説明

寝具の洗浄装置及び洗浄方法

【課題】寝具を回転フレームの内周に沿ってセットして、回転フレームを回転させながら寝具の洗浄や乾燥を行なうにあたって、オゾン殺菌を行なうことができる寝具の洗浄装置を提供する。
【解決手段】軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具1がセットされる回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設けた寝具の洗浄装置に関する。回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄する洗浄手段。洗浄後に回転フレーム2を回転駆動して寝具1を脱水する脱水手段。回転フレーム2を回転駆動しながらオゾンを洗浄槽3内に供給して寝具1をオゾン殺菌するオゾン供給手段。寝具1をオゾン殺菌した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥する乾燥手段。これらの各手段を具備して、寝具1を洗浄、脱水、オゾン殺菌、乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスなどの寝具を洗浄する、寝具の洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や介護センターなどにおいて、ベッドの寝具を丸洗いして洗浄する要望が高まっている。そこでマットレスのような大型の寝具を洗浄する洗浄装置が提供されているが、マットレスのような大型の寝具を丸洗いすることは難しいために、種々の工夫がなされている。
【0003】
例えば図15の方法では、まず洗浄機内で、図15(a)のように、寝具1に洗浄水を供給しながら矢印のように寝具1の上下から圧力を加えて押し洗いし、次に寝具1を脱水機に移して、図15(b)のように、寝具1の中央をクランプ具27で挟んで、クランプ具27を中心に寝具1を矢印のように回転させることによって、遠心脱水し、この後に、寝具1を乾燥機に移して、加熱乾燥するようにしている。
【0004】
また図16の方法では、まず洗浄機内で、図16(a)のように、円筒状の回転かご29内に寝具1を折りたたんで入れ、回転かご29を回転させながら洗浄水を供給することによって洗浄を行ない、洗浄が終了した後に回転かご29を高速回転させることによって、脱水した後、図16(b)のように、寝具1を乾燥機30に移して、通気板31の上に複数枚の寝具1を重ねて載置し、矢印のように上から下へと加熱空気を供給することによって、加熱乾燥するようにしている。
【0005】
しかし図15の方法では、洗浄に多量の水が必要であり、また寝具1を洗浄機から脱水機へ、さらに乾燥機へと移す必要があるため、洗浄から脱水までを自動化することが難しいという問題があった。またクランプ具27で寝具1を回転させて遠心脱水する際に、寝具1に剪断力が作用して寝具1の痛みが激しく、さらに回転中心となる寝具1の中心部は脱水が不十分になるという問題があった。
【0006】
また、図16の方法では、洗浄に多量の水が必要であり、また寝具1を折りたたんで回転かご29の中に入れるために、特にマットレスの場合は折り曲げる部分に破損が生じ易いという問題があった。また乾燥機30内では複数枚の寝具1を重ねて乾燥するために、中央に位置する寝具1や底側に位置する寝具1の乾燥効率が悪いという問題があり、さらに、脱水機は必要でなくなるものの、寝具1を洗浄機から乾燥機へと移す必要があるため、上記の場合と同様に自動化することが難しいという問題があった。
【0007】
一方、図17に示すものは、洗浄から乾燥までを連続的に行なうことができるようにしたものであり、駆動モータ21で回転駆動される筒かご状の回転フレーム22が洗浄槽(図示省略)内に設置してあり、この回転フレーム22の内周に沿わせて寝具1をセットするようにしてある。回転フレーム22の中心内に通した軸管23に洗浄水タンク24が接続してあり、また洗浄槽内において回転フレーム22の近傍に熱風発生器25が設置してある(特許文献1参照)。
【0008】
そしてこのものにあって、マットレス等の寝具1を内周にセットした回転フレーム22を回転駆動しながら、洗浄水タンク24から軸管23に洗浄水を供給し、軸管23に設けた散水孔26から洗浄水を吐出させることによって、寝具1の内側に洗浄水を供給して、洗浄を行なうことができるものである。このとき、回転フレーム22の回転による遠心力で、洗浄水は寝具1の内側から外側へと寝具1の内部を良好に浸透するために、少ない水量で洗浄を行なうことができるものであり、上記の図15や図16の場合のような洗浄に多量の水を必要とするという問題を解消することができるものである。また寝具1は回転フレーム22の内周に沿ってセットされており、折りたたむような必要がないので、図16の場合のような折り曲げ部分の破損の問題も解消することができるものである。
【0009】
次に、洗浄が終わった後、回転フレーム22を高速回転することによって、寝具1中に浸透した洗浄水を遠心脱水した後、熱風発生器25から熱風を発生させることによって、熱風で寝具1を加熱して乾燥するものである。このように回転フレーム22を高速回転して脱水するにあたって、寝具1は回転フレーム22の内周に沿わせた状態に保持されているため、遠心力は寝具1の全体に均一に作用し、寝具1に痛みが発生することなく均一に脱水することができ、図15の場合のような問題を解消することができるものである。また乾燥の際にも寝具1を重ねる必要がないので、乾燥を効率良く行なうことができ、図16のような問題もないものである。さらに、回転フレーム22内に寝具1をセットして回転させながら、洗浄、脱水、乾燥を連続して行なうことができるので、寝具1の移し変えの手間が不要になると共に、運転を自動化することが可能になるものである。
