状孔7と丸孔8を交互に配列してその間に第2連結片9が形成されており、第1連結片5の長さを第2連結片9の全長より短く形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一部を前記基板の横縁辺から縦縁辺に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の一部をL字形に切断する基板の接続構造は、図8に示すように、基板101の横縁辺102から縦縁辺103に向けてL字形のスリット104が形成され、縦向方向のスリット104aにはその中途部分に縦向き連結片105が形成され、横方向のスリット104bにはその中途部分に線状孔106と丸孔107が交互に配列されてその間に横向き連結片108が設けられ、この基板101を切断する際に縦向き連結片105をニッパで切断した後に、基板101を折り曲げることにより横向き連結片108を割って切断していた。ところが、ニッパで縦向き連結片105をニッパで切断した後に、基板101を折り曲げて横向き連結片108を切断していたので、量産の際に切断工数が多くてコスト高となると共にニッパを必要としていたという問題があった。
【0003】
第1の従来技術を図9に示す。この従来のプリント回路基板は、図9に示すように、一端が階段状のプリント回路基板201、202を形成するためのスリット203、分割前のプリント回路基板201、202を互いに連結するための第1のミシン目切断部204及び第2のミシン目切断部205を基板母材210に設ける。スリット203は、基板母材210を分割して略L字状のプリント回路基板を201、202を形成するために、略階段状に打ち抜かれている。ミシン目切断部204、205は、スリット203のうち段違いの互いに平行な2辺206、207に対して所定の角度θで交差する直線Lの上に配置されている。第1のミシン目切断部204と第2のミシン目切断部205とを結ぶ直線Lに沿って母材基板210を折り曲げたとき、第1のミシン目切断部204と第2のミシン目切断部205のミシン目切断部205のミシン目に応力が集中し、基板母材210が容易に切断できる。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、これにおいては、第1のミシン目切断部204と第2のミシン目切断部205がプリント回路基板201、202との間に斜め向きに形成されているために、パターンが引きにくくなるという問題があった。また、これは、プリント回路基板にL字形のスリットを設けるものではなかった。
【0005】
第2の従来技術を図10に示す。この従来のプリント配線板は、図10に示すように、プリント配線板310の一部にL字型の製品配線基板311の配線パターンをエッチングにより形成する。製品配線基板の捨て基板312との切り離し境界の水平部分に、直径1mmのダイスを有するルータにより線状孔と丸孔を交互に配列しその間に連結片を設けたミシン目状の切断線R1を設ける。次に、切り離し境界の垂直部分に、直径1mmのダイスを有するルータにより幅3mmの線状孔を配列しその間に連結孔313を設けたミシン目状の切断線R2を設ける。連結片は、製品配線基板の近傍部分の幅が約1mmであり、捨て基板につながる部分の幅が約3mmと広くなっている。まず、切断線R1の連結片の切断をニッパ等により行い、その後、切断線R2を手分割により分離する。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところが、これにおいては、切断線R1の連結片をニッパ等で切断するために、切断工数が多くてコスト高となるという問題があった。
【特許文献1】特開2006−196748号公報
【特許文献2】特開平6−342963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、ニッパで切断する必要がなくて手で基板を折り曲げるだけで基板を割ることができ、量産の際に切断工数を減らすことができてコストダウンを図れ、しかも、基板上のパターンの引き回しが行い易い基板の切断構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、請求項1に記載の発明は、基板の一部を前記基板の横縁辺から縦縁辺に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造において、前記基板の横縁辺から縦方向に形成されたスリットの中途部の1箇所が階段状に形成され、この階段状のスリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第1連結片が設けられ、この横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットが下端で横方向のスリットに連設されて縦縁辺まで至り、この縦縁辺までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に第2連結片が形成されており、前記第1連結片の長さが前記第2連結片の全長より短くなるように形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、基板の一部を前記基板の横縁辺から縦縁辺に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造において、前記基板の横縁辺から縦方向に形成されたスリットの中途部が階段状に形成され、この階段状のスリットにおける横方向のスリットに連結片が設けられ、この横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットが下端で横方向のスリットに連接されて縦縁辺まで至り、この縦縁辺までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に連結片が