壁掛け機器
【課題】機器を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に取付可能とすると共に、上下の固定部材の間隔が誤差を有する場合であっても取付状態の傾斜量の軽減を有効に図った壁掛け機器を提供する。
【解決手段】機器10の裏面側ケース部10aに上下方向に離隔して取付孔部16を備える。取付孔部16は取付ネジ12の頭部12aが挿脱自在な頭部挿脱孔16aと軸部12bが相対移動可能な掛止孔16bとからなる。両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが重力方向Gに対して共に同じ方向に45度傾斜した右上がり傾斜とされ、上側の取付孔部16が裏面側ケース部10aの右寄りに配置されると共に下側の取付孔部16が裏面側ケース部10aの左寄りに配置される。
【解決手段】機器10の裏面側ケース部10aに上下方向に離隔して取付孔部16を備える。取付孔部16は取付ネジ12の頭部12aが挿脱自在な頭部挿脱孔16aと軸部12bが相対移動可能な掛止孔16bとからなる。両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが重力方向Gに対して共に同じ方向に45度傾斜した右上がり傾斜とされ、上側の取付孔部16が裏面側ケース部10aの右寄りに配置されると共に下側の取付孔部16が裏面側ケース部10aの左寄りに配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機、インターフォン、モデム機器などのように、壁面に対して容易に取り付け可能とされた壁掛け機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電話機、インターフォン、モデム機器などの宅内機器は、利便性の面から、屋内の壁面に設置して用いられることが多い。従来、このような宅内機器の壁面への固定構造として、いろいろな構造が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示の構造によれば、壁面に固定される木ネジの頭部が挿脱可能な該頭部の直径より大きい直径を有する頭部挿脱孔と、木ネジの軸部が相対移動可能な孔幅を有する掛止孔とからなるいわゆるだるま型の取付孔部が、機器の裏面側ケースに上下方向に離隔して2箇所に形成されている。そして、各取付孔部を壁面に適宜位置までネジ込まれた木ネジの頭部にそれぞれ引っ掛けて取り付ける構造とされていた。
【0004】
この際、取付孔部における頭部挿脱孔は下端部に位置し、掛止孔は頭部挿脱孔より上方に延設された構造とされており、木ネジに対する引っ掛け状態においては、重力によって、木ネジが掛止孔に引っ掛かる方向に作用するため、機器の安定した取付状態が得られていた。
【0005】
また、特許文献2に開示の構造によれば、上記同様のいわゆるだるま型の取付孔部を有する取付片を、機器の裏面側に90度の範囲で回転可能に複数取り付け、各取付孔部を壁面に適宜位置までネジ込まれた木ネジの頭部にそれぞれ引っ掛けて取り付ける構造とされていた。そして、各取付片の角度を変更することにより、機器の取付姿勢を必要に応じて縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に変更可能に構成されていた。この場合も上記同様に、機器の安定した取付状態が得られていた。
【0006】
【特許文献1】特開平8−237343号公報
【特許文献2】特開平8−008543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の上記構造によれば、機器を90度回転させて固定したい場合には、だるま型の取付孔部が水平方向を向くため、重力による安定した取付状態が望めないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示の上記構造によれば、各取付片が互いに90度の範囲で選択的に固定可能に構成されているため、機器を縦向き姿勢と横向き姿勢とに取付可能とされているが、機器の設置工事の際に各取付片をそれぞれ回転調整する必要があるなどの煩雑さがあった。
【0009】
そこで、図11に示されるように、機器の裏面側ケース部1に重力方向に沿った上下方向に離隔して形成された各取付孔部2における掛止孔2aの中心線Lが、重力方向Gに対して共に同じ方向に所定角度(例えば45度)傾斜して形成することが考えられる(参考例)。
【0010】
この場合、図11に示す裏面側ケース部1の上辺もしくは右側辺を、選択的に上側とすることにより、機器の取付姿勢を2つの方向に安定して取付可能となる。なお、図中、3aは壁面に固定される取付ネジ3の軸部である。
【0011】
しかしながら、機器の設置工事に際して、取付ネジ3の間隔が決められた寸法からずれた場合、機器が傾斜して取り付けられるという新たな問題点が生じる。例えば、上下の取付ネジ3の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、図12に示されるように、上側の取付孔部2における掛止孔2aの頂部に取付ネジ3の軸部3aが係合するが、下側の取付孔部2では、間隔が大きくなった分、掛止孔2aの頂部からその掛止孔2aの長手方向下方に取付ネジ3の係合部分が移動する。このため、上側の取付ネジ3を中心にして機器が反時計方向に回転した傾斜状態で取り付けられることになる。
【0012】
また、上下の取付ネジ3の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、図13に示されるように、下側の取付孔部2における掛止孔2aの頂部に取付ネジ3の軸部3aが係合するが、上側の取付孔部2では、間隔が小さくなった分、掛止孔2aの頂部からその掛止孔2aの長手方向下方に取付ネジ3の係合部分が移動する。このため、下側の取付ネジ3を中心にして機器が時計方向に回転した傾斜状態で取り付けられることになる。
【0013】
