説明

塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率の検査方法

【課題】 本邦において塩酸チクロピジン投与の3つの重大な副作用(血栓性血小板減少性紫斑病、重篤な肝臓障害、無顆粒球症)のうち、特に日本人で報告件数が多い肝臓障害の発現に関する遺伝学的素因の解明を課題とする。
【解決手段】 塩酸チクロピジンによる肝臓障害を発現した日本人症例の血液試料(肝臓障害群)とチクロピジンが投与され何ら有害事象が発現しなかった日本人症例の血液試料(コントロール群)を収集し、主に薬物代謝関連遺伝子、免疫学的パラメータと肝臓障害発現との関連性を検討した。このうちHLAの遺伝子型との間において統計学的に有意な相関を見出し本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率の検査方法に関する。本発明はまた、塩酸チクロピジン副作用である肝臓障害の関連遺伝子の遺伝子型の検出方法を用いることを手段とする肝臓障害発生危険率の検査方法に関する。より詳しくは、本発明は、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen、以下、HLAと略す)の特定アリル及び/又はハプロタイプが塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連であることを同定し、かつ当該特定アリル及び/又はハプロタイプを検出することを手段とする、肝臓障害発生危険率の検査方法に関する。本発明はまた、前記検査方法に用いるポリヌクレオチド及び試薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
塩酸チクロピジンは、血栓性疾患(例えば虚血性脳血管障害等に伴う血栓・塞栓や慢性動脈閉塞症)の治療並びに血栓性疾患に伴う症状の改善等に使用されている抗血小板剤である。これまで、日本、米国、欧州各国等90ヶ国以上で販売されている。日本では年間販売実績約300億円の大型医薬品で、推定使用患者数は年間約100万人である。しかしながら、塩酸チクロピジンについては、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、及び重篤な肝臓障害という重大な副作用が発現することが知られている。このため、これら副作用の早期発見、未然防止のため、医療関係者への情報提供の徹底が図られている。これらの重い副作用はその約9割が投与開始後2ヶ月以内に発現しており、本医薬品投与開始2ヶ月間、2週に1回の定期的検査(血液、肝機能)を行うことで、これら副作用の早期発見、重篤化の防止が可能であるとされている。しかしながら、平成11年7月以降、これらの副作用報告数は明確には減少しておらず、平成13年7月から14年6月までに血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)13例(うち死亡5例)、顆粒球減少(無顆粒球症を含む)35例(うち死亡6例)、重篤な肝臓障害97例(うち死亡6例)の報告が企業から厚生労働省に対してなされている。
【0003】
ヒトMHC(主要組織適合性複合体又は主要組織適合抗原)分子であるHLA分子は、1952年に輸血患者血清中に白血球凝集試験で反応する抗体が見出され、これに対する抗原として発見された。HLA分子は、第6染色体短腕部の6p21.3の約4,000kbp内に存在するMHC領域によりコードされた遺伝子群に支配される遺伝子産物である。このMHC領域は、殆どの真核細胞膜表面上に表現されるHLA−A、B、C抗原系を支配するクラスI遺伝子領域と、B細胞やマクロファージ等の限定された組織あるいは細胞にしか表現されていない細胞特異的なHLA−DP、DQ、DR抗原系を支配するクラスII遺伝子領域、及び補体成分と21−ヒドロキシラーゼ等を支配するクラスIII遺伝子領域より構成されている。
【0004】
HLAクラスI分子は、MHCクラスI遺伝子領域にコードされる44kDaの膜結合型蛋白α鎖と、第15染色体の支配を受ける分子量11kDaのβ2−ミクログロブリン(β鎖)とによって構成されている。クラスI分子は、遺伝的多型性に富むことが知られている。
【0005】
HLAクラスII分子は、MHCクラスII遺伝子領域にコードされる34kDaの糖蛋白(α鎖)と29kDaの糖蛋白(β鎖)が非共有結合した細胞膜抗原である。クラスII遺伝子は、α鎖遺伝子が7個、β鎖遺伝子が9〜12個(16種)というようにクラスターを形成し、多重遺伝子族を構成する。クラスII遺伝子領域には、セントロメア側からDP−DN−DM−DO−DQ−DRの順に各遺伝子が位置する。HLA−DP、DQ、DR抗原は多数のアリル抗原タイプからなり、その多型性は主にβ鎖(B1)のアミノ酸配列の違いによって決定される。なお、DR、DQ抗原はB細胞によって産生される抗体によって認識されるエピトープである。
【0006】
HLA分子はいずれも260−370個程度のアミノ酸がひとかたまりになったドメイン構造によって構成される。クラスI分子は、そのα鎖が、α1ドメイン、α2ドメイン、α3ドメイン、膜貫通(TM)領域、細胞内(CY)領域からなり、α1ドメインとα2ドメインが多型性部位を構成する。クラスII分子は、α1(β1)ドメイン、α2(β2)ドメイン、結合ペプチド(CP)、TM領域、CY領域からなり、α1ドメインとβ1ドメインが多型性部位を構成し、α2ドメインとβ2ドメインがクラスII分子の基底部を形作っている。
【0007】
HLA分子の遺伝的多型性は、対応する各HLA遺伝子によってコードされるアミノ酸配列の違いによって形成される。これは各遺伝子DNAの塩基配列の差の反映であり、これまでに殆ど全てのアリル抗原タイプの塩基配列が決定されている(非特許文献1)。多型性を示す領域は、クラスI分子ではα1、α2ドメインに集中し、α1ドメインC端側・α2ドメインN端側に各1個の共通する超可変部が存在する。クラスII分子では、超可変部がDQα鎖のα1ドメインとDRβ、DQβ、DPβ鎖のβ1ドメインに存在し、各ドメインの特定3ヶ所の領域に多型性が集中している(非特許文献2)。これら超可変部のアミノ酸残基の置換、あるいはアリル抗原タイプの違いは、抗原ペプチドに対するHLA分子の親和性に直接的な影響を与え、特定のHLA分子と結合できる抗原ペプチドの種類を変化させるのみならず、T細胞受容体(TCR)との親和性にも影響して、結果として抗原提示能をも変化させる。そして、HLA抗原型の異なる個人間では外来抗原や自己抗原に対する免疫応答能に差が出来ることとなり、免疫応答の個体差が生まれる。
【0008】
これまでHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプと塩酸チクロピジンによる肝臓障害との相関性については一切の報告がない。
【0009】
【非特許文献1】Tissue Antigens,46,258−280,1995
【非特許文献2】Proc. Natl. Acad. Sci. USA,84,6234−6238,1987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、本邦において塩酸チクロピジンの3つの重大な副作用(血栓性血小板減少性紫斑病、重篤な肝臓障害、無顆粒球症)のうち、特に日本人で報告件数が多い肝臓障害の発現に関する遺伝学的素因の解明を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、塩酸チクロピジンによる肝臓障害を発現した日本人症例の血液試料(肝臓障害群)と塩酸チクロピジンが投与され何ら有害事象が発現しなかった日本人症例の血液試料(コントロール群)を収集し、主に薬物代謝関連遺伝子、免疫学的パラメータと肝臓障害発現との関連性を検討した。このうちHLAの遺伝子型と塩酸チクロピジンによる肝臓障害発現との間において統計学的に有意な相関を見出し本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、以下からなる。
【0013】
1.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群分析をなし、肝臓障害群の患者由来の各HLA遺伝子型について、アリル頻度及び/又はハプロタイプ頻度分析によって、肝臓障害群と特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプとの相関性を判定することを含む塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル又は/及びHLAハプロタイプのスクリーニング方法で特定されたHLAアリル及び/又はハプロタイプをマーカーとする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0014】
2.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせを検査対象のマーカーとする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0015】
3.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAハプロタイプとして、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302及びHLA−DQB10604をマーカーとする、上記2.の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0016】
4.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせを検査対象のマーカーとし、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅し、得られたPCR産物を直接的に同定する、得られたPCR産物の配列をシークエンス法で決定する、又は、得られたPCR産物について上記特定DNA断片の特定部位の塩基をタイピング法で決定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0017】
5.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせをマーカーとして設計されたプライマーを用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をPCRにより増幅し、得られたPCR産物を直接的に同定する、得られたPCR産物の配列をシークエンス法で決定する、又は、得られたPCR産物について上記特定DNA断片の特定部位の塩基をタイピング法で決定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0018】
6.少なくともHLA−A3303が検出される患者への投与が制限される塩酸チクロピジンを含有する医薬。
【0019】
7.以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1をフォワード及びリバースプライマーとして用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をPCRによって増幅する、上記5.の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
1)配列番号1の配列と配列番号2の配列
2)配列番号3の配列と配列番号5の配列
3)配列番号4の配列と配列番号5の配列
3)配列番号6の配列と配列番号7の配列
4)配列番号6の配列と配列番号8の配列
5)配列番号11の配列と配列番号12の配列
6)配列番号13の配列と配列番号14の配列
7)配列番号23の配列と配列番号24の配列
8)配列番号25の配列と配列番号27の配列
9)配列番号26の配列と配列番号27の配列
10)配列番号28の配列と配列番号29の配列
11)配列番号28の配列と配列番号30の配列
12)配列番号31の配列と配列番号32の配列。
【0020】
8.以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1をフォワード及びリバースプライマーとして用いてPCRによって増幅し、コントロールとして使用する、上記5.又は7.の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
13)配列番号9の配列と配列番号10の配列
14)配列番号15の配列と配列番号16の配列
15)配列番号33の配列と配列番号34の配列
16)配列番号35の配列と配列番号36の配列。
【0021】
9.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A*3303、又は HLA−A*3303及び次の少なくとも1(HLA−B*4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB1*1302、HLA−DQB1*0604)の組み合わせを検査対象のマーカーとし、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法により増幅し、得られた増幅産物を直接的に同定する、又は、増幅の有無を同定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0022】
10.塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせをマーカーとして設計されたプライマーを用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法により増幅し、得られた増幅産物を直接的に同定する、又は、増幅の有無を同定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0023】
11.以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1又は2以上の組み合わせをプライマーとして用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をLAMP法によって増幅する、上記10.の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
17)配列番号37の配列、配列番号38の配列、配列番号39の配列、配列番号40の配列、配列番号41の配列、及び配列番号42の配列、
18)配列番号43の配列、配列番号44の配列、配列番号45の配列、配列番号46の配列、配列番号47の配列、及び配列番号48の配列、
19)配列番号49の配列、配列番号50の配列、配列番号51の配列、配列番号52の配列、配列番号53の配列、及び配列番号54の配列、
20)配列番号55の配列、配列番号56の配列、配列番号57の配列、配列番号58の配列、配列番号59の配列、及び配列番号60の配列、
21)配列番号61の配列、配列番号62の配列、配列番号63の配列、配列番号64の配列、配列番号65の配列、及び配列番号66の配列、
22)配列番号67の配列、配列番号68の配列、配列番号69の配列、配列番号70の配列、配列番号71の配列、及び配列番号72の配列、
23)配列番号73の配列、配列番号74の配列、配列番号75の配列、配列番号76の配列、配列番号77の配列、及び配列番号78の配列、
24)配列番号79の配列、配列番号80の配列、配列番号81の配列、配列番号82の配列、配列番号83の配列、及び配列番号84の配列。
【0024】
