小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体及び弾性薄膜を用いた緩衝材
【課題】小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さ割り出して、その重さの範囲を指定することで製品が壊れることなく輸送可能な包装体を実現し提供することである。
【解決手段】上下フィルム枠体30,50に対して弾性フィルムを固着する際に上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性フィルムが均一に貼られており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されている。
【解決手段】上下フィルム枠体30,50に対して弾性フィルムを固着する際に上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性フィルムが均一に貼られており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンピュータ等の保守サービスを提供する統合サポート&ソリューションを事業とする企業においては、保守サービス部門での部品の包装はリユースの可能な包装となっており、包装材料の減量化によりCO2ガス排出量削減に貢献している。
【0002】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の小型精密機器を形状・寸法に左右されずに一種類或いは少ない種類の梱包手段で梱包できる新規なフィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包通い箱及びその包装体に関するものである。
【0003】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜(緩衝機能性フィルム等)に荷重をかけ、その伸びから圧縮クリープを考慮し、試行錯誤の上、実際の使用状況においてどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【背景技術】
【0004】
従来、小型精密機器の個別包装は、当該機器の形状、寸法に合わせた包装手段が必要であり、輸送用には向いていなかった。また、輸送用包装作業は、作業する人間により異なり、輸送事故の原因ともなっていた。さらに、個別包装、輸送用包装共に繰り返しの使用には難点があり、二重に梱包するなど包装材の使用量が多く、これに伴い包装材の廃棄が多かった。
【0005】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜に荷重をかけ、フィルム枠体の変形から圧縮クリープを考慮した試行錯誤の上、実際の使用状況においてフィルム枠体が荷重により変形しないどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−271994号公報
【特許文献2】特開2004−161341号公報
【特許文献3】特開平11−268770号公報
【特許文献4】特開2004−276957号公報
【特許文献5】特開2004−51163号公報
【特許文献6】特開2002−178464号公報
【0007】
上記フィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱の分野に属する梱包箱は既に知られている。例えば、特開2005−271994号公報(特許文献1)では、強度が非常に高く、また、ディスプレーの態様を制限されず、かつ、安定した状態で載置できる意匠性に優れたディスプレー機能を有する緩衝包装材を提供するとしている。そして、窓孔を覆うように緩衝フィルムが張り渡された一対の中枠部材と該一対の中枠部材を対向させた状態で保持する外枠部材とからなる緩衝包装材において、前記外枠部材を前記一対の中枠部材の外周縁を包囲する筒体と該筒体の一方の開口縁を延長してなる一方側支持片と該筒体の他方の開口縁を延長してなる他方側支持片とから構成し、当該一対の中枠部材をそれぞれ筒体の中空部分に配置すると共に、当該筒体の内方へ折り込まれた一方側支持片によって当該一方の中枠部材の外周縁部を支持し、かつ、当該筒体の内方へ折り込まれた他方側支持片によって当該他方の中枠部材の外周縁部を支持するものが開示されている。
【0008】
また、特開2004−161341号公報(特許文献2)では、緩衝包装容器の分野において、包装作業が簡単で、緩衝材が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で焼却しても有害ガスを発生しない緩衝機能付き容器を提供するとしている。そして、緩衝機能付き容器を、少なくとも外箱と、その内部に収納され、内容物を両側から挟むように保持して緩衝性を付与する緩衝材とで形成すると共に、両側の緩衝材を、板紙又は段ボールを基材として、少なくとも矩形状枠形の天板と、その下に折り曲げ線を介して連設された外側壁板と内側壁板とを有する二重壁構造の立体枠形状に形成し、天板の上にポリエチレン系樹脂の積層体で形成した緩衝機能性フィルムを窓貼り状に貼着して構成している。
【0009】
また、特開平11−268770号公報(特許文献3)では、激しい衝撃から物品を保護し、物品の種々なサイズ、形態に対応でき、作業性の良好な緩衝機能付き包装体を提供することを課題としている。そして、緩衝機能性フィルムを緩衝材として用いて物品を衝撃から保護する包装体であって、箱の身と蓋の中段に緩衝機能性フィルムを保持する中枠がそれぞれ固定され、対向する2枚の前記緩衝機能性フィルムによって物品が中吊り状態で保持されることを特徴とする緩衝機能付き包装体が開示されている。
【0010】
また、特開2004−276957号公報(特許文献4)では、ノート型パソコンの運送用梱包具を提供するとして、ベースボードと抑えシートとを有し、ベースボードは、物品を定位置に支えるものであり、上面に物品を搭載する搭載面と、上向きに折曲して外箱の下面に支えられる立上り部分と、直面形成部分と、水平面形成部分とからなる立下がり部分とを有している。垂直面形成部分と水平面形成部分は、搭載面の下方にコ型に折り曲げられて緩衝空間を形成して外箱の内底面に支持される。抑えシートは、ベースシートの搭載面をまたがって、立下り部分の水平面形成部分に固定され、立下り部分の折り曲げにより引っ張られる結果、緊張して物品を搭載面上に定着させるものが開示されている。
【0011】
また、特開2004−51163号公報(特許文献5)では、緩衝包装容器の分野において、包装作業が簡単で、緩衝材が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で焼却しても有害ガスを発生しない緩衝機能付き容器を提供するとしている。そして、緩衝機能付き容器を、外箱と該外箱の内部に装着し収納物を挟持して緩衝性を付与する挟持材とで形成すると共に、該挟持材は、板紙又は段ボールの中央部に設けられた折り曲げ線の両側に連設された矩形状の天板と、該天板の周囲三辺に折り曲げ線を介して連設された側板とで形成し、両側の天板の中央にはそれぞれ打ち抜き部を設け、その打ち抜き部にポリエチレン系樹脂からなる緩衝機能性フィルムを窓貼りして構成するものが開示されている。尚、収納物は両側の天板の打ち抜き部に窓貼りされた緩衝機能性フィルムの間に宙吊り状態に挟持され、衝撃から保護される。
【0012】
また、特開2002−178464号公報(特許文献6)では、柔軟性、弾力性のほかアンチブロッキング性にも優れ、緩衝機能性と共に取り扱い性にも優れた緩衝機能性フィルムとそれを用いてなる緩衝機能を備えた包装容器を提供するとしている。そして、緩衝機能性フィルムを、シングルサイト系触媒による密度0.860〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体層を中心層として、少なくともその一方の面に密度0.910〜0.930g/cm3の線状低密度ポリエチレン層を積層して構成し、その総厚みに対する該エチレン・α−オレフィン共重合体層の厚み比率を75〜95%の範囲とし、総厚みは20〜300μmの範囲とする。また、上記緩衝機能性フィルムを、例えば窓貼り状に貼り付けた中枠体を内容物の上下に用いて、容器内で内容物を中吊り状態に保持するような形状として緩衝機能を備えた包装容器を提供できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、対象製品の基準となる寸法を割り出して、1種類或いは少ない種類の輸送可能な包装体を実現することである。そして本発明の包装体は、現状の輸送環境に適し、簡単に均一化のできる輸送用包装手段を提供することである。これにより、環境3R(Reduce, Reuse, Recycle)が容易な包装仕様と包装手段を実現するものである。
【0014】
さらに本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さ割り出して、その重さの範囲を指定することで製品が壊れることなく輸送可能な包装体を実現することである。
【0015】
特に、本発明は、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、及び接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。
【0016】
特に、本発明は、フィルム枠体に貼られた薄膜について、その薄膜にかかる小型精密機器の荷重から最適な弾性薄膜の厚さを決めることで最適な輸送手段を提供することである。
【0017】
さらに、本発明の小型精密機器包装体は、中央部に開口部を設けた上下枠体の当該開口部を覆うように弾性薄膜を貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であるため、フィルム枠体に固着した状態の弾性薄膜は、ある程度のテンションが必要とされる。
【0018】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープ60(図10(A))を使用して接着するものであり、このように枠30の立ち上げ面32に貼ることで、枠を組上げたときに立ち上げ面を折り曲げることにより、さらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られる。これに対して、フィルム枠体に固着する際にテンションなしで貼り付けた場合には、小形精密機器を挟みこむ圧力が弱いという欠点がある。このために弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際に、立ち上げ面の角度と貼り付け方法が課題であった。
