説明

密封容器

【課題】開封直後に噴出せず、それにより周囲に飛び散る危険性が少ない密封容器を提供する。
【解決手段】容器本体12と、その容器本体12に充填される内容物と、容器本体12内に連結され、内容物を吐出する排出部材13とを備えており、前記排出部材13は、その先端部13bが外部に開口しており、その先端部13bから離れた位置かつ前記容器本体12の内部に、常時は容器本体12の内部と連通せず、外力により開放されて連通する閉鎖部を有しており、前記内容物が、少なくとも前記閉鎖部が開放される際に、外部に吐出するための蒸気圧を有するものである、密封容器10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より市販されている弁当などには、醤油やマヨネーズ、ドレッシングなどを小さい袋に充填したものが付いていることがある。そのような袋は、図9に示すように、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製のシート101を2枚重ね、周縁部102を熱溶着して密封している。そして熱溶着した一部に切れ目103を設けており、使用時に切れ目103から袋100の一部を切断して内容物を取り出す構造になっている。この製品では、切れ目103から切断し、袋100を指で押さえて内容物を取り出すが、袋100を押した状態で切れ目103を切断してしまうと内容物が思わぬ方向に飛び散る場合がある。そのためこのような袋を開封する場合は、周縁部102を摘むなど、できるだけ袋100を押さずに切れ目103を切断する必要がある。
【0003】
また、常温で気化する内容物、あるいは蒸気圧を有する内容物を充填した袋の場合は、袋100を押さない状態で開封しても、切れ目103から内容物が飛び出てくる。そのため、切れ目103を内容物を受ける容器などに向けた上で、慎重に開封したり、切れ目103を上に向けて少し開封し、一旦ガスだけを放出し、その後、大きく開封するなどの手順が必要である。
【0004】
他方、図10に示すような、袋100の角部分などに先端が閉じた細い通路104を設け、その通路の途中を切断させるように切れ目103を設けたものもある。このものは想像線のように切断した後、内容物は通路104の方向に飛び出す。そのため容器などに受けやすい利点がある。しかし切断した直後に切り口から内容物が飛び出す点では前述の場合と同じであり、周囲を汚すおそれは充分には解消されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は誤って指で押圧した状態で開封しても、さらに内容物が蒸気圧を有するものであっても、開封直後に噴出せず、そのため周囲に飛び散る危険性が少ない密封容器を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の密封容器(請求項1)は、容器本体と、その容器本体に連結される排出部材とからなり、排出部材の先端部は外部に開口しており、排出部材の先端部から離れた位置に、常時は容器本体の内部と連通せず、外力により開放されて連通する閉鎖部を有することを特徴としている。
【0007】
このような密封容器では、前記排出部材が容器本体内に内装されており、排出部材の先端が容器本体の一端で外部に開口しているものが好ましい(請求項2)。また、前記閉鎖部は、排出部材の基端近辺に設けられた、折り曲げおよび/または捻りによって破断する弱め線を有する部材から構成しうる(請求項3)。さらに容器本体の内部を隔壁によって少なくとも2室に仕切り、閉鎖部を開放するときに各室が排出部材と連通するように構成することもできる(請求項4)。さらに排出部材が容器内部に内装されている場合は、容器本体の内部を排出部材によって少なくとも2室に仕切り、閉鎖部を開放するときに各室が排出部材と連通するように構成することもできる(請求項5)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の密封容器(請求項1)は、常時、排出部材は閉鎖部により閉じているので、容器内部と排出部材とは連通していない。そのため排出部材の内部が先端部の開口で外部と連通していても、容器本体の内部は密封されている。そして閉鎖部を外力で連通させると、内容物は、直接外部に噴出せず、まず排出部材内に入る。そして内容物は排出部材にある程度溜まった後、排出部材の開口から外部に出てくる。すなわちこの密封容器では排出部材がいわばバッファとして機能し、閉鎖部を開封してから排出部材の先端から内容物が吐出するまでは若干の経過時間があるので、いきなり排出口より飛び出したりすることはない。そのため、使用者は内容物の吐出に備えて開口を受け皿などに向けることができる。
