説明

壁面緑被方法及び壁面緑被装置

【課題】建物等の壁面を下垂性蔓植物で緑被する技術において、強風を受けても風に揺さぶられることがなく、葉や茎が綺麗な状態で整然とした下垂状態を維持することができ、例えば高層ビルのように縦に長い壁面であっても、所望の高さに緑被することができ、さらに植栽当初における下垂性蔓植物の長さに応じて、計画的に壁面の所望面積又は全面を緑被することができるようにした壁面緑被方法及び壁面緑被装置を提供する。
【解決手段】壁面2の所望箇所に固定した支柱3に容器6を固定すると共に、該容器6の下方に仕切棒7bを有する規制網7を設け、容器6に植栽した下垂性蔓植物5を壁面2と規制網7との間に挿通すると共に仕切棒7b及び規制網7の所望箇所に固定する仕切部材24bで仕切った状態にすることにより、壁面2を下垂性蔓植物5で緑被する所望箇所及び所望面積に応じて支柱3及び容器6の個数、規模又は取付け箇所を計画するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の壁面を下垂性蔓植物で緑化するようにした壁面緑被方法及び壁面緑被装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物等の壁面緑化の方法としては、種々のものが開発されているが、建物の壁面を下垂性蔓植物で緑被することによって、都市部における建物の照り返しを防止して温暖化現象を緩和すると共に、景観を向上するようにした壁面緑被に関する技術が開発されている。
【0003】
上記のように下垂性蔓植物を用いて建物の壁面を緑被する従来の方法として、一般的なものは、壁の上方の平坦部に植栽容器を設置し、該植栽容器から伸張する下垂性蔓植物をそのまま壁面に下垂させて緑被するものであった。
【0004】
ところで、下垂性蔓植物は、壁面にほとんど付着せずに垂れ下がった状態で伸張するため、強風が吹くと、風に繰り返し揺さぶられ、壁に擦られたり、互いに擦りあって葉や茎がちぎれ、また整然とした下垂状態が乱されて、その修復が容易ではないという問題があった。
【0005】
このような問題を解消する従来技術として、特許文献1に記載された「下垂型壁面緑化システム」は、図12に示すように、構造物50の屋上に収納ポット52が配置されると共に、揺れ止め材55を備えた補助資材53が壁面50aに固定手段54を介して固定され、収納ポット52に植裁された蔓性植物57が、補助資材53と揺れ止め材55との間に挟み込まれた状態で下垂して伸長することにより壁面50aを緑化するようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−27562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献1の装置においては、蔓性植物が植栽された収納ポットが構造物の屋上に配置されるものであるため、屋上に収納ポットを設置するスペースが必要であること、建造物の壁面が縦に長い場合、屋上に配置された収納ポットから蔓性植物が生育してその壁面を覆うまで伸張するには長期間を要すること、また高層ビルのように高い建物であって、建物の途中に収納ポットの設置場所がない場合、高い位置の壁面しか緑被できないこと等の欠点がある。
【0007】
また、建造物の壁面が縦に長い場合、その壁面全体を覆うほど生育した蔓性植物を用意するにはコストが高くなり、逆に短尺の蔓性植物を植えて、その成長を待つ場合、植栽当初から長期間、壁面に緑被されない箇所が多く残り、見映えが悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、建物等の壁面を下垂性蔓植物で緑被する技術において、強風を受けても風に揺さぶられることがなく、葉や茎が綺麗な状態で整然とした下垂状態を維持することができ、例えば高層ビルのように縦に長い壁面であっても、屋上からだけではなく、所望の高さに緑被することができ、さらに植栽当初における下垂性蔓植物の長さに応じて、計画的に壁面の所望面積又は全面を緑被することができるようにした壁面緑被方法及び壁面緑被装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の壁面緑被方法は、壁面の所望箇所に固定した支柱に容器を固定すると共に、該容器の下方に仕切棒を有する規制網を設け、前記容器に植栽した下垂性蔓植物を前記壁面と前記規制網との間に挿通すると共に前記仕切棒及び前記規制網の所望箇所に固定する仕切部材で仕切ることにより、壁面を下垂性蔓植物で緑被する所望箇所及び所望面積に応じて前記支柱及び前記容器の