【特許文献1】特開2002−191894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、マットレスなどの寝具を洗浄するにあたって、オゾンなどで寝具を消毒・殺菌することが必要になってきている。しかし、特許文献1のものにあっても、オゾンによる殺菌を行なうことはできないものであり、マットレスなどの寝具を洗浄する際にオゾン殺菌を行なうことができるようにすることが望まれているものであった。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、寝具を回転フレームの内周に沿ってセットして、回転フレームを回転させながら寝具の洗浄や乾燥を行なうにあたって、オゾン殺菌を行なうことができる寝具の洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る寝具の洗浄装置は、軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具1がセットされる回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設けた寝具の洗浄装置において、回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄する洗浄手段と、寝具1を洗浄した後に回転フレーム2を回転駆動して寝具1を脱水する脱水手段と、回転フレーム2を回転駆動しながらオゾンを洗浄槽3内に供給して寝具1をオゾン殺菌するオゾン供給手段と、寝具1をオゾン殺菌した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥する乾燥手段とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に寝具1を傷めることなく洗浄から乾燥までを行なうことができるものであり、また乾燥を効率良く行なうことができるものである。そして、オゾン供給手段によるオゾンの供給によって、寝具1をオゾン殺菌することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、オゾンは遠心力や回転による衝突で寝具1の内部へ浸透し、寝具1の内部まで効率良く均一に殺菌することができるものである。さらに、このオゾン殺菌の後に行なわれる乾燥の際の温風の作用でオゾンを分解して無毒化することができ、寝具1の取り出し時に有害なオゾンが洗浄槽3から放出されることを防ぐことができるものである。
【0014】
また請求項2の発明は、請求項1において、脱水手段で寝具1を脱水する工程の途中から、オゾン供給手段によってオゾンの供給を開始するようにして成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、寝具1中の水分の大半が脱水され、寝具1中に残った水分が回転フレーム2の回転に伴なってミストとして放出される脱水工程の途中で、オゾンによる殺菌を開始することによって、洗浄槽3内の湿度がミストによって高く保持された状態でオゾンによる殺菌を行なうことができ、オゾン殺菌の効果を高く得ることができるものである。
【0016】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、回転フレーム2の中心にパイプ状の支持軸4を配置して設けると共に回転フレーム2を支持軸4の周りに回転自在に取り付け、支持軸4内を仕切って洗浄水供給路5と温風供給路6を形成し、洗浄水供給路5を通して洗浄水を洗浄水供給手段で寝具1に供給すると共に、温風供給路6を通して温風を乾燥手段で寝具1に供給するようにして成ることを特徴とするものである。
【0017】
この発明によれば、回転フレーム2を支持する支持軸4を利用して、洗浄水と温風をそれぞれ供給することができ、回転フレーム2内に洗浄水や温風を供給するための配管を別途設ける必要がなくなって、構造を簡単なものに形成することができるものである。
【0018】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、オゾンを洗浄槽3内に供給するオゾン供給手段のオゾン吹出し口7に、オゾンを洗浄槽3内に供給している間、オゾン吹出し口7を開くと共に、洗浄手段が作動している間及び乾燥手段が作動している間、オゾン吹出し口7を閉じる開閉シャッター8を設けて成ることを特徴とするものである。
【0019】
この発明によれば、洗浄水やその湿気がオゾン吹出し口7から侵入したり、乾燥の際の熱気がオゾン吹出し口7から侵入したりすることを開閉シャッター8で防ぐことができ、オゾン供給手段がこれらの悪影響を受けることを防止することができるものである。
【0020】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、洗浄槽3に排気ダクト9を設け、乾燥手段が作動している間、作動する換気ファン10を排気ダクト9に設けて成ることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9から排出しながら乾燥を行なうことができ、寝具1の乾燥効率を高めることができるものである。
【0022】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、洗浄槽3内のオゾン濃度を測定する手段を具備して成ることを特徴とするものである。
【0023】
この発明によれば、オゾン濃度の測定によって、オゾン殺菌の程度を確認することができるものである。
【0024】
また請求項7の発明は、請求項6において、オゾン濃度を測定する手段を、洗浄槽3内の空気を吸気口12から吸気してオゾン濃度を自動測定した後に洗浄槽3内に排気口13から空気を返送して排気するオゾン濃度測定器11で形成し、オゾン供給手段が作動している間、開くと共に、それ以外は閉じる、吸気弁14を吸気口12に、排気弁15を排気口13にそれぞれ備えて成ることを特徴とするものである。
【0025】
この発明によれば、洗浄水やその湿気がオゾン濃度測定器11内に侵入したり、乾燥の際の熱気がオゾン濃度測定器11内に侵入したりすることを吸気弁14や排気弁15で防ぐことができ、オゾン濃度測定器11がこれらの悪影響を受けることを防止することができるものである。
【0026】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、洗浄槽3へのオゾンの供給状況を報知する表示機16を具備して成ることを特徴とするものである。
【0027】
この発明によれば、オゾンの供給状況を確認して、寝具1を洗浄槽3から取り出す時期を知ることができるものである。
【0028】