【0009】
前記排出部材が容器本体内に内装されており、排出部材の先端が容器本体の一端で外部に開口している密封容器(請求項2)では、排出部材が容器本体の内部に内装されているので、全体の長さを短くすることができ、取り扱いに便利である。さらに片手で容器本体の端部の開口を吐出させるべき受け皿などに向けさせ、反対側の手で先端部から離れた位置の閉鎖部を開放させることができるので、操作性がよい。
【0010】
前記閉鎖部が、排出部材の基端近辺に設けられた、折り曲げおよび/または捻りによって破断する弱め線を有する部材からなる密封容器(請求項3)では、排出部材の基端部を容器本体の外側から折り曲げたり、捻ったりして容易に破断することができ、それにより閉鎖部を容易に連通させることができる。
【0011】
容器本体の内部が隔壁によって少なくとも2室に仕切られており、閉鎖部を開放するときに各室が排出部材と連通するように構成されている密封容器(請求項4)では、二種類の内容物を別々に収容しておくことができ、使用時に排出部材の内部で混合することができる。なお、一種類の内容物を各室に充填しておくこともできる。容器内部に排出部材が内装されている密封容器の場合は、容器本体の内部を仕切る隔壁として、排出部材を採用することもできる(請求項5)。このものは、別個に隔壁を準備する必要が無く、部品が少なくて済む。さらに容器本体は排出部材によって補強および保形されるので、重量のある内容物を収納した場合でも安定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発明の密封容器の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図2aおよび図2bはそれぞれ図1の密封容器の一部切り欠き平面図および縦断面図である。
【図3】図3a〜cはそれぞれ本発明に関わる閉鎖部の他の実施形態を示す一部切り欠き要部正面図である。
【図4】図4a〜cはそれぞれ本発明の密封容器の他の実施形態を示す横断面図である。
【図5】本発明の密封容器のさらに他の実施形態を示す一部切り欠き平面図である。
【図6】本発明の密封容器のさらに他の実施形態を示す一部切り欠き平面図である。
【図7】本発明の密封容器のさらに他の実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図8】本発明の密封容器のさらに他の実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図9】従来の密封容器の一例を示す一部切り欠き平面図である。
【図10】従来の密封容器の一例を示す一部切り欠き平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す密封容器10は、重ね合わせて周縁部11を熱溶着した2枚のシートからなる袋状の容器本体12と、その容器本体内に内装された筒状の排出部材13とから構成されている。容器本体12の中央部の内部で、排出部材13を除く範囲の2枚のシートの間
の空間Sは、内容物を充填する収納部である。なお1枚のシートを二つ折りにして3辺を熱溶着することにより、袋状とすることもでき、筒状のシートの両端を密封することにより、袋状にすることもできる。
【0014】
前記容器本体12を構成するシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど、従来公知の密封容器に使用される熱溶着可能な合成樹脂製の可撓性のシートが用いられる。なお上記の熱溶着性を有する内層フィルムに、ガスバリア性を有するアルミニウム箔などの金属箔を積層したり、アルミニウムなどの金属やシリカ、炭素などを蒸着した外層フィルムを積層するなど、異なる種類の材質の2枚以上のフィルムを積層したラミネートシートを用いてもよい。さらに容器本体12を構成する2枚のシートは通常は同じ種類の材質のシートであるが、異なる種類のシートを用いてもよい。また、互いに熱溶着しない2枚のシートを用い、それらの間に両方に対して熱溶着可能なフィルムを介在させてもよく、さらに接着剤をコーティングして接着することもできる。
【0015】
