説明

屋根上構造物取り付け金具

【課題】既設の屋根に補修用屋根材などを設置する際の作業性を向上させた屋根上構造物取り付け金具を提供する。
【解決手段】基部3の両端に先端を内向きに折り曲げた係止爪部5を有する対向する下向きのクランプ部4と、上向きのボルト6を取付た係止クランプ1と、支持面7の両端に対向する下向きの支持脚8と、この支持面7に貫通孔11が設けられた支持フレーム2とから構成される。係止クランプ1が支持フレーム2の内部にその支持脚8とクランプ部4とが対向状態で嵌め入れられる。係止クランプ1が既設の各屋根20のキャップ26を跨ぐように取り付けられ、支持フレーム2の支持面7に補修用屋根材30が載置される。ボルト6にナット29を締め付けることにより、係止クランプ1を接合部材22に固定するとともに、補修用屋根材30が支持フレーム2に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設の屋根の上に、補修用屋根材などの各種屋根上構造物を固定するための屋根上構造物取り付け金具、並びに前記屋根上構造物取り付け金具を用いた補修屋根構造、屋根上構造物支持構造および雪止め金具支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設の屋根の上に補修用屋根材などの各種屋根上構造物を取り付ける場合に、従来から、屋根上構造物取り付け金具が用いられている(特許文献1)。
【0003】
上記屋根上構造物取り付け金具は、図15に示すように、金属製の屋根材50が接合部材52を介して相互に接合され、その接合部51にキャップ56が嵌め合わされた既設の屋根の前記キャップ56に跨って取り付けられる金属板を折り曲げた係止クランプ40と、この係止クランプ40の両側板41、41を貫通するボルト42と、ナット43とから構成される。
【0004】
上記屋根材50が相互に接合された断面U字形の接合部材52は、その底面が下地材53を貫通したドリルタッピングねじ54により母屋55に固定されたものである。この接合部材52の上部に嵌め合わせたキャップ56の両側壁と、接合部材52の両側壁と、各屋根材50の側壁57とを重ね合わせて外向きに折り返した折り曲げ部58が形成される。
【0005】
上記係止クランプ40は、金属板の支持面44の両端から下向きに延び、途中で外向きに折り曲げられ、さらに下向きに折り曲げて形成された段部45を経て、外向きに傾斜する側板41、41を有するものである。この各側板41の下端を内向きに折り曲げた爪部46が設けられ、前記各側板41の段部45よりも上部に前記ボルト42を挿通する貫通孔47が設けられる。
【0006】
上記各側板41の段部45の間隔が、上記接合部材52の両側端の各折り曲げ部58と同じ間隔に形成され、前記各側板41の爪部46先端の間隔が、上記屋根材50の接合部51の各折り曲げ部58の間隔よりも大きく形成される。
【0007】
既設の屋根材50上に補修用屋根材59を設置する際に、上記係止クランプ40が、前記屋根材50の接合部51に嵌め合わされたキャップ56に跨って取り付けられる。この係止クランプ40は、その各側板41の段部45が各折り曲げ部58の上端部に当たって位置決めされるものである。
【0008】
位置決めされた係止クランプ40の各側板41の貫通孔47にボルト42が挿通され、ナット43が締め付けられる。これにより、両側板41が互いに接近し、この両側板41の各爪部46が屋根材50の側壁57を両側から挟むとともに各折り曲げ部58に係合して係止クランプ40が屋根材50の接合部51に固定される。
【0009】
固定された係止クランプ40の支持面44に補修用屋根材59を載置し、これをドリルタッピングねじ48で係止クランプ40に固定することにより、既設の屋根材50の上に補修用屋根材59を固定することができる。
【0010】
また、従来の屋根上構造物取り付け金具は、前述のように係止クランプ40の支持面44の上に、補修用屋根材59のような屋根材を固定することができるが、例えば植木鉢やプランターを支える緑化ボード、太陽熱温水器、太陽光発電パネルなどの各種屋根上構造物を固定することも想定される。