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記階段状のスリットは、前記縦方向のスリットの中途部に2箇所設けられて第1階段状スリットと第2階段状スリットとされ、前記第1階段状スリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第1連結片が設けられる共に前記第2階段状スリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第2連結片が設けられ、前記第2階段状スリットの前記横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットの下端で横方向のスリットに連設されて縦縁片まで至り、この縦縁片までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に第3連結片が形成されており、前記第1連結片の長さが前記第2連結片の長さより短くなるように形成され、更に前記第2連結片の長さが前記第3連結片の全長より短くなるように形成した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、基板を折り曲げると、階段状のスリットの横方向のスリットに形成された短い第1連結片が割れて、次に縦縁辺まで至る横方向の長い第2連結片が割れるから、基板を割りやすく、ニッパを使用せずに基板を手だけで割ることができ、量産の際の切断工数を減らすことができて、コストダウンを図ることができる。また、基板の各部分の割った形状が直角になるから、基板上のパターンの引き回しが行い易い。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、階段状のスリットの横方向のスリットに形成された連結片と縦縁辺までの横方向のスリットの連結片が同じ横向きであるから、基板を折り曲げてこれらの連結片を一気に割ることができ、ニッパを使用せずに基板を手だけで割ることができ、量産の際の切断工数を減らすことができて、コストダウンを図ることができる。また、基板の各部分の割った形状が直角になるから、基板上のパターンの引き回しが行い易い。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、基板を折り曲げると、第1階段状スリットの横方向のスリットに設けられた最も短い第1連結片が割れ、次に第2階段状スリットの横方向のスリットに設けられた短い第2連結片が割れて、次に縦縁辺まで至る横方向のスリットに設けられた第3連結片が割れるから、より一層基板を割り易い。更に、ニッパを使用せずに基板を手だけで割ることができ、量産の際の切断工数を減らすことができて、コストダウンを図ることができる。また、基板の各部分の割った形状が直角になるから、基板上のパターンの引き回しが行い易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る基板の切断構造の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施形態の基板の切断構造を示す平面図、図2は同構造における基板を割るときの最初の割れ状態を示す平面図、図3は同構造における基板が割れて切り離された状態を示す平面図である。
【0016】
この第1実施形態の基板の切断構造は、図1に示すように、基板1の一部を基板1の横縁辺2から縦縁辺3に向けてL字形に切断するようにしたものである。即ち、基板1の横縁辺2から縦方向に向けて形成されたスリット4の中途部の1箇所が階段状スリット4aに形成され、横方向に向いたスリット4bのほぼ中間部分に第1連結片5が形成されている。この横方向のスリット4bから縦方向に向けて形成されたスリット4cの下端で横方向に向いたスリット6に連設されて縦縁辺3まで至り、この縦縁辺3までの横方向のスリット6の途中に線状孔7と丸孔8が交互に配列されて、その間に第2連結片9が形成されている。そして、第1連結片5の長さaが第2連結片9の全長bより短くなるように形成されている。
【0017】
この基板1を割ると、図2に示すように、先ず長さの短い第1連結片5が割れ、次に、図3に示すように、第2連結片9が割れて基板1は本体基板1aと割り基板1bに分割される。従って、この第1実施形態によれば、基板1を折り曲げると、階段状スリット4aの横方向のスリット4bに形成された短い第1連結片5が割れて、次に縦縁辺3まで至る横方向の長い第2連結片9が割れるから、基板1を割りやすく、ニッパを使用せずに基板1を手だけで割ることができ、量産の際の切断工数を減らすことができて、コストダウンを図ることができる。また、基板1の各部分の割った形状が直角になるから、基板1上のパターンの引き回しが行い易い。
【0018】
図4は第2実施形態の基板の切断構造を示す平面図、図5は同構造における基板を割るときの最初の割れ状態を示す平面図、図6は同構造における次の基板の割れ状態を示す平面図、図7は同構造における基板が割れて切り離された状態を示す平面図である。
【0019】
この第2実施形態の基板の切断構造は、図4に示すように、階段状スリットが、基板1Aの横縁辺11から縦方向に向けて形成されたスリット12の中途部に2箇所設けられて、第1階段状スリット13と第2階段状スリット14に形成されている。第1階段状スリット13における横方向のスリット13aのほぼ中間部分に第1連結片15が設けられ、第2階段上スリット14の横方向のスリット14aのほぼ中間部分に第2連結片16が設けられている。更に、第2階段状スリット14の横方向のスリット14aから縦方向に向けて形成されたスリット14bの下端で横方向のスリット17に連設されて縦縁辺18まで至り、この縦縁辺18までの横方向のスリット17の途中に線状孔19と丸孔20が交互に配列されてその間に第3連結片21が形成されている。そして、第1連結片15の長さsが第2連結片16の長さtより短くなるように形成され、更に、第2連結片16の長さtが第3連結片21の全長uより短くなるように形成されている。
