説明

壁面用部品の板取り装置と壁面用部品の板取りプログラムと記録媒体とプレカット装置

【課題】建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するとき、歩留まりを良くし、かつ、施工費も抑制する。
【解決手段】 該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する。そのいずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、全ての領域を原板から切り出すことができる形状にする。一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を選択して、各原板上に選択した部品を板取りする。(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行する。分割線の位置と板取りの組み合わせを変更して、施工コストKが最小値を示すときの部品の形状と最適板取りを求める。その最適板取りに基づいて、全ての部品をプレカットするためのプレカットデータを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面用部品の切り出時に歩留まりを改善する、板取り装置と壁面用部品の板取りプログラムと記録媒体とプレカット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁面は、開口部や屋根等の構造物の影響により、外壁、内壁を問わず、複雑な形状になる。こうした建物の壁材は、建物の設計データをもとにしてプレカットされて、現場に搬入される。このとき、建物の強度を考慮しながら壁材を適切な形状にプレカットするように、対象壁面を分割して壁材の形状を求める技術が開発されている(特許文献1参照)。また、壁材のような多数の面材を一定の形状の原板から切り出すとき、歩留まりを高めるための板取り技術も開発されている(特許文献2参照)。これらの技術により、壁材の最適なプレカットが実現する。
【特許文献1】特開平8−137919号公報
【特許文献2】特許3441420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建物の壁面に断熱材等の部品を貼り付けるときにも,上記の既存技術を採用することができる。しかしながら、断熱材のような部品は、その形状が建物の強度に影響を及ぼさない。従って、部品を小さく裁断して、原板をより有効に利用し、歩留まりを高めることが可能である。ところが、部品点数が増大すると、施工時の手数も増大する。また、原板から部品を切り取るための切断加工費も増大する。従って、歩留まりのみを考慮すると、総合的に見て、コストが増大するおそれがある。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下のような、壁面用部品の板取り装置と壁面用部品の板取りプログラムと記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、上記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、上記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの上記領域をさらに分割して、上記全ての領域が上記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、上記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、上記施工コストKを求めるコスト計算手段と、上記分割線の位置と、上記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた上記部品数Nと上記原板数Mを、上記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの上記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、1枚または複数枚の上記原板から、上記最適板取りに基づいて、全ての上記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段とを備えたことを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0005】
〈構成2〉
構成1に記載の壁面用部品の板取り装置において、上記試行演算手段は、上記原板上に板取りしたいずれかの部品を分割して、別の原板上に別の部品を板取りした結果生じた残材から、該当する分割した部品を切り出して、部品数Nを増加させる代わりに、必要な原板数Mを減少させることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0006】
〈構成3〉
構成1または2に記載の壁面用部品の板取り装置において、上記建物の対象壁面は、1個又は複数個の開口部を有することを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0007】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、上記建物の対象壁面は直交XY平面上に描かれており、上記対象壁面は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれた多角形をしており、上記壁面分割手段は、上記壁面の輪郭線にX軸にもY軸にも平行でない線分が含まれているとき、その輪郭線に内接または外接する多角形であって、X軸またはY軸に平行な線分のみに囲まれた多角形を対象壁面に設定し、上記対象壁面は、1個又は複数個の開口部を有し、上記1個または複数個の開口部は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれ、上記部品は、X軸に平行な任意の長さの辺とY軸に平行な任意の長さの辺を有する方形をしており、上記原板は、X軸に平行な辺の長さがLxでY軸に平行な辺の長さがLyの方形をしていることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0008】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、上記壁面分割手段は、始めに、開口部の、対象壁面の辺上に無い全ての頂点について、その頂点を通り、かつ、いずれの開口部も横切らないY軸に平行な線分で、対象壁面を複数の方形の領域に分割し、部品形状設定手段は、分割された領域のうち、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyを越える領域を検出し、検出した領域を、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyの領域と、残りのLy以下の領域とに分割し、X軸に平行な二辺が同一直線上に存在する、相互に隣接した二以上の領域を検出し、検出した二以上の領域を分割する線分を全て無効にし、該当する領域の、X軸方向の長さの総和Wxを算出し、X軸方向の長さの総和Wxが原板のX軸方向の長さLxを越えるときは、長さLxの領域と残りの長さLx以下の領域とに再分割し、無効な線分を除外した残りの有効な線分で、対象壁面を分割したとき、4本の線分に囲まれた方形領域を、必要な部品の形状に設定することを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0009】
〈構成6〉
構成1乃至5のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、上記板取手段は、全ての部品について、Y軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けし、Y軸に平行な辺の長さが同一の部品は、X軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けし、Y軸に平行な辺の長さがLyに満たない部品群を、Y軸に平行な辺の長さがLyの原板から切り出すときに、Y軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行し、この演算処理により、Y軸に平行な辺の長さがLyの1枚の原板から切り出す部品の組を得て、各部品の組をY軸に平行な辺とX軸に平行な辺を備えた一つの部品とみなし、各部品の組のY軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のY軸に平行な辺の長さの総和とし、各部品の組のX軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のうちの、X軸に平行な辺の長さが最大の部品の辺の長さとし、上記全ての部品と部品の組のX軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けし、X軸に平行な辺の長さが同一の部品は、Y軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けし、X軸に平行な辺の長さがLxに満たない部品群を、X軸に平行な辺の長さがLxの原板から切り出すときに、X軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行し、この演算処理により、1枚の原板から切り出す部品の組を得て、板取りを決定し、かつ、N枚の全ての部品を切り出すために必要な原板数M枚を得ることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0010】
