容器
【課題】 容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成すること。
【解決手段】 ノズルキャップ20と、スクリューリング30と、計量キャップ40とを有してなる容器10であって、容器本体11とノズルキャップ20のそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部12A、21Aを設け、スクリューリング30が容器本体11の口部12に着脱されるとき、該スクリューリング30と軸方向に沿う双方向で係止しているノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aに係脱するように構成したもの。
【解決手段】 ノズルキャップ20と、スクリューリング30と、計量キャップ40とを有してなる容器10であって、容器本体11とノズルキャップ20のそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部12A、21Aを設け、スクリューリング30が容器本体11の口部12に着脱されるとき、該スクリューリング30と軸方向に沿う双方向で係止しているノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aに係脱するように構成したもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の計量容器として、特許文献1に記載の如く、容器本体の口部に螺着されるノズルキャップと、ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなるものがある。
【0003】
従来のプッシュポンプ付容器として、特許文献2に記載の如く、ノズルヘッドに一体に取付けられたピストンを摺動可能に収容するシリンダを容器本体の口部内に挿入し、シリンダのフランジを覆うスクリューキャップを容器本体の口部外周に螺着し、該シリンダを容器本体に押え付けて固定するものがある。このとき、シリンダのフランジの内周キー溝を容器本体の口部の外周キー溝に嵌合している。これにより、使用者がこの容器を購入した使用開始当初に、ノズルヘッド及びピストンをリフトアップさせるために、ノズルヘッドを回転させても、ノズルヘッドと一体のピストンを介してシリンダが容器本体の口部に対し相対回転することがなく、シリンダを押えているスクリューキャップがシリンダと共回りして容器本体の口部から外れてしまう不都合を解消しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-234556
【特許文献2】特開2003-192068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の容器は、内容物の詰替え時に、ノズルキャップの全体を容器本体の口部から取り外しでき、広い口部を用いて詰替え容易である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、内容物を注出する通常使用時に、計量キャップを取り外そうとして回転すると、計量キャップがきつく螺着しているとノズルキャップが共回りし、計量キャップ及びノズルキャップが容器本体の口部から共に外れてしまうという不都合がある。
【0007】
尚、特許文献2に記載の容器は、ノズルヘッドに連結されているシリンダを容器本体の口部に押え付けて固定するスクリューキャップが、使用者によるこの容器の使用開始当初に、シリンダと共回りして容器本体の口部から外れるのを防止するものであり、通常使用時の計量キャップの取り外し回転に対するノズルキャップの共回りを防止するものと全く異なる。また、内容物の詰替え時に、スクリューキャップを容器本体から取り外すと同時に、シリンダも容器本体の口部から直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成する如くの構造もない。
【0008】
本発明の課題は、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、容器本体の口部に嵌着されるノズルキャップと、ノズルキャップの外周に回転自在に取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングと、ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなる容器であって、容器本体とノズルキャップのそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部を設け、スクリューリングが容器本体の口部に着脱されるとき、ノズルキャップの係合部が容器本体の係合部に係脱するように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は容器の要部を示す正面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のスクリューリングを一部破断して示す斜視図である。
【図4】図4は図1の計量キャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は容器本体の口部を示す斜視図である。
【図6】図6は容器本体の係合部とノズルキャップの係合部を示す模式図である。
【図7】図7は容器本体の係合部とノズルキャップの係合部を示す斜視図である。
【図8】図8は容器本体とノズルキャップの係合部の山の斜面を示す模式図である。
【図9】図9は容器本体とノズルキャップのインナーシール部の密着状態を示す模式図である。
【図10】図10は容器本体とノズルキャップの係合部の山の好ましい状態を示す模式図である。
【図11】図11は容器本体とノズルキャップの係合部の山の好ましくない状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3に示す計量容器10は、容器本体11の口部12に嵌着されるノズルキャップ20と、ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に沿う双方向に係止され、該ノズルキャップ20に対して軸方向に移動不能に取付けられ、容器本体11の口部12に螺着されるスクリューリング30と、ノズルキャップ20に螺着されて該ノズルキャップ20の注出口25を覆う計量キャップ40とを有する。容器本体11、ノズルキャップ20、スクリューリング30、計量キャップ40はそれぞれ樹脂成形にて構成できる。
