壁用目地装置
【課題】建物の外壁美観を損なうことなく移動させることができ、かつ損傷しずらい壁用目地装置を得るにある。
【解決手段】目地部4を介した左右の建物2の、左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材8と、このガイド部材8に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材11が表面に位置するように固定された左右の壁パネル13と、この左右の壁パネル13の先端部が常時ガイド部材8に当接するように、該ガイド部材8に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置15と、左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで壁用目地装置を構成している。
【解決手段】目地部4を介した左右の建物2の、左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材8と、このガイド部材8に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材11が表面に位置するように固定された左右の壁パネル13と、この左右の壁パネル13の先端部が常時ガイド部材8に当接するように、該ガイド部材8に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置15と、左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで壁用目地装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の壁面間の目地部を覆う壁用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁用目地装置は目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う部位の左右の躯体に後端部がヒンジを介して取付けられ、前方へ回動する先端部が対向する傾斜面に形成された目地部を覆う左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの背面の後端部寄りの部位に、該左右の壁パネルの背面と所定寸法離れた部位に枢支部が位置するように取付けられた少なくとも2対以上のヒンジ部材と、この少なくとも2対以上のヒンジ部材の可動部材に両端部が枢支された少なくとも2個以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2個以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された少なくとも前記左右の壁パネル側に設けられた、該左右の壁パネルの背面側の先端部が鋭角となる側が傾斜面に形成された支持バーと、この支持バーの傾斜面側の左右の壁パネルの一方の背面に取付けられた目地部が狭くなると、該支持バーの傾斜面によって前方へ突出させる山形状のせり上げガイドと、前記左右の壁パネルの先端部を常時前記支持バーに当接あるいは、該左右の壁パネルが一直線状となるように付勢する付勢機構とで構成されていた。
【0003】
このため、構造が複雑で、コスト高となるとともに、左右の壁パネルの先端部が左右の建物の種々な揺れ動きに、せり上げガイドがじゃまになって移動しずらく、左右の壁パネルを損傷させやすいという欠点があった。
【特許文献1】特開2005−30127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、左右の建物の外壁に応じて美観を損なわない壁用目地装置にすることができるとともに、目地部が狭くなっても左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接するまでは先端部が当接状態を維持し、左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接すると、左右の壁パネルの先端部のいずれかがスムーズにスライド移動して、左右の壁パネルの損傷を効率よく阻止することができる、美観を損なうことなく移動させることができ、かつ損傷しずらい壁用目地装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで壁用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで構成されているので、左右の壁パネルの表面にガラスや石材等の壁化粧材を固定しているので、左右の建物の外壁の美観を損なうことなく、向上させることができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、目地部が狭くなるように左右の建物が揺れ動くと、左右の壁パネルが合掌状態で前方へ突出させ、該左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接すると、左右の壁パネルの先端部がスムーズにスライド移動させることができる。このため、左右の壁パネルの損傷を防止することができるとともに、左右の壁パネルを、美観を損なうことなく移動させることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、左右の建物の揺れ動きが停止すると、自動的に元の状態へ戻すことができる。
【0011】
(4)前記(1)によって、構造が簡単であるので、容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図11に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は左右の建物2、2の一方の建物2の目地部側の外壁面3と他方の建物2の目地部側の端部外壁面3との間の目地部4を覆う本発明の壁用目地装置で、この壁用目地装置1は前記目地部4の左右の建物2、2の躯体2a、2aに後端部がヒンジ部材5、5を介して取付けられた中央部に中央枢支部6が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7の中央枢支部6、6に枢支ピン8、8で枢支された山形形状のガイド部材8と、このガイド部材8に先端部が当接するように傾斜面9、9に形成され、後端部が前記左右の躯体2a、2aにヒンジ部材10、10を介して前方へ回動可能に取付けられたガラス、石材、木材等の壁化粧材11が凹部12が形成された表面内に位置するように固定された左右の壁パネル13、13と、この左右の壁パネル13、13の先端部が常時前記ガイド部材8に当接するように、該ガイド部材8に設けたガイド部14、14を介して付勢する少なくとも一対、本発明を実施する形態では2対の左右の付勢装置15、15、15、15と、前記左右の壁パネル13、13の先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置16とで構成されている。
【0014】
前記少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は図3に示すように、四角枠形状のリンク機構17と、このリンク機構17の対向する一方のリンク17a、17aのほぼ中央部に両端部が枢支ピン18、18で枢支された中央部に中央枢支部6が形成された中央維持バー19とで構成されている。
