説明

基板の欠陥検査装置

【課題】 AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することができる基板の欠陥検査装置を提供すること。
【解決手段】 ユーザは、ガイド表示として表示された各欠陥候補に関する特徴情報に基づいて1の欠陥候補を選択し、その欠陥候補の実画像を前記画像表示器の画面上において観察することで、当該選択された欠陥候補が疑似欠陥か真の欠陥かを判別できるようにされており、さらにAOI装置により生成保存される特徴情報には、当該欠陥候補のそれぞれの画像を含む局部領域画像が含まれており、かつ欠陥候補表示手段は、各欠陥候補毎に、その欠陥候補に対応する前記局部領域画像を画像表示器の画面上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル等の表示パネルや集積回路が作り込まれた半導体基板等における欠陥を光学的自動検査装置(以下、「AOI(Automated Optical Inspection)装置」という)を使用して検査する基板の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、液晶表示パネル、半導体集積回路等の基板製造分野においては、基板の大型化の傾向に伴い、欠陥を有する基板については、廃棄するよりも、修正して製品化する方がコスト的に有利となりつつある。そのため、リペア処理に先立って、光学的手法又は電気的手法で基板の欠陥を検査する欠陥検査装置や検査結果表示装置が種々開発されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
この種の欠陥検査装置の対象となる欠陥は極めて微細なものであるから、検査結果の信頼性には限界があり、検査の結果、欠陥であるとされるもの(以下、「欠陥候補」という)の中には、実際には欠陥でないもの(以下、「疑似欠陥」という)も数多く含まれているのが通例である。そのため、このような疑似欠陥と修正が必要な真の欠陥とを効率よく識別し、真の欠陥を確実かつ迅速に修正することが求められている。
【0004】
従来、液晶パネル等の基板の欠陥検査は、導通検査装置による第1段階の検査と目視検査による第2段階の検査との2段階で行われるのが通例であった。ここで、目視検査は、通常、導通検査装置により得られた欠陥候補のそれぞれを、顕微鏡カメラで電子的に撮影し、得られた画像を画像表示器の画面上で観察すると言った手法で行われる。しかし、目視検査では、1回の検査で数百ミクロン程度の視野しかカバーできないため、基板が大型化するに連れて、検査所要時間が膨大となり、作業能率上において問題があった。
【0005】
そこで、近年、目視検査の代わりに、AOI装置による検査を導入することにより、この種の基板検査を、導通検査装置による第1段階の検査とAOI装置による第2段階の検査との2段階で行うことが提案されている。
【0006】
従来のAOI装置が組み込まれた基板リペア装置の処理の一例が図7のフローチャートに示されている。図示を省略するが、この基板リペア装置は、基板上のリペア対象箇所にレーザビームを照射してこれをリペアするものであって、検査対象となる基板を載置するためのステージと、ステージ上に載置された検査対象基板の回路パターン担持面を撮影する顕微鏡カメラと、ヒューマンマシンインタフェースとして機能する画像表示器と、顕微鏡カメラの視野を回路パターン担持面上において走査するための視野走査機構とを備えている。
【0007】
図において、処理が開始されると、外部からAOI指令が到来するのを待って、AOI装置を起動する(ステップ401)。すると、AOI装置が起動されて、所定のAOI動作が行われる(ステップ402)。
【0008】
AOI装置の処理が図8のフローチャートに示されている。同図において、ステップ501では、顕微鏡カメラを介して取得された検査対象基板上の指定位置(欠陥候補位置)を含む所定範囲の周辺画像を取得して保存する。
【0009】
続くステップ502では、保存された周辺画像の中から所定のアルゴリズムにしたがって正常基準となる回路パターンを含む小画像を各検査領域毎に決定する。続くステップ503では、取得された周辺画像の中から該当する検査対象領域の小画像を切り出す。
【0010】
続くステップ504では、正常基準となる小画像と検査対象領域の小画像とをパターン照合する。続くステップ505では、所定の許容範囲をもって照合不一致であるか否かの判定を行う。ここで、両者が不一致と判定されれば(ステップ505YES)、検査対象となる小画像には欠陥が含まれている可能性が高いことを意味する。一方、両者が一致すると判定されれば(ステップ505NO)、検査対象となる小画像には欠陥が含まれていない可能性が高いことを意味する。
【0011】