前記排出部材13は、先端部13bが開放され、基端部13aが閉じている筒状の部材であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂で構成される。なお、金属やガラスなど、他の材料でもよい。排出部材13は内容物の内圧によって中空部が押しつぶされない程度の固さを有するものが好ましい。ただし可撓性を有するもの、柔軟なものであってもよい(図8参照)。排出部材13の基端部13aには、平板状の摘み片14が一体に設けられている。摘み片14の根元部14aは、この実施形態では排出部材13の蓋になっている。排出部材13の外周で、基端部13aからいくらか先端側に寄った位置には、折り曲げあるいは捻りによって容易に破断させることができ、しかも破断される前は排出部材13の内部と外部を気密・液密状態を維持する環状の溝(弱め線)15が形成されている。弱め線15は請求項1の閉鎖部であり、容器本体12の収納部S内に配置されている。なお図1では排出部材13の断面形状は円形であるが、楕円状であってもよく、角筒状であってもよい。
【0016】
排出部材13の基端部13aの近辺および先端部13bは図2aおよび図2bに示すように、それぞれ2枚のシートの間に挟まれ、収納部Sと外部との気密性および液密性を維持するように熱溶着または接着されている。なお摘み片14を挟むように熱溶着してもよく、そのほうが排出部材13とシートとの密着性が強くなって操作がし易くなる。さらに摘み片14を捻ったときにシートと排出部材13の熱溶着が剥がれにくい。
【0017】
このように構成される密封容器10に内容物を充填するには、たとえば容器本体12の周縁部11の一辺、たとえば図2の下部側を熱溶着せずに開放しておき、その開放部から内容物を充填し、その後、熱溶着して密封する。内容物は通常はドレッシングや化粧水、シャンプー、リンスなどの液体、マヨネーズなどのクリーム状のものなど、従来、袋に充填していたものをいずれも採用しうる。
【0018】
内容物を充填し、密封した密封容器10は、図2bに示すように、収納部Sが外部から遮断されている。この密封容器10を開封するには、たとえば片方の手で容器本体12の上から排出部材13の先端部13bないし中央部を摘み、他方の手で摘み片14を摘んで捻る。そうすると図2の弱め線15の位置で排出部材13が破断され、基端部13a側と先端部13b側とに分離する。なお、容器本体12は可撓性を有するので、摘み片14を捻るときにそれほど邪魔にならない。そして弱め線15で完全に分離した後も、摘み片14と基端部13aは容器本体12に挟まれているので、抜け落ちることはなく、容器本体12に付着されている。しかし一旦分離した弱め線15の部位はシール作用が奏されないので、内容物は、矢印Pで示すように、排出部材13の破断によって生じた開口部16から排出部材13の内部に入る。
【0019】
しかし排出部材13の内部はそれまで空洞であったため、その空洞内に内容物が入っても直ちに先端部13bの開口から噴出することはない。そしていくらか時間が経過してから、開口から内容物が流れ出る。そのため使用者は摘み片14を捻るときはその作業に集中することができ、弱め線15で排出部材13を破断した後、内容物を開口からたとえば受け皿などに流し出すことに集中できる。このように破断した直後でも、内容物が一旦排出部材13内に入っていわばバッファ作用が奏されるので、内圧がある場合でも、破断とともに噴出するおそれがない。
【0020】
したがって内容物としては、水、アルコールなどの常温で蒸気圧が低い成分のほか、ブタン、ペンタン、ヘキサンなど、常温で蒸気圧を有するもの、あるいは混合することにより蒸気圧を発生する成分を含んでいてもよい。蒸気圧を有する成分を含む場合、該成分や、該成分と共に配合される成分、さらに容器本体を冷却してから充填するのが好ましい。そのような蒸気圧を有するものでも、開封後に噴出することがない。また、蒸気圧によって生ずる内圧を有効に利用し、内容物の圧力で噴出させるようにしてもよい。前記内容物の具体例としては、水、低級アルコール、多価アルコール、シリコーンオイル、炭化水素油、エステルオイルなどに、トリートメント剤、セット剤、艶消し剤、染毛剤、脱毛剤などの頭髪用、皮膚軟化剤、保湿剤、角質除去剤、殺菌剤、消毒剤、クレンジング剤、シェービング剤、制汗剤、消炎鎮痛剤、害虫忌避剤、化粧水、コロン、消臭剤、美白剤などの人体用などの有効成分を溶解もしくは分散させたもの、さらにこれらに前記蒸気圧を有する成分を配合したものがあげられる。また、吐出形態(ミスト、泡、クリーム、ゲル)に応じて、界面活性剤や増粘剤などを配合することができる。
【0021】
