屋根建材
【課題】太陽電池機能付きの屋根建材において、雨漏り対策が施された屋根建材を提供する。
【解決手段】モジュール1は、それぞれに太陽電池パネル5を有し、アレイ状に敷き詰められる。架台2は、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュール1の境界に沿って延びて、当該両モジュール1の下面側縁を上面で支持する。両モジュール1の対向側面と、前記架台の上面で画成されたU字溝12によって軒先方向へ雨水が流す。
【解決手段】モジュール1は、それぞれに太陽電池パネル5を有し、アレイ状に敷き詰められる。架台2は、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュール1の境界に沿って延びて、当該両モジュール1の下面側縁を上面で支持する。両モジュール1の対向側面と、前記架台の上面で画成されたU字溝12によって軒先方向へ雨水が流す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、屋根瓦やスレート材等と同じように屋根に葺くことができる太陽電池機能つきの屋根建材に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換する。この太陽電池セルを、複数枚直並列接続して必要な電圧と電流を得られるようにしたものが太陽電池パネルである。この太陽電池パネルは、周囲の環境に耐えるための封止、および全体の強度を保つためにフレームに嵌め込まれてモジュール化される。
【0003】
近年、地球温暖化、化石燃料の枯渇が問題となっており、地球環境とエネルギーに対する関心が急速に高まっている。このような状況の下、環境負荷の少ないエネルギー源として太陽電池モジュールの設置が急速に進んでいる。この太陽電池モジュールは、建物の屋根に設置することが一般的である。
【0004】
太陽電池モジュールを屋根へ設置する形態としては、既設の屋根上に架台や固定用部材を設置し、その上に固定する方法が多く採用されている。
【0005】
また、近年、屋根瓦やスレート材を屋根に葺くことなく、直接太陽電池モジュールを敷く形態も提案されている。この形態は、意匠性の向上、施工の容易化、また屋根瓦等を省くことによる住宅建築コストの削減の観点から、注目されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−254049号
【特許文献2】特開平08−296796号
【特許文献3】特開2000−345671号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、雨水が木材で構築される家屋の野地板等に流れれば、それらの腐食を招くおそれがあるため、屋根建材として太陽電池モジュールを用いる場合には、それ相応の雨漏り対策が欠かせない。さらに、屋根建材としての太陽電池モジュールは、長期間の耐用年数が求められるため、雨水等を原因とする経年劣化対策しているが、豪雨などで、太陽電池モジュールガラス面とフレームの隙間から雨水が少なからず侵入したり、長い年月を経て侵入する可能性もあり、現状、このような対策はなされていない。
【0008】
本実施形態は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、雨漏りの可能性を低くした太陽電池機能つきの屋根建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の屋根建材は、次の構成を有することを特徴とする。すなわち、それぞれに太陽電池パネルを有し、アレイ状に敷き詰められるモジュールを有する。また、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュールの境界に沿って延びて、当該両モジュールの下面側縁を上面で支持する架台を備える。これにより、両モジュールの対向側面と、架台の上面によって、U字溝が画成され、このU字溝を通って軒先方向へ雨水が流れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の実施形態に係る屋根及び屋根建材の概略構成を示す斜視図(a)およびモジュールの組立図(b)である。
【図2】第一の実施形態に係る棟側フレームを棟から軒方向で切断した断面図である。
【図3】第一の実施形態に係る軒側フレームを棟から軒方向で切断した断面図である。
【図4】第一の実施形態に係るサイドフレームを屋根幅方向で切断した断面図である。
【図5】第一の実施形態に係る架台を屋根幅方向で切断した断面図(a)、軒先先端部を棟から軒方向で切断した断面図(b)、及び軒先先端部と架台の組立図(c)である。
【図6】第一の実施形態に係る止水キャップを屋根幅方向で切断した断面図(a)、止水キャップの取付図(b)である。
【図7】第一の実施形態に係る軒先化粧部を棟から軒方向で切断した断面図である。
【図8】第一の実施形態に係る架台の野地板への取付図(a)および軒先化粧部と先頭のモジュールの接続部を棟から軒方向で切断した断面図(b)である。
【図9】第一の実施形態に係る棟側フレームと軒先フレームとの接合部を棟から軒方向で切断した断面図(a)および、組み立て後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図(b)である。
【図10】第一の実施形態に係る棟側最上位のモジュールと棟の納まりの接合部を棟から軒方向で切断した断面図(a)および、屋根端部のモジュールを屋根幅方向で切断した断面図(b)である。
【図11】第二の実施形態に係るサイドフレームを用いて組み立てた後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図である。
【図12】第三の実施形態に係る凹型の受け部を用いて組み立てた後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の各実施形態について図1から図12を用いて説明する。
[第一の実施形態]
(全体構成)
図1は、第一の実施の形態に係る屋根建材を示す斜視図である。図1の(a)は屋根建材の全体構成を示し、(b)は屋根建材を構成するモジュール1の概略構成を示している。図1の(a)に示すように、屋根建材は、モジュール1と、このモジュール1を支持する架台2と、モジュール1を位置決めする軒先化粧部3とを備える。
【0012】
架台2は、モジュール1を支持する桟である。この架台2は棟から軒に沿って平行に延設される。この架台2の設置位置は、モジュール1間の境界のうち、棟から軒に沿って連続して延びる境界の直下である。すなわち、各モジュール1は、側面下縁を架台2の片側に載せるようにして配置され、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で向かい合う両モジュール1は、架台2上で向かい合わせになる。さらに、この境界、すなわちすきまは、止水キャップ9により被覆される。
【0013】
モジュール1は、住宅のルーフィングシート4上に縦横方向にアレイ状に敷き詰められている。このモジュール1は、図1の(b)に示すように、太陽電池パネル5と、その周囲を支持するフレームとにより構成されている。太陽電池パネル5の棟側の側面には、棟側フレーム6が嵌め込まれている。太陽電池パネル5の軒側の側面には、軒側フレーム7が嵌め込まれている。棟から軒に沿って延びる両側面には、サイドフレーム8が嵌め込まれている。
【0014】
(棟側フレームの構成)
図2は、棟側フレーム6を棟から軒に沿って切断した断面図である。モジュール1において、棟側フレーム6は、太陽電池パネル5の棟側の辺よりも若干長く延びており、太陽電池パネル5の棟側の周縁を支持する。この棟側フレーム6は、支持部6a、つば受け6b、排水路6c、及び補強部材6dから構成され、押出成形により一体成形される。
【0015】
支持部6aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部6aは、棟から軒へ向かう方向に開いた断面がコの字型の部材である。コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0016】
つば受け6bは、ネジ穴6eが貫設された板状部材であり、コの字型部分の背面に立設している。このつば受け6bは、支持部6aの上面よりも低い位置に立っており、支持部6aの背面とつば受け6bの上面とにより段部6fが形成されている。
【0017】
