説明

容器の栓

カラー、線形ヒンジによってカラーに取り付けられた剛性平面三角形リーフレット、及びリーフレットに取り付けられリーフレットの間に延びる薄い可撓性の折りたたみ可能なウェブを有する一部片の容器の栓。栓の閉位置では、リーフレットは平坦で、ウェブがその下に折りたたまれる。開位置では、リーフレットが上方に旋回され、ウェブがリーフレットの間に展開される。一体式キャップが、スナップ動作のボウタイ・ヒンジによってカラーに取り付けられる。キャップ上の中心ピンはキャップが閉鎖された場合にリーフレットと共に密封する。栓は、リーフレットが持ち上げられウェブが展開された状態で開位置に一体式に成形され、次いで、栓がまだ暖かい間に閉位置にリーフレットが下げられウェブが折りたたまれ、次いでキャップが閉鎖され、次いで閉鎖された栓が焼きなまされて、製品が栓を通って分注されない場合に、リーフレット及びヒンジの閉位置の弾性的位置記憶が確立される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手で圧力を加えると容器の開口部を通して製品を分注する流体容器のプラスチック栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の流体容器の栓は無数の設計及び構成のものがある。こうした栓は、複雑な成形、部品の組立が必要とされ、製造が高コストであり、適切に閉鎖され密封されず、分注に使用される手の圧力によって可変の栓の開口部を提供しておらず、不用意に締め付けられたときに開放されやすく、且つ/又は取り扱い及び輸送が簡単な形状でないことが多い。
【0003】
従来技術の米国特許第1,977,227号(1934)は栓を開示しており、パネルが全般的にフラスト円錐台(frusto−conical)形状の型内に分離されて配置され、次いでゴムがパネルの上下に流し込まれて、パネルの間に弾性部分が形成されるようになされている。次いで、ゴムから開口スリットが切り取られる。パネルのフラスト円錐台形状は栓の閉位置であり、取り扱い及び輸送を簡単にするために、パネルを平坦な位置に折りたたむことができない。従って、ゴムは栓の開位置でも閉位置でも折りたたまれず、パネルの側面は常に分離されている。この複数部片の栓の欠点は、幾つかある中でも特に、製造が労働集約的で高コストなことである。
【0004】
さらなる従来技術の栓がPCT国際公開第82/01360(1982)に示されている。この栓は、内側及び外側シールの重ねられた層の三角形パネル、又はこうしたパネルの単一層の複雑な構成を有するが、パネルの間の相互連結ウェブ、又は膜、或いは密封手段が存在しない。後者の例では、確実に密封されない可能性が高く、不用意な締め付けによる開放が防止されていない。
【0005】
他の従来技術の栓は、スリットが付けられた構成、又は様々な他の構成が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、頑丈に構築され、簡単に低コストで製造され、組立が不要であり、確実且つ効率よく機能し、適切に閉鎖且つ密封し、ユーザの手の圧力に応じて可変のサイズの栓開口部を提供し、不用意に開放されず、その形状のために取り扱い及び輸送が簡単な、プラスチックの一部片の容器の栓を提供する。この栓は、ローション及び多様な他の流体製品を容器から分注するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
栓は容器の開口部の周囲で容器に取り付けるための環状カラーを有する。複数のリーフレットがヒンジによってカラーに取り付けられ、複数の可撓性且つ折りたたみ可能なウェブが隣接する対のリーフレットに取り付けられ、その間に延びる。個々のリーフレットは、剛性の平面部材であり、リーフレット用のヒンジはそれぞれ、同時係属中の特許出願第10/920,941号に示されているような曲線の弓形ではない線形である。栓の閉位置では、リーフレットは本質的に平坦な水平構成で互いに隣接して延び、ウェブは隣接するリーフレットの下にひだ状に折りたたまれる。容器が締め付けられて製品が分注される場合、リーフレットは流体圧力の影響を受けてそのヒンジで上方に旋回する。リーフレットは上方に旋回するときに互いから分離され、ウェブが展開され、分離されたリーフレットの間に延びて、リーフレットと共に栓の分注開口部を形成する。
【0008】