ステップ505において、両者が不一致と判定されると(ステップ505YES)、ステップ506へと移行する。ステップ506では、照合不一致とされた検査対象小画像に基づいて、それに含まれる欠陥に関する特徴情報を生成して、これを所定のメモリに保存する。この特徴情報は、後述する欠陥候補リストの作成に利用される。
【0012】
以後、以上の処理(ステップ501〜506)を繰り返し、取得された周辺画像の全体に亘って検査を行うのを待って、処理は終了する(ステップ507YES)。なお、取得された周辺画像中のパターン相違等により基準小画像の変更が必要な場合には(ステップ508YES)、所定のアルゴリズムにしたがって、新たな基準となる小画像が決定される(ステップ502)。
【0013】
このように、従来のAOI装置の処理は、指定された欠陥候補のそれぞれについて、顕微鏡カメラを介して、その所定周辺画像を取得すると共に、取得された周辺画像の中から、各検査対象領域毎に正常基準となる小画像を決定し、この基準となる小画像と取得された周辺画像から切り出された検査対象小画像とを照合し、両者の不一致をもって欠陥候補を認定し、各欠陥候補に関する特徴情報を生成して保存するものである。
【0014】
図7に戻って、ステップ403においては、AOI装置から検査結果、すなわち生成保存された各欠陥候補の特徴情報を取得する。続くステップ404では、取得された特徴情報を欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示として、画像表示器の画面上に所定の表示形式で欠陥候補リストを表示する。
【0015】
欠陥候補リストの一例を示す説明図が図9に示されている。この例にあっては、欠陥候補リストは、欠陥No.で特定される各欠陥毎に、そのX座標、Y座標、欠陥サイズ、及び基準画像との相関率を記述して構成されている。
【0016】
その後、欠陥候補を表示したままの状態で、オペレータによる候補選択操作を待機する(ステップ405)。この状態において、画面上に表示された欠陥候補リストの中から欠陥候補の1つがオペレータにより選択されると(ステップ405「有」)、その選択された欠陥候補のXY座標が読み込まれ、これを目標位置として、視野走査機構がサーボ制御されることにより、顕微鏡カメラの視野は目標位置へと自動的に移動される(ステップ406)。
【0017】
続くステップ407では、顕微鏡カメラの視野が目標位置に到達するのを待って、画像表示器の画面上に、顕微鏡カメラの視野の画像(実画像)を表示し、続くステップ408では、オペレータによるリペア操作を待機する。
【0018】
この状態において、オペレータは、画像表示器の画面上に表示される欠陥候補の実画像を観察することにより、それがリペア処理が不要な疑似欠陥か、それともリペア処理が必要な真の欠陥であるかを判別することができる。
【0019】
ステップ408において、オペレータによるリペア操作「有」と判定されると、ステップ409において、顕微鏡カメラの視野内の所定位置に照準を合わせてレーザ照射を行う公知のレーザリペア処理が実行される。
【0020】
上述のように、従来のAOI装置が組み込まれた基板リペア装置の処理にあっては、ユーザは、ガイド表示として画面上に表示された各欠陥候補に関する特徴情報(欠陥候補リスト)に基づいて1の欠陥候補を選択し、その欠陥候補の実画像を画面上において観察することで、当該選択された欠陥候補が疑似欠陥か真の欠陥かを判別できるようになっている。
【0021】
このような実画像の観察による真偽判別を行うのは、この種のAOI装置は、基準となる回路パターンと検査対象となる回路パターンとの照合不一致をもって欠陥認定を行うという判定原理上、こうして得られる欠陥候補には、回路動作的に不良な真の欠陥のみならず、回路動作的には問題のない疑似欠陥も含まれざるを得ないことに加え、回路パターンの微細化が進んだ昨今にあっては、断線や異物混入等の異常を正確に判定しようとすればするほど、線幅が僅かに異なったり、全体にパターンが歪んだりした回路動作的には問題のない回路パターンについても、欠陥候補として挙げられてしまう可能性が高くなるからである。
【特許文献1】特開2006−133670号公報
【特許文献2】特開2005−24312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、従来の欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示は、例えば図9に示される欠陥候補リストのように、各欠陥候補の特徴情報を、座標、サイズ、相関率等々と言った数値で表すものであったため、それらの表示項目だけで疑似欠陥か真の欠陥かを正確に判別することはなかなか困難であり、結局、全ての欠陥候補又は大多数の欠陥候補について、画面上で実画像を観察することが必要となり、真偽判定のために大なる手間と時間を要すると言う問題点があった。