〈構成7〉
構成1乃至6のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、上記試行演算手段は、全ての原板について、一枚ずつ、その原板に割り付けられた部品の組を切り出した後の残材面積を求め、各残材に内接する方形を求め、面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出して、検出した部品のうちのいずれかが、別の部材の残材に内接する方形に含まれる寸法ならば、該当する原板から切り出す部品の組に、検出した部品を加え、いずれの原板の残材にも、各部品を割り付けることができなくなるまで、演算処理を実行し、上記コスト計算手段は、得られた部材枚数Mを使用して施工コストKの初期解を求めることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0011】
〈構成8〉
構成1乃至7のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、上記試行演算手段は、全ての原板について、その原板から部品の組を切り出した後の残材面積を求め、各残材に内接する方形を求めて、面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出し、検出した部品のうちのいずれかを、別の部材の残材に内接する方形以下の寸法に分割して、該当する原板から切り出す部品の組に、分割した部品を加え、この演算処理を、使用する原板を1枚減少させることができるまで実行し、上記コスト計算手段は、得られた部材枚数Mと部品枚数Nを使用して、施工コストKを求め、上記試行演算手段と上記コスト計算手段が同様の処理を繰り返して得られた施工コストKが、最小値を示すときの上記部品の形状と板取りを求めて、上記試行演算手段が上記プレカットデータ生成手段に渡すことを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【0012】
〈構成9〉
コンピュータを、建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、上記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、上記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの上記領域をさらに分割して、上記全ての領域が上記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、上記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、上記施工コストKを求めるコスト計算手段と、上記分割線の位置と、上記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた上記部品数Nと上記原板数Mを、上記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの上記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、1枚または複数枚の上記原板から、上記最適板取りに基づいて、全ての上記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段として機能させる壁面用部品の板取りプログラム。
【0013】
〈構成10〉
コンピュータを、建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、上記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、上記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの上記領域をさらに分割して、上記全ての領域が上記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、上記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、上記施工コストKを求めるコスト計算手段と、上記分割線の位置と、上記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた上記部品数Nと上記原板数Mを、上記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの上記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、1枚または複数枚の上記原板から、上記最適板取りに基づいて、全ての上記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段として機能させる壁面用部品の板取りプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0014】
〈構成11〉
壁面分割手段が、建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割するステップと、部品形状設定手段が、上記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、上記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの上記領域をさらに分割して、上記全ての領域が上記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定するステップと、板取手段が、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、上記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りするステップと、コスト計算手段が、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、上記施工コストKを求めるステップと、試行演算手段が、上記分割線の位置と、上記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた上記部品数Nと上記原板数Mを、上記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの上記部品の形状と最適板取りを求める 1枚または複数枚の上記原板から、上記最適板取りに基づいて、全ての上記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するステップとを含む壁面用部品の板取り方法。
【0015】
〈構成12〉
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、上記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、上記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの上記領域をさらに分割して、上記全ての領域が上記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、上記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、上記施工コストKを求めるコスト計算手段と、上記分割線の位置と、上記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた上記部品数Nと上記原板数Mを、上記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの上記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、1枚または複数枚の上記原板から、上記最適板取りに基づいて、全ての上記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段と、上記プレカットデータを使用して、上記原板をプレカットするプレカット機構とを備えたことを特徴とするプレカット装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のシステムでは、予め、対象壁面を表示するデータを、設計用のCADデータ等から取得し、必要な部品の形状を演算処理する。その後、一定の寸法の原板に対して壁面用部品の板取り計算をする。部品の形状の選択と部品数の選択を試行によって最適化し、施工コストが最小となる結果を抽出する。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