リーフレットの形状は三角形であり、栓の中心軸に向かって集束する長い側面を有する。ウェブがリーフレットの長い側面に取り付けられ、線形ヒンジがリーフレットの短い側面に取り付けられる。平坦な(平面の)リーフレット及び直線(線形)のヒンジが、栓を平滑に開放し閉鎖する助けをする。
【0009】
栓のキャップは、スナップ動作のボウタイ・ヒンジによってカラーに一体式に取り付けられる。キャップはキャップの下面に中心ピンを有し、中心ピンは、キャップが栓の上に閉鎖されると、リーフレットの径方向に最も内側部分に接して密封する。
【0010】
本発明の栓及びキャップを単体部材として成形することができる。栓は、リーフレットが角度的に上方に延びて互いに分離し、ウェブが展開され隣接する対のリーフレットの間に延びた状態の開位置で最初に成形される。その後、リーフレット及びヒンジが暖かい間に、リーフレットが閉位置に下方に旋回される。この閉位置では、リーフレットは本質的に平面内に互いに隣接して延び、ウェブは隣接するリーフレットの下に折りたたまれる。次いで、キャップが栓の上に閉鎖され、キャップ及び栓が型から取り外される。次いで、閉鎖された栓を栓の閉鎖されたキャップと共に焼きなまして、栓の成形時の開位置の記憶を破壊し、ユーザによって製品が分注されない場合の栓の位置の弾性的記憶として閉鎖された栓の位置が確立される。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【実施例】
【0012】
図1及び2を参照すると、流体容器(図示せず)に容器の分注開口部の周囲に取り付けるための環状カラー11を有するプラスチック栓10が示されている。取り付けは、例えば、ねじ12(図3を参照)、スナップ式嵌合(図示せず)、又は他の周知の取付け手段によるものでもよい。
【0013】
複数の剛性平面のリーフレット13がカラー11の頂部に配置され、一体式線形ヒンジ14(詳細には図5を参照)によってカラー11に取り付けられる。8つのこうしたリーフレット13が図で示されているが、言うまでもなくその数を変えることができる。図1、3、4、及び5で、栓10の閉位置で、リーフレット13が本質的に平坦な水平面で互いに隣接して延びているところが示されている。各リーフレット13は三角形であり、特定のリーフレット13と関連してヒンジ14から離れる方向に集束する2つの長い側面15を有する。各リーフレット13の長い側面15は、栓10の閉位置で、隣接するリーフレット13の長い側面に隣接して位置する。リーフレット13の短い側面25は、そのリーフレットと関連する直線(線形)ヒンジ14に隣接して位置する。
【0014】
複数の薄い可撓性且つ折りたたみ可能なウェブ16がリーフレット13に一体式に取り付けられ、リーフレット13の間で延びる。各ウェブ16は、2つの隣接するリーフレット13の長い側面15の間に延び、それに取り付けられる。単に一例であるが、ウェブ16の厚さは、0.013cm(0.005インチ)でもよく、リーフレット13の厚さは、0.076cm(0.030インチ)でもよい。栓10の閉位置では、各ウェブ16は隣接する対のリーフレット13の下に折りたたまれ、リーフレットの長い側面15は、一例として、例えば0.025cm(0.010インチ)だけ互いに離れて隣接する位置にある。図2で示したように、栓が開放されると、リーフレットの長い側面15は互いに間隔をあける。
【0015】
栓10は一般に、例えば、締め付け可能な流体容器に取り付けられる。容器が手で締め付けられると、分注すべき流体の圧力によってリーフレット13が本質的に平面の図1の位置から図2の位置に強制される。図2の位置では、各リーフレットがそのヒンジ14の周りで上方に旋回され、隣接するリーフレットから間隔をあける。このときウェブ16が展開され、リーフレット13の間に真直ぐに広げられる。それによって分注開口17が栓10内に生成されて、流体製品の分注が可能になる。容器に加えられる手の圧力が比較的小さいと比較的小さい開口部17が生成され、比較的大きい手の圧力では比較的大きい開口部が生成される。この栓10の開放状態が図2、6、及び7に示されているが、図6には図を見やすくするためにウェブ16が1つしか示されていない。
【0016】
所望量の製品が栓10によって分注され、締め付ける圧力が解放された後、リーフレット13はその薄い一体式膜ヒンジ14の周りで下方に旋回して、図1の栓10の閉位置に再び戻り、ウェブ16は隣接するリーフレット13の間でその下に再び折りたたまれる。このリーフレット13の下方への旋回は、製品を分注するために容器がもはや締め付けられなくなった後に容器内に戻る製品の吸引によって援助される。