そこで、本発明は簡単な構造で、機器を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に取付可能とすると共に、上下の固定部材の間隔が誤差を有する場合であっても取付状態の傾斜量の軽減を有効に図った壁掛け機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の壁掛け機器は、壁面に固定された固定部材の軸部が相対移動可能で、前記軸部の端部に備えられた頭部が通過不能な孔幅を有する直線状の掛止孔と、該掛止孔の下端部に形成されて前記頭部が挿脱自在な頭部挿脱孔とからなる取付孔部が、機器裏面に上下方向に離隔して2箇所に備えられ、各取付孔部を対応する前記固定部材に引っ掛けることにより取り付けられる壁掛け機器において、前記両取付孔部における前記各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、前記頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の壁掛け機器によれば、両取付孔部における各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されている構造とされており、同じ角度傾斜する掛止孔により、機器を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定して取り付けることができ、その構造も簡単である利点がある。
【0016】
そして、壁面に固定された固定部材の間隔が決められた寸法よりも大きい方もしくは小さい方にずれた場合には、前述のように、機器が反時計方向もしくは時計方向に若干回転し傾斜した状態で取り付けられることになる。しかしながら、この回転による機器の傾斜量は、両取付孔部の所定位置を結ぶ直線と、傾斜して形成された各掛止孔の中心線との成す角度の正接に比例するため、上記参考例のように両取付孔部が重力方向に沿って上下に離隔している場合と比較して、両取付孔部を結ぶ直線と各掛止孔の中心線との前記成す角度がより小さくなり、ここに、その成す角度が小さくなった分だけ機器が回転する傾斜量が少なくなり、上下の固定部材の間隔が誤差を有する場合であっても、機器の取付状態の傾斜量を有効に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明すると、図1は壁掛け機器10の裏面側ケース部10aを示し、図2は壁掛け機器10が固定部材としての取付ネジ12により、壁面14に固定された取付状態の断面図を示している。
【0018】
壁掛け機器10は、一辺が他辺よりも比較的長い概略長方形の裏面を有するケース構造とされており、その内部には壁掛け機器10の用途に応じた部品等が収容されている。
【0019】
壁掛け機器10における裏面側ケース部10aには、2箇所に取付孔部16が形成されている。各取付孔部16は、壁掛け機器10の裏面側から見て図1に示されるように、下端部に位置して取付ネジ12の頭部12aが挿脱自在な円形の頭部挿脱孔16aがそれぞれ形成されると共に、該頭部挿脱孔16aより右上がり傾斜状に中心を通る径方向に延設して掛止孔16bがそれぞれ形成され、いわゆるだるま型に構成されている。
【0020】
各掛止孔16bは、取付ネジ12の頭部12aが通過不能で、頭部12aに連設された軸部12bが相対移動可能な孔幅を有する直線状に形成されている。そして、各掛止孔16bの中心線Lは重力方向Gに対して共に同じ方向に同じ角度、本実施の形態では45度傾斜した構造とされており、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置されると共に、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置され、対角に位置してそれぞれ配置された構造とされている。即ち、壁掛け機器10の取付状態が安定するように長辺に沿った上下方向になるべく間隔をあけて設けた構造とされている。
【0021】
この際、上側の取付孔部16をできるだけ右寄りに配置し、下側の取付孔部16をできるだけ左寄りに配置して、両取付孔部16の対応する所定位置を結ぶ直線Sと、掛止孔16bにおける中心線Lとの成す角度θが可能な限り小さくなるように配置されている。
【0022】
次に、壁面14に対する壁掛け機器10の取付手順を説明する。
【0023】
先ず、壁掛け機器10を取り付けたい壁面14に、裏面側ケース部10aの各取付孔部16の位置に対応させて2本の取付ネジ12を予めねじ込む。この際、取付ネジ12は、壁面14の表面と取付ネジ12の頭部12aとの間を、裏面側ケース部10aの厚みよりも僅かに大きい寸法だけ空けたところまでねじ込む。
【0024】
次に、裏面側ケース部10aの各取付孔部16における頭部挿脱孔16aを、壁面14に固定された各取付ネジ12の頭部12aにそれぞれ合わせて押し付ければ、各頭部12aが頭部挿脱孔16aを通じて裏面側ケース部10aの内側に挿入される。
【0025】
この状態で、掛止孔16bの延設方向と反対の方向に壁掛け機器10を移動させれば、取付ネジ12の軸部12bが掛止孔16bに沿って相対移動され、図1に示されるように、各軸部12bが掛止孔16bの上端部に当接した状態が得られる。この状態で手を離せば、各取付ネジ12の頭部12aが各取付孔部16における掛止孔16bの周縁部で裏面側ケース部10aに抜止め状に掛止し、ここに、壁掛け機器10は取付ネジ12に引っ掛けられた取付状態で固定される。この際、重力の作用する方向で掛止されているため、取付状態も安定する。
【0026】
また、上記の場合、壁掛け機器10を図1に示されるような縦向き姿勢で取り付けた状態を例示しているが、図1の右辺部分を上側とした横向き姿勢でも同様に取り付けることができ、選択的に姿勢変更可能に構成されている。
【0027】
