説明

層間材

【課題】電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させるために用いられ、連続シートを巻き絞る力により電子部品が破壊されることを防止しするとともに、ICチップが静電破壊されることを防止し、かつ、再利用が可能な層間材を提供する。
【解決手段】本発明の層間材10は、電子部品が実装された連続シートを巻き取る際にこの連続シート間に介在させる層間材であって、連続シートとともに巻き取る際にその連続シートに接し、目開きが電子部品を少なくとも1つ収容する大きさのメッシュクロス13を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させる層間材に関し、さらに詳しくは、RFID(Radio Frequency IDentification)用のアンテナとこのアンテナを通じて通信するICチップが等間隔に多数設けられたインレットシートを巻き取る際、巻き絞りの力によってICチップが破壊させることを防止するために、インレットシート間に介在させる層間材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、半導体ウエハーの輸送、保管の際に、半導体ウエハーの間に発泡材シートからなり、緩衝性がある層間材を介在させている(例えば、特許文献1参照)。
また、RFID用のアンテナとこのアンテナを通じて通信するICチップが等間隔に多数設けられたインレットシート(連続シート)は、以下のような理由から、通常、ロール形態に再び巻き取られることが少ない。
(1)ICチップの実装部が凸部をなしているため、その凹凸により、インレットシートを歪みなく、整然と巻き取ることができない。
(2)インレットシートを整然と巻き取るためには、インレットシートを巻き絞る力を強めにする必要があるが、それではICチップが破壊されてしまう。
(3)ICチップの破壊の頻度は、インレットシートを巻き絞る力と巻き取り用のロールの外径に依存し、ロールに近い位置で巻き取られたインレットシートでは、ICチップが破壊されやすい。
【0003】
ところが、ICカードやICタグの製造方法によっては、インレットシートをロール形態で使用しなければならない場合もある。その場合、インレットシートを巻き取る際、インレットシートの間に、上記のような層間材を介在させる方法が採用されている。
層間材としては、高発泡ポリエチレンシートなどの発泡材シートが用いられている。具体的には、ICチップの厚み0.05mm〜0.4mmを吸収できる、厚み0.5mmの発泡材シートが用いられている。
【特許文献1】特開2007−324366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の層間材は、ICチップの破壊を防止することができるものの、後の工程において、インレットシートから層間材を剥離した際、インレットおよび層間材が静電気により帯電(剥離帯電)し、この静電気がICチップの回路を流れると、静電破壊されるという現象を解消することができなかった。
また、発泡材シートからなる層間材は、非常に厚みが薄く、腰が弱いため、インレットシートとともに巻き取る場合には巻きずれが発生しないものの、層間材のみを巻き取る場合には巻きずれが発生し、整然と巻き取ることが難しかった。このように層間材に巻きずれが発生すると、層間材を再利用することができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させるために用いられ、連続シートを巻き絞る力により電子部品が破壊されることを防止するとともに、ICチップが静電破壊されることを防止し、かつ、再利用が可能な層間材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の層間材は、電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させる層間材であって、前記連続シートとともに巻き取る際に前記連続シートに接し、目開きが前記電子部品を少なくとも1つ収容する大きさのメッシュクロスを有することを特徴とする。
【0007】
前記メッシュクロスの長手方向に沿う両縁部に帯状の部材が並設されたことが好ましい。
前記メッシュクロスの長手方向と垂直な方向の繊維が、前記メッシュクロスの長手方向に沿う繊維の外側面の一方に配されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の層間材は、本発明の層間材は、電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させる層間材であって、前記連続シートとともに巻き取る際に前記連続シートに接し、目開きが前記電子部品を少なくとも1つ収容する大きさのメッシュクロスを有するので、連続シートとともに層間材を巻き取った場合、電子部品と、層間材の横糸や縦糸とが接触する頻度が低くなり、結果として、横糸や縦糸により電子部品が押圧されて破壊されることや、インレットおよび層間材が静電気により帯電し、この静電気が電子部品の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。また、層間材が、連続シートとともに巻き取る際に連続シートに接するメッシュクロスを有するので、従来、長時間保管していた連続シートが層間材と徐々に密着してより一層剥離帯電しやすくなっていた現象も解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の層間材の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の層間材の一実施形態を示す概略平面図である。
