説明

堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置

【課題】ゲートバルブを介して基体を搬送機から処理室へ移動させる際に、基体へのダスト付着を効率良く抑制することにより、堆積膜の品質向上を図るとともに、優れた生産性を有する堆積膜形成方法および堆積膜形成装置を提供する。
【解決手段】2つの弁体は、処理室160及び/又は搬送機120のそれぞれが有する容器側から順に、第1の弁体123及び第2の弁体124とする。処理室と搬送機が接続されていない場合であって、処理室が1つの弁体のみを有する場合は、第1の弁体を全閉状態とし、処理室が2つの弁体を有する場合は、少なくとも第2の弁体を全閉状態とする。搬送機が1つの弁体のみを有する場合は、第1の弁体を全閉状態とし、搬送機が2つの弁体を有する場合は、少なくとも第2の弁体を全閉状態とする。排気工程は、第1の弁体を全閉状態とし、第2の弁体を全開状態にして行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、電子写真感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等の堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスを製造する際に、処理室内で堆積膜形成を行う工程を製造工程に含む場合には、処理室内や搬送機内といった、基体が晒される雰囲気の清浄度が製品の品質に大きな影響を与える場合がある。例えば堆積膜の形成前に、基体の表面にダストが付着すると、そのダストが核となって堆積膜が異常成長する個所が発生し、堆積膜の品質を低下させる。
【0003】
また製造工程の処理能力向上のために、複数の処理室を用意し、処理室間の基体の移動に、処理室と接続及び切り離しが可能な搬送機を用いる構成とすることがある。製造工程をこのような構成とした場合、処理室と搬送機との接続及び切り離しは、ゲートバルブを介して行われることが一般的である。ところが、ゲートバルブの開閉動作や処理室と搬送機のゲートバルブ間の空間を排気する動作が、ダストの発生個所及びダストの付着要因個所となってしまう。このため、ゲートバルブからのダストの発生を低減させることが一般的に行われている。
【0004】
ゲートチャンバを設けゲートバルブをこのゲートチャンバより取り外し可能とし、処理室をゲートチャンバより移動せずにメンテナンス可能とし、メンテナンスを容易にする堆積膜形成方法が開示されている。(特許文献1)
また、ゲートバルブの稼動部側にクリーンエアーを吹き付けて、ゲートバルブからのダスト発生を低減している堆積膜形成方法が開示されている。(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−87258号公報
【特許文献2】特開2006−70299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術により、ゲートバルブからのダストの発生を低減することが可能となり、品質の向上した製品を作製することが可能となってきた。
しかし、例えば電子写真装置においては、電子写真装置のデジタル化、フルカラー化に伴い、電子写真装置の中の帯電システム、光学露光システム、現像システム等の改良がなされた。それに伴い、電子写真感光体においても従来以上の画像特性の向上が求められるようになった。
【0007】
その結果、俗に「ポチ」と呼ばれる、白点状、黒点状の画像欠陥の減少、特に従来は問題にされなかった微少な大きさの「ポチ」の減少が求められるようになった。「ポチ」に関しては、基体の表面に付着したダストを核とした堆積膜の異常成長である「球状突起」が原因となっている。そのため、基体の表面に付着するダストをより減らすことが要求されている。また、品質の良い製品をより効率良く製造できる堆積膜形成方法や堆積膜形成装置も要求されている。
【0008】
そこで、本発明はゲートバルブと搬送機に着目して、上記課題の解決を目的とするものである。すなわち、ゲートバルブを介して基体を搬送機から処理室へ移動させる際に、基体へのダスト付着を効率良く抑制することにより、堆積膜の品質向上を図るとともに、優れた生産性を有する堆積膜形成方法および堆積膜形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る堆積膜形成方法は、真空雰囲気中で搬送機から処理室への基体の搬入を、基体搬出入手段により行う基体搬入工程と、前記処理室内で堆積膜を前記基体の上に形成する工程と、真空雰囲気中で処理室から搬送機への堆積膜形成後の基体の搬出を、基体搬出入手段により行う基体搬出工程とを有する。前記処理室は、処理容器とゲートバルブを少なくとも有し、前記搬送機は、搬送容器とゲートバルブと前記基体搬出入手段とを少なくとも有し、前記ゲートバルブは、前記基体が通過する基体通過室と前記弁体が退避する弁体退避室とを備える。前記処理室と前記搬送機が、それぞれの前記ゲートバルブを介して接続可能である堆積膜形成方法において、前記処理室または前記搬送機の少なくともどちらか一方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有する。前記処理室が1つの弁体のみを有する場合は、当該弁体を第1の弁体とし、前記処理室が2つの弁体を有する場合は、前記処理容器側から順に第1の弁体、第2の弁体とする。前記搬送機が1つの弁体のみを有する場合は、当該弁体を第1の弁体とし、前記搬送機が2つの弁体を有する場合は、前記搬送容器側から順に第1の弁体、第2の弁体とする。
前記基体搬入工程は、接続工程と、排気工程と、搬入工程を少なくとも有する。接続工程は、前記処理室と前記搬送機とをそれぞれの前記ゲートバルブを介して接続する。排気工程は、前記処理室のゲートバルブと前記搬送機のゲートバルブとが接続されることによって形成される空間を排気する。搬入工程は、真空雰囲気中で搬送機から処理室への基体の搬入を、前記基体搬出入手段により行う。
前記処理室と前記搬送機が接続されていない場合であって、
前記処理室が1つの弁体のみを有する場合は、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記処理室が2つの弁体を有する場合は、少なくとも前記第2の弁体を全閉状態とし、
前記搬送機が1つの弁体のみを有する場合は、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記搬送機が2つの弁体を有する場合は、少なくとも前記第2の弁体を全閉状態とする。
前記排気工程は、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記第2の弁体を全開状態にして行われる。
【0010】
また、本発明に係る堆積膜形成装置は、少なくともゲートバルブと処理容器を有し、堆積膜を基体の上に形成することのできる処理室と、ゲートバルブと搬送容器と基体搬出入手段とを少なくとも有する搬送機とを少なくとも有する。前記ゲートバルブは、前記基体が通過する基体通過室と前記弁体が退避する弁体退避室とを有する。前記処理室と前記搬送機が、それぞれの前記ゲートバルブを介して接続及び切り離しが可能であり、前記基体搬出入手段により前記処理室と前記搬送機との間で前記基体の搬出入を真空雰囲気中で行うことができる。前記処理室または前記搬送機の少なくともどちらか一方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゲートバルブを介して基体を搬送機から処理室へ移動させる際に、基体へのダスト付着を抑制することで堆積膜の品質を向上させるとともに、優れた生産性を有する堆積膜形成方法および堆積膜形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明に係わる堆積膜形成装置の一例を示す模式的断面図