【特許文献1】特開平10−219937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1に記載の屋根上構造物取り付け金具は、既設の屋根材50上に補修用屋根材59などを設置するために、係止クランプ40を前記屋根材50の接合部51に固定するためのボルト42の他に、係止クランプ40に補修用屋根材59などを固定するためのドリルタッピングねじ48が必要となる。このため、補修用屋根材59などを設置する際の作業工程が増加し、容易に屋根上構造物を設置することができないという問題があった。
【0012】
そこで、この発明は、係止クランプを既設の屋根材に固定するボルトと、係止クランプに補修用屋根材などを固定するボルトとを兼用させることにより、補修用屋根材などを設置する際の作業性を向上させた屋根上構造物取り付け金具を得ること、並びに前記屋根上構造物取り付け金具を用いて、補修用屋根材を既設の屋根に設置する際の作業性を向上させた補修屋根構造を得ること、前記屋根上構造物取り付け金具を用いて、屋根上構造物を既設の屋根に設置する際の作業性を向上させた屋根上構造物支持構造を得ること、および前記屋根上構造物取り付け金具を用いて、雪止め金具を既設の屋根に設置する際の作業性を向上させた雪止め金具支持構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記屋根上構造物取り付け金具に関する課題を解決するために、この発明は、金属製の屋根材が接合部材を介して相互に接合され、この接合部材にキャップが嵌め合わされた屋根の前記キャップに跨って取り付けられる係止クランプと、前記屋根に取り付けられる屋根上構造物を支持する支持フレームとからなり、
上記係止クランプは、板状矩形の基部の両端に下向きのクランプ部が対向して設けられ、この各クランプ部の下端に内向きの係止爪部が形成され、前記基部に上向きのボルトが取り付けられ、前記各係止爪部の間隔が前記キャップ両側部の折り曲げ部に係合する間隔に形成されたものであり、
上記支持フレームは、板状矩形の支持面の両端に下向きの支持脚が対向して設けられ、前記支持面に貫通孔が設けられ、前記支持脚の長さが、上記係止クランプのクランプ部の長さよりも長く形成されたものであり、
上記支持フレームの下方からその支持面の貫通孔に上記係止クランプのボルトが挿通され、前記係止クランプが前記支持フレームの内部にその支持脚とクランプ部とが対向するように嵌め入れられた構成としたものである。
【0014】
この構成によると、上記係止クランプがその各係止爪部が屋根の接合部に嵌め合わされたキャップの両側部に位置して取り付けられ、上記支持フレームがキャップを跨いで屋根上に載置された状態となる。この状態で、係止クランプのボルトが貫通した補修用屋根材などが支持フレームに載置され、係止クランプのボルトにナットが締め付けられると、支持フレームの支持脚が屋根材に接して反力を受けることで、係止クランプが引き上げられる。これにより、キャップの両側部下端にその係止爪部が係合し、係止クランプがキャップに固定されるとともに、支持フレームに補修用屋根材、各種屋根上構造物、および雪止め金具が固定される。
【0015】
また、前記係止クランプの各クランプ部が、外向きに傾斜した状態に形成され、前記係止クランプを前記支持フレームの内部にその支持脚により前記係止クランプの各クランプ部を内向きに弾性変形させて嵌め入れた構成とすることもできる。この構成により、係止クランプのクランプ部がその外向きの弾性により支持フレームの支持脚の内壁を押し付け、支持フレームの内部に係止クランプが保持され、支持フレームと係止クランプとが一体化する。
【0016】
さらに、前記支持フレームの支持面の支持脚が形成された対向する辺部と直交する対向した各辺部に下向きの補助支持脚が設けられ、この各補助支持脚の下端を外向きに折り曲げた補助支持片が設けられ、前記補助支持脚の上下方向の長さが前記支持脚の上下方向の長さよりも短く形成された構成を採用することもできる。
【0017】
上記構成により係止クランプのボルトにナットを締め付けることで、係止クランプが引き上げられる際の反力と、支持フレームの支持面に掛かる荷重とを、前記支持脚と補助支持片とに分散して受けることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明の屋根上構造物取り付け金具は、係止クランプのボルトにナットを締め付けることにより、係止クランプを既存の屋根に固定するだけでなく、支持フレームに載置した補修用屋根材なども同時に固定することができるため、補修用屋根材、各種屋根上構造物を設置する際の作業性を向上させることができる。
【0019】