図1の密封容器10では、排出部材13の基端部13aの近辺に形成した環状溝15によって閉鎖部が形成されているが、折り曲げによって破断させる場合は、排出部材13の上面側あるいは下面側に線状の溝を形成してもよく、両方に形成してもよい。また、側面側に弱め線を形成してもよい。さらに図3aに示すように、排出部材13を基端部側21と先端部側22とをあらかじめ分離しておき、両者の端面21a、22a同士を当接させた上で、その隙間をアルミニウム箔などの容易に破断しうるシート23で密封するようにしてもよい。
【0022】
図3bに示す閉鎖部25は、排出部材13の基端部13aを開口させ、その開口部26にプラグ27を液密状態で詰めている。そしてプラグ27の端部に摘み28を一体に設けている。このものは摘み28を摘んでプラグ27を排出部材13の基端部13aから抜き取ると、開口部26によって排出部材13の内部と容器本体12の収納部Sとが連通する。
【0023】
図3cに示す閉鎖部30では、排出部材13の基端部13aを円筒状に構成し、その内部に円筒状のプラグ31を回動自在に、且つ、液密状態で嵌合させている。そして排出部材13の基端部13aおよびプラグ31には、それぞれ特定の回転位置で連通する窓32、33が形成されている。そして通常はプラグ31は、窓32、33同士が連通しない位置に係止させておき、使用時にプラグ31を回動させて窓32、33同士を連通させる。
【0024】
上記のように、本発明の密封容器における閉鎖部の構成はとくに限定が無く、使用するまでは排出部材の内部と収納部との連通を阻止し、使用時に外力によって連通させうるものであれば、いずれの構成も採用しうる。また、前記の実施形態では、閉鎖部を連通させるときの外力を加える手段として、摘み片や摘みを用いており、それらは容器本体12の外部に突出させている。そのため操作しやすい。しかし容器本体12を構成するシートが、その上から摘み片を操作できるほど柔軟なものであれば、摘み片などを容器本体12の内部に入れておくこともできる。
【0025】
また排出部材13の先端部13bもとくに限定はなく、容器本体13から突出させてもよい。また、内径が排出部材13の空洞の内径よりも細いノズルを装着してもよい。さらにこれにチューブを連結するようにしてもよい。
【0026】
図4a〜cは容器本体の内部を隔壁で仕切った密封容器の実施形態を示している。図4aの密封容器34では、容器本体を構成する2枚のシート35の間に同様なシートからなる隔壁36が介在され、周縁部11で一緒に熱溶着されている。また隔壁36内側の端縁は、排出部材13の側面に熱溶着されている。このものは隔壁36で容器本体12の内部が2室に分割されているので、それぞれの室37、38に別の種類の内容物を混合しないように充填しておくことができる。そのため、2液タイプの染毛剤や、2液タイプの接着剤など、充填時には分離して保管しておき、使用時に初めて混合する2液を充填するために利用しうる。前述した混合により蒸気圧を発生するタイプの内容物も、このような密封容器34に充填するのが好ましい。前述のように、2液を排出部材内で混合し、この状態で出してもよいが、排出部材を分割し、2液を別々に吐出してもよい。
【0027】
このような隔壁36を設ける場合は、排出部材13が安定し、容器全体の形状保持性も高まる。また、このような利点があるため、同一の内容物を充填してもよい。このものに図1の閉鎖部を設ける場合は、摘み片14を捻って開封することもできるが、隔壁36が設けられている側と反対側が開くように、排出部材13を折り曲げるほうが容易に弱め線15を破断しうる。それにより開放された排出部材13の開口は、いずれの室37、38とも連通し、排出部材13の内部で2種類の内容物が混合され、その後、先端の開口から吐出される。なお隔壁36を1枚のシートとし、その中央部を排出部材13の片面に熱溶着してもよいが、その場合は弱め線に対応する部位に窓をあけるなどにより、閉鎖部の開封後における収納部Sと排出部材13の連通を確保する。
【0028】
図4bに示す密封容器40は、収納部を左右方向に仕切る隔壁36のほか、上下方向に仕切る隔壁41を有し、全体として4つの室に分割している。そのため4種類の内容物を充填しておくことができる。なお、3室あるいは5室以上に分割することもできる。
【0029】
図4cは排出部材13を隔壁として利用する場合の実施形態を示している。すなわちこの密封容器43では、隔壁用のシートを用いず、容器本体12を構成する2枚のシート35の中央部をそれぞれ排出部材13の上面および下面に液密に熱溶着している。そのため、部品を節約することができ、しかも容器全体の形状保持性が高くなる。なおシート35と排出部材13を広い幅で熱溶着する場合は、捻りや折り曲げにより弱め線を破断するのが難しくなるので、図3cに示す閉鎖部30などを採用するのが好ましい。
