説明

夾雑物除去装置を備えた精米機

【課題】夾雑物吸い込み路の吸い込み口調節を行わずとも確実な夾雑物除去を発揮できる夾雑物除去装置を備えた精米機の提供。
【解決手段】精米機は、精米時に精白室の出口4aより排出される穀粒の中から籾殻,糠,ゴミなどの夾雑物を精白室を囲む除糠網4直下の吸引室5へ吸引して外部へ排出する夾雑物除去装置を備える。この夾雑物除去装置は、出口4aに設けた傾斜姿勢の出口樋23内を流下する穀粒の中から夾雑物Qを鉛直方向上方に吸い上げる夾雑物吸い上げ路Gと、夾雑物吸い上げ路Gの終端板27a側左右で分かれて吸引室5にそれぞれ連通した一対の水平側流路S,Sとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米機の出口樋を流下する穀粒中の籾殻,糠,ゴミなどの夾雑物を除去する夾雑物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精米機の出口樋側に設けられた夾雑物除去装置としては、図5に示す如く、出口樋1内の上位側に設けられた補助樋2と、この補助樋2と出口樋1との隙間で構成されて開口3を介して精白室を囲む除糠網4直下の糠吸引室5へ連通する夾雑物吸い込み路6と、この夾雑物吸い込み路7の吸い込み口の開度を調節する調節板7とを有する。精米時に精白室から排出される出口樋1内の穀粒Wに混ざる籾殻,糠,ゴミなどの夾雑物Qが流下方向と逆方方向の夾雑物吸い込み路6を介して吸引室5へ吸引され、外部へ排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の夾雑物除去装置において、調節板7を動かして吸い込み口を拡げ過ぎると、夾雑物Qの外、ややもすると穀粒Wも夾雑物吸い込み路7内に入り込んで無駄に除去されてしまう不都合が生じ、一方、調節板7を動かして吸い込み口を絞り過ぎると、吸い込み口で夾雑物Qが詰まり吸い込み口を閉塞するので、夾雑物除去機能が有効に発揮できない。そのため、上記精米機では調節板7の開度調節を入念に行う必要があるものの、夾雑物の大きさ如何により開度調節の目安が判然としないため、現実には調整板7を無調節で行うことが多く、出口樋1から排出される穀粒Wに対する夾雑物除去は不確実であった。
【0004】
そこで、上記問題点に鑑み、本発明の課題は、夾雑物吸い込み路の吸い込み口調節を行わずとも確実な夾雑物除去を発揮できる夾雑物除去装置を備えた精米機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、精米時に精白室の出口より排出される穀粒の中から籾殻,糠,ゴミなどの夾雑物を精白室を囲む除糠網直下の糠吸引室へ吸引して外部へ排出する夾雑物除去装置を備えた精米機において、夾雑物除去装置は、出口に設けた傾斜姿勢の出口樋内を流下する穀粒の中から夾雑物を鉛直方向上方に吸い上げる夾雑物吸い上げ路と、夾雑物吸い上げ路の終端側左右で分かれて糠吸引室にそれぞれ連通した一対の搬送路とを備えていることを特徴とする。
【0006】
夾雑物吸い上げ路は、出口樋内で流下する穀粒に対して鉛直方向上方に吸い上げる吸引力を十分作用させることができるので、流下する穀粒の中から比重の軽い夾雑物を鉛直方向上方へ吸い上げることができるものの、高比重で既に下降慣性のある穀粒が上方へ吸い上がることはなく、夾雑物吸い上げ路の吸い込み口は出口樋の底板から上方へ離れて出口樋の幅寸法に亘り配すれば十分で、調節は不要である。夾雑物吸い上げ路に吸い込まれた夾雑物は糠吸引室にそれぞれ連通した一対の搬送路を介して糠吸引室内に搬送された後、外部へ排出される。
【0007】
一対の搬送路としては出口樋の側板の外側を水平方向に延びる水平搬送路であることが望ましい。一対の搬送路が水平搬送路として低吸引力で夾雑物を容易に水平輸送できるので、その分、夾雑物吸い上げ路の方に吸い上げ力を消費でき、その吸い込み口を出口樋の底板から上方へ大きく離すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、傾斜姿勢の出口樋内を流下する穀粒の中から夾雑物を鉛直方向上方に吸い上げる夾雑物吸い上げ路を設けたので、吸い込み口は出口樋の底板から上方へ離れて出口樋の幅寸法に亘り配すれば十分で、調節は不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次の本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施例に係る夾雑物除去装置を備えた精米機を示す縦断側面図、図2は同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットの概観斜視図、図3は同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットの組立斜視図、図4は同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットを一部切り欠いて示す斜視図である。
【0010】
本例の精米機は、従来通り、精米機本体の筐体10内において、精白ロール(図示せず)を横架した精白室(図示せず)を取り囲む除糠網4と、この除糠網4の直下の漏斗状の糠吸引室5と、配管5aを介して接続した吸引ファン(図示せず)とを有しており、この精米機には、吸引ファンから別の配管を介して接続したサイクロン(図示せず)が配置されている。