また、この発明の補修屋根構造は、上記の屋根上構造物取り付け金具を用いて構成され、係止クランプのボルトにナットが締め付けられることにより、係止クランプが既設の屋根に固定されるだけでなく、支持フレームに載置した補修用屋根材も同時に固定される。このため、補修用屋根材を既設の屋根の上に設置する際の作業性を向上させることができ、容易に補修用屋根材を設置することができる。
【0020】
さらに、この発明の屋根上構造物支持構造は、上記の屋根上構造物取り付け金具を用いて構成され、係止クランプのボルトにナットが締め付けられることにより、係止クランプが既設の屋根に固定されるだけでなく、支持フレームに載置した屋根上構造物も同時に固定される。このため、前述の補修屋根構造の場合と同様に、屋根上構造物を屋根の上に設置する際の作業性を向上させることができ、容易に屋根上構造物を設置することができる。
【0021】
また、この発明の雪止め金具支持構造は、上記の屋根上構造物取り付け金具を用いて構成され、上記係止クランプの基部に係止爪を有する雪止め金具保持部が設けられ、この雪止め金具保持部と雪止め金具とが結合手段により結合される。このため、前記雪止め金具を屋根の上に設置する際の作業性を向上させることができ、容易に雪止め金具を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいてこの発明の実施形態を説明する。
この発明の第1実施形態の屋根上構造物取り付け金具を図1に示す。この実施形態の屋根上構造物取り付け金具は、金属製の屋根材21が接合部材22を介して相互に接合され、その接合部材22にキャップ26が嵌め合わされた既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられる係止クランプ1と、前記屋根20上を覆う補修用屋根材30等を支持する支持フレーム2とから構成される。
【0023】
既設の屋根20には、図2に示すように、屋根板21を相互に接合する断面U字形の接合部材22が下地材23を貫通したドリルタッピングねじ24により母屋25に固定される。前記接合部材22に嵌め合わせたキャップ26の両側壁と、接合部材22の両側壁と、各屋根板21の側壁27とを重ね合わせて外向きに折り返した折り曲げ部28が形成される。
【0024】
上記係止クランプ1は、図1に示すように、矩形金属板の基部3の両端を下向きに折り曲げた対向するクランプ部4、4を有する。この各クランプ部4は、それぞれ外向きに傾斜し、その下端には互いに内向きに折り返された係止爪部5が設けられるものである。前記基部3の中央には上向きのボルト6が取り付けられる。
【0025】
上記各係止爪部5は、その先端の間隔が上記の既設の屋根20の接合部材22の各折り曲げ部28に係合する間隔に形成されるものである。このようにすると、係止クランプ1が接合部材22に跨って取り付けられ、後述する支持フレーム2の貫通孔11に係止クランプ1のボルト6が挿通され、支持フレーム2に係止クランプ1が嵌め入れられることにより、係止クランプ1の各係止爪部5を接合部材22の各折り曲げ部28の下端に位置させることができる。
【0026】
上記支持フレーム2は、矩形金属板の支持面7の一方の対向する各辺から下向きの支持脚8、8を、他方の対向する各辺から下向きの補助支持脚9、9を設けた下方が開放した箱形体に形成されたものである。前記各補助支持脚9をそれぞれ外向きに折り曲げ、支持面7と平行な補助支持片10が形成される。支持面7の中央には上記係止クランプ1のボルト6が挿通する貫通孔11が設けられる。
【0027】
上記支持フレーム2の支持脚8は、その上下方向の長さが上記係止クランプ1のクランプ部4の上下方向の長さよりも長く形成される。このように設定されると、支持フレーム2に係止クランプ1が嵌め入れられた際に、支持フレーム2の支持脚8の先端からクランプ部4の係止爪部5が突き出さないので、各支持脚8を既設の屋根20に接地させることができる。
【0028】
上記係止クランプ1の各クランプ部4は、外向きに傾斜した状態に形成される。係止クランプ1は、支持フレーム2内にその支持脚8によりクランプ部4が内向きに弾性変形して嵌め入れられる。このため、係止クランプ1の各クランプ部4がその外向きの弾性力により支持フレーム2の支持脚8の内壁を押し付ける。これにより、支持フレーム2の内壁に係止クランプ1が保持されて、支持フレーム2と係止クランプ1とを一体化することができる。
【0029】