12.以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせをプライマーとして用いてLAMP法によって増幅し、コントロールとして使用する、上記11.の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
25)配列番号85の配列、配列番号86の配列、配列番号87の配列、配列番号88の配列、配列番号89の配列、及び配列番号90の配列。
【0025】
13.増幅産物の測定を、DNA結合色素試薬を添加して該DNA結合色素試薬の発色を測定することにより実施する、上記4.から7.及び9.から12.のいずれかの塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【0026】
14.配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載の塩基配列で表されるポリヌクレオチド。
【0027】
15.配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載のポリヌクレオチドを含む試薬キット。
【0028】
16.配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載のポリヌクレオチドを含む塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査用試薬キット。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害と相関性あるHLAアリル又は/及びHLAハプロタイプを同定したことにより、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発現可能性を早期に予測可能とし、塩酸チクロピジン投与の制限、該副作用の減少、さらには該副作用の重篤化の防止に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群分析をなし、肝臓障害群の患者由来の各HLA遺伝子型について、アリル頻度及び/又はハプロタイプ頻度分析によって、肝臓障害群と特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプとの相関性を判定することを含む塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル又は/及びHLAハプロタイプのスクリーニング方法で特定されたHLAアリル及び/又はハプロタイプをマーカーとする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法からなる。
【0031】
本発明は、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害と特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプには相関性が存在することを初めて見出したものである。本発明を基礎にすれば、当業者は、さらにHLA遺伝子型のアリル及び/又はハプロタイプについての遺伝子分析と塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関性を分析し、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関性をもつさらなる特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプのスクリーニングが可能である。HLA−A遺伝子、HLA−B遺伝子、HLA−C遺伝子、HLA−DRB1遺伝子、HLA−DQB1遺伝子、HLA−DPB1遺伝子の各アリルを含め配列情報はその殆どが公知になっており、各ハプロタイプについても公知になっている。当業者は、各遺伝子の塩基配列情報及び/又はアミノ酸配列情報をもとにさらなる特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプの検出法の設計が可能である。
【0032】
本発明の好ましい態様としては、塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群分析をなし、肝臓障害群の患者由来のHLA−A遺伝子について、又は、HLA−A遺伝子及び次の少なくとも1(HLA−B遺伝子、HLA−C遺伝子、HLA−DRB1遺伝子、HLA−DQB1遺伝子及びHLA−DPB1遺伝子)についてアリル頻度分析を行い、肝臓障害群と特定のHLA遺伝子型のアリルとの相関性を判定することからなる。また、別の本発明の好ましい態様としては、塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群分析をなし、肝臓障害群の患者由来のHLA−A遺伝子、HLA−B遺伝子、HLA−C遺伝子、HLA−DRB1遺伝子、HLA−DQB1遺伝子及びHLA−DPB1遺伝子についてハプロタイプ頻度分析がおこなわれ、肝臓障害群と特定のハプロタイプとの相関性を判定することからなる。
【0033】
上記のスクリーニング方法で特定されたHLAアリル及び/又はハプロタイプをマーカーとすれば塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法が提供される。特定されたHLAアリルとは、塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群において、顕著な存在を示すHLAアリルを意味し、この特定されるHLAアリルの各種情報を使い、当該HLAアリルを追跡、検出して、副作用を引き起こす可能性高い患者を特定しようとするものである。特定されたHLAハプロタイプとは、塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群において、顕著な存在を示すHLAハプロタイプを意味し、この特定されるHLAハプロタイプの各種情報を使い、当該HLAハプロタイプを追跡、検出して、副作用を引き起こす可能性高い患者を特定しようとするものである。マーカーとするとは、例えば遺伝子増幅のためのプライマー設計に使用できるであろうし、検出、追跡の際のターゲットとしても使用できることを意味する。さらに、塩基配列情報であってもよく、アミノ酸配列情報であっても良いという意味を包含する。配列は、全配列でもよいし、部分配列でも特徴部分であれば利用可能であるし、さらにポイントにおける変異であっても特徴部位であれば利用可能である。
【0034】
本発明において具体的には、HLAアリルとして、HLA−A3303(配列番号17)、HLA−B4403(配列番号18)、HLA−Cw1403(配列番号19)、HLA−DRB11302(配列番号21)、及びHLA−DQB10604(配列番号20)が挙げられ、特に、HLA−A3303が、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関性が高い特定HLAアリルとして同定された。また、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関性が高いHLAハプロタイプとして、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604が特定された。これらの塩基配列及び各コードするアミノ酸配列は公知である。これらの特定HLAアリル及びHLAハプロタイプは、コントロール群に比して、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害群においてその頻度が有意に高いものであった。この結果、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604は、日本人における塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の危険因子と考えられた。これら5つのHLA型は互いに強い連鎖不平衡の関係にあり、日本人集団で2番目に多いHLAハプロタイプとして知られている(ハプロタイプ頻度4.07%、4.8%)。肝臓障害群ならびにコントロール群におけるこれら5つのHLA遺伝子型のアリル頻度ならびにハプロタイプ頻度を表1に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
塩酸チクロピジン投与の副作用として肝臓障害の患者22例中15例(68%)がHLA−A3303を有し、このうち12例(55%)は上記ハプロタイプであった(表1:1)All hepatotoxicity)。同様に塩酸チクロピジン投与の副作用として肝臓障害のうち胆汁うっ滞型肝臓障害を起こした14例中12例(86%)がHLA−A3303を有し、これらのうち10例(71%)は上記HLAハプロタイプを有していた(表1:2)Cholestatic hepatotoxicity)。一方、肝臓障害群において、HLA−A3303をもたない患者で、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604のいずれかの多型を有している患者は認められなかった。以上より最も高いオッズ比(Odds ratio)を示したHLA−A3303が日本人における塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害、特に黄疸を伴う重篤な胆汁うっ滞型肝臓障害の最も有力な危険因子と考えられた。このHLA−A3303と塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害との相関性を見つけたことによって、塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害の判定法、特に塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害の発生危険率の検査方法が確立できた。かくして、塩酸チクロピジンの副作用を予め排除するためには、少なくともHLA−A3303を保有する、或いは検出された患者は、塩酸チクロピジンの投与、投薬量の減量や投薬の中止等の制限をする。このような制限された塩酸チクロピジンの投与方法であれば、当該投与による副作用は事前に排除可能であり、投与量を減少すれば、副作用の発生或いは重篤化が防止できる。かくして、HLA−A3303の有無を投与前に検査し、HLA−A3303を検出される患者への塩酸チクロピジンの投与を避けた場合、塩酸チクロピジン投与による肝臓障害の副作用の発生は、約1/3に減少すると推定される。
【0037】
HLA−A3303のアリル頻度には人種差が報告されている。塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害は欧米人に比べ日本人で特に報告数が多いことから、薬剤反応性遺伝子の多型頻度における人種差との関連が想定されていたが、今回、発明者らが見出したHLA−A3303あるいはそれを含むHLAハプロタイプの頻度における人種差が、塩酸チクロピジン投与の副作用である肝臓障害の発症の人種差を説明する上で興味深い結果である。
【0038】
本発明は、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅し、得られたPCR産物を直接的に同定する、得られたPCR産物の配列をシークエンス法で決定する、又は、得られたPCR産物について上記特定DNA断片の特定部位の塩基をタイピング法で決定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法をその手段の一つとする。「直接的に同定する」とは、同定しようとするものの有無や量を測定することを意味する。より具体的には、例えば、増幅産物に特異的に結合するプローブを使用して、該プローブにハイブリダイゼーションする増幅産物を検出することにより、増幅産物の有無や量を測定することを意味する。あるいは、増幅産物に結合し発色する色素試薬を使用して、該色素試薬による発色の有無を測定することにより、該増幅産物の有無や量を測定することを意味する。直接的に同定する方法は、上記のようなプローブや色素試薬を使用して増幅産物の有無や量を測定する方法に限らず、増幅産物の有無や量を測定し得る公知の方法をいずれも使用できる。
【0039】
PCRは、よく知られた技術であり、自体公知の方法を利用して実施できる。具体的には、標的遺伝子の増幅を、標的遺伝子を増幅し得るプライマー及びDNAポリメラーゼを使用し、3段階の温度変化を繰り返すことによって行う。すなわち、温度変化の第1段階で標的遺伝子の二本鎖DNAを熱変性させて一本鎖DNAとし(変性反応:denature)、第2段階でプライマーと一本鎖DNAとの二本鎖を形成させ(アニーリング反応:annealing)、第3段階で形成された二本鎖のプライマー部位からDNAポリメラーゼにより相補鎖を合成させ(伸張反応:extension)、これら反応を繰り返すことにより、標的遺伝子を増幅させる。変性反応の温度は、一般的に94℃−96℃が使用されているが、これに限定されず、二本鎖DNAが一本鎖DNAとなる温度であればいずれも使用できる。アニーリング反応の温度は、一般的に55℃−60℃が使用されているが、これに限定されず、プライマーと一本鎖DNAとの二本鎖が形成される温度であればいずれも使用できる。伸張反応の温度は、一般的に72℃−74℃が使用されているが、これに限定されず、DNAポリメラーゼにより相補鎖が合成される温度であればいずれも使用できる。各反応時間は、一般的に5秒−1分間程度であるが、これに限定されず、標的遺伝子が含まれていることが明らかな試料を用いて、簡単な実験を繰り返すことにより、好適な反応時間を決定できる。
【0040】
PCRを利用した遺伝子増幅法の中で、PCR配列特異的プライマー法(PCR−SSP法)が、好ましく例示される。PCR−SSP法では、標的遺伝子の特徴配列部分、すなわち本発明においては各HLAアリルの特徴配列部分をマーカーとして設計されたプライマーを使用して、目的とする特徴配列部分をPCRにより増幅させる。各HLAアリルの特徴配列部分とは、各HLAアリルの配列において遺伝的多型が存在する部分を意味する。遺伝的多型が存在する部分とは、他のHLAアリルの配列と比較して、異なる1又は2以上のヌクレオチドが存在する部分、又はヌクレオチドの欠失若しくは挿入が認められる部分を意味する。PCR−SSP法では、得られたPCR産物を電気泳動等の手段で分離することにより、容易に目的アリルの存在が判定可能である。さらに、得られたPCR産物のヌクレオチドの検出及びその種類の同定を行うことにより、該PCR産物が目的アリル由来の特定DNA断片であるか否かを確認することもできる。
【0041】
本発明において、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をPCRにより増幅させるプライマーは、各特定されたHLAアリルの塩基配列の情報(配列番号17〜21)を元に特定配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる。プライマーは、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)を特異的に増幅できる該HLAアリル特有の配列からなるものである限りにおいていずれも使用できる。プライマーは、塩基配列長が一般的に5個ないし50個のヌクレオチド、より好ましくは10個ないし35個のヌクレオチドさらに好ましくは15個ないし30個のヌクレオチドからなる。
【0042】