【0023】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することができる基板の欠陥検査装置を提供することにある。
【0024】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろあ。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述の「発明を解決しようとする課題」は、以下の構成を有する基板の欠陥検査装置により解決することができるものと考えられる。
【0026】
この基板の欠陥検査装置は、検査対象となる基板を載置するためのステージと、前記ステージ上に載置された検査対象基板の回路パターン担持面を撮影する顕微鏡カメラと、ヒューマンマシンインタフェースとして機能する画像表示器と、前記顕微鏡カメラの視野を前記回路パターン担持面上において走査するための視野走査機構とを有する。
【0027】
この基板の欠陥検査装置は、さらに、AOI装置と、欠陥候補表示手段と、実画像表示手段とを有する。
【0028】
AOI装置は、位置の指定を含む所定のAOI指令に応答して、前記視野走査機構を介して前記顕微鏡カメラの視野を走査することにより、前記回路パターン担持面上の前記指定位置の所定周辺範囲の画像を取得すると共に、その取得された所定周辺範囲の画像と正常基準となる単位領域画像との領域別パターン照合により欠陥候補を1若しくは2以上検出し、当該欠陥候補のそれぞれに関する特徴情報を生成、保存する。
【0029】
欠陥候補表示手段は、前記AOI装置にて生成保存される各欠陥候補に関する特徴情報を取得して、欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示として、前記画像表示器の画面上に所定の表示形式で表示する。
【0030】
実画像表示手段は、手動操作、又は目標位置の教示に応じた自動制御により、前記視野走査機構を介して前記カメラの視野を移動させると共に、当該カメラの視野の実画像を前記画像表示器の画面上に表示する。
【0031】
そのため、ユーザは、前記ガイド表示として表示された各欠陥候補に関する特徴情報に基づいて1の欠陥候補を選択し、その欠陥候補の実画像を前記画像表示器の画面上において観察することで、当該選択された欠陥候補が疑似欠陥か真の欠陥かを判別できる。
【0032】
上述の基本構成において、前記AOI装置により生成保存される特徴情報には、当該欠陥候補のそれぞれの画像を含む局部領域画像が含まれており、かつ前記欠陥候補表示手段は、各欠陥候補毎に、その欠陥候補に対応する前記局部領域画像を前記画像表示器の画面上に表示する、ようになっている。
【0033】
このような構成によれば、オペレータは、前記ガイド表示として画面上に表示された各欠陥候補に対応する局部領域画像を観察することにより、その画像が欠陥候補として挙げられた理由が、断線や異物混入等と言った回路動作不良に繋がる異常が存在しためなのか、或いは線幅の相違や基板端部等に生じがちな回路パターンの歪み等と言った回路動作不良には繋がらない異常が存在するためなのかをある程度の確かさをもって認定することができるから、明らかに回路動作不良には繋がらないと認定される欠陥候補については、実画像観察の対象から除くことにより、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することができる。
【0034】
このとき、前記欠陥候補表示手段における局部領域画像の表示のさせ方については、所定のインクリメント操作に応じて、あたかもページを捲るように、1つずつ局部領域画像を表示画面上に表示するようにしてもよいが、複数の欠陥候補のそれぞれに対応する局部領域画像を前記画像表示器の画面上に一覧表示するようにすれば、どの欠陥候補が真の欠陥に対応する可能性が高いか、或いはどの欠陥候補が疑似欠陥に対応する可能性が高いかを一目瞭然に認定させることができる。
【0035】
また、前記実画像表示手段による実画像の表示中に、レーザリペア実行のための所定のユーザ操作が行われたとき、カメラの視野内の所定位置に照準を合わせてレーザリペア処理を実行するレーザリペア実行手段をさらに有する、ようにしてもよい。
【0036】
このような構成によれば、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することで、基板リペア作業における作業能率を向上させることができる。
【0037】
さらに、上述の基板の欠陥検査装置は、導通検査等の回路機能検査を介して1若しくは2以上の欠陥候補を検出し、当該欠陥候補の概略位置情報を生成保存する上位検査装置と、前記上位検査装置にて生成保存される各欠陥候補に関する概略位置情報を取得して、前記画像表示器の画面上に表示する欠陥候補予備表示手段と、前記実画像表示手段を介して前記概略位置情報に関する実画像が観察されているときに、AOI実行のための所定操作が行われると、前記概略位置情報を指定位置とするAOI指令を発するAOI指令生成手段とをさらに含み、前記AOI装置は、前記AOI指令により起動するようにしてもよい。