本発明の請求項9に係る寝具の洗浄方法は、軸周りに回転駆動される筒かご状に形成された回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設け、回転フレーム2の内周に沿って出し入れ自在に寝具1をセットして、回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄し、寝具1を洗浄した後に、回転フレーム2を回転駆動することによって寝具1の脱水を行ない、次に回転フレーム2を回転駆動しながらオゾンを洗浄槽3内に供給して寝具1をオゾン殺菌し、寝具1をオゾン殺菌した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥することを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に寝具1を傷めることなく洗浄から乾燥までを行なうことができるものであり、また乾燥を効率良く行なうことができるものである。そして、寝具1をオゾン殺菌することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、オゾンは遠心力や回転による衝突で寝具1の内部へ浸透し易く、寝具1の内部まで効率良く均一に殺菌することができるものである。さらに、このオゾン殺菌の後に行なわれる乾燥の際の温風の作用でオゾンを分解して無毒化することができ、寝具1の取り出し時に有害なオゾンが洗浄槽3から放出されることを防ぐことができるものである。
【0030】
また請求項10の発明は、請求項9において、回転フレーム2を回転駆動して寝具1を脱水する工程の途中から、オゾンを洗浄槽3内に供給して寝具1のオゾン殺菌をすることを特徴とするものである。
【0031】
この発明によれば、寝具1中の水分の大半が脱水され、寝具1中に残った水分が回転フレーム2の回転に伴なってミストとして放出される脱水工程の途中で、オゾンによる殺菌を開始することによって、洗浄槽3内の湿度がミストによって高く保持された状態でオゾンによる殺菌を行なうことができ、オゾン殺菌の効果を高く得ることができるものである。
【0032】
また請求項11の発明は、請求項10において、脱水の工程での回転フレーム2の回転速度を、オゾンを洗浄槽3内に供給する際に高めることを特徴とするものである。
【0033】
この発明によれば、回転フレーム2の回転速度を高めることによって、寝具1中に残った水分がミストとして放出され易くなり、オゾン殺菌の効果を高く得ることができるものである。
【0034】
また請求項12の発明は、請求項9乃至11のいずれかにおいて、オゾンを洗浄槽3内に供給して寝具1をオゾン殺菌した後、温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥するにあたって、洗浄槽3内へのオゾンの供給を停止すると共に温風を寝具1に吹き当て始めてから、所定時間経過した後、洗浄槽3に設けた排気ダクト9の換気ファン10を作動させることを特徴とするものである。
【0035】
この発明によれば、排気ダクト9の換気ファン10を作動させながら乾燥を行なうことによって、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9から排出しながら乾燥を行なうことができ、効率良く寝具1の乾燥を行なうことができるものである。また洗浄槽3内のオゾンは温風の作用で分解されるが、換気ファン10は温風を寝具1に吹き当て始めてから所定時間経過した後に作動するため、温風の吹き当て開始の後しばらくは未分解のオゾンが洗浄槽3内に残留していても、換気ファン10の作動で外部に放出されることを防ぐことができるものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に寝具1を傷めることなく洗浄から乾燥までを行なうことができるものであり、また乾燥を効率良く行なうことができるものである。そして、寝具1をオゾン殺菌することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、オゾンは遠心力や回転による衝突で寝具1の内部へ浸透し、寝具1の内部まで効率良く均一に殺菌することができるものである。さらに、このオゾン殺菌の後に行なわれる乾燥の際の温風の作用でオゾンを分解して無毒化することができ、寝具1の取り出し時に有害なオゾンが洗浄槽3から放出されることを防ぐことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0038】
図4は本発明の洗浄装置の全体を示すものであり、洗浄槽3の両側に器械ケーシング35,36が設けてある。洗浄槽3の前面の中央部は開口部37として形成してあり、開口部37には上下にスライドさせることによって開口部37を開閉する扉38が取り付けてある。
【0039】
洗浄槽3内には図1〜図3及び図5に示すような回転フレーム2が設けてある。尚、図1,2は回転フレーム2内に寝具1を挿入する準備段階を示しているものである。回転フレーム2は、両側の円環状の側枠40の間に掛け渡して横枠41を所定間隔で複数本取り付けると共に、各横枠41間に渡して複数本の細枠42を側枠40と平行に取り付けることによって形成される円筒形の筒かご体43からなるものである。そして軸リング44の外周に複数本の支持棒45を放射状に取り付けると共に、この各支持棒45の先端を側枠40の内周に取り付けることによって、筒かご体43を支持棒45を介して軸リング44で支持して、回転フレーム2を形成するようにしてある。
【0040】
回転フレーム2の筒かご体43の一部には、横枠41や細枠42を設けていない部分が図5のように形成してあり、この開口部分が回転フレーム2内に寝具1を出し入れする出入口46となるものである。筒かご体43の外側にはその周方向にスライド自在に格子状の開閉扉51が取り付けてあり、開閉扉51で出入口46を開閉することができるようにしてある。
【0041】
また筒かご体43の内側には、筒かご体43と平行に複数本のガイド棒47が取り付けてある。このガイド棒47は、両側の側枠40に取り付けた対向する支持棒45の間に架設した網板48や、他の対向する支持棒45の間に架設した連結棒49に固定することによって、筒かご体43の内側に取り付けるようにしてある。ガイド棒47と筒かご体43の内周との間に寝具1を差し込むことによって、寝具1を回転フレーム2の内周に沿わせた状態に保持してセットすることができるものである。