この発明の第2実施形態の補修屋根構造を図3に示す。この実施形態の補修屋根構造は、図3に示すように、既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられる上記屋根上構造物取り付け金具と、これに固定される補修用屋根材30との組み合わせにより構成される。
【0030】
上記補修用屋根材30を設置するには、図3に示すように、上記係止クランプ1を内部に保持した支持フレーム2が、既設の屋根20のキャップ26に跨って所定数取り付けられ、その各支持脚8を既設の屋根20に接地させる。このとき、係止クランプ1は、その係止爪部5が屋根板21の側壁27を挟む状態(図2の一点鎖線参照)となる。
【0031】
上記の状態で、補修用屋根材30に係止クランプ1のボルト6を貫通させ、支持フレーム2の支持面7に補修用屋根材30を載置し、係止クランプ1のボルト6にナット29を締め付ける。
【0032】
これにより、支持フレーム2の各支持脚8が既設の屋根20に接して反力を受け、係止クランプ1が引き上げられるとともに、係止クランプ1の各係止爪部5が前記屋根材21の側壁27に沿って移動して、キャップ26の折り曲げ部28下端に各係止爪部5が係止した状態となり(図2の実線参照)、この状態で係止クランプ1が接合部材22に固定される。
【0033】
また、上記支持フレーム2の補助支持脚9の補助支持片10を既設の屋根20のキャップ26の底面に突き当てることにより、係止クランプ1が引き上げられる際の反力と、支持フレーム2の支持面7に掛かる荷重とを、前記支持脚8と補助支持片10とにより分散して受けることができる。
【0034】
前述のようにして、係止クランプ1のボルト6にナット29を締め付けることにより、係止クランプ1を既設の屋根20の接合部材22に固定することができるだけでなく、支持フレーム2に新設の補修用屋根材30を同時に固定することもでき、容易に新設の補修用屋根材30を既設の屋根20上に設置することができる。
【0035】
次に、この発明の第3実施形態の補修屋根構造を図4、5に示す。この実施形態の補修屋根構造は、図4に示すように、既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられる上記屋根上構造物取り付け金具と、これに固定されるタイトフレーム32と、このタイトフレーム32と一体に固定される折板屋根材31との組み合わせにより構成されるものである。
【0036】
上記屋根上構造物取り付け金具が、図4に示すように、既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられ、支持フレーム2の支持面7を貫通したボルト6にタイトフレーム32の谷部33を挿通する。このボルト6に折板屋根材31の谷部34を挿通して、図5に示すように、タイトフレーム32の形状に対応させて折板屋根材31を載置する。
【0037】
上記折板屋根材31の谷部34を貫通したボルト6にナット29を締め付けると、支持フレーム2の各支持脚8が既設の屋根20に接して反力を受けて、係止クランプ1が引き上げられる。これにより、係止クランプ1の各係止爪部5がキャップ26の各折り曲げ部28に係合し、係止クランプ1が接合部材22に固定されるとともに、前記支持フレーム2の支持面7に折板屋根材31が同時に固定され、容易に折板屋根材31を既設の屋根20上に設置することができる。
【0038】
次に、この発明の第4実施形態の補修屋根構造を図6に示す。この実施形態の補修屋根構造は、図6に示すように、既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられる上記屋根上構造物取り付け金具と、これに固定される波形スレート屋根材35との組み合わせにより構成される。
【0039】
上記屋根上構造物取り付け金具の支持フレーム2の支持面7が、図6に示すように、上記波形スレート屋根材35の湾曲部分と接するように断面波形に形成される。これにより、この波形スレート屋根材35に係止クランプ1のボルト6を貫通させ、前記波形スレート屋根35を支持フレーム2の支持面7に載置することができる。
【0040】
上記波形スレート屋根材35を支持フレーム2の支持面7に載置し、この波形スレート屋根材35を貫通したボルト6にナット29を締め付けると、支持フレーム2の各支持脚8が既設の屋根20に接して反力を受けることにより、係止クランプ1が引き上げられる。これにより、係止爪部5がキャップ26の各折り曲げ部28に係合し、係止クランプ1が接合部材22に固定されるとともに、前記支持フレーム2の支持面7に波形スレート屋根材35も同時に固定され、容易に波形スレート屋根材35を既設の屋根20上に設置することができる。