【0038】
このような構成によれば、AOI装置の検査結果に基づく欠陥検査の前段に、上位検査装置の検査結果に基づく欠陥検査を設けることにより、上位検査装置の検査結果からでは真偽判定し難い欠陥候補についてのみ、AOI装置の検査結果に基づく真偽判定を採用することで、全体としての検査効率を向上させることができる。
【0039】
なお、以上の欠陥検査装置の検査対象としては、液晶表示パネル等の表示パネル又は集積回路が作り込まれた半導体基板等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の基板の欠陥検査装置によれば、オペレータは、前記ガイド表示として画面上に表示された各欠陥候補に対応する局部領域画像を観察することにより、その画像が欠陥候補として挙げられた理由が、断線や異物混入等と言った回路動作不良に繋がる異常が存在しためなのか、或いは線幅の相違や基板端部等に生じがちな回路パターンの歪み等と言った回路動作不良には繋がらない異常が存在するためなのかをある程度の確かさをもって認定することができるから、明らかに回路動作不良には繋がらないと認定される欠陥候補については、実画像観察の対象から除くことにより、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に、本発明に係る基板の欠陥検査装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0042】
本発明が適用される液晶基板用リペア装置のシステム構成図が図1に、光学ユニットが搭載されるステージの上面図が図2に示されている。
【0043】
それらの図に示されるように、この液晶基板用リペア装置は、液晶表示パネルとなるガラス基板(以下、「液晶基板」と言う)2が載置されるステージ1を中心として構成されている。
【0044】
ステージ1は、その上面視において、長方形状を有するものであって、その長手方向に沿う左右の両側縁部には、前後方向ガイド部材1a,1aが設けられ、それらのガイド部材1a,1aに沿って前後方向へ移動する2つの可動台(図示せず)の間には、門型梁部材(以下、「ガントリ」と言う)1bが左右方向へと架け渡されている。
【0045】
ガントリ1b上には、図示しない左右方向ガイド部材が設けられており、同ガイド部材を介して、レーザ発振器等のレーザ関連機器やイメージセンサ等の撮像用機器を収容する光学ユニット3が左右方向へ移動可能に搭載されている。なお、図示しないが、第4世代以下の基板用リペア装置では、光学系を固定して、ステージがXY方向へ移動する構成のものも存在する。
【0046】
光学ユニット3の前方突出部4には、その下方に位置するリペア対象基板2の回路パターン担持面に対してリペア処理のためのレーザビームを照射するためのレーザ光学系、リペア対象基板2の回路パターン担持面の像を拡大して取り込むための顕微鏡光学系、及び取り込まれた像を画像データに変換するためのイメージセンサ等が収容されている。したがって、上述の顕微鏡光学系やイメージセンサ等によって、目視観察用の画像(画像データ)を取得するための顕微鏡カメラが構成されている。
【0047】
光学ユニット3の前方突出部4の側面には、AOI用補助ユニット5が付設されている。このAOI用補助ユニット5内には、光学ユニット3の前方突出部4に収容された顕微鏡光学系から取得される像を分岐して取り込むためのAOI用分岐光学系、及び取り込まれた像を画像データに変換するためのイメージセンサ等が収容されている。したがって、上述の顕微鏡光学系、AOI用分岐光学系、及びイメージセンサによって、AOI用の画像(画像データ)取得のための顕微鏡カメラが構成されている。なお、AOI画像取得用光学系については、レーザ光学系と独立した構成とすることも可能である。
【0048】
上述の目視観察用の画像を取得するための顕微鏡カメラの視野、及びAOI用の画像を取得するための顕微鏡カメラの視野は、上述の前後方向ガイド部材1a,1a及び左右方向ガイド部材を図示しない直動駆動源で駆動することにより、前後左右に走査されるから、それらの前後方向ガイド部材1a,1a及び左右方向ガイド部材が、本発明の視野走査機構として機能することとなる。
【0049】
AOI用補助ユニット5内の顕微鏡カメラで取得される画像(画像データ)は、画像処理部6へと送られ、ここでAOI機能を実現するための画像処理が実行される。すなわち、画像処理部6では、後に詳述するように、視野走査機構を介して顕微鏡カメラの視野が走査されるのと連動して、回路パターン担持面上の指定位置の所定周辺範囲の画像を取得すると共に、その取得された所定周辺範囲の画像と正常基準となる単位領域画像との領域別パターン照合により欠陥候補を1若しくは2以上検出し、当該欠陥候補のそれぞれに関する特徴情報を生成、保存する。
