説明

容量型検出回路

【課題】オフセットをなくし、検出精度を向上させることが可能な容量型検出回路を提供すること。
【解決手段】二つの容量素子C10、C20と全差動アンプ131の二つの入力端子T11、T12との間の設けられた切替回路140と、全差動アンプ131の二つの出力端子T13、T14と容量型検出回路の出力端子T20、T30との間に設けられた切替回路150とによる切替により、全差動アンプ131に接続された電荷検出を行う2つの帰還キャパシタC30、C40の容量差がある場合のオフセットをなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一及び第二の容量素子の差に対応する電圧を検出する容量型検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一端が接続された二つの可変容量型キャパシタに一定の電圧を印加し、これらの可変容量キャパシタの他端を全差動アンプの二つの入力端子にそれぞれ接続する容量型検出回路が知られている。図4は、従来の容量型検出回路を示す図である。
【0003】
容量型検出回路10は、検出回路11、キャリア信号発生回路12、C−V変換回路13を有する。検出回路11は、物理量の変化を検出するものであり、可変容量型キャパシタ(以下、キャパシタ)15、16を有する。キャパシタ15、16の一端は接続されており、共通端子aを形成する。尚物理量とは、例えば圧力、加速度、角速度等である。
【0004】
検出回路13は、全差動アンプ17、帰還キャパシタ18、19、帰還抵抗20、21を有する。帰還キャパシタ18及び帰還抵抗20の一端は、全差動アンプ17の反転入力端子T1と接続されており、帰還キャパシタ18及び帰還抵抗20の他端は全差動アンプ17の非反転出力端子T3に接続されている。帰還キャパシタ19及び帰還抵抗21の一端は、全差動アンプ17の非反転入力端子T2と接続されており、帰還キャパシタ19及び帰還抵抗21の他端は全差動アンプ17の反転出力端子T4に接続されている。
【0005】
全差動アンプ17の反転入力端子T1は、キャパシタ15の一端(非共通端子)と接続されており、全差動アンプ17の非反転入力端T2は、キャパシタ16の一端(非共通端子)と接続されている。
【0006】
容量型検出回路10では、検出回路11に物理量が作用していない場合、キャパシタ15、16の容量(Cs)は同一である。よって全差動アンプ17では、反転入力端子T1及び非反転入力端子T2の電位を同電位に保持するためにキャパシタ15と帰還キャパシタ18との間、キャパシタ16と帰還キャパシタ19との間の電荷の移動量は等しくなる。
【0007】
したがって全差動アンプ17の非反転出力端子T3から出力される出力信号Vout1と反転出力端子T4から出力される出力信号Vout2は等しくなる。
【0008】
また検出回路11に物理量が作用した場合、キャパシタ15、16の容量はCs+ΔCs、Cs−ΔCsにそれぞれ変化する。すると全差動アンプ17の反転入力端子T1と非反転入力端子T2の電位を同電位とするため、キャパシタ15、16に蓄えられる電荷の量に差が生じる。
【0009】
全差動アンプ17は、キャパシタ15、16に蓄えられる電荷の量を補うように、キャパシタ15と帰還キャパシタ18との間で電荷を移動させる。またキャパシタ16と帰還キャパシタ19との間で電荷を移動させる。全差動アンプ17は、電荷の移動量に応じた電位差となる出力信号Vout1、Vout2をそれぞれ非反転出力端子T3と反転出力端子T4から出力する。
【0010】
例えば特許文献1には、2つの静電容量の比を検出する静電容量比検出装置が記載されている。
【特許文献1】特開平11−51991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の容量型検出回路では、電荷検出を行う2つの帰還キャパシタ18、19の容量は、製造工程で誤差が生じる。帰還キャパシタ18、19の容量に誤差がある場合、可変容量型キャパシタ15、16の容量変化と等価な信号を発生し、出力誤差となる。
【0012】
例えば上記容量型検出回路10において、キャパシタ15、16に供給される電圧をVm、全差動アンプ17の反転入力端子T1及び非反転入力端子T2の電圧をVi、キャパシタ15の容量をCs+ΔCs、キャパシタ16の容量をCs−ΔCs、帰還キャパシタ18の容量をCf+ΔCf、帰還キャパシタ19の容量をCf−ΔCfとした場合、容量型検出回路10の出力信号Vout1、Vout2は以下の式(1)で示される。
【0013】
【数1】