【0041】
また、この発明の第5実施形態の屋根上構造物支持構造を図7に示す。この実施形態の屋根上構造物支持構造は、既設の屋根20のキャップ26に跨って取り付けられる上記屋根上構造物取り付け金具と、これに固定される緑化ボード36との組み合わせにより構成される。前記緑化ボード36は、図7に示すように、所定位置に植木鉢38などを差し込み支持するための差し込み穴37が設けられたものである。
【0042】
まず、上記支持フレーム2が既設の屋根20のキャップに跨って取り付けられる。このとき、支持フレーム2は、これが緑化ボード36の少なくとも各コーナー付近に配置した状態で取り付けられることが好ましい。各コーナー付近に取り付けられることにより、この緑化ボード36がより安定した状態で既設の屋根20に固定することができる。
【0043】
次に、この緑化ボード36に係止クランプ1のボルト6を貫通させ、緑化ボード36を支持フレーム2の支持面7に載置する。この緑化ボード36を貫通したボルト6にナット29を締め付けると、支持フレーム2の各支持脚8が既設の屋根20に接して反力を受け、係止クランプ1が引き上げられる。これにより、係止爪部5がキャップ26の各折り曲げ部28に係合し、係止クランプ1が接合部材22に固定されるとともに、前記支持フレーム2の支持面7に緑化ボード36も同時に固定され、容易に緑化ボード36を既設の屋根20上に設置することができる。
【0044】
設置された緑化ボード36の差し込み穴37に植物を植えた植木鉢38などを差し込んで、既設の屋根材21の上に載せることで、既設の屋根20の上を緑化することができる(図8参照)。なお、この実施形態の屋根上構造物支持構造において用いられる屋根上構造物は、前述のように、緑化ボード36に限られるものではなく、太陽熱温水器、太陽光発電パネルなどの各種屋根上構造物を固定してもよい。
【0045】
また、この発明の第6実施形態の雪止め金具支持構造を図9から図11に示す。この実施形態の雪止め金具支持構造は、図10に示すように、既設の屋根20のキャップ26´に跨って取り付けられる上記屋根上構造物取り付け金具と、この屋根上構造物取り付け金具に結合手段により結合される所要長さをもった断面L字形の雪止め金具66との組み合わせにより構成される。
【0046】
上記の実施形態は、図10に示すように、既設の屋根20のキャップ26´が前述した第2実施形態から第5実施形態が適用された既設の屋根20に使用されたキャップ26と異なる場合にも適用できる(図2、3参照)。すなわち、前記キャップ26´は、その両側部が接合部材22の両側部を覆い、その両側部の括れ部67が接合部材22と係合したものである。
【0047】
上記屋根上構造物取り付け金具は、図9に示すように、その係止クランプ1の基部3のクランプ部4が設けられた対向する辺部に対して直交する対向した辺部の一方に雪止め金具支持部60が設けられたものである。この雪止め金具支持部60には、上向きに折り曲げられた雪止め金具保持部61が設けられ、その上端に前記基部3側に折り返された係止爪62が形成される。
【0048】
また、上記支持フレーム2は、その支持脚8が支持面7の両端から下向きに延び、途中で外向きに折り曲げられ、さらに下向きに折り曲げて形成された段部を経て、外向きに延びた支持片を有するものである。このようにすると、係止クランプ1が引き上げられる際の反力と、支持フレーム2の支持面7に掛かる荷重とを、前記支持脚8の支持片全体で受けることができる。
【0049】
まず、上記係止クランプ1がその各係止爪部5を前記キャップ26´両側部の括れ部67に係合され、上記支持フレーム2が、係止クランプ1が係合したキャップ26´を跨いで前記屋根20上に配置された状態となる。この状態で、上記雪止め金具66の上辺部が雪止め金具保持部61の係止爪62に係止され、雪止め金具66と雪止め金具保持部61とが上記結合手段により結合される。
【0050】
上記結合手段は、雪止め金具保持部61および雪止め金具66に設けられた貫通孔68、69と、ボルト70と、ナット71とから構成される。前記雪止め金具保持部61と前記雪止め金具66との貫通孔68、69を一致させ、ボルト70を挿通し、ナット71を締め付けて、雪止め金具保持部61と雪止め金具66とが結合される。なお、この雪止め金具66は、その形状が断面L字形に限られるものではなく、雪止め金具保持部61の係止爪62に上辺部が係止するもの、例えば、板状に形成されたものでもよい。