【0042】
支持台53は図1、図2に示すように両側に側支持枠54を設けて上向き開口のコ字形に形成されるものであり、支持台53は洗浄槽3内に収められるようになっている。この支持台53の両側の側支持枠54の上部間に支持軸4を水平に架け渡して固定して取り付けてある。支持軸4は円筒パイプ状に形成されるものであり、この支持軸4の外周に回転フレーム2の左右一対の軸リング44を回転自在に取り付けることによって、回転フレーム2を洗浄槽3内に配置してある。そして左右一対の軸リング44のうち一方には従動プーリ55が固定してあり、支持軸4の下方において支持台53に取り付けたモータ56の原動プーリ57とこの従動プーリ55の間にベルト58が懸架してある。従って、モータ56を作動させて原動プーリ57を回転することによって、ベルト58を介して従動プーリ55を回転させ、回転フレーム2を支持軸4を回転中心として上下方向に回転駆動することができるものである。
【0043】
上記の円筒パイプ状に形成される支持軸4内は、図5に示すように、支持軸4の全長に亘る仕切り板60によって上下に仕切ってあり、支持軸4内の仕切り板60の下側は洗浄水供給路5、上側は温風供給路6として形成してある。
【0044】
そして洗浄水供給路5の部分において支持軸4の下部に、軸方向に沿った複数個所に散水口61が形成してあり、また図6に示すように、支持軸4の一端部において洗浄水供給路5の部分に洗浄水供給管62が接続してある。洗浄水供給管62は電磁弁63を介して水道管64と接続してあり、またこの洗浄水供給管62には一対の分岐管65,66が接続してあって、各分岐管65,66はそれぞれ、ポンプ67,68を介して洗剤タンク69と殺菌剤タンク70に接続してある。これらの、洗浄水供給路5、散水口61、洗浄水供給管62、電磁弁63、水道管64、分岐管65,66、ポンプ67,68、洗剤タンク69、殺菌剤タンク70などから、本発明の洗浄手段が形成されるものである。
【0045】
また、支持軸4の上部に図5のように温風供給路6内と連通する一対の温風供給管73が、図3に示すように上方へ立設してあり、この一対の温風供給管73の上端間に架け渡して内側温風吹出しノズル74が取り付けてある。内側温風吹出しノズル74は回転フレーム2の内側において、回転フレーム2に軸方向の略全長に沿って配置されるものである。この内側温風吹出しノズル74内は温風供給管73内と連通させてあり、内側温風吹出しノズル74の上端に沿ってノズル孔75が図5のように開口してある。器械ケーシング35内には電気温風機76が設置してあり、電気温風機76から温風配管77が導出してある。そしてこの温風配管77から分岐した分岐温風配管78の先端が、支持軸4の上記の洗浄水供給管62と接続した側と反対側の端部において、支持軸4内の温風供給路6に接続してある。
【0046】
また回転フレーム2の外側において、図1、図2に示すように、回転フレーム2の軸方向の略全長に沿って外側温風吹出しノズル79が配置してある。そして電気温風機76から導出される上記の温風配管77は図2のように回転フレーム2の側方に沿って立ち上げてあり、温風配管77の先端が外側温風出しノズル79の一端に接続してある。この外側温風吹出しノズル79内は温風配管77内と連通させてあり、外側温風吹出しノズル79の下端に沿ってノズル孔(図示省略)が開口してある。上記の電気温風機76、温風配管77、分岐温風配管78、温風供給路6、温風供給管73、内側温風吹出しノズル74、外側温風吹出しノズル79等から本発明の乾燥手段が形成されるものである。
【0047】
器械ケーシング36内にはオゾン発生器85とエアーポンプ86が設置してある。オゾン発生器85にはオゾン吹出し口7が導出して設けてあり、図7のように洗浄槽3と器械ケーシング36の間の壁87を通してオゾン吹出し口7の先端部を洗浄槽3内に導入し、オゾン吹き出し口7の先端を図1、図3のように回転フレーム2の側方に対向させて配置してある。オゾン発生器85で発生したオゾンガスは、エアーポンプ86から供給されるエアーによって、オゾン吹出し口7を通して洗浄槽3内に吹出されるようになっているものである。このオゾン吹出し口7内には図7に示すように開閉シャッター8が設けてあり、オゾン吹出し口7を開閉することができるようにしてある。このオゾン発生器85、エアーポンプ86、オゾン吹出し口7等から本発明のオゾン供給手段が形成されるものである。
【0048】
さらに器械ケーシング36内には、オゾン濃度を測定する手段として図8に示すようにオゾン濃度測定器11が設置してある。オゾン濃度測定器11に設けた吸気口12と排気口13を壁87を通して洗浄槽3内に開口させて取り付けるようにしてあり、オゾン濃度測定器11に内蔵したポンプを作動させて、洗浄槽3内の空気を吸気口12からオゾン測定器11に吸気し、オゾン濃度を測定した後に、排気口13から洗浄槽3に返送して排気するようにしてある。オゾン濃度測定器11は、例えば、オゾンによる紫外線の吸収量を検知してオゾン濃度を測定するようにした紫外線吸収式のオゾンガスモニタなどで形成される検出部を内蔵して形成されるものである。また上記の吸気口12と排気口13内にはそれぞれ吸気弁14と排気弁15がそれぞれ設けてあり、吸気口12や排気口13を開閉することができるようにしてある。
【0049】
また、洗浄槽3には図9(a)のように排気ダクト9が接続してあり、排気ダクト9を通して洗浄槽3内の空気を外部に排出することができるようにしてある。排気ダクト9内には排気ファン10が設けてあり、さらに、排気ファン10より洗浄槽3寄りの位置において排気ダクト9内に開閉シャッター81が設けてある。排気ファン10は洗浄槽3の外面に設けた受け具125に防振ゴム126によって支持するようにしてある。さらに洗浄槽3には図9(b)のように吸気ダクト82が接続してあり、洗浄槽3内の空気を排気ダクト9で排出する際に、洗浄装置を設置した室内の外気が吸気ダクト82から洗浄槽3内に吸気されるようにしてある。この吸気ダクト82には、洗浄槽3内の空気が排気ダクト9で排出される際に開き、それ以外は閉じる、吸気弁83が設けてある。これらの排気ダクト9や吸気ダクト82の先端は装置の外殻ケーシング84を通して装置外面に露出させてある。
【0050】