つば受け6bの下部には、棟側フレーム6の長さ方向に沿って、排水路6cが設けられている。この排水路6cは、断面がロの字型の部材であり、つば受け6bの板状部材が排水路6cの上面を兼ねている。棟側フレーム6の端面には、この排水路6cと外部とを連通させる開口部が形成されている。尚、つば受け6bに貫設されたネジ穴6eは、この排水路6cと外部とを連通させることとなる。
【0018】
更に、支持部6aの下部には、棟側フレーム6の長さ方向に沿って、補強部材6dが設けられている。この補強部材6dは、支持部6aで太陽電池パネル5を支持したときに棟側フレーム6が破損しないように強度を高めている。この補強部材6dは、断面がロの字型の部材であり、支持部6aの底面が補強部材6dの上面を兼ねている。
【0019】
(軒側フレームの構成)
図3は、軒側フレーム7を棟から軒に沿って切断した断面図である。軒側フレーム7は、太陽電池パネル5の軒側の辺よりも若干長く延びており、太陽電池パネル5の軒側の周縁を支持する。この軒側フレーム7は、支持部7a、つば7b、及び補強部材7cから構成され、押出成形により一体成形される。
【0020】
支持部7aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部7aは、軒から棟へ向かう方向に開いた断面がコの字型の部材である。コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0021】
つば7bは、ネジ穴7eが貫設された板状部材であり、支持部7aのコの字型部分の背面に立設している。このつば7bは、コの字型部分の上面と連続し、かつ上面と水平となっている。つば7bの長さは、棟側フレーム6のつば受け6bと同じである。ネジ穴7eは、棟側フレーム6のつば受け6bに設けられたネジ穴6eと対応する位置に貫設されている。このつば7bの底面には、2つの凸部7fが立設されている。この凸部7fは、棟側フレーム6の段部6fの高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節される。
【0022】
支持部7aの下部には、軒側フレーム7の長さ方向に沿って、補強部材7cが設けられている。この補強部材7cは、支持部7aで太陽電池パネル5を支持したときに軒側フレーム7が破損しないように強度を高めている。この補強部材7cは、断面がロの字型の部材であり、支持部7aの底面が補強部材7cの上面を兼ねている。
【0023】
(サイドフレームの構成)
図4は、サイドフレーム8を屋根幅方向で切断した断面図である。サイドフレーム8は、太陽電池パネル5の棟から軒へ延びる辺とほぼ同長であり、太陽電池パネル5の棟から軒へ延びる辺の周縁を支持するものである。このサイドフレーム8は、支持部8aと足部8bとから構成され、押出成形により一体成形される。
【0024】
支持部8aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部8aは、断面がコの字型の部材であり、コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0025】
足部8bは、断面がL字型の部材である。この足部8bは、支持部8aの背面から下方向に延長され、且つ、太陽電池パネル5とは反対の方向に開くように屈曲している。この足部8bの底面には、ネジ穴8cが貫設されている。後述するように、ネジ穴8cは、架台2の上面に設けられたネジ穴2f及び2gに対応している。
【0026】
(架台及び軒先先端部の構成)
図5は、架台2及び軒先先端部10の断面図である。図5(a)は架台2を屋根幅方向で切断した断面図である。図5(b)は軒先先端部10を棟から軒方向で切断した断面図を、図5(c)は軒先先端部10を架台2の断面に取り付けた図を示している。架台2は、棟から軒に沿って平行に設置される。この架台2は、モジュール1間の境界のうち、棟から軒に沿って連続して延びる境界の直下に配置される。この架台2は、野地板に固定され、上面でモジュール1を支持する。図5(a)に示すように、この架台2は、支持台2a、凹溝2b、及び固定部2cから構成され、押し出し成形により一体成形される。
【0027】
支持台2aは、棟から軒に延びる四角柱形状の部材である。この支持台2aの上面には、軸線で区別される片側領域2d、2eのそれぞれにネジ穴2f、2gが貫設されている。一方の片側領域2dには、モジュール1の足部8bが載置され、他方の片側領域2eには、このモジュール1と向かい合うモジュール1の足部8bが載置される。すなわち、ネジ穴2f、2gは、サイドフレーム8の足部8bにあるネジ穴8cに対応する位置に貫設されている。更に、この支持台2aの上面には、軸線上に所定間隔でネジ穴2hが貫設されており、後述する止水キャップ9を留めるためのネジが螺合する。
【0028】
支持台2aの内部には、棟から軒に延びる中空部2iが設けられており、支持台2aの軒先側の先端面は開口している。この開口には、図5(b)および(c)に示す板状の軒先先端部10が取り付けられている。軒先先端部10には、開口部10bが設けられている。この開口部10bは、軒先先端部10が支持台2aに取り付けられたとき、中空部2iと支持台2aの外部とを繋ぐ。また、軒先先端部10は、支持台2aより高く、支持台2aに取り付けたときに架台2の上面からはみ出す。この軒先先端部10の上部は、図5(b)に示すように、支持台2a側に屈折した屈曲部分10aがあり、支持台2aの上面の縁を覆う。
【0029】
凹溝2bは、支持台2aの棟から軒へ延びる両側面に設けられている。この凹溝2bは、支持台2aの底辺から水平に延びる底面を有し、棟から軒方向へ延設されている。凹溝2bは、その側面の一方を支持台2aと共有しており、もう一方の側面は底面端部から支持台2aの側面と同じ高さで立設している。
【0030】
固定部2cは、両凹溝2bの棟から軒へ延びる外側面にそれぞれ設けられている。固定部2cは、支持台2aおよび凹溝2bの底辺をなす板状部分よりも厚く形成され、外側に向かって厚みが薄くなるように傾斜が設けられている。固定部2cにはネジ穴2jが貫設されている。
【0031】
(止水キャップの構成)
図6(a)は、止水キャップを屋根幅方向で切断した断面図である。図6(b)の止水キャップの取り付け図に示すように、屋根幅方向に隣り合う両モジュール1間の上部には、止水キャップ9が設けられる。止水キャップ9は平板状であり、両モジュール1に架橋されて、両モジュール1の隙間を覆う。止水キャップ9には、支持台2aの上面と対向する面に、棟から軒方向へ延びる2枚の板状部材9aが設けられている。この板状部材9aは、止水キャップ9を両モジュール1の境界に位置決めするとともに、止水キャップ9の剛性を向上させる。この止水キャップ9には、支持台2aの軸線上に貫設されたネジ穴2hと対応する位置にネジ穴9bを有する。
【0032】
(軒先化粧部の構成)
図7は、軒先化粧部3を棟から軒方向で切断した断面図である。軒先化粧部3は、軒先に沿って延設され、モジュール1を位置決めするとともに、軒先の意匠性を向上させる。最も軒先側に配置される先頭のモジュール1は、この軒先化粧部3の棟側端部3fに接触させて設置される。この軒先化粧部3は、軒側に傾斜する断面が三角状の部材と、断面が台形状の部材とを有し、押し出し成形により一体成形されている。
【0033】
断面が三角状の部材は、軒先側に位置する。この断面が三角状の部材は、下面が軒先側から一段切り欠かれており、棟側に段部3aを有する。段部3aの角部からは、軒先に向けて突起3bが形成されている。また、この断面が三角状の部材は、その鋭角となる先端部分が軒下へ向けて延長されている。
【0034】
断面が台形状の部材は、断面が三角状の部材の棟側に位置している。この断面が台形状の部材は、断面が三角状の部材と同一の高さを有し、その軒側の面を断面が三角状の部材と共有している。また、この断面が台形状の部材は、モジュール1と同じ高さを有するが、棟側の上面は、その高さより低く切り欠かれており、その一段低くなった面がつば受け3cとなっている。
【0035】
この断面が台形状の部材は、下辺が短くなっている。すなわち、棟側の面の一部は、下辺と繋がるように軒側方向へ傾斜している。この傾斜面3hの途中には、ネジ穴3gが貫設された板状部材3dが斜め下方向に立設されている。この板状部材3dの先端は、断面が台形の上辺端部及び底辺と面一になる位置まで延びている。さらに、軒先化粧部3の上面には、所定の高さを有した板状突起3eが立設している。板状突起3eは、棟側に傾けられて設置されている。
【0036】
(取り付け方法)
(架台の取り付け)
この屋根建材の取り付け方法について、図1及び図8から図10を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1に示すように、架台2はモジュール1を支持する桟として、棟から軒に沿って平行に延設される。この架台2は、モジュール1の屋根幅方向の長さで等間隔に設置される。