この実施形態の層間材10は、ICチップなどの電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に、連続シート間に介在させるものであって、連続シートとともに巻き取る際に連続シートに接し、その長手方向と垂直な方向に所定の間隔で張り渡された多数の繊維(以下、「横糸」という。)11、および、長手方向に沿って所定の間隔で張り渡された多数の繊維(以下、「縦糸」という。)12から構成されるメッシュクロス13と、メッシュクロス13の長手方向に沿う両縁部に並設された帯状の部材(以下、「帯状部材」という。)14とから概略構成されるメッシュクロスからなる長尺のシート材である。
なお、この実施形態において、層間材10の長手方向とは、上記の連続シートの巻き取り方向に相当する。
【0011】
この層間材10をなすメッシュクロス13の大きさは、これとともに巻き取られる連続シートと同じか、あるいは、同等である。
メッシュクロス13の目開きは、連続シートに実装された電子部品を少なくとも1つ収容することができる大きさとする。
例えば、連続シートが、図2に示すように、ベース基材21と、その一方の面21aに設けられ、RFID用のアンテナ22およびこのアンテナ22を通じて通信するICチップ23とが等間隔に多数設けられたインレットシート20である場合、図3に示すように、横糸11と縦糸12からなるメッシュクロス13の網目(目開き)15は、ICチップ23を少なくとも1つ収容することができる大きさとする。
具体的には、ICチップ23が、一辺が0.4mm〜0.8mmの正方形状である場合、目開き15は20mm以上であることが好ましい。目開き15が20mm未満では、インレットシート20とともに層間材10を巻き取った場合、ICチップ23と、層間材10の横糸11や縦糸12とが接触する頻度が高くなり、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されるか、あるいは、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊される。
【0012】
また、ICチップ23が上記の大きさである場合、層間材10の横糸11および縦糸12の線径は、0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上、0.5mm以下である。
横糸11および縦糸12の線径は、0.5mmを超えると、インレットシート20とともに層間材10を巻き取った場合、ICチップ23と、層間材10の横糸11や縦糸12とが接触する頻度が高くなり、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されるか、あるいは、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊される。また、インレットシート20に実装されたICチップ23の厚みは、0.2mm程度であるから、横糸11および縦糸12の線径が0.3mm以上であれば、インレットシート20とともに層間材10を巻き取った場合、図4に示すように、目開き15内に収容されたICチップ23は、その周囲を囲む横糸11および縦糸12により、その上に重ねられたインレットシート20に直接接触することがなくなるので、ICチップ23が破壊されるのを防止できる。
【0013】
横糸11および縦糸12の長手方向の断面形状は、特に限定されないが、円形が好ましい。横糸11および縦糸12の長手方向の断面形状が円形であれば、四角形の場合よりも、ICチップ23と、横糸11や縦糸12との接触する頻度が低くなり、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されることや、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。また、前記の断面形状が円形であれば、ICチップ23に、横糸11または縦糸12が重なっても、両者の接触面積が小さいので、ICチップ23が破壊され難い。さらに、前記の断面形状が円形であれば、前記の断面形状が四角形の場合よりも、ICチップが逃げる空間(目開き15の空間)を大きく確保することができる。
【0014】
また、図5に示すように、層間材10の横糸11が、縦糸12の外側面の一方、すなわち、層間材10の横糸11が、縦糸12に対して、帯状部材13の一方の面13a側、あるいは、帯状部材13の一方の面13aとは反対の面側に配されたことが好ましい。言い換えれば、層間材10は、横糸11と縦糸12の上下関係が交互に繰り返されるように織り込まれておらず、横糸11のみから構成される繊維の層と、縦糸12のみから構成される繊維の層とが交差することなく重ね合わせられていることが好ましい。
このようにすれば、横糸11が層間材10の長手方向にずれやすく(撓みやすく)なり、かつ、縦糸12が層間材10の長手方向と垂直な方向にずれやすく(撓みやすく)なるので、インレットシート20とともに層間材10を巻き取った場合、層間材10の目開き15内にICチップ23が収容されやすくなるから、ICチップ23と、横糸11や縦糸12との接触する頻度が低くなり、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されることや、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。
【0015】
横糸11および縦糸12をなす繊維としては、金属繊維、ステンレス繊維、フッ素樹脂含浸繊維、炭素繊維、ステンレス繊維とポリエステル繊維との混紡繊維、これらの繊維を混紡した混紡繊維などが用いられる。