【0050】
パソコン7は、ヒューマンマシンインタフェースとして機能するものであり、液晶表示器等で構成される画像表示器7aと、キーボードやマウス等で構成される操作部7bとを有している。また、上述の視野走査機構の制御、光学ユニット3の制御、画像処理部6の制御等々は、主として、制御部8によって実行される。
【0051】
次に、図1及び図2のシステム構成を前提として、上位検査装置(詳細は後述)の検査結果を利用した基板リペア装置の処理(制御部8の処理)を図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0052】
同図において、処理が開始されると、ステップ101では、例えば、パソコン7の操作部7bからの起動指令操作に応答して、上位検査装置起動処理が実行されて、上位検査装置が起動される。ここで、上位検査装置としては、図示しないが、従来公知の導通検査等のように、回路機能検査を介して基板上の欠陥候補を1若しくは2以上検出するものが採用されている。
【0053】
続くステップ102では、上述の上位検査装置側処理が実行されて、検査対象基板2上の欠陥候補が1若しくは2以上に亘り検出されて、それらの欠陥候補のそれぞれの概略座標が上位検査装置内において生成保存される。
【0054】
続くステップ103では、さきに上位検査装置において生成保存された各欠陥候補の概略座標を、上位検査装置から読み出して取得する。続くステップ104では、読み出された欠陥候補の概略座標を、パソコンの画像表示器7aの画面上に、欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示として、所定の表示形式で表示する。以後、概略座標の表示を継続したまま(ステップ104)、オペレータによって、それらの欠陥候補の1つが選択されるのを待機する(ステップ105)。
【0055】
この状態において、オペレータにより欠陥候補の1つが選択されると(ステップ105「有」)、その選択された欠陥候補の概略座標が読み込まれ、これを目標位置として、視野走査機構がサーボ制御されることにより、顕微鏡カメラの視野は目標位置へと自動的に移動される(ステップ106)。
【0056】
続くステップ107では、顕微鏡カメラの視野が目標位置に到達するのを待って、画像表示器の画面上に、顕微鏡カメラの視野の画像(実画像)を表示し、続くステップ108では、オペレータによる視野の微調整操作を待機する。
【0057】
ここで、導通検査等の回路機能検査を介する欠陥検査における欠陥判定精度は、一般に、80%程度とされているから、欠陥候補の概略座標に到達したとしても、顕微鏡カメラの視野内に目的とする欠陥が見つからない場合もある。そのような場合、オペレータは、操作部7bにおいて所定の視野微調整操作を行う。
【0058】
すると、微調操作「有」との判定が行われ(ステップ108「有」)、ステップ109では、オペレータの微調操作に応じた視野の微調整を視野走査機構を介して行うと共に、ステップ110においては、視野微調整後の画像を画像表示器7aの画面上に再び表示する。
【0059】
ここで、画像表示器7aの画面上において、目的とする欠陥が見つかったならば、オペーレータは、操作部7bにおいて所定のリペア起動操作を行う。すると、ステップ111においては、リペア操作「有」の判定が行われ、続いてステップ112において、顕微鏡カメラの視野内の所定位置に照準を合わせてレーザ照射を行う公知のレーザリペア処理が実行され、基板上の欠陥はリペアされる。
【0060】
以後、ステップ313「無」に続いて、再びステップ104へ戻って、以上の処理(ステップ101〜112)が繰り返され、ガイド表示された全ての欠陥候補についてレーザリペア処理が終了するのを待って、或いは操作部7bにおいて、所定の終了操作が行われるのを待って(ステップ313「有」)、処理は終了する。
【0061】
これに対して、以上の処理の最中に、視野の微調整を行ったにも拘わらず、なおも、欠陥が見つからない場合には(ステップ109、110)、オペレータは操作部7bにおいて所定のAOI起動操作を行う。
【0062】
すると、ステップ114において、AOI装置起動操作「有」との判定が行われ、続いてステップ115において、上位検査装置の検査結果を利用した基板リペア装置の処理が実行されて、もしも、なんなかの欠陥が発見されれば、その欠陥についてもリペア処理される。
【0063】
一方、ステップ107のモニタ表示又はステップ110のモニタ表示において、目視検査の結果として、その欠陥候補が疑似欠陥であると認定された場合には、操作部7bにおいて、所定のスキップ操作を行うか、なにもせずに所定時間経過を待つ。