【0013】
ノズルキャップ20は、容器本体11の口部12の上端外周に嵌着される嵌着筒部21と、嵌着筒部21から上向きに立上がる外筒部22を有する。嵌着筒部21の下向き端面には、容器本体11の口部12の外周に設けた凹凸状係合部12Aと周方向で噛合い係合する凹凸状係合部21Aが設けられる(図3)。外筒部22の外周面には雄ねじ部22Aが設けられる。
【0014】
ノズルキャップ20は、嵌着筒部21から延在されて容器本体11の口部12の内周面に嵌合される内筒部23を有する。内筒部23の内周部は液溜り部23Aとされ、液溜り部23Aの傾斜状底部23Bに設けた開口25Aの縁に沿うC字断面状の注出筒24を立上げ、注出筒24のC字の切り口をスリット25Bとしている。液溜り部23Aの底部23Bの最下部には、開口25Aとスリット25Bに連なるスリット25Cが設けられる。開口25A、スリット25B、25Cは、ノズルキャップ20の注出口25であり、液注出時の空気置換口、液注出後の液戻し口としても機能する。
【0015】
スクリューリング30は、環状体31の上端内周に内方に突出するように設けた環状突部31Aを、ノズルキャップ20の外筒部22の下部と嵌着筒部21の上部との間の全周に連続して外方に突出するように設けた環状突部22Bと、外筒部22における雄ねじ部22Aの下部の周方向複数位置において外方に突出するように設けた突部22C(図4)とに挟まれる環状溝部22Dに打ち込み係入される。これにより、スクリューリング30は、ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に実質的に移動不能に取付けられる。また、スクリューリング30は、環状体31の下端内周に設けた雌ねじ部31Bにより、容器本体11の口部12の外周に設けた雄ねじ部12Bに螺着される。
【0016】
計量キャップ40は、有底筒状の計量筒部41の外周中間部に設けた外筒部42の内周に設けた雌ねじ部42Aにより、ノズルキャップ20の外筒部22の雄ねじ部22Aに螺着される。このとき、外筒部42の下端は、スクリューリング30の上部と接することがない。
【0017】
しかるに、容器10にあっては、図3、図5に示す如く、容器本体11の口部12とノズルキャップ20の嵌着筒部21のそれぞれに、前述の如く、それらの周方向で互いに噛合い係合する係合部12A、21Aを設けている。スクリューリング30の環状体31の雌ねじ部31Bが容器本体11の口部12の雄ねじ部12Bに着脱されるとき、スクリューリング30と軸方向に沿う双方向で係止しているノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aに係脱するように構成される。容器本体11の係合部12Aは、樹脂成形の型抜き性を考慮し、その口部12の直径方向に相対する2カ所の円弧状部のそれぞれにだけ設けられる。ノズルキャップ20の係合部21Aは、嵌着筒部21の全周に連続して設けられる。
【0018】
容器10は以下の如くに組立てられる。
(1)ノズルキャップ20に取付けられているスクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め付ける。スクリューリング30により軸方向の一方側に押し付けられるノズルキャップ20の係合部21Aの山102の斜面102Aがそれらの締め込み方向(F)で、容器本体11の係合部12Aの山101の斜面101Aに相衝合して係合し、更にスクリューリング30を締め込んでいくとノズルキャップ20の回転が両係合部12A、21Aの係合により制止され、固定される(図6、図7)。
【0019】
(2)ノズルキャップ20の雄ねじ部22Aに計量キャップ40の雌ねじ部42Aを螺着する。尚、上述(1)のノズルキャップ20の雄ねじ部22Aに当初から計量キャップ40の雌ねじ部42Aを螺着しておいても良い。
【0020】
従って、容器10によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に沿う双方向に係止されて取付けられているスクリューリング30を容器本体11の口部12に螺着して締め込んでいくと、スクリューリング30により軸方向の一方向に押し付けられるノズルキャップ20の係合部21Aの山102の斜面102Aが容器本体11の係合部12Aの山101の斜面101Aに相衝合して係合する。更にスクリューリング30を締め込んでいくと、ノズルキャップ20の回転が両係合部12A、21Aの係合により制止され、固定される。
【0021】
これにより、容器10から内容物を抽出する通常使用時に、計量キャップ40をつかんで取り外し回転すると、計量キャップ40がきつく螺着されているノズルキャップ20であっても、該ノズルキャップ20の係合部21Aと容器本体11の係合部12Aとの上述の係合により、ノズルキャップ20は計量キャップ40の回転に共回りしない。これにより、計量キャップ40だけを取り外し、内容物をノズルキャップ20の注出口25から抽出できる。外筒部42の下端とスクリューリング30の上端との間に隙間が存在することで、計量キャップ40に加えられた回転力がスクリューリング30に直接伝わらないことにより、より確実に共回りが防止される。
【0022】
(b)他方、容器10への内容物の詰替え時には、スクリューリング30をつかんで容器本体11の口部12からゆるめていくと、スクリューリング30による軸方向の一方向への押し付けを解除されたノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aとの係合高さ分以上に軸方向へ変位できるようになる結果、それらの係合部12A、21Aの係合を解除され、該ノズルキャップ20を空転可能にする。これにより、スクリューリング30と軸方向の他方向にも係止しているノズルキャップ20は、スクリューリング30が容器本体11の口部12から取り外されると同時に、容器本体11の口部12から直ちに外れて詰替え容易な広い口部12を形成できる。
【0023】
以下、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aの形状がそれらの噛合い係合性に及ぼす影響について説明する。
【0024】
図6(A)は、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面の傾きよりも急傾斜面(概ね垂直面)にしたものである。これによれば、スクリューリング30の回転により、係合部12Aの山101の斜面101Aと係合部21Aの山102の斜面102Aが相衝合して締め込まれていくとき、山101と山102が互いに噛み込んで停止し、スクリューリング30を更に回転すると、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への山101と山102が隙間なく噛み合ってガタが生じず、安定した噛合い係合状態を確保できる。