【0019】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着し、枠を組上げたときにさらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られるが、単純なL字型フィルム枠体の構造では、小形精密機器を挟みこむとフィルム枠体31の枠対接面が荷重により弾性フィルム面の位置より下がり圧力が弱いという欠点がある。このために、枠の構造設計に改良を加え、さらに、どの程度までの荷重で変形しないかを数値で定める必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の弾性薄膜からなる緩衝材を用いた通い箱は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、該弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れるており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されたことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の通い箱は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さを割り出して、その重さの範囲を指定することで製品を安全に壊れることなく輸送可能な通い箱を構成した上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供されることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の弾性薄膜を貼り付けた緩衝材を用いた通い箱は、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供するために、本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値を、被梱包物である小形精密機器の荷重を0.02kg/cm2で、弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造とし、さらに、被梱包物である小形精密機器の荷重が0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ,70μともに35日を保証できる。
【0023】
さらに本発明の通い箱は、フィルム枠体に貼られた薄膜を、被梱包物である小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造として、良好な輸送用包装手段を提供するように、圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、被梱包物である小形精密機器が荷重0.005kg/cm2である場合には、弾性薄膜が40μの弾性薄膜貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする。
【0024】
本発明の小型精密機器包装体は、荷重による緩衝体内の弾性薄膜の圧力低下防止のために、緩衝体の枠の構造を断面U字形にし、この形状を枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体とし、このような枠構造により、フィルム枠体の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では変形しないフィルム枠体を構成したことを特徴とする。
【0025】
本発明の小形精密機器用包装体を用いた最適な輸送手段を提供するために、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」のフィルム枠体を使用した圧縮クリープ試験より求め、小型精密機器の荷重から最適な弾性薄膜の厚さを決め、さらに本包装体に適用できる小形精密機器の重さを提供することを特徴とする。
【0026】
本発明の小型精密機器包装体は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性薄膜を貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れる。
この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る角度を枠の中心部から測定すると2度から8度の範囲であり最適な角度は5度である。これにより良好なフィルムのテンション効果が得られることを特徴とする。
【0027】
そこで、荷重による緩衝体内の小形精密機器の移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、荷重、フィルム厚さ、を変えながら圧縮クリープにより比較検討し、フィルム枠体31の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では、変形しないにことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の構成により、フィルム空間保持緩衝材は、枠が容器の補強となり平均12回のリユース可能であり、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)通い箱が構成できた。
【0029】
本発明により、従来の全面緩衝包装と比べ、包装作業工数の削減・リユースによる包装材料の削減等でトータルコストを75%削減した。
【0030】
弾性フィルムを枠体に固着するには、通常2種類の方法が用いられている。ひとつは、ゴム系溶剤タイプの接着剤を用いる方法、もう一つは高周波誘電加熱法でありこれらは、ともにロール状のフィルムからテンションを与えながら展開した枠材に押し圧する機械を必要とする。これに対して、本発明の弾性フィルムの枠体への固着方法は、両面テープを使用するもので、製造時に機械は不要で安価で簡便に使用でき、弾性薄膜を開いた状態の枠を中心部から弾性薄膜の貼る側へ弓なりに2度から8度そらせた状態で枠の立ち上げ面に貼ることで、枠を組上げたときにさらに良好な弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0031】
さらに本発明の弾性フィルムの枠体への固着方法は、両面テープを使用するもので、弾性薄膜を枠の立ち上げ面に弾性薄膜にテンションかけた状態で貼る場合、均一に貼るのは難しく、このように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が用意に均一に貼れる。枠を組上げたときにさらに強い圧力の弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0032】
さらに本発明の弾性フィルムの枠体は、L字型からU字型に改良したことにより荷重によるフィルム枠体31の枠対接面の四方の隅のまがりとたわみがなくなり、枠を組上げたときにさらに荷重に強く、変形の無いフィルム枠体と弾性薄膜のテンション効果によりさらに長期的に持続を有する型精密機器包装体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の内部構成を理解し易く配置した斜視図
【図2】本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の主要構成部品である上下フィルム枠体の詳細斜視図
【図3】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体の背面図
【図4】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体の正面図
【図5】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体を構成するダンボール紙片の展開図
【図6】図3に示した基本梱包素材を用いたフィルム枠体のA−A断面図
【図7】(A)(B)(C)本発明の基本梱包素材を用いた通い箱の基本寸法図
【図8】落下実験時のHDD移動の説明図
【図9】包装貨物試験加速度結果を示す図
【図10】(A)(B)本発明の基本梱包素材をフィルム枠体に貼り付ける際の手順の説明図で、(C)は圧縮曲線のイメージ図
【図11】(A)(B)(C)本発明の基本梱包素材の使用実験結果の数値をグラフ化した図
【図12】(A)(B)本発明の包装体を現す試験片と測定方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の構造について説明する。本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の夫々の開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下フィルム枠体30,50は、夫々対向するフィルム枠体に対接する枠対接面31を形成し、該枠対接面の外側には縦横夫々の方向に縦立縁部32及び横立縁部33を設けると共に該枠対接面31の内側には縦横夫々の方向に副縦立縁部34及び副横立縁部35を設け、前記縦立縁部32及び前記横立縁部33の外側には夫々縦舌片36及び横舌片37を設けており、さらに、該縦舌片36及び横舌片37の外側には各々が係止片38を備え、かつ、前記副縦立縁部34及び前記副横立縁部35の内側には夫々係止突起43を備えており、
前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して谷折りされ、かつ、前記縦舌片36・横舌片37は前記縦立縁部32・横立縁部33に対して谷折りされるように構成され、
これにより、前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して立ち上げられ、前記縦舌片36・横舌片37の各係止片38が前記副縦立縁部34・副横立縁部35の対応する係止突起43と係合するように構成されている。
【0035】
さらに、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、前記副横立縁部35は、前記枠対接面31に対して中心部を切断線で、その両端を谷折り線で接するように形成されており、当該中心部の切断線は、前記枠対接面31内の開口部40に向けて突片を形成している。
【0036】
さらに、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、前記副縦立縁部34と前記副横立縁部35とは、三角形状の繋ぎ片41,42で繋げられており、該三角形状の繋ぎ片41,42を折り込むことにより、前記フィルム枠体の四隅の補強部材として構成している。
【0037】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器包装体100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下フィルム枠体30,50は、夫々対向するフィルム枠体に対接する枠対接面31を形成し、該枠対接面の外側には縦横夫々の方向に縦立縁部32及び横立縁部33を設けると共に該枠対接面31の内側には縦横夫々の方向に副縦立縁部34及び副横立縁部35を設け、前記縦立縁部34及び前記横立縁部35の外側には夫々縦舌片36及び横舌片37を設けており、さらに、該縦舌片36及び横舌片37の外側には各々が係止片38,39を備え、かつ、前記副縦立縁部34及び前記副横立縁部35の内側には夫々係止突起43,44を備えており、
前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して谷折りされ、かつ、前記縦舌片36・横舌片37は前記縦立縁部32・横立縁部33に対して谷折りされるように構成され、
これにより、前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して立ち上げられ、前記縦舌片36・横舌片37の各係止片38,39が前記副縦立縁部34・副横立縁部35の対応する係止突起43,44と係合するように構成された上下フィルム枠体間30,50に小型精密機器を挟んで輸送に供される。
【0038】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器包装体100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、図10(A)に示すように、弾性フィルムを上下枠体30の立ち上げ面32に対して両面テープ60を使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面に貼ることで、枠を組上げたとき(図10(B)の状態)に良好な弾性フィルムのテンション効果を得る。
【0039】
以下、図面を用いて本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の実施例の説明を詳細に行う。なお、この説明はあくまでも本発明の実施例としての説明であり、本発明の発明思想がこの範囲に限定されるというものでない。