【図1B】本発明に係わる堆積膜形成装置の一例を示す模式的断面図
【図2】従来の堆積膜形成装置の一例を示す模式的断面図
【図3A】本発明に係わるゲートバルブの一例を示す模式図
【図3B】本発明に係わるゲートバルブの一例を示す模式図
【図4】電子写真感光体の層構成の一例を示す模式的断面図
【図5A】本発明に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図5B】本発明に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図5C】本発明に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図6A】本発明に係わる堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【図6B】本発明に係わる堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【図6C】本発明に係わる堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【図6D】本発明に係わる堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【図7】従来の基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図8】従来の堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【図9A】比較例に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図9B】比較例に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図9C】比較例に係わる基体搬入工程の手順の一例を示す模式図
【図10】比較例に係わる堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明に係る堆積膜形成装置の一例を模式的に示す断面図である。
堆積膜形成装置1000は、処理室1100と搬送機1200とからなる。そして、処理室1100は、処理容器1101とゲートバルブ1102を有する。本発明においては、処理室または搬送機の少なくともどちらか一方が、基体の搬出入方向に沿って直列に、それぞれが有する容器側から第1の弁体及び第2の弁体をゲートバルブに有している。処理室1100と搬送機1200は、それぞれのゲートバルブを介して接続可能である。
図1A(A)では、その一例として、第1のゲートバルブ1104が第1の弁体1106を備え、第2のゲートバルブ1103が第2の弁体1105を備えている堆積膜形成装置1000を模式的に示している。
そして図3B(D)に示すように、各ゲートバルブは、基体1107が通過するための開口803、804を有する基体通過室801と、ゲートバルブが全開状態となった時に、弁体805が退避するための弁体退避室802とからなる。
【0014】
第1の弁体1106及び第2の弁体1105は、図1A(A)に示すように、ゲートバルブを2台用意し、それぞれのゲートバルブに、1つの弁体を有する構成としても良いし、1台のゲートバルブに、2つの弁体を有する構成としても良い。
また、本発明における基体1107の搬出入方向は、図1A(A)においては垂直方向であるが、装置構成上、水平方向に基体1107を搬出入する場合は、水平方向が基体1107の搬出入方向となる。
【0015】
また、本発明における第1の弁体及び第2の弁体は、処理室及び搬送機のそれぞれが有する容器側から第1の弁体、第2の弁体としている。このため図1A(A)では、処理容器1101側から、第1のゲートバルブ1104に備えられる弁体が第1の弁体1106、第2のゲートバルブ1103に備えられる弁体が第2の弁体1105となる。
そして、図1B(D)に示されるように、搬送機が第1の弁体及び第2の弁体をゲートバルブに有している場合は、搬送容器705側から、第1のゲートバルブ701に備えられる弁体が第1の弁体703となる。そして、第2のゲートバルブ702に備えられる弁体が第2の弁体704となる。
【0016】
処理室1100は、排気装置に接続され、処理容器1101の内部を真空雰囲気とすることができ、また、処理容器1101の内部で堆積膜を基体1107の上に形成することができる構成であればよい。図1A(A)には一例として、RF(Radio Frequency)−CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、電子写真感光体を製造するためのRF−CVD装置を模式的に示している。
【0017】
電子写真感光体を製造する際の基体1107の形状は、使用目的に応じた形状であれば良いが、一般的には円筒状の基体1107が用いられる。基体1107の材質は、使用目的に応じた性質を有するものであればよい。例えば、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレスが、電気伝導率が良好であるため、好適である。中でも、加工性や製造コストを考慮すると、アルミニウムが最適である。この場合、例えばAl−Mg系合金、Al−Mn系合金のいずれかを用いることが好ましい。
【0018】
処理室1100は、プラズマ処理によって基体1107に堆積膜を形成する装置である。カソード電極1108、絶縁体1109、上壁1110、底壁1111により、減圧することが可能な処理容器1101を形成している。そして、ゲートバルブ1102は、基体1107の搬出入方向に沿って処理容器1101側から順に、第1の弁体1106を有する第1のゲートバルブ1104と、第2の弁体1105を有する第2のゲートバルブ1103から構成されている。
【0019】
処理容器1101の下部には、基体1107およびキャップ1112が装着された基体ホルダ1113を保持する基体ホルダ保持手段1114が設けられている。なお、基体ホルダ保持手段1114は全て導電部材で構成されているため、基体ホルダ1113は底壁1111と電気的に接続する状態となり接地されている。
処理容器1101の内部には、加熱用ヒータ1115が設けられている。加熱用ヒータ1115は、真空中で使用することが可能なものであればどのようなものを用いてもよい。具体的には、シース状ヒータ、板状ヒータ、セラミックヒータ、カーボンヒータのような電気抵抗発熱体や、ハロゲンランプ、赤外線ランプのような熱放射ランプや、液体、気体を熱媒とした熱交換手段が挙げられる。
【0020】
また、処理容器1101の中には、処理容器1101の中に原料ガスを導入するための原料ガス導入管1116が設けられている。原料ガス導入管1116は、保持される基体1107の長手方向に平行に延びている。原料ガス導入管1116は接続配管1117を介して、原料ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラ(不図示)を介在させたミキシング装置1118と、原料ガス流入バルブ1119からなるガス供給系に接続されている。
【0021】
処理室1100が備える排気系は、排気手段である真空ポンプユニット(不図示)が、排気配管1120を介して、処理容器1101の底壁1111の排気口1121に接続されている。排気配管1120には、排気メインバルブ1122が設けられている。また、処理容器1101には、その内部の圧力を測定する真空計1123が取り付けられている。これらを用いて、処理容器1101の中を、各工程に適した所定の圧力に維持することができる。真空ポンプユニットには、例えばロータリーポンプや、メカニカルブースターポンプを用いることができる。カソード電極1108には、整合回路を有するマッチングボックス1124を介して高周波電源1125が電気的に接続されている。カソード電極1108の上下は、セラミックスからなる絶縁体1109により上壁1110および底壁1111から絶縁されている。