[システム構成]
図1は実施例1の壁面用部品の板取り装置を示すブロック図である。
壁面用部品の板取り装置10は、図1に示したコンピュータ12により実現する。コンピュータ12は、[記憶データ]の項で説明するデータを処理して、[演算処理]の項で説明する演算処理を実行する。コンピュータ12は、ネットワーク14に接続されている。コンピュータ12は、ネットワーク14を通じて、端末装置16と接続されている。端末装置16にはプレカット装置17が接続されている。コンピュータ12からプレカットデータが端末装置16に送信される。端末装置16は、このプレカットデータでプレカット装置17を制御する。ネットワーク14は、インターネット、イントラネット、その他任意の通信ネットワークにより構成することができる。
【0018】
コンピュータ12は、ディスプレイ2、キーボード4、マウス5といったマンマシンインタフェース用ハードウェアを備えている。ディスプレイ2はコンピュータ12による演算処理結果を出力するための表示出力装置である。表示出力装置には、例えば、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プロジェクタ等が利用できる。キーボード4やマウス5は、コンピュータ12にデータを入力するための入力手段である。コンピュータ12の本体制御部3には、演算処理装置20と記憶装置40が格納されている。コンピュータ12には、コンピュータ12を演算処理装置20に列挙した手段として機能させるコンピュータプログラムがインストールされている。記憶装置40には、壁面用部品の板取り装置を動作させるために必要なデータが記憶される。
【0019】
図2は、コンピュータ12のハードウェアブロック図である。
コンピュータ12の本体制御部3(図1)に収容された内部バス110には、CPU(中央処理装置)111と、ROM(リードオンリメモリ)112と、RAM(ランダムアクセスメモリ)113と、HDD(ハードディスク)114と、入出力インタフェース115と、ネットワークインタフェース116とが接続されている。入出力インタフェース115には、ディスプレイ2とキーボード4とマウス5とが接続されている。ネットワークインタフェース116は、ネットワーク15に接続されている。以上のハードウェアは一般的によく知られたパーソナルコンピュータ等に設けられているものと変わらない。端末装置16のハードウェアも同様であるから、説明を省略する。
【0020】
図1に示した演算処理装置20は、CPU111、ROM112、RAM113等により構成される。図1に示した記憶装置40は、ROM112やRAM113やHDD114により構成される。図1の記憶装置40中に列挙したデータは、主としてHDD114に記憶されて保存される。演算処理中は、状況に応じてRAM113に一時保存される。CPU111が実行するコンピュータプログラムは、ROM112に記憶され、あるいはRAM113に適時ロードされて実行される。なお、プレカット装置17は、原板供給装置120により原材料である原板を供給して、切断装置122がプレカットデータの指示通り原板を部品に切り分ける。部品搬送装置124は、その部品を搬送して梱包処理等の対象にする。
【0021】
[記憶データ]
壁面用部品の板取り装置10の記憶装置40には、対象壁面データ41と部品データ42と分割線データ43と領域データ44と原板データ45と部品の組データ46とプレカットデータ47と残材データ48等のデータが記憶されている。図1を参照しながら、各データの内容と役割と具体例とを説明する。対象壁面データ41は、部品を貼り付ける対象壁面の構造を表すデータである。例えば、建物を設計するCADデータから取得したものである。対象壁面は多角形であって、対象壁面データ41は、例えば、その頂点の座標を示すデータにより構成される。
【0022】
部品データ42は、対象壁面に貼り付ける部品の形状を表すデータである。演算処理中に生成されて演算処理の終了時に内容が確定する。例えば、部品の識別情報と対象壁面上の位置情報と縦横寸法を示すデータ構造をしている。なお、部品は全て長方形か正方形であるものとする。分割線データ43は、対象壁面を部品の形状に分割する線分を表すデータである。例えば、線分の両端座表を示すデータ構造をしている。領域データ44は、対象壁面を分割線で分割したときにできる各領域を表すデータである。領域は全て長方形か正方形である。従って、領域データ44は、例えば、2頂点の座標を示すデータ構造をしている。演算処理中に一時記憶されるデータである。原板データ45は、原板の形状を表すデータである。例えば、原板の縦横寸法を示すデータ構造をしている。
【0023】
部品の組データ46は、部品の組み合わせを表すデータである。例えば、複数の部品の識別情報群を含むデータ構造をしている。板取りのための各部品の向きや位置関係を示す情報も含むとよい。プレカットデータ47は、プレカット装置を制御するための既知のデータである。例えば、原板上の部品の板取り配置や、原板を切断する分割線の位置を示すようなデータ構造をしている。また、切り出した部品に識別コードを印刷するための情報も含められる。残材データ48は、原板から部品を切り出した残りの部分の形状を表すデータである。例えば、多角形の頂点群を含むデータ構造をしている。なお、上記のデータ構造は例示であって、いずれも、同等の情報を表示する内容であればその構成は任意である。
【0024】
[演算処理]
図1に示したように、壁面用部品の板取り装置10は、壁面分割手段21と部品形状設定手段22と板取手段23とコスト計算手段24と試行演算手段25とプレカットデータ生成手段26とデータ入出力手段27とイメージ変換出力手段28とを備えている。具体的に、壁面構成を例示した図3を参照しながら、演算処理装置20における各手段の各機能を説明する。なお、これらの手段は、いずれも、上記の記憶装置40に記憶されたデータを利用して演算処理を実行するためのコンピュータプログラムである。従って、例えば、壁面の分割等の演算処理は、座標値を使用した交点の数値計算が主になる。しかし、それでは演算処理の内容が理解し難いので、以下、図形処理的な表現を用いて説明をする。
【0025】
図3は対象壁面の分割例を示す説明図である。
図3〜図5は、壁面用部品の板取り装置10の具体的な動作を説明するためのもので、後の実施例で再度詳細に説明をするが、ここでは、簡単に、図1に示した各手段の機能説明に使用する。図3の対象壁面52は、この例では2個の開口部54を備えている。例えば、建物の外壁に窓が2個設けられたものである。この窓以外の部分に断熱材を貼り付ける。その断熱材を所定数の原板から切り出す。この断熱材が、板状の部品に相当する。この壁面用部品の板取り装置10を用いて、全ての部品の形状を計算で求める。その結果を使用して原板をプレカットし、建物の建設現場に搬送する。
【0026】
上記の壁面分割手段21は、建物の対象壁面52に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、対象壁面52を分割線58で複数の領域に分割する機能を持つ。部品形状設定手段22は、複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する。それ以外の場合には、いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの領域をさらに分割する。そして、全ての領域を原板から切り出すことができる形状にする。図の例では、(a)でY軸に並行に分割線を引き縦長の領域を生成する。(b)で原板長に合わせて縦長の領域をX軸に平行な線で分割する。(c)で、上半分の4本の分割線58を無効にし、(d)で原板の幅Lxにより再分割する。
【0027】
図4は、部品の板取り計算例を示す説明図である。
上記の壁面分割手段21により、図4の(a)に示すように、分割領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定した。板取手段23は、これらの部品を順番に選択して、原板上に選択した部品を板取りする機能を持つ。例えば、この対象壁面52の右端の上下2個の領域は、いずれも原板62と同一寸法である。だから、そのまま1枚の原板62を割り当てる。一方、開口部54の周辺の領域は、いくつかまとめて1枚の原板から一緒に切り出すことができる。このため、原板62と同一寸法の部品以外は、後で説明する要領で割り付け計算をする。この例では、原板62と同一の長さの部品56等と、短い部品、68,67,69が存在する。短い部品、67,68,69をいくつかずつ組み合わせて部品の組64として一体に取り扱い、効率よく割り付け演算処理を実行する。