本実施の形態は以上のように構成されており、取付孔部16における掛止孔16bが共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成されているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定して取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0028】
特に、掛止孔16bの中心線の傾斜角度を45度としているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢で取り付けた場合であっても、横向き姿勢で取り付けた場合であっても、共に同じ安定度で取り付けることができる利点がある。
【0029】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図3に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。そのため、上側の取付ネジ12を中心にして壁掛け機器10が反時計方向に僅かに回転した傾斜状態で取り付けられる。
【0030】
逆に、図4に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。そのため、下側の取付ネジ12を中心にして壁掛け機器10が時計方向に僅かに回転した傾斜状態で取り付けられる。
【0031】
しかしながら、この回転による壁掛け機器10の傾斜量は、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θの正接に比例するため、前記参考例のように両取付孔部2が重力方向Gに沿って上下に離隔している場合と比較して、両取付孔部16を結ぶ直線Sと各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがより小さくなり、ここに、その成す角度θが小さくなった分だけ機器10が回転する傾斜量が少なくなり、上下の取付ネジ12の間隔が誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に軽減することができる。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置すればよく、前述同様の効果が得られる。
【0033】
<実施の形態2>
図5ないし図7は実施の形態2を示しており、各図は壁掛け機器10の裏面図を示している。また、この実施の形態においては、二辺の長さが共に似通った正方形に近い矩形状の裏面を持つ壁掛け機器10の場合とされている。そして、前記実施の形態1と同様構成部分は同一符号を付している。
【0034】
本実施の形態においても、壁掛け機器10の裏面側ケース部10aに、取付孔部16が2個所に形成されている。そして、取付孔部16の掛止孔16bは、実施の形態1と同様、機器10の裏面から見て時計方向に45度傾斜する右上がり傾斜とされている。
【0035】
そして、特に本実施の形態においては、各取付孔部16は、上下に離隔した両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが、同一直線上に位置するように配置されると共に、裏面側ケース部10aの対角にそれぞれ配置された構造とされている。従って、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロの状態に配置された構造とされている。また、その他の構造は、実施の形態1と同様に構成されている。
【0036】
本実施の形態は以上のように構成されており、本実施の形態においても実施の形態1と同様にして、壁面14に壁掛け機器10を、縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定した状態で取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0037】
また、実施の形態1と同様、掛止孔16bの中心線の傾斜角度を45度としているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢のいずれの取り付け姿勢であっても同じ安定度が得られる利点がある。
【0038】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図6に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。しかしながら、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、下側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0039】
これに対し、図7に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。この場合にも両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、上側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0040】
従って、上下の取付ネジ12の間隔が決められた寸法に対して若干の誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に無くすことができ、姿勢を変化させずに機器10を取り付けることができる。
【0041】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上記同様、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置すればよく、前述同様の効果が得られる。
【0042】
<実施の形態3>
図8ないし図10は実施の形態3を示しており、各図は壁掛け機器10の裏面図を示している。また、この実施の形態においては、前記実施の形態1と同様、一辺が他辺より比較的長い概略長方形の裏面を持つ壁掛け機器10の場合とされている。そして、前記実施の形態1と同様構成部分は同一符号を付している。