好適なプライマーは、HLA−A3303(配列番号17)については、フォワードプライマーとして配列番号1の配列(HLA−A3303の78番目から98番目の配列)、リバースプライマーとしては配列番号2の配列(HLA−A3303の259番目から278番目の相補的な配列)、HLA−B4403(配列番号18)については、フォワードプライマーとして配列番号3の配列(HLA−B4403の344番目から355番目の配列の5´側にイントロン2の隣接する7塩基分をつなげた配列)又は配列番号4の配列(HLA−B4403の520番目から539番目の配列)、リバースプライマーとしては配列番号5の配列(HLA−B4403の572番目から593番目の相補的な配列)、HLA−DRB11302(配列番号21)については、フォワードプライマーとして配列番号6の配列(HLA−DRB11302の175番目から196番目の配列)、リバースプライマーとしては配列番号7の配列(HLA−DRB11302の286番目から304番目の相補的な配列)又は配列番号8の配列(HLA−DRB11302の344番目から363番目の相補的な配列)、HLA−Cw1403(配列番号19)については、フォワードプライマーとして配列番号11の配列(HLA−Cw1403の76番目から99番目の配列)、リバースプライマーとして配列番号12の配列(HLA−Cw1403の133番目から155番目の相補的な配列)、HLA−DQB10604(配列番号20)については、フォワードプライマーとして配列番号13の配列(HLA−DQB10604の67番目から89番目の配列)、リバースプライマーとして配列番号14の配列(HLA−DQB10604の256番目から277番目の相補的な配列)が例示される。なお、本発明では、タイピングでの内因性陽性コントロールとしてHLA−DRAのアリルであるHLA−DRA0101(配列番号22)に関するプライマーも設計され、フォワードプライマーとして配列番号9の配列(HLA−DRA0101の337番目から360番目の配列)及び配列番号15の配列(HLA−DRA0101の360番目から380番目の配列)、リバースプライマーとして配列番号10の配列(HLA−DRA0101の633番目から654番目の相補的な配列)及び配列番号16の配列(HLA−DRA0101の555番目から574番目の相補的な配列)を特定した。無論、これらの配列は、各配列の断片又は各配列の延長物を含むものであってもよい。
【0043】
さらに、HLA−A3303(配列番号17)について、フォワードプライマーとして配列番号23の配列、リバースプライマーとして配列番号24の配列、HLA−B4403(配列番号18)について、フォワードプライマーとして配列番号25の配列又は配列番号26の配列、リバースプライマーとして配列番号27の配列、HLA−DRB11302(配列番号21)について、フォワードプライマーとして配列番号28の配列、リバースプライマーとして配列番号29の配列又は配列番号30の配列、HLA−DQB10604(配列番号20)について、フォワードプライマーとして配列番号31の配列、リバースプライマーとして配列番号32の配列を例示できる。なお、タイピングでの内因性陽性コントロールとしてHLA−DRAのアリルであるHLA−DRA0101(配列番号22)について、フォワードプライマーとして配列番号33の配列、リバースプライマーとして配列番号34の配列を例示できる。また、本発明では、HLA−DQB10604の増幅の特異性を確認するために、HLA−DQB1のアリルであるHLA−DQB1*0601に関するプライマーも設計され、フォワードプライマーとして配列番号35の配列、リバースプライマーとして配列番号36の配列を特定した。無論、これらの配列は、各配列の断片又は各配列の延長物を含むものであってもよい。
【0044】
上記のプライマーは、以下のような配列のヌクレオチドの組み合わせで好適に用いられる。本プライマーは、PCR−SSP法に好適に使用できる。
1)配列番号1の配列と配列番号2の配列
2)配列番号3の配列と配列番号5の配列
3)配列番号4の配列と配列番号5の配列
3)配列番号6の配列と配列番号7の配列
4)配列番号6の配列と配列番号8の配列
5)配列番号11の配列と配列番号12の配列
6)配列番号13の配列と配列番号14の配列
7)配列番号23の配列と配列番号24の配列
8)配列番号25の配列と配列番号27の配列
9)配列番号26の配列と配列番号27の配列
10)配列番号28の配列と配列番号29の配列
11)配列番号28の配列と配列番号30の配列
12)配列番号31の配列と配列番号32の配列
13)配列番号9の配列と配列番号10の配列
14)配列番号15の配列と配列番号16の配列
15)配列番号33の配列と配列番号34の配列
16)配列番号35の配列と配列番号36の配列
【0045】
PCRによる増幅産物のヌクレオチドの検出及びその種類の同定は、自体公知の方法を使用して実施できる。例えば、得られた特定断片をシークエンス法、例えばダイレクトシークエンシング法によって目的のアリルであることの確認をすることもできる。配列決定法としてはシークエンス法以外に、ハイブリダイゼーション法及び制限酵素断片長多型(RFLP)解析法等が利用できる。ヌクレオチドの同定は、その他、公知の1塩基変異検出法を利用して実施できる。1塩基変異検出法として、例えば、SNuPe法等の遺伝子タイピング法が挙げられる。
【0046】
ヌクレオチドの検出及びその種類の同定は、その他、自体公知の1塩基変異解析方法を適用して実施できる。1塩基変異解析方法として、蛍光を用いる方法、例えばインベーダーアッセイ(リアミチェフ(Lyamichev,V.)ら、「ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年、第17巻、p.292−296)やルミネックス法(チェン(Chen,J.)ら、「ゲノム リサーチ(Genome Research)」、2000年、第10巻、p.549−557)を例示できる。また、マススペクトルを用いる方法、例えばプライマー伸張法を応用した方法を用いることもできる。このような方法として、ピンポイントアッセイ(ロス(Ross,P.)ら、「ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1998年、第16巻、p.1347−1351)やプローブ法(ブラウン(Braun,A.)ら、「クリニカル ケミストリー(Clinical Chemistry)」、1997年、第43巻、p.1151−1158)等を例示できる。さらに、ドールアッセイ(DOL assay、チェン(Chen,X.)ら、「プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United States of America)」、1997年、第94巻、p.10756−10761)、スナイパーアッセイ(ピアテク(Piatek,A.S.)ら、「ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1998年、第16巻、p.359−363)及びタグアレイ法(ファン(Fan,J−B.)ら、「ゲノム リサーチ(Genome Research)」、2000年、第10巻、p.853−860)等も使用できる。これら方法は、これらが報告されている引用文献を参照することにより容易に実施することができる。また、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer、FRET)やタックマン(Taqman)法等、1塩基変異の検出方法としてよく知られた方法を用いることができる。
【0047】
ヌクレオチドの検出及びその種類の同定は、また、アリル特異的核酸プローブを用いて、それぞれハイブリダイゼーション法により実施できる。核酸プローブとしては、各アリルのゲノム塩基配列において特異変異部位を含む塩基配列又はその相補的塩基配列で表されるポリヌクレオチドの、当該特異塩基変異部位を含む塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドが例示できる。「実質的に相補的な塩基配列を有する」とは、プローブとして使用したときに、調べようとする試料(以下、被検試料と称する)中において1塩基変異部位を含む塩基配列又はその相補的塩基配列を例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で検出することができることを意味する。ハイブリダイゼーションの条件は、例えば成書に記載の方法(サムブルック(Sambrook)ら編、「モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版」、1989年、コールドスプリングハーバーラボラトリー)等に従うことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件として具体的には、6×SSC、0.5%SDS及び50%ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のハイブリダイゼーションのシグナルが観察される条件を例示できる。
【0048】
プローブとして用いるポリヌクレオチドは、好ましくは8個ないし50個のヌクレオチド、より好ましくは17個ないし35個のヌクレオチド、さらに好ましくは17個ないし30個のヌクレオチドからなる。プローブは、各アリル遺伝子の塩基配列又はその相補的塩基配列に基づいて設計し、慣用の方法、例えば化学合成等により作製できる。得られたポリヌクレオチドから、上記1塩基変異部位を含む塩基配列又は該塩基配列の相補的塩基配列で表されるポリヌクレオチドの、当該1塩基変異部位を含む塩基配列で表される遺伝子断片にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするものを選択することにより、目的とするプローブが得られる。これらプローブは、検出のためのマーカー、例えば蛍光物質や放射性同位体等の標識体で標識されたものであってもよい。標識体はこれらに限らず、プローブとそれに対応するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが阻害されないものであればいずれも使用できる。上記1塩基変異の検出方法は例示に過ぎず、本発明において用いることのできる検出方法はこれらに限定されない。
【0049】
PCRによる増幅産物の同定は、その他、DNA結合色素試薬を増幅産物中に添加し、増幅産物に結合した色素による発色の有無を測定することにより実施できる。PCRにより増幅産物が生じた場合、増幅産物に結合した色素による発色が検出されるため、発色の有無及び/又は強弱を測定することにより増幅産物の有無の判定ができる。DNA結合色素試薬として、例えばサイバーグリーン(SYBR Green登録商標)等のDNAインターカレーターを例示できる。DNA結合色素試薬は、DNAに結合して発色し得るものである限りにおいていずれも使用できる。発色の測定は、使用する試薬の発色の測定に一般的に使用されている公知の方法により実施できる。例えば、発色の測定は、自然光下で目視により実施できるし、又は適当な励起光、例えば発光ダイオードランプ下で発色させることにより実施できる。
【0050】
本発明はまた、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法(ノートミ(Notomi,T.)ら、「ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)」、2000年、第28巻、第12号、p.e63)により増幅し、得られた増幅産物を直接的に同定する、又は、増幅の有無及び/又は多寡を同定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法をその手段の一つとする。
【0051】
LAMP法は、二本鎖DNAを含む試料、プライマー、鎖置換型DNAポリメラーゼ、基質(デオキシヌクレオチド三リン酸)等を同一容器に入れ、一定温度(60℃−65℃付近)で保温することにより、DNAの増幅から検出までを1ステップの工程で実施できる簡易な増幅技術である。LAMP法は増幅効率及び特異性が高く、DNAを迅速に特異に増幅することができ、さらに、増幅の有無を目視判定できる精確、簡易な増幅技術である。LAMP法は、PCRに必須なサーマルサイクラーのような特別な温度制御機器が不要であるため、安価な遺伝子検査が可能となる。このような利点から、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)を増幅し検出する手段として、LAMP法が好ましく使用される。
【0052】
LAMP法において、特定されたHLAアリル及び/又はHLAハプロタイプを判別しうるDNA断片(特定DNA断片)の増幅の有無及び/又は多寡の検出は、増幅の副産物による白濁の有無及び/又は多寡を目視で判定することにより実施できる。すなわち、該DNA断片(特定DNA断片)が増幅された場合、増幅の副産物であるピロリン酸イオンと反応液中のマグネシウムイオンが結合して白濁するため、白濁した試料あるいは白濁が増加した試料では該DNAが増幅されたと判定できる。あるいは、該DNA断片(特定DNA断片)の増幅の及び/又は多寡の検出は、LAMP反応終了後に、DNA結合色素試薬を反応液中に添加し、色素による発色の有無及び/又は強弱を測定することにより実施できる。該DNA断片(特定DNA断片)が増幅された場合、増幅産物を含む試料では色素による発色が検出されるため、発色が検出された試料では該DNAが増幅されたと判定できる。DNA結合色素試薬を用いることにより、増幅産物の検出感度が高くなるため、増幅の有無や多寡の検出にはこのような試薬の使用が好ましい。DNA結合色素試薬として、例えばサイバーグリーン(SYBR Green登録商標)等のDNAインターカレーターを例示できる。DNA結合色素試薬は、DNAに結合して発色し得るものである限りにおいていずれも使用できる。発色の測定は、使用する試薬の発色の測定に一般的に使用されている公知の方法により実施できる。例えば、発色の測定は、自然光下で目視により実施できるし、又は適当な励起光、例えば発光ダイオードランプ下で発色させることにより実施できる。DNA結合色素試薬を反応液中に添加するとき、同時に又は添加前に、LAMP反応に用いたDNAポリメラーゼの酵素活性を失活させることによりLAMP反応を停止させることができる。DNAポリメラーゼの酵素活性は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の試薬により、あるいは高温度で処理することにより失活させることができる。DNAポリメラーゼの酵素活性を失活させる試薬は、DNA結合色素試薬とは別に添加することもできるし、DNA結合色素試薬に混合し含有させて使用することもできる。DNAポリメラーゼの酵素活性失活させる高温度の条件として、95℃で数分間、例えば2分間程度の処理といった条件を例示できる。
【0053】
LAMP法に用いるプライマーは、図8に示すように、標的遺伝子の配列に対して、3´末端側からF3c、F2c、F1cの3つの領域を定め、また、5´末端側からB1、B2、B3の3つの領域を定め、これらに対してフォワードインナープライマー(Forward Inner primer:以下、FIPと略称する)、F3プライマー(F3 primer)、バックワードインナープライマー(Backward Inner primer:以下、BIPと略称する)、及びB3プライマー(B3 primer)の4種類のプライマーを設計し、所望によりさらにループプライマーフォワード(Loop primer Forward:以下、LFと略称する)及び/又はループプライマーバックワード(Loop primer Backward:以下、LBと略称する)を設計し、これらを組み合わせて使用する。FIPは、3´末端側に標的遺伝子のF2c領域と相補的なF2領域と同じ配列を有し、5´末端側にF1c領域と同じ配列を有する。F3プライマーは、標的遺伝子のF3c領域と相補的なF3領域と同じ配列を有する。BIPは、3´末端側に標的遺伝子のB2c領域と相補的な領域と同じ配列を有し、5´末端側にB1c領域と同じ配列を有する。B3プライマーは、標的遺伝子のB3c領域と相補的なB3領域と同じ配列を有する。LFは、F1領域とF2領域の間の配列に相補的な配列を有する。LBは、B1領域とB2領域の間の配列に相補的な配列を有する。