【0025】
図6(B)は、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面の傾きよりも緩傾斜面にしたものである。この場合には、スクリューリング30の回転により、係合部12Aの山101の斜面101Aと係合部21Aの山102の斜面102Aが相衝合して締め込まれていくとき、山101と山102が互いに隙間なく噛み合いできず、両係合部12A、21Aを固くなるまで締め込んでも、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への山101と山102のガタ(図6(B)のL)を生じ、安定した噛合い係合状態を確保できない。
【0026】
図7は、図6(A)と同様に、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面101B、102Bの傾きよりも急傾斜面(概ね垂直面)にしたものである。
【0027】
更に、図7では、係合部12Aの山101の緩斜面101Bと係合部21Aの山102の緩斜面102Bの傾きを、図8(A)に示す如く、容器本体11の雄ねじ部12Bとスクリューリング30の雌ねじ部31Bのねじの傾きと同じにした。尚、係合部12Aの山101の緩斜面101Bの傾斜を、図8(B)に示す如く、容器本体11の雄ねじ部12Bとスクリューリング30の雌ねじ部31Bのねじの傾きに対し、ノズルキャップ20の締め込み方向で水平方向に対して大きな角度θの傾斜にしても良い。これらによれば、スクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め込むとき、スクリューリング30に連れ回るノズルキャップ20の係合部21Aの緩斜面102Bが容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bの上面に沿って抵抗なくスムースに滑り、ノズルキャップ20がスクリューリング30にスムースに連れ回る。ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aが容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aに相衝合して締め込まれ、それらの山101と山102が互いに噛み込んで停止する噛合い係合状態に至るものになる。スクリューリング30を更に回転すると、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bがスクリューリング30の軸方向で容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bに近接又は密着するように落とし込まれ、両係合部12A、21Aをゆるめる方向において山101と山102が隙間なく噛み合ってガタが生じず、安定した噛合い係合状態を確保できる。
【0028】
容器本体11とノズルキャップ20は、両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合状態で、容器本体11とノズルキャップ20の両係合部12A、21Aの山101、102の緩斜面101B、102B同士は、図9に示す如く、容器本体11のインナーシール部11Sとノズルキャップ20のインナーシール部20Sとを確実に密着させるため、それらの山101の緩斜面101Bと山102の緩斜面102Bの間に微小隙間gを介することが好ましい。
【0029】
また、容器本体11の係合部12Aの山101が上述の急斜面101Aと緩斜面101Bを備え、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102が上述の急斜面102Aと緩斜面102Bとからなり、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bとノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bの傾きを、容器本体11とスクリューリング30の互いに螺着するねじ12B、31Bの傾きと同じにする上述の図7の例では、更に以下の構成を具備することが好ましい。即ち、図10(A)に示す如く、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着させた状態下で、スクリューリング30の雌ねじ部31Bの先端と、容器本体11の雄ねじ部12Bの先端部とが、スクリューリング30の回転方向で一致したとき、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cと、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cとが、スクリューリング30の回転方向で合致する状態で、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cが、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cに対して、スクリューリング30の軸方向に沿う隙間fを有するものとする。これによれば、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着したとき、ノズルキャップ20の外周に備えるスクリューリング30の回転方向取付位置がいずれにあっても、スクリューリング30の雌ねじ部31Bが必ず容器本体11の雄ねじ部12Bに届き、かつノズルキャップ20の緩斜面102Bが容器本体11の緩斜面101Bに対して上述の隙間fを介する。従って、スクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め込むとき、図10(A)〜(D)に示す如く、スクリューリング30の回転に連れ回るノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bが、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bに付着している内容液の固着物等に擦れることなく、両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合位置までスムースに回転できるものになる。