【0043】
本実施の形態においても、壁掛け機器10の裏面側ケース部10aに、取付孔部16が2個所に形成されている。そして、取付孔部16の掛止孔16bは、機器10の裏面から見て時計方向に共に同じ角度傾斜する右上がり傾斜とされている。
【0044】
そして、実施の形態2と同様、各取付孔部16は、上下に離隔した両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが、同一直線上に位置するように配置されると共に、裏面側ケース部10aの対角にそれぞれ配置された構造とされている。この際、中心線Lと一致する前記直線が重力方向Gに対して機器10の裏面から見て時計方向に、裏面側ケース部10aの領域が許す限り傾けて設けられた構造とされている。
【0045】
従って、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロの状態に配置された構造とされている。また、その他の構造は、実施の形態1と同様に構成されている。
【0046】
本実施の形態は以上のように構成されており、本実施の形態においても実施の形態1と同様にして、壁面14に壁掛け機器10を、縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定した状態で取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0047】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図9に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。しかしながら、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、下側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0048】
これに対し、図10に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。この場合にも両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、上側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0049】
従って、上下の取付ネジ12の間隔が決められた寸法に対して若干の誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に無くすことができ、姿勢を変化させずに機器10を取り付けることができる。そのため、近似する壁掛け機器10である実施の形態1に対して、取付ネジ12の間隔のずれに対する機器10の傾きをより少なくする目的に使用することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上記同様、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置されすればよく、前述同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る実施の形態1の壁掛け機器の裏面図である。
【図2】壁面に取り付けた状態の側断面図である。
【図3】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図4】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図5】本発明に係る実施の形態2の壁掛け機器の裏面図である。
【図6】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図7】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図8】本発明に係る実施の形態3の壁掛け機器の裏面図である。
【図9】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図10】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図11】参考例に係る壁掛け機器の裏面図である。
【図12】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図13】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10 壁掛け機器、10a 裏面側ケース部、12 取付ネジ、12a 頭部、12b 軸部、14 壁面、16 取付孔部、16a 頭部挿脱孔、16b 掛止孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機、インターフォン、モデム機器などのように、壁面に対して容易に取り付け可能とされた壁掛け機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電話機、インターフォン、モデム機器などの宅内機器は、利便性の面から、屋内の壁面に設置して用いられることが多い。従来、このような宅内機器の壁面への固定構造として、いろいろな構造が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示の構造によれば、壁面に固定される木ネジの頭部が挿脱可能な該頭部の直径より大きい直径を有する頭部挿脱孔と、木ネジの軸部が相対移動可能な孔幅を有する掛止孔とからなるいわゆるだるま型の取付孔部が、機器の裏面側ケースに上下方向に離隔して2箇所に形成されている。そして、各取付孔部を壁面に適宜位置までネジ込まれた木ネジの頭部にそれぞれ引っ掛けて取り付ける構造とされていた。
【0004】
この際、取付孔部における頭部挿脱孔は下端部に位置し、掛止孔は頭部挿脱孔より上方に延設された構造とされており、木ネジに対する引っ掛け状態においては、重力によって、木ネジが掛止孔に引っ掛かる方向に作用するため、機器の安定した取付状態が得られていた。