【0037】
図8(a)は架台2の野地板への取付けを示している。架台2は、その最外側にある固定部2cにネジ穴2jにネジを挿通して、野地板に固定される。固定部2cには傾斜が形成されているため、ネジは野地板に対して斜めに挿通されることになる。そのため、野地板に対してネジを垂直に挿通した場合に生じるネジの抜けを防止することができる。
(軒先先端部の取り付け)
【0038】
図8(b)は軒先化粧部3と先頭のモジュール1の接続部を示している。図8(b)に示すように、架台2の軒先先端の面に軒先先端部10を取り付ける。軒先先端部10は、支持台2aの端面を覆うように取り付ける。このとき、軒先先端部10は、支持台2aよりも高く立ち上がり、屈曲部分10aと支持台2aとの間には空間が生じる。
【0039】
(軒先化粧部の取り付け)
軒先先端部10を取り付けると、次に図8(b)に示すように軒先化粧部3を取り付ける。軒先化粧部3は、架台2に固定し、軒先に沿って屋根幅方向に延設する。この際、軒先化粧部3に設けられた突起3bを、軒先先端部10の屈曲部分10aと支持台2aの上面の間に存在する空間に差し込むようにする。軒先化粧部品3の固定は、棟側の傾斜面3hから立設する板状部材3dのネジ穴3gにネジを挿通する。
【0040】
軒先化粧部品3を取り付けた上で、板状部材3dのネジ穴3gにネジを挿通すると、ネジの延び方向は地面に対して垂直に近づき、また屋根の表面に対して鋭角をなす。従って、屋根建材に荷重がかかっても、その荷重はネジの圧縮方向に向かう。また、屋根建材が屋根を滑り落ちる方向の荷重もネジの圧縮方向に向かう。そのため、ネジに曲がりや断裂等の破損が生じにくい。
【0041】
(先頭のモジュールの取り付け)
架台2及び軒先化粧部3を取り付けると、図8(b)に示すように、先頭のモジュール1を取り付ける。まず、軒先化粧部3の棟側端部3fに先頭のモジュール1の先端面が接触するように、先頭のモジュール1を位置合わせする。
【0042】
このとき、先頭のモジュール1が有する軒側フレーム7のつば7bは、軒先化粧部3のつば受け3cに被せられる。つば7bをつば受け3cに被せ、互いのネジ穴を合わせた後、ネジによって互いを固定する。
【0043】
つば7bの下面に設けられた凸部7fは、棟側フレーム6の段部6fの高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節されている。そのため、ネジを螺合する際の押圧力に凸部7fが抗し、つば7bの表面と軒先化粧部3の表面とは面一になる。つば7bとつば受け3cとの間は、シール部材11により封止される。シール部材11としては、例えば、エプトシールを使用することができる。
【0044】
(次段以降のモジュール1の取り付け)
図9(a)は、棟側フレーム6と軒先フレーム7との接合部を示している。先頭のモジュール1に対し、次段以降のモジュール1を棟側に積み重ねるように取り付けていく。まず、前段のモジュール1に設けられた棟側フレーム6の棟側面に対し、次段のモジュール1に設けられた軒側フレーム7の軒側面を当接させる。
【0045】
このとき、先頭のモジュール1が有する軒側フレーム7のつば7bは、棟側フレーム6のつば受け6bに被せられる。つば7bをつば受け6bに被せると、互いのネジ穴6eおよび7eを合わせた後、ネジによって互いを固定する。つば7bの下面に設けられた凸部7fは、棟側フレーム6の段部の高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節されている。そのため、ネジを螺合する際の押圧力に凸部7fが抗し、つば7bの表面と棟側フレーム6の表面とは面一になる。つば7bとつば受6bとの間は、シール部材11により封止される。シール部材としては、例えば、エプトシールを使用することができる。
【0046】
図9(b)は、組み立て後のモジュール列の境界部を示している。モジュール1は、架台2の支持台2aに固定される。支持台2aは屋根幅方向に隣接するモジュール1の境界となる。軒から見た左のモジュール1は、支持台2aの上面の左側に右側のサイドフレーム8に設けられた足部8bを載置し、右のモジュール1は、支持台2aの上面の右側に左側のサイドフレーム8に設けられた足部8bを載置し、それぞれネジを挿通して支持台2aに固定される。このように組み立てると、支持台2aを挟んで隣り合うモジュール1の対向側面と、支持台2aの上面とにより、U字溝12が画成されることとなる。
【0047】
(止水キャップの取り付け)
モジュール1の取り付けが終了すると、次に、止水キャップ9を取り付ける。止水キャップ9は、棟から軒に向かって一列に並ぶモジュール列同士を架橋するように取り付けられる。まず、止水キャップ9の板状部材9aをモジュール列同士の境界に差し込むことで、止水キャップ9の取り付け位置を確定する。そして、止水キャップ9のネジ穴9bと支持台2aの軸線上に設けられたネジ穴2hを一致させ、一本のネジをこれらネジ穴に通す。
【0048】
(棟およびケラバの納まり)
図10(a)は、棟側最上位のモジュール1と棟20の納まりの接合部を示している。図10(b)は、屋根端部であって家屋の外壁より張り出している部分(ケラバ21)を示している。棟側の最上位のモジュール1においては、棟側フレーム6のつば受け6bに棟調整材13をネジ止めし、その上から棟20を納める。また、屋根の端部においてモジュール1を乗せることができないスペースについては、調整材14の上に合板15を積載し、その上から板金16を施すことでケラバ21を納める。
【0049】
本実施形態の屋根建材は、上記のような組立構造により、止水性及び排水性を向上することが可能となった。その効果を、以下に詳細に記載する。
【0050】
まず、この屋根建材の止水性について説明する。図9(b)に示すように、この屋根建材に雨水が降った場合、モジュール列同士を止水キャップ9で架橋するように組み立てることで、画成されたU字溝12が止水キャップ9で覆われるため、U字溝12への雨水の流入が防止される。すなわち、雨水の侵入経路となりやすいモジュール1の側面を無用に雨水に晒すことがない。
【0051】
また、図9(a)に示すように、モジュール1の屋根幅方向の側面は、軒側フレーム7のつば7bの上面と棟側フレーム6の支持部6aの上面とが連続した水平面を形成する。さらに、図8(b)に示すように、軒側フレーム7のつば7bの上面と、軒先化粧部3の上面とが連続した水平面を形成する。この棟から軒先方向に連続する面一の構成により、棟から軒先へ雨水がスムーズに流れ、モジュール1の下面および連結部への雨水侵入を抑える。
【0052】
更に、この面一の構成は、風などによって軒から棟方向へ雨水が吹き上げた場合であっても、モジュール1の下面や連結部に雨水が入り込む余地が少なくなる。また、軒先先端部10の屈曲部分10aも、風などが原因となる雨水の逆流で、屋根建材内部へ雨水が吹込むことを防止している。さらに、図9(a)に示すようにつば7bとつば受け6bの間も、シール部材11の封止により雨水の侵入を防止しており、全体として止水性能を高めている。
【0053】
次に、仮にモジュール1の内部に雨水が漏水した場合の、本実施形態の屋根建材の排水性について説明する。まず、図9(b)に示すように、雨水が止水キャップ9とモジュール1の上面との隙間から侵入した場合、その雨水はU字溝12に流れ込み、U字溝12を伝って軒先方向へ流れ、屋根建材外部へ排出される。さらに、架台2の支持台2aのネジ穴2f、2gから支持台2a内部へ雨水が漏れたとしても、中空部2iを伝って軒先方向へ流れていき、軒先先端部10の開口部10bより架台2外部へ排出される。
【0054】
また、U字溝12を形成するサイドフレーム8の足部8bの底面と支持台2aの上面との間へ雨水が侵入したとしても、侵入した雨水は凹溝2bに流入して架台2外部へ排出される。このように、U字溝12、中空部2i、及び凹溝2bのそれぞれで雨水を外部へ排出する対策が施されているために、屋根建材の内部に雨水が止まるおそれをより低下させることができる。
【0055】
次に、図9(a)に示す軒側フレーム7のつば7bと棟側フレーム6のつば受け6bとの間に充填されたシール部材11が劣化してしまった場合、軒側フレーム7と棟側フレーム6のネジ穴6eから雨水が浸入するおそれがないわけではないが、その雨水は棟側フレーム6の排水路6cへと流入する。この排水路6cは、棟側フレーム6の長さ方向に延びており、U字溝12と連通している。そのため、排水路6cへと流入した雨水は、U字溝12へ誘導され、建材外部へ排出される。
【0056】