【0030】
図5に示す密封容器45は、排出部材13を、容器本体12を構成する2枚のシート35の一部で構成している。すなわち、内容物を充填する収納部Sと排出部材13の空洞46との間に、線状の熱溶着部47を設け、排出部材13の先端部13bは開放し、基端部13a側では線状の熱溶着部47を設けず、通路48としている。そして排出部材13の基端部13aに、通路48を閉鎖するための有底筒状のプラグ27を嵌合させている。プラグ27の外周には、環状溝などからなる弱め線15が形成されている。
【0031】
このものを開封する場合は、前述の場合と同じく、プラグ27の摘み片14を摘んで捻り、あるいは折り曲げて、弱め線15でプラグ27を分離し、開口を形成するればよい。この密封容器45はプラグ27を除いて全体が柔軟なシートで構成することができるので、保管や持ち運びが容易である。なおこのものも内部を隔壁で仕切ることができる。図5の密封容器45では、排出部材13を容器本体12の外部に並列的に配置しているが、想像線で示すように、容器本体12の幅方向における中央部に縦方向に延びるように設ける
こともできる。また、排出部材13を容器本体12と別個に成形し、容器本体12の側方あるいは中央に取り付けてもよい。
【0032】
図6の密封容器50は、容器本体12の端部から外向きに突出するように排出部材13が配置されている。排出部材13自体の構成は、図1に示す密封容器10の場合と実質的に同じであり、取り付ける向きが逆である。摘み片14は容器本体12の内部に挟み込まれ、両端で容器本体を構成する2枚のシートの間に一緒に熱溶着されている。このものは排出部材13をノズルのように使用できるので、目的とする受け皿などに内容物を流し込みやすい。ただし図1の場合に比して長くなるので、摘み片14の左側に想像線で示す折り返し線51で折り返し、短い状態で保管するようにしてもよい。また排出部材を入れ子式の2重管にして伸縮可能な形態とすることもできる。
【0033】
前期実施形態では、いずれも2枚のシートを重ね合わせ、あるいは折り返して周縁部を熱溶着して扁平な袋状に構成しているが、襠部を設け、厚みがある袋の形態とすることもできる。その場合は内容量が多くなる。さらに前記実施形態では、容器本体を柔軟なシートから袋状に構成しているが、チューブ状に構成してもよい。
【0034】
図7に示す密封容器53は、容器本体54を可撓性を有する円柱状のシートからなる押出しチューブの形態とし、先端側に合成樹脂などの硬質材料からなる円柱状のノズル56を設け、その中心に形成した開口57に折り曲げて破断しうる合成樹脂パイプ製の排出部材13を連結している。その排出部材13の基端部13aは塞がれており、容器本体54からフリーにしている。そして排出部材13の中間位置に、破断容易な弱め線15を形成している。この弱め線15は、排出部材13を弱め線15から折り取ったとき、一部が先端側とつながったままになるような形状にしておくのが好ましい。
【0035】
図7に示す密封容器53は、容器本体54の片面を人差し指と中指で支え、他面を親指で挟むように支える。そのとき、人差し指と中指の間にある容器本体54の胴部部分を親指で押さえるようにして、容器本体54を折り曲げる。また、先端側を片手で持ち、他方の手で容器本体54の上から排出部材13の基端部側21を摘み、弱め線15から折り曲げてもよい。そうすると排出部材13は弱め線15の部位で一部を除いて破断され、開口し、内容物は排出部材13の先端部側22を通ってノズル56の開口57から噴出する。なおこのものは、弱め線15の部位が閉鎖部である。図1などの実施形態では、閉鎖部を排出部材13の基端部13a近辺に設けているが、この実施形態のように、閉鎖部は排出部材13の基端部に限らず、その中央部など、途中に設けることもできる。ただし先端部13bとの間にバッファ効果を奏する長さを残す必要がある。なおこの実施形態では、実際には弱め線15から先端部側22が排出部材として機能し、基端部側21は摘み片として機能する。
【0036】
また容器本体は、チューブ状に構成するほか、合成樹脂などから可撓性および形状保持性を有するボトルの形態に構成することもできる。そのようなボトルの場合でも、容器を押すと内圧がかかり、噴出部材から噴出させうる。さらに常温での蒸気圧が高い内容物を充填している場合は、硬質のボトルであっても、採用することができ、その場合も排出部材は同様なバッファ効果を発揮し、開封直後の内容物の飛び散りを防止することができる。
【0037】