【0005】
また、特許文献2に開示の構造によれば、上記同様のいわゆるだるま型の取付孔部を有する取付片を、機器の裏面側に90度の範囲で回転可能に複数取り付け、各取付孔部を壁面に適宜位置までネジ込まれた木ネジの頭部にそれぞれ引っ掛けて取り付ける構造とされていた。そして、各取付片の角度を変更することにより、機器の取付姿勢を必要に応じて縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に変更可能に構成されていた。この場合も上記同様に、機器の安定した取付状態が得られていた。
【0006】
【特許文献1】特開平8−237343号公報
【特許文献2】特開平8−008543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の上記構造によれば、機器を90度回転させて固定したい場合には、だるま型の取付孔部が水平方向を向くため、重力による安定した取付状態が望めないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示の上記構造によれば、各取付片が互いに90度の範囲で選択的に固定可能に構成されているため、機器を縦向き姿勢と横向き姿勢とに取付可能とされているが、機器の設置工事の際に各取付片をそれぞれ回転調整する必要があるなどの煩雑さがあった。
【0009】
そこで、図11に示されるように、機器の裏面側ケース部1に重力方向に沿った上下方向に離隔して形成された各取付孔部2における掛止孔2aの中心線Lが、重力方向Gに対して共に同じ方向に所定角度(例えば45度)傾斜して形成することが考えられる(参考例)。
【0010】
この場合、図11に示す裏面側ケース部1の上辺もしくは右側辺を、選択的に上側とすることにより、機器の取付姿勢を2つの方向に安定して取付可能となる。なお、図中、3aは壁面に固定される取付ネジ3の軸部である。
【0011】
しかしながら、機器の設置工事に際して、取付ネジ3の間隔が決められた寸法からずれた場合、機器が傾斜して取り付けられるという新たな問題点が生じる。例えば、上下の取付ネジ3の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、図12に示されるように、上側の取付孔部2における掛止孔2aの頂部に取付ネジ3の軸部3aが係合するが、下側の取付孔部2では、間隔が大きくなった分、掛止孔2aの頂部からその掛止孔2aの長手方向下方に取付ネジ3の係合部分が移動する。このため、上側の取付ネジ3を中心にして機器が反時計方向に回転した傾斜状態で取り付けられることになる。
【0012】
また、上下の取付ネジ3の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、図13に示されるように、下側の取付孔部2における掛止孔2aの頂部に取付ネジ3の軸部3aが係合するが、上側の取付孔部2では、間隔が小さくなった分、掛止孔2aの頂部からその掛止孔2aの長手方向下方に取付ネジ3の係合部分が移動する。このため、下側の取付ネジ3を中心にして機器が時計方向に回転した傾斜状態で取り付けられることになる。
【0013】
そこで、本発明は簡単な構造で、機器を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に取付可能とすると共に、上下の固定部材の間隔が誤差を有する場合であっても取付状態の傾斜量の軽減を有効に図った壁掛け機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の壁掛け機器は、壁面に固定された固定部材の軸部が相対移動可能で、前記軸部の端部に備えられた頭部が通過不能な孔幅を有する直線状の掛止孔と、該掛止孔の下端部に形成されて前記頭部が挿脱自在な頭部挿脱孔とからなる取付孔部が、機器裏面に上下方向に離隔して2箇所に備えられ、各取付孔部を対応する前記固定部材に引っ掛けることにより取り付けられる壁掛け機器において、前記両取付孔部における前記各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、前記頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る請求項1記載の壁掛け機器によれば、両取付孔部における各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されている構造とされており、同じ角度傾斜する掛止孔により、機器を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定して取り付けることができ、その構造も簡単である利点がある。
【0016】
そして、壁面に固定された固定部材の間隔が決められた寸法よりも大きい方もしくは小さい方にずれた場合には、前述のように、機器が反時計方向もしくは時計方向に若干回転し傾斜した状態で取り付けられることになる。しかしながら、この回転による機器の傾斜量は、両取付孔部の所定位置を結ぶ直線と、傾斜して形成された各掛止孔の中心線との成す角度の正接に比例するため、上記参考例のように両取付孔部が重力方向に沿って上下に離隔している場合と比較して、両取付孔部を結ぶ直線と各掛止孔の中心線との前記成す角度がより小さくなり、ここに、その成す角度が小さくなった分だけ機器が回転する傾斜量が少なくなり、上下の固定部材の間隔が誤差を有する場合であっても、機器の取付状態の傾斜量を有効に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明すると、図1は壁掛け機器10の裏面側ケース部10aを示し、図2は壁掛け機器10が固定部材としての取付ネジ12により、壁面14に固定された取付状態の断面図を示している。
【0018】
壁掛け機器10は、一辺が他辺よりも比較的長い概略長方形の裏面を有するケース構造とされており、その内部には壁掛け機器10の用途に応じた部品等が収容されている。