更に、図8(b)に示すように、軒先化粧部3の背面は軒先側へ傾斜し、先頭のモジュール1の軒側フレーム7の軒先側の面は垂直となっているため、軒先化粧部3と軒先フレーム7との間には、断面が三角形の空間Kが形成されることとなる。この空間Kは、屋根建材の外部まで延びており、雨水を逃がす雨水経路となる。この空間Kにより、U字溝12へ誘導され軒側に流れてきた雨水、さらには軒先化粧部3と先頭のモジュール1の接合部から侵入した雨水をも屋根建材の外部に排出することができる。
【0057】
また、軒先化粧部3に設けられた突起3eは、止水キャップ9を隠蔽し、屋根の意匠性を向上させる。更に、この突起3eは雪止めとしても作用し得る。
【0058】
以上のような第一の実施形態によれば、モジュール1の内部に雨水が侵入することなく、また漏水した雨水は屋根建材外部へと排出される。これにより、家屋の野地板等への漏水を防ぐことができる。また、強風などによる雨水の逆流、吹込み等を防止することが可能となる効果が得られる。
【0059】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る屋根建材について、図面を参照して詳細に説明する。図11は、第二の実施の形態におけるサイドフレーム17の断面図である。第一の実施形態と同一の構成部については、構成部と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0060】
第二の実施形態におけるサイドフレーム17は、足部において、コの字型部分の背面が下方向に延長され、且つ、太陽パネルと反対方向に屈曲しているが、その屈曲部は鈍角を形成している。すなわち、サイドフレーム17の足部は、支持台2aの上で、略くの字が対向する形となる。そのため、支持台2a上において向き合う両サイドフレーム17と支持台2aの上面とで画成される溝は、テーパ状に窄まっている。
【0061】
以上のような第二の実施形態によれば、支持台2a上に形成される溝は、テーパ状に窄まっており、溝の底部中央に雨水が集まるため、流れ込んできた雨水が棟から軒にかけて流れやすくなる。すなわち、微量な漏水であっても溝内に溜まることが少なくなり、効率的に架台2の外部へ排出が可能である。更に、棟から軒にかけての屋根傾斜が、比較的緩やかな場合においても、効率的に架台2の外部へ排出することが可能となる。
【0062】
[第三の実施形態]
図12は本実施形態に係る第三の実施の形態における架台2の支持台2aの両側にある凹溝2bを示す図である。第一の実施形態と同一の構成部については、構成部と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0063】
図12において、支持台2aの両側面から受け部18が、棟から軒の方向に延設されている。受け部18は断面が凹型の形状をしており、その一方の側面を直方体の側面と共有している。底面は支持台2aや凹溝2bの底面より高い位置に設けられ、凹溝2bの幅よりも狭い。もう一方の側面は底面端部から上方に立ち上がり、その先端は、支持台2aの上面より低い。
【0064】
このように構成された本発明の一実施例においては、次のような作用効果が生じる。
受け部18は、支持台2aの側面の一部とともに雨水経路を形成する。この雨水経路は、サイドフレーム8の足の底面と架台2上面の接触面を伝って漏水した雨水を、凹溝2bより先に受け集めて架台2の外部へ排出する。これにより、雨水経路が2重構造となり、野地板の真上に位置する凹溝2bに雨水が流出することを防止する。
【0065】
以上のような第三の実施形態によれば、漏水した雨水はまず受け部18に流入し架台2の外部へ排出される。これにより、凹溝2bに雨水が流入する可能性を減少させる効果が得られる。凹溝2bの底面は架台2の底面の一部であることから、凹溝2bの雨水による劣化を防止することで、モジュール1の耐久性を向上できる。
【0066】
[その他の実施の形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、第一乃至第三の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 モジュール
2 架台
2a 支持台
2b 凹溝
2c 固定部
2d、2e 片側領域
2f、2g、2h、2j ネジ穴
2i 中空部
3 軒先化粧部
3a 段部
3b 突起
3c つば受け
3e 突起
3d 板上部材
3f 接合面
3g ネジ穴
3h 傾斜面
4 ルーフィングシート
5 太陽電池パネル
6 棟側フレーム
6a 支持部
6b つば受け
6c 排水路
6d 補強材
6e ネジ穴
6f 段部
7 軒側フレーム
7a 支持部
7b つば
7c 補強材
7e ネジ穴
7f 凸部
8 サイドフレーム
8a 支持部
8b 足部
8c ネジ穴
9 止水キャップ
9a 板状部材
9b ネジ穴
10 軒先先端部
10a 屈曲部分
10b 開口部
11 シール部材
12 U字溝
13 棟調整材
14 調整材
15 合板
16 板金
17 サイドフレーム
18 受け部
20 棟
21 ケラバ
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、屋根瓦やスレート材等と同じように屋根に葺くことができる太陽電池機能つきの屋根建材に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換する。この太陽電池セルを、複数枚直並列接続して必要な電圧と電流を得られるようにしたものが太陽電池パネルである。この太陽電池パネルは、周囲の環境に耐えるための封止、および全体の強度を保つためにフレームに嵌め込まれてモジュール化される。
【0003】
近年、地球温暖化、化石燃料の枯渇が問題となっており、地球環境とエネルギーに対する関心が急速に高まっている。このような状況の下、環境負荷の少ないエネルギー源として太陽電池モジュールの設置が急速に進んでいる。この太陽電池モジュールは、建物の屋根に設置することが一般的である。
【0004】
太陽電池モジュールを屋根へ設置する形態としては、既設の屋根上に架台や固定用部材を設置し、その上に固定する方法が多く採用されている。
【0005】
また、近年、屋根瓦やスレート材を屋根に葺くことなく、直接太陽電池モジュールを敷く形態も提案されている。この形態は、意匠性の向上、施工の容易化、また屋根瓦等を省くことによる住宅建築コストの削減の観点から、注目されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−254049号
【特許文献2】特開平08−296796号
【特許文献3】特開2000−345671号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、雨水が木材で構築される家屋の野地板等に流れれば、それらの腐食を招くおそれがあるため、屋根建材として太陽電池モジュールを用いる場合には、それ相応の雨漏り対策が欠かせない。さらに、屋根建材としての太陽電池モジュールは、長期間の耐用年数が求められるため、雨水等を原因とする経年劣化対策しているが、豪雨などで、太陽電池モジュールガラス面とフレームの隙間から雨水が少なからず侵入したり、長い年月を経て侵入する可能性もあり、現状、このような対策はなされていない。
【0008】
本実施形態は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、雨漏りの可能性を低くした太陽電池機能つきの屋根建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の屋根建材は、次の構成を有することを特徴とする。すなわち、それぞれに太陽電池パネルを有し、アレイ状に敷き詰められるモジュールを有する。また、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュールの境界に沿って延びて、当該両モジュールの下面側縁を上面で支持する架台を備える。これにより、両モジュールの対向側面と、架台の上面によって、U字溝が画成され、このU字溝を通って軒先方向へ雨水が流れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の実施形態に係る屋根及び屋根建材の概略構成を示す斜視図(a)およびモジュールの組立図(b)である。
【図2】第一の実施形態に係る棟側フレームを棟から軒方向で切断した断面図である。
【図3】第一の実施形態に係る軒側フレームを棟から軒方向で切断した断面図である。
【図4】第一の実施形態に係るサイドフレームを屋根幅方向で切断した断面図である。