【0051】
上記係止クランプ1のボルト6にナット29が締め付けられると、係止クランプ1の基部3に支持フレーム2の支持面7が接近し、支持フレーム2の支持脚8が屋根20に接地して、支持フレーム2がキャップ26´に固定される。このようにして、図11に示すように、所定数の前記雪止め金具66を傾斜角θを有する既設の屋根20に、支持フレーム2に対して同じ側(屋根20の頂部側)に向けた状態で容易に設置することができる。
【0052】
この発明の第7実施形態の雪止め金具支持構造を図12から図14に示す。この場合の実施形態は、図12に示すように、上記雪止め金具66と雪止め金具保持部61との結合手段が前述した第6実施形態の場合と相違し、その他の構成は第6実施形態の場合と同様である。すなわち、前記結合手段は、貫通孔65を有する雪止め金具押さえ板64と、上記係止クランプ1のボルト6と、ナット29とから構成される。
【0053】
上記雪止め金具押さえ板64は、その長さ方向両辺部に同方向にフランジが形成され、係止クランプ1のボルト6が挿通される貫通孔65が設けられる。その長さが、上記雪止め金具66が雪止め保持部61に結合される際に、この雪止め金具66を雪止め金具保持部61とで挟持する長さに設定される(図12(b)参照)。上記雪止め金具支持部60には、上方に屈曲した段部63が形成される。
【0054】
上記雪止め金具押さえ板64の貫通孔65に係止クランプ1のボルト6が挿通され、ナット29が締め付けられると、雪止め金具押さえ板64と雪止め金具支持部60の段部63とで雪止め金具66が挟持されるとともに、雪止め金具押さえ板64の端部と雪止め金具保持部61とで雪止め金具66が挟持される。また、係止クランプ1の基部3に支持フレーム2の支持面7が接近し、支持フレーム2の支持脚8が屋根20に接地して、支持フレーム2がキャップ26´に固定される(図13参照)。
これにより、係止クランプ1のボルト6にナット29を締め付けることにより、雪止め金具66と雪止め金具保持部61との結合と、支持フレーム2の屋根20への固定を同時に行うことができる。このため、図14に示すように、所定数の雪止め金具66を傾斜角θを有する既設の屋根20に、支持フレーム2に対して同じ側(屋根20の頂部側)に向けた状態で容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の屋根上構造物取り付け金具を示す分解斜視図
【図2】同上の屋根上構造物取り付け金具の使用時における断面図
【図3】第2実施形態の補修屋根構造の一部切り欠き斜視図
【図4】第3実施形態の補修屋根構造の断面図
【図5】同上の補修屋根構造の一部切り欠き正面図
【図6】第4実施形態の補修屋根構造の一部切り欠き断面図
【図7】第5実施形態の屋根上構造物支持構造の正面図
【図8】図7のB−B線の断面図
【図9】(a)第6実施形態の雪止め金具支持構造を示す分解斜視図、(b)同上の雪止め金具支持構造の使用時における斜視図
【図10】同上の雪止め金具支持構造の使用時における断面図
【図11】同上の雪止め金具支持構造の使用時における側面図
【図12】(a)第7実施形態の雪止め金具支持構造を示す分解斜視図、(b)同上の雪止め金具支持構造の使用時における斜視図
【図13】同上の雪止め金具支持構造の使用時における断面図
【図14】同上の雪止め金具支持構造の使用時における側面図
【図15】従来の屋根上構造物取り付け金具の使用時における断面図
【符号の説明】
【0056】
1 係止クランプ
2 支持フレーム
3 基部
4 クランプ部
5 係止爪部
6 ボルト
7 支持面
8 支持脚
9 補助支持脚
10 補助支持片
11 貫通孔
20 屋根
21 屋根材
22 接合部材
23 下地材
24 ドリルタッピングねじ
25 母屋
26、26´ キャップ
27 側壁
28 折り曲げ部
29 ナット
30 補修用屋根材
31 折板屋根材
32 タイトフレーム
33 谷部
34 谷部
35 波形スレート屋根材
36 緑化ボード
37 差し込み穴
38 植木鉢
40 係止クランプ
41 側板
42 ボルト
43 ナット
44 支持面
45 段部
46 爪部
47 貫通孔
48 ドリルタッピングねじ