また、洗浄槽3あるいは器械ケーシング35,36の外面には、表示機16が図4のように取り付けてあり、洗浄槽3内へのオゾンの供給状況を報知するようにしてある。表示機16は、例えば赤ランプ16a、黄ランプ16b、緑ランプ16cから形成されており、各ランプ16a,16b,16cの点灯によってオゾンの供給状況を報知するようにしてある。
【0051】
図10は本発明の洗浄装置の制御系を示すものであり、洗浄機制御器88で、回転フレーム2を回転駆動するモータ56、洗浄水供給管62の電磁弁63、ポンプ67,68(これらを洗浄機動作部89という)と、電気温風機76と、吸気ダクト82を制御するようにしてある。またオゾン発生制御器90でオゾン濃度測定器11、オゾン発生器85、エアーポンプ86、排気ダクト9の換気ファン10及び開閉シャッター81を制御するようにしてある。オゾン発生制御器90にはデーターロガー91とレコーダー92が接続してあり、データーロガー91でオゾン濃度のデータをメモリーしてパソコンへ出力し、レコーダー92でオゾン濃度データを記録紙に出力することができるようにしてある。
【0052】
図11はオゾン発生制御器90、オゾン濃度測定器11、オゾン発生器85、エアーポンプ86を制御操作するオゾンガス制御盤94を示すものであり、95は電源スイッチ、96はオゾン発生を自動で行なう場合の切り替えスイッチ、97はオゾン発生を手動で行なう場合の切り替えスイッチ、98はオゾン発生を手動で行なう場合のオゾン発生オンスイッチ、99はオゾン発生を手動で行なう場合のオゾン発生の時間を設定するタイマーダイヤル、100はオゾン発生を自動で行なうか手動で行なうかを表示する表示ランプである。尚、上記の表示機16は図11のようにオゾンガス制御盤94に設けるようにしてもよい。
【0053】
次に、本発明の洗浄装置を用いて、マットレスなどの寝具1を洗浄する動作について説明する。まず、洗浄槽3の扉38を押し上げて図4のように開口部37を開口させ、この開口部37に回転フレーム2の出入口46を合致させた状態で、開閉扉51をスライドさせて出入口46を開き、出入口46から回転フレーム2内に寝具1をセットする。このとき、回転フレーム2の筒かご体43の内周とガイド棒47との間に寝具1を差し込むことによって、寝具1を回転フレーム2の内周に沿わせた状態に固定してセットすることができるものである。寝具1は、例えば、2枚を回転フレーム2内にセットすることができるようにしてある。この後、開閉扉51をスライドさせて回転フレーム2の出入口46を閉じ、扉38を引き下げて洗浄槽3の開口部37を閉じる。
【0054】
この状態で、洗浄機制御器88やオゾン発生制御器90を作動させると、回転フレーム2が回転駆動され、洗浄とすすぎからなる洗浄工程、脱水工程、オゾン殺菌工程、乾燥工程が連続して自動的に行なわれる。図12はこれらの工程のタイムチャートを示すものであり、例えば、洗浄を2分、すすぎを6分行なって洗浄工程がおこなわれ、続いて脱水を75分行なって脱水工程がおこなわれる。また脱水開始より25分が経過した脱水工程の途中から、脱水工程と並行してオゾン殺菌工程が50分行なわれ、この後に乾燥工程が40分、行なわれるようにしてある。また回転フレーム2の回転速度は、洗浄の際には90rpm、すすぎの際にはやや回転速度を上げて180rpmに設定し、脱水の際には回転速度を240rpmにさらに上げ、オゾン殺菌の際にはさらに高速回転で260rpmに設定し、乾燥の際には速度を下げて102rpmに設定するようにしてある。勿論、各工程の時間や、回転フレーム2の回転速度はこれらに限定されるものではない。
【0055】
ここで、洗浄の際には、電磁弁63が開いて、水道管64から水道水が洗浄水供給管62に供給されるが、このときさらにポンプ67,68が作動して洗剤タンク69から洗剤が、殺菌剤タンク70から殺菌剤が洗浄水供給管62に供給され、水に洗剤と殺菌剤のうち少なくとも一方が混合された状態で支持軸4の洗浄水供給路5内に供給される。そしてこの洗剤入りの洗浄水は回転フレーム2内において支持軸4の散水口61から下方へ散水されるものであり、回転フレーム2の回転に伴って、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の全面に均一に洗剤入りの洗浄水を供給することができる。また、回転フレーム2によって寝具1は回転されているので、寝具1の内周側に供給された洗剤入りの洗浄水は、遠心力によって、寝具1の内面側から内部に浸透して外面側に抜けることになり、洗浄水を寝具1の内部に効率高く浸透させることができ、寝具1の洗浄を効率良く行なうことができるものである。
【0056】
次に、すすぎの際には、ポンプ67,68の作動が停止し、洗剤と殺菌剤が混合されていないすすぎ用の洗浄水が洗浄水供給管62に供給され、このすすぎ用の洗浄水が散水口61から散水される。このときも、回転フレーム2の回転に伴って、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の全面に均一にすすぎ用の洗浄水を供給することができるものであり、また、回転フレーム2の回転による遠心力によって、すすぎ用の洗浄水は寝具1の内面側から内部を浸透して外面側に抜けるものであり、すすぎ用洗浄水を寝具1の内部に効率高く浸透させることができ、寝具1のすすぎ洗いを効率良く行なうことができるものである。
【0057】
すすぎ洗いが終わると、電磁弁63が閉じ、洗浄水の供給が停止される。そして回転速度を上げて回転フレーム2を回転させることによって、遠心力で寝具1内の洗浄水を脱水する遠心脱水が行なわれる。本発明において脱水手段は、回転フレーム2と、回転フレーム2を回転駆動させるモータ56等から形成されるものである。そして、脱水の際には図12のタイムチャートのように、排気ダクト9の開閉シャッター81が開くと共に換気ファン10が作動し、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9を通して排出することによって、脱水が効率良くおこなわれるようにしてある。このように洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9から排出する際には、吸気ダクト82の吸気弁83は開いている。
【0058】
このように回転フレーム2を回転駆動させて寝具1内の洗浄水を脱水する脱水工程の途中で、オゾン殺菌の工程が始まるようになっている。オゾン殺菌の工程が始まると、排気ダクト9の開閉シャッター81が閉じると共に換気ファン10は停止する。