【0017】
栓10は、ボウタイ・ヒンジ21によってカラー11に一体式に取り付けられたキャップ20も備える。キャップ20は、キャップ20の下面(閉鎖された場合)から延びる中心ピン22及び周囲面23を有する。ボウタイ・ヒンジ21は、栓10上のキャップ20の開位置と閉位置の間でスナップ嵌めされ、当技術分野で周知の多様なスナップ動作のヒンジ設計の1つでもよい。キャップ20がキャップ20の閉位置にあり、リーフレット13がリーフレット13の本質的に平坦な方向に存在する場合、中心ピン22は、リーフレット13の径方向に内側の先端19(図4を参照)によって画定される栓の中心軸にある中心開口部18内に延びる。先端19は中心ピン22に接触して密封する。キャップ20の下面23は、リーフレット13を閉位置で平坦に保持する働きをすることができる。キャップ20にスナップ手段を設けて、閉位置で、キャップ20の周囲でカラー11の周囲上にスナップ嵌めすることができる。スナップ動作のボウタイ・ヒンジ21は、容器が不慮に締め付けられても、キャップ20を閉位置に保持する働きをする。
【0018】
カラー11、リーフレット13、ヒンジ14、ウェブ16、キャップ20、及びボウタイ・ヒンジ21を全て互いに、単一の成形動作で一部片のプラスチック栓に一体式に成形することができる。プラスチックは、例えばポリプロピレンでもよい。具体的には、栓は、全ての部分が図2で示した部分の方向付けになるように単一成形動作で成形される。従って、ウェブ16は、展開された位置で成形される。その後、ヒンジ14及びリーフレット13がまだ暖かいうちに、リーフレット13が図1の閉鎖位置に下方に旋回される。従って、ウェブ16はリーフレット13の下に折りたたまれる。次いで、キャップ20が上方に旋回され(図3を参照)、カラー11の頂部上を覆ってその上にスナップ嵌めされ、閉鎖された栓10が型から取り外される。
【0019】
その後、栓10が消費者によって使用され、キャップ20が開放されて製品が栓を通って分注される場合は、製品が分注される場合を除いて、リーフレット13及びヒンジ14の弾性的位置記憶が図1の閉位置であることが望ましい。この結果を得るため、閉鎖されキャップが付けられた栓10が型から取り外された後に、栓10にそのキャップも閉鎖された状態でさらに焼きなまし作業を行うことができる。それには、栓を十分な時間にわたり十分な温度で過熱して、リーフレット13及びヒンジ14の閉鎖の弾性的位置記憶を確立する。この時間及び温度は栓の材料及び寸法によって変わる。その後、キャップが開放され、製品が図2の位置の栓を通って分注された後、リーフレットは、製品の容器が締め付けられない場合は、自動的に図1の閉位置に戻る。
【0020】
上記の本発明の幾つかの特徴は、独特で単純な一部片の容器の栓を画定するものであり、この栓は、製造が簡単で、低コストで、組立が不要であり、手の締め付け加減によって可変の流れを提供し、容器が不用意に締め付けられた場合の分注を防止し、消費者にとって確実且つ効率よく機能し、取り扱い及び輸送が簡単であり、所望の場合は表面上に上下逆に置くことができる。
【0021】
当業者には理解されるように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に変更及び/又は修正を加えることができる。従って、本発明の実施例は、例示であって限定的ではないと考えられるべきである。やはり理解されるように、本明細書で使用される位置的用語は図面で示した位置に関して使用されることが意図されており、他の点では限定的ではないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】閉位置にあるが、図を見やすくするために、通常この位置では閉鎖されるキャップが開放された状態の本発明の栓を示す斜視図である。
【図2】開位置にある本発明の栓を示す斜視図である。
【図3】閉位置にあるが、通常は閉鎖されるキャップが開放された状態の本発明の栓を示す断面図である。
【図4】閉位置にあるが、通常は閉鎖されるキャップが開放された状態の本発明の栓を示す上面平面図である。
【図5】図3から切り取られた部分図であり、本発明の栓のリーフレットのカラーに対するヒンジ動作を示す断面である。
【図6】開位置にある本発明の栓を示す断面図である。
【図7】開位置にある本発明の栓を示す上面平面図である。