50 屋根材
51 接合部
52 接合部材
53 下地材
54 ドリルタッピングねじ
55 母屋
56 キャップ
57 側壁
58 折り曲げ部
59 補修用屋根材
60 雪止め金具支持部
61 雪止め金具保持部
62 係止爪
63 段部
64 雪止め金具押さえ板
65 貫通孔
66 雪止め金具
67 括れ部
68 貫通孔
69 貫通孔
70 ボルト
71 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の屋根材(21)が接合部材(22)を介して相互に接合され、この接合部材(22)にキャップ(26)が嵌め合わされた屋根(20)の前記キャップ(26)に跨って取り付けられる係止クランプ(1)と、前記屋根(20)に取り付けられる屋根上構造物を支持する支持フレーム(2)とからなり、
上記係止クランプ(1)は、板状矩形の基部(3)の両端に下向きのクランプ部(4)が対向して設けられ、この各クランプ部(4)の下端に内向きの係止爪部(5)が形成され、前記基部(3)に上向きのボルト(6)が取り付けられ、前記各係止爪部(5)の間隔が前記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)に係合する間隔に形成されたものであり、
上記支持フレーム(2)は、板状矩形の支持面(7)の両端に下向きの支持脚(8)が対向して設けられ、前記支持面(7)に貫通孔(11)が設けられ、前記支持脚(8)の長さが、上記係止クランプ(1)のクランプ部(4)の長さよりも長く形成されたものであり、
上記支持フレーム(2)の下方からその支持面(7)の貫通孔(11)に上記係止クランプ(1)のボルト(6)が挿通され、前記係止クランプ(1)が前記支持フレーム(2)の内部にその支持脚(8)とクランプ部(4)とが対向して嵌め入れられた屋根上構造物取り付け金具。
【請求項2】
上記係止クランプ(1)の各クランプ部(4)が、外向きの傾斜した状態に形成され、前記係止クランプ(1)を前記支持フレーム(2)の内部にその支持脚(8)により各クランプ部(4)を内向きに弾性変形させて嵌め入れたことを特徴とする請求項1に記載の屋根上構造物取り付け金具。
【請求項3】
上記支持フレーム(2)の支持面(7)の支持脚(8)が形成された対向する辺部と直交する対向した各辺部に下向きの補助支持脚(9)が設けられ、この各補助支持脚(9)の下端を外向きに折り曲げた補助支持片(10)が設けられ、前記補助支持脚(9)の上下方向の長さが前記支持脚(8)の上下方向の長さよりも短く形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の屋根上構造物取り付け金具。
【請求項4】
金属製の屋根材(21)が接合部材(22)を介して相互に接合され、その接合部材(22)にキャップ(26)が嵌め合わされた屋根(20)の前記キャップ(26)に跨って取り付けられる屋根上構造物取り付け金具と、この屋根上構造物取り付け金具に固定され、前記屋根(20)を覆う補修用屋根材(30)とからなる補修屋根構造において、
上記屋根上構造物取り付け金具として、請求項1から3のいずれかに記載の屋根上構造物取り付け金具が使用され、上記係止クランプ(1)がその各係止爪部(5)を上記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)の下端に位置して取り付けられ、上記支持フレーム(2)が前記キャップ(26)を跨いで上記屋根板(20)上に載置された状態で、上記補修用屋根材(30)に前記係止クランプ(1)のボルト(6)が貫通され、前記支持フレーム(2)の支持面(7)に前記補修用屋根材(30)が載置されて、前記係止クランプ(1)のボルト(6)にナット(29)が締め付けられることで、前記係止クランプ(1)が引き上げられ、前記係止クランプ(1)の各係止爪部(5)が前記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)に係合し、前記支持フレーム(2)に前記補修用屋根材(30)が固定されたことを特徴とする補修屋根構造。
【請求項5】
金属製の屋根材(21)が接合部材(22)を介して相互に接合され、この接合部材(22)にキャップ(26)が嵌め合わされた屋根(20)の前記キャップ(26)に跨って取り付けられる屋根上構造物取り付け金具と、この屋根上構造物取り付け金具に固定された屋根上構造物とからなる屋根上構造物支持構造において、