【0040】
図1は、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用の通い箱100の内部構成を理解し易く配置した斜視図である。通い箱100は、ダンボール容器10内に上下のフィルム枠体30及び50を収容したものである。本実施例においては、上下のフィルム枠体30及び50は、構造的には同じものを使用している。しかし、梱包する被梱包物の形状により上下のフィルム枠体30及び50の寸法を変更することも可能である。例えば、被梱包物の天地何れかに突起部がある等により、一方の厚み方向の寸法を変更する等である。
【0041】
ここでは詳細に説明しないが、ダンボール容器10の粘着テープレス化を図るために、ダンボール容器10の底を1カ所差し込むだけでワンタッチの組み立てができる構造としてある。ダンボール容器10の材質は、後段で詳細に説明する上下のフィルム枠体30及び50と同じK5タイプにし、全体の重さは0.36kgで外寸法は340×205×115mmとしている。
【0042】
図2は、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の主要構成部品である上下フィルム枠体30及び50の詳細斜視図である。このフィルム枠体の詳細は図3〜図6に示されており、図3は、本発明のフィルム枠体の背面図、図4は、本発明のフィルム枠体の正面図、図5は、本発明のフィルム枠体を構成するダンボール紙片の展開図、図6は図3のフィルム枠体のA−A断面図(及びB−B断面図)である。以降、上下フィルム枠体の説明が必要な場合以外は、フィルム枠体30として説明する。
【0043】
本発明のフィルム枠体30は、一枚のダンボール紙(図5)から図示しない打ち抜き機により打ち抜かれる。なお、本発明の説明においては、図5の方向で上下方向を縦方向とし、左右方向を横方向として説明している。
【0044】
フィルム枠体30は、中心部に枠対接面31を構成し、その上面にフィルム(図5中に図示なし)を貼り付けて、上下のフィルム枠体30及び50に貼り付けられた2枚のフィルムにより被梱包物(図示なし)を挟むことになる。図5には点線と一点鎖線が引かれているが、図5の状態で見て、点線は谷折りを示し、一点鎖線は山折りを示し、実線は切断線を示す。枠対接面31の左右には、谷折り点線46,46の側方に縦立縁部32,32が設けられ、上下には、谷折り点線47,47の側方に横立縁部33,33が設けられている。枠対接面31の中心部には、谷折り点線49,49の内側に副縦立縁部34,34が設けられ、上下には、谷折り点線48・48,48・48の内側に副横立縁部35,35が設けられている。これら副縦立縁部34,34及び副横立縁部35,35の内側はダンボール紙が打ち抜かれた部分であり開口部40が形成されている。
ここで、谷折り点線46,46と47,47に沿って、縦立縁部32,32と横立縁部33,33に、両面テープ60を貼り付け、枠対接面31の全面を覆う弾性フィルム(図示なし)をフィルム枠体30に固着する。
【0045】
縦立縁部32,32の更に外側には、谷折り点線(符号なし)を介して縦舌片36,36が設けられ、横立縁部33,33の更に外側には、谷折り点線(符号なし)を介して横舌片37,37が設けられている。縦舌片36の最外周には、切り込み部(符号なし)の外側に係止片38,38が設けられ、横舌片37の最外周には、切り込み部(符号なし)の外側に係止片39,39が設けられている。これら係止片38,38は、副縦立縁部34,34が折り込まれることにより、副縦立縁部34,34に設けられている係止突起43,43と係合し、係止片39,39は、副横立縁部35,35が折り込まれることにより、副横立縁部35,35に設けられている係止突起44,44と係合する。
【0046】
枠対接面31は、縦立縁部32,32の反対側に谷折り点線49,49を介して副縦立縁部34,34が設けられ、横立縁部33,33の反対側に谷折り点線48・48,48・48を介して副横立縁部35,35が設けられている。この副横立縁部35,35は、枠対接面31に対して谷折り点線48・48の間は実線(符号なし)で示されているように、切断線が入っている。この切断線により、枠対接面31に対して副横立縁部35,35を谷折りした場合には、突片45,45が枠対接面31と同じ面内に残されることになる。本実施例においては、突片45,45は副横立縁部35,35側にのみ設ける構成としたが、副縦立縁部34,34側にも設ける構成とすることは可能である。本実施例において、突片45,45を副横立縁部35,35側にのみ設ける構成とした理由は、中央部に形成される開口部40の縦横寸法に依存するものである。縦横共にそれほどの寸法がない開口部40の場合は、突片を設ける必要はないし、縦横共に大きな寸法の開口部40の場合は、両方に突片を設けることも可能である。
【0047】
図5に示した実線(切断線)、点線(谷折り線)及び一点鎖線(山折り線)を全て織り込むと、図2のフィルム枠体30及び50となる。図6は、図5のフィルム枠体を全て織り込んだ状態での図3のA−A断面図(及びB−B断面図)を示したものである。これには、本発明のフィルム枠体30の枠対接面31から折り込まれて立ち上げられた外側の縦立縁部32(横立縁部33)と内側の副縦立縁部34(副横立縁部35)が枠体30のフレームを構成することになる。そして、立ち上げられた縦立縁部32(横立縁部33)と副縦立縁部34(副横立縁部35)とは、夫々縦舌片36(横舌片37)が副縦立縁部34(副横立縁部35)と係合することにより強固にロ字状を保つようにされている。
【0048】
縦立縁部32と横立縁部33との間には、三角形状の繋ぎ片41・42,41・42,41・42,41・42が形成され、繋ぎ片41と繋ぎ片42とは山折りとされる。これにより折り込まれた繋ぎ片41と繋ぎ片42とは、フィルム枠体30の枠対接面31の4隅の補強材の効果を果たすことができる。
【0049】
上記したように、フィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱の分野に属する梱包箱は既に知られているが、従前は多くの場合に、HDD等の小型精密機器の梱包時には、気泡シートで個包装され、輸送衝撃からHDDを保護するため発送時に再度、充填用緩衝材を使用した包装作業を行っている。もしくは、発泡ポリエチレンの成型加工品のパッドを使用しHDDの緩衝材にしている。そこで従来の包装課題を明確にして開発ポイントを明確にしたものが以下の表1「包装の問題と開発の着眼点」である。
【0050】
【表1】
【0051】
そして、包装開発にあたっては、以下の表2「包装開発の手順」の3項目について検討して具体的数値を決めた。
【0052】
【表2】
【0053】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱は、小型精密機器として実際の被梱包物として複数種類のHDDを用意して、実証実験を繰り返して最適な通い箱として開発したものである。実際は以下のHDDを実証実験用として用意した。
被梱包物1:横101×縦147×厚さ26(mm)
被梱包物2:横110×縦167×厚さ26(mm)
被梱包物3:横110×縦179×厚さ26(mm)
被梱包物4:横140×縦188×厚さ31(mm)
被梱包物5:横112×縦227×厚さ26(mm)
【0054】
このように、被梱包物の寸法は、最大値で横140×縦188×厚さ31mm、最小値で横101×縦147×厚さ26mmとなり、縦寸法で80mm程度の差があった。重さは0.6〜0.8kgとあまり差はなかった。
【0055】
緩衝体の基本構造の検討と選択においては、現在市場にある緩衝体の基本構造5種類について以下の表3「各種緩衝体の特徴比較」のとおり、特に形状の異なるHDDの収納及び使用量とコストを考慮してフィルム枠体の緩衝方法を検討した。
【0056】
【表3】
【0057】
緩衝体の材料の検討と選択において、緩衝体と容器に使用する材料は、以下の表4「各種包装材料の材質」のとおり、段ボール、ポリウレタンフィルム、両面接着テープの3種類とし、これで試作・試験を実施して最適な材質を選定することとした。
【0058】
【表4】
【0059】
緩衝体の寸法は、図7(A)に示すとおり、フィルム枠体の幅寸法は30mmとし、HDDの厚さとフィルムの伸びから、HDDの最大寸法(縦最大寸法227mm,横最大寸法140mm)に対してフィルムの長さ寸法を周囲に20mmづつ大きい値とし、縦横共に合計50mmの緩衝距離(枠体の幅寸法30mm+被梱包体周辺のフィルムの長さ寸法20mm)にした。厚さは、HDDの厚さ(31mm)の1/2に対して枠幅を48.5mmとし、33mmの緩衝距離にした。図7(B)は、フィルム枠体の断面形状を模式化したものであり、図7(C)は、上下フィルム枠体を重ねた状態を示している。
【0060】
最初に、L字形構造のフィルム枠体を試作し、落下試験をした結果、図8に示す通りに、HDDが落下方向に完全に移動し、フィルム枠体の枠部分が折れ曲がりにより変形してしまい、予想を上回る衝撃が発生する大きな問題が浮上した。このように、単にフィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱を構成しただけでは、必ずしも良好な効果を得られるものではないことが分った。この原因は、HDDを挟むフィルムの圧力が弱く、また、衝撃により枠の折れが発生し(図中点線で示した円内の部分)、枠のたわみが大きくなることであることが分った。このために、枠の構造設計に改良を加え、フィルム厚さの選択と枠に対する接着方法が課題となった。
【0061】
そこで、落下衝撃による緩衝体内のHDDの移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の中央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、フィルム厚さ、段ボールの材質、両面粘着テープの幅を変えながら、落下試験により比較検討した結果、以下の表5「改良フィルム枠体の包装材料」に示す包装材料を選定した。
【0062】
【表5】
【0063】
本発明は、この改良により、落下時にHDDが大きく移動する問題を解消した。さらに枠の強度がアップしたために段ボールは、K6タイプより1ランク低い材料の使用が可能となりコストダウンに繋がった。
【0064】
トレイ付きHDD4種により本発明の包装体を構成して落下試験を行った。その結果は図9に示す通りで、許容加速度60G以内であった。実際に行った落下試験と振動試験の条件は下記の通りであり、HDDの動作試験はすべて正常であった。
(1)落下試験はJIS Z 0202 レベル3,高さ40cm,1角3リョウ6面の10回落下
(2)振動試験はJIS Z 0232の方法A−1,掃引往複時間20分,0.75G,5〜100Hz
【0065】
本発明においては、上述したような小型精密機器用通い箱100に用いられる基本梱包素材としての弾性薄膜としてのプラスチックフィルム(緩衝機能性フィルム)の機械的仕様を試験・実験により特定しようとするものである。これは、単なる設計的事項ではなく、所望の条件(長期(35日:5週間)の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない))を満足する範囲を試行錯誤的な試験・実験により特定する発明的な創作である。
【0066】
圧縮クリープとは、素材(本発明の場合は緩衝材)に一定の静的荷重を加えた状態(図10(C)の状態)にしておくと、時間経過とともに素材の変形が進行していく現象のことである。一般的な、緩衝設計において設計応力が適正範囲を超えて大き過ぎると、包装状態でのクリープによる緩衝材の厚さ損失が大きくなり、この緩衝材の変形(縮小)により製品と包装の間に隙間が生じ、ガタツキ、脱落や二次衝突により製品が損傷する場合がある。