【0030】
図11は、図10と異なり、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着した状態で、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cが、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cに対して、スクリューリング30の軸方向に沿う隙間を有しない状態を示したものである。この場合には、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着したとき、ノズルキャップ20の外周に備えるスクリューリング30の回転方向取付位置によっては、スクリューリング30の雌ねじ部31Bが容器本体11の雄ねじ部12Bに届かず、ノズルキャップ20の緩斜面102Bが容器本体11の緩斜面101Bに対して上述の隙間fを介さない、ノズルキャップ20がスクリューリング30にスムースに連れ回らないものになる。
【0031】
更に、上述の図10の例では、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bと、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bの締め込み方向に沿う1以上の位置、例えば2箇所の位置に、それらの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合状態(図10(D))で、それらが反締め込み方向において係止し合う緩み止め段差部101D、102Dを設けた。これによれば、容器本体11とノズルキャップ20の両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する前述の噛合い係合状態で、それらの山101、102の緩斜面101B、102Bが互いに前述の微小隙間g(図9)を介するとき、それらの山101、102の緩斜面101B、102Bに設けてある上記微小隙間以上の段差高さhをもつ緩み止め段差部101D、102Dが互いに係止し合って、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への回転を確実に阻止する。
【0032】
本実施形態では、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aを山101、102で構成し、山101をその頂部の両側斜面101A、101Bの組合せからなるものにし、山102をその頂部の両側斜面102A、102Bの組合せからなるものにした。但し、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aは、どちらか一方が、その頂部の両側を斜面とするものであればよく、もう一方を平面又は円弧状面からなる頂部の両側を概ね垂直壁面とするように屹立した凸状係合部からなるものにすることもでき、同様の効果が得られる。
【0033】
また、容器本体11とノズルキャップ20の周方向に設ける係合部12Aと係合部21Aの個数を増減させることもできる。特に、係合部12Aと係合部21Aの個数を減らし、容器本体11とノズルキャップ20の周方向の例えば各2箇所に係合部12A、21Aを設けることで、ノズルキャップ20を図1に対する特定の方向、例えば容器本体11の横断面が楕円であるときに、ノズルキャップ20を容器本体11のその楕円の長軸方向に位置合せすることができる。更に、容器本体11とノズルキャップ20の周方向の例えば各1箇所に係合部12A、21Aを設ければ、ノズルキャップ20を容器本体11に対する方向のみならず、特定の向きに定めることもでき、ノズルキャップ20の注出口25を容器本体11に対する特定の方向に位置付けることができ、使い勝手の良い容器10を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 容器
11 容器本体
12 口部
12A 係合部
12B 雄ねじ部
101 山
101A 急斜面
101B 緩斜面
101C 交差部
101D 緩み止め段差部
20 ノズルキャップ
21A 係合部
102 山
102A 急斜面
102B 緩斜面
102C 交差部
102D 緩み止め段差部
25 注出口
30 スクリューリング
31B 雌ねじ部
40 計量キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の計量容器として、特許文献1に記載の如く、容器本体の口部に螺着されるノズルキャップと、ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなるものがある。
【0003】
従来のプッシュポンプ付容器として、特許文献2に記載の如く、ノズルヘッドに一体に取付けられたピストンを摺動可能に収容するシリンダを容器本体の口部内に挿入し、シリンダのフランジを覆うスクリューキャップを容器本体の口部外周に螺着し、該シリンダを容器本体に押え付けて固定するものがある。このとき、シリンダのフランジの内周キー溝を容器本体の口部の外周キー溝に嵌合している。これにより、使用者がこの容器を購入した使用開始当初に、ノズルヘッド及びピストンをリフトアップさせるために、ノズルヘッドを回転させても、ノズルヘッドと一体のピストンを介してシリンダが容器本体の口部に対し相対回転することがなく、シリンダを押えているスクリューキャップがシリンダと共回りして容器本体の口部から外れてしまう不都合を解消しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-234556
【特許文献2】特開2003-192068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の容器は、内容物の詰替え時に、ノズルキャップの全体を容器本体の口部から取り外しでき、広い口部を用いて詰替え容易である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、内容物を注出する通常使用時に、計量キャップを取り外そうとして回転すると、計量キャップがきつく螺着しているとノズルキャップが共回りし、計量キャップ及びノズルキャップが容器本体の口部から共に外れてしまうという不都合がある。
【0007】