【図8】閉位置にある本発明の栓を示し、栓のキャップを栓のカラーに連結するボウタイ・ヒンジを全般的に示す後面立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の圧力を加えることによって容器の開口部を通して製品を分注する流体容器の栓であって、前記容器の開口部の周囲で前記容器に取り付けるための環状カラーと、線形ヒンジによって前記カラーに取り付けられた複数の剛性平面三角形リーフレットと、隣接する対のリーフレットに取り付けられ、その間に延びる複数の可撓性且つ折りたたみ可能なウェブとを備え、前記リーフレットが前記栓の閉位置では本質的に平坦な表面内に互いに隣接して延び、前記ウェブが前記隣接するリーフレットの下でひだ様に折りたたまれ、前記リーフレットが製品の分注時に流体圧力によって前記リーフレットのヒンジで上方に旋回されて前記栓の開位置に互いから分離し、前記ウェブ部材が前記分離されたリーフレットの間で展開され、延びて、前記リーフレットと共に前記栓の分注開口部を形成し、製品が分注されないときに前記リーフレットが下方に旋回されて互いに隣接するリーフレットの閉鎖された栓の位置に戻り、前記ウェブが前記リーフレットの下に折りたたまれる栓。
【請求項2】
前記カラー、リーフレット、ウェブ、及びヒンジが一部片の一体式に成形されたプラスチック栓からなる、請求項1に記載の栓。
【請求項3】
各前記三角形リーフレットがそれぞれ、前記三角形の第3の側面から離れる方向に集束し、それぞれ前記栓の閉位置では前記隣接するリーフレットの長い側面に隣接して位置し、前記栓が開放された場合に前記隣接するリーフレットの前記長い側面から分離される2つの長い側面を有する、請求項1に記載の栓。
【請求項4】
前記ウェブが前記三角形リーフレット部材の前記長い側面に取り付けられ、前記線形ヒンジが前記三角形リーフレット部材の前記短い側面に取り付けられる、請求項3に記載の栓。
【請求項5】
閉鎖された場合に前記栓を覆って延び、一体式ヒンジによって前記カラーに取り付けられるキャップを有する、請求項1に記載の栓。
【請求項6】
前記栓が中心軸を有し、前記リーフレットがそれぞれ前記リーフレットの線形ヒンジから前記中心軸に向かって径方向に内側に延び、前記キャップが中心ピン及び周囲面を有して前記キャップが閉鎖されると前記リーフレットを閉位置に保持し、前記キャップが閉鎖された場合に前記リーフレット部材の前記径方向の最も内側の部分が前記ピンに接触し密封する、請求項5に記載の栓。
【請求項7】
前記一体式ヒンジが、スナップ動作のボウタイ・ヒンジである、請求項5に記載の栓。
【請求項8】
流体容器のプラスチック栓を形成する方法であって、前記栓が環状カラー、複数のリーフレット、複数の可撓性且つ折りたたみ可能なウェブ、及びキャップを備えており、前記リーフレット部材がヒンジによって前記カラーに取り付けられ前記ウェブが隣接する対のリーフレットに取り付けられその間で延びる状態で前記栓を成形することを含み、さらに、前記リーフレットが角度を付けて上方に延びて互いから分離され、前記ウェブが前記分離されたリーフレットの間で展開されて延び、前記キャップが開位置にある状態の開位置で前記栓を最初に成形し、その後、前記ヒンジが暖かい間に、前記リーフレットが本質的に平坦な表面内で互いに隣接して延び、前記ウェブが前記隣接したリーフレットの下で折りたたまれる位置に前記リーフレットを下方に旋回し、前記栓のキャップを閉鎖し、前記閉鎖された栓を前記栓の閉鎖されたキャップと共に焼きなまして、前記成形時の開位置の記憶を破壊し、ユーザによって製品が前記栓を通って分注されない場合に閉鎖された栓の位置記憶を確立することを含む方法。
【請求項9】
前記栓を一体式一部片の栓として成形すること含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−529918(P2008−529918A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556377(P2007−556377)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/005872
【国際公開番号】WO2006/089240
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507277619)シークイスト クロージャーズ、エル.エル.シー. (3)
【Fターム(参考)】