【0022】
上壁1110には第1の弁体1106を有する第1のゲートバルブ1104と、第2の弁体1105を有する第2のゲートバルブ1103が設置されている。これにより、基体1107を保持する基体ホルダ1113が、真空雰囲気中で、処理容器1101へ搬入、設置されること、処理容器1101から搬出されることが可能となる。
基体ホルダ1113の処理容器1101の中への搬入時は、基体搬出入手段1203によって、基体ホルダ1113の保持部1126が保持される。次いで、基体ホルダ1113が処理容器1101の中へ移動され、基体ホルダ保持手段1114に載置される。
【0023】
次に、搬送機1200について図面を用いて説明する。
搬送機1200は、ゲートバルブ1201と搬送容器1204を有している。そして搬送容器1204の内部には、保持部1205と基体搬出入手段1203を有している。保持部1205は基体ホルダ1113を保持することが可能である。基体搬出入手段1203は上下動することが可能である。更に、搬送機1200は真空気密することが可能であり、処理室1100に接続するための上下機構(不図示)を有している。また、搬送機1200はレール1206の上を水平方向に移動することが可能となっている。この搬送機1200によって、処理容器1101が真空状態のまま、基体1107を搬入、搬出することができる。
【0024】
次に、本発明の堆積膜形成方法について説明する。ここでは一例として、処理室1100が、処理容器1101側から第1の弁体1106と第2の弁体1105を有する、図1A(A)の堆積膜形成装置1000を用いた場合を説明する。
また本発明においては、基体1107のみを移動させる方法を用いても構わないが、基体1107をキャップ1112と共に基体ホルダ1113に装着した状態で移動させる方法を用いても構わない。
【0025】
ここでは一例として、基体1107をキャップ1112と共に基体ホルダ1113に装着した状態で移動させる方法を用い、ケイ素原子を主成分とする堆積膜を基体1107の上に堆積させ、電子写真感光体を作製する堆積膜形成方法について説明する。
まず、図3Aおよび図3Bを用いてゲートバルブ830の動作に関して説明する。
図3Aおよび図3Bは、本発明に係わるゲートバルブの一例を示す模式図である。
【0026】
図3A(A)は、弁体805が開口部804を閉じている、全閉状態を示している。基体通過室801の上側には開口部803が、下側には開口部804が形成されている。
弁体805にはローラ837、突出部838、ストッパー840、Oリング841が設けられている。弁体805はリンク機構842を介してゲートベース843に支持されている。ゲートベース843は、ロッド844に取り付けられている。ロッド844は、ベース板845と弁体退避室802を連結している第1の真空ベローズ846の中を通り、ベース板845に連結されている。ベース板845は、第1のエアーシリンダー847の第1シャフト848に取り付けられている。
第2のエアーシリンダー849の第2シャフト850は、弁体退避室802と第2のエアーシリンダー849を連結している第2の真空ベローズ851の中を通り、弁体ストッパー852に取り付けられている。
【0027】
次に図3A(B)に示すように、まず、第1のエアーシリンダー847により、ベース板845を第1のエアーシリンダー847に近づける方向(矢印861が示す方向)に移動させる。このときの移動方向を、以後は図3A(B)に表しているようにY方向と規定する。
ベース板845が移動することにより、ベース板845に取り付けられているロッド844および第2シャフト850が同様の方向に移動する。するとスプリング855の弾性力によりリンク機構842が弁体805を開口部804から離れる方向にほぼ直線的に移動させる。このときの移動方向を、以後は図3A(B)に表しているようにX方向と規定する。
弁体ストッパー852の先端が、弁体805の面856に達したところで、弁体805の移動が停止する。弁体805は、これ以上はX方向に移動することは出来なくなり、基体通過室801の中で開口部804から最も離れた位置になる。
【0028】
次に、図3A(C)に示すように、弁体805が図3A(B)に示したX方向の位置を維持したまま、引き続き、ベース板845がY方向において第1のエアーシリンダー847に近づく方向(矢印861が示す方向)に移動する。さらに、第1のエアーシリンダー847の駆動端まで移動し、全開状態となる。
【0029】
次に、基体の搬入方法について、図5Aを用いて説明する。
本発明における基体搬入方法は、接続工程と、排気工程と、搬入工程を少なくとも有する。接続工程は、処理室と搬送機とをそれぞれのゲートバルブを介して接続する。排気工程は、処理室のゲートバルブと搬送機のゲートバルブとが接続されることによって形成される空間を排気する。搬入工程は、真空雰囲気中で搬送機から処理室への基体の搬入を基体搬出入手段により行う。
【0030】
まず、クリーンルームで清浄化処理がなされた基体101を、キャップ102と共に基体ホルダ103に装着する。そして、基体ホルダ103の保持部104を搬送機120の保持部105が保持し、基体搬出入手段106が動作することで、基体101およびキャップ102が装着された基体ホルダ103が搬送容器107の内部へと搬入される。
次いで、搬送機のゲートバルブ108に備えられる弁体109を基体通過室110へ移動させて開口を塞いだ全閉状態とし、搬送容器107の内部を図示しない排気手段により排気し、真空雰囲気とする。
【0031】
次に、接続工程を行う。接続工程では、真空雰囲気とされた搬送容器107が、図5A(A−a)に示すように、処理室160の上へと移動される。
そして、図5A(A−b)に示すように、搬送機120が下降し、搬送機のゲートバルブ108が処理室の第2のゲートバルブ122と接続される。
本発明においては、搬送機120と処理室160とが接続されていない場合には、少なくとも第2のゲートバルブ122に備えられる第2の弁体124は、全閉状態とされていることが重要である。
【0032】
この状態を本発明の堆積膜形成装置と従来の堆積膜形成装置で比較する。図2の(A)は従来の堆積膜形成装置を示した図である。
図2の(A)に示される、従来の堆積膜形成装置においては、堆積膜形成装置500が設置された雰囲気中に、ゲートバルブ501の弁体502、ゲートバルブ506の弁体505が共に晒されることになる。すなわち、堆積膜形成装置500が設置された雰囲気中に漂うダストが、弁体502、505に付着することになる。たとえ堆積膜形成装置500が設置された雰囲気が、クリーンルームのような清浄な雰囲気であったとしても、ダストが全く存在しない雰囲気とすることは困難である。このため、弁体502、505が、堆積膜形成装置500が設置された雰囲気に長時間晒されると、少なからず弁体502、505にダストが付着してしまうことになる。これらの弁体502、505に付着したダストは、後述する排気工程において、ゲートバルブ501の基体通過室503、ゲートバルブ506の基体通過室507をダストで汚染してしまう原因となる。そして、ゲートバルブ501の基体通過室503、ゲートバルブ506の基体通過室507がダストで汚染された状態で搬送機から処理室へと基体が搬入されると、基体にダストが付着し、堆積膜の異常成長の原因となってしまう。
【0033】
一方、本発明の堆積膜形成装置では、搬送機120と処理室160とが接続されていない場合には、少なくとも第2の弁体124を全閉状態としているため、第1の弁体123は堆積膜形成装置180が設置された雰囲気中に晒されることはなくなる。