個数、規模又は取付け箇所を計画するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2の壁面緑被方法は、請求項1において、前記規制網の下方を前記支柱の所定箇所に支承した部位を支点として開閉自在とし、前記規制網を開いた状態で前記容器に植栽した下垂性蔓植物の下垂状態を修正した後に該規制網を閉じて、該規制網の上方を前記支柱に取り付けられた容器の設置台に固定するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3の壁面緑被装置は、壁面の所望箇所又は全面を計画的に下垂性蔓植物で緑被する壁面緑被装置であって、壁面の所望箇所に長尺の支柱を縦状にして間隔をあけて固定すると共に、夫々の支柱の所定箇所に設置台を上下動可能に固定し、夫々の設置台に下垂性蔓植物を植栽する容器を固定すると共に、前記夫々の設置台に前記容器の下方側の壁面に設ける仕切棒を備えると共に、所望箇所に仕切部材が固定できる規制網を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4の壁面緑被装置は、請求項3において、前記規制網はその両側の上部延長棒に形成された折曲部を前記設置台に設けられた穴部に挿通して支持され、該規制網の下部は各支柱に固定された網押えボルトを介して網押え板により固定されるようにし、前記規制網の上方に設けられた容器に植栽された下垂性蔓植物を前記規制網と壁面との間に挿入した状態で生育させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5の壁面緑被装置は、請求項3において、前記規制網の両側に形成された下部延長棒を前記支柱の所定箇所に固定した受け部材の支承穴に支承することにより開閉自在にし、該規制網の両側の上部延長棒を壁面側に略直角に折曲すると共にその端部を上方へ折曲してなる係止部を前記設置台に係止した状態にして該係止部を挟み金具で押さえてボルトで固定するようにし、前記規制網を手前に倒した状態にしてから前記規制網の上方の容器に植栽された下垂性蔓植物を下垂させた状態で前記規制網を閉じて固定するようにしたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の請求項6の壁面緑被装置は、請求項3、4又は5において、前記規制網の所望箇所に1本又は複数の仕切棒を備えた仕切部材を固定するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成された本発明の壁面緑被方法及び壁面緑被装置により、壁面を緑被する所望箇所及び所望面積に応じて支柱及び容器の個数、規模又は固定箇所を計画することにより、例えば高層ビルのように縦に長い壁面であっても、屋上からだけではなく、所望の高さに緑被することができ、壁面の所望箇所又は全面を計画的に下垂性蔓植物で緑被する壁面緑被として施工することが可能となる。
【0016】
また、本発明による仕切棒を備えると共に、所望の箇所に仕切部材が固定できる規制網により、容器から垂れ下がった状態で植栽された下垂性蔓植物が強風を受けても揺さぶられることがなく、葉や茎が綺麗な状態で、また整然とした下垂状態で生育させることが可能となる。
【0017】
さらに、本発明においては、支柱に対する設置台の上下における間隔を自由に調整することができるため、植栽当初の下垂性蔓植物の長さや、植栽当初からどのくらいの密集状態で壁面を緑被するのか、又は施工コスト等の要望に応じて、計画的に建物等の壁面を緑被することが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、規制網の下方を支柱の所定箇所に固定した受け部材に対して開閉自在に支承することにより、この規制網を開いた状態で、容器に植栽した下垂性蔓植物の下垂状態を修正した後に規制網を閉じて、該規制網の上方を支柱に固定した容器の設置台に係止して固定することが可能であり、規制網を完全に取り外さなくても、容器に植栽した下垂性蔓植物の手入れや管理等の作業を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明による壁面緑被装置1は、壁面2の所望箇所又は全面を計画的に下垂性蔓植物5で緑被することができる壁面緑被装置であって、図1に示すように、壁面2の所望箇所に長尺の支柱3、3…を縦状にして横方向に間隔をあけて固定すると共に、夫々の支柱3の所定箇所に設置台4を上下動可能に固定し、夫々の設置台4に下垂性蔓植物5を植栽する容器6を固定すると共に、夫々の設置台4に容器6の下方側の壁面2に設ける規制網7を取り付けるようにしたものである。