【0015】
前記左右の壁パネル13、13は図5に示すように、先端部が傾斜面9、9に形成され、前面に壁化粧材11を収納する凹部12が形成された金属材製の壁パネル本体20と、この壁パネル本体20の凹部12内に、周囲にクッション材21とシール剤22を介して固定された壁化粧材11とで構成されている。
【0016】
前記左右の付勢機構15、15、15、15は一端部が前記左右の壁パネル13、13の先端部に固定され、前記ガイド部材14に形成された貫通孔23、23、この貫通孔23、23の近傍のガイド部材8内に取付けられたガイド部としてのガイドローラ14、14を介して、他端部が左右の躯体2a、2aにスプリング24、24を介して固定されたワイヤー25、25とで構成されている。
【0017】
前記付勢装置16は一端部が一方の壁パネル13の先端部に固定され、他端部が他方の壁パネル13の先端部のガイドリング26を通過して、該他方の壁パネル13の後端部側に固定されたスプリング27を介装したワイヤー28で構成されている。
なお、スプリング27を介装したワイヤー28は他方の壁パネル13の内部あるいは内壁面に位置するように取付けてもよい。
【0018】
上記構成の壁用目地装置1は通常時は図2に示すように、目地部4をほぼ同一面に位置する壁化粧材11、11が固定された壁パネル13、13で覆われているので、左右の建物2、2の外壁の美観を損なわない壁化粧材11、11が使用でき、壁用目地装置1によって左右の建物2、2の美観が損なわれない。
【0019】
左右の建物2、2が異なる左右方向に地震で揺れ動き、目地部4が広くなった場合、図8に示すように少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は伸長するが、中央枢支部6、6に枢支された山形形状のガイド部材8は目地部4の中央部に位置するとともに、左右の壁パネル13、13は先端部がガイド部材8方向へ左右の付勢装置15、15に付勢されるため、左右の壁パネル13、13が左右方向へ中央部に隙間が生じるようにスライド移動し、その揺れ動きが停止すると左右の付勢装置15、15によって、自動的に元の状態へ戻る。
【0020】
左右の建物2、2が異なる左右方向に地震で揺れ動き、目地部4が狭くなった場合、図9に示すように少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は収縮するが、中央枢支部6、6に枢支された山形形状のガイド部材8は目地部4の中央部に位置するとともに、左右の付勢装置15、15の付勢力に抗して、左右の壁パネル13、13は合掌状態で先端部が前方へ突出して、その揺れ動きを吸収する。
さらに左右の建物2、2が異なる前後方向に揺れ動き、左右の壁パネル13、13が図10に示すように左右の躯体2a、2aに当接すると、付勢装置16の付勢力に抗して、左右の壁パネル13、13の先端部が図11に示すようにスライド移動して、左右の壁パネル13、13の損傷を防止し、その揺れ動きが停止すると左右の付勢装置15、15および付勢装置16の付勢力によって、自動的に元の状態へ戻る。
[発明を実施するための異なる形態]
【0021】
次に、図12ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図12および図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、左右の建物2、2の目地部4の端部の左右の躯体2a、2aに2対以上の中央維持リンク機構7、7と左右の壁パネル13、13を取付けた点で、このように構成した壁用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、パンタグラフ形状の少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aと、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aの背面の左右の躯体2a、2aにガイドリング29、29を介して通過されたワイヤー30、30の下端部に重り31、31を取付けた左右の付勢装置15A、15Aを用いた点で、このような少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aと左右の付勢装置15A、15A を用いて構成した壁用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は壁用目地装置を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の中央維持リンク機構を取付けた状態の正面図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態のガイド部材を取付けた状態の正面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の壁パネルの説明図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の左右の付勢装置の説明図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態の付勢装置の説明図。
【図8】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地部が広くなる動作状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地部が狭くなる動作状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための最良の第1の形態の異なる前後方向の動作状態の説明図。
【図11】本発明を実施するための最良の第1の形態の左右の壁パネルのスライド状態の説明図。
【図12】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図15】図14の15−15線に沿う拡大断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の中央維持リンク機構の説明図。
【図17】図15の17−17線に沿う拡大断面図。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B:壁用目地装置、2:建物、
3:外壁面、 4:目地部、
5:ヒンジ部材、 6:中央枢支部、
7、7A:中央維持リンク機構、8:枢支ピン、
8:ガイド部材、 9:傾斜面、
10:ヒンジ部材、 11:壁化粧材、
12:凹部、 13:壁パネル、
14:ガイド部、 15、15A:左右の付勢装置、
16:付勢装置、 17:リンク機構、
18:枢支ピン、 19:中央維持バー、
20:壁パネル本体、 21:クッション材、
22:シール剤、 23:貫通孔、
24:スプリング、 25:ワイヤー、
26:ガイドリング、 27:スプリング、
28:ワイヤー、 29:ガイドリング、
30:ワイヤー、 31:重り。