前記屋根上構造物取り付け金具として、請求項1から3のいずれかに記載の屋根上構造物取り付け金具を使用し、上記係止クランプ(1)がその各係止爪部(5)を上記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)の下端に位置して取り付けられ、上記支持フレーム(2)が前記キャップ(26)を跨いで前記屋根(20)上に載置された状態で、屋根上構造物(36)に前記係止クランプ(1)のボルト(6)が貫通され、前記支持フレーム(2)の支持面(7)に前記屋根上構造物(36)が載置され、前記係止クランプ(1)のボルト(6)にナット(29)を締め付けて、前記係止クランプ(1)を引き上げ、前記係止クランプ(1)の各係止爪部(5)を前記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)に係合させ、前記支持フレーム(2)に屋根上構造物(36)が固定されたことを特徴とする屋根上構造物支持構造。
【請求項6】
金属製の屋根材(21)が接合部材(22)を介して相互に接合され、この接合部材(22)にキャップ(26´)が嵌め合わされた屋根(20)の前記キャップ(26´)に跨って取り付けられる屋根上構造物取り付け金具と、この屋根上構造物取り付け金具に固定される所要長さをもった雪止め金具(66)とからなる雪止め金具支持構造において、
上記屋根上構造物取り付け金具として、請求項1または2に記載の屋根上構造物取り付け金具が使用され、この屋根上構造物取り付け金具は、上記係止クランプ(1)の基部(3)のクランプ部(4)が設けられた対向する辺部に直交する対向した辺部の一方に雪止め金具支持部(60)が設けられ、この雪止め金具支持部(60)の端部に上向きに折り曲げられた雪止め金具保持部(61)が形成され、その上端に前記基部(3)側に折り返された係止爪(62)が形成されたものであり、
上記係止クランプ(1)がその各係止爪部(5)を上記キャップ(26´)両側部の下端に位置して取り付けられ、上記支持フレーム(2)が上記キャップ(26)を跨いで前記屋根(20)上に載置された状態で、前記雪止め金具(66)の上辺部が、前記雪止め金具保持部(61)の係止爪(62)に係止され、前記雪止め金具(66)と前記雪止め金具保持部(61)とが結合手段により結合され、
上記係止クランプ(1)のボルト(6)にナット(29)が締め付けられ、上記係止クランプ(1)が引き上げられ、前記係止クランプ(1)の各係止爪部(5)が上記キャップ(26)両側部の折り曲げ部(28)に係合し、前記支持フレーム(2)が上記キャップ(26)に固定されたことを特徴とする雪止め金具支持構造。
【請求項7】
上記結合手段は、上記雪止め金具保持部(61)および上記雪止め金具(66)に設けられた貫通孔(68、69)と、ボルト(70)と、ナット(71)とから構成され、前記雪止め金具保持部(61)と前記雪止め金具(66)との貫通孔(68、69)を一致させ、これらの貫通孔(68、69)に前記ボルト(70)が挿通され、前記ナット(71)が締め付けられて、前記雪止め金具保持部(61)と前記雪止め金具(66)とが結合されることを特徴とする請求項6に記載の雪止め金具支持構造。
【請求項8】
上記結合手段は、貫通孔(65)を有する雪止め金具押さえ板(64)と、上記係止クランプ(1)のボルト(6)と、ナット(29)とから構成され、前記雪止め金具押さえ板(64)の貫通孔(65)に前記係止クランプ(1)のボルト(6)が挿通され、前記ボルト(6)にナット(29)が締め付けられて、前記雪止め金具押さえ板(64)と上記雪止め金具支持部(60)とに上記雪止め金具(66)が挟持されるとともに、前記雪止め金具押さえ板(64)の上記雪止め金具保持部(61)側の端部を前記雪止め金具(66)に当接させて、前記係止クランプ(1)と前記雪止め金具(66)とが結合されることを特徴とする請求項6に記載の雪止め金具支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−23758(P2007−23758A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290010(P2005−290010)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(595071922)
【Fターム(参考)】