【0021】
上記の構成について、より詳細に述べると、長尺の支柱3は、断面形状を図4に示すように、前面側に縦状に隙間8をあけた断面矩形の長尺部材から成り、図3に示すように背面に間隔をあけてボルト穴9が形成され、このボルト穴9にアンカーボルト10を挿通して壁面2に螺入することによって固定する。なお、この支柱3を取付ける横方向の間隔は、互いに隣接する支柱3と支柱3との間に容器6の全長を収納し得る長さとする。
【0022】
また、設置台4は、図1に示すように短尺のアングル材が使用され、図4に示すように、片側面の中央にボルト穴11が形成され、このボルト穴11にボルト12を挿通すると共に、該ボルト12を上記の支柱3の隙間8に挿通し、支柱3の内部に入れた受け座金13のボルト孔に挿通してナット14で締めることにより支柱3の所望位置に固定することができる。このような設置台4は、図5に示すように壁面2に並設固定した支柱3において上下に同様の間隔をあけた所定高さに固定することによって、後述するように、容器6の片側ずつを支持するための設置台4とし、また後述する規制網7の取付け具とすることができる。
【0023】
さらに、図4に示すように、上記の設置台4の他の片側面には、左右の端部付近に離れて横方向に長い長穴15、15が形成され、これらの長穴15、15の間には横方向に離間して2個の丸穴16、16が形成されている。夫々の丸穴16は、後述するように規制網7の折曲部17を上方から挿通して掛止するためのものである。
【0024】
また、容器6は、図1に示すように、底部の中央の長手方向に沿って底上げした凸部6aが形成されると共に凸部6aには水抜き穴6bが形成され、その前後には窪み部6c、6cが形成されている。このような容器6においては、上方に付設された潅水パイプ(後述する)から排出された水を容器6内の土壌に供給するのであるが、容器6内の土壌の水はけを良くするために凸部6aと水抜き穴6bを設け、さらに前後の窪み部6c、6cに土壌中の水分を貯留して保水性を確保することができる。
【0025】
また、容器6の凸部6aの両端付近にはボルト18、18が下方を向けて固定されている。このような構成により、図1及び図2に示すように、容器6のボルト18を設置台4の片側の長穴15に挿通して、下方からナット20で締結することにより、設置台4の上に容器6を固定することができる。
【0026】
また、本実施例において、規制網7は、図1に示すように、網目部7aを細径棒によって四角形の網目状に形成したほか、特に網目の形状に限定されるものではないが、この規制網7の上部においては、壁面側に折曲した所定長さを有する多数の仕切棒7b、7b…が間隔をあけて設けられている。
【0027】
さらに、規制網7の両側上部においては、上部延長棒7c、7cが延長され、網目部7aから多少の間隔をあけた部位で壁面側に屈曲し、さらに下方に屈曲してなる折曲部17、17が形成され、夫々の折曲部17を上記の設置台4の片側の丸穴16に上方から挿通して掛止することにより、規制網7を設置台4に取り付けることが可能とされている。
【0028】
上記の構成において、上記の規制網7は壁面2から離間した位置に取り付けられるが、この離間幅と同様の離間幅を有するように、規制網7の下方は網押え板21によって固定される。即ち、図1又は図2に示すように、噛合せ金具22によって支柱3に上下動可能に締結された網押えボルト23を水平に突出させ該網押えボルト23の頭部に係止した網押え板21を規制網7の片側に係止することによって、規制網7の下方部を壁面2から所定間隔だけ離間した状態で固定する。
【0029】
さらに、本実施例においては、規制網7の所望箇所に1本又は複数の仕切棒24a、24a…を備えた仕切部材24を固定することができる。この仕切部材24は、上記の規制網7と同様の幅を有するもの(24A)、またそれよりも狭い幅を有するもの(24B)、左右に仕切棒24a、24aを形成して1つの仕切空間を形成しただけもの(24C)、さらには仕切棒24aを1本だけ設けたもの(24D)等がある。いずれにしても、1本又は複数の仕切棒24a、24a…を有すると共に、左右上方に延長された係止棒24b、24bを備えている。そして、必要に応じて、仕切部材24の仕切棒24aを、規制網7の任意位置に引っかけた状態にして、規制網7の適当箇所に番線等によって固定することにより、規制網7の上部の仕切棒7b以外にも、任意の位置に1本又は複数の仕切棒24aを設けることが可能となる。
【0030】