横糸11および縦糸12をなす繊維としてフッ素樹脂含浸繊維を用いれば、ICチップ23と、横糸11や縦糸12とが接触しても、両者の間で摩擦が生じ難く、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されることや、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。また、インレットシート20から層間材10を剥離する際、ICチップ23を破壊することなく、層間材10を容易に剥離することができる。
横糸11および縦糸12をなす繊維として金属繊維、ステンレス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維とポリエステル繊維との混紡繊維などの導電性の繊維を用いれば、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。
また、横糸11および縦糸12をなす繊維として金属繊維、ステンレス繊維などのより腰の強い繊維を選択すれば、層間材10を巻き取った場合、巻きずれが発生し難くなり、層間材10を再利用することができる。
【0016】
帯状部材14は、柔軟性のある材料からなり、例えば、フッ素樹脂含浸繊維、炭素繊維材などからなり、開口部を有していない部材である。
帯状部材14の幅は、10mm以上、100mm以下とすることが好ましく、より好ましくは20mm以上、50mm以下である。
帯状部材14の幅が10mm未満では、層間材10の腰が弱く、層間材10を巻き取った場合、巻きずれが発生しやすくなり、層間材10を再利用することができない。また、インレットシート20から層間材10を剥離する際、層間材10が破れるおそれがある。一方、帯状部材14の幅が100mmを超えると、インレットシートから剥離した際、剥離帯電によってICチップが静電破壊されやすい。
【0017】
また、帯状部材14の厚みは、上記の横糸11および縦糸12の線径と同程度とすることが好ましい。
このようにすれば、層間材10を巻き取る際、巻きずれが発生することなく、整然と巻き取ることができる。
【0018】
次に、図6を参照して、このような層間材10の使用方法を説明する。
第一のロール31に巻き回されていた層間材10を、長尺のインレットシート20のICチップ23が設けられた面と重なるように送り出し、第二のロール32に、層間材10とともにインレットシート20を巻き取る。
これにより、ICチップ23を破壊することなく、かつ、整然と、層間材10とともにインレットシート20を巻き取ることができる。
【0019】
この実施形態の層間材10によれば、目開き15がインレットシート20に実装されたICチップ23を少なくとも1つ収容する大きさのメッシュクロス13を有するので、インレットシート20とともに層間材10を巻き取った場合、ICチップ23と、層間材10の横糸11や縦糸12とが接触する頻度が低くなり、結果として、横糸11や縦糸12によりICチップ23が押圧されて破壊されることや、インレットシート20および層間材10が静電気により帯電し、この静電気がICチップ23の回路を流れて、静電破壊されることを防止できる。
また、メッシュクロス13の長手方向に沿う両縁部に帯状部材14が並設されているので、インレットシート20から層間材10を剥離する際、層間材10が破れることを防止でき、また、層間材10を巻き取る際、巻きずれが発生することなく、整然と巻き取ることができるので、層間材10を再利用することができる。
【0020】
なお、この実施形態では、連続シートとしてインレットシート20を例示したが、本発明の層間材が適用可能な連続シートはインレットシートに限定されない。本発明の層間材は、ICチップ以外の電子部品が等間隔に多数実装された連続シートを巻き取る場合にも好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の層間材の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】連続シートの一例としてインレットシートを示す概略平面図である。
【図3】本発明の層間材の目開きとインレットシートのICチップとの関係を示す概略平面図である。
【図4】本発明の層間材の繊維とインレットシートのICチップとの関係を示す概略断面図である。
【図5】本発明の層間材の横糸と縦糸との関係を示す概略断面図である。
【図6】層間材10の使用方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
10・・・層間材、11・・・横糸、12・・・縦糸、13・・・メッシュクロス、14・・・帯状部材、15・・・目開き、20・・・インレットシート、21・・・ベース基材、22・・・アンテナ、23・・・ICチップ、31・・・第一のロール、32・・・第二のロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された連続シートを巻き取る際に該連続シート間に介在させる層間材であって、
前記連続シートとともに巻き取る際に前記連続シートに接し、目開きが前記電子部品を少なくとも1つ収容する大きさのメッシュクロスを有することを特徴とする層間材。
【請求項2】
前記メッシュクロスの長手方向に沿う両縁部に帯状の部材が並設されたことを特徴とする請求項1に記載の層間材。
【請求項3】
前記メッシュクロスの長手方向と垂直な方向の繊維が、前記メッシュクロスの長手方向に沿う繊維の外側面の一方に配されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の層間材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−241932(P2009−241932A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88002(P2008−88002)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】