【0067】
ここで言う「緩衝材」とは、「フィルム」のことであるが、本発明の緩衝方法が、一般的な緩衝方法(被梱包物と梱包箱の間に緩衝材を挟んで、緩衝材に加わる圧縮力に対する緩衝材の弾性(塑性)変形反力により被梱包物に加わる加速度を緩和する方法、つまり緩衝材は圧縮される方向で作用する)と異なり、緩衝材(フィルム)に加わる引張力に対する緩衝材の弾性(塑性)変形反力により被梱包材を緩衝支持する方法(=緩衝材は伸ばされる方向で作用する)であるため、一般的な緩衝方法と同列には論じられない。
【0068】
すなわち、一般的な緩衝方法ではクリープにより緩衝材の圧縮方向の変形が増大すると、緩衝材の弾性変形量が減少し、最悪の場合は被梱包物と緩衝材の間に隙間が生じることになるが、本発明ではクリープにより緩衝材(フィルム)の伸び方向の変形が増大し、伸び量が限界を超えると被梱包物と梱包箱との間隔が少なくなりすぎたり、フィルム同士で被梱包物を挟めなくなって、ガタツキ、脱落や二次衝突により被梱包物が損傷することになると考えられる。これを防止するものが本発明である。
【0069】
本発明においては、この対策として、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)ように緩衝材を構成する基本梱包素材としてのプラスチックフィルムの機械的仕様を探索しようとするものである。つまり、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)ように、今回の「フィルム空間保持緩衝包装体」に当てはめた試験法を図10に示し、ポリウレタンフィルムの厚さごと(40μ,70μ,100μ)、試験片の重さごと(0.9kg,3.6kg)に対応した変形状況を測定した。同じポリウレタンフィルムでも、厚さが異なれば変形量も異なり、薄いフィルムほど且つ荷重が重いほど変形量が多くなる。
【0070】
本発明のプラスチックフィルムの機械的仕様探索の際の条件は以下のとおりである。
(1)本実施例にて説明した小型精密機器用通い箱100を使用する。(フィルム面積26cm×18cm=468cm2)
(2)ポリウレタンフィルムは、40μ,70μ,100μの3種類とする。
(3)試験片の外寸法は、HDDの平均寸法とフィルムに乗せたときの余り寸法を1辺4cmとすることで、外形寸法は厚さ3cm、18cm×10cm=180cm2とする。重さは、0.9kg(0.005kg/cm2),3.6kg(002kg/cm2)の2種類とする。
(4)試験データの測定は、包装物をフィルムに載せて図12(A)のとおりに試験を行う。
(5)試験データの測定方法は図12(B)のとおりであり、図10(C)のごとき変形の度合いを計測する。
【0071】
プラスチックフィルムの変形量の測定方法は以下のとおりである。変形量の単位はmm。小型精密機器用通い箱は12個使用する。試験片も12個(厚さ3cm、横18cm×縦10cmのアルミ材で重さ0.9kg×6個、3.6kg×6個)使用する。
(1)荷重前のプラスチックフィルムが枠と同じ高さにあることを確認する。
(2)荷重開始時点は、試験片を乗せた時点であり、枠とフィルムの歪みを測定する。
(3)変形量は、荷重開始時点〜11時間〜1日〜35日(5週)に測定する。
(4)35日後の変化量を測定した後、試験片を外し(荷重を外す)1時間放置後に再度試験片を乗せ直ぐ歪みを測定する。さらに同様に1日たった時点で再度試験片をフィルムに乗せて直ぐ歪を測定する。
【0072】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜に荷重をかけ、フィルム枠体の変形から圧縮クリープを考慮した試行錯誤の上、実際の使用状況においてフィルム枠体が荷重により変形しないどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【0073】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着し、枠を組上げたときにさらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られるが、単純なL字型フィルム枠体の構造では、小形精密機器を挟みこむとフィルム枠体31の枠対接面が荷重により弾性フィルム面の位置より下がり圧力が弱いという欠点がある。このために、枠の構造設計に改良を加え、さらに、どの程度までの荷重で変形しないか数値で定める必要があった。
【0074】
そこで、荷重による緩衝体内の小形精密機器の移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」の発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、荷重、フィルム厚さ、を変えながら圧縮クリープにより比較検討し、フィルム枠体31の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では、変形しないにことを特徴とするものである。
【0075】
本発明の弾性フィルムの枠体30への固着方法は、両面テープ60を使用するもので、弾性薄膜を枠の立ち上げ面32に弾性薄膜にテンションかけた状態で貼る場合、均一に貼るのは難しく、このように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が用意に均一に貼れる。枠を組上げたときに(図10(B))、さらに強い圧力の弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0076】
上下枠体30に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体30の立ち上げ面32に対して両面テープ60を使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面32に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れる。この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の角度θ(図10(A))を枠の中心部から測定すると2度から8度の範囲であり最適な角度は5度である。これにより良好なフィルムのテンション効果が得られる。
【0077】
小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さ割り出して、その重さの範囲を指定することで製品が壊れることなく輸送可能な包装体を実現するように構成された上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供される。
【0078】
本発明においては、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、小形精密機器の荷重0.02kg/cm2で弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造である。さらに、小形精密機器の荷重0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ、70μとも35日を保証できる。
【0079】
本発明においては、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、小形精密機器の荷重0.02kg/cm2で弾性薄膜40μは6時間でオーバーするため弾性薄膜緩衝の材料には使用できないが、小形精密機器の荷重0,005kg/cm2では35日を保証できる。
【0080】
本発明の小形精密機器用通い箱の基本梱包要素としてのフィルムを、小形精密機器の重量を、0.9kg(0.005kg/cm2)と3.6kg(0.02kg/cm2)ものを用意し、フィルムとしては、40μ、70μ、100μの厚さのものを用意して前述の試験条件で試験した圧縮クリープの推移結果を表6、表7、表8に示し、さらにそれをグラフ化したものを図11(A)(B)(C)として記載する。
【0081】
【表6】
フィルムの厚さ40μ、70μ、100μそれぞれについて、小型精密機器の重量を0.9kgと3.6kgとした場合のひずみ率(基準値に対するひずみ量の比率、ここで基準値は荷重直後の初期ひずみの量とした)の時間的な変化を表6としてまとめた。
【0082】
【表7】
小型精密機器の重量0.9kgだけについて、フィルムの厚さ別にひずみ率の時間的な変化を表7としてまとめた。
【0083】
【表8】
小型精密機器の重量3.6kgだけについて、フィルムの厚さ別にひずみ率の時間的な変化を表8としてまとめた。
【符号の説明】
【0084】
30,50・・・上下フィルム枠体
31・・・枠対接面
32・・・縦立縁部
33・・・横立縁部
34・・・副縦立縁部
35・・・副横立縁部
36・・・縦舌片
37・・・横舌片
38,39・・・係止片
40・・・開口部
41,42・・・繋ぎ片
43,44・・・係止突起
45・・・突片
46,47,48,49・・・谷折り点線
【技術分野】
【0001】
コンピュータ等の保守サービスを提供する統合サポート&ソリューションを事業とする企業においては、保守サービス部門での部品の包装はリユースの可能な包装となっており、包装材料の減量化によりCO2ガス排出量削減に貢献している。
【0002】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)等の小型精密機器を形状・寸法に左右されずに一種類或いは少ない種類の梱包手段で梱包できる新規なフィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包通い箱及びその包装体に関するものである。
【0003】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜(緩衝機能性フィルム等)に荷重をかけ、その伸びから圧縮クリープを考慮し、試行錯誤の上、実際の使用状況においてどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【背景技術】
【0004】
従来、小型精密機器の個別包装は、当該機器の形状、寸法に合わせた包装手段が必要であり、輸送用には向いていなかった。また、輸送用包装作業は、作業する人間により異なり、輸送事故の原因ともなっていた。さらに、個別包装、輸送用包装共に繰り返しの使用には難点があり、二重に梱包するなど包装材の使用量が多く、これに伴い包装材の廃棄が多かった。
【0005】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜に荷重をかけ、フィルム枠体の変形から圧縮クリープを考慮した試行錯誤の上、実際の使用状況においてフィルム枠体が荷重により変形しないどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−271994号公報
【特許文献2】特開2004−161341号公報
【特許文献3】特開平11−268770号公報
【特許文献4】特開2004−276957号公報
【特許文献5】特開2004−51163号公報
【特許文献6】特開2002−178464号公報
【0007】
上記フィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱の分野に属する梱包箱は既に知られている。例えば、特開2005−271994号公報(特許文献1)では、強度が非常に高く、また、ディスプレーの態様を制限されず、かつ、安定した状態で載置できる意匠性に優れたディスプレー機能を有する緩衝包装材を提供するとしている。そして、窓孔を覆うように緩衝フィルムが張り渡された一対の中枠部材と該一対の中枠部材を対向させた状態で保持する外枠部材とからなる緩衝包装材において、前記外枠部材を前記一対の中枠部材の外周縁を包囲する筒体と該筒体の一方の開口縁を延長してなる一方側支持片と該筒体の他方の開口縁を延長してなる他方側支持片とから構成し、当該一対の中枠部材をそれぞれ筒体の中空部分に配置すると共に、当該筒体の内方へ折り込まれた一方側支持片によって当該一方の中枠部材の外周縁部を支持し、かつ、当該筒体の内方へ折り込まれた他方側支持片によって当該他方の中枠部材の外周縁部を支持するものが開示されている。