尚、特許文献2に記載の容器は、ノズルヘッドに連結されているシリンダを容器本体の口部に押え付けて固定するスクリューキャップが、使用者によるこの容器の使用開始当初に、シリンダと共回りして容器本体の口部から外れるのを防止するものであり、通常使用時の計量キャップの取り外し回転に対するノズルキャップの共回りを防止するものと全く異なる。また、内容物の詰替え時に、スクリューキャップを容器本体から取り外すと同時に、シリンダも容器本体の口部から直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成する如くの構造もない。
【0008】
本発明の課題は、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、容器本体の口部に嵌着されるノズルキャップと、ノズルキャップの外周に回転自在に取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングと、ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなる容器であって、容器本体とノズルキャップのそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部を設け、スクリューリングが容器本体の口部に着脱されるとき、ノズルキャップの係合部が容器本体の係合部に係脱するように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は容器の要部を示す正面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のスクリューリングを一部破断して示す斜視図である。
【図4】図4は図1の計量キャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は容器本体の口部を示す斜視図である。
【図6】図6は容器本体の係合部とノズルキャップの係合部を示す模式図である。
【図7】図7は容器本体の係合部とノズルキャップの係合部を示す斜視図である。
【図8】図8は容器本体とノズルキャップの係合部の山の斜面を示す模式図である。
【図9】図9は容器本体とノズルキャップのインナーシール部の密着状態を示す模式図である。
【図10】図10は容器本体とノズルキャップの係合部の山の好ましい状態を示す模式図である。
【図11】図11は容器本体とノズルキャップの係合部の山の好ましくない状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3に示す計量容器10は、容器本体11の口部12に嵌着されるノズルキャップ20と、ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に沿う双方向に係止され、該ノズルキャップ20に対して軸方向に移動不能に取付けられ、容器本体11の口部12に螺着されるスクリューリング30と、ノズルキャップ20に螺着されて該ノズルキャップ20の注出口25を覆う計量キャップ40とを有する。容器本体11、ノズルキャップ20、スクリューリング30、計量キャップ40はそれぞれ樹脂成形にて構成できる。
【0013】
ノズルキャップ20は、容器本体11の口部12の上端外周に嵌着される嵌着筒部21と、嵌着筒部21から上向きに立上がる外筒部22を有する。嵌着筒部21の下向き端面には、容器本体11の口部12の外周に設けた凹凸状係合部12Aと周方向で噛合い係合する凹凸状係合部21Aが設けられる(図3)。外筒部22の外周面には雄ねじ部22Aが設けられる。
【0014】
ノズルキャップ20は、嵌着筒部21から延在されて容器本体11の口部12の内周面に嵌合される内筒部23を有する。内筒部23の内周部は液溜り部23Aとされ、液溜り部23Aの傾斜状底部23Bに設けた開口25Aの縁に沿うC字断面状の注出筒24を立上げ、注出筒24のC字の切り口をスリット25Bとしている。液溜り部23Aの底部23Bの最下部には、開口25Aとスリット25Bに連なるスリット25Cが設けられる。開口25A、スリット25B、25Cは、ノズルキャップ20の注出口25であり、液注出時の空気置換口、液注出後の液戻し口としても機能する。
【0015】
スクリューリング30は、環状体31の上端内周に内方に突出するように設けた環状突部31Aを、ノズルキャップ20の外筒部22の下部と嵌着筒部21の上部との間の全周に連続して外方に突出するように設けた環状突部22Bと、外筒部22における雄ねじ部22Aの下部の周方向複数位置において外方に突出するように設けた突部22C(図4)とに挟まれる環状溝部22Dに打ち込み係入される。これにより、スクリューリング30は、ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に実質的に移動不能に取付けられる。また、スクリューリング30は、環状体31の下端内周に設けた雌ねじ部31Bにより、容器本体11の口部12の外周に設けた雄ねじ部12Bに螺着される。
【0016】
計量キャップ40は、有底筒状の計量筒部41の外周中間部に設けた外筒部42の内周に設けた雌ねじ部42Aにより、ノズルキャップ20の外筒部22の雄ねじ部22Aに螺着される。このとき、外筒部42の下端は、スクリューリング30の上部と接することがない。
【0017】
しかるに、容器10にあっては、図3、図5に示す如く、容器本体11の口部12とノズルキャップ20の嵌着筒部21のそれぞれに、前述の如く、それらの周方向で互いに噛合い係合する係合部12A、21Aを設けている。スクリューリング30の環状体31の雌ねじ部31Bが容器本体11の口部12の雄ねじ部12Bに着脱されるとき、スクリューリング30と軸方向に沿う双方向で係止しているノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aに係脱するように構成される。容器本体11の係合部12Aは、樹脂成形の型抜き性を考慮し、その口部12の直径方向に相対する2カ所の円弧状部のそれぞれにだけ設けられる。ノズルキャップ20の係合部21Aは、嵌着筒部21の全周に連続して設けられる。
【0018】
容器10は以下の如くに組立てられる。
(1)ノズルキャップ20に取付けられているスクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め付ける。スクリューリング30により軸方向の一方側に押し付けられるノズルキャップ20の係合部21Aの山102の斜面102Aがそれらの締め込み方向(F)で、容器本体11の係合部12Aの山101の斜面101Aに相衝合して係合し、更にスクリューリング30を締め込んでいくとノズルキャップ20の回転が両係合部12A、21Aの係合により制止され、固定される(図6、図7)。