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の壁面間の目地部を覆う壁用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁用目地装置は目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う部位の左右の躯体に後端部がヒンジを介して取付けられ、前方へ回動する先端部が対向する傾斜面に形成された目地部を覆う左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの背面の後端部寄りの部位に、該左右の壁パネルの背面と所定寸法離れた部位に枢支部が位置するように取付けられた少なくとも2対以上のヒンジ部材と、この少なくとも2対以上のヒンジ部材の可動部材に両端部が枢支された少なくとも2個以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2個以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された少なくとも前記左右の壁パネル側に設けられた、該左右の壁パネルの背面側の先端部が鋭角となる側が傾斜面に形成された支持バーと、この支持バーの傾斜面側の左右の壁パネルの一方の背面に取付けられた目地部が狭くなると、該支持バーの傾斜面によって前方へ突出させる山形状のせり上げガイドと、前記左右の壁パネルの先端部を常時前記支持バーに当接あるいは、該左右の壁パネルが一直線状となるように付勢する付勢機構とで構成されていた。
【0003】
このため、構造が複雑で、コスト高となるとともに、左右の壁パネルの先端部が左右の建物の種々な揺れ動きに、せり上げガイドがじゃまになって移動しずらく、左右の壁パネルを損傷させやすいという欠点があった。
【特許文献1】特開2005−30127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、左右の建物の外壁に応じて美観を損なわない壁用目地装置にすることができるとともに、目地部が狭くなっても左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接するまでは先端部が当接状態を維持し、左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接すると、左右の壁パネルの先端部のいずれかがスムーズにスライド移動して、左右の壁パネルの損傷を効率よく阻止することができる、美観を損なうことなく移動させることができ、かつ損傷しずらい壁用目地装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで壁用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とで構成されているので、左右の壁パネルの表面にガラスや石材等の壁化粧材を固定しているので、左右の建物の外壁の美観を損なうことなく、向上させることができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、目地部が狭くなるように左右の建物が揺れ動くと、左右の壁パネルが合掌状態で前方へ突出させ、該左右の壁パネルが左右の壁躯体に当接すると、左右の壁パネルの先端部がスムーズにスライド移動させることができる。このため、左右の壁パネルの損傷を防止することができるとともに、左右の壁パネルを、美観を損なうことなく移動させることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、左右の建物の揺れ動きが停止すると、自動的に元の状態へ戻すことができる。
【0011】
(4)前記(1)によって、構造が簡単であるので、容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図11に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は左右の建物2、2の一方の建物2の目地部側の外壁面3と他方の建物2の目地部側の端部外壁面3との間の目地部4を覆う本発明の壁用目地装置で、この壁用目地装置1は前記目地部4の左右の建物2、2の躯体2a、2aに後端部がヒンジ部材5、5を介して取付けられた中央部に中央枢支部6が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7の中央枢支部6、6に枢支ピン8、8で枢支された山形形状のガイド部材8と、このガイド部材8に先端部が当接するように傾斜面9、9に形成され、後端部が前記左右の躯体2a、2aにヒンジ部材10、10を介して前方へ回動可能に取付けられたガラス、石材、木材等の壁化粧材11が凹部12が形成された表面内に位置するように固定された左右の壁パネル13、13と、この左右の壁パネル13、13の先端部が常時前記ガイド部材8に当接するように、該ガイド部材8に設けたガイド部14、14を介して付勢する少なくとも一対、本発明を実施する形態では2対の左右の付勢装置15、15、15、15と、前記左右の壁パネル13、13の先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置16とで構成されている。
【0014】
前記少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は図3に示すように、四角枠形状のリンク機構17と、このリンク機構17の対向する一方のリンク17a、17aのほぼ中央部に両端部が枢支ピン18、18で枢支された中央部に中央枢支部6が形成された中央維持バー19とで構成されている。
【0015】
前記左右の壁パネル13、13は図5に示すように、先端部が傾斜面9、9に形成され、前面に壁化粧材11を収納する凹部12が形成された金属材製の壁パネル本体20と、この壁パネル本体20の凹部12内に、周囲にクッション材21とシール剤22を介して固定された壁化粧材11とで構成されている。
【0016】
前記左右の付勢機構15、15、15、15は一端部が前記左右の壁パネル13、13の先端部に固定され、前記ガイド部材14に形成された貫通孔23、23、この貫通孔23、23の近傍のガイド部材8内に取付けられたガイド部としてのガイドローラ14、14を介して、他端部が左右の躯体2a、2aにスプリング24、24を介して固定されたワイヤー25、25とで構成されている。
【0017】
前記付勢装置16は一端部が一方の壁パネル13の先端部に固定され、他端部が他方の壁パネル13の先端部のガイドリング26を通過して、該他方の壁パネル13の後端部側に固定されたスプリング27を介装したワイヤー28で構成されている。
なお、スプリング27を介装したワイヤー28は他方の壁パネル13の内部あるいは内壁面に位置するように取付けてもよい。
【0018】
上記構成の壁用目地装置1は通常時は図2に示すように、目地部4をほぼ同一面に位置する壁化粧材11、11が固定された壁パネル13、13で覆われているので、左右の建物2、2の外壁の美観を損なわない壁化粧材11、11が使用でき、壁用目地装置1によって左右の建物2、2の美観が損なわれない。
【0019】