【0008】
また、特開2004−161341号公報(特許文献2)では、緩衝包装容器の分野において、包装作業が簡単で、緩衝材が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で焼却しても有害ガスを発生しない緩衝機能付き容器を提供するとしている。そして、緩衝機能付き容器を、少なくとも外箱と、その内部に収納され、内容物を両側から挟むように保持して緩衝性を付与する緩衝材とで形成すると共に、両側の緩衝材を、板紙又は段ボールを基材として、少なくとも矩形状枠形の天板と、その下に折り曲げ線を介して連設された外側壁板と内側壁板とを有する二重壁構造の立体枠形状に形成し、天板の上にポリエチレン系樹脂の積層体で形成した緩衝機能性フィルムを窓貼り状に貼着して構成している。
【0009】
また、特開平11−268770号公報(特許文献3)では、激しい衝撃から物品を保護し、物品の種々なサイズ、形態に対応でき、作業性の良好な緩衝機能付き包装体を提供することを課題としている。そして、緩衝機能性フィルムを緩衝材として用いて物品を衝撃から保護する包装体であって、箱の身と蓋の中段に緩衝機能性フィルムを保持する中枠がそれぞれ固定され、対向する2枚の前記緩衝機能性フィルムによって物品が中吊り状態で保持されることを特徴とする緩衝機能付き包装体が開示されている。
【0010】
また、特開2004−276957号公報(特許文献4)では、ノート型パソコンの運送用梱包具を提供するとして、ベースボードと抑えシートとを有し、ベースボードは、物品を定位置に支えるものであり、上面に物品を搭載する搭載面と、上向きに折曲して外箱の下面に支えられる立上り部分と、直面形成部分と、水平面形成部分とからなる立下がり部分とを有している。垂直面形成部分と水平面形成部分は、搭載面の下方にコ型に折り曲げられて緩衝空間を形成して外箱の内底面に支持される。抑えシートは、ベースシートの搭載面をまたがって、立下り部分の水平面形成部分に固定され、立下り部分の折り曲げにより引っ張られる結果、緊張して物品を搭載面上に定着させるものが開示されている。
【0011】
また、特開2004−51163号公報(特許文献5)では、緩衝包装容器の分野において、包装作業が簡単で、緩衝材が嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で焼却しても有害ガスを発生しない緩衝機能付き容器を提供するとしている。そして、緩衝機能付き容器を、外箱と該外箱の内部に装着し収納物を挟持して緩衝性を付与する挟持材とで形成すると共に、該挟持材は、板紙又は段ボールの中央部に設けられた折り曲げ線の両側に連設された矩形状の天板と、該天板の周囲三辺に折り曲げ線を介して連設された側板とで形成し、両側の天板の中央にはそれぞれ打ち抜き部を設け、その打ち抜き部にポリエチレン系樹脂からなる緩衝機能性フィルムを窓貼りして構成するものが開示されている。尚、収納物は両側の天板の打ち抜き部に窓貼りされた緩衝機能性フィルムの間に宙吊り状態に挟持され、衝撃から保護される。
【0012】
また、特開2002−178464号公報(特許文献6)では、柔軟性、弾力性のほかアンチブロッキング性にも優れ、緩衝機能性と共に取り扱い性にも優れた緩衝機能性フィルムとそれを用いてなる緩衝機能を備えた包装容器を提供するとしている。そして、緩衝機能性フィルムを、シングルサイト系触媒による密度0.860〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体層を中心層として、少なくともその一方の面に密度0.910〜0.930g/cm3の線状低密度ポリエチレン層を積層して構成し、その総厚みに対する該エチレン・α−オレフィン共重合体層の厚み比率を75〜95%の範囲とし、総厚みは20〜300μmの範囲とする。また、上記緩衝機能性フィルムを、例えば窓貼り状に貼り付けた中枠体を内容物の上下に用いて、容器内で内容物を中吊り状態に保持するような形状として緩衝機能を備えた包装容器を提供できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、対象製品の基準となる寸法を割り出して、1種類或いは少ない種類の輸送可能な包装体を実現することである。そして本発明の包装体は、現状の輸送環境に適し、簡単に均一化のできる輸送用包装手段を提供することである。これにより、環境3R(Reduce, Reuse, Recycle)が容易な包装仕様と包装手段を実現するものである。
【0014】
さらに本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さ割り出して、その重さの範囲を指定することで製品が壊れることなく輸送可能な包装体を実現することである。
【0015】
特に、本発明は、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、及び接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。
【0016】
特に、本発明は、フィルム枠体に貼られた薄膜について、その薄膜にかかる小型精密機器の荷重から最適な弾性薄膜の厚さを決めることで最適な輸送手段を提供することである。
【0017】
さらに、本発明の小型精密機器包装体は、中央部に開口部を設けた上下枠体の当該開口部を覆うように弾性薄膜を貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であるため、フィルム枠体に固着した状態の弾性薄膜は、ある程度のテンションが必要とされる。
【0018】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープ60(図10(A))を使用して接着するものであり、このように枠30の立ち上げ面32に貼ることで、枠を組上げたときに立ち上げ面を折り曲げることにより、さらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られる。これに対して、フィルム枠体に固着する際にテンションなしで貼り付けた場合には、小形精密機器を挟みこむ圧力が弱いという欠点がある。このために弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際に、立ち上げ面の角度と貼り付け方法が課題であった。
【0019】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着し、枠を組上げたときにさらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られるが、単純なL字型フィルム枠体の構造では、小形精密機器を挟みこむとフィルム枠体31の枠対接面が荷重により弾性フィルム面の位置より下がり圧力が弱いという欠点がある。このために、枠の構造設計に改良を加え、さらに、どの程度までの荷重で変形しないかを数値で定める必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の弾性薄膜からなる緩衝材を用いた通い箱は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、該弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れるており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されたことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の通い箱は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さを割り出して、その重さの範囲を指定することで製品を安全に壊れることなく輸送可能な通い箱を構成した上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供されることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の弾性薄膜を貼り付けた緩衝材を用いた通い箱は、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供するために、本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値を、被梱包物である小形精密機器の荷重を0.02kg/cm2で、弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造とし、さらに、被梱包物である小形精密機器の荷重が0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ,70μともに35日を保証できる。
【0023】
さらに本発明の通い箱は、フィルム枠体に貼られた薄膜を、被梱包物である小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造として、良好な輸送用包装手段を提供するように、圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、被梱包物である小形精密機器が荷重0.005kg/cm2である場合には、弾性薄膜が40μの弾性薄膜貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする。
【0024】
本発明の小型精密機器包装体は、荷重による緩衝体内の弾性薄膜の圧力低下防止のために、緩衝体の枠の構造を断面U字形にし、この形状を枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体とし、このような枠構造により、フィルム枠体の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では変形しないフィルム枠体を構成したことを特徴とする。
【0025】
本発明の小形精密機器用包装体を用いた最適な輸送手段を提供するために、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」のフィルム枠体を使用した圧縮クリープ試験より求め、小型精密機器の荷重から最適な弾性薄膜の厚さを決め、さらに本包装体に適用できる小形精密機器の重さを提供することを特徴とする。
【0026】
本発明の小型精密機器包装体は、中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性薄膜を貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れる。
この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る角度を枠の中心部から測定すると2度から8度の範囲であり最適な角度は5度である。これにより良好なフィルムのテンション効果が得られることを特徴とする。
【0027】
そこで、荷重による緩衝体内の小形精密機器の移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、荷重、フィルム厚さ、を変えながら圧縮クリープにより比較検討し、フィルム枠体31の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では、変形しないにことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の構成により、フィルム空間保持緩衝材は、枠が容器の補強となり平均12回のリユース可能であり、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)通い箱が構成できた。