【0019】
(2)ノズルキャップ20の雄ねじ部22Aに計量キャップ40の雌ねじ部42Aを螺着する。尚、上述(1)のノズルキャップ20の雄ねじ部22Aに当初から計量キャップ40の雌ねじ部42Aを螺着しておいても良い。
【0020】
従って、容器10によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ノズルキャップ20の外周に回転自在かつ軸方向に沿う双方向に係止されて取付けられているスクリューリング30を容器本体11の口部12に螺着して締め込んでいくと、スクリューリング30により軸方向の一方向に押し付けられるノズルキャップ20の係合部21Aの山102の斜面102Aが容器本体11の係合部12Aの山101の斜面101Aに相衝合して係合する。更にスクリューリング30を締め込んでいくと、ノズルキャップ20の回転が両係合部12A、21Aの係合により制止され、固定される。
【0021】
これにより、容器10から内容物を抽出する通常使用時に、計量キャップ40をつかんで取り外し回転すると、計量キャップ40がきつく螺着されているノズルキャップ20であっても、該ノズルキャップ20の係合部21Aと容器本体11の係合部12Aとの上述の係合により、ノズルキャップ20は計量キャップ40の回転に共回りしない。これにより、計量キャップ40だけを取り外し、内容物をノズルキャップ20の注出口25から抽出できる。外筒部42の下端とスクリューリング30の上端との間に隙間が存在することで、計量キャップ40に加えられた回転力がスクリューリング30に直接伝わらないことにより、より確実に共回りが防止される。
【0022】
(b)他方、容器10への内容物の詰替え時には、スクリューリング30をつかんで容器本体11の口部12からゆるめていくと、スクリューリング30による軸方向の一方向への押し付けを解除されたノズルキャップ20の係合部21Aが容器本体11の係合部12Aとの係合高さ分以上に軸方向へ変位できるようになる結果、それらの係合部12A、21Aの係合を解除され、該ノズルキャップ20を空転可能にする。これにより、スクリューリング30と軸方向の他方向にも係止しているノズルキャップ20は、スクリューリング30が容器本体11の口部12から取り外されると同時に、容器本体11の口部12から直ちに外れて詰替え容易な広い口部12を形成できる。
【0023】
以下、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aの形状がそれらの噛合い係合性に及ぼす影響について説明する。
【0024】
図6(A)は、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面の傾きよりも急傾斜面(概ね垂直面)にしたものである。これによれば、スクリューリング30の回転により、係合部12Aの山101の斜面101Aと係合部21Aの山102の斜面102Aが相衝合して締め込まれていくとき、山101と山102が互いに噛み込んで停止し、スクリューリング30を更に回転すると、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への山101と山102が隙間なく噛み合ってガタが生じず、安定した噛合い係合状態を確保できる。
【0025】
図6(B)は、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面の傾きよりも緩傾斜面にしたものである。この場合には、スクリューリング30の回転により、係合部12Aの山101の斜面101Aと係合部21Aの山102の斜面102Aが相衝合して締め込まれていくとき、山101と山102が互いに隙間なく噛み合いできず、両係合部12A、21Aを固くなるまで締め込んでも、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への山101と山102のガタ(図6(B)のL)を生じ、安定した噛合い係合状態を確保できない。
【0026】
図7は、図6(A)と同様に、容器本体11の係合部12Aの山101とノズルキャップ20の係合部21Aの山102が、それらの締め込み方向(F)で相衝合する側の斜面101A、102Aの傾きを反対側の斜面101B、102Bの傾きよりも急傾斜面(概ね垂直面)にしたものである。
【0027】
更に、図7では、係合部12Aの山101の緩斜面101Bと係合部21Aの山102の緩斜面102Bの傾きを、図8(A)に示す如く、容器本体11の雄ねじ部12Bとスクリューリング30の雌ねじ部31Bのねじの傾きと同じにした。尚、係合部12Aの山101の緩斜面101Bの傾斜を、図8(B)に示す如く、容器本体11の雄ねじ部12Bとスクリューリング30の雌ねじ部31Bのねじの傾きに対し、ノズルキャップ20の締め込み方向で水平方向に対して大きな角度θの傾斜にしても良い。これらによれば、スクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め込むとき、スクリューリング30に連れ回るノズルキャップ20の係合部21Aの緩斜面102Bが容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bの上面に沿って抵抗なくスムースに滑り、ノズルキャップ20がスクリューリング30にスムースに連れ回る。ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aが容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aに相衝合して締め込まれ、それらの山101と山102が互いに噛み込んで停止する噛合い係合状態に至るものになる。スクリューリング30を更に回転すると、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bがスクリューリング30の軸方向で容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bに近接又は密着するように落とし込まれ、両係合部12A、21Aをゆるめる方向において山101と山102が隙間なく噛み合ってガタが生じず、安定した噛合い係合状態を確保できる。
【0028】