【図5】第一の実施形態に係る架台を屋根幅方向で切断した断面図(a)、軒先先端部を棟から軒方向で切断した断面図(b)、及び軒先先端部と架台の組立図(c)である。
【図6】第一の実施形態に係る止水キャップを屋根幅方向で切断した断面図(a)、止水キャップの取付図(b)である。
【図7】第一の実施形態に係る軒先化粧部を棟から軒方向で切断した断面図である。
【図8】第一の実施形態に係る架台の野地板への取付図(a)および軒先化粧部と先頭のモジュールの接続部を棟から軒方向で切断した断面図(b)である。
【図9】第一の実施形態に係る棟側フレームと軒先フレームとの接合部を棟から軒方向で切断した断面図(a)および、組み立て後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図(b)である。
【図10】第一の実施形態に係る棟側最上位のモジュールと棟の納まりの接合部を棟から軒方向で切断した断面図(a)および、屋根端部のモジュールを屋根幅方向で切断した断面図(b)である。
【図11】第二の実施形態に係るサイドフレームを用いて組み立てた後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図である。
【図12】第三の実施形態に係る凹型の受け部を用いて組み立てた後のモジュール列の境界部を屋根幅方向で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の各実施形態について図1から図12を用いて説明する。
[第一の実施形態]
(全体構成)
図1は、第一の実施の形態に係る屋根建材を示す斜視図である。図1の(a)は屋根建材の全体構成を示し、(b)は屋根建材を構成するモジュール1の概略構成を示している。図1の(a)に示すように、屋根建材は、モジュール1と、このモジュール1を支持する架台2と、モジュール1を位置決めする軒先化粧部3とを備える。
【0012】
架台2は、モジュール1を支持する桟である。この架台2は棟から軒に沿って平行に延設される。この架台2の設置位置は、モジュール1間の境界のうち、棟から軒に沿って連続して延びる境界の直下である。すなわち、各モジュール1は、側面下縁を架台2の片側に載せるようにして配置され、棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で向かい合う両モジュール1は、架台2上で向かい合わせになる。さらに、この境界、すなわちすきまは、止水キャップ9により被覆される。
【0013】
モジュール1は、住宅のルーフィングシート4上に縦横方向にアレイ状に敷き詰められている。このモジュール1は、図1の(b)に示すように、太陽電池パネル5と、その周囲を支持するフレームとにより構成されている。太陽電池パネル5の棟側の側面には、棟側フレーム6が嵌め込まれている。太陽電池パネル5の軒側の側面には、軒側フレーム7が嵌め込まれている。棟から軒に沿って延びる両側面には、サイドフレーム8が嵌め込まれている。
【0014】
(棟側フレームの構成)
図2は、棟側フレーム6を棟から軒に沿って切断した断面図である。モジュール1において、棟側フレーム6は、太陽電池パネル5の棟側の辺よりも若干長く延びており、太陽電池パネル5の棟側の周縁を支持する。この棟側フレーム6は、支持部6a、つば受け6b、排水路6c、及び補強部材6dから構成され、押出成形により一体成形される。
【0015】
支持部6aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部6aは、棟から軒へ向かう方向に開いた断面がコの字型の部材である。コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0016】
つば受け6bは、ネジ穴6eが貫設された板状部材であり、コの字型部分の背面に立設している。このつば受け6bは、支持部6aの上面よりも低い位置に立っており、支持部6aの背面とつば受け6bの上面とにより段部6fが形成されている。
【0017】
つば受け6bの下部には、棟側フレーム6の長さ方向に沿って、排水路6cが設けられている。この排水路6cは、断面がロの字型の部材であり、つば受け6bの板状部材が排水路6cの上面を兼ねている。棟側フレーム6の端面には、この排水路6cと外部とを連通させる開口部が形成されている。尚、つば受け6bに貫設されたネジ穴6eは、この排水路6cと外部とを連通させることとなる。
【0018】
更に、支持部6aの下部には、棟側フレーム6の長さ方向に沿って、補強部材6dが設けられている。この補強部材6dは、支持部6aで太陽電池パネル5を支持したときに棟側フレーム6が破損しないように強度を高めている。この補強部材6dは、断面がロの字型の部材であり、支持部6aの底面が補強部材6dの上面を兼ねている。
【0019】
(軒側フレームの構成)
図3は、軒側フレーム7を棟から軒に沿って切断した断面図である。軒側フレーム7は、太陽電池パネル5の軒側の辺よりも若干長く延びており、太陽電池パネル5の軒側の周縁を支持する。この軒側フレーム7は、支持部7a、つば7b、及び補強部材7cから構成され、押出成形により一体成形される。
【0020】
支持部7aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部7aは、軒から棟へ向かう方向に開いた断面がコの字型の部材である。コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0021】
つば7bは、ネジ穴7eが貫設された板状部材であり、支持部7aのコの字型部分の背面に立設している。このつば7bは、コの字型部分の上面と連続し、かつ上面と水平となっている。つば7bの長さは、棟側フレーム6のつば受け6bと同じである。ネジ穴7eは、棟側フレーム6のつば受け6bに設けられたネジ穴6eと対応する位置に貫設されている。このつば7bの底面には、2つの凸部7fが立設されている。この凸部7fは、棟側フレーム6の段部6fの高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節される。
【0022】
支持部7aの下部には、軒側フレーム7の長さ方向に沿って、補強部材7cが設けられている。この補強部材7cは、支持部7aで太陽電池パネル5を支持したときに軒側フレーム7が破損しないように強度を高めている。この補強部材7cは、断面がロの字型の部材であり、支持部7aの底面が補強部材7cの上面を兼ねている。
【0023】
(サイドフレームの構成)
図4は、サイドフレーム8を屋根幅方向で切断した断面図である。サイドフレーム8は、太陽電池パネル5の棟から軒へ延びる辺とほぼ同長であり、太陽電池パネル5の棟から軒へ延びる辺の周縁を支持するものである。このサイドフレーム8は、支持部8aと足部8bとから構成され、押出成形により一体成形される。
【0024】
支持部8aには、太陽電池パネル5が挟み込まれる。この支持部8aは、断面がコの字型の部材であり、コの字が画成する内側空間に太陽電池パネル5が嵌め込まれる。
【0025】
足部8bは、断面がL字型の部材である。この足部8bは、支持部8aの背面から下方向に延長され、且つ、太陽電池パネル5とは反対の方向に開くように屈曲している。この足部8bの底面には、ネジ穴8cが貫設されている。後述するように、ネジ穴8cは、架台2の上面に設けられたネジ穴2f及び2gに対応している。
【0026】
(架台及び軒先先端部の構成)
図5は、架台2及び軒先先端部10の断面図である。図5(a)は架台2を屋根幅方向で切断した断面図である。図5(b)は軒先先端部10を棟から軒方向で切断した断面図を、図5(c)は軒先先端部10を架台2の断面に取り付けた図を示している。架台2は、棟から軒に沿って平行に設置される。この架台2は、モジュール1間の境界のうち、棟から軒に沿って連続して延びる境界の直下に配置される。この架台2は、野地板に固定され、上面でモジュール1を支持する。図5(a)に示すように、この架台2は、支持台2a、凹溝2b、及び固定部2cから構成され、押し出し成形により一体成形される。
【0027】
支持台2aは、棟から軒に延びる四角柱形状の部材である。この支持台2aの上面には、軸線で区別される片側領域2d、2eのそれぞれにネジ穴2f、2gが貫設されている。一方の片側領域2dには、モジュール1の足部8bが載置され、他方の片側領域2eには、このモジュール1と向かい合うモジュール1の足部8bが載置される。すなわち、ネジ穴2f、2gは、サイドフレーム8の足部8bにあるネジ穴8cに対応する位置に貫設されている。更に、この支持台2aの上面には、軸線上に所定間隔でネジ穴2hが貫設されており、後述する止水キャップ9を留めるためのネジが螺合する。