【0028】
コスト計算手段24は、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、施工コストKを求める機能を持つ。試行演算手段25は、分割線58の位置と、板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた部品数Nと原板数Mを、コスト計算手段24に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの部品の形状と最適板取りを求める機能を持つ。プレカットデータ生成手段26は、原板から、最適板取りに基づいて、全ての部品をプレカットするためのプレカットデータを生成する機能を持つ。
【0029】
図5は、試行演算処理の動作説明図である。
図の(a)の例では、部品67と68とが部品の組64を構成し、部品69は単独で残されている。後で説明する所定の割り付け演算処理を画一的に自動的に実行すると、このような結果が得られる。そこで、その後の試行演算により、必要な原板数を減らす処理をする。(b)は原板62の形状を示す。(c)では、部品56、67、68を、1枚の原板から切り出すように板取りをした。残りの大きな部品は別の一枚の原板から板取りできる。部品69だけが残った。このとき、残材66が、部品69を切り出すことができる寸法をしていることを検出する。
【0030】
この処理により、部品56、67、68、69を1枚の原板から切り出して、原板使用枚数を減少させるという結論が得られる。一方、例えば、図の(d)に示すように、1枚の原板に最初に部品56,68,69を割り付けてしまったとする。このとき、残りの部品67は、そのままでは、残材65から切り出すことができない。しかし、図のように部品67を破線で2分割すると、残材65から切り出すことができる。即ち、試行演算手段25は、ある原板上に板取りしたいずれかの部品を分割して、別の原板上に板取りする機能を持つ。この結果、部品数Nを増加させる代わりに、必要な原板数Mを減少させることができる。
【0031】
データ入出力手段27は、演算処理の条件を入力し、演算処理結果を表示させるためのウインドウを制御する機能を持つ。対象壁面のデータファイルを指定したり、使用する原板を指定する。具体的には、後で図9を用いて説明する。イメージ変換出力手段28は、壁面の分割結果を図面化してディスプレイ2に表示するように、データをイメージ変換処理する機能を持つ。これにより、例えば、図4(a)や図5(c)に示すとおりの図がディスプレイに表示される。これらの図は処理担当者が確認のために利用する。また、原板の分割イメージ等も表示させることができる。以上で、壁面用部品の板取り装置10の基本構成についての実施例の説明を終える。図6〜8はこの実施例の変形例の説明図であるが、次の実施例2の説明で詳述する。
【実施例2】
【0032】
[対象壁面データ]
図9は、演算処理開始時の条件入力と演算処理結果表示のための画面である。
図のように、始めに、テキストボックス71で、対象壁面のデータファイルを指定する。データファイル名は、参照ボタン72により呼び出すこともできる。これにより、記憶装置40(図1)上に、対象壁面データ41をセットする。建物の対象壁面の設計データは、CADデータ等により構成される。ここから、次のような内容の対象壁面データ41を抽出するとよい。図3に示すように、建物の対象壁面52が、直交XY平面上に描かれている。対象壁面52は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれた多角形をしている。例えば、線Aで一部を切り取られたL字形や凸形の壁面を含めても構わない。
【0033】
図の対象壁面52は、1個又は複数個の開口部54を有する。開口部が無くても構わない。複数個の開口部54は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれた多角形をしている。L字形や凸形の開口も含む。なお、部品を貼り付けるべき壁面の輪郭線に、例えば、線Bで切り取られたX軸にもY軸にも平行でない線分が含まれているときには、計算の都合上、その輪郭線に内接または外接する多角形であって、X軸またはY軸に平行な線分のみに囲まれた多角形を対象壁面52とすればよい。残りの対象壁面に含まれない部分は補足用データとして記憶して、演算処理の最後に該当する部品の形状を元に戻して出力するとよい。また、便宜上、X軸方向を水平方向に、Y軸方向を垂直方法に特定したが、X軸方向とY軸方向とを取り替えても構わない。
【0034】
[演算処理の目的]
対象壁面52の開口部54を除く部分に、板状の複数の部品を隙間無く配列する。このために、該当する対象壁面52を分割線58で分割して、配列する部品の形状を求める。このとき、部品を切り出す原板を、図9の画面で指定する。ドロップダウンリスト73で、必要な部品に応じた原板コードを指定する。原板コードを指定すると、確認のために原板の縦寸法と横寸法がテキストボックス74、75に表示される。ボタン76をクリックすると、演算処理が実行される。終了時はボタン79をクリックする。この演算処理結果を使用して、プレカット工場で、1枚または複数枚の原板を使用して、全ての部品をプレカットする。このとき、最小のコストで原板から部品を切り出すことができる部品の組を選択して、各原板上に選択した部品を板取りする。
【0035】
図9のボタン77をクリックすると、図4の(a)に示すような分割壁面イメージがディスプレイに表示される。また、図9のボタン78をクリックすると、図5の(c)に示すような原板分割イメージがディスプレイに表示される。図4に示したように、部品は、X軸に平行な任意の長さの辺とY軸に平行な任意の長さの辺を有する方形をしている。原板62は、X軸に平行な辺の長さがLxでY軸に平行な辺の長さがLyの方形をしている。対象壁面52に隙間無く配列するために必要な部品の数をN枚とする。N枚の部品を得るために必要な原板数をM枚とする。
【0036】
[コスト計算]
N枚の部品を割り付けることができる最小数の原板数がM枚である。最小数とは、実用計算で求めることができる最小値に十分近いと判断できる解のことで、真の最小値と相違して構わない。最小限必要な原板数は、下式の計算結果よりも小さくない整数の最小値である。これは、下式で計算する。理論的には、原板数をこれ以下にすることはできないので、試行演算処理の際に、繰り返し演算ループから抜けるための目標値に設定できる。
原板数≧(対象壁面の面積−開口部の面積の総和)/原板の面積
【0037】
部品を限りなく小片に分割できれば、この計算式のとおりの原板を使用するという結果になる。しかし、手数と取り扱い易さを考慮して、部品の最小寸法を定める。これにより、実用性を考慮した必要原板数を算出する。原板を切断して部品を壁面に貼り付けるためには、部品の寸法にかかわりなく、一定のコストがかかる。これが、施工単価である。原板の単価が高いときは、原板の残材面積を最小にするようにしてコスト低減を図る。一方、施工単価が高いときは、できるだけ部品数を少なくして、コスト低減を図る。施工コストは下記のように定義する。
[施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価]
【0038】
図9に示すように、演算処理後に、テキストボックス83には原板数、テキストボックス84には原板の単価、テキストボックス85には部品数、テキストボックス86には部品1枚を壁面に貼り付けるための施工単価、テキストボックス87には、トータルコストが表示される。この他に、プレカット制御に必要な部品の形状、貼り付け位置、原板の板取り方法等の情報を含む部品データ42や原板データ45が生成される。これらのデータにより、プレカットデータ47(図1)が生成され、所定のタイミングで、プレカット装置17を制御する端末装置16に送信される。
【0039】
[部品数Nの最小化]
図10〜図11は、対象壁面を分割して必要な部品の形状と数を求めるためのコンピュータプログラムのフローチャートである。
以下、図3〜図9とフローチャートを参照しながら、コンピュータプログラムの動作を説明する。始めに、図3(a)において、開口部54の、対象壁面52の辺上に無い全ての頂点について、その頂点を通り、かつ、いずれの開口部54も横切らないY軸に平行な線分(分割線58)で、対象壁面52を複数の方形の領域に分割する。次に、分割された領域のうち、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyを越える領域を検出する。そして、図3(b)に示すように、検出した領域を、X軸に平行な線分(分割線58)で、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyの領域と、残りのLy以下の領域とに分割する。この処理を壁面分割手段21(図1)が実行する。この例では、上半分も下半分も長さLyである。
【0040】