【0019】
壁掛け機器10における裏面側ケース部10aには、2箇所に取付孔部16が形成されている。各取付孔部16は、壁掛け機器10の裏面側から見て図1に示されるように、下端部に位置して取付ネジ12の頭部12aが挿脱自在な円形の頭部挿脱孔16aがそれぞれ形成されると共に、該頭部挿脱孔16aより右上がり傾斜状に中心を通る径方向に延設して掛止孔16bがそれぞれ形成され、いわゆるだるま型に構成されている。
【0020】
各掛止孔16bは、取付ネジ12の頭部12aが通過不能で、頭部12aに連設された軸部12bが相対移動可能な孔幅を有する直線状に形成されている。そして、各掛止孔16bの中心線Lは重力方向Gに対して共に同じ方向に同じ角度、本実施の形態では45度傾斜した構造とされており、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置されると共に、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置され、対角に位置してそれぞれ配置された構造とされている。即ち、壁掛け機器10の取付状態が安定するように長辺に沿った上下方向になるべく間隔をあけて設けた構造とされている。
【0021】
この際、上側の取付孔部16をできるだけ右寄りに配置し、下側の取付孔部16をできるだけ左寄りに配置して、両取付孔部16の対応する所定位置を結ぶ直線Sと、掛止孔16bにおける中心線Lとの成す角度θが可能な限り小さくなるように配置されている。
【0022】
次に、壁面14に対する壁掛け機器10の取付手順を説明する。
【0023】
先ず、壁掛け機器10を取り付けたい壁面14に、裏面側ケース部10aの各取付孔部16の位置に対応させて2本の取付ネジ12を予めねじ込む。この際、取付ネジ12は、壁面14の表面と取付ネジ12の頭部12aとの間を、裏面側ケース部10aの厚みよりも僅かに大きい寸法だけ空けたところまでねじ込む。
【0024】
次に、裏面側ケース部10aの各取付孔部16における頭部挿脱孔16aを、壁面14に固定された各取付ネジ12の頭部12aにそれぞれ合わせて押し付ければ、各頭部12aが頭部挿脱孔16aを通じて裏面側ケース部10aの内側に挿入される。
【0025】
この状態で、掛止孔16bの延設方向と反対の方向に壁掛け機器10を移動させれば、取付ネジ12の軸部12bが掛止孔16bに沿って相対移動され、図1に示されるように、各軸部12bが掛止孔16bの上端部に当接した状態が得られる。この状態で手を離せば、各取付ネジ12の頭部12aが各取付孔部16における掛止孔16bの周縁部で裏面側ケース部10aに抜止め状に掛止し、ここに、壁掛け機器10は取付ネジ12に引っ掛けられた取付状態で固定される。この際、重力の作用する方向で掛止されているため、取付状態も安定する。
【0026】
また、上記の場合、壁掛け機器10を図1に示されるような縦向き姿勢で取り付けた状態を例示しているが、図1の右辺部分を上側とした横向き姿勢でも同様に取り付けることができ、選択的に姿勢変更可能に構成されている。
【0027】
本実施の形態は以上のように構成されており、取付孔部16における掛止孔16bが共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成されているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定して取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0028】
特に、掛止孔16bの中心線の傾斜角度を45度としているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢で取り付けた場合であっても、横向き姿勢で取り付けた場合であっても、共に同じ安定度で取り付けることができる利点がある。
【0029】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図3に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。そのため、上側の取付ネジ12を中心にして壁掛け機器10が反時計方向に僅かに回転した傾斜状態で取り付けられる。
【0030】
逆に、図4に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。そのため、下側の取付ネジ12を中心にして壁掛け機器10が時計方向に僅かに回転した傾斜状態で取り付けられる。
【0031】
しかしながら、この回転による壁掛け機器10の傾斜量は、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θの正接に比例するため、前記参考例のように両取付孔部2が重力方向Gに沿って上下に離隔している場合と比較して、両取付孔部16を結ぶ直線Sと各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがより小さくなり、ここに、その成す角度θが小さくなった分だけ機器10が回転する傾斜量が少なくなり、上下の取付ネジ12の間隔が誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に軽減することができる。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置すればよく、前述同様の効果が得られる。
【0033】
<実施の形態2>
図5ないし図7は実施の形態2を示しており、各図は壁掛け機器10の裏面図を示している。また、この実施の形態においては、二辺の長さが共に似通った正方形に近い矩形状の裏面を持つ壁掛け機器10の場合とされている。そして、前記実施の形態1と同様構成部分は同一符号を付している。
【0034】
本実施の形態においても、壁掛け機器10の裏面側ケース部10aに、取付孔部16が2個所に形成されている。そして、取付孔部16の掛止孔16bは、実施の形態1と同様、機器10の裏面から見て時計方向に45度傾斜する右上がり傾斜とされている。