上記のように構成された壁面緑被装置を使用した施工方法としては、図3(a)、(b)に示すように、建物等の壁面2の所望箇所に所定間隔(容器6の略全長程度)をあけて支柱3をアンカーボルト10で固定する。支柱3の使用本数は、緑被面積に応じて割り出すことができる。次いで、図5に示すように、支柱3に対する所望高さに設置台4をボルトの締め付けにより固定する。このとき、緑被面積に応じて、支柱3の上下位置に複数の設置台4を設ける。
【0031】
さらに、支柱3に対する設置台4の上下における間隔は、容器6に植栽する下垂性蔓植物5の長さにもよるものであり、またそのような下垂性蔓植物5を植栽当初から壁面2に隙間なく緑被するか、コストの面から多少の隙間が生じるのを前提として緑被するか等の計画によって異なるものである。
【0032】
ついで、図2に示すように、上記のように支柱3に固定された設置台4の上部に容器6の片側を載置すると共に、容器6の底部に固定したボルト18を設置台4の片側の長穴15(図1参照)に挿通してナット20で締結することによって容器6を固定する。このように、1個の設置台4に対して、その左右に容器6、6の片側ずつを載置してボルト18で固定する作業を行うことによって必要数の容器6を取り付ける。
【0033】
また、規制網7の片側ずつの上部の折曲部17を設置台4の片側の丸穴16に上方から挿通して掛止することにより取り付け、各支柱3に対して網押え板21を規制網7の両側
の棒部に引っ掛けた状態で、網押えボルト23の締め付けによって固定する。
【0034】
このように取り付けた規制網7の上方には容器6との間に空間があり、図2に示すように、容器6に下垂性蔓植物5の根部5aを収納して、各下垂性蔓植物5の茎部を、図6(c)に示すように、規制網7と壁面2との間に挿入する。
【0035】
ところで、何らかの規制手段をとらずに成長させた下垂性蔓植物5は、第7図(a)、(b)、(c)に示すように、非常に入り乱れている時期があり、これを正面から規制網で押さえただけでは、将来的に整然とした下垂状態に成長させることが難しく、見映えのする緑被状態を得るのは困難である。
【0036】
このため、図6(a)、(b)、(c)における規制網7の取付け時に入り乱れている茎部を先ず仕切棒7b、7bの間にそれぞれ均一に挿入してから、なお方向性の一様ではない茎部を強制するため、規制網7の必要箇所に仕切部材24を結束して茎部の偏りを取り除き、成長する方向性を規制する。ここで使用する仕切部材24は茎部の偏りに合わせて、仕切棒1本のものから複数本のものまで適切なものを選択して使用することができる。また、これらの仕切部材24は規制網7のどの部分にも取り付けることができる。
【0037】
かくして、容器6から伸びた下垂性蔓植物5の茎は規制網7で正面から押さえられ、規制網7の上方に設けられた仕切棒7bと、その下方において、1本又は複数の仕切棒24aを有する仕切部材24でそれぞれの下垂状態が整えられることにより、蔓植物5の成長する方向性が規制されると共に、強風を受けても容易に揺さぶられることがない安定した植栽状態となる。
【0038】
また、上記の構成において、図6又は図7に示すように、各容器6、6…の上方に沿って潅水パイプ25を設けることができる。この潅水パイプ25は、容器6の側方に沿って縦方向に設けられた本幹26から各容器6の上方に沿わせる必要長の枝管27を設けてあり、枝管27の先端部は閉塞し、また枝管27には多数の排水穴(不図示)が設けられている。このような構成により、潅水パイプ25の本幹26を経て供給された水分を各枝管27、27…を経て各容器6の土壌に補給することができる。
【実施例2】
【0039】
本実施例の壁面緑被装置は、実施例1の規制網7を開閉自在にして固定可能としたものである。図8(a)に示すように、実施例1の壁面緑被装置1における容器6に植栽された下垂性蔓植物5が壁面2と規制網7とに挟まれた状態で生育すると、図8(b)に示すように、容器6と規制網7の上部との間の下垂性蔓植物5が外方へ膨らむように成長したり、仕切棒(7b、24a)のない箇所においては、規制網7の内方で横方向にずれたりするため、これを整然とした下垂状態に修正する必要がある。このような作業に対処して、図8(c)に示すように、規制網7を壁面2から前方へ倒伏するように開閉自在とすることによって、上記の作業を容易に行うことができる。
【0040】
