説明

多面取り基板の生産履歴管理方法及び多面取り基板

【課題】個々の割基板に付された回路識別コードの読み取りを不要として生産時間を短縮すると共に、回路単位に分離した後でも、元の基板構成が判断できるようにする。
【解決手段】多面取り基板10を分割して得られる個々の割基板11〜14上の回路の生産履歴管理に際して、前記多面取り基板に基板識別コード20を付すと共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コード22を付し、部品搭載時には、個々の回路識別コードを読み取ることなく、基板識別コードのみを読み取って、該基板識別コードと部品、搭載場所を履歴として残し、個々の割基板に分離した後でも、前記回路識別コードから、部品搭載時の履歴情報の検索を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多面取り基板の生産履歴管理方法及び多面取り基板に係り、特に、電子部品実装装置に用いるのに好適な、多面取り基板を使った生産時に、個々の割基板上の回路単位の生産履歴を残すための多面取り基板の生産履歴管理方法、及び、これに用いるのに好適な多面取り基板に関する。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置から供給される電子部品を吸着ノズルで吸着して、搬送されてくる基板に搭載する電子部品実装装置が知られている。
【0003】
最近では、実装基板は、基板の小型化により、大きな一枚の基板に複数回路を設けた多面取り基板となっており、この多面取り基板では、部品実装後、基板を分割して個々の基板(割基板)としている(特許文献1、2参照)。
【0004】
このような多面取り基板の生産で、各割基板上の回路単位の生産履歴(どの部品を何処の回路の何処に搭載したか)を残すためには、それぞれの回路に識別コードを付け、これを生産前に回路毎に読み取り、部品搭載時に、読み取った識別コードと部品、搭載場所を履歴として残す必要があった(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−98297号公報
【特許文献2】特開2004−214247号公報
【特許文献3】特開2003−110297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の方法では、割基板毎に付いた識別コードを全て読み取る必要があるため、割基板数(回路数)が多い場合には、読み取りにかかる時間が増えてしまい、結果として生産時間が増えてしまうという問題点を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、識別コードの読み取り時間を節約すると共に、回路単位に分離した状態でも、元の基板構成が判断できるようにすることを第1の課題とする。
【0008】
本発明は、又、前記の生産履歴管理に適した多面取り基板を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、多面取り基板を分割して得られる個々の割基板上の回路の生産履歴管理に際して、前記多面取り基板に基板識別コードを付すと共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コードを付し、部品搭載時には、個々の回路識別コードを読み取ることなく、基板識別コードのみを読み取って、該基板識別コードと部品、搭載場所を履歴として残し、個々の割基板に分離した後でも、前記回路識別コードから、部品搭載時の履歴情報の検索を可能として、前記第1の課題を解決したものである。
【0010】
本発明は、又、部品搭載後、個々の割基板に分割される多面取り基板であって、基板識別コードが付されると共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コードが付されたことを特徴とする多面取り基板により、前記第2の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多面取り基板に基板識別コードを付すと共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コードを付すようにしたので、部品搭載時に、多面取り基板の基板識別コードを読み取るのみで、個々の割基板上の回路の部品搭載履歴の把握が可能となり、生産時間を短縮できる。又、回路識別コードが基板識別コードを一部に含むようにしたので、個々の割基板に分離した後でも、回路識別コードから元の基板構成の把握が可能となり、部品搭載時の履歴情報の検索が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の生産履歴管理に用いる多面取り基板の構成例を図1に示す。本実施形態の多面取り基板10は、部品実装後に例えば4枚に分割される割基板11〜14がマトリックス状に配置されたマトリックス基板であり、その割基板以外の部分に基板識別コード(ID)20が付されると共に、各割基板11〜14に回路識別コード(ID)22が付されている。
【0014】
前記基板識別コード20は、他の多面取り基板10と重複しないユニークなものとされ、前記回路識別コード22は、該基板識別コード20を一部に含むものとされる。
【0015】
例えば、基板識別コード20が[00010]とすると、各割基板11〜14の回路識別コード22は、それぞれ[00010−001][00010−002][00010−003][00010−004]とすることができる。
【0016】
以下、作用を説明する。
【0017】
まず、部品搭載時には、それぞれの回路識別コード22の読み取りは実行せず、基板識別コード20のみを読み取り、基板識別コード20と部品、搭載場所を履歴として残す。この搭載場所には、電子部品実装装置で管理している回路位置も含む。
【0018】
具体的には、図2に示す如く、部品実装のステップ100において、ステップ102で基板搬入後、ステップ104で基板IDを読み取って、図3に示す如くメモリの例えばA欄に記憶する。
【0019】
次いでステップ106で、部品吸着で吸着した部品のシリアル番号を、メモリの例えばB欄に履歴として残す。
【0020】
次いでステップ108で、部品搭載で搭載回路(回路番号)、搭載位置(搭載位置ID)を図3に示す如く履歴として残す。
【0021】
全ての搭載点に部品を搭載したとステップ110で判断されるまで、上記ステップ106及び108を繰り返す。ステップ110で全ての搭載点に搭載したと判断されたときに、ステップ112で基板を搬出する。
【0022】
部品実装後、ステップ120に進み、基板10を回路単位に分割し、基板組込機のシリアル又は出荷先を履歴に残す。
【0023】
このようにすることで、回路単位に分離した状態でも、回路識別コード22から部品搭載時の履歴情報の検索が可能となる。具体的には、図4に示す如く、例えば客先で不具合が発生し(ステップ200)、不具合解析後、部品不良が判明(ステップ202)した後で、ステップ204に進み、図3に示した履歴情報を用いて、該当回路のIDから部品シリアル番号を特定し、ステップ206で、部品シリアル番号から搭載済み基板IDを特定し、ステップ208で、該基板IDと回路IDから出荷先(基板組込機のシリアル)を特定することができる。このようにして、部品不良発生後、その部品使用基板をトレースすることができる。
【0024】
なお、前記実施形態においては、多面取り基板が4回路のマトリックス基板とされていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、4回路以外の割基板にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る多面取り基板の実施形態を示す平面図
【図2】本発明による生産履歴管理に際して、基板の識別コードを読み取り、搭載履歴を残す手順を示す流れ図
【図3】同じく履歴情報の一例を示す図
【図4】同じく部品不良発生後、その部品使用基板をトレースする手順を示す流れ図
【符号の説明】
【0026】
10…多面取り基板
11〜14…割基板
20…基板識別コード(ID)
22…回路識別コード(ID)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面取り基板を分割して得られる個々の割基板上の回路の生産履歴管理に際して、
前記多面取り基板に基板識別コードを付すと共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コードを付し、
部品搭載時には、個々の回路識別コードを読み取ることなく、基板識別コードのみを読み取って、該基板識別コードと部品、搭載場所を履歴として残し、
個々の割基板に分離した後でも、前記回路識別コードから、部品搭載時の履歴情報の検索を可能としたことを特徴とする多面取り基板の生産履歴管理方法。
【請求項2】
部品搭載後、個々の割基板に分割される多面取り基板であって、
基板識別コードが付されると共に、個々の割基板に該基板識別コードを一部に含む回路識別コードが付されたことを特徴とする多面取り基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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