【0059】
オゾン殺菌の工程では、図12のタイムチャートのようにオゾン発生器85とエアーポンプ86が作動し、またオゾン吹出し口7の開閉シャッター8が開き、オゾン発生器85で発生したオゾンガスがオゾン吹出し口7から洗浄槽3内に吹出される。このようにオゾンを洗浄槽3に供給することによって、寝具1をオゾン殺菌することができるものである。このオゾン殺菌は、回転フレーム2を回転駆動しながら行なわれるので、オゾンは遠心力及び回転による衝突で寝具1の内部へ浸透し易いものであり、寝具1の内部まで効率良く均一に殺菌することができるものである。このとき、オゾン吹出し口7の開閉シャッター8はオゾン殺菌の工程でオゾン発生器85を作動させるときのみ開き、それ以外の洗浄工程や乾燥工程では閉じているものであり、洗浄水や、湿気などがオゾン吹出し口7からオゾン発生器85に侵入することを防止して、オゾン発生器85がこれらによって悪影響を受けることを防ぐようにしてある。
【0060】
ここで、オゾンガスを殺菌に用いる場合、乾燥した雰囲気では殺菌効果が低く、湿度の高い状態で殺菌効果が高く得られることが知られている。これは、オゾンガスそのものが殺菌力を持つのではなく、オゾンガスが水と接触して反応することによって発生期の酸素やOHラジカルが生成され、この発生期の酸素やOHラジカルが有する強い酸化力の作用で殺菌がなされるからである。従って、湿度が高く水分が多い雰囲気においてオゾン殺菌の効果を高く得ることができるものである。例えば、相対湿度45%RH以下の乾燥した雰囲気ではオゾンによる殺菌効果は小さく、80%RH以上の湿度の高い雰囲気においてオゾンによる殺菌効果を高く得ることができるものである。表1は、オゾン殺菌効果に対するオゾン濃度と湿度との関係を示すものである(「新版オゾン利用の新技術」、サンユー書房、第12章「医療におけるオゾンの利用方法」(村山良介)第459頁所載のデータを加工した)。表1にみられるように、15分間のオゾン照射で減菌率99.999%を得るためには、相対湿度が30%の場合、オゾン濃度は30〜80ppmが必要であり、オゾン濃度とオゾンに曝す時間との積であるオゾンCT値は450〜1200(ppm・min)であるが、相対湿度が80%であると、オゾン濃度は25ppmでよく、オゾンCT値は375(ppm・min)で済む。
【0061】
【表1】

【0062】
このように、オゾン殺菌の工程で、寝具1を効果的にオゾン殺菌するためには、洗浄槽3内の湿度が高いことが必要である。そこで本発明では、洗浄槽3内の湿度が高くなっている脱水工程の途中でオゾンガスの供給を開始し、脱水工程と並行してオゾン殺菌工程を行なうようにしているのである。ここで、脱水工程の初期では、寝具1内に大量の水が含まれており、オゾンを寝具1の内部に浸透させることができないので、寝具1の含水率が10〜20質量%になるまで脱水を進行させた後に、オゾンの供給を開始するようにしてある。図12の実施の形態では寝具1の含水率が10〜20質量%になるのは、脱水開始後約25分である。そして寝具1の含水率をこのように低下させた状態で回転フレーム2を回転駆動して脱水を継続すると、寝具1中に残存する水分は遠心力でミストとして放出され、このミストが洗浄槽3内に充満して洗浄槽3内は80%以上の相対湿度に保たれる。特に本発明では、オゾンの供給の開始と同時に回転フレーム2の回転速度を、10〜40rpm(好ましくは20rpm程度)高めて、含水率が小さくなった寝具1から高い遠心力でミストが効率良く放出されるようにしてある。このようにして、洗浄槽3内の湿度をミストで高い状態保持しつつ、オゾンを供給して寝具1を高い殺菌効果でオゾン殺菌することができるものである。
【0063】
また、図12のタイムチャートのようにオゾン濃度測定器11は洗浄装置の運転中、常時動作しているが、オゾン濃度測定器11の吸気口12に設けられる吸気弁14と排気口13に設けられる排気弁15はオゾン発生器85の作動と連動して作動し、オゾン発生器85が作動している間だけ、吸気弁14や排気弁15は開き、それ以外の洗浄工程や乾燥工程では閉じている。従って、オゾン発生器85から洗浄槽3にオゾンを供給してオゾン殺菌している間、洗浄槽3内の空気を吸気口12からオゾン濃度測定器11に吸気して排気口13から返送し、洗浄槽3内のオゾン濃度が測定される。また吸気弁14や排気弁15は洗浄工程や乾燥工程では閉じているので、洗浄水や、湿気などが吸気口12や排気口13からオゾン濃度測定器11内に侵入することを防止することができ、オゾン濃度測定器11がこれらによって悪影響を受けることを防ぐことができるものである。
【0064】
ここで、オゾン殺菌の程度は、オゾン濃度とオゾンに曝す時間との積であるオゾンCT値で確認することができるものであり、このようにオゾン濃度測定器11で洗浄槽3内のオゾン濃度を測定することによって、寝具1のオゾン殺菌の程度を確認することができるものである。また、オゾン発生器85から洗浄槽3へのオゾンの供給は、タイマー等の時間制御でコントロールするだけでなく、オゾン濃度測定器11で測定されたオゾン濃度出力値から求められるオゾンCT値が予め設定された値に達した時点で、自動的に停止するように制御することもできるものである。
【0065】
脱水工程と並行したオゾン殺菌工程が終わると、図12のタイムチャートのように、オゾン発生器85の作動が停止すると共に、電気温風機76が作動し、電気温風機76のヒータで加熱された温風がファンで温風配管77に送り出される。この温風は温風配管77から分岐温風配管78、支持軸4内の温風供給路6、温風供給管73を通して回転フレーム2の内側に配置された内側温風吹出しノズル74に供給され、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の内側に近接して対向する内側温風吹出しノズル74から温風が吹き当てられる。また温風は温風配管77から回転フレーム2の外側に配置された外側温風吹出しノズル79に供給され、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の外側に近接して対向する外側温風吹出しノズル79から温風が吹き当てられる。乾燥工程では、このように寝具1の両面から温風が吹き当てられるものであり、また回転フレーム2の回転に伴って寝具1の全面に均一に温風が吹き当てられるので、寝具1の乾燥を効率良く均一に行なうことができるものである。