【0064】
すると、リペア操作「無」(ステップ111)→AOI装置起動操作「無」(ステップ114)→終了操作「無」(ステップ313)→ガイド表示(ステップ104)と進んで、再び、欠陥候補をガイド表示しつつ、候補選択操作を待機する状態となる。
【0065】
次に、本発明の要部であるところのAOI装置の検査結果によるリペア処理について、図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0066】
図において、処理が開始されると、外部からAOI指令が到来するのを待って、AOI装置を起動する(ステップ201)。すると、AOI装置に相当する処理が起動されて、所定のAOI動作が画像処理部6の支援の下に行われる(ステップ202)。
【0067】
本発明のAOI装置の処理が図5のフローチャートに示されている。同図において、ステップ301では、顕微鏡カメラを介して取得された検査対象基板上の指定位置(欠陥候補位置)を含む所定範囲の周辺画像を取得して保存する。
【0068】
続くステップ302では、保存された周辺画像の中から所定のアルゴリズムにしたがって正常基準となる回路パターンを含む小画像を各検査領域毎に決定する。続くステップ303では、取得された周辺画像の中から該当する検査対象領域の小画像を切り出す。
【0069】
続くステップ304では、正常基準となる小画像と検査対象領域の小画像とをパターン照合する。続くステップ305では、所定の許容範囲をもって照合不一致であるか否かの判定を行う。ここで、両者が不一致と判定されれば(ステップ305YES)、検査対象となる小画像には欠陥が含まれている可能性が高いことを意味する。一方、両者が一致すると判定されれば(ステップ305NO)、検査対象となる小画像には欠陥が含まれていない可能性が高いことを意味する。
【0070】
ステップ305において、両者が不一致と判定されると(ステップ305YES)、ステップ306へと移行する。ステップ306では、照合不一致とされた検査対象小画像に基づいて、それに含まれる欠陥に関する特徴情報を生成して、これを所定のメモリに保存する。この特徴情報は、後述する欠陥候補リストの作成に利用される。
【0071】
続くステップ307では、当該欠陥候補のそれぞれの画像を含む局部領域画像を取得し、これを所定のメモリに、当該欠陥候補と紐付けして参照用として保存する。ここで、参照用として保存されるべき局部領域画像としては、照合対象となった検査対象領域の小画像そのものでもよいし、別途、そのような欠陥をほぼ中心に含む一定サイズの小画像を生成したものでもよい。また、局部領域画像の分解能乃至精細度については、パターン照合時のものと同一でもよいし、それよりも粗い又は細かいものでもよい。また、局部領域画像の階調についてはパターン照合時のものと同一のものでもよいし、適度な二値化を行って欠陥部分を強調したものであってもよい。また、局部領域画像の輪郭は四角でも丸でも差し支えない。局部領域画像のサイズ乃至画素数は、画像表示器の画面上における表示領域の大きさを考慮して定めればよい。
【0072】
以後、以上の処理(ステップ301〜307)を繰り返し、取得された周辺画像の全体に亘って検査を行うのを待って、処理は終了する(ステップ308YES)。なお、取得された周辺画像中のパターン相違等により基準小画像の変更が必要な場合には(ステップ309YES)、所定のアルゴリズムにしたがって、新たな基準となる小画像が決定される(ステップ302)。
【0073】
このように、本発明のAOI装置の処理は、指定された欠陥候補のそれぞれについて、顕微鏡カメラを介して、その所定周辺画像を取得すると共に、取得された周辺画像の中から、各検査対象領域毎に正常基準となる小画像を決定し、この基準となる小画像と取得された周辺画像から切り出された検査対象小画像とを照合し、両者の不一致をもって欠陥候補を認定し、各欠陥候補に関する特徴情報(欠陥候補リスト作成のための特徴情報及び欠陥候補の画像を含む局部領域画像)を生成して保存するものである。
【0074】
図4に戻って、ステップ203においては、AOI装置から検査結果、すなわち生成保存された各欠陥候補の特徴情報(欠陥候補リスト作成のための特徴情報及び欠陥候補の画像を含む局部領域画像)を取得する。続くステップ204では、取得された特徴情報を欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示として、画像表示器の画面上に所定の表示形式で表示する。
【0075】
このようなガイド表示の一例を示す説明図が図6に示されている。同図(a)に示されるように、この例にあっては、画像表示器7aの画面略上半分は欠陥候補リストの表示領域31とされ、また画面略下半分は欠陥候補の画像を含む局部領域画像(候補画像)の表示領域32とされている。