【0054】
LAMP法に用いる好適なプライマーは、HLA−A3303(配列番号17)については、エキソン2(exon2)を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号37の配列、B3プライマーとしては配列番号38の配列、FIPとして配列番号39の配列、BIPとして配列番号40の配列、LFとして配列番号41の配列、LBとしては配列番号42の配列が例示される。また、HLA−A3303(配列番号17)のexon3を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号43の配列、B3プライマーとしては配列番号44の配列、FIPとして配列番号45の配列、BIPとして配列番号46の配列、LFとして配列番号47の配列、LBとしては配列番号48の配列が例示される。HLA−B4403(配列番号18)については、exon2を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号49の配列、B3プライマーとしては配列番号50の配列、FIPとして配列番号51の配列、BIPとして配列番号52の配列、LFとして配列番号53の配列、LBとしては配列番号54の配列が例示される。HLA−B4403(配列番号18)のexon3を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号55の配列、B3プライマーとしては配列番号56の配列、FIPとして配列番号57の配列、BIPとして配列番号58の配列、LFとして配列番号59の配列、LBとしては配列番号60の配列が例示される。HLA−Cw1403(配列番号17)については、exon2を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号61の配列、B3プライマーとしては配列番号62の配列、FIPとして配列番号63の配列、BIPとして配列番号64の配列、LFとして配列番号65の配列、LBとしては配列番号66の配列が例示される。また、HLA−Cw1403(配列番号17)のexon3を増幅標的とする場合、F3プライマーとして配列番号67の配列、B3プライマーとしては配列番号68の配列、FIPとして配列番号69の配列、BIPとして配列番号70の配列、LFとして配列番号71の配列、LBとしては配列番号72の配列が例示される。HLA−DRB11302(配列番号21)については、F3プライマーとして配列番号73の配列、B3プライマーとしては配列番号74の配列、FIPとして配列番号75の配列、BIPとして配列番号76の配列、LFとして配列番号77の配列、LBとしては配列番号78の配列が例示される。HLA−DQB10604(配列番号20)については、F3プライマーとして配列番号79の配列、B3プライマーとしては配列番号80の配列、FIPとして配列番号81の配列、BIPとして配列番号82の配列、LFとして配列番号83の配列、LBとしては配列番号84の配列が例示される。なお、本発明では、タイピングでの内因性陽性コントロールとしてHLA−DRAのアリルであるHLA−DRA0101(配列番号22)に関するプライマーも設計され、F3プライマーとして配列番号85の配列、B3プライマーとしては配列番号86の配列、FIPとして配列番号87の配列、BIPとして配列番号88の配列、LFとして配列番号89の配列、LBとしては配列番号90の配列を特定した。無論、これらの配列は、各配列の断片又は各配列の延長物を含むものであってもよい。
【0055】
上記のプライマーは、以下のような配列のヌクレオチドの組み合わせで好適に用いられる。
17)配列番号37の配列、配列番号38の配列、配列番号39の配列、配列番号40の配列、配列番号41の配列、及び配列番号42の配列、
18)配列番号43の配列、配列番号44の配列、配列番号45の配列、配列番号46の配列、配列番号47の配列、及び配列番号48の配列、
19)配列番号49の配列、配列番号50の配列、配列番号51の配列、配列番号52の配列、配列番号53の配列、及び配列番号54の配列、
20)配列番号55の配列、配列番号56の配列、配列番号57の配列、配列番号58の配列、配列番号59の配列、及び配列番号60の配列、
21)配列番号61の配列、配列番号62の配列、配列番号63の配列、配列番号64の配列、配列番号65の配列、及び配列番号66の配列、
22)配列番号67の配列、配列番号68の配列、配列番号69の配列、配列番号70の配列、配列番号71の配列、及び配列番号72の配列、
23)配列番号73の配列、配列番号74の配列、配列番号75の配列、配列番号76の配列、配列番号77の配列、及び配列番号78の配列、
24)配列番号79の配列、配列番号80の配列、配列番号81の配列、配列番号82の配列、配列番号83の配列、及び配列番号84の配列
25)配列番号84の配列、配列番号86の配列、配列番号87の配列、配列番号88の配列、配列番号89の配列、及び配列番号90の配列
【0056】
以上に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いれば、本発明はさらに、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法が提供可能となる。
【0057】
本発明の検査方法が適用される被検試料は、ヒト由来の血液、髄液、気管支肺胞洗浄液、痰、又は他の体液、あるいは口腔粘膜等の組織等それ自体のいずれであってもよい。特に、口腔粘膜試料は、試料を採取される被検対象の負担が少ないこと、及び採取が簡便であることから、被検試料として好ましく使用される。これら被検試料は、本発明の検査方法に適用されるとき、適当な緩衝液等で適宜希釈して使用することができる。例えば、口腔粘膜を被検試料としてLAMP法を実施する場合、LAMPを阻害する物質の影響を避けることを目的として、適当な緩衝液で口腔粘膜試料を適宜希釈して被検試料とすることが好ましい。さらに、希釈用緩衝液中にLAMPを阻害する物質の影響を低下させる試薬を添加することもできる。このような試薬として、Tween20を例示できる。緩衝液の種類やpH等、希釈の程度、及びLAMPを阻害する物質の影響を低下させる試薬の濃度は、口腔粘膜試料中の適当な公知遺伝子をLAMP法で増幅する実験系を使用して、該増幅を阻害する物質の影響を低下させるものを選択することにより決定できる。
【0058】
本発明の検査方法が適用される被検試料としてまた、上記被検試料から調製した核酸試料を使用することもできる。核酸試料の調製は、自体公知の核酸調製法により実施できる。核酸試料として、好ましくはゲノムDNAを用いる。調製した核酸は直接検出に使用してもよく、あるいは分析前に所望の領域をPCR又はその他の増幅法を用いることにより酵素的に増幅してもよい。
【0059】
本発明の検査方法は、本発明に係る塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害を引き起こす可能性を有する遺伝子型の検出方法を用いることを手段とする塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率の検査方法に関する。本発明に係る塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害を引き起こす可能性を有する遺伝子型の検出方法を用いることにより、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の早期診断を実施できる。
【0060】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率の検査方法は、具体的には、被検試料中の各特定アリルを同定し、さらに必要によりハプロタイプの同定を行い実施できる。被検試料中のHLA−A3303の同定及び/又はHLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604が検出された場合、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率が高いと判定できる。特に、被検試料中のHLA−A3303が検出された場合、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率が高いと判断し、その投与方法を制限することが好ましい。
【0061】
プローブやプライマーは、各アリルの塩基配列又はその相補的塩基配列に基づいて設計し、慣用の方法、例えば化学合成法等により作製できる。簡便には、DNA/RNA自動合成装置を用いて製造できる。
【0062】
本発明の別の態様は、配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む試薬キットに関する。本発明に係る試薬キットの範囲には、上記ポリヌクレオチドのうちの1種又はそれ以上を充填した、1個又はそれ以上の容器を含んでなる試薬キットも包含される。本試薬キットは、本発明に係る検出方法、及び検査方法の実施に必要とされる物質、例えばDNAポリメラーゼ、DNA結合色素試薬、標識物質、緩衝液、並びに塩等を含むことができる。さらに、安定化剤及び/又は防腐剤等の物質を含んでいてもよい。製剤化にあたっては、使用する各物質、例えばポリヌクレオチドに応じた自体公知の製剤化手段を導入すればよい。このような試薬及び試薬キットは、本発明に係る検出方法及び検査方法に、検査剤並びに検査用キットとして使用できる。
【0063】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定され
ない。
【実施例1】
【0064】
(塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生関連遺伝子の特定)
塩酸チクロピジンによる肝臓障害を発現した日本人症例の血液試料(肝臓障害群)とチクロピジンが投与され何ら有害事象が発現しなかった日本人症例の血液試料(コントロール群)を収集し、主に薬物代謝関連遺伝子、免疫学的パラメータと肝臓障害発現との関連性を検討した。肝臓障害群の血液試料は、報告された副作用・感染症症例報告を基に個々の医療機関から血液試料の提供を受けた。コントロール群の血液試料は5つの医療機関において、各々指定した期間中に塩酸チクロピジンを投与された患者のうちコントロール群に該当する全症例の血液試料の提供を受けた。
【0065】
本検討は、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成13年3月29日付、文部振第266号、科発第146号、製局第3号)」に則り、会社の生命倫理審査委員会ならびに各血液試料提供医療機関の倫理審査委員会の承認を得たものである。また、血液試料の採取に先立ち、研究の内容、血液試料提供者の権利等を血液試料提供者本人に十分説明し、研究への参加について全症例から文書による同意を得た。
【0066】
薬物代謝関連遺伝子はCYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、3A4、glutathione synthetase(GSS)、glutathione S transferase P1(GSTP1)、Nuclear Factor Erythroid 2(NFE2)−Related Factor 2(Nrf2)、Kelch−like ECH−associated protein 1(KEAP1)、heme oxygenase 1(HMOX1)について既知の遺伝子多型の有無と肝臓障害との関連を検討した。
【0067】
CYP1A1、1A2、2C9、2C19、2D6、3A4、GSS、GSTP1については、the Human Cytochrome P450 Allele Nomenclature Committee(http://www.imm.ki.se/CYPalleles/)もしくはOnline Mendelian Inheritence in Man(OMIM)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=OMIM)のwebサイトで報告されている多型のうち酵素活性に影響を及ぼすことが報告されている多型もしくはアミノ酸変異を伴うことが報告されている多型の有無を、直接塩基配列決定法(ダイレクトシークエンス法)もしくはPCR産物の有無をアガロースゲル電気泳動にて確認する方法にて判定した。
【0068】
CYP2B6については、酵素の活性あるいは発現量に影響を与える可能性がin vitroで証明されている多型ならびにファルマスニップコンソーシアム(PSC)において、日本人に認められた多型の有無をポリメラーゼ連鎖反応−制限酵素断片長多型(PCR−RFLP)法、PCR−SSCP法もしくはダイレクトシークエンス法にて判定した。
【0069】
Nrf2ならびにHMOX1については既に報告されているプロモーター領域の多型の有無を、KEAP1については特定コーディング領域の多型の有無をダイレクトシークエンス法にて判定した。
【0070】
HLAについては、クラスIのHLAとしてHLA−A、B、Cの3種、クラスIIのHLAとしてHLA−DRB1、DQB1、DPB1の3種の遺伝子型を判定した。HLA遺伝子型の判定はPCR−SSP法にて行った。107例から同定された各HLAの対立遺伝子(アリル)数は、HLA−Aが15アリル、HLA−Bが28アリル、HLA−Cが18アリル、HLA−DRB1が25アリル、HLA−DQB1が15アリル、HLA−DPB1が12アリルであった。
【0071】
薬物動態関連遺伝子と塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関についてはFisher直接確率法を用いて検定し、P<0.05を有意差ありとした。HLA遺伝子型と塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害との相関についてはχ検定を用い、オッズ比はχ検定に用いた2×2分割表から算出した。補正P値(Pc)はχ検定で得られたP値に、各HLA locusで同定されたアリルの数を乗じて算出し、Pc<0.05を有意差ありとした。
【0072】
分析結果は以下である。1997年6月から2004年9月の間にチクロピジンが投与開始された血栓性疾患を有する日本人患者145例の血液試料を10施設の医療機関から収集した。血液試料の提供を受けた145例中38例は評価不能等の理由から評価から除外した。評価対象107例中主治医が塩酸チクロピジンとの因果関係が否定できないと判定した症例(22例)を肝臓障害群とした。肝臓障害群の病型を、Dannanらの報告に基づき(J Clin Epidemiol 1993;46:1323−1330)、第6回日本肝臓学会で提案された薬剤性肝臓障害の診断基準(表2)により分類したところ、胆汁うっ滞型14例、混合型5例、肝細胞障害型3例であった。
【0073】
【表2】