【0035】
そして、特に本実施の形態においては、各取付孔部16は、上下に離隔した両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが、同一直線上に位置するように配置されると共に、裏面側ケース部10aの対角にそれぞれ配置された構造とされている。従って、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロの状態に配置された構造とされている。また、その他の構造は、実施の形態1と同様に構成されている。
【0036】
本実施の形態は以上のように構成されており、本実施の形態においても実施の形態1と同様にして、壁面14に壁掛け機器10を、縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定した状態で取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0037】
また、実施の形態1と同様、掛止孔16bの中心線の傾斜角度を45度としているため、壁掛け機器10を縦向き姿勢もしくは横向き姿勢のいずれの取り付け姿勢であっても同じ安定度が得られる利点がある。
【0038】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図6に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。しかしながら、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、下側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0039】
これに対し、図7に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。この場合にも両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、上側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0040】
従って、上下の取付ネジ12の間隔が決められた寸法に対して若干の誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に無くすことができ、姿勢を変化させずに機器10を取り付けることができる。
【0041】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上記同様、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置すればよく、前述同様の効果が得られる。
【0042】
<実施の形態3>
図8ないし図10は実施の形態3を示しており、各図は壁掛け機器10の裏面図を示している。また、この実施の形態においては、前記実施の形態1と同様、一辺が他辺より比較的長い概略長方形の裏面を持つ壁掛け機器10の場合とされている。そして、前記実施の形態1と同様構成部分は同一符号を付している。
【0043】
本実施の形態においても、壁掛け機器10の裏面側ケース部10aに、取付孔部16が2個所に形成されている。そして、取付孔部16の掛止孔16bは、機器10の裏面から見て時計方向に共に同じ角度傾斜する右上がり傾斜とされている。
【0044】
そして、実施の形態2と同様、各取付孔部16は、上下に離隔した両取付孔部16における各掛止孔16bの中心線Lが、同一直線上に位置するように配置されると共に、裏面側ケース部10aの対角にそれぞれ配置された構造とされている。この際、中心線Lと一致する前記直線が重力方向Gに対して機器10の裏面から見て時計方向に、裏面側ケース部10aの領域が許す限り傾けて設けられた構造とされている。
【0045】
従って、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロの状態に配置された構造とされている。また、その他の構造は、実施の形態1と同様に構成されている。
【0046】
本実施の形態は以上のように構成されており、本実施の形態においても実施の形態1と同様にして、壁面14に壁掛け機器10を、縦向き姿勢もしくは横向き姿勢に選択的に安定した状態で取り付けることができる。そして、その構造も掛止孔16bを傾斜して形成した簡単な構造によって提供できる。
【0047】
また、壁掛け機器10の設置工事に際して、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりもずれた場合、例えば、図9に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも大きい方にずれた場合には、上側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、下側の取付孔部16では、間隔が大きくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。しかしながら、両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、下側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0048】
これに対し、図10に示されるように、取付ネジ12の間隔が決められた寸法よりも小さい方にずれた場合には、下側の取付孔部16における掛止孔16bの頂部に取付ネジ12の軸部12bが係合するが、上側の取付孔部16では、間隔が小さくなった分、掛止孔16bの頂部からその掛止孔16bの長手方向下方に取付ネジ12の係合部分が移動する。この場合にも両取付孔部16を結ぶ直線Sと、傾斜して形成された各掛止孔16bの中心線Lとの成す角度θがゼロのため、その正接もゼロとなり、上側の取付孔部16の係合部分の移動が、2本の取付ネジ12を通る直線上で行われ、機器10の姿勢が変化することなく固定された取付状態が得られる。