本実施例の壁面緑被装置の構造において、支柱2及び容器6は実施例1と同様のものを使用し、本実施例の規制網7’は、実施例1と同様に前面に網目部7aを有するものである。また、規制網7’の上部には、実施例1と同様に、壁面側に折曲した所定長さを有する多数の仕切棒7b、7b…が間隔をあけて設けられている。また、図10に示すように、規制網7’の両側に形成された下部延長棒7dを壁面2側に折曲して再び下方へ延長させた形状とする一方、支柱3の所定箇所に受け部材32を上下動自在に固定するようにしている。
【0041】
この受け部材32は、支柱3の前面に縦状に設けられた隙間8の内部に受け座金32aを上下動自在に挟み込み、受け部材32の中心に形成した穴部32bにボルト33を挿通して、該受け座金32aの背面に固着されたナット34に締結することにより、受け部材32を支柱3の所定高さに固定するようにしたものである。
【0042】
また、この受け部材32には、前方へ向けて折曲された支承片32cが設けられ、該支承片32cの中央には規制網7’の下部延長棒7dよりもやや大径の支承穴32dが形成されている。この受け部材32の支承穴32dに上記の規制網7’の両側に形成された各下部延長棒7dを挿通することにより、この支承部位を支点として、規制網7’を前側に倒したり、壁面側2へ復帰したりすることができる。
【0043】
また、図11に示すように、規制網7’の両側の上部延長棒7cを壁面2側に略直角に折曲すると共にその端部を上方へ折曲してなる係止部7eを支柱3に固定した設置台4に係止した状態にして該係止部7eを挟み金具35で押さえてボルト36とナット37で締結するようにしている。なお、このような実施例2の設置台4においては、実施例1の設置台4と同様に左右に長穴15、15が形成されているが、その中央に1個の丸穴16が形成され、この丸穴16に上記のボルト36を挿通して、その下方にてナット37で締結するようにしている。
【0044】
このような構成によって、図8(c)又は図9に示すように、規制網7’を手前に倒した状態にしてから規制網7’の上方の容器6に植栽された下垂性蔓植物5を整然とした下垂状態に修正し、規制網7’を閉じて固定することにより、下垂性蔓植物5を壁面2と規制網7’の間に挟んだ状態にすることができる。
【0045】
なお、この実施例2においても、実施例1と同様に、様々な本数の仕切棒24aを有する仕切部材24を設け、実施例1と同様の方法により、規制網7’に取り付けることができる。さらに、本実施例において、潅水パイプ25を設けることも、実施例1と同様の構成で実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の壁面緑被方法及び壁面緑被装置は、壁面を緑被する所望箇所及び面積に応じて支柱及び容器の規模及び固定箇所を計画することにより、強風を受ける環境下においても、壁面の所望箇所又は全面を計画的に下垂性蔓植物で緑被する壁面緑被として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1に係る壁面緑被装置に使用される部材の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る壁面緑被装置を壁面に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】(a)は本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の支柱を壁面に取り付ける作業及び状態を示す上面図であり、(b)はその正面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の支柱に設置台を取り付けた状態を示す上面図である。
【図5】(a)は本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の支柱に設置台を取り付けた状態を示す正面図であり、(b)はその側面図である。
【図6】(a)は本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の容器に下垂性蔓植物を植栽した状態であって、規制網を取り付けた状況を示す上面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその側面図である。
【図7】(a)は本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の容器に下垂性蔓植物を植栽した状態であって、規制網を取り付ける前の状況を示す上面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその側面図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の実施例1に係る壁面緑被装置の側面図であり、(c)は本発明の実施例2に係る壁面緑被装置の側面図である。