【0074】
塩酸チクロピジン投与期間中に適正に血液検査等が実施され、塩酸チクロピジンとの因果関係が否定できない有害事象が発現しなかった症例(85例)をコントロール群とした。これら107例の患者背景について表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
薬物代謝関連遺伝子については、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害と統計学的に有意な相関を示す多型は見出されなかった。一方、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害と統計学的に有意な相関を示すHLA遺伝子型が見出された。肝臓障害群22例ならびにコントロール群85例のHLA遺伝子型のアリル頻度を図1及び2に、肝臓障害群のうち、特に塩酸チクロピジンで多いと報告されている胆汁うっ滞型肝臓障害14例ならびにコントロール群のHLA遺伝子型のアリル頻度を図3及び4に示す。この分析によってコントロール群に比し、肝臓障害群においてHLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604の頻度が有意に高かった。以下に各HLA遺伝子型について各群のアリル頻度、オッズ比、検定結果を示す。
【0077】
1)HLA−A3303(配列番号17)
コントロール群におけるHLA−A3303のアリル頻度7%に対して、肝臓障害群のHLA−A3303のアリル頻度は34%(オッズ比13.04、95%信頼区間4.40〜38.59、P<0.001、Pc<0.001)であり、肝臓障害群のうち胆汁うっ滞型の病型を呈した例(14例)におけるHLA−A3303のアリル頻度は43%(オッズ比36.50、95%信頼区間7.25〜183.82、P<0.001、Pc<0.001)であった。
【0078】
2)HLA−B4403(配列番号18)
コントロール群におけるHLA−B4403のアリル頻度8%に対して、肝臓障害群のHLA−B4403のアリル頻度は27%(オッズ比6.65、95%信頼区間2.38〜18.55、P<0.001、Pc=0.009)、うち胆汁うっ滞型では36%(オッズ比13.85、95%信頼区間3.77〜50.87、P<0.001、Pc=0.001)であった。
【0079】
3)HLA−Cw1403(配列番号19)
コントロール群におけるHLA−Cw1403のアリル頻度7%に対して、肝臓障害群のHLA−Cw1403のアリル頻度は27%(オッズ比7.30、95%信頼区間2.59〜20.61、P<0.001、Pc=0.003)、うち胆汁うっ滞型では36%(オッズ比15.21、95%信頼区間4.10〜56.39、P<0.001、Pc<0.001)であった。
【0080】
4)HLA−DRB11302(配列番号21)
コントロール群におけるHLA−DRB11302のアリル頻度6%に対し、肝臓障害群のHLA−DRB11302のアリル頻度は27%(オッズ比9.00、95%信頼区間3.10〜26.17、P<0.001、Pc=0.001)、うち胆汁うっ滞型では36%(オッズ比18.75、95%信頼区間4.94〜71.19、P<0.001、Pc<0.001)であった。
【0081】
5)HLA−DQB10604(配列番号20)
コントロール群におけるHLA−DQB10604のアリル頻度5%に対し、肝臓障害群のHLA−DQB10604のアリル頻度は27%(オッズ比10.13、95%信頼区間3.42〜30.05、P<0.001、Pc=0.001)、うち胆汁うっ滞型では36%(オッズ比21.11、95%信頼区間5.47〜81.42、P<0.001、Pc<0.001)であった。
【実施例2】
【0082】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル及びHLAハプロタイプが同定されたことにより患者血液試料から、各特定HLAアリル及びHLAハプロタイプを同定するための検査方法を設定した。
【0083】
方法は、血液試料より、DNAを抽出し、蛍光プローブSSO(配列特異オリゴヌクレオチド)法にて、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−DRB11302の各アリルを決定し、陽性コントロール(HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−DRB11302)と陰性コントロールに分けた。HLA遺伝子のタイピング法は、PCR−SSP法を用いた。
【0084】
手順は、公知の各アリルの塩基配列情報に基づき、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−DRB11302をそれぞれ特異的に増幅させうるプライマーを設計した。また、タイピングでの内因性陽性コントロールとしてHLA−DRA0101(配列番号22)を用いた。各プライマーは、表4に示し、その塩基配列は、配列表の相当する配列番号に記載のとおりである。
【0085】
【表4】