【0049】
従って、上下の取付ネジ12の間隔が決められた寸法に対して若干の誤差を有する場合であっても、機器10の取付状態の傾斜量を有効に無くすことができ、姿勢を変化させずに機器10を取り付けることができる。そのため、近似する壁掛け機器10である実施の形態1に対して、取付ネジ12の間隔のずれに対する機器10の傾きをより少なくする目的に使用することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においては、取付孔部16における掛止孔16bがそれぞれ右上がり傾斜に形成された構造を示しているが、取付孔部16における掛止孔16bをそれぞれ左上がり傾斜に形成する構造としてもよい。この場合、上記同様、上側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの左寄りに配置し、下側の取付孔部16は裏面側ケース部10aの右寄りに配置されすればよく、前述同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る実施の形態1の壁掛け機器の裏面図である。
【図2】壁面に取り付けた状態の側断面図である。
【図3】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図4】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図5】本発明に係る実施の形態2の壁掛け機器の裏面図である。
【図6】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図7】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図8】本発明に係る実施の形態3の壁掛け機器の裏面図である。
【図9】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図10】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図11】参考例に係る壁掛け機器の裏面図である。
【図12】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【図13】壁掛け機器の取付状態説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10 壁掛け機器、10a 裏面側ケース部、12 取付ネジ、12a 頭部、12b 軸部、14 壁面、16 取付孔部、16a 頭部挿脱孔、16b 掛止孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定された固定部材の軸部が相対移動可能で、前記軸部の端部に備えられた頭部が通過不能な孔幅を有する直線状の掛止孔と、該掛止孔の下端部に形成されて前記頭部が挿脱自在な頭部挿脱孔とからなる取付孔部が、機器裏面に上下方向に離隔して2箇所に備えられ、各取付孔部を対応する前記固定部材に引っ掛けることにより取り付けられる壁掛け機器において、
前記両取付孔部における前記各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、前記頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されていることを特徴とする壁掛け機器。
【請求項2】
前記両取付孔部における前記各掛止孔の前記中心線が同一直線上に配置されると共に、両取付孔部が機器裏面の対角にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の壁掛け機器。
【請求項3】
前記各掛止孔の前記中心線が、前記重力方向に対して45度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁掛け機器。
【請求項1】
壁面に固定された固定部材の軸部が相対移動可能で、前記軸部の端部に備えられた頭部が通過不能な孔幅を有する直線状の掛止孔と、該掛止孔の下端部に形成されて前記頭部が挿脱自在な頭部挿脱孔とからなる取付孔部が、機器裏面に上下方向に離隔して2箇所に備えられ、各取付孔部を対応する前記固定部材に引っ掛けることにより取り付けられる壁掛け機器において、
前記両取付孔部における前記各掛止孔の中心線が重力方向に対して共に同じ方向に同じ角度傾斜して形成され、前記頭部挿脱孔に対して掛止孔が右上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置され、頭部挿脱孔に対して掛止孔が左上がり傾斜の場合には、上側の取付孔部が機器裏面の左寄りに配置されると共に下側の取付孔部が機器裏面の右寄りに配置されていることを特徴とする壁掛け機器。
【請求項2】
前記両取付孔部における前記各掛止孔の前記中心線が同一直線上に配置されると共に、両取付孔部が機器裏面の対角にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の壁掛け機器。
【請求項3】
前記各掛止孔の前記中心線が、前記重力方向に対して45度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の壁掛け機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−243882(P2008−243882A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78321(P2007−78321)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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