これを解くと、以下の式(2)に示すようになる。
【0014】
【数2】


ここで検出すべき容量変化量ΔCsが0である場合、式(3)に示すようになる。
【0015】
【数3】


よって検出すべき容量変化量ΔCsが0である場合、ΔCfが存在すると出力信号の差が0にならず、オフセットとなり、出力に誤差が生じる。
【0016】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、オフセットをなくし、検出精度を向上させることが可能な容量型検出回路を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記目的を達成するために以下の如き構成を採用した。
【0018】
本発明は、第一及び第二の容量素子と、当該容量型検検出回路の第一及び第二の出力端子との間に接続される全差動アンプを有し、前記第一及び第二の出力端子から出力される出力信号の差により前記第一及び第二の容量素子の差に対応する電圧を検出する容量型検出回路であって、前記第一及び第二の容量素子と前記全差動アンプの有する第一及び第二の入力端子との間に設けられた第一の切替手段と、前記第一及び第二の出力端子と前記全差動アンプの有する第三及び第四の出力端子との間に設けられた第二の切替手段と、前記第一及び第二の切替手段の切替制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第一の切替手段により、前記第一の入力端子に接続される前記容量素子を前記第一の容量素子から前記第二の容量素子へ切り替え、前記第二の入力端子に接続される前記容量素子を前記第二の容量素子から前記第一の容量素子へ切り替え、前記第二の切替手段により、前記第三の出力端子に接続される出力端子を、前記第一の出力端子から前記第二の出力端子へ切り替え、前記第四の出力端子に接続される出力端子を、前記第二の出力端子から前記第一の出力端子へ切り替える構成とした。
【0019】
また本発明の容量型検出回路において、前記第一の切替手段及び前記第二の切替手段は、それぞれ双極双投スイッチにより構成されても良い。
【0020】
また本発明の容量型検出回路は、前記第一及び第二の容量素子に印加される所定周波数の信号を生成する信号生成手段を有し、前記制御手段は、前記信号と同期して、前記第一の切替手段と前記第二の切替手段とにより、前記第一の入力端子に前記第一の容量素子が接続され、前記第二の入力端子に前記第二の容量素子が接続され、前記第三の出力端子に前記第一の出力端子が接続され、前記第四の出力端子に前記第二の出力端子が接続された第一の状態から、前記第一の入力端子に前記第二の容量素子が接続され、前記第二の入力端子に前記第一の容量素子が接続され、前記第三の出力端子に前記第二の出力端子が接続され、前記第四の出力端子に前記第一の出力端子が接続された第二の状態へ切り替える構成としても良い。
【0021】
また本発明の容量型検出回路において、前記制御手段は、前記第一の状態の時間長と前記第二の状態の時間長とが等しくなるように前記第一の切替手段と前記第二の切替手段とを制御する構成としても良い。
【0022】
また本発明の容量型検出回路では、前記全差動アンプと前記第二の切替手段との間に、前記全差動アンプの出力信号を復調する復調手段を有する構成としても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オフセットをなくし、検出精度を向上させることが可能な容量型検出回路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、二つの容量素子と全差動アンプの二つの入力端子との間の設けられた第一の切替手段と、全差動アンプの二つの出力端子と容量型検出回路の出力端子との間に設けられた第二の切替手段とによる切替により、全差動アンプに接続された電荷検出を行う2つの帰還キャパシタの容量差がある場合のオフセットをなくす。
【0025】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について接続する。図1は、本発明の第一の実施形態の容量型検出回路100を示す図である。
【0026】
本実施形態の容量型検出回路100は、検出回路110、キャリア信号生成回路120、C−V変換回路130、切替回路140、切替回路150、切替制御回路160を有する。
【0027】
検出回路110は、物理量の変化を検出するものであり、可変容量型キャパシタ(以下、キャパシタ)C10、C20を有する。キャパシタC10、C20の一端は接続されており、その接続点にキャリア信号生成回路120の出力が接続されている。キャリア信号生成回路120は、所定周波数の信号を生成し、生成した信号をキャパシタC10、C20へ供給する。尚物理量とは、例えば圧力、加速度、角速度等である。
【0028】
C−V変換回路130は、検出回路110で検出されるキャパシタC10とキャパシタC20の容量差に対応した電圧を出力する。C−V変換回路130は、全差動アンプ131、帰還キャパシタC30、C40、帰還抵抗R10、R20を有する。
【0029】
帰還キャパシタC30及び帰還抵抗R10の一端は、全差動アンプ131の反転入力端子T11と接続されており、帰還キャパシタC30及び帰還抵抗R10の他端は全差動アンプ131の非反転出力端子T13に接続されている。帰還キャパシタC40及び帰還抵抗R20の一端は、全差動アンプ131の非反転入力端子T12と接続されており、帰還キャパシタC40及び帰還抵抗R20の他端は全差動アンプ131の反転出力端子T14に接続されている。
【0030】
切替回路140は、検出回路110とC−V変換回路130との間に接続されており、切替制御回路160により制御される。切替回路140は、全差動アンプ131の反転入力端子T11に接続されるキャパシタをキャパシタC10からキャパシタC20へ、又はキャパシタC20からキャパシタC10へ切り替える。また切替回路140は、全差動アンプ131の非反転入力端子T12に接続されるキャパシタをキャパシタC20からキャパシタC10へ、又はキャパシタC10からキャパシタC20へ切り替える。
【0031】