【0086】
設計したプライマーを用いて、陽性コントロールDNA及び陰性コントロールDNAを鋳型にしてPCRをおこなった。表5にプライマーセットの組み合わせ及び各アレルのPCR産物(A33、B44−1、B44−2、DR13−1、DR13−2及びDRA)を示した。得られたPCR産物を用いてシークエンシング解析をおこない、塩基配列を確認した。
【0087】
【表5】

【0088】
次いで、ゲノムDNAを用いたPCRを以下の条件で行った。
反応組成は表6に示した。PCRの反応条件は表7に示した。
【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

【0091】
得られたPCR産物につき、電気泳動(ミュービッド21、0.5xTBEバッファー、2%アガロースゲル、約15分展開:以下同)を行い、染色(エチジウムブロマイド 1μg/mlで約15分)し、目的アリルの同定をした。さらにシークエンシング解析により目的のアリルであることを確認した。結果は、図5に示した。
【0092】
次いで、保存血液を用いてPCRを行い各アリルの同定をおこなった。具体的には、Ampdirect法(島津製作所社製)及びAmpli Taq(ABI社製)によってPCRを行い図6の結果を得、各アリルの増幅を確認した。反応組成は表8、反応条件は表9に示した。
【0093】
【表8】

【0094】
【表9】

【0095】
次いで、保存血液を用いてAmpdirect法(島津製作所社製)及びLA Taq(TaKaRa社製)によってPCRを行い図7の陽性コントロール及び陰性コントロールの結果を得、各アリルの増幅を確認した。反応組成は表10、反応条件は表11に示した。
【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【実施例3】
【0098】
HLA−Cw1403及びHLA−DQB10604の各アリルを判定するために、公知の各アリルの塩基配列情報に基づき、設計したプライマーは以下である。コントロールとして用いるHLA−DRAプライマーは、PCR産物のサイズを小さくするために、別途設計した。プライマー名C14−ex2−1Fは、配列番号11、プライマー名C14−ex2−1Rは、配列番号12、プライマー名DQB06−ex2−Fは、配列番号13、プライマー名DQB06−ex2−Rは、配列番号14、プライマー名DRA−2Fは、配列番号15、プライマー名DRA−2Rは、配列番号16に相当する。PCR反応条件は表12に示した。
【0099】
【表12】

【0100】
上記のプライマーを用いた、DNAによるPCRにおいて、目的のサイズのPCR産物が得られることが確認された。
【実施例4】
【0101】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル及びHLAハプロタイプの被検試料における同定を、LAMP法により検討した。
【0102】
被検試料として、ヒト口腔粘膜をスワブ(swab)でかき取り、希釈したものを使用した。口腔粘膜を緩衝液に懸濁したものにはLAMPを阻害する物質が存在するため、該物質の影響を避けることを目的として、希釈は20mM Tris−HCl pH8.8の緩衝液に終濃度0.1% Tween20を加えた溶液を使用して行った。
【0103】
また、被検試料として、ヒト末梢血から抽出したDNAを使用した。
【0104】
具体的には、各アリルの塩基配列情報に基づき、HLA−A3303のexon2又はexon3、HLA−B4403のexon2又はexon3、HLA−Cw1403のexon2又はexon3、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604を特異的に増幅するプライマーセットを設計した。一方、LAMP法における内因性陽性コントロールとしてHLA−DRA0101を用い、HLA−DRA0101を特異的に増幅するプライマーセットを設計した。各プライマーは、表13−18に示し、その塩基配列は、配列表の相当する配列番号に記載のとおりである。
【0105】
【表13】