そして、図5A(A−c)に示すように、第1の弁体123を全閉状態とし、第2の弁体124を弁体退避室128へ退避させて全開状態とする。そして、搬送機のゲートバルブ108と処理室の第2のゲートバルブ122との間を、排気口125を介して、図示しない排気装置により排気する。このように、ダストで汚染された第2の弁体124を弁体退避室128へ退避させた状態で排気工程を行うため、各ゲートバルブの基体通過室110,127,129をダストで汚染してしまうことを抑制することができる。すると、搬送機120から処理室160へと基体101が搬入される際に、基体101にダストが付着することを抑制することができ、その結果、堆積膜の異常成長を抑制することができる。
【0034】
また、図1B(E)に示されるように、搬送機901のみが搬送容器902側から第1の弁体903と第2の弁体904を有する構成とした場合でも前述の理由から効果は得られる。しかしながら、処理室の上に搬送機が接続される構成の場合、搬送機が第1の弁体と第2の弁体を有する構成は、処理室が第1の弁体と第2の弁体を有する構成に比べて効果は小さい。それは、基体の搬出入方向が垂直方向である堆積膜形成装置の場合は、重力の影響でダストが処理室側へ移動しやすいためである。
なお、基体の搬出入方向が水平方向である堆積膜形成装置の場合は、「重力の影響でダストが処理室側へ移動しやすい」ということはない。このため、搬送機のみが搬送容器側から第1の弁体と第2の弁体を有する構成であっても、処理室のみが処理容器側から第1の弁体と第2の弁体を有する構成と同程度の効果が得られる。
【0035】
また、図1B(D)に示されるように、処理室及び搬送機の両方が、それぞれの容器側から第1の弁体703、706と第2の弁体704、707をそれぞれ有する構成とすることがより好ましい。このような構成によって、ゲートバルブ間の排気に伴ってダストが基体通過室に舞い上がることをさらに抑制することが可能になる。
ここで、図3B(D)に示されるゲートバルブを第2のゲートバルブとして用い、A−A’断面での基体通過室801の断面積をaとし、B−B’断面での基体通過室801と弁体退避室802とを連通する開口部の断面積をbとする。より詳細には、断面積aとは、基体通過室801を、基体の搬出入方向に平行であって、弁体の移動方向に垂直な方向で断面を取った場合の断面積を示す。また断面積bとは、基体通過室801と弁体退避室802とを連通する開口部を、基体の搬出入方向に平行であって、弁体の移動方向に垂直な方向で断面を取った場合の断面積を指す。なお、基体通過室801と弁体退避室802とを連通する空間がある場合は、その空間を、基体の搬出入方向に平行であって、弁体の移動方向に垂直な方向で断面を取った場合の断面積のうち、最小の断面積となる個所を開口部とし、その断面積をbとする。
【0036】
このように定義したとき、a>bであることが、排気工程において、基体通過室801が汚染されることをさらに抑制でき、より好ましい。これは、弁体退避室802から基体通過室801への排気コンダクタンスが小さくなることで、弁体退避室802に退避させた第2の弁体805に付着したダストが、基体通過室801へと侵入し難くなるためであると思われる。その結果、基体通過室801がより汚染されにくくなる。
【0037】
また、弁体退避室802の内表面積をcとしたとき、b/cの値が小さい構成であることが、排気工程において、基体通過室801が汚染されることをさらに抑制でき、より好ましい。これは、弁体退避室802の内表面積が大きくなることで、弁体退避室802に退避させた第2の弁体805に付着したダストが、弁体退避室802の内面に付着しやすくなるため、基体通過室801へと侵入するダストがより抑制できるためであると思われる。その結果、基体通過室801がより汚染されにくくなる。b/cの値の範囲としては、0.01<b/c<0.4であることが、基体通過室801へ侵入するダストの抑制及び、タクトタイムという点で好ましい。尚、内表面積cをより詳細に説明すると、弁体退避室802を形成する枠体807の内表面積と、弁体退避室802の内部にある部材の表面積とを足し合わせたものである。弁体退避室802を形成する枠体807の内表面積とは、弁体805が退避位置に固定された時の、基体通過室801側の弁体805の端部(図中D−D’)から弁体退避室802側の枠体807の内表面積を指す。また、弁体退避室802の内部にある部材の表面積とは、例えば、弁体805を移動させるための部材や枠体807を固定するための部材などが挙げられ、これらの部材のうち、弁体退避室802の内部にあるものの表面積を指す。ただし、弁体退避室802を形成する枠体807と弁体退避室802の内部にある部材とが接触している場合、その接触している部分の面積は除かれる。
【0038】
また、図1A(A)に示すように、ゲートバルブ1103に備えられる排気口1127は、基体通過室1128に設けられても構わないし、図1B(B)に示すように、弁体退避室201に設けられても構わない。弁体退避室201に排気口203が設けられている場合は、排気工程の際の気流が、基体通過室202が上流、弁体退避室201が下流となるため、基体通過室202を汚染しないという点でより好ましい。これは、弁体退避室201に退避させた第2の弁体204に付着したダストが、基体通過室202へと侵入し難くなるためであると思われる。その結果、基体通過室202がより汚染されにくくなる。
【0039】
また、図1B(C)に示すように、排気口303が基体通過室302に設けられている場合に、基体通過室302と弁体退避室301との間を隔離するためのシャッター305を設けても構わない。このシャッター305は、弁体304が開閉動作を行う際は全開となり、排気工程の際は全閉とできる機構が備えられているものであれば構わない。このような構成とすることで、弁体退避室301に退避させた第2の弁体304に付着したダストが、基体通過室302へとより侵入し難くなる。
【0040】
次に、排気工程を行う。排気工程では、搬送機の弁体109と処理室の第1の弁体123で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、図5A(A−c)に示す状態で排気口125より排気を行う。排気工程における排気手段としては、真空ポンプユニット(不図示)を用い、真空ポンプユニットが、排気配管を介して排気口125に接続されている。真空ポンプユニットには、例えばロータリーポンプやメカニカルブースターポンプを用いることができる。
【0041】
次に、搬入工程を行う。搬入工程では、搬送機の弁体109と処理室の第1の弁体123で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となった時点で、図5A(A−d)に示すように、搬送機の弁体109を全開状態とする。
そして、図5A(A−e)に示すように、処理室の第1の弁体123を全開状態とする。 そして、図5A(A−f)に示すように、基体搬出入手段106を下降させ、基体101およびキャップ102が装着された基体ホルダ103を処理容器130の内部へと移動させる。
【0042】
そして、図5A(A−g)に示すように、基体搬出入手段106を搬送容器107に収納した後、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124を全閉状態とする。この際、処理室の第2の弁体124を全閉状態とすることは、堆積膜形成装置180が設置された雰囲気中に、処理室160に備えられた第1の弁体123を晒さ無いようにするために重要である。
また、第2の弁体124を全閉状態にした後には、図5A(A−h)に示すように、処理室の第1の弁体123を全閉状態としても構わない。
【0043】
そして、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124を全閉状態とした後、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124の間に不活性ガスを導入することで大気圧とする。