【0066】
またこの乾燥工程の際には、図12のタイムチャートのように排気ダクト9の開閉シャッター81が開くと共に換気ファン10が作動し、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9を通して排出することによって、乾燥が効率良くおこなわれるようにしてある。ここで、図12のフローチャートに示すように、電気温風機76が作動してから、所定時間(例えば3分間)を経過した後に、換気ファン10が作動するようにしてある。電気温風機76から内側温風吹き出しノズル74や外側温風吹き出しノズル77を通して洗浄槽3内に温風が供給されると、温風の熱で洗浄槽3内のオゾンは分解されて無害な酸素になるが、電気温風機76の作動の初期では洗浄槽3内に分解されていないオゾンが残留している可能性が高い。このため、電気温風機76が作動してから所定時間の間は換気ファン10が作動しないようにして、洗浄槽3内の有害なオゾンが排気ダクト9から外部に排出されることを防ぐようにしているものである。
【0067】
図12のフローチャートにみられるように、オゾン発生器85を作動させているオゾン殺菌の工程では、表示機16の赤ランプ16aが点灯し、洗浄槽3にオゾンが供給されていることを表示するようにしてある。またオゾン殺菌工程の次の乾燥工程では黄ランプ16bが点灯して、乾燥中であることを表示するようにしてある。さらに、乾燥工程が終了すると緑ランプ16cが点灯し、洗浄槽3の扉38を開いて寝具1を取り出すことができることを表示するようにしてある。このとき、洗浄工程から乾燥工程に到るまで、扉38には開くことができないようにロックが掛かっているが、このように緑ランプ16cが点灯すると、ロックが解除されると共に扉38を開閉できることを報知するチャイムが鳴るようにしてある。
【0068】
上記のようにして寝具の洗浄、脱水、オゾン殺菌、乾燥までの工程を連続して自動運転することができるものであるが、本発明の洗浄装置は、オゾン殺菌のみを行なうことができるようにしてある。
【0069】
上記のように洗浄、脱水、オゾン殺菌、乾燥の工程を自動運転する場合には、オゾンガス制御盤94の切り替えスイッチ96をオンにして運転を行なうが、オゾン殺菌のみを行なう場合には、切り替えスイッチ97をオンにして手動運転に切り替え、タイマーダイヤル99で作動時間を設定した後に、オゾン発生オンスイッチ98をオンにすることによって、設定した時間の間、回転フレーム2を回転駆動させながら、オゾン発生器85を作動させて、寝具1のオゾン殺菌を行なうことができるものである。
【0070】
この際のタイムチャートを図13に示す。上記と同様に、オゾン濃度測定器11は常時動作しているが、オゾン濃度測定器11の吸気弁14や排気弁15はオゾン発生器85の作動と同時に開き、洗浄槽3内のオゾン濃度を測定して寝具1のオゾン殺菌の程度を確認できるようにしてある。またオゾン発生器85の作動が停止すると、電気温風機76が所定時間(例えば3分間)作動し、内側温風吹き出しノズル74や外側温風吹き出しノズル79から洗浄槽3内に温風を供給して、温風の熱で洗浄槽3内のオゾンを無害な酸素に分解するようにしてある。オゾン発生器85の作動が停止すると、排気ダクト9の開閉シャッター81が開いて換気ファン10が作動するが、電気温風機76が作動している間の所定時間(例えば3分間)を経過した後に、換気ファン10が作動するようにしてあり、洗浄槽3内の有害なオゾンが分解されないまま排気ダクト9から外部に排出されないようにしてある。このオゾン殺菌のみを行なう際も、運転中は洗浄槽3の扉38にロックが掛かって開くことができないようにしてある。
【0071】
上記の実施の形態では、オゾン濃度を測定する手段として、オゾン濃度を自動的に測定できるオゾン濃度測定器11を用いるようにしたが、オゾン濃度測定器11は高価な機器であるためこれに替えて、オゾンの濃度に応じて変色するオゾンインジケータ102を用いるようにしてもよい。
【0072】
図14は洗浄槽3にオゾンインジケータ102を取り付ける構造を示すものであり、洗浄槽3の壁103に設けた取付孔104に受け筒105が装着してある。受け筒105は両端開口の筒部106の一端の外周にフランジ107を設けて形成されるものであり、図14(a)のようにフランジ107に通したボルトナット108で壁103に固定してある。オゾンインジケータ102はインジケータ保持具109にセットして、受け筒105に取り付けられるものである。インジケータ保持具109は図14(b)(c)のように、一端が開口する保持筒110の他端を塞ぐと共に保持筒110の外周に張り出す取付板111を設け、保持筒110内に一対のコ字形の差込片112を小間隙で対向するように取り付けて形成してある。差込片112間の小間隙にオゾンインジケータ102を差し込むことによって、オゾンインジケータ102をインジケータ保持具109にセットすることができるものであり、シリコンゴムなどのパッキン113を差込片112間に挿入してオゾンインジケータ102を位置決め固定できるようにしてある。そして図14(d)のように、受け筒105の筒部106内にインジケータ保持具109の保持筒110を差し込んで、取付板111をフランジ107の外面にシリコンゴムなどのパッキン120を介して重ね、取付板111に通した蝶ネジ121をフランジ107にねじ込むことによって、インジケータ保持具109を取り付けることができるものであり、オゾンインジケータ102はインジケータ保持具109の保持筒110の開口部を通して洗浄槽3内の空気に接触するようにしてある。
【0073】
そして、オゾン発生器85から洗浄槽3内にオゾンが供給されると、オゾンがインジケータ保持具109内のオゾンインジケータ102に作用する。オゾンインジケータ102はオゾンの作用で脱色されるように変色し、この変色はオゾン濃度が高くなるに従って大きくなると共に、オゾンに曝される時間が長くなるに従って大きくなる。従って、インジケータ保持具109を取り外して、オゾンインジケータ102を取り出し、オゾンインジケータの変色の進行を読み取ることによって、オゾンCT値を検出することができ、オゾン殺菌の程度を確認することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態の一例の一部を示す斜視図である。