次に、図3(c)に示すように、X軸に平行な二辺が同一直線上に存在する、相互に隣接した二以上の領域を検出する。上半分の5個横に並んだ領域が該当する。検出した二以上の領域を分割する線分(分割線58)を全て無効にする。そして、該当する領域の、X軸方向の長さの総和Wxを算出する。X軸方向の長さの総和Wxが原板のX軸方向の長さLxを越えるときは、図3(d)に示すように、Y軸に平行な線分で、長さLxの領域と残りの長さLx以下の領域とに再分割する。この処理を、部品形状設定手段22が実行する。無効な線分を除外した残りの有効な線分で、対象壁面を分割したとき、4本の線分に囲まれた方形領域の総数がNである。各方形領域が、必要な部品の形状に該当する。
【0041】
コンピュータプログラムでは、上記の処理を、例えば、次のように実行することができる。図10に示すように、ステップS11で開口部を検出する。この処理は 記憶装置40(図1)に記憶された対象壁面データ41を読みとって行う。その結果、部品データ42や分割線データ43や領域データ44が生成される。ステップS12では、対象壁面の辺上に無い全ての頂点を検出する。ステップS13では、その頂点を通るY軸に並行な線分を描画する。なお、既に説明したように、コンピュータプログラム自身は、描画処理をしながら演算処理をするわけではない。単に座標点や直線の交点の数値演算処理を繰り返すだけでよい。ステップS14では、開口部を横切らないように線分の描画を停止する。ステップS15では、全ての線分を描画したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときは次のステップS16の処理に移行し、ノーのときは最初のステップS11の処理に戻る。
【0042】
ステップS16では、Y軸方向の長さがLyを越える領域を検出する。ステップS17では、Y軸方向がLyの領域とLy以下の領域に分割をする。ステップS18では、X軸に平行な二辺が同一直線上にある領域の検出をする。ステップS19では、その中で相互に隣接した二以上の領域を検出する。ステップS20では、検出した二以上の領域を分割する線分を全て無効にする。ステップS21では、該当する領域の、X軸方向の長さの総和Wxを算出する。ステップS22では、WxがLxを越えるかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS23の処理に移行し、ノーのときはステップS24の処理に移行する。ステップS23では、長さLxの領域と長さLx以下の領域とに再分割をする。ステップS24では、4本の線分に囲まれた方形領域の総数をNとする。ステップS25では、各方形領域を必要な部品の形状とし、部品データ42を生成して、記憶装置(図1)に記憶する。
【0043】
図11は、図10の処理の変形例のフローチャートである。図6〜8はその処理内容を示す説明図である。
これは、同じ対象壁面について、X軸とY軸を入れ替えた場合の演算処理を示す。この場合、切り出される部品形状が異なってくる。しかし、この例では最終的に、図10の処理と同様の結果が得られる。もっと複雑なケースでは、双方の結果が相違することもある。そのときは、良い結果が得られたほうを採用するとよい。図6の(a)に示すように、この例では、予め、いずれの開口部54も横切らないX軸に平行な線分(分割線58)で、対象壁面52を複数の方形の領域に分割している。次に、各領域の、X軸方向の長さの総和Wxを算出する。X軸方向の長さの総和Wxが原板のx軸方向の長さLxを越えるときは、長さLxの領域と残りの長さLx以下の領域とに再分割する。図6(b)はその結果を示す。
【0044】
次に、図6(b)において、Y軸に平行な二辺が同一直線上に存在する、相互に隣接した二以上の領域を検出する。下半分の左右両側に該当する領域がある。検出した二以上の領域を分割する線分を全て無効にする。その結果、図6(c)に示すようになる。次に、各領域の、Y軸方向の長さの総和Wyを算出する。Y軸方向の長さの総和Wyが原板のY軸方向の長さLyを越えるときは、長さLyの領域と残りの長さLy以下の領域とに再分割する。図6(d)にその結果を示す。無効な線分を除外した残りの有効な線分で、対象壁面を分割したとき、4本の線分に囲まれた方形領域の総数がNである。各方形領域が、必要な部品の形状に該当する。
【0045】
図11のフローチャートでは、図10のステップS16〜23に代わる部分のみを示す。ステップS31では、X軸方向の長さがLxを越える領域の検出をする。ステップS32では、X軸方向がLxの領域とLx以下の領域に分割をする。ステップS33では、Y軸に平行な二辺が同一直線上にある領域の検出をする。ステップS34では、その中で相互に隣接した二以上の領域を検出する。ステップS35では、検出した二以上の領域を分割する線分を全て無効にする。ステップS36では、該当する領域の、Y軸方向の長さの総和Wyを算出する。ステップS37では、WyがLyを越えるかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS38の処理に移行し、ノーのときは処理を終了する。ステップS38では、長さLyの領域と長さLy以下の領域とに再分割をする。あとは、上記のステップS24と25の処理を実行する。以上で、上記の説明どおりの処理が完了する。
【0046】
[原板の最小枚数を求める]
上記の演算処理で求めた形状の部品を、原板上に板取りする。このとき、例えば、特許3441420号の装置を利用すれば、原板への部品の割り付け方法と、必要な最小値に近い原板数が取得できる。一方、これとは異なる以下のような方法により演算処理をすることもできる。
【0047】
[第1フェーズ]
図4の(a)に示すとおり、全ての部品は、X軸に平行な辺の長さが、原板のX軸に平行な辺の長さLx以下である。ここで、図4の(b)に示すように、全ての部品について、Y軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けする。
Y軸に平行な辺の長さが同一の部品は、X軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けする。この状態で、Y軸に平行な辺の長さがLyに満たない部品群を、Y軸に平行な辺の長さがLyの原板から切り出すときに、Y軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行する。この演算処理により、Y軸に平行な辺の長さがLyの1枚の原板から切り出す部品の組が得られる。
【0048】
即ち、Y軸に平行な辺の長さのみに着目したとき、部品68と部品67とを繋ぐと、Y軸に平行な合計長がLyになる。従って、Y軸に平行な辺の長さのみに着目すると、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にできる。そこで、部品68と部品67とを部品の組64とする。この部品の組64を、Y軸に平行な辺とX軸に平行な辺を備えた一つの部品とみなす。部品の組64のY軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のY軸に平行な辺の長さの総和とする。この例ではLyである。各部品の組のX軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のうちの、X軸に平行な辺の長さが最大の部品の辺の長さとする。この例では部品67の幅である。なお、この種の割り付け演算処理としては、既知のFFD(First Fit Decreasing)法、シンプレックス法、整数計画法等が知られている。いずれを利用しても構わない。
【0049】
[第2フェーズ]
続いて、全ての部品と部品の組のX軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けする。X軸に平行な辺の長さが同一の部品は、Y軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けする。その結果は、図4の(d)のとおりである。図5の(a)は、第2フェーズの演算処理開始直前の状態である。図5(b)に原板の形状を示した。ここで、X軸に平行な辺の長さがLxに満たない部品群を、X軸に平行な辺の長さがLxの原板から切り出すときに、X軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行する。その結果、図5の(c)に示すように、部品69を除いて、2枚の原板に対して板取りを完了すことができる。この演算処理により、1枚の原板から切り出す部品の組が得られると同時に、N枚の全ての部品を切り出すために必要な原板数M枚が得られる。図5の(c)の状態では、3枚の原板が必要という結果になる。その後、さらに原板数の最小化を図る。
【0050】
[原板数の最小化]