その後、図5A(A−i)に示すように、搬送機120が上昇して処理室160と切り離され、処理室160への基体101の搬入及び設置が終了する。
【0044】
以上の手順によって堆積膜を形成する準備が完了した後、基体1107の表面にケイ素原子を主成分とする堆積膜の形成を行う。その手順を図1A(A)を用いて説明する。
まず、処理容器1101の中に、ミキシング装置1118、原料ガス流入バルブ1119、接続配管1117および原料ガス導入管1116を介して、基体1107の加熱に必要な、例えばAr,Heガスを導入する。そして、処理容器1101の中が所定の圧力になるように、真空計1123を確認しながら真空ポンプユニット(不図示)の排気速度を調整する。この調整は、例えば、真空ポンプユニット(不図示)のメカニカルブースターポンプの回転周波数を調整することによって行うことができる。
【0045】
次に、所定の圧力になった後、加熱用ヒータ1115により基体1107の温度を200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜350℃の所望の温度に制御する。
そして、堆積膜形成用の原料ガスとして、主原料ガスと希釈ガスおよび特性改善ガスを、ミキシング装置1118を介して混合して、原料ガス導入管1116を介して処理容器1101の中に導入する。
その際、処理容器1101の中が13.3mPa〜1330Paの所望の圧力になるように、真空計1123を確認しながら真空ポンプユニット(不図示)の排気速度を調整する。
【0046】
堆積膜形成時に使用する主原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、四フッ化珪素(SiF)、六フッ化二珪素(Si)のごときアモルファスシリコン形成用の原料ガス、またはそれらの混合ガスを用いることができる。希釈ガスとしては、水素(H)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)を用いることができる。また、特性改善ガスとして、窒素原子を含むもの、酸素原子を含むもの、炭素原子を含むもの、またはフッ素原子を含むもの、あるいはこれらの混合ガスを併用してもよい。この際に用いる窒素原子を含むものとしては、窒素(N)、アンモニア(NH)が挙げられる。酸素原子を含むものとしては、酸素(O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、酸化二窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)が挙げられる。炭素原子を含むものとしては、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)、アセチレン(C)、プロパン(C)が挙げられる。フッ素原子を含むものとしては、四フッ化ゲルマニウム(GeF)、フッ化窒素(NF)が挙げられる。また、ジボラン(B)、フッ化硼素(BF)、ホスフィン(PH)のごとき特性改善ガスを同時に放電空間に導入してもよい。
【0047】
次に、処理容器1101の中の圧力が安定した後、高周波電源1125を所望の電力に設定して、高周波電力を高周波マッチングボックス1124を介してカソード電極1108に供給することで、処理容器1101の中に高周波グロー放電を生起させる。供給電力は、例えば、RF帯、特に13.56MHzの周波数とすることができる。この放電エネルギーによって、処理容器1101の中に導入された堆積膜形成用ガスが励起され、基体1107の表面にケイ素原子を主成分とする所望の堆積膜が形成される。
【0048】
以上のようにして基体1107の外周面に堆積膜が形成される。
堆積膜が形成された後には、堆積膜形成用の原料ガス、高周波電力の供給および基体1107の加熱を停止し、処理容器1101の中を排気する。その後、処理容器1101、原料ガス導入管1116の中をパージガス、例えは、Ar、He、Nのごとき不活性ガスを用いてパージ処理する。
パージ処理完了後、基体搬出入手段1203を用いて、基体1107が装着された基体ホルダ1113を処理容器1101の中から搬出する工程に移行する。
【0049】
次に堆積膜形成後の基体の搬出方法について、図6Aを用いて説明する。
図6A(A−a)に示すように、予め搬送容器107の内部が真空排気された搬送機120を、処理室160の上へ移動する。
次に、図6A(A−b)に示すように、搬送機120が下降し、搬送機のゲートバルブ108が処理室の第2のゲートバルブ122と接続される。接続後は、処理室の第1の弁体123を全閉状態とし、第2の弁体124を全開状態としても良いし、処理室の第1の弁体123を全開状態とし、第2の弁体124を全閉状態としても良い。
【0050】
ここでは一例として、図6A(A−c)に示すように、処理室の第1の弁体123を全開状態とし、第2の弁体124を全閉状態とする。
そして、図6A(A−c)に示す状態で、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間を、排気口125を介して、図示しない排気装置により排気する。基体101を搬送機120から処理室160へ搬入する際とは異なり、処理室の第1の弁体123を全開状態とし、第2の弁体124を全閉状態として、搬送機120と処理室160のゲートバルブ間を排気しても良い理由は次の通りである。堆積膜形成後の基体を排出する際は、第2の弁体124に付着したダストが基体通過室110,127,129を汚染したとしても、その空間を通過するものが堆積膜形成後の基体であるためである。
【0051】
そして、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間が搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となった時点で、図6A(A−d)に示すように、搬送機の弁体109を全開状態とする。
次いで、図6A(A−e)に示すように、処理室の第2の弁体124を全開状態とする。
次いで、図6A(A−f)に示すように、基体搬出入手段106を下降させ、堆積膜形成後の基体およびキャップが装着された基体ホルダ103を保持する。
【0052】
次いで、図6A(A−g)に示すように、基体搬出入手段106を上昇させ、堆積膜形成後の基体およびキャップが装着された基体ホルダ103が搬送容器107の内部へと搬入される。
次いで、図6A(A−h)に示すように、搬送機の弁体109を全閉状態とする。
次いで、図6A(A−i)に示すように、処理室の第2の弁体124を全閉状態とする。
【0053】
本発明においては、このような手順とし、処理室の第1の弁体123を全開状態としていることが好ましい。これは、次のような理由からである。堆積膜形成後のキャップ102や基体ホルダ103には、堆積膜形成中に発生した副生成物が多く付着している。そして、堆積膜形成後の基体を搬送機120へ搬出する際には、このように副生成物が多く付着したキャップ102や基体ホルダ103が、各ゲートバルブが形成する空間を通過することになる。この際に各ゲートバルブが形成する空間が、副生成物で汚染される。そして、各ゲートバルブが形成する空間が汚染された状態で処理室の第1の弁体123を全閉状態にしてしまうと、副生成物が処理室の第1の弁体123に付着し汚染してしまうことになるためである。
【0054】