【0028】
支持台2aの内部には、棟から軒に延びる中空部2iが設けられており、支持台2aの軒先側の先端面は開口している。この開口には、図5(b)および(c)に示す板状の軒先先端部10が取り付けられている。軒先先端部10には、開口部10bが設けられている。この開口部10bは、軒先先端部10が支持台2aに取り付けられたとき、中空部2iと支持台2aの外部とを繋ぐ。また、軒先先端部10は、支持台2aより高く、支持台2aに取り付けたときに架台2の上面からはみ出す。この軒先先端部10の上部は、図5(b)に示すように、支持台2a側に屈折した屈曲部分10aがあり、支持台2aの上面の縁を覆う。
【0029】
凹溝2bは、支持台2aの棟から軒へ延びる両側面に設けられている。この凹溝2bは、支持台2aの底辺から水平に延びる底面を有し、棟から軒方向へ延設されている。凹溝2bは、その側面の一方を支持台2aと共有しており、もう一方の側面は底面端部から支持台2aの側面と同じ高さで立設している。
【0030】
固定部2cは、両凹溝2bの棟から軒へ延びる外側面にそれぞれ設けられている。固定部2cは、支持台2aおよび凹溝2bの底辺をなす板状部分よりも厚く形成され、外側に向かって厚みが薄くなるように傾斜が設けられている。固定部2cにはネジ穴2jが貫設されている。
【0031】
(止水キャップの構成)
図6(a)は、止水キャップを屋根幅方向で切断した断面図である。図6(b)の止水キャップの取り付け図に示すように、屋根幅方向に隣り合う両モジュール1間の上部には、止水キャップ9が設けられる。止水キャップ9は平板状であり、両モジュール1に架橋されて、両モジュール1の隙間を覆う。止水キャップ9には、支持台2aの上面と対向する面に、棟から軒方向へ延びる2枚の板状部材9aが設けられている。この板状部材9aは、止水キャップ9を両モジュール1の境界に位置決めするとともに、止水キャップ9の剛性を向上させる。この止水キャップ9には、支持台2aの軸線上に貫設されたネジ穴2hと対応する位置にネジ穴9bを有する。
【0032】
(軒先化粧部の構成)
図7は、軒先化粧部3を棟から軒方向で切断した断面図である。軒先化粧部3は、軒先に沿って延設され、モジュール1を位置決めするとともに、軒先の意匠性を向上させる。最も軒先側に配置される先頭のモジュール1は、この軒先化粧部3の棟側端部3fに接触させて設置される。この軒先化粧部3は、軒側に傾斜する断面が三角状の部材と、断面が台形状の部材とを有し、押し出し成形により一体成形されている。
【0033】
断面が三角状の部材は、軒先側に位置する。この断面が三角状の部材は、下面が軒先側から一段切り欠かれており、棟側に段部3aを有する。段部3aの角部からは、軒先に向けて突起3bが形成されている。また、この断面が三角状の部材は、その鋭角となる先端部分が軒下へ向けて延長されている。
【0034】
断面が台形状の部材は、断面が三角状の部材の棟側に位置している。この断面が台形状の部材は、断面が三角状の部材と同一の高さを有し、その軒側の面を断面が三角状の部材と共有している。また、この断面が台形状の部材は、モジュール1と同じ高さを有するが、棟側の上面は、その高さより低く切り欠かれており、その一段低くなった面がつば受け3cとなっている。
【0035】
この断面が台形状の部材は、下辺が短くなっている。すなわち、棟側の面の一部は、下辺と繋がるように軒側方向へ傾斜している。この傾斜面3hの途中には、ネジ穴3gが貫設された板状部材3dが斜め下方向に立設されている。この板状部材3dの先端は、断面が台形の上辺端部及び底辺と面一になる位置まで延びている。さらに、軒先化粧部3の上面には、所定の高さを有した板状突起3eが立設している。板状突起3eは、棟側に傾けられて設置されている。
【0036】
(取り付け方法)
(架台の取り付け)
この屋根建材の取り付け方法について、図1及び図8から図10を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1に示すように、架台2はモジュール1を支持する桟として、棟から軒に沿って平行に延設される。この架台2は、モジュール1の屋根幅方向の長さで等間隔に設置される。
【0037】
図8(a)は架台2の野地板への取付けを示している。架台2は、その最外側にある固定部2cにネジ穴2jにネジを挿通して、野地板に固定される。固定部2cには傾斜が形成されているため、ネジは野地板に対して斜めに挿通されることになる。そのため、野地板に対してネジを垂直に挿通した場合に生じるネジの抜けを防止することができる。
(軒先先端部の取り付け)
【0038】
図8(b)は軒先化粧部3と先頭のモジュール1の接続部を示している。図8(b)に示すように、架台2の軒先先端の面に軒先先端部10を取り付ける。軒先先端部10は、支持台2aの端面を覆うように取り付ける。このとき、軒先先端部10は、支持台2aよりも高く立ち上がり、屈曲部分10aと支持台2aとの間には空間が生じる。
【0039】
(軒先化粧部の取り付け)
軒先先端部10を取り付けると、次に図8(b)に示すように軒先化粧部3を取り付ける。軒先化粧部3は、架台2に固定し、軒先に沿って屋根幅方向に延設する。この際、軒先化粧部3に設けられた突起3bを、軒先先端部10の屈曲部分10aと支持台2aの上面の間に存在する空間に差し込むようにする。軒先化粧部品3の固定は、棟側の傾斜面3hから立設する板状部材3dのネジ穴3gにネジを挿通する。
【0040】
軒先化粧部品3を取り付けた上で、板状部材3dのネジ穴3gにネジを挿通すると、ネジの延び方向は地面に対して垂直に近づき、また屋根の表面に対して鋭角をなす。従って、屋根建材に荷重がかかっても、その荷重はネジの圧縮方向に向かう。また、屋根建材が屋根を滑り落ちる方向の荷重もネジの圧縮方向に向かう。そのため、ネジに曲がりや断裂等の破損が生じにくい。
【0041】
(先頭のモジュールの取り付け)
架台2及び軒先化粧部3を取り付けると、図8(b)に示すように、先頭のモジュール1を取り付ける。まず、軒先化粧部3の棟側端部3fに先頭のモジュール1の先端面が接触するように、先頭のモジュール1を位置合わせする。
【0042】
このとき、先頭のモジュール1が有する軒側フレーム7のつば7bは、軒先化粧部3のつば受け3cに被せられる。つば7bをつば受け3cに被せ、互いのネジ穴を合わせた後、ネジによって互いを固定する。
【0043】
つば7bの下面に設けられた凸部7fは、棟側フレーム6の段部6fの高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節されている。そのため、ネジを螺合する際の押圧力に凸部7fが抗し、つば7bの表面と軒先化粧部3の表面とは面一になる。つば7bとつば受け3cとの間は、シール部材11により封止される。シール部材11としては、例えば、エプトシールを使用することができる。
【0044】
(次段以降のモジュール1の取り付け)
図9(a)は、棟側フレーム6と軒先フレーム7との接合部を示している。先頭のモジュール1に対し、次段以降のモジュール1を棟側に積み重ねるように取り付けていく。まず、前段のモジュール1に設けられた棟側フレーム6の棟側面に対し、次段のモジュール1に設けられた軒側フレーム7の軒側面を当接させる。
【0045】
このとき、先頭のモジュール1が有する軒側フレーム7のつば7bは、棟側フレーム6のつば受け6bに被せられる。つば7bをつば受け6bに被せると、互いのネジ穴6eおよび7eを合わせた後、ネジによって互いを固定する。つば7bの下面に設けられた凸部7fは、棟側フレーム6の段部の高さから、つば7bの厚みを差し引いた高さとなるように調節されている。そのため、ネジを螺合する際の押圧力に凸部7fが抗し、つば7bの表面と棟側フレーム6の表面とは面一になる。つば7bとつば受6bとの間は、シール部材11により封止される。シール部材としては、例えば、エプトシールを使用することができる。
【0046】
図9(b)は、組み立て後のモジュール列の境界部を示している。モジュール1は、架台2の支持台2aに固定される。支持台2aは屋根幅方向に隣接するモジュール1の境界となる。軒から見た左のモジュール1は、支持台2aの上面の左側に右側のサイドフレーム8に設けられた足部8bを載置し、右のモジュール1は、支持台2aの上面の右側に左側のサイドフレーム8に設けられた足部8bを載置し、それぞれネジを挿通して支持台2aに固定される。このように組み立てると、支持台2aを挟んで隣り合うモジュール1の対向側面と、支持台2aの上面とにより、U字溝12が画成されることとなる。
【0047】
(止水キャップの取り付け)