本実施形態の切替回路140は、スイッチSW1〜スイッチSW4を有する。スイッチSW1とスイッチSW3の一端は、キャパシタC10の他端と接続されている。スイッチSW2とスイッチSW4の一端はキャパシタC20の他端と接続されている。スイッチSW1とスイッチSW2の他端は、全差動アンプ131の反転入力端子T11と接続されている。スイッチSW3とスイッチSW4の他端は、全差動アンプ131の非反転入力端子T12と接続されている。
【0032】
本実施形態の切替回路140のスイッチSW1〜スイッチSW4は、切替制御回路160から出力される制御信号によりオン/オフが制御される。本実施形態では、切替制御回路160からハイレベル(以下、Hレベル)の制御信号が出力されたとき、スイッチSW1とスイッチSW4とがオンとなり、スイッチSW2とスイッチSW3とがオフとなる。また切替制御回路160からローレベル(以下、Lレベル)の制御信号が出力されたとき、スイッチSW1とスイッチSW4がオフとなり、スイッチSW2とスイッチSW3とがオンとなる。尚本実施形態の切替回路140は、例えば半導体を用いて実現されても良い。
【0033】
切替回路150は、C−V変換回路130と容量型検出回路100の2つの出力端子との間に接続されており、切替制御回路160により制御される。切替回路150は、全差動アンプ131の非反転出力端子T13に接続される容量型検出回路100の出力端子を出力端子T20から出力端子T30へ、又は出力端子T30から出力端子T20へ切り替える。また切替回路150は、全差動アンプ131の反転出力端子T14に接地される容量型検出回路100の出力端子を出力端子T30から出力端子T20へ、又は出力端子T20から出力端子T30へ切り替える。
【0034】
本実施形態の切替回路150は、スイッチSW5〜スイッチSW8を有する。スイッチSW5とスイッチSW7の一端は、非反転出力端子T13に接続されている。スイッチSW6とスイッチSW8の一端は反転出力端子T14と接続されている。スイッチSW5とスイッチSW6の他端は、出力端子T20と接続されている。スイッチSW7とスイッチSW8の他端は、出力端子T30と接続されている。
【0035】
本実施形態の切替回路150のスイッチSW5〜スイッチSW8は、切替制御回路160から出力される制御信号によりオン/オフが制御される。本実施形態では、切替制御回路160からHレベルの制御信号が出力されたとき、スイッチSW5とスイッチSW8とがオンとなり、スイッチSW6とスイッチSW7とがオフとなる。また切替制御回路160からLレベルの制御信号が出力されたとき、スイッチSW5とスイッチSW8がオフとなり、スイッチSW6とスイッチSW7とがオンとなる。尚本実施形態の切替回路150は、例えば半導体を用いて実現されても良い。
【0036】
切替制御回路160は、切替回路140、150の有するスイッチのオン/オフを制御する制御信号を出力する。本実施形態の切替制御回路160は、キャリア信号生成回路120により生成されたキャリア信号と同期して、且つキャリア信号よりも周波数の低い制御信号を出力する。
【0037】
次に本実施形態の容量型検出回路100の動作について説明する。始めに切替制御回路160からHレベルの信号が出力されている場合を説明する。
【0038】
本実施形態の切替制御回路160から切替制御回路140からHレベルの信号が出力されている場合、切替回路140のスイッチSW1、SW4、切替回路150のスイッチSW5、SW8がオンとなり、切替回路140のスイッチSW2、SW3、切替回路150のスイッチSW6、SW7はオフとなっている。
【0039】
よって全差動アンプ131の反転入力端子T11はキャパシタC10と接続されており、非反転出力端子T13は出力端子T20と接続されている。また全差動アンプ131の非反転入力端子T12はキャパシタC20と接続されており、反転出力端子T14は出力端子T30と接続されている。以下の本実施形態の説明において、この状態を第一の状態と呼ぶ。
【0040】
切替制御回路160から出力される制御信号が、HレベルからLレベルへ切り替わると、切替回路140のスイッチSW1、SW4、切替回路150のスイッチSW5、SW8がオンからオフに切り替わり、切替回路140のスイッチSW2、SW3、切替回路150のスイッチSW6、SW7はオフからオンへ切り替わる。
【0041】
よって全差動アンプ131の反転入力端子T11はキャパシタC20と接続されており、非反転出力端子T13は出力端子T30と接続されている。また全差動アンプ131の非反転入力端子T12はキャパシタC10と接続されており、反転出力端子T14は出力端子T20と接続されている。以下の本実施形態の説明において、この状態を第二の状態と呼ぶ。
【0042】
本実施形態では、切替制御回路160により、第一の状態から第二の状態への切り替え、又は第二の状態から第一の状態への切り替えを行う。図2は、第一の実施形態の切替制御回路160から出力される制御信号を示すタイミングチャートである。
【0043】
本実施形態の切替制御回路160は、キャリア信号生成回路120で生成されるキャリア信号と同期して、切替回路140、150による切り替えを制御する制御信号φを出力する。本実施形態では、制御信号φがHレベルの期間t1は、容量型検出回路100は第一の状態となり、制御信号φがLレベルの期間t2は、容量型検出回路100は第二の状態となる。尚本実施形態の切替制御回路160は、期間t1と期間t2とが同じ長さとなるように、制御信号φを出力する。
【0044】
図1に戻って、以下に、本実施形態において切替制御回路160により切り替えを行った場合の容量型検出回路100の出力電圧について説明する。
【0045】
本実施形態の容量型検出回路100において、キャリア信号によりキャパシタC10、C20へ供給される電圧をVm、全差動アンプ131の反転入力端子T11及び非反転入力端子T12の電圧をVi、キャパシタC10の容量を(Cs+ΔCs)、キャパシタC20の容量を(Cs−ΔCs)(ΔCsは検出すべき容量変化量)、帰還キャパシタC30の容量を(Cf+ΔCf)、帰還キャパシタC40の容量を(Cf−ΔCf)(ΔCfは、キャパシタC30とキャパシタC40の容量誤差)、全差動アンプ131の反転出力端T13から出力される出力電圧をVo1、反転出力端T14から出力される出力電圧をVo2とする。
【0046】
ここで第一の状態の場合、全差動アンプ131の出力電圧(Vo1−Vo2)は、以下の式(4)で示される。
【0047】
【数4】