また、処理室の第2の弁体124を全閉状態とすることで、後述する処理室160と搬送機120との切り離し作業により早く移ることができ、タクトタイムを短縮できるというメリットもある。処理室160と搬送機120との切り離し作業を行うには、処理室の第1の弁体123もしくは第2の弁体124のいずれかの弁体と、搬送機の弁体109を全閉状態としなければならない。このとき、各ゲートバルブが形成する空間を浮遊している副生成物によって処理室の第1の弁体123を汚染させることなく、処理室の第1の弁体123もしくは第2の弁体124のいずれかの弁体を全閉状態とするには、次の方法が考えられる。第1の方法は前述のように、処理室の第1の弁体123を全開状態にしたままで処理室の第2の弁体124を全閉状態とする方法である。第2の方法は、処理室の第1の弁体123及び処理室の第2の弁体124を全開状態にしたままで、各ゲートバルブが形成する空間を浮遊している副生成物が処理容器130へ下降し、各ゲートバルブが形成する空間から無くなるのを待つ。そして、副生成物が、各ゲートバルブが形成する空間から無くなってから、処理室の第1の弁体123を全閉状態とする方法である。第1の方法は、各ゲートバルブが形成する空間から副生成物が無くなるのを待つ必要がないため、第2の方法に比べて後述する処理室160と搬送機120との切り離し作業により早く移ることができ、タクトタイムを短縮できるのである。
【0055】
次いで、図6A(A−j)に示すように、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124を全閉状態とした後、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間に不活性ガスを導入することで大気圧とする。その後、搬送機120が上昇して処理室160と切り離され、処理室160から堆積膜形成後の基体の搬出が終了する。
また、処理室160から堆積膜形成後の基体の搬出が終了した後、処理室の第1の弁体123を全閉状態としても構わない。
【0056】
本発明においては、基体101を処理室160へ搬入する時と、堆積膜形成後の基体を処理室160から搬出する時とで用いる搬送機を分けることが好ましい。
基体搬入用搬送機と基体搬出用搬送機とを区別し、それぞれを独立に用いることで、基体101の表面に付着するダストをより減らすことできる。堆積膜形成後のキャップ102や基体ホルダ103は、堆積膜形成中に発生した副生成物が多く付着している。このため、堆積膜形成後(処理後)の基体を処理室160から搬送機120へ搬出した後、搬送機の弁体を全閉状態とすると、キャップ102や基体ホルダ103に付着した副生成物が搬送機の弁体109に落下し、搬送機の弁体109を汚染してしまう。そして、基体を処理室に搬入する時と基体を処理室から搬出する時とで共通の搬送機を用いる場合は、基体101を搬入する際に、搬送機の弁体109に付着した副生成物が、堆積膜形成前の基体101の表面に付着してしまう場合があるからである。
【0057】
また、基体101を処理室160へ搬入する時と、堆積膜形成後の基体を処理室160から搬出する時とで用いる搬送機を分けることで、タクトタイムを短縮できるというメリットもある。これは、基体搬入時と堆積膜形成後の基体搬出時とで共通の搬送機を用いる場合は、堆積膜形成後の基体を搬送機から排出してから、堆積膜形成前の基体を搬送機に搬入する工程へ移らなければならない。ところが、基体搬入時と堆積膜形成後の基体搬出時とで別の搬送機を用いる場合には、基体搬出時に用いる搬送機で、基体を処理室から搬送機へ搬出する工程を行っている間に、基体搬入時に用いる搬送機で、基体を搬送機に搬入する工程を行うことができる。そして、基体搬出時に用いる搬送機が、堆積膜形成後の基体を処理室から搬送機へ搬出し終わり、処理室との切り離しが終了してすぐに、基体搬入時に用いる搬送機で、堆積膜形成前の基体を処理室へ搬入する工程へ移れるためである。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1A(A)に示す堆積膜形成装置1000を用いて、アルミニウムよりなる外径84mm、長さ381mm、肉厚3mmの基体1107の表面に、表1に示す条件のアモルファスシリコン堆積膜を形成した電子写真感光体を作製した。
【0059】
図4は作製した電子写真感光体の断面図を模式的に示した図であり、基体1107、下部阻止層401、光導電層402、および表面層403よりなっている。
実施例及び比較例における、各種条件を表2に示す。表2には、処理室及び搬送機のゲートバルブに備えられる弁体の数、及び処理室のゲートバルブに備えられる排気口の位置、処理室の第2のゲートバルブに備えられるシャッターの有無、基体搬入工程と堆積膜形成後の基体搬出工程における搬送機の使用形態、各弁体の各工程での状態や動作を示す。尚、各弁体の各工程での状態や動作については、基体を搬送機から処理室へ搬入する工程を基体搬入工程とし、堆積膜形成後の基体を処理室から搬送機へ搬出する工程を基体搬出工程として表記し、各工程での各弁体の状態や動作を示す図面を表中に示した。
【0060】
尚、図5Aにおいては、図5A(A−c)に示す状態で、搬送機の弁体109と処理室の第1の弁体123で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
また、図6Aにおいては、図6A(A−c)に示す状態で、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
【0061】
これらの条件で、電子写真感光体を20回連続で20本作製し、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
(球状突起の評価)
作製した電子写真感光体を、光学顕微鏡を用いて電子写真感光体全面の観察を行い、球状突起の個数をカウントした。カウントする対象とした球状突起は、電子写真感光体の表面から見た場合の、球状突起の外接円の直径が15μm以上のものとした。そして、作製した電子写真感光体20本の平均値を算出し、後述する実施例3での平均値をリファレンス(100%)として、以下のような基準でランク付けを行った。
【0065】
尚、この評価項目では、平均値が小さいほど、球状突起の発生が抑えられ良好な結果であると判断している。
7:リファレンスに比べて35%以上45%未満
6:リファレンスに比べて45%以上55%未満
5:リファレンスに比べて55%以上65%未満
4:リファレンスに比べて65%以上75%未満
3:リファレンスに比べて75%以上85%未満
2:リファレンスに比べて85%以上95%未満
1:リファレンスに比べて95%以上105%未満
−1:リファレンスに比べて105%以上115%未満
−2:リファレンスに比べて115%以上125%未満
尚、球状突起の評価においては、ランク1以上で本発明の効果が得られていると判断している。
【0066】
(タクトタイムの評価)
1回目の電子写真感光体を作製する際に用いられる基体を基体ホルダに装着してから、電子写真感光体を20回連続で20本の作製が終了するまでに要した時間をタクトタイムとした。
そして、後述する実施例3でのタクトタイムをリファレンス(100%)として、以下のような基準でランク付けを行った。
【0067】
尚、この評価項目では、タクトタイムが短いほど、優れた生産性を有する良好な結果であると判断している。
3:リファレンスに比べて50%以上70%未満
2:リファレンスに比べて70%以上90%未満
1:リファレンスに比べて90%以上110%未満
【0068】
(総合評価)
球状突起、タクトタイムの評価で付与したランクの値を合計した得点をもとに、以下のように総合的にランク付けを行った。
AA…6点以上のもの
A…1点以上5点以下のもの
B…0点以下のもの
尚、総合評価においては、Aランク以上で本発明の効果が得られていると判断している。
【0069】
[実施例2]
実施例1の手順において、堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順は、図6Aの(A−i)〜(A−j)の手順を、図6Bの(B−i)〜(B−k)に変更して行った。