【図2】同上の一部を示す斜視図である。
【図3】同上の一部を示す斜視図である。
【図4】同上の概略正面図である。
【図5】同上の回転フレームの部分の断面図である。
【図6】同上の一部を示す概略図である。
【図7】同上の一部を示す概略図である。
【図8】同上の一部を示す概略図である。
【図9】同上の一部を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図10】同上の制御系を示すブロック図である。
【図11】同上の一部の正面図である。
【図12】同上の動作を示すタイムチャートである。
【図13】同上の動作を示すタイムチャートである。
【図14】同上の一部を示すものであり、(a)は断面図、(b)正面図、(c)は背面図、(d)は断面図である。
【図15】従来例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図16】他の従来例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図17】他の従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 寝具
2 回転フレーム
3 洗浄槽
4 支持軸
5 洗浄水供給路
6 温風供給路
7 オゾン吹出し口
8 開閉シャッター
9 排気ダクト
10 換気ファン
11 オゾン濃度測定器
12 吸気口
13 排気口
14 吸気弁
15 排気弁
16 表示機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具がセットされる回転フレームを洗浄槽内に配置して設けた寝具の洗浄装置において、回転フレームを回転駆動しながら回転フレームの内側から寝具に洗浄水を供給して寝具を洗浄する洗浄手段と、寝具を洗浄した後に回転フレームを回転駆動して寝具を脱水する脱水手段と、回転フレームを回転駆動しながらオゾンを洗浄槽内に供給して寝具をオゾン殺菌するオゾン供給手段と、寝具をオゾン殺菌した後に、回転フレームを回転駆動しながら温風を寝具に吹き当てて寝具を乾燥する乾燥手段と、を具備して成ることを特徴とする寝具の洗浄装置。
【請求項2】
脱水手段で寝具を脱水する工程の途中から、オゾン供給手段によってオゾンの供給を開始するようにして成ることを特徴とする請求項1に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項3】
回転フレームの中心にパイプ状の支持軸を配置して設けると共に回転フレームを支持軸の周りに回転自在に取り付け、支持軸内を仕切って洗浄水供給路と温風供給路を形成し、洗浄水供給路を通して洗浄水を洗浄水供給手段で寝具に供給すると共に、温風供給路を通して温風を乾燥手段で寝具に供給するようにして成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項4】
オゾンを洗浄槽内に供給するオゾン供給手段のオゾン吹出し口に、オゾンを洗浄槽内に供給している間、オゾン吹出し口を開くと共に、洗浄手段が作動している間及び乾燥手段が作動している間、オゾン吹出し口を閉じる開閉シャッターを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項5】
洗浄槽に排気ダクトを設け、乾燥手段が作動している間、作動する換気ファンを排気ダクトに設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項6】
洗浄槽内のオゾン濃度を測定する手段を具備して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項7】
オゾン濃度を測定する手段を、洗浄槽内の空気を吸気口から吸気してオゾン濃度を自動測定した後に洗浄槽内に空気を排気口から返送して排気するオゾン濃度測定器で形成し、オゾン供給手段が作動している間、開くと共に、それ以外は閉じる、吸気弁を吸気口に、排気弁を排気口にそれぞれ備えて成ることを特徴とする請求項6に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項8】
洗浄槽へのオゾンの供給状況を報知する表示機を具備して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項9】
軸周りに回転駆動される筒かご状に形成された回転フレームを洗浄槽内に配置して設け、回転フレームの内周に沿って出し入れ自在に寝具をセットして、回転フレームを回転駆動しながら回転フレームの内側から寝具に洗浄水を供給して寝具を洗浄し、寝具を洗浄した後に、回転フレームを回転駆動することによって寝具の脱水を行ない、次に回転フレームを回転駆動しながらオゾンを洗浄槽内に供給して寝具をオゾン殺菌し、寝具をオゾン殺菌した後に、回転フレームを回転駆動しながら温風を寝具に吹き当てて寝具を乾燥することを特徴とする寝具の洗浄方法。
【請求項10】
回転フレームを回転駆動して寝具を脱水する工程の途中から、オゾンを洗浄槽内に供給して寝具のオゾン殺菌をすることを特徴とする請求項9に記載の寝具の洗浄方法。
【請求項11】
脱水の工程での回転フレームの回転速度を、オゾンを洗浄槽内に供給する際に高めることを特徴とする請求項10に記載の寝具の洗浄方法。
【請求項12】
オゾンを洗浄槽内に供給して寝具をオゾン殺菌した後、温風を寝具に吹き当てて寝具を乾燥するにあたって、洗浄槽内へのオゾンの供給を停止すると共に温風を寝具に吹き当て始めてから、所定時間経過した後、洗浄槽に設けた排気ダクトの換気ファンを作動させることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の寝具の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−36413(P2008−36413A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176680(P2007−176680)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(390008338)広和株式会社 (21)
【Fターム(参考)】