これを解くと、以下の式(5)に示すようになる。
【0048】
【数5】


また第二の状態の場合、全差動アンプ131の出力電圧(Vo1−Vo2)は、以下の式(6)で示される。
【0049】
【数6】


これを解くと、以下の式(7)に示すようになる。
【0050】
【数7】


本実施形態では、切替制御回路160により、容量型検出回路100の状態を第一の状態から第二の状態へ、又は第二の状態から第一の状態へ切り替える。よって全差動アンプ131は、式(5)に示す出力電圧(Vo1−Vo2)と、式(7)に示す出力電圧(Vo1−Vo2)とを交互に出力することになる。
【0051】
本実施形態の容量型検出回路100では、全差動アンプ131の後段の切替回路150により、切替回路140で一度極性反転された信号を再度極性反転して出力する。よって本実施形態の容量型検出回路100の出力端子T20から出力される出力電圧をVos1、出力端子T30から出力される出力電圧をVos2とすると、容量型検出回路100の出力電圧(Vos1−Vos2)は、第一の状態において以下の式(8)、第二の状態において以下の式(9)となる。
【0052】
【数8】

【0053】
【数9】


本実施形態では、第一の状態である期間t1と第二の状態である期間t2とは、同じ長さであるから、出力電圧(Vos1−Vos2)を平均化すると以下の式(10)に示すようになる。
【0054】
【数10】


式(10)において、検出すべき容量変化量ΔCsが0であった場合、式(11)に示すように、出力電圧Vos1と出力電圧Vos2との差が0になる。
【0055】
【数11】