【0070】
また、図6Bにおいては、図6B(B−c)に示す状態で、搬送機の弁体109と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0071】
[実施例3]
実施例1の手順において、搬送機及び処理室のゲートバルブに備えられる弁体の数、及び基体搬入工程の手順、堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−c)〜(A−i)の手順を、図5Bの(B−c)〜(B−i)に変更して行った。
【0072】
堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順は、図6Aの(A−c)〜(A−j)の手順を、図6Cの(C−c)〜(C−k)に変更して行った。
尚、図5Bにおいては、図5B(B−c)に示す状態で、搬送機の第1の弁体131と処理室の弁体132で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
【0073】
また、図6Cにおいては、図6C(C−c)に示す状態で、搬送機の第2の弁体133と処理室の弁体132で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0074】
[実施例4]
実施例1の手順において、基体搬入工程と堆積膜形成後の基体の搬出工程における搬送機の使用形態を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0075】
[実施例5]
実施例4の手順において、搬送機のゲートバルブに備えられる弁体の数、及び基体搬入工程の手順、堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−c)〜(A−i)の手順を、図5Cの(C−c)〜(C−i)に変更して行った。
【0076】
堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順は、図6Aの(A−c)〜(A−j)の手順を、図6Dの(D−c)〜(D−i)に変更して行った。
尚、図5Cにおいては、図5C(C−c)に示す状態で、搬送機の第1の弁体131と処理室の第1の弁体123で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
【0077】
また、図6Dにおいては、図6D(D−c)に示す状態で、搬送機の第2の弁体133と処理室の第2の弁体124で閉じられた空間が、搬送容器107、処理容器130の中と略同圧となるまで、排気口125より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0078】
[実施例6]
実施例5の手順において、処理室のゲートバルブに備えられる排気口の位置を表2に示すように変更し、それ以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0079】
[実施例7]
実施例5の手順において、処理室の第2のゲートバルブに備えられるシャッターの有無を表2に示すように変更し、それ以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。尚、排気口125によって排気を行う際は、シャッターが閉じられた状態で行うため、処理室の第2のゲートバルブの弁体退避室128の内部は、排気されない。そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0080】
[比較例1]
実施例2の手順において、処理室のゲートバルブに備えられる弁体の数、及び基体搬入工程の手順、堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−c)〜(A−i)の手順を、図7の(b)〜(h)に変更して行った。
【0081】
堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順は、図6Bの(B−c)〜(B−k)の手順を、図8の(b)〜(i)に変更して行った。
尚、図7においては、図7(b)に示す状態で、搬送機の弁体2001と処理室の弁体2002で閉じられた空間が、搬送容器2003、処理容器2004の中と略同圧となるまで、排気口2005より排気を行った。
【0082】
また、図8においては、図8(b)に示す状態で、搬送機の弁体5001と処理室の弁体5002で閉じられた空間が、搬送容器5003、処理容器5004の中と略同圧となるまで、排気口5005より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0083】
[比較例2]
比較例1の手順において、図2(B)に示すような、処理室に設けられるゲートバルブの弁体の上面を覆う蓋601を設けた堆積膜形成装置600を用いた点のみ変更し、それ以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
尚、搬送機と処理室とが接続される際には、作業者が蓋601を外し、搬送機と処理室が切り離された後は、作業者が蓋601をする手法を用いて電子写真感光体を作製した。そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0084】
[比較例3]
実施例2の手順において、基体搬入工程の手順、堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−a)〜(A−c)の手順を、図9Aの(A−a)〜(A−b)に、図5Aの(A−g)〜(A−i)の手順を、図9Aの(A−f)〜(A−h)に変更して行った。
【0085】
堆積膜形成後の基体の搬出工程の手順は、図6Bの(B−a)〜(B−d)の手順を、図10の(a)〜(c)に、図6Bの(B−j)〜(B−k)の手順を、図10の(i)に変更して行った。
尚、図9Aにおいては、図9A(A−b)に示す状態で、搬送機の弁体3001と処理室の第1の弁体3002で閉じられた空間が、搬送容器3003、処理容器3004の中と略同圧となるまで、排気口3005より排気を行った。
【0086】
また、図10においては、図10(b)に示す状態で、搬送機の弁体4001と処理室の第1の弁体4002で閉じられた空間が、搬送容器4003、処理容器4004の中と略同圧となるまで、排気口4005より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0087】
[比較例4]
実施例2の手順において、基体搬入工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−c)〜(A−d)の手順を、図9Bの(B−c)〜(B−d)に変更して行った。
尚、図9Bにおいては、図9B(B−c)に示す状態で、搬送機の弁体3001と処理室の第2の弁体3006で閉じられた空間が、搬送容器3003、処理容器3004の中と略同圧となるまで、排気口3005より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0088】
[比較例5]
実施例2の手順において、基体搬入工程の手順を表2に示すように変更し、それ以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を20回連続で20本作製した。
基体搬入工程の手順は、図5Aの(A−c)〜(A−d)の手順を、図9Cの(C−b)〜(C−c)に変更して行った。
尚、図9Cにおいては、図9C(C−b)に示す状態で、搬送機の弁体3001と処理室の第1の弁体3002で閉じられた空間が、搬送容器3003、処理容器3004の中と略同圧となるまで、排気口3005、3007より排気を行った。