【図9】本発明の実施例2に係る壁面緑被装置を示す側面図である。
【図10】本発明の実施例2に係る壁面緑被装置の規制網の下方の支承構造を示す斜視図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明の実施例2に係る壁面緑被装置の規制網の上方の係止構造を示す斜視図である。
【図12】特許文献1の構造を使用した壁面の緑被状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 壁面緑被装置
2 壁面
3 支柱
4 設置台
5 下垂性蔓植物
5a 根部
6 容器
6a 貫通孔
7、7’規制網
7a 網目部
7b 仕切棒
7c 上部延長棒
7d 下部延長棒
7e 係止部
8 隙間
9 ボルト穴
10 アンカーボルト
11 ボルト穴
12 ボルト
13 受け座金
13a 丸穴
14 ナット
15 長穴
16 丸穴
17 折曲部
18 ボルト
20 ナット
21 網押え板
22 噛合せ金具
23 網押えボルト
24 仕切部材
24a 仕切棒
25 潅水パイプ
26 本幹
27 枝管
32 受け部材
32a 受け座金
32b 穴部
32c 支承片
32d 支承穴
33 ボルト
35 挟み金具
34 ナット
36 ボルト
37 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面の所望箇所に固定した支柱に容器を固定すると共に、該容器の下方に仕切棒を有する規制網を設け、前記容器に植栽した下垂性蔓植物を前記壁面と前記規制網との間に挿通すると共に前記仕切棒及び前記規制網の所望箇所に固定する仕切部材で仕切ることにより、壁面を下垂性蔓植物で緑被する所望箇所及び所望面積に応じて前記支柱及び前記容器の個数、規模又は取付け箇所を計画するようにしたことを特徴とする壁面緑被方法。
【請求項2】
前記規制網の下方を前記支柱の所定箇所に支承した部位を支点として開閉自在とし、前記規制網を開いた状態で前記容器に植栽した下垂性蔓植物の下垂状態を修正した後に該規制網を閉じて、該規制網の上方を前記支柱に取り付けられた容器の設置台に固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の壁面緑被方法。
【請求項3】
壁面の所望箇所又は全面を計画的に下垂性蔓植物で緑被する壁面緑被装置であって、壁面の所望箇所に長尺の支柱を縦状にして間隔をあけて固定すると共に、夫々の支柱の所定箇所に設置台を上下動可能に固定し、夫々の設置台に下垂性蔓植物を植栽する容器を固定すると共に、前記夫々の設置台に前記容器の下方側の壁面に設ける仕切棒を備えると共に、所望箇所に仕切部材が固定できる規制網を取り付けるようにしたことを特徴とする壁面緑被装置。
【請求項4】
前記規制網はその両側の上部延長棒に形成された折曲部を前記設置台に設けられた穴部に挿通して支持され、該規制網の下部は各支柱に固定された網押えボルトを介して網押え板により固定されるようにし、前記規制網の上方に設けられた容器に植栽された下垂性蔓植物を前記規制網と壁面との間に挿入した状態で生育させるようにしたことを特徴とする請求項3記載の壁面緑被装置。
【請求項5】
前記規制網の両側に形成された下部延長棒を前記支柱の所定箇所に固定した受け部材の支承穴に支承することにより開閉自在にし、該規制網の両側の上部延長棒を壁面側に略直角に折曲すると共にその端部を上方へ折曲してなる係止部を前記設置台に係止した状態にして該係止部を挟み金具で押さえてボルトで固定するようにし、前記規制網を手前に倒した状態にしてから前記規制網の上方の容器に植栽された下垂性蔓植物を下垂させた状態で前記規制網を閉じて固定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の壁面緑被装置。
【請求項6】
前記規制網の所望箇所に1本又は複数の仕切棒を備えた仕切部材を固定するようにしたことを特徴とする請求項3、4又は5記載の壁面緑被装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−246753(P2006−246753A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66082(P2005−66082)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000218052)
【Fターム(参考)】