【0029】
本発明により、従来の全面緩衝包装と比べ、包装作業工数の削減・リユースによる包装材料の削減等でトータルコストを75%削減した。
【0030】
弾性フィルムを枠体に固着するには、通常2種類の方法が用いられている。ひとつは、ゴム系溶剤タイプの接着剤を用いる方法、もう一つは高周波誘電加熱法でありこれらは、ともにロール状のフィルムからテンションを与えながら展開した枠材に押し圧する機械を必要とする。これに対して、本発明の弾性フィルムの枠体への固着方法は、両面テープを使用するもので、製造時に機械は不要で安価で簡便に使用でき、弾性薄膜を開いた状態の枠を中心部から弾性薄膜の貼る側へ弓なりに2度から8度そらせた状態で枠の立ち上げ面に貼ることで、枠を組上げたときにさらに良好な弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0031】
さらに本発明の弾性フィルムの枠体への固着方法は、両面テープを使用するもので、弾性薄膜を枠の立ち上げ面に弾性薄膜にテンションかけた状態で貼る場合、均一に貼るのは難しく、このように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が用意に均一に貼れる。枠を組上げたときにさらに強い圧力の弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0032】
さらに本発明の弾性フィルムの枠体は、L字型からU字型に改良したことにより荷重によるフィルム枠体31の枠対接面の四方の隅のまがりとたわみがなくなり、枠を組上げたときにさらに荷重に強く、変形の無いフィルム枠体と弾性薄膜のテンション効果によりさらに長期的に持続を有する型精密機器包装体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の内部構成を理解し易く配置した斜視図
【図2】本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の主要構成部品である上下フィルム枠体の詳細斜視図
【図3】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体の背面図
【図4】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体の正面図
【図5】本発明の基本梱包素材を用いたフィルム枠体を構成するダンボール紙片の展開図
【図6】図3に示した基本梱包素材を用いたフィルム枠体のA−A断面図
【図7】(A)(B)(C)本発明の基本梱包素材を用いた通い箱の基本寸法図
【図8】落下実験時のHDD移動の説明図
【図9】包装貨物試験加速度結果を示す図
【図10】(A)(B)本発明の基本梱包素材をフィルム枠体に貼り付ける際の手順の説明図で、(C)は圧縮曲線のイメージ図
【図11】(A)(B)(C)本発明の基本梱包素材の使用実験結果の数値をグラフ化した図
【図12】(A)(B)本発明の包装体を現す試験片と測定方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の構造について説明する。本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の夫々の開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下フィルム枠体30,50は、夫々対向するフィルム枠体に対接する枠対接面31を形成し、該枠対接面の外側には縦横夫々の方向に縦立縁部32及び横立縁部33を設けると共に該枠対接面31の内側には縦横夫々の方向に副縦立縁部34及び副横立縁部35を設け、前記縦立縁部32及び前記横立縁部33の外側には夫々縦舌片36及び横舌片37を設けており、さらに、該縦舌片36及び横舌片37の外側には各々が係止片38を備え、かつ、前記副縦立縁部34及び前記副横立縁部35の内側には夫々係止突起43を備えており、
前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して谷折りされ、かつ、前記縦舌片36・横舌片37は前記縦立縁部32・横立縁部33に対して谷折りされるように構成され、
これにより、前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して立ち上げられ、前記縦舌片36・横舌片37の各係止片38が前記副縦立縁部34・副横立縁部35の対応する係止突起43と係合するように構成されている。
【0035】
さらに、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、前記副横立縁部35は、前記枠対接面31に対して中心部を切断線で、その両端を谷折り線で接するように形成されており、当該中心部の切断線は、前記枠対接面31内の開口部40に向けて突片を形成している。
【0036】
さらに、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱100は、前記副縦立縁部34と前記副横立縁部35とは、三角形状の繋ぎ片41,42で繋げられており、該三角形状の繋ぎ片41,42を折り込むことにより、前記フィルム枠体の四隅の補強部材として構成している。
【0037】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器包装体100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下フィルム枠体30,50は、夫々対向するフィルム枠体に対接する枠対接面31を形成し、該枠対接面の外側には縦横夫々の方向に縦立縁部32及び横立縁部33を設けると共に該枠対接面31の内側には縦横夫々の方向に副縦立縁部34及び副横立縁部35を設け、前記縦立縁部34及び前記横立縁部35の外側には夫々縦舌片36及び横舌片37を設けており、さらに、該縦舌片36及び横舌片37の外側には各々が係止片38,39を備え、かつ、前記副縦立縁部34及び前記副横立縁部35の内側には夫々係止突起43,44を備えており、
前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して谷折りされ、かつ、前記縦舌片36・横舌片37は前記縦立縁部32・横立縁部33に対して谷折りされるように構成され、
これにより、前記縦立縁部32・横立縁部33及び前記副縦立縁部34・副横立縁部35は夫々前記枠対接面31に対して立ち上げられ、前記縦舌片36・横舌片37の各係止片38,39が前記副縦立縁部34・副横立縁部35の対応する係止突起43,44と係合するように構成された上下フィルム枠体間30,50に小型精密機器を挟んで輸送に供される。
【0038】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器包装体100は、中央部に開口部40を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体30,50により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体30,50を容器(図示なし)に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、図10(A)に示すように、弾性フィルムを上下枠体30の立ち上げ面32に対して両面テープ60を使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面に貼ることで、枠を組上げたとき(図10(B)の状態)に良好な弾性フィルムのテンション効果を得る。
【0039】
以下、図面を用いて本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の実施例の説明を詳細に行う。なお、この説明はあくまでも本発明の実施例としての説明であり、本発明の発明思想がこの範囲に限定されるというものでない。
【0040】
図1は、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用の通い箱100の内部構成を理解し易く配置した斜視図である。通い箱100は、ダンボール容器10内に上下のフィルム枠体30及び50を収容したものである。本実施例においては、上下のフィルム枠体30及び50は、構造的には同じものを使用している。しかし、梱包する被梱包物の形状により上下のフィルム枠体30及び50の寸法を変更することも可能である。例えば、被梱包物の天地何れかに突起部がある等により、一方の厚み方向の寸法を変更する等である。
【0041】
ここでは詳細に説明しないが、ダンボール容器10の粘着テープレス化を図るために、ダンボール容器10の底を1カ所差し込むだけでワンタッチの組み立てができる構造としてある。ダンボール容器10の材質は、後段で詳細に説明する上下のフィルム枠体30及び50と同じK5タイプにし、全体の重さは0.36kgで外寸法は340×205×115mmとしている。
【0042】
図2は、本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱の主要構成部品である上下フィルム枠体30及び50の詳細斜視図である。このフィルム枠体の詳細は図3〜図6に示されており、図3は、本発明のフィルム枠体の背面図、図4は、本発明のフィルム枠体の正面図、図5は、本発明のフィルム枠体を構成するダンボール紙片の展開図、図6は図3のフィルム枠体のA−A断面図(及びB−B断面図)である。以降、上下フィルム枠体の説明が必要な場合以外は、フィルム枠体30として説明する。
【0043】
本発明のフィルム枠体30は、一枚のダンボール紙(図5)から図示しない打ち抜き機により打ち抜かれる。なお、本発明の説明においては、図5の方向で上下方向を縦方向とし、左右方向を横方向として説明している。
【0044】
フィルム枠体30は、中心部に枠対接面31を構成し、その上面にフィルム(図5中に図示なし)を貼り付けて、上下のフィルム枠体30及び50に貼り付けられた2枚のフィルムにより被梱包物(図示なし)を挟むことになる。図5には点線と一点鎖線が引かれているが、図5の状態で見て、点線は谷折りを示し、一点鎖線は山折りを示し、実線は切断線を示す。枠対接面31の左右には、谷折り点線46,46の側方に縦立縁部32,32が設けられ、上下には、谷折り点線47,47の側方に横立縁部33,33が設けられている。枠対接面31の中心部には、谷折り点線49,49の内側に副縦立縁部34,34が設けられ、上下には、谷折り点線48・48,48・48の内側に副横立縁部35,35が設けられている。これら副縦立縁部34,34及び副横立縁部35,35の内側はダンボール紙が打ち抜かれた部分であり開口部40が形成されている。
ここで、谷折り点線46,46と47,47に沿って、縦立縁部32,32と横立縁部33,33に、両面テープ60を貼り付け、枠対接面31の全面を覆う弾性フィルム(図示なし)をフィルム枠体30に固着する。
【0045】
縦立縁部32,32の更に外側には、谷折り点線(符号なし)を介して縦舌片36,36が設けられ、横立縁部33,33の更に外側には、谷折り点線(符号なし)を介して横舌片37,37が設けられている。縦舌片36の最外周には、切り込み部(符号なし)の外側に係止片38,38が設けられ、横舌片37の最外周には、切り込み部(符号なし)の外側に係止片39,39が設けられている。これら係止片38,38は、副縦立縁部34,34が折り込まれることにより、副縦立縁部34,34に設けられている係止突起43,43と係合し、係止片39,39は、副横立縁部35,35が折り込まれることにより、副横立縁部35,35に設けられている係止突起44,44と係合する。