【0106】
【表14】

【0107】
【表15】

【0108】
【表16】

【0109】
【表17】

【0110】
【表18】

【0111】
LAMP反応は、以下の終濃度の組成で、65℃で行った:20mM Tris−HCL(pH 8.8)、10mM KCl、10mM(NHSO、0.1% トリトン(Triton)X−100、1.6M ベタイン(Betain)、1.4mM 各デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、8mM MgSO、Bst DNAポリメラーゼ、1.6μM FIP、1.6μM BIP、0.8μM LF、0.8μM LB、0.2μM F3プライマー、0.2μM B3プライマー。
【0112】
LAMP反応による増幅の有無は、サイバーグリーン存在下でLAMP反応を行い、増幅してきた二本鎖DNAにサイバーグリーンが結合することにより発する蛍光強度を測定することにより実施した。LAMP反応及びサイバーグリーンの蛍光の強度測定は、反応開始から60分間経時的に行った。蛍光強度は反応時間に対するLog表示にて図示し、指数関数的増幅領域の中央に閾値(threshold line)を設定した。そして、閾値を超えた時間を図より判定した。結果を示す図においては、横軸に反応時間(図中、cycle numberと表示)、縦軸に蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示した。
【0113】
HLA−B4403のexon3を特異的に増幅するプライマーセット(表14)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−B4403アリルを含む口腔粘膜被検試料のみで増幅が観察された(図9)。同様にHLA−B4403(exon2)、HLA−A3303(exon2及びexon3)、HLA−C1403(exon2及びexon3)、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604を上記プライマーセットを用いることにより口腔粘膜から各アリル特異的に増幅し検出できた。
【0114】
さらに、別の方法(Luminex法)によるタイピングでHLAアリル既知のヒト末梢血から抽出したDNAを使用し、上記プライマーセット群を使用してLAMPを行ったところ、各アリルをもつ被検試料でのみ増幅が観察された(図10−15、表19−24)。表中、Ctとは各被検試料の閾値を超えた時間を意味する。表においてCtがUndeterminedと表示されている場合、被検試料においてDNAが増幅されなかったことを示す。特定のHLAアリルを増幅するプライマーセット群を用いたLAMPにおいて、標的のHLAアリルの増幅のCtは40以内であり、このことからLAMP反応開始後40分以内に標的のHLAアリルが十分に増幅されることが判明した。一方、一部の被検試料において、特定のHLAアリルを増幅するプライマーセット群により、別のHLAアリルが増幅されており、そのCtはほぼ50以上である。このことから、LAMP反応開始後50分以降に増幅が観察される場合は、該増幅は非常に反応効率の悪い非特異的な反応による増幅の結果と考えることができる。
【0115】
【表19】

【0116】
【表20】

【0117】
【表21】

【0118】
【表22】

【0119】
【表23】

【0120】
【表24】

【0121】
上記結果から、表13−18に示したプライマーセットを使用して、LAMP方法で各HLAアリルが特的に増幅できることが明らかになった。
【実施例5】
【0122】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル及びHLAハプロタイプの被検試料における同定を、PCR−SSP法により検討した。
【0123】
被検試料として、HLAアリル既知のヒト末梢血から抽出したDNA、又は、希釈したヒト末梢血自体を使用した。PCR−SSP法は、DNAを被検試料として使用する場合はTaq Hot Start Version(Takara社製)を使用し、ヒト末梢血自体を使用使用する場合はAmpdirect(島津製作所社製)を使用して、それぞれ表25及び表26に示す条件で行った。
【0124】
【表25】

【0125】
【表26】

【0126】
PCR−SSP法に使用するプライマーセットを各アリルの塩基配列情報に基づいて設計した。一方、LAMP法における内因性陽性コントロールとしてHLA−DRA0101を用い、HLA−DRA0101を特異的に増幅するプライマーセットを設計した。また、HLA−DQB10604の増幅の特異性を確認するために、HLA−DQB1のアリルであるHLA−DQB1*0601に関するプライマーも設計した。各プライマーは、表27に示し、その塩基配列は、配列表の相当する配列番号に記載のとおりである。
【0127】
【表27】

【0128】
設計したプライマーを用いて、特定のHLAアリルが陽性であることが明らかになっているDNA及び該HLAアリルが陰性であることが明らかになっているDNAを鋳型にしてPCR−SSP法を実施した。表28にプライマーセットの組み合わせ及び増幅産物のサイズを示した。
【0129】
【表28】