よって本実施形態によれば、電荷検出を行うための帰還キャパシタC30の容量とC40の容量に差がある場合でも、オフセットが生じることを防止することができる。よって本実施形態によれば、出力誤差の発生を防止し、容量変化の検出精度を向上させることができる。
【0056】
尚本実施形態では、切替制御回路160は、キャリア信号と同期した制御信号により切替回路140、150に制御を行うものとしたが、キャリア信号と制御信号とが非同期の場合にも本実施形態を適用することができる。また本実施形態では、切替回路140、150の制御を行う制御信号の周波数は、キャリア信号の周波数よりも低く設定したが、その比を限定する必要はない。本実施形態では、制御信号の周波数が、キャリア信号の周波数よりも低く設定されていれば良い。
【0057】
さらに本実施形態では、第一の状態である期間t1と第二の状態である期間t2とが同じ長さになるように、切替回路140、150による切替を制御するものとしたが、これに限定されない。期間t1と期間t2とが同じ長さでない場合にも、本実施形態を適用することによりオフセットを小さくして出力誤差を低減させることができる。
【0058】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、全差動アンプ131と切替回路150との間に復調回路170を設けた点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0059】
図3は、本発明の第二の実施形態の容量型検出回路100Aを示す図である。本実施形態の容量型検出回路100Aは、全差動アンプ131の後段に接続された復調回路170を有する。
【0060】
復調回路170には、全差動アンプ131の非反転出力端子T13から出力される信号と、反転出力端子T14から出力される信号とが入力される。また復調回路170の一方の出力は、切替回路150のスイッチSW5とスイッチSW7の一端に接続されている。復調回路170の他方の出力は、切替回路150のスイッチSW6とスイッチSW8の一端に接続されている。
【0061】
本実施形態では、キャリア信号にてAM変調された全差動アンプ131の出力信号を、復調回路170により検波した後に、切替回路150による切替を行っても良い。
【0062】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、容量型検出回路に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第一の実施形態の容量型検出回路100を示す図である。
【図2】第一の実施形態の切替制御回路160から出力される制御信号を示すタイミングチャートである。
【図3】第二の実施形態の容量型検出回路100Aを示す図である。
【図4】従来の容量型検出回路を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
100、100A 容量型検出回路
110 検出回路
120 キャリア信号生成回路
130 C−V変換回路
140、150 切替回路
160 切替制御回路
170 復調回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の容量素子と、当該容量型検検出回路の第一及び第二の出力端子との間に接続される全差動アンプを有し、前記第一及び第二の出力端子から出力される出力信号の差により前記第一及び第二の容量素子の差に対応する電圧を検出する容量型検出回路であって、
前記第一及び第二の容量素子と前記全差動アンプの有する第一及び第二の入力端子との間に設けられた第一の切替手段と、
前記第一及び第二の出力端子と前記全差動アンプの有する第三及び第四の出力端子との間に設けられた第二の切替手段と、
前記第一及び第二の切替手段の切替制御を行う制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記第一の切替手段により、
前記第一の入力端子に接続される前記容量素子を前記第一の容量素子から前記第二の容量素子へ切り替え、
前記第二の入力端子に接続される前記容量素子を前記第二の容量素子から前記第一の容量素子へ切り替え、
前記第二の切替手段により、
前記第三の出力端子に接続される出力端子を、前記第一の出力端子から前記第二の出力端子へ切り替え、
前記第四の出力端子に接続される出力端子を、前記第二の出力端子から前記第一の出力端子へ切り替える容量型検出回路。
【請求項2】
前記第一の切替手段及び前記第二の切替手段は、
それぞれ双極双投スイッチにより構成される請求項1記載の容量型検出回路。
【請求項3】
前記第一及び第二の容量素子に印加される所定周波数の信号を生成する信号生成手段を有し、
前記制御手段は、前記信号と同期して、
前記第一の切替手段と前記第二の切替手段とにより、
前記第一の入力端子に前記第一の容量素子が接続され、前記第二の入力端子に前記第二の容量素子が接続され、
前記第三の出力端子に前記第一の出力端子が接続され、前記第四の出力端子に前記第二の出力端子が接続された第一の状態から、
前記第一の入力端子に前記第二の容量素子が接続され、前記第二の入力端子に前記第一の容量素子が接続され、
前記第三の出力端子に前記第二の出力端子が接続され、前記第四の出力端子に前記第一の出力端子が接続された第二の状態へ切り替える請求項1又は2記載の容量型検出回路。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第一の状態の時間長と前記第二の状態の時間長とが等しくなるように前記第一の切替手段と前記第二の切替手段とを制御する請求項3記載の容量型検出回路。
【請求項5】
前記全差動アンプと前記第二の切替手段との間に、前記全差動アンプの出力信号を復調する復調手段を有する請求項1乃至4の何れか一項に記載の容量型検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−250918(P2009−250918A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102251(P2008−102251)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】