【0076】
そして、表示領域31には、先に図9を参照して説明した欠陥候補リストが表示され、表示領域32には、図6(b)に示されるように、16個の候補画像が8個ずつ水平2列に各欠陥候補を示す番号と共に一覧表示される。16個の候補画像32aのそれぞれは、図示例にあっては、縦長長方形状の輪郭を有すると共に、基板の所定領域に存在する同一回路パターンの繰り返しのそれぞれに対応するものである。なお、図6(b)において、34は電源電極パターン、35はGND電極パターン、36はGNDパターン、33は欠陥部分である。
【0077】
その後、欠陥候補を表示したままの状態で、オペレータによる候補選択操作を待機する(ステップ205)。この状態において、画面上に表示された欠陥候補リストの中から欠陥候補の1つがオペレータにより選択されると(ステップ205「有」)、その選択された欠陥候補のXY座標が読み込まれ、これを目標位置として、視野走査機構がサーボ制御されることにより、顕微鏡カメラの視野は目標位置へと自動的に移動される(ステップ206)。
【0078】
続くステップ207では、顕微鏡カメラの視野が目標位置に到達するのを待って、画像表示器の画面上に、顕微鏡カメラの視野の画像(実画像)を表示し、続くステップ208では、オペレータによるリペア操作を待機する。
【0079】
この状態において、オペレータは、画像表示器の画面上に表示される欠陥候補の実画像を観察することにより、それがリペア処理が不要な疑似欠陥か、それともリペア処理が必要な真の欠陥であるかを判別することができる。
【0080】
ステップ208において、オペレータによるリペア操作「有」と判定されると、ステップ209において、顕微鏡カメラの視野内の所定位置に照準を合わせてレーザ照射を行う公知のレーザリペア処理が実行される。
【0081】
上述のように、本発明のAOI装置が組み込まれた基板リペア装置にあっては、図6に示されるように、オペレータは、ガイド表示として画面上の表示領域32に表示された各欠陥候補に対応する候補画像(局部領域画像)32aを観察することにより、その画像が欠陥候補として挙げられた理由が、断線や異物混入等と言った回路動作不良に繋がる異常が存在しためなのか、或いは線幅の相違や基板端部等に生じがちな回路パターンの歪み等と言った回路動作不良には繋がらない異常が存在するためなのかをある程度の確かさをもって認定することができるから、明らかに回路動作不良には繋がらないと認定される欠陥候補については、実画像観察の対象から除くことにより、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することができ、そのため基板リペア作業における作業能率を向上させることができる。
【0082】
また、以上の実施形態にあっては、画面上の表示領域32には、複数の欠陥候補のそれぞれに対応する候補画像(局部領域画像)32aが一覧表示されるため、どの欠陥候補が真の欠陥に対応する可能性が高いか、或いはどの欠陥候補が疑似欠陥に対応する可能性が高いかを一目瞭然に認定させることができる。
【0083】
また、以上の実施形態にあっては、画面上の表示領域31には、各欠陥候補に対応する特徴情報を数値化して示す欠陥候補リストも表示されるため、候補画像32aの一覧と欠陥候補リストとが相俟って、どの欠陥候補が真の欠陥に対応する可能性が高いか、或いはどの欠陥候補が疑似欠陥に対応する可能性が高いかをより一層確実に判別させることができる。
【0084】
さらに、以上の実施形態にあっては、AOI装置の検査結果に基づく欠陥検査の前段に、上位検査装置の検査結果に基づく欠陥検査を設けているため、上位検査装置の検査結果からでは真偽判定し難い欠陥候補についてのみ、AOI装置の検査結果に基づく真偽判定を採用することで、全体としての検査効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る基板の欠陥検査装置は、例えば液晶表示パネルのレーザリペア装置に応用することにより、AOI装置にて挙げられた欠陥候補の真偽判定のための手間と時間を可及的に軽減することで、基板リペア作業における作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明が適用された液晶基板用リペア装置のシステム構成図である。
【図2】光学ユニットが搭載されるステージの上面図である。
【図3】上位検査装置の検査結果を利用した基板リペア装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】AOI装置の検査結果を利用した基板リペア装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明のAOI装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】ガイド表示の一例を示す説明図である。