モジュール1の取り付けが終了すると、次に、止水キャップ9を取り付ける。止水キャップ9は、棟から軒に向かって一列に並ぶモジュール列同士を架橋するように取り付けられる。まず、止水キャップ9の板状部材9aをモジュール列同士の境界に差し込むことで、止水キャップ9の取り付け位置を確定する。そして、止水キャップ9のネジ穴9bと支持台2aの軸線上に設けられたネジ穴2hを一致させ、一本のネジをこれらネジ穴に通す。
【0048】
(棟およびケラバの納まり)
図10(a)は、棟側最上位のモジュール1と棟20の納まりの接合部を示している。図10(b)は、屋根端部であって家屋の外壁より張り出している部分(ケラバ21)を示している。棟側の最上位のモジュール1においては、棟側フレーム6のつば受け6bに棟調整材13をネジ止めし、その上から棟20を納める。また、屋根の端部においてモジュール1を乗せることができないスペースについては、調整材14の上に合板15を積載し、その上から板金16を施すことでケラバ21を納める。
【0049】
本実施形態の屋根建材は、上記のような組立構造により、止水性及び排水性を向上することが可能となった。その効果を、以下に詳細に記載する。
【0050】
まず、この屋根建材の止水性について説明する。図9(b)に示すように、この屋根建材に雨水が降った場合、モジュール列同士を止水キャップ9で架橋するように組み立てることで、画成されたU字溝12が止水キャップ9で覆われるため、U字溝12への雨水の流入が防止される。すなわち、雨水の侵入経路となりやすいモジュール1の側面を無用に雨水に晒すことがない。
【0051】
また、図9(a)に示すように、モジュール1の屋根幅方向の側面は、軒側フレーム7のつば7bの上面と棟側フレーム6の支持部6aの上面とが連続した水平面を形成する。さらに、図8(b)に示すように、軒側フレーム7のつば7bの上面と、軒先化粧部3の上面とが連続した水平面を形成する。この棟から軒先方向に連続する面一の構成により、棟から軒先へ雨水がスムーズに流れ、モジュール1の下面および連結部への雨水侵入を抑える。
【0052】
更に、この面一の構成は、風などによって軒から棟方向へ雨水が吹き上げた場合であっても、モジュール1の下面や連結部に雨水が入り込む余地が少なくなる。また、軒先先端部10の屈曲部分10aも、風などが原因となる雨水の逆流で、屋根建材内部へ雨水が吹込むことを防止している。さらに、図9(a)に示すようにつば7bとつば受け6bの間も、シール部材11の封止により雨水の侵入を防止しており、全体として止水性能を高めている。
【0053】
次に、仮にモジュール1の内部に雨水が漏水した場合の、本実施形態の屋根建材の排水性について説明する。まず、図9(b)に示すように、雨水が止水キャップ9とモジュール1の上面との隙間から侵入した場合、その雨水はU字溝12に流れ込み、U字溝12を伝って軒先方向へ流れ、屋根建材外部へ排出される。さらに、架台2の支持台2aのネジ穴2f、2gから支持台2a内部へ雨水が漏れたとしても、中空部2iを伝って軒先方向へ流れていき、軒先先端部10の開口部10bより架台2外部へ排出される。
【0054】
また、U字溝12を形成するサイドフレーム8の足部8bの底面と支持台2aの上面との間へ雨水が侵入したとしても、侵入した雨水は凹溝2bに流入して架台2外部へ排出される。このように、U字溝12、中空部2i、及び凹溝2bのそれぞれで雨水を外部へ排出する対策が施されているために、屋根建材の内部に雨水が止まるおそれをより低下させることができる。
【0055】
次に、図9(a)に示す軒側フレーム7のつば7bと棟側フレーム6のつば受け6bとの間に充填されたシール部材11が劣化してしまった場合、軒側フレーム7と棟側フレーム6のネジ穴6eから雨水が浸入するおそれがないわけではないが、その雨水は棟側フレーム6の排水路6cへと流入する。この排水路6cは、棟側フレーム6の長さ方向に延びており、U字溝12と連通している。そのため、排水路6cへと流入した雨水は、U字溝12へ誘導され、建材外部へ排出される。
【0056】
更に、図8(b)に示すように、軒先化粧部3の背面は軒先側へ傾斜し、先頭のモジュール1の軒側フレーム7の軒先側の面は垂直となっているため、軒先化粧部3と軒先フレーム7との間には、断面が三角形の空間Kが形成されることとなる。この空間Kは、屋根建材の外部まで延びており、雨水を逃がす雨水経路となる。この空間Kにより、U字溝12へ誘導され軒側に流れてきた雨水、さらには軒先化粧部3と先頭のモジュール1の接合部から侵入した雨水をも屋根建材の外部に排出することができる。
【0057】
また、軒先化粧部3に設けられた突起3eは、止水キャップ9を隠蔽し、屋根の意匠性を向上させる。更に、この突起3eは雪止めとしても作用し得る。
【0058】
以上のような第一の実施形態によれば、モジュール1の内部に雨水が侵入することなく、また漏水した雨水は屋根建材外部へと排出される。これにより、家屋の野地板等への漏水を防ぐことができる。また、強風などによる雨水の逆流、吹込み等を防止することが可能となる効果が得られる。
【0059】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る屋根建材について、図面を参照して詳細に説明する。図11は、第二の実施の形態におけるサイドフレーム17の断面図である。第一の実施形態と同一の構成部については、構成部と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0060】
第二の実施形態におけるサイドフレーム17は、足部において、コの字型部分の背面が下方向に延長され、且つ、太陽パネルと反対方向に屈曲しているが、その屈曲部は鈍角を形成している。すなわち、サイドフレーム17の足部は、支持台2aの上で、略くの字が対向する形となる。そのため、支持台2a上において向き合う両サイドフレーム17と支持台2aの上面とで画成される溝は、テーパ状に窄まっている。
【0061】
以上のような第二の実施形態によれば、支持台2a上に形成される溝は、テーパ状に窄まっており、溝の底部中央に雨水が集まるため、流れ込んできた雨水が棟から軒にかけて流れやすくなる。すなわち、微量な漏水であっても溝内に溜まることが少なくなり、効率的に架台2の外部へ排出が可能である。更に、棟から軒にかけての屋根傾斜が、比較的緩やかな場合においても、効率的に架台2の外部へ排出することが可能となる。
【0062】
[第三の実施形態]
図12は本実施形態に係る第三の実施の形態における架台2の支持台2aの両側にある凹溝2bを示す図である。第一の実施形態と同一の構成部については、構成部と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0063】
図12において、支持台2aの両側面から受け部18が、棟から軒の方向に延設されている。受け部18は断面が凹型の形状をしており、その一方の側面を直方体の側面と共有している。底面は支持台2aや凹溝2bの底面より高い位置に設けられ、凹溝2bの幅よりも狭い。もう一方の側面は底面端部から上方に立ち上がり、その先端は、支持台2aの上面より低い。
【0064】
このように構成された本発明の一実施例においては、次のような作用効果が生じる。
受け部18は、支持台2aの側面の一部とともに雨水経路を形成する。この雨水経路は、サイドフレーム8の足の底面と架台2上面の接触面を伝って漏水した雨水を、凹溝2bより先に受け集めて架台2の外部へ排出する。これにより、雨水経路が2重構造となり、野地板の真上に位置する凹溝2bに雨水が流出することを防止する。
【0065】
以上のような第三の実施形態によれば、漏水した雨水はまず受け部18に流入し架台2の外部へ排出される。これにより、凹溝2bに雨水が流入する可能性を減少させる効果が得られる。凹溝2bの底面は架台2の底面の一部であることから、凹溝2bの雨水による劣化を防止することで、モジュール1の耐久性を向上できる。
【0066】
[その他の実施の形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、第一乃至第三の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 モジュール
2 架台
2a 支持台
2b 凹溝
2c 固定部
2d、2e 片側領域
2f、2g、2h、2j ネジ穴
2i 中空部
3 軒先化粧部
3a 段部
3b 突起
3c つば受け
3e 突起
3d 板上部材
3f 接合面
3g ネジ穴
3h 傾斜面
4 ルーフィングシート
5 太陽電池パネル
6 棟側フレーム
6a 支持部
6b つば受け
6c 排水路
6d 補強材
6e ネジ穴
6f 段部
7 軒側フレーム
7a 支持部
7b つば
7c 補強材
7e ネジ穴