そして、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
表3から以下のことが明らかとなった。
実施例3と比較例1、2、3、4、5との比較から、本発明の条件を満たすことで球状突起が抑制されることが確認された。
実施例2と実施例3から、基体の搬出入方向が垂直方向であり、処理室の上に搬送機が接続される堆積膜形成装置の場合、次のことが確認された。搬送機のみが第1、第2の弁体を有する構成よりも、処理室のみが第1、第2の弁体を有する構成の方が、球状突起抑制効果がより顕著に得られる。
【0091】
実施例1と実施例2から、基体搬出工程で堆積膜形成後の基体を搬送機内に移動させた後の弁体の動作を、第1の弁体を全閉状態とする前に、第2の弁体を全閉状態とすることで、タクトタイムが短縮でき、また、球状突起がより抑制されることが確認された。
実施例1と実施例4から、搬送機を基体の搬入時と堆積膜形成後の基体の搬出時とでそれぞれ独立の搬送機を用いることで、タクトタイムがさらに短縮でき、また、球状突起がより抑制されることが確認された。
【0092】
実施例4と実施例5から、処理室及び搬送機の両方が、ゲートバルブに基体の搬出入方向に沿って直列に弁体を2つ有し、ゲートバルブの各弁体が本発明の条件を満たす状態及び動作をすることで、球状突起がより抑制されることが確認された。
実施例5と実施例6から、搬送機の弁体と処理室の第1の弁体で閉じられた空間を排気する際に、弁体退避室に設けられた排気口から排気することで、球状突起がより抑制されることが確認された。
実施例6と実施例7から、第2のゲートバルブにシャッターを設けることで、球状突起がより抑制されることが確認された。
【符号の説明】
【0093】
1000‥‥堆積膜形成装置
1100‥‥処理室
1101‥‥処理容器
1102‥‥ゲートバルブ
1103‥‥第2のゲートバルブ
1104‥‥第1のゲートバルブ
1105‥‥第2の弁体
1106‥‥第1の弁体
1107‥‥基体
1108‥‥カソード電極
1109‥‥絶縁体
1110‥‥上壁
1111‥‥底壁
1112‥‥キャップ
1113‥‥基体ホルダ
1114‥‥基体ホルダ保持手段
1115‥‥加熱用ヒータ
1116‥‥原料ガス導入管
1117‥‥接続配管
1118‥‥ミキシング装置
1119‥‥原料ガス流入バルブ
1120‥‥排気配管
1121‥‥排気口
1122‥‥排気メインバルブ
1123‥‥真空計
1124‥‥マッチングボックス
1125‥‥高周波電源
1126‥‥保持部
1127‥‥排気口
1128‥‥基体通過室
1200‥‥搬送機
1201‥‥ゲートバルブ
1203‥‥基体搬出入手段
1204‥‥搬送容器
1205‥‥保持部
1206‥‥レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空雰囲気中で搬送機から処理室への基体の搬入を、基体搬出入手段により行う基体搬入工程と、前記処理室内で堆積膜を前記基体の上に形成する工程と、真空雰囲気中で処理室から搬送機への堆積膜形成後の基体の搬出を、基体搬出入手段により行う基体搬出工程とを有し、
前記処理室は、処理容器とゲートバルブを少なくとも有し、
前記搬送機は、搬送容器とゲートバルブと前記基体搬出入手段とを少なくとも有し、
前記ゲートバルブは、前記基体が通過する基体通過室と前記弁体が退避する弁体退避室を備え、
前記処理室と前記搬送機は、それぞれの前記ゲートバルブを介して接続可能である堆積膜形成方法において、
前記処理室または前記搬送機の少なくともどちらか一方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有し、
前記処理室が1つの弁体のみを有する場合は、当該弁体を第1の弁体とし、前記処理室が2つの弁体を有する場合は、前記処理容器側から順に第1の弁体、第2の弁体とし、
前記搬送機が1つの弁体のみを有する場合は、当該弁体を第1の弁体とし、前記搬送機が2つの弁体を有する場合は、前記搬送容器側から順に第1の弁体、第2の弁体とし、
前記基体搬入工程は、前記処理室と前記搬送機とをそれぞれの前記ゲートバルブを介して接続する接続工程と、前記処理室のゲートバルブと前記搬送機のゲートバルブとが接続されることによって形成される空間を排気する排気工程と、真空雰囲気中で搬送機から処理室への基体の搬入を、前記基体搬出入手段により行う搬入工程を少なくとも有し、
前記処理室と前記搬送機が接続されていない場合であって、
前記処理室が1つの弁体のみを有する場合は、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記処理室が2つの弁体を有する場合は、少なくとも前記第2の弁体を全閉状態とし、
前記搬送機が1つの弁体のみを有する場合は、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記搬送機が2つの弁体を有する場合は、少なくとも前記第2の弁体を全閉状態とし、
前記排気工程が、前記第1の弁体を全閉状態とし、前記第2の弁体を全開状態にして行われることを特徴とする堆積膜形成方法。
【請求項2】
前記基体搬出工程における、前記基体搬出入手段を用いて堆積膜形成後の基体を前記搬送機内に移動させた後の工程において、
前記第1の弁体を全閉状態とする前に、前記第2の弁体を全閉状態とすることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形成方法。
【請求項3】
前記搬送機が、基体搬入用搬送機と基体搬出用搬送機とを独立に具備しており、前記処理室へ前記基体を搬入する際には前記基体搬入用搬送機を用い、前記処理室から処理後の前記基体を搬出する際には前記基体搬出用搬送機を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の堆積膜形成方法。
【請求項4】
前記処理室及び前記搬送機の両方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
【請求項5】
前記排気工程において、前記弁体退避室に設けられた排気口から排気することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
【請求項6】
少なくともゲートバルブと処理容器を有し、堆積膜を基体の上に形成することのできる処理室と、
ゲートバルブと搬送容器と基体搬出入手段とを少なくとも有する搬送機と
を少なくとも有する堆積膜形成装置であり、
前記ゲートバルブが、前記基体が通過する基体通過室と前記弁体が退避する弁体退避室とを有し、
前記処理室と前記搬送機が、それぞれの前記ゲートバルブを介して接続及び切り離しが可能であり、前記基体搬出入手段により前記処理室と前記搬送機との間で前記基体の搬出入を真空雰囲気中で行うことができ、
前記処理室または前記搬送機の少なくともどちらか一方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有することを特徴とする堆積膜形成装置。
【請求項7】
前記処理室及び前記搬送機の両方が、前記基体の搬出入方向に沿って直列に2つの弁体を前記ゲートバルブに有することを特徴とする請求項6に記載の堆積膜形成装置。
【請求項8】
前記弁体退避室に排気口が設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の堆積膜形成装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−57204(P2012−57204A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200343(P2010−200343)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】