全ての原板について、一枚ずつ、その原板に割り付けられた部品の組を切り出した後の残材面積を求める。図5(c)の例では、残材66と63の面積が求められる。そして、残材の発生する原板が複数あるときは、面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出する。この例では、部品69を切り出す原板の残材63が面積最大である。なお、残材66は長方形であるが、L形や凹凸を持った多角形になることが多い。そのときは、各残材に内接する方形を求めておく。内接する方形が複数存在するときは複数求める。検出した部品のうちのいずれかが、別の部材の残材に内接する方形に含まれる寸法ならば、該当する原板から切り出す部品の組に、検出した部品を加える。
【0051】
即ち、部品69は残材66に含まれる寸法なので、図5(c)の左側の原板に板取りできる。このように、寸法比較は、90度回転した場合も含める。こうして、いずれの原板の残材にも、各部品を割り付けることができなくなったとき、原板数の最小化処理が終了する。図5の(c)の例では、これまで3枚の原板が必要とされていたが、2枚で良いことになった。このようにして、上記のM未満の値が得られれば、最小化処理の効果があった。ここまでの処理を板取手段23が実行する。ここで、施工コストK(0)の初期解を求める。この処理をコスト計算手段24が実行する。
【0052】
図12は第1フェーズ、図13は第2フェーズ、図14は原板数の最小化処理の動作フローチャートである。
図12において、ステップS41で、全ての部品について、Y軸に平行な辺の長さを比較する。ステップS42で、最も長い物が上位になるよう順位付けをする。ステップS43では、Y軸に平行な辺の長さが同一かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS44の処理に移行し、ノーのときはステップS45の処理に移行する。ステップS44では、X軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けする。ステップS45では、Y軸方向に見て歩留まり最小の割り付け演算をする。この場合には、部品または部品の組のうち、最初に最も長いものを割り付けて、Y軸方向の残材長を計算し、その残材長以下の部品をさらに割り付けるといった、既知の割り付け方法を採用する。ステップS46では、長さがLyの1枚の原板から切り出す部品の組を取得する。ステップS47では、各部品の組のY軸に平行な辺の長さを設定する。ステップS48では、各部品の組のX軸に平行な辺の長さを設定する。これで、図4の(b)と(c)の処理が終了する。
【0053】
ステップS51では、部品と部品の組について、X軸に平行な辺の長さを比較する。ステップS52では、最も長い物が上位になるよう順位付けをする。ステップS53では、X軸に平行な辺の長さが同一かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS54の処理に移行し、ノーのときはステップS55の処理に移行する。ステップS54では、Y軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けする。ステップS55では、X軸方向に見て歩留まり最小の割り付け演算をする。ステップS45と同様の処理である。ステップS56では、1枚の原板から切り出す部品の組を取得する。ステップS57では、N枚の全ての部品を切り出すための原板数M枚を取得する。これで、図4(c)の状態まで処理が終了した。
【0054】
ステップS61では、全ての原板について残材面積を求める。ステップS62では、各残材に内接する全ての方形を求める。ステップS63では、面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出する。ステップS64では、別の原板の残材に内接する方形とを寸法比較する。ステップS65で、部品は方形に含まれるかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS66の処理に移行し、ノーのときはステップS67の処理に移行する。ステップS66では、該当する原板から切り出す部品の組にその部品を加える処理をする。ステップS67では、各部品を割り付ける残材はもう無いかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS68の処理に移行し、ノーのときはステップS64の処理に戻る。ステップS68では、原板数M枚を最小値として更新をする。これで、図5(c)に示す演算処理が終了する。ステップS69では、施工コストK(0)の初期解を求める。
【0055】
図6に示した例でも、同様の処理を実行できる。図7の(a)は、部品の形状が求められた後に、対象壁面52と原板62との関係を図示したものである。ここで、6個の部品91〜96を、Y軸方向の長さに着目して左から右に配列する。ここでも、原板と同一形状の部品は除外している。その状態が図7(b)である。この実施例では、Y軸方向の長さとX軸方向の長さとを比較して、常にY軸方向の長さが長くなるように、部品の向きを変更する。これにより、図8の(a)に示すように、部品を再配列する。その後、Y軸方向の長さのみに着目して、割り付け演算処理を実行する。
【0056】
その結果、図8(b)に示すように、部品93と95とで部品の組97を構成し、部品94と96とで部品の組98を構成するという結果を得る。図8の(c)は原板62を示す。この原板のX軸方向の長さのみに着目して、割り付け演算処理を実行する。その結果、図8の(d)に示すように、3枚の原板に対して、それぞれ部品91,部品92,部品の組99を板取りするという結論を得る。部品の組99は、部品93〜96を含む。ここで、上記のように、残材の面積を比較計算し、部品91と部品94〜96を1枚の原板に割り付けることができるという結論を得る。残りの部品93は、このままでは、部品92とともに1枚の原板に対して板取りをすることができない。そこで、これを分割する。即ち、次のようにして原板数を減少させる処理に進む。
【0057】
[原板数を減少させる]
ここでは、いずれかの部品を分割することにより,いずれかの原板の残材に割り付けをする。この処理で原板が減少すれば、原板数分のコストが削減できる。一方、そのつど、部品を分割するから、部品数が増えたことにより施工コストが増大する。従って、上記の演算式によりコスト計算をして、結果を比較して、最適値を求める。即ち、全ての原板について、その原板から部品の組を切り出した後の残材面積を求める。各残材に内接する方形を求める。内接する方形が複数存在するときは複数求める。面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出する。検出した部品のうちのいずれかを、別の部材の残材に内接する方形以下の寸法に分割して、該当する原板から切り出す部品の組に、分割した部品を加える。図5(d)に示した部品67は、その中心を通る破線で2分割する。図8(d)に示した部品93は、2本の破線で3分割する。いずれも、別の部材の残材に全て割り付けできるようになる。この演算処理を、使用する原板を1枚減少させることができるまで実行する。M−1枚の原板を使用して、N枚+R(1)枚の部品を使用するという結果を得て、施工コストK(1)を求める。R(1)は任意の整数で、R(1)<R(2)<R(3)の関係にある。
【0058】
同様の処理を繰り返して、下記の結果を得る。
原材の枚数 部品の枚数 施工コスト
M N K(0)
M−1 N+R(1) K(1)
M−2 N+R(2) K(2)
M−3 N+R(3) K(3)
・・・・ ・・・・ ・・・・
部品の辺の、長さの最小値を設定しておいて、最小値に達したときに演算処理を終了する。実用的に、それ以上小片化すると取り扱いが不便な値を最小値にするとよい。また、あるいは、使用原板数が、下記の演算により理論的な最小値に達したときに演算処理を終了する。
原板数≧(対象壁面の面積−開口部の面積の総和)/原板の面積
【0059】
[計算結果]
上記のK(0)〜K(3)・・・の中で最小値のK()のが得られたとき、例えば、次のデータを出力する。即ち、原板数M、各原板から切り出す部品の識別情報、サイズ(たて、よこ)、部品の数量、原板の切断線(板取図)、部品の識別情報、対象壁面上の各部品の配列位置、部品の識別情報、切断加工機に読み込ませる加工データ(部品の縦横寸法、部品の識別情報)、原板の費用、施工費用等を出力する。また、要求に応じて任意のK()のデータも出力する。なお、上記の演算処理において、原板を部品に分割するための刃物の厚みは考慮していないが、実際には、所定の幅を考慮する。
【0060】
図15は、原板数を減少させる演算処理の動作フローチャートである。
まず、ステップS71で、原板から部品の組を切り出した後の残材面積を求める。ステップS72では、全ての部品の残材に内接する方形を求める。ステップS73では、面積が最大の残材が発生する原板を検出する。ステップS74では、この原板から切り出す部品を検出する。ステップS75では、検出した部品を分割して別の部材の残材に割り付ける。ステップS76では、該当する原板から切り出す部品の組に分割した部品を加える。ステップS77では、使用する原板が1枚減少したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS78の処理に移行し、ノーのときはステップS74の処理に移行する。ステップS78では、原板数を取得する。ステップS79では、部品総数を得する。ステップS80では、施工コストKの演算処理をする。上記の説明では、建物の壁面に貼り付けられる断熱材を例にして説明したが、原板の寸法が決まっていて、ある程度分割をして使用して良いような部品の板取りに、本発明を広く利用できる。