【図7】従来のAOI装置の検査結果を利用した基板リペア装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】従来のAOI装置の処理を示すフローチャートである。
【図9】欠陥候補リストの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0087】
1 ステージ
1a 前後方向ガイド
1b ガントリ部
2 液晶基板
3 光学ユニット
4 前方突出部
5 AOI用補助ユニット
6 画像処理部
7 パソコン
7a 画像表示器
7b 操作部
8 制御部
31 欠陥候補リスト用の表示領域
32 候補画像一覧用の表示領域
32a 候補画像(局部領域画像)
33 欠陥部
34 電源用の電極パターン
35 GND用の電極パターン
36 GNDパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる基板を載置するためのステージと、
前記ステージ上に載置された検査対象基板の回路パターン担持面を撮影する顕微鏡カメラと、
ヒューマンマシンインタフェースとして機能する画像表示器と、
前記顕微鏡カメラの視野を前記回路パターン担持面上において走査するための視野走査機構と、
位置の指定を含む所定のAOI指令に応答して、前記視野走査機構を介して前記顕微鏡カメラの視野を走査することにより、前記回路パターン担持面上の前記指定位置の所定周辺範囲の画像を取得すると共に、その取得された所定周辺範囲の画像と正常基準となる単位領域画像との領域別パターン照合により欠陥候補を1若しくは2以上検出し、当該欠陥候補のそれぞれに関する特徴情報を生成、保存するAOI装置と、
前記AOI装置にて生成保存される各欠陥候補に関する特徴情報を取得して、欠陥候補絞り込み支援のためのガイド表示として、前記画像表示器の画面上に所定の表示形式で表示する欠陥候補表示手段と、
手動操作、又は目標位置の教示に応じた自動制御により、前記視野走査機構を介して前記カメラの視野を移動させると共に、当該カメラの視野の実画像を前記画像表示器の画面上に表示する実画像表示手段とを備え、
それにより、オペレータは、前記ガイド表示として表示された各欠陥候補に関する特徴情報に基づいて1の欠陥候補を選択し、その欠陥候補の実画像を前記画像表示器の画面上において観察することで、当該選択された欠陥候補が疑似欠陥か真の欠陥かを判別できるようにされており、さらに
前記AOI装置により生成保存される特徴情報には、当該欠陥候補のそれぞれの画像を含む局部領域画像が含まれており、かつ
前記欠陥候補表示手段は、各欠陥候補毎に、その欠陥候補に対応する前記局部領域画像を前記画像表示器の画面上に表示する、ことを特徴とする基板の欠陥検査装置。
【請求項2】
前記欠陥候補表示手段は、複数の欠陥候補のそれぞれに対応する局部領域画像を前記画像表示器の画面上に一覧表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の基板の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記実画像表示手段による実画像の表示中に、レーザリペア実行のための所定のユーザ操作が行われたとき、カメラの視野内の所定位置に照準を合わせてレーザリペア処理を実行するレーザリペア実行手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板の欠陥検査装置。
【請求項4】
導通検査等の回路機能検査を介して1若しくは2以上の欠陥候補を検出し、当該欠陥候補の概略位置情報を生成保存する上位検査装置と、
前記上位検査装置にて生成保存される各欠陥候補に関する概略位置情報を取得して、前記画像表示器の画面上に表示する欠陥候補予備表示手段と、
前記実画像表示手段を介して前記概略位置情報に関する実画像が観察されているときに、AOI実行のための所定操作が行われると、前記概略位置情報を指定位置とするAOI指令を発するAOI指令生成手段とをさらに含み、
前記AOI装置は、前記AOI指令により起動する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記基板が、液晶表示パネル等の表示パネル又は集積回路が作り込まれた半導体基板である、ことを特徴とする請求項1〜4に記載の基板の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−117285(P2010−117285A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291634(P2008−291634)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】