【0130】
上記プライマーセットを用いたPCR−SSP法において、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604、HLA−DRA1、HLA−DQB1*0601/0602の各アリル特異的増幅が観察された(図16)。HLA−B4403の増幅は、プライマーB44−F1/B44−R1の組み合わせを用いた検討、及びプライマーB44−F2/B44R1の組み合わせを用いた検討の両方で増幅が確認された場合に陽性と判定した。同様に、HLA−DRB11302の増幅は、プライマーDR13−F1/DR13−R1の組み合わせを用いた検討、及びプライマーDR13−F1/DR13R2の組み合わせを用いた検討の両方で増幅が確認された場合にDRB11302陽性と判定した。
【0131】
また、被検試料として、末梢血から抽出・精製したDNAの代わりに、希釈した末梢血自体を使用したPCR−SSP法を実施しても、各アリル特異的増幅が観察された(図17)。
【0132】
上記結果から、表25に示したプライマーセットを使用して、PCR−SSP方法で各HLAアリルが特的に増幅できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、塩酸チクロピジンによる肝臓障害の副作用発現の早期予測を可能とし、塩酸チクロピジン治療における副作用の減少及び軽減に寄与するものである。
【配列表フリーテキスト】
【0134】
配列番号1:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A33−ex2F。HLA−A3303の78番目から98番目の配列である。
配列番号2:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A33−ex2R。HLA−A3303の259番目から278番目の相補的な配列である。
配列番号3:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−ex3−F。HLA−B4403の344番目から355番目の配列の5´側にイントロン2の隣接する7塩基分をつなげた配列である。
配列番号4:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−ex3−2F。HLA−B4403の520番目から539番目の配列である。
配列番号5:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−ex3−R。HLA−B4403の572番目から593番目の相補的な配列である。
配列番号6:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−ex2−2F。HLA−DRB11302の175番目から196番目の配列である。
配列番号7:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−ex2−3R。HLA−DRB11302の286番目から304番目の相補的な配列である。
配列番号8:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−ex2−2R。HLA−DRB11302の344番目から363番目の相補的な配列である。
配列番号9:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−F。HLA−DRA0101の337番目から360番目の配列である。
配列番号10:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−R。HLA−DRA0101の633番目から654番目の相補的な配列である。
配列番号11:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C14−ex2−1F。HLA−Cw1403の76番目から99番目の配列である。
配列番号12:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C14−ex2−1R。HLA−Cw1403の133番目から155番目の相補的な配列である。
配列番号13:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06−ex2−F。DQB10604の67番目から89番目の配列である。
配列番号14:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06−ex2−R。DQB10604の256番目から277番目の相補的な配列である。
配列番号15:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−2F。HLA−DRA0101の360番目から380番目の配列である。
配列番号16:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−2R。HLA−DRA0101の555番目から574番目の相補的な配列である。
配列番号17:HLA−A3303の全配列である。
配列番号18:HLA−B4403の全配列である。
配列番号19:HLA−Cw1403の全配列である。
配列番号20:HLA−DQB10604の部分配列であり、シグナル部分が取れた成熟蛋白質成熟蛋白質をコードしている塩基配列である。
配列番号21:HLA−DRB11302の全配列である。
配列番号22:HLA−DRA0101の全配列である。
配列番号23:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A33−F1。
配列番号24:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A33−R1。
配列番号25:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−F1。
配列番号26:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−F2。
配列番号27:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B44−R1。
配列番号28:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−F1。
配列番号29:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−R1。
配列番号30:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR13−R2。
配列番号31:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06−F1。
配列番号32:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06−R1。
配列番号33:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−F1。
配列番号34:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRA−R1。
配列番号35:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06010602−F1。
配列番号36:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB06010602−R1。
配列番号37:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_F3。
配列番号38:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_B3。
配列番号39:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_FIP。
配列番号40:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_BIP。
配列番号41:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_LF。
配列番号42:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex2_L3_LB。
配列番号43:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_F3。
配列番号44:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_B3。
配列番号45:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_FIP。
配列番号46:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_BIP。
配列番号47:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_LF。
配列番号48:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:A3303_Ex3_L3_LB。
配列番号49:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_F3。
配列番号50:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_B3。
配列番号51:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_FIP。
配列番号52:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_BIP。
配列番号53:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_LF。
配列番号54:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403e2_LP3_LB。
配列番号55:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_F3。
配列番号56:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_B3。
配列番号57:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_FIP。
配列番号58:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_BIP。
配列番号59:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_LF。
配列番号60:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:B4403_LP2_LB。
配列番号61:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_F3。
配列番号62:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_B3。
配列番号63:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_FIP。
配列番号64:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_BIP。
配列番号65:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_LF。
配列番号66:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex2_LB。
配列番号67:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_F3。
配列番号68:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_B3。
配列番号69:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_FIP。
配列番号70:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_BIP。
配列番号71:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_LF。
配列番号72:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:C1403_ex3_LB。
配列番号73:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_F3。
配列番号74:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_B3。
配列番号75:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_FIP。
配列番号76:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_BIP。
配列番号77:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_LF。
配列番号78:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DR1302_LP3_LB。
配列番号79:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_F3。
配列番号80:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_B3。
配列番号81:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_FIP。
配列番号82:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_BIP。
配列番号83:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_LF。
配列番号84:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DQB0604_LP_LB。
配列番号85:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_F3。
配列番号86:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_B3。
配列番号87:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_FIP。
配列番号88:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_BIP。
配列番号89:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_LF。
配列番号90:プライマー用の設計されたポリヌクレオチド。プライマー名:DRAe3_LP_LB。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】チクロピジン投与の副作用である肝臓障害患者(日本人)におけるHLAクラスI抗原(HLA Class I antigens)のアリル頻度
【図2】チクロピジン投与の副作用である肝臓障害患者(日本人)におけるHLAクラスII抗原(HLA Class II antigens)のアリル頻度
【図3】チクロピジン投与の副作用である胆汁うっ滞型肝臓障害患者(日本人)におけるHLAクラスI抗原(HLA Class I antigens)のアリル頻度
【図4】チクロピジン投与の副作用である胆汁うっ滞型肝臓障害患者(日本人)におけるHLAクラスII抗原(HLA Class II antigens)のアリル頻度
【図5】左よりHLA−A3303、HLA−B4403、HLA−DRB11302、HLA−DRAのPCR産物の電気泳動図。図中、Mはマーカーを、矢印は目的産物を示す。
【図6】保存血液を用いてAmpdirect法(島津製作所社製)及びAmpli Taq法(ABI社製)によるPCR産物の電気泳動図。プライマーは、表4に記載のプライマーを表5のように組み合わせて使用した。図中の符号はそれぞれ、M:マーカー、A:A33、B1:B44−1、B2:B44−2、D1:DR13−1、DR2:DR13−2を意味する。
【図7】保存血液を用いてAmpdirect法(島津製作所社製)及びLA Taq法(TaKaRa社製)によってPCRを行い得たPCR産物の電気泳動図。図7の上段は陽性コントロール、下段は陰性コントロールである。AmpdirectはAmpdirect法による結果、LA TaqはLA Taq法による結果を示す。プライマーは、表4に記載のプライマーを表5のように組み合わせて使用した。図中の符号はそれぞれ、M:マーカー、A:A33、B1:B44−1、B2:B44−2、D1:DR13−1、DR2:DR13−2を意味する。
【図8】LAMP法で用いるプライマーセットを説明する模式図である。
【図9】HLA−B4403のexon3を特異的に増幅するプライマーセット(表14参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−B4403アリルを含む口腔粘膜試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図10】HLA−A3303のexon3を特異的に増幅するプライマーセット(表13参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−A3303アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図11】HLA−B4403のexon3を特異的に増幅するプライマーセット(表14参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−B4403アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図12】HLA−C1403のexon3を特異的に増幅するプライマーセット(表15参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−C1403アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図13】HLA−DRB11302を特異的に増幅するプライマーセット(表16参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−DRB11302アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図14】HLA−DQB10604を特異的に増幅するプライマーセット(表17参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−DQB10604アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図15】HLA−DRA1を特異的に増幅するプライマーセット(表18参照)を用いてLAMP法を行った結果、HLA−DRA1アリルを含むヒト末梢血由来DNA試料のみで増幅が観察されたことを示す図である。横軸は反応時間(分:図中、cycle numberと表示)、縦軸は蛍光強度(図中、Delta Rnと表示)を示す。
【図16】ヒト末梢血由来DNA試料において、PCR−SSP法によりHLAアリルが特異的に検出されたことを示す図である。プライマーは、表27に示す各プライマーを表28のように組み合わせて使用した。図中の符号はそれぞれ、M:マーカー(50−2500bp ラダー)、DQB0604:DQB10604、DQB06010602:DQB10601/0602、N:鋳型なし、+:鋳型が特定HLAアリル陽性(positive)のDNA、−−:鋳型が特定HLAアリル陰性(negative)のDNAを意味する。
【図17】希釈したヒト末梢血試料において、PCR−SSP法によりHLAアリルが特異的に検出されたことを示す図である。プライマーは、表27に示す各プライマーを表28のように組み合わせて使用した。左パネルは、HLAハプロタイプが、HLA−A3303−B4403−DRB11302−DQB10604であるヒト末梢血試料を用いた結果を示す。右パネルは、HLAハプロタイプが、HLA−A2602/3101−B1501/3501−DRB10403/1405−DQB10503/0601であるヒト末梢血試料を用いた結果を示す。図中の符号はそれぞれ、M:マーカー、DQB10601/02:DQB10601/0602を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
塩酸チクロピジンが投与された血栓性疾患を有する患者の肝臓障害群分析をなし、肝臓障害群の患者由来の各HLA遺伝子型について、アリル頻度及び/又はハプロタイプ頻度分析によって、肝臓障害群と特定のHLA遺伝子型のアリル及び/又は特定ハプロタイプとの相関性を判定することを含む塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAアリル又は/及びHLAハプロタイプのスクリーニング方法で特定されたHLAアリル及び/又はハプロタイプをマーカーとする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項2】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせを検査対象のマーカーとする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項3】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害相関HLAハプロタイプとして、HLA−A3303、HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302及びHLA−DQB10604をマーカーとする請求項2に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項4】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせを検査対象のマーカーとし、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅し、得られたPCR産物を直接的に同定する、得られたPCR産物の配列をシークエンス法で決定する、又は、得られたPCR産物について上記特定DNA断片の特定部位の塩基をタイピング法で決定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項5】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせをマーカーとして設計されたプライマーを用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅し、得られたPCR産物を直接的に同定する、得られたPCR産物の配列をシークエンス法で決定する、又は、得られたPCR産物について上記特定DNA断片の特定部位の塩基をタイピング法で決定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項6】
少なくともHLA−A3303が検出される患者への投与が制限される塩酸チクロピジンを含有する医薬。
【請求項7】
以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1をフォワード及びリバースプライマーとして用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する、請求項5に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
1)配列番号1の配列と配列番号2の配列
2)配列番号3の配列と配列番号5の配列
3)配列番号4の配列と配列番号5の配列
3)配列番号6の配列と配列番号7の配列
4)配列番号6の配列と配列番号8の配列
5)配列番号11の配列と配列番号12の配列
6)配列番号13の配列と配列番号14の配列
7)配列番号23の配列と配列番号24の配列
8)配列番号25の配列と配列番号27の配列
9)配列番号26の配列と配列番号27の配列
10)配列番号28の配列と配列番号29の配列
11)配列番号28の配列と配列番号30の配列
12)配列番号31の配列と配列番号32の配列。
【請求項8】
以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1をフォワード及びリバースプライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、コントロールとして使用する、請求項5又は7に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
13)配列番号9の配列と配列番号10の配列
14)配列番号15の配列と配列番号16の配列
15)配列番号33の配列と配列番号34の配列
16)配列番号35の配列と配列番号36の配列。
【請求項9】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせを検査対象のマーカーとし、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法により増幅し、得られた増幅産物を直接的に同定する、又は、増幅の有無を同定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項10】
塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害関連遺伝子の検出及び/又はハプロタイプの検出方法を用いることを手段とする、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法であって、
HLA−A3303、又は HLA−A3303及び次の少なくとも1(HLA−B4403、HLA−Cw1403、HLA−DRB11302、HLA−DQB10604)の組み合わせをマーカーとして設計されたプライマーを用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法により増幅し、得られた増幅産物を直接的に同定する、又は、増幅の有無を同定する、塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項11】
以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせから選ばれる1又は2以上の組み合わせをプライマーとして用いて、判別しうるDNA断片(特定DNA断片)をループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法によって増幅する、請求項10に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
17)配列番号37の配列、配列番号38の配列、配列番号39の配列、配列番号40の配列、配列番号41の配列、及び配列番号42の配列、
18)配列番号43の配列、配列番号44の配列、配列番号45の配列、配列番号46の配列、配列番号47の配列、及び配列番号48の配列、
19)配列番号49の配列、配列番号50の配列、配列番号51の配列、配列番号52の配列、配列番号53の配列、及び配列番号54の配列、
20)配列番号55の配列、配列番号56の配列、配列番号57の配列、配列番号58の配列、配列番号59の配列、及び配列番号60の配列、
21)配列番号61の配列、配列番号62の配列、配列番号63の配列、配列番号64の配列、配列番号65の配列、及び配列番号66の配列、
22)配列番号67の配列、配列番号68の配列、配列番号69の配列、配列番号70の配列、配列番号71の配列、及び配列番号72の配列、
23)配列番号73の配列、配列番号74の配列、配列番号75の配列、配列番号76の配列、配列番号77の配列、及び配列番号78の配列、
24)配列番号79の配列、配列番号80の配列、配列番号81の配列、配列番号82の配列、配列番号83の配列、及び配列番号84の配列。
【請求項12】
以下のポリヌクレオチドの各配列(各配列の断片又は各配列の延長物を含む)の組み合わせをプライマーとして用いてループ−メディエーティッド アイソサーマル アンプリフィケーション(Loop−Mediated Isothermal Amplification:LAMP)法によって増幅し、コントロールとして使用する、請求項11に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法:
25)配列番号85の配列、配列番号86の配列、配列番号87の配列、配列番号88の配列、配列番号89の配列、及び配列番号90の配列。
【請求項13】
増幅産物の測定を、DNA結合色素試薬を添加して該DNA結合色素試薬の発色を測定することにより実施する、請求項4から7及び9から12のいずれか1項に記載の塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査方法。
【請求項14】
配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載の塩基配列で表されるポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列表の配列番号1から配列番号16及び配列番号23から配列番号90のいずれか1に記載のポリヌクレオチドを含む塩酸チクロピジンの副作用である肝臓障害の発生危険率検査用試薬キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−117085(P2007−117085A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265727(P2006−265727)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(504383519)ジェノダイブファーマ株式会社 (5)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】