容器本体11とノズルキャップ20は、両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合状態で、容器本体11とノズルキャップ20の両係合部12A、21Aの山101、102の緩斜面101B、102B同士は、図9に示す如く、容器本体11のインナーシール部11Sとノズルキャップ20のインナーシール部20Sとを確実に密着させるため、それらの山101の緩斜面101Bと山102の緩斜面102Bの間に微小隙間gを介することが好ましい。
【0029】
また、容器本体11の係合部12Aの山101が上述の急斜面101Aと緩斜面101Bを備え、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102が上述の急斜面102Aと緩斜面102Bとからなり、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bとノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bの傾きを、容器本体11とスクリューリング30の互いに螺着するねじ12B、31Bの傾きと同じにする上述の図7の例では、更に以下の構成を具備することが好ましい。即ち、図10(A)に示す如く、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着させた状態下で、スクリューリング30の雌ねじ部31Bの先端と、容器本体11の雄ねじ部12Bの先端部とが、スクリューリング30の回転方向で一致したとき、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cと、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cとが、スクリューリング30の回転方向で合致する状態で、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cが、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cに対して、スクリューリング30の軸方向に沿う隙間fを有するものとする。これによれば、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着したとき、ノズルキャップ20の外周に備えるスクリューリング30の回転方向取付位置がいずれにあっても、スクリューリング30の雌ねじ部31Bが必ず容器本体11の雄ねじ部12Bに届き、かつノズルキャップ20の緩斜面102Bが容器本体11の緩斜面101Bに対して上述の隙間fを介する。従って、スクリューリング30の雌ねじ部31Bを容器本体11の雄ねじ部12Bに締め込むとき、図10(A)〜(D)に示す如く、スクリューリング30の回転に連れ回るノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bが、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bに付着している内容液の固着物等に擦れることなく、両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合位置までスムースに回転できるものになる。
【0030】
図11は、図10と異なり、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着した状態で、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の急斜面102Aと緩斜面102Bの交差部102Cが、容器本体11の係合部12Aの山101の急斜面101Aと緩斜面101Bの交差部101Cに対して、スクリューリング30の軸方向に沿う隙間を有しない状態を示したものである。この場合には、スクリューリング30が取付けられたノズルキャップ20を容器本体11の口部12に嵌着したとき、ノズルキャップ20の外周に備えるスクリューリング30の回転方向取付位置によっては、スクリューリング30の雌ねじ部31Bが容器本体11の雄ねじ部12Bに届かず、ノズルキャップ20の緩斜面102Bが容器本体11の緩斜面101Bに対して上述の隙間fを介さない、ノズルキャップ20がスクリューリング30にスムースに連れ回らないものになる。
【0031】
更に、上述の図10の例では、容器本体11の係合部12Aの山101の緩斜面101Bと、ノズルキャップ20の係合部21Aの山102の緩斜面102Bの締め込み方向に沿う1以上の位置、例えば2箇所の位置に、それらの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する噛合い係合状態(図10(D))で、それらが反締め込み方向において係止し合う緩み止め段差部101D、102Dを設けた。これによれば、容器本体11とノズルキャップ20の両係合部12A、21Aの山101、102の急斜面101A、102Aが相衝合する前述の噛合い係合状態で、それらの山101、102の緩斜面101B、102Bが互いに前述の微小隙間g(図9)を介するとき、それらの山101、102の緩斜面101B、102Bに設けてある上記微小隙間以上の段差高さhをもつ緩み止め段差部101D、102Dが互いに係止し合って、両係合部12A、21Aをゆるめる方向への回転を確実に阻止する。
【0032】
本実施形態では、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aを山101、102で構成し、山101をその頂部の両側斜面101A、101Bの組合せからなるものにし、山102をその頂部の両側斜面102A、102Bの組合せからなるものにした。但し、容器本体11の係合部12Aとノズルキャップ20の係合部21Aは、どちらか一方が、その頂部の両側を斜面とするものであればよく、もう一方を平面又は円弧状面からなる頂部の両側を概ね垂直壁面とするように屹立した凸状係合部からなるものにすることもでき、同様の効果が得られる。
【0033】