【0020】
この基板1Aを割ると、図5に示すように、先ず最も短い第1連結片15が割れ、次に図6に示すようにつぎに短い第2連結片16が割れ、最後に図7に示すように第3連結片21が割れて基板1Aは本体基板1cと割り基板1dに分割される。
【0021】
従って、この第2実施形態によれば、基板1Aを折り曲げると、第1階段状スリット13の横方向のスリット13aに設けられた最も短い第1連結片15が割れ、次に第2階段状スリット14の横方向のスリット14aに設けられた短い第2連結片16が割れて、次に縦縁辺18まで至る横方向のスリット17に設けられた第3連結片21が割れるから、基板をより一層割り易い。更に、ニッパを使用せずに基板1Aを手だけで割ることができ、量産の際の切断工数を減らすことができて、コストダウンを図ることができる。また、基板1Aの各部分の割った形状が直角になるから、基板1A上のパターンの引き回しが行い易い。
【0022】
尚、上記実施形態においては、一箇所の階段状スリットと2箇所の階段状スリットが設けられたものについて説明したが、これに限らず、3箇所以上の複数個所に階段状スリットを設けてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態の基板の切断構造を示す平面図である。
【図2】同構造における基板を割るときの最初の割れ状態を示す平面図である。
【図3】同構造における基板が割れて切り離された状態を示す平面図である。
【図4】第2実施形態の基板の切断構造を示す平面図である。
【図5】同構造における基板を割るときの最初の割れ状態を示す平面図である。
【図6】同構造における次の基板の割れ状態を示す平面図である。
【図7】同構造における基板が割れて切り離された状態を示す平面図である。
【図8】従来の基板の切断構造を示す平面図である。
【図9】従来のプリント回路基板の基板母材の平面図である。
【図10】従来のプリント配線板におけるL字型配線基板を設けた状態の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 基板
1A 基板
1a 本体基板
1b 割り基板
1c 本体基板
1d 割り基板
2 横縁辺
3 縦縁辺
4 縦方向のスリット
4a 階段状スリット
4b 横方向のスリット
4c 縦方向のスリット
5 第1連結片
6 横方向のスリット
7 線状孔
8 丸孔
9 第2連結片
11 横縁辺
12 縦方向のスリット
13 第1階段状スリット
13a 横方向のスリット
14 第2階段状スリット
14a 横方向のスリット
14b 縦方向のスリット
15 第1連結片
16 第2連結片
17 横方向のスリット
18 縦縁辺
19 線状孔
20 丸孔
21 第3連結片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一部を前記基板の横縁辺から縦縁辺に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造において、前記基板の横縁辺から縦方向に形成されたスリットの中途部の1箇所が階段状に形成され、この階段状のスリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第1連結片が設けられ、この横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットが下端で横方向のスリットに連設されて縦縁辺まで至り、この縦縁辺までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に第2連結片が形成されており、前記第1連結片の長さが前記第2連結片の全長より短くなるように形成したことを特徴とする基板の切断構造。
【請求項2】
基板の一部を前記基板の横縁辺から縦縁辺に向けてL字形に切断するようにした基板の切断構造において、前記基板の横縁辺から縦方向に形成されたスリットの中途部が階段状に形成され、この階段状のスリットにおける横方向のスリットに連結片が設けられ、この横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットが下端で横方向のスリットに連接されて縦縁辺まで至り、この縦縁辺までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に連結片が形成されていることを特徴とする基板の切断構造。
【請求項3】
前記階段状のスリットは、前記縦方向のスリットの中途部に2箇所設けられて第1階段状スリットと第2階段状スリットとされ、前記第1階段状スリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第1連結片が設けられる共に前記第2階段状スリットにおける横方向のスリットのほぼ中間部分に第2連結片が設けられ、前記第2階段状スリットの前記横方向のスリットから縦方向に向けて形成されたスリットの下端で横方向のスリットに連設されて縦縁片まで至り、この縦縁片までの横方向のスリットの途中に線状孔と丸孔を交互に配列してその間に第3連結片が形成されており、前記第1連結片の長さが前記第2連結片の長さより短くなるように形成され、更に前記第2連結片の長さが前記第3連結片の全長より短くなるように形成した請求項2に記載の基板の切断構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−171847(P2008−171847A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−941(P2007−941)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】