【0061】
[端末との通信]
上記の演算処理の出力は、図1に示したネットワーク14を通じてプレカット装置17を制御する端末装置16に送信する。また、必要に応じて、コンピュータ12の記憶装置40に記憶しておく。
【0062】
なお、上記のコンピュータの演算処理装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてしまってもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムの一部に組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の壁面用部品の板取り装置を示すブロック図である。
【図2】コンピュータのハードウェアブロック図である。
【図3】対象壁面の分割例を示す説明図である。
【図4】部品の板取り計算例を示す説明図である。
【図5】試行演算処理の動作説明図である。
【図6】対象壁面の分割例を示す説明図である。
【図7】部品の板取り計算例を示す説明図である。
【図8】試行演算処理の動作説明図である。
【図9】入出力操作画面の説明図である。
【図10】対象壁面を分割して必要な部品の形状と数を求めるコンピュータプログラムのフローチャートである。
【図11】図10の変形例のフローチャートである。
【図12】第1フェーズの動作フローチャートである。
【図13】第2フェーズの動作フローチャートである。
【図14】原板数の最小化処理の動作フローチャートである。
【図15】原板数を減少させる演算処理の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
2 ディスプレイ
3 本体制御部
4 キーボード
5 マウス
10 壁面用部品の板取り装置
12 コンピュータ
14 ネットワーク
16 端末装置
17 プレカット装置
20 演算処理装置
21 壁面分割手段
22 部品形状設定手段
23 板取手段
24 コスト計算手段
25 試行演算手段
26 プレカットデータ生成手段
27 データ入出力手段
28 イメージ変換出力手段
40 記憶装置
41 対象壁面データ
42 部品データ
43 分割線データ
44 領域データ
45 原板データ
46 部品の組データ
47 プレカットデータ
48 残材データ
52 対象壁面
54 開口部
56 部品
58 分割線
60 領域
62 原板
64、97〜99 部品の組
63,65,66 残材
71、73〜75、83〜87 テキストボックス
72、76〜79 ボタン
91〜96 部品
110 内部バス
111 CPU
112 ROM
113 RAM
114 HDD
115 入出力インタフェース
116 ネットワークインタフェース
120 原板供給装置
122 切断装置
124 部品搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、
前記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、前記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、前記全ての領域が前記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、
一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、前記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、
N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、前記施工コストKを求めるコスト計算手段と、
前記分割線の位置と、前記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた前記部品数Nと前記原板数Mを、前記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの前記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、
1枚または複数枚の前記原板から、前記最適板取りに基づいて、全ての前記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段とを備えたことを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記試行演算手段は、前記原板上に板取りしたいずれかの部品を分割して、別の原板上に別の部品を板取りした結果生じた残材から、該当する分割した部品を切り出して、部品数Nを増加させる代わりに、必要な原板数Mを減少させることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記建物の対象壁面は、1個又は複数個の開口部を有することを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記建物の対象壁面は直交XY平面上に描かれており、前記対象壁面は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれた多角形をしており、
前記壁面分割手段は、前記壁面の輪郭線にX軸にもY軸にも平行でない線分が含まれているとき、その輪郭線に内接または外接する多角形であって、X軸またはY軸に平行な線分のみに囲まれた多角形を対象壁面に設定し、
前記対象壁面は、1個又は複数個の開口部を有し、前記1個または複数個の開口部は、X軸に平行な任意の数の線分とY軸に平行な任意の数の線分で囲まれ、
前記部品は、X軸に平行な任意の長さの辺とY軸に平行な任意の長さの辺を有する方形をしており、前記原板は、X軸に平行な辺の長さがLxでY軸に平行な辺の長さがLyの方形をしていることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記壁面分割手段は、
始めに、開口部の、対象壁面の辺上に無い全ての頂点について、その頂点を通り、かつ、いずれの開口部も横切らないY軸に平行な線分で、対象壁面を複数の方形の領域に分割し、
部品形状設定手段は、
分割された領域のうち、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyを越える領域を検出し、
検出した領域を、Y軸方向の長さが原板のY軸方向の長さLyの領域と、残りのLy以下の領域とに分割し、
X軸に平行な二辺が同一直線上に存在する、相互に隣接した二以上の領域を検出し、
検出した二以上の領域を分割する線分を全て無効にし、
該当する領域の、X軸方向の長さの総和Wxを算出し、
X軸方向の長さの総和Wxが原板のX軸方向の長さLxを越えるときは、長さLxの領域と残りの長さLx以下の領域とに再分割し、
無効な線分を除外した残りの有効な線分で、対象壁面を分割したとき、4本の線分に囲まれた方形領域を、必要な部品の形状に設定することを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記板取手段は、
全ての部品について、Y軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けし、
Y軸に平行な辺の長さが同一の部品は、X軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けし、
Y軸に平行な辺の長さがLyに満たない部品群を、Y軸に平行な辺の長さがLyの原板から切り出すときに、Y軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行し、
この演算処理により、Y軸に平行な辺の長さがLyの1枚の原板から切り出す部品の組を得て、
各部品の組をY軸に平行な辺とX軸に平行な辺を備えた一つの部品とみなし、
各部品の組のY軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のY軸に平行な辺の長さの総和とし、
各部品の組のX軸に平行な辺の長さは、部品の組に含まれる部品のうちの、X軸に平行な辺の長さが最大の部品の辺の長さとし、
前記全ての部品と部品の組のX軸に平行な辺の長さを比較して、最も長い物が上位になるように順位付けし、
X軸に平行な辺の長さが同一の部品は、Y軸に平行な辺の長さが長いものを上位に順位付けし、
X軸に平行な辺の長さがLxに満たない部品群を、X軸に平行な辺の長さがLxの原板から切り出すときに、X軸に平行な辺の長さのみに着目して、原板から切り落とされて無駄になる残材を最小にするための、割り付け演算処理を実行し、