【0011】
精白室の出口4aには図4に示す精白調整ユニット20が筐体10にネジ止めされている。この精白調整ユニット20は、精白室の出口4aを塞ぎ精白室内に圧迫を加えるための圧迫板21を内蔵し、この圧迫板21の出口4aに対する押圧力を調整する白度ダイヤル22を有する。精白調整ユニット20は、図3に示す如く、出口樋23を持ち圧迫板21を収容する板金製の箱体24と、白度ダイヤル22などを持ち箱体24の前面開口24aを塞いで止めネジ26で箱体24の上面に止める板金製のカバー25とから成る。断面コ字状の出口樋23は下り勾配に傾斜し、その上端は出口4aの真下に位置している。箱体24の両側面の下端側には、通孔10a,10bを介して糠吸引室5に連通する水平側流路S,Sを形成する板金覆いW,Wが固着されている。この板金覆いW,Wは前面開口24aよりも前方に突出している。前面開口24aを塞ぐカバー25の下端25aは出口樋23の両側板に形成した切り込みVに差し込まれている。この下端25a側には、夾雑物吸い上げ路Gを形成する板金覆い27が固着されている。板金覆い27は、終端板27aと、幅広前板27bと、両側板27c,27dとで囲んで、板金覆いW,Wの突出部分を覆っており、幅広前板27bから下方に延在した央部突片27eが出口樋23内の深さ途中まで差し込まれている。なお、幅広前板27b(央部突片27e)は透明材質でも良く、また上端側にヒンジを設け下端側を旋回自在としても良い。
【0012】
精白時においては、吸引室5が負圧になるため、夾雑物吸い上げ路Gから水平側流路S,Sを通り、通孔10a,10bを介して糠吸引室5へ吸い込み流が発生するため、夾雑物吸い上げ路Gは、出口樋23内で流下する穀粒Wに対して鉛直方向上方に吸い上げる吸引力を十分作用させることができるので、流下する穀粒Wの中から比重の軽い夾雑物Qを鉛直方向上方へ吸い上げることができる。高比重で既に下降慣性のある穀粒Wを上方へ吸い上げることはなく、夾雑物吸い上げ路Gの吸い込み口は出口樋23の底板から上方へ離れて出口樋23の幅寸法に亘り配すれば十分で、調節は不要である。夾雑物吸い上げ路Gに吸い込まれた夾雑物Qは吸引室5にそれぞれ連通した一対の水平側流路S,Sを介して吸引室5内に搬送された後、サイクロン(図示せず)へ排出される。このため、夾雑物吸い込み路Gの吸い込み口調節を行わずとも確実な夾雑物除去を発揮できる。
【0013】
本例では出口樋23の側板の外側を水平方向に延びる水平側流路S,Sとなっているため、低吸引力で夾雑物Qを容易に水平輸送でき、その分、夾雑物吸い上げ路Gの方に吸い上げ力を消費でき、その吸い込み口を出口樋23の底板から上方へ大きく離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る夾雑物除去装置を備えた精米機を示す縦断側面図である。
【図2】同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットの概観斜視図である。
【図3】同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットの組立斜視図である。
【図4】同夾雑物除去装置を備える精白調整ユニットを一部切り欠いて示す斜視図である。
【図5】従来の夾雑物除去装置を備えた精米機を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0015】
4…除糠網
4a…出口
5…糠吸引室
5a…配管
10…筐体
10a,10b…通孔
20…精白調整ユニット
21…圧迫板
22…白度ダイヤル
23…出口樋
24…箱体
24a…前面開口
26…止めネジ
25…カバー
25a…下端
27,W,W…板金覆い
27a…終端板
27b…幅広前板
27c,27d…側板
27e…央部突片
G…夾雑物吸い上げ路
Q…夾雑物
,S…水平側流路
V…切り込み
W…穀粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米時に精白室の出口より排出される穀粒の中から籾殻,糠,ゴミなどの夾雑物を前記精白室を囲む除糠網直下の糠吸引室へ吸引して外部へ排出する夾雑物除去装置を備えた精米機において、
前記夾雑物除去装置は、前記出口に設けた傾斜姿勢の出口樋内を流下する前記穀粒の中から前記夾雑物を鉛直方向上方に吸い上げる夾雑物吸い上げ路と、前記夾雑物吸い上げ路の終端側左右で分かれて前記糠吸引室にそれぞれ連通した一対の搬送路とを備えていることを特徴とする夾雑物除去装置を備えた精米機。
【請求項2】
請求項1に記載の夾雑物除去装置を備えた精米機において、前記一対の搬送路は前記出口樋の側板の外側を水平方向に延びる水平搬送路であることを特徴とする夾雑物除去装置を備えた精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51870(P2010−51870A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217764(P2008−217764)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000104434)カンリウ工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】