また、容器本体11とノズルキャップ20の周方向に設ける係合部12Aと係合部21Aの個数を増減させることもできる。特に、係合部12Aと係合部21Aの個数を減らし、容器本体11とノズルキャップ20の周方向の例えば各2箇所に係合部12A、21Aを設けることで、ノズルキャップ20を図1に対する特定の方向、例えば容器本体11の横断面が楕円であるときに、ノズルキャップ20を容器本体11のその楕円の長軸方向に位置合せすることができる。更に、容器本体11とノズルキャップ20の周方向の例えば各1箇所に係合部12A、21Aを設ければ、ノズルキャップ20を容器本体11に対する方向のみならず、特定の向きに定めることもでき、ノズルキャップ20の注出口25を容器本体11に対する特定の方向に位置付けることができ、使い勝手の良い容器10を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、容器の通常使用時における計量キャップの取り外し回転にノズルキャップが共回りして外れることを防止し、内容物の詰替え時にスクリューリングを容器本体から取り外すと同時にノズルキャップも直ちに外れて詰替え容易な広い口部を形成することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 容器
11 容器本体
12 口部
12A 係合部
12B 雄ねじ部
101 山
101A 急斜面
101B 緩斜面
101C 交差部
101D 緩み止め段差部
20 ノズルキャップ
21A 係合部
102 山
102A 急斜面
102B 緩斜面
102C 交差部
102D 緩み止め段差部
25 注出口
30 スクリューリング
31B 雌ねじ部
40 計量キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に嵌着されるノズルキャップと、
ノズルキャップの外周に回転自在に取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングと、
ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなる容器であって、
容器本体とノズルキャップのそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部を設け、スクリューリングが容器本体の口部に着脱されるとき、ノズルキャップの係合部が容器本体の係合部に係脱するように構成した容器。
【請求項2】
前記容器本体の係合部の山とノズルキャップの係合部の山がそれらの締め込み方向で相衝合する急斜面の傾きを反対側の緩斜面の傾きよりも急傾斜にし、
容器本体の係合部の山の緩斜面とノズルキャップの係合部の山の緩斜面の傾きを、容器本体とスクリューリングの互いに螺着するねじの傾きと同じか若しくはそれらの締め込み方向で水平方向に対して大きな角度の傾斜にする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記スクリューリングが取付けられたノズルキャップを容器本体の口部に嵌着させた状態下で、
スクリューリングのねじの先端と、容器本体のねじの先端部とが、スクリューリングの回転方向で一致したとき、
ノズルキャップの係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部と、容器本体の係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部とが、スクリューリングの回転方向で合致する状態で、
ノズルキャップの係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部が、容器本体の係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部に対して、スクリューリングの軸方向に沿う隙間を有する請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器本体の係合部の山の緩斜面と、ノズルキャップの係合部の山の緩斜面に、それらの山の急斜面が相衝合する噛合い係合状態で反締め込み方向に対して係止し合う緩み止め段差部を設けてなる請求項3に記載の容器。
【請求項1】
容器本体の口部に嵌着されるノズルキャップと、
ノズルキャップの外周に回転自在に取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングと、
ノズルキャップに螺着されて該ノズルキャップの注出口を覆う計量キャップとを有してなる容器であって、
容器本体とノズルキャップのそれぞれに、それらの周方向で互いに係合する係合部を設け、スクリューリングが容器本体の口部に着脱されるとき、ノズルキャップの係合部が容器本体の係合部に係脱するように構成した容器。
【請求項2】
前記容器本体の係合部の山とノズルキャップの係合部の山がそれらの締め込み方向で相衝合する急斜面の傾きを反対側の緩斜面の傾きよりも急傾斜にし、
容器本体の係合部の山の緩斜面とノズルキャップの係合部の山の緩斜面の傾きを、容器本体とスクリューリングの互いに螺着するねじの傾きと同じか若しくはそれらの締め込み方向で水平方向に対して大きな角度の傾斜にする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記スクリューリングが取付けられたノズルキャップを容器本体の口部に嵌着させた状態下で、
スクリューリングのねじの先端と、容器本体のねじの先端部とが、スクリューリングの回転方向で一致したとき、
ノズルキャップの係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部と、容器本体の係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部とが、スクリューリングの回転方向で合致する状態で、
ノズルキャップの係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部が、容器本体の係合部の山の急斜面と緩斜面の交差部に対して、スクリューリングの軸方向に沿う隙間を有する請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器本体の係合部の山の緩斜面と、ノズルキャップの係合部の山の緩斜面に、それらの山の急斜面が相衝合する噛合い係合状態で反締め込み方向に対して係止し合う緩み止め段差部を設けてなる請求項3に記載の容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−20787(P2012−20787A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110759(P2011−110759)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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