【0046】
枠対接面31は、縦立縁部32,32の反対側に谷折り点線49,49を介して副縦立縁部34,34が設けられ、横立縁部33,33の反対側に谷折り点線48・48,48・48を介して副横立縁部35,35が設けられている。この副横立縁部35,35は、枠対接面31に対して谷折り点線48・48の間は実線(符号なし)で示されているように、切断線が入っている。この切断線により、枠対接面31に対して副横立縁部35,35を谷折りした場合には、突片45,45が枠対接面31と同じ面内に残されることになる。本実施例においては、突片45,45は副横立縁部35,35側にのみ設ける構成としたが、副縦立縁部34,34側にも設ける構成とすることは可能である。本実施例において、突片45,45を副横立縁部35,35側にのみ設ける構成とした理由は、中央部に形成される開口部40の縦横寸法に依存するものである。縦横共にそれほどの寸法がない開口部40の場合は、突片を設ける必要はないし、縦横共に大きな寸法の開口部40の場合は、両方に突片を設けることも可能である。
【0047】
図5に示した実線(切断線)、点線(谷折り線)及び一点鎖線(山折り線)を全て織り込むと、図2のフィルム枠体30及び50となる。図6は、図5のフィルム枠体を全て織り込んだ状態での図3のA−A断面図(及びB−B断面図)を示したものである。これには、本発明のフィルム枠体30の枠対接面31から折り込まれて立ち上げられた外側の縦立縁部32(横立縁部33)と内側の副縦立縁部34(副横立縁部35)が枠体30のフレームを構成することになる。そして、立ち上げられた縦立縁部32(横立縁部33)と副縦立縁部34(副横立縁部35)とは、夫々縦舌片36(横舌片37)が副縦立縁部34(副横立縁部35)と係合することにより強固にロ字状を保つようにされている。
【0048】
縦立縁部32と横立縁部33との間には、三角形状の繋ぎ片41・42,41・42,41・42,41・42が形成され、繋ぎ片41と繋ぎ片42とは山折りとされる。これにより折り込まれた繋ぎ片41と繋ぎ片42とは、フィルム枠体30の枠対接面31の4隅の補強材の効果を果たすことができる。
【0049】
上記したように、フィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱の分野に属する梱包箱は既に知られているが、従前は多くの場合に、HDD等の小型精密機器の梱包時には、気泡シートで個包装され、輸送衝撃からHDDを保護するため発送時に再度、充填用緩衝材を使用した包装作業を行っている。もしくは、発泡ポリエチレンの成型加工品のパッドを使用しHDDの緩衝材にしている。そこで従来の包装課題を明確にして開発ポイントを明確にしたものが以下の表1「包装の問題と開発の着眼点」である。
【0050】
【表1】
【0051】
そして、包装開発にあたっては、以下の表2「包装開発の手順」の3項目について検討して具体的数値を決めた。
【0052】
【表2】
【0053】
本発明の基本梱包素材を用いた小型精密機器用通い箱は、小型精密機器として実際の被梱包物として複数種類のHDDを用意して、実証実験を繰り返して最適な通い箱として開発したものである。実際は以下のHDDを実証実験用として用意した。
被梱包物1:横101×縦147×厚さ26(mm)
被梱包物2:横110×縦167×厚さ26(mm)
被梱包物3:横110×縦179×厚さ26(mm)
被梱包物4:横140×縦188×厚さ31(mm)
被梱包物5:横112×縦227×厚さ26(mm)
【0054】
このように、被梱包物の寸法は、最大値で横140×縦188×厚さ31mm、最小値で横101×縦147×厚さ26mmとなり、縦寸法で80mm程度の差があった。重さは0.6〜0.8kgとあまり差はなかった。
【0055】
緩衝体の基本構造の検討と選択においては、現在市場にある緩衝体の基本構造5種類について以下の表3「各種緩衝体の特徴比較」のとおり、特に形状の異なるHDDの収納及び使用量とコストを考慮してフィルム枠体の緩衝方法を検討した。
【0056】
【表3】
【0057】
緩衝体の材料の検討と選択において、緩衝体と容器に使用する材料は、以下の表4「各種包装材料の材質」のとおり、段ボール、ポリウレタンフィルム、両面接着テープの3種類とし、これで試作・試験を実施して最適な材質を選定することとした。
【0058】
【表4】
【0059】
緩衝体の寸法は、図7(A)に示すとおり、フィルム枠体の幅寸法は30mmとし、HDDの厚さとフィルムの伸びから、HDDの最大寸法(縦最大寸法227mm,横最大寸法140mm)に対してフィルムの長さ寸法を周囲に20mmづつ大きい値とし、縦横共に合計50mmの緩衝距離(枠体の幅寸法30mm+被梱包体周辺のフィルムの長さ寸法20mm)にした。厚さは、HDDの厚さ(31mm)の1/2に対して枠幅を48.5mmとし、33mmの緩衝距離にした。図7(B)は、フィルム枠体の断面形状を模式化したものであり、図7(C)は、上下フィルム枠体を重ねた状態を示している。
【0060】
最初に、L字形構造のフィルム枠体を試作し、落下試験をした結果、図8に示す通りに、HDDが落下方向に完全に移動し、フィルム枠体の枠部分が折れ曲がりにより変形してしまい、予想を上回る衝撃が発生する大きな問題が浮上した。このように、単にフィルム空間保持緩衝方式の輸送用梱包箱を構成しただけでは、必ずしも良好な効果を得られるものではないことが分った。この原因は、HDDを挟むフィルムの圧力が弱く、また、衝撃により枠の折れが発生し(図中点線で示した円内の部分)、枠のたわみが大きくなることであることが分った。このために、枠の構造設計に改良を加え、フィルム厚さの選択と枠に対する接着方法が課題となった。
【0061】
そこで、落下衝撃による緩衝体内のHDDの移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の中央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、フィルム厚さ、段ボールの材質、両面粘着テープの幅を変えながら、落下試験により比較検討した結果、以下の表5「改良フィルム枠体の包装材料」に示す包装材料を選定した。
【0062】
【表5】
【0063】
本発明は、この改良により、落下時にHDDが大きく移動する問題を解消した。さらに枠の強度がアップしたために段ボールは、K6タイプより1ランク低い材料の使用が可能となりコストダウンに繋がった。
【0064】
トレイ付きHDD4種により本発明の包装体を構成して落下試験を行った。その結果は図9に示す通りで、許容加速度60G以内であった。実際に行った落下試験と振動試験の条件は下記の通りであり、HDDの動作試験はすべて正常であった。
(1)落下試験はJIS Z 0202 レベル3,高さ40cm,1角3リョウ6面の10回落下
(2)振動試験はJIS Z 0232の方法A−1,掃引往複時間20分,0.75G,5〜100Hz
【0065】
本発明においては、上述したような小型精密機器用通い箱100に用いられる基本梱包素材としての弾性薄膜としてのプラスチックフィルム(緩衝機能性フィルム)の機械的仕様を試験・実験により特定しようとするものである。これは、単なる設計的事項ではなく、所望の条件(長期(35日:5週間)の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない))を満足する範囲を試行錯誤的な試験・実験により特定する発明的な創作である。
【0066】
圧縮クリープとは、素材(本発明の場合は緩衝材)に一定の静的荷重を加えた状態(図10(C)の状態)にしておくと、時間経過とともに素材の変形が進行していく現象のことである。一般的な、緩衝設計において設計応力が適正範囲を超えて大き過ぎると、包装状態でのクリープによる緩衝材の厚さ損失が大きくなり、この緩衝材の変形(縮小)により製品と包装の間に隙間が生じ、ガタツキ、脱落や二次衝突により製品が損傷する場合がある。
【0067】
ここで言う「緩衝材」とは、「フィルム」のことであるが、本発明の緩衝方法が、一般的な緩衝方法(被梱包物と梱包箱の間に緩衝材を挟んで、緩衝材に加わる圧縮力に対する緩衝材の弾性(塑性)変形反力により被梱包物に加わる加速度を緩和する方法、つまり緩衝材は圧縮される方向で作用する)と異なり、緩衝材(フィルム)に加わる引張力に対する緩衝材の弾性(塑性)変形反力により被梱包材を緩衝支持する方法(=緩衝材は伸ばされる方向で作用する)であるため、一般的な緩衝方法と同列には論じられない。
【0068】
すなわち、一般的な緩衝方法ではクリープにより緩衝材の圧縮方向の変形が増大すると、緩衝材の弾性変形量が減少し、最悪の場合は被梱包物と緩衝材の間に隙間が生じることになるが、本発明ではクリープにより緩衝材(フィルム)の伸び方向の変形が増大し、伸び量が限界を超えると被梱包物と梱包箱との間隔が少なくなりすぎたり、フィルム同士で被梱包物を挟めなくなって、ガタツキ、脱落や二次衝突により被梱包物が損傷することになると考えられる。これを防止するものが本発明である。
【0069】
本発明においては、この対策として、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)ように緩衝材を構成する基本梱包素材としてのプラスチックフィルムの機械的仕様を探索しようとするものである。つまり、長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)ように、今回の「フィルム空間保持緩衝包装体」に当てはめた試験法を図10に示し、ポリウレタンフィルムの厚さごと(40μ,70μ,100μ)、試験片の重さごと(0.9kg,3.6kg)に対応した変形状況を測定した。同じポリウレタンフィルムでも、厚さが異なれば変形量も異なり、薄いフィルムほど且つ荷重が重いほど変形量が多くなる。
【0070】
本発明のプラスチックフィルムの機械的仕様探索の際の条件は以下のとおりである。
(1)本実施例にて説明した小型精密機器用通い箱100を使用する。(フィルム面積26cm×18cm=468cm2)
(2)ポリウレタンフィルムは、40μ,70μ,100μの3種類とする。
(3)試験片の外寸法は、HDDの平均寸法とフィルムに乗せたときの余り寸法を1辺4cmとすることで、外形寸法は厚さ3cm、18cm×10cm=180cm2とする。重さは、0.9kg(0.005kg/cm2),3.6kg(002kg/cm2)の2種類とする。
(4)試験データの測定は、包装物をフィルムに載せて図12(A)のとおりに試験を行う。
(5)試験データの測定方法は図12(B)のとおりであり、図10(C)のごとき変形の度合いを計測する。
【0071】
プラスチックフィルムの変形量の測定方法は以下のとおりである。変形量の単位はmm。小型精密機器用通い箱は12個使用する。試験片も12個(厚さ3cm、横18cm×縦10cmのアルミ材で重さ0.9kg×6個、3.6kg×6個)使用する。
(1)荷重前のプラスチックフィルムが枠と同じ高さにあることを確認する。
(2)荷重開始時点は、試験片を乗せた時点であり、枠とフィルムの歪みを測定する。
(3)変形量は、荷重開始時点〜11時間〜1日〜35日(5週)に測定する。
(4)35日後の変化量を測定した後、試験片を外し(荷重を外す)1時間放置後に再度試験片を乗せ直ぐ歪みを測定する。さらに同様に1日たった時点で再度試験片をフィルムに乗せて直ぐ歪を測定する。
【0072】
本発明は、本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」を使用して、フィルム枠体に貼られた弾性薄膜に荷重をかけ、フィルム枠体の変形から圧縮クリープを考慮した試行錯誤の上、実際の使用状況においてフィルム枠体が荷重により変形しないどのような使用条件が適切であるかの発明に到達したものである。