この演算処理により、1枚の原板から切り出す部品の組を得て、板取りを決定し、かつ、N枚の全ての部品を切り出すために必要な原板数M枚を得ることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記試行演算手段は、
全ての原板について、一枚ずつ、その原板に割り付けられた部品の組を切り出した後の残材面積を求め、各残材に内接する方形を求め、
面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出して、検出した部品のうちのいずれかが、別の部材の残材に内接する方形に含まれる寸法ならば、該当する原板から切り出す部品の組に、検出した部品を加え、いずれの原板の残材にも、各部品を割り付けることができなくなるまで、演算処理を実行し、
前記コスト計算手段は、得られた部材枚数Mを使用して施工コストKの初期解を求めることを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の壁面用部品の板取り装置において、
前記試行演算手段は、
全ての原板について、その原板から部品の組を切り出した後の残材面積を求め、
各残材に内接する方形を求めて、面積が最大の残材が発生する原板から切り出す部品を検出し、
検出した部品のうちのいずれかを、別の部材の残材に内接する方形以下の寸法に分割して、該当する原板から切り出す部品の組に、分割した部品を加え、
この演算処理を、使用する原板を1枚減少させることができるまで実行し、
前記コスト計算手段は、得られた部材枚数Mと部品枚数Nを使用して、施工コストKを求め、
前記試行演算手段と前記コスト計算手段が同様の処理を繰り返して得られた施工コストKが、最小値を示すときの前記部品の形状と板取りを求めて、前記試行演算手段が前記プレカットデータ生成手段に渡すことを特徴とする壁面用部品の板取り装置。
【請求項9】
コンピュータを、
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、
前記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、前記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、前記全ての領域が前記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、
一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、前記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、
N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、前記施工コストKを求めるコスト計算手段と、
前記分割線の位置と、前記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた前記部品数Nと前記原板数Mを、前記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの前記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、
1枚または複数枚の前記原板から、前記最適板取りに基づいて、全ての前記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段として機能させる壁面用部品の板取りプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、
前記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、前記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、前記全ての領域が前記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、
一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、前記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、
N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、前記施工コストKを求めるコスト計算手段と、
前記分割線の位置と、前記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた前記部品数Nと前記原板数Mを、前記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの前記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、
1枚または複数枚の前記原板から、前記最適板取りに基づいて、全ての前記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段として機能させる壁面用部品の板取りプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
壁面分割手段が、建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割するステップと、
部品形状設定手段が、前記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、前記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、前記全ての領域が前記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定するステップと、
板取手段が、一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、前記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りするステップと、
コスト計算手段が、N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、前記施工コストKを求めるステップと、
試行演算手段が、前記分割線の位置と、前記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた前記部品数Nと前記原板数Mを、前記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの前記部品の形状と最適板取りを求める 1枚または複数枚の前記原板から、前記最適板取りに基づいて、全ての前記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するステップとを含む壁面用部品の板取り方法。
【請求項12】
建物の対象壁面に、板状の複数の部品を隙間無く配列するために、該当する対象壁面を分割線で複数の領域に分割する壁面分割手段と、
前記複数の領域が、いずれも一定の寸法の原板から切り出すことができる形状である場合には、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定し、それ以外の場合には、前記いずれかの分割線を無効にし、もしくは、いずれかの前記領域をさらに分割して、前記全ての領域が前記原板から切り出すことができる形状にし、それらの領域の形状をそれぞれ部品の形状に設定する部品形状設定手段と、
一枚の原板から切り出すことができる部品または部品の組を、前記部品の中から順番に選択して、各原板上に選択した部品を板取りする板取手段と、
N枚の部品を切り出すために必要な原板数をM枚としたとき、(施工コストK=原板数M×原板の単価+部品数N×施工単価)とする演算処理を実行して、前記施工コストKを求めるコスト計算手段と、
前記分割線の位置と、前記板取りの組み合わせを変更して、その結果得られた前記部品数Nと前記原板数Mを、前記コスト計算手段に渡して、求められた施工コストKが最小値を示すときの前記部品の形状と最適板取りを求める試行演算手段と、
1枚または複数枚の前記原板から、前記最適板取りに基づいて、全ての前記部品をプレカットするためのプレカットデータを生成するプレカットデータ生成手段と、
前記プレカットデータを使用して、前記原板をプレカットするプレカット機構とを備えたことを特徴とするプレカット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−252084(P2009−252084A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101449(P2008−101449)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(501355931)株式会社トーア (12)
【Fターム(参考)】