7f 凸部
8 サイドフレーム
8a 支持部
8b 足部
8c ネジ穴
9 止水キャップ
9a 板状部材
9b ネジ穴
10 軒先先端部
10a 屈曲部分
10b 開口部
11 シール部材
12 U字溝
13 棟調整材
14 調整材
15 合板
16 板金
17 サイドフレーム
18 受け部
20 棟
21 ケラバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに太陽電池パネルを有し、アレイ状に敷き詰められるモジュールと、
棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュールの境界に沿って延びて、当該両モジュールの下面側縁を上面で支持する架台と、
を備え、
前記両モジュールの対向側面と、前記架台の上面で画成されたU字溝によって軒先方向へ雨水が流れる経路を形成したこと、
を特徴とする屋根建材。
【請求項2】
前記モジュールは、
前記太陽電池パネルを両側面から支持する、外側に開いたL字型のサイドフレームを有し、
屋根幅方向で隣り合う両モジュールは、
前記サイドフレームを付きあわせて向かい合うように前記架台に固定されること、
を特徴とする請求項1記載の屋根建材。
【請求項3】
前記モジュールは、
前記太陽電池パネルを両側面から支持する、外側に開いた略くの字型のサイドフレームを有し、
屋根幅方向で隣り合う両モジュールは、
前記サイドフレームを付きあわせて向かい合うように前記架台に固定され、
前記U字溝は、前記サイドフレームにより下端がテーパ状に絞られていること、
を特徴とする請求項1記載の屋根建材。
【請求項4】
前記U字溝には、
その上方部に平板状の止水キャップがさらに設けられ、
前記止水キャップは、前記両モジュールを架橋して前記U字溝を封止すること、
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項5】
前記止水キャップの前記架台の上面と対向する面には、
前記止水キャップを前記両モジュールの境界に載置するための位置決めガイドとなる2枚の板状部材が立設していること、
を特徴とする請求項4記載の屋根建材。
【請求項6】
前記架台には、
棟から軒方向へ延びる中空部が設けられ、
前記中空部の軒先側先端には、前記架台外部へ連通する開口部が設けられたこと、
を特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項7】
前記架台の前記中空部の両側には、
棟から軒先方向へ延びる凹溝が設けられ、
前記U字溝から漏水した雨水を、軒先方向に流して前記モジュール外部に排水させること、
を特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項8】
前記モジュールを支持する軒先化粧部が軒先に設けられ、
該軒先化粧部の先端には傾斜が設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項9】
前記モジュールと前記軒先化粧部の接合部分においては、
該軒先化粧部の接触面の一部は、その背面が軒先側へ傾斜して形成されることで、前記モジュールとの間に空間を形成したこと、
を特徴とする請求項8記載の屋根建材。
【請求項10】
前記軒先化粧部には、
前記止水キャップが隠蔽される位置に突起が設けられたこと、
を特徴とする請求項8記載の屋根建材。
【請求項11】
前記モジュールの軒側の端部には、所定の長さをもったつばを有する軒側フレーム、棟側の端部には、つば受けを有する棟側フレームが設けられ、
前記つばと前記つば受けを重ねあわせて係合させることによって各モジュール間で、雨水の侵入を防ぐように連結されること、
を特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項12】
前記棟側フレームは、
前記つばとネジ止めされるためのネジ穴が前記つば受けに貫設され、
前記つば受けの下に前記U字溝と連通する中空部が形成され、
前記ネジ穴を介して侵入した雨水を水平方向に流し、前記U字溝に誘導すること、
を特徴とする請求項11記載の屋根建材。
【請求項13】
前記つば受けと前記つばは、
その接合部分がシール部材をもって封着されていること、
を特徴とする請求項11又は12記載の屋根建材。
【請求項1】
それぞれに太陽電池パネルを有し、アレイ状に敷き詰められるモジュールと、
棟から軒の方向と直交する屋根幅方向で隣り合う両モジュールの境界に沿って延びて、当該両モジュールの下面側縁を上面で支持する架台と、
を備え、
前記両モジュールの対向側面と、前記架台の上面で画成されたU字溝によって軒先方向へ雨水が流れる経路を形成したこと、
を特徴とする屋根建材。
【請求項2】
前記モジュールは、
前記太陽電池パネルを両側面から支持する、外側に開いたL字型のサイドフレームを有し、
屋根幅方向で隣り合う両モジュールは、
前記サイドフレームを付きあわせて向かい合うように前記架台に固定されること、
を特徴とする請求項1記載の屋根建材。
【請求項3】
前記モジュールは、
前記太陽電池パネルを両側面から支持する、外側に開いた略くの字型のサイドフレームを有し、
屋根幅方向で隣り合う両モジュールは、
前記サイドフレームを付きあわせて向かい合うように前記架台に固定され、
前記U字溝は、前記サイドフレームにより下端がテーパ状に絞られていること、
を特徴とする請求項1記載の屋根建材。
【請求項4】
前記U字溝には、
その上方部に平板状の止水キャップがさらに設けられ、
前記止水キャップは、前記両モジュールを架橋して前記U字溝を封止すること、
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項5】
前記止水キャップの前記架台の上面と対向する面には、
前記止水キャップを前記両モジュールの境界に載置するための位置決めガイドとなる2枚の板状部材が立設していること、
を特徴とする請求項4記載の屋根建材。
【請求項6】
前記架台には、
棟から軒方向へ延びる中空部が設けられ、
前記中空部の軒先側先端には、前記架台外部へ連通する開口部が設けられたこと、
を特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項7】
前記架台の前記中空部の両側には、
棟から軒先方向へ延びる凹溝が設けられ、
前記U字溝から漏水した雨水を、軒先方向に流して前記モジュール外部に排水させること、
を特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項8】
前記モジュールを支持する軒先化粧部が軒先に設けられ、
該軒先化粧部の先端には傾斜が設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項9】
前記モジュールと前記軒先化粧部の接合部分においては、
該軒先化粧部の接触面の一部は、その背面が軒先側へ傾斜して形成されることで、前記モジュールとの間に空間を形成したこと、
を特徴とする請求項8記載の屋根建材。
【請求項10】
前記軒先化粧部には、
前記止水キャップが隠蔽される位置に突起が設けられたこと、
を特徴とする請求項8記載の屋根建材。
【請求項11】
前記モジュールの軒側の端部には、所定の長さをもったつばを有する軒側フレーム、棟側の端部には、つば受けを有する棟側フレームが設けられ、
前記つばと前記つば受けを重ねあわせて係合させることによって各モジュール間で、雨水の侵入を防ぐように連結されること、
を特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の屋根建材。
【請求項12】
前記棟側フレームは、
前記つばとネジ止めされるためのネジ穴が前記つば受けに貫設され、
前記つば受けの下に前記U字溝と連通する中空部が形成され、
前記ネジ穴を介して侵入した雨水を水平方向に流し、前記U字溝に誘導すること、
を特徴とする請求項11記載の屋根建材。
【請求項13】
前記つば受けと前記つばは、
その接合部分がシール部材をもって封着されていること、
を特徴とする請求項11又は12記載の屋根建材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−72204(P2013−72204A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211366(P2011−211366)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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