左右の建物2、2が異なる左右方向に地震で揺れ動き、目地部4が広くなった場合、図8に示すように少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は伸長するが、中央枢支部6、6に枢支された山形形状のガイド部材8は目地部4の中央部に位置するとともに、左右の壁パネル13、13は先端部がガイド部材8方向へ左右の付勢装置15、15に付勢されるため、左右の壁パネル13、13が左右方向へ中央部に隙間が生じるようにスライド移動し、その揺れ動きが停止すると左右の付勢装置15、15によって、自動的に元の状態へ戻る。
【0020】
左右の建物2、2が異なる左右方向に地震で揺れ動き、目地部4が狭くなった場合、図9に示すように少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7、7は収縮するが、中央枢支部6、6に枢支された山形形状のガイド部材8は目地部4の中央部に位置するとともに、左右の付勢装置15、15の付勢力に抗して、左右の壁パネル13、13は合掌状態で先端部が前方へ突出して、その揺れ動きを吸収する。
さらに左右の建物2、2が異なる前後方向に揺れ動き、左右の壁パネル13、13が図10に示すように左右の躯体2a、2aに当接すると、付勢装置16の付勢力に抗して、左右の壁パネル13、13の先端部が図11に示すようにスライド移動して、左右の壁パネル13、13の損傷を防止し、その揺れ動きが停止すると左右の付勢装置15、15および付勢装置16の付勢力によって、自動的に元の状態へ戻る。
[発明を実施するための異なる形態]
【0021】
次に、図12ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図12および図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、左右の建物2、2の目地部4の端部の左右の躯体2a、2aに2対以上の中央維持リンク機構7、7と左右の壁パネル13、13を取付けた点で、このように構成した壁用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、パンタグラフ形状の少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aと、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aの背面の左右の躯体2a、2aにガイドリング29、29を介して通過されたワイヤー30、30の下端部に重り31、31を取付けた左右の付勢装置15A、15Aを用いた点で、このような少なくとも2対以上の中央維持リンク機構7A、7Aと左右の付勢装置15A、15A を用いて構成した壁用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は壁用目地装置を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の正面図。
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の中央維持リンク機構を取付けた状態の正面図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態のガイド部材を取付けた状態の正面図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の壁パネルの説明図。
【図6】本発明を実施するための最良の第1の形態の左右の付勢装置の説明図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態の付勢装置の説明図。
【図8】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地部が広くなる動作状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地部が狭くなる動作状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための最良の第1の形態の異なる前後方向の動作状態の説明図。
【図11】本発明を実施するための最良の第1の形態の左右の壁パネルのスライド状態の説明図。
【図12】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図15】図14の15−15線に沿う拡大断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の中央維持リンク機構の説明図。
【図17】図15の17−17線に沿う拡大断面図。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B:壁用目地装置、2:建物、
3:外壁面、 4:目地部、
5:ヒンジ部材、 6:中央枢支部、
7、7A:中央維持リンク機構、8:枢支ピン、
8:ガイド部材、 9:傾斜面、
10:ヒンジ部材、 11:壁化粧材、
12:凹部、 13:壁パネル、
14:ガイド部、 15、15A:左右の付勢装置、
16:付勢装置、 17:リンク機構、
18:枢支ピン、 19:中央維持バー、
20:壁パネル本体、 21:クッション材、
22:シール剤、 23:貫通孔、
24:スプリング、 25:ワイヤー、
26:ガイドリング、 27:スプリング、
28:ワイヤー、 29:ガイドリング、
30:ワイヤー、 31:重り。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とからなることを特徴とする壁用目地装置。
【請求項1】
目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部を覆う壁部位の左右の躯体に後端部がヒンジ部材を介して取付けられた中央部に枢支部が形成された少なくとも2対以上の中央維持リンク機構と、この少なくとも2対以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に枢支された山形形状のガイド部材と、このガイド部材に先端部が当接するように傾斜面に形成され、後端部が前記左右の躯体にヒンジ部材を介して回動可能に取付けられたガラスや石材等の壁化粧材が表面に位置するように固定された左右の壁パネルと、この左右の壁パネルの先端部が常時前記ガイド部材に当接するように、該ガイド部材に設けたガイド部を介して付勢する左右の付勢装置と、前記左右の壁パネルの先端部が常時当接するような方向に付勢する付勢装置とからなることを特徴とする壁用目地装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−68183(P2009−68183A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235078(P2007−235078)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【出願人】(591014042)株式会社久米設計 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【出願人】(591014042)株式会社久米設計 (16)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]