図8に示す密封容器60は、周縁部11を熱溶着した2枚のシートからなる容器本体12と、その内部に収容した柔軟なシートを筒状に形成した排出部材13とから構成している。排出部材13の材質は、容器本体12とおなじものが用いられる。他の構成は、図1あるいは図5の密封容器の場合と同じである。このものは排出部材13が柔軟なシートから構成されているので、密封状態では内容物の圧力、とくに蒸気圧を有する内容物で圧縮
されて扁平になっている。そして閉鎖部61を開放すると、内容物が排出部材13を拡げながら通過し、その先端部13bの開口から外部に噴出する。したがって内容物の噴出は比較的ゆっくりと行われる。
【0038】
前記実施形態では、排出部材はほぼ同径の筒状としているが、途中に断面積が大きい部分を設けてもよい。その場合は排出部材のバッファ効果が一層大きくなる。また、閉鎖部を開放したときの容器本体と排出部材の連通部の断面積を排出部材の断面積よりも小さくしておく場合も、バッファ効果が大きくなる。さらに排出部材の先端に、内径が小さいノズルを設けてもよい。その場合は内容物の噴出方向が安定する利点がある。
【符号の説明】
【0039】
10 密封容器
11 周縁部
12 容器本体
13 排出部材
S 収納部
13a 基端部
13b 先端部
14 摘み片
15 弱め線
21 基端部側
22 先端部側
23 シート
25 閉鎖部
26 開口部
27 プラグ
30 閉鎖部
31 プラグ
32、33 窓
34 密封容器
35 シート
36 隔壁
37、38 室
40 密封容器
41 隔壁
45 密封容器
46 空洞
47 熱融着部
48 通路
50 密封容器
51 折り返し線
53 密封容器
54 容器本体
55 開口
56 ノズル
57 開口
60 密封容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、その容器本体に充填される内容物と、容器本体内に連結され、内容物を吐出する排出部材とを備えており、
前記排出部材は、その先端部外部に開口しており、の先端部から離れた位置かつ前記容器本体の内部に、常時は容器本体の内部と連通せず、外力により開放されて連通する閉鎖部を有しており
前記内容物が、少なくとも前記閉鎖部が開放される際に、外部に吐出するための蒸気圧を有するものである、密封容器。
【請求項2】
前記内容物が常温で蒸気圧を有するもの、あるいは混合することにより蒸気圧を発生させる成分を含む請求項1記載の密封容器。
【請求項3】
前記容器本体がチューブまたはボトルの形態であり、
そのチューブまたはボトルの先端側に、開口が形成されたノズルが設けられ、
そのノズルの開口に前記排出部材の先端部が連結されている、請求項1または2記載の密封容器。
【請求項4】
前記容器本体が可撓性を有するシートを溶着あるいは接着することにより袋状に形成したものであり、
前記排出部材の基端部には、前記溶着あるいは接着されるシートの間に狭まれた摘み片が設けられており、
その摘み片を操作することで閉鎖部を連通させる、請求項1または2記載の密封容器。
【請求項5】
前記排出部材の先端部が容器本体の端部から外向きに突出している請求項記載の密封容器。
【請求項6】
前記排出部材が容器本体を構成するシートの一部で構成されている請求項4記載の密封容器。
【請求項7】
容器本体の内部が隔壁によって少なくとも2室に仕切られており、閉鎖部を開放するときに各室が排出部材と連通するように構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の内容物充填容器。
【請求項8】
容器本体の内部が排出部材によって少なくとも2室に仕切られており、閉鎖部を開放するときに各室が排出部材と連通するように構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の内容物充填容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−91869(P2012−91869A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254477(P2011−254477)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【分割の表示】特願2001−120104(P2001−120104)の分割
【原出願日】平成13年4月18日(2001.4.18)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】