【0073】
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着し、枠を組上げたときにさらに良好な弾性フィルムのテンション効果は得られるが、単純なL字型フィルム枠体の構造では、小形精密機器を挟みこむとフィルム枠体31の枠対接面が荷重により弾性フィルム面の位置より下がり圧力が弱いという欠点がある。このために、枠の構造設計に改良を加え、さらに、どの程度までの荷重で変形しないか数値で定める必要があった。
【0074】
そこで、荷重による緩衝体内の小形精密機器の移動防止のために、緩衝体の枠の構造を断面L字形から本発明者等が既に出願している特願2010−077416「小型精密機器用通い箱及び小型精密機器包装体」の発明の通りに断面U字形(図6)にした。これを枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体に改良した。このように改良した本発明の枠構造に、荷重、フィルム厚さ、を変えながら圧縮クリープにより比較検討し、フィルム枠体31の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では、変形しないにことを特徴とするものである。
【0075】
本発明の弾性フィルムの枠体30への固着方法は、両面テープ60を使用するもので、弾性薄膜を枠の立ち上げ面32に弾性薄膜にテンションかけた状態で貼る場合、均一に貼るのは難しく、このように枠の立ち上げ面に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が用意に均一に貼れる。枠を組上げたときに(図10(B))、さらに強い圧力の弾性薄膜のテンション効果を有した小型精密機器包装体を得ることができる。
【0076】
上下枠体30に対して前記弾性フィルムを固着する際には、弾性フィルムを上下枠体30の立ち上げ面32に対して両面テープ60を使用して接着するものでありこのように枠の立ち上げ面32に貼る際に内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れる。この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の角度θ(図10(A))を枠の中心部から測定すると2度から8度の範囲であり最適な角度は5度である。これにより良好なフィルムのテンション効果が得られる。
【0077】
小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さ割り出して、その重さの範囲を指定することで製品が壊れることなく輸送可能な包装体を実現するように構成された上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供される。
【0078】
本発明においては、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、小形精密機器の荷重0.02kg/cm2で弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造である。さらに、小形精密機器の荷重0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ、70μとも35日を保証できる。
【0079】
本発明においては、フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない(好ましくは5%を超えない)緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供することである。本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内(好ましくは5%以内)の性能値は、小形精密機器の荷重0.02kg/cm2で弾性薄膜40μは6時間でオーバーするため弾性薄膜緩衝の材料には使用できないが、小形精密機器の荷重0,005kg/cm2では35日を保証できる。
【0080】
本発明の小形精密機器用通い箱の基本梱包要素としてのフィルムを、小形精密機器の重量を、0.9kg(0.005kg/cm2)と3.6kg(0.02kg/cm2)ものを用意し、フィルムとしては、40μ、70μ、100μの厚さのものを用意して前述の試験条件で試験した圧縮クリープの推移結果を表6、表7、表8に示し、さらにそれをグラフ化したものを図11(A)(B)(C)として記載する。
【0081】
【表6】
フィルムの厚さ40μ、70μ、100μそれぞれについて、小型精密機器の重量を0.9kgと3.6kgとした場合のひずみ率(基準値に対するひずみ量の比率、ここで基準値は荷重直後の初期ひずみの量とした)の時間的な変化を表6としてまとめた。
【0082】
【表7】
小型精密機器の重量0.9kgだけについて、フィルムの厚さ別にひずみ率の時間的な変化を表7としてまとめた。
【0083】
【表8】
小型精密機器の重量3.6kgだけについて、フィルムの厚さ別にひずみ率の時間的な変化を表8としてまとめた。
【符号の説明】
【0084】
30,50・・・上下フィルム枠体
31・・・枠対接面
32・・・縦立縁部
33・・・横立縁部
34・・・副縦立縁部
35・・・副横立縁部
36・・・縦舌片
37・・・横舌片
38,39・・・係止片
40・・・開口部
41,42・・・繋ぎ片
43,44・・・係止突起
45・・・突片
46,47,48,49・・・谷折り点線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、該弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れるており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されたことを特徴とする弾性薄膜を用いた緩衝材を用いた通い箱。
【請求項2】
中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さを割り出して、その重さの範囲を指定することで製品を安全に壊れることなく輸送可能な通い箱を構成した上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供されることを特徴とする請求項1記載の通い箱。
【請求項3】
フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供するために、本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内の性能値を、被梱包物である小形精密機器の荷重を0.02kg/cm2で、弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造とし、さらに、被梱包物である小形精密機器の荷重が0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ,70μともに35日を保証できる弾性薄膜を貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の通い箱。
【請求項4】
フィルム枠体に貼られた薄膜を、被梱包物である小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない緩衝構造として、良好な輸送用包装手段を提供するように、圧縮クリープ試験による歪み率10%以内の性能値は、被梱包物である小形精密機器が荷重0.005kg/cm2である場合には、弾性薄膜が40μの弾性薄膜貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の通い箱。
【請求項5】
荷重による緩衝体内の弾性薄膜の圧力低下防止のために、緩衝体の枠の構造を断面U字形にし、この形状を枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体とし、このような枠構造により、フィルム枠体の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では変形しないフィルム枠体を構成したことを特徴とする小型精密機器包装体。
【請求項1】
中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して輸送するようにした通い箱であって、
前記上下枠体に対して前記弾性フィルムを固着する際には、該弾性フィルムを上下枠体の立ち上げ面に対して両面テープを使用して接着したものであり、このように枠の立ち上げ面に貼る際には、内側に対角状に曲げ4隅に固着してから周囲全体をなぞるように貼ることで弾性薄膜が均一に貼れるており、この弾性フィルムを枠の立ち上げ面に貼る際の枠の立ち上げ面の角度は枠の中心部から測定して2度から8度の範囲内であり、最適な角度は5度であり、これにより良好なフィルムのテンション効果が得られるように構成されたことを特徴とする弾性薄膜を用いた緩衝材を用いた通い箱。
【請求項2】
中央部に開口部を設けた上下枠体の該開口部を覆うように弾性フィルムを貼り付けた上下フィルム枠体により被梱包物である小型精密機器を挟み込み、この上下フィルム枠体を容器に収容して小型精密機器を輸送するようにした包装体であって、小型精密機器用通い箱のフィルム枠体の性能値を定めることで、フィルム枠体の最適な緩衝効果の基準となる小形精密機器の重さを割り出して、その重さの範囲を指定することで製品を安全に壊れることなく輸送可能な通い箱を構成した上下フィルム枠体間に小型精密機器を挟んで輸送に供されることを特徴とする請求項1記載の通い箱。
【請求項3】
フィルム枠体に貼られた薄膜について小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない緩衝構造を求め、最適な輸送用包装手段を提供するために、本包装体の圧縮クリープ試験による歪み率10%以内の性能値を、被梱包物である小形精密機器の荷重を0.02kg/cm2で、弾性薄膜70μは14日、弾性薄膜100μは3日を保証できる緩衝構造とし、さらに、被梱包物である小形精密機器の荷重が0.005kg/cm2では弾性薄膜100μ,70μともに35日を保証できる弾性薄膜を貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の通い箱。
【請求項4】
フィルム枠体に貼られた薄膜を、被梱包物である小形精密機器の重さ、接地面積より長期の圧縮クリープが10%を超えない緩衝構造として、良好な輸送用包装手段を提供するように、圧縮クリープ試験による歪み率10%以内の性能値は、被梱包物である小形精密機器が荷重0.005kg/cm2である場合には、弾性薄膜が40μの弾性薄膜貼り付けた緩衝材を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の通い箱。
【請求項5】
荷重による緩衝体内の弾性薄膜の圧力低下防止のために、緩衝体の枠の構造を断面U字形にし、この形状を枠体の四辺の央部4カ所に追加したフィルム枠体とし、このような枠構造により、フィルム枠体の枠対接面が小形精密機器の荷重0.02kg/cm2以下では変形しないフィルム枠体を構成したことを特徴とする小型精密機器包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−79081(P2013−79081A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218436(P2011−218436)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)
【Fターム(参考)】
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