説明

工作機械のワーク搬送装置

【課題】ワーク移動機構を簡単な構成でカバーでき、装置全体の大型化を防止できる工作機械のワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】フレーム部材8は、ワーク加工位置Aからワーク搬出入位置B近傍まで延びる筒体で構成され、ワーク移動機構7は、駆動プーリ10と従動プーリ11とにベルト12を巻回し、該駆動プーリ10を駆動モータ13で回転駆動するよう構成されており、上記ベルト12は上記フレーム部材8内に収容状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク(機械加工前の素材を含む)をワーク加工位置とワーク搬出入位置との間で搬送するようにした工作機械のワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、例えば旋盤においては、機械加工位置で加工の終了したワークを主軸のチャックから受け取って機側の搬出入位置に配置されたワークストッカに搬出し、又は加工前の素材をワークストッカ側から受け取って上記チャックに装着するといった作業を自動的に行うようにしたワーク搬送装置を備える場合がある。
【0003】
この種のワーク搬送装置として、フレーム部材と、ワーク移動機構と、ワーク把持機構を支持する支持部材とをカバー部材で囲み、該カバー部材に、上記支持部材を外方に貫通するスリット溝を形成した構成のものがある(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−117760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来公報に記載されたワーク搬送装置の場合、フレーム部材と、ワーク移動機構と、支持部材とをカバー部材で囲む構造を採用しているので、このカバー部材が、フレーム部材を、これの全長に渡ってワーク移動機構及び支持部材ごと囲む大型のものとなり、それだけ装置全体が大型化するとともに、コスト高となるといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ワーク移動機構を簡単な構成でカバーでき、装置全体の大型化を防止できる工作機械のワーク搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ワークを把持するワーク把持機構と、該ワーク把持機構をワーク加工位置とワーク搬出入位置との間で移動させるワーク移動機構と、該ワーク移動機構を移動可能に支持するフレーム部材とを備えた工作機械のワーク搬送装置において、
上記フレーム部材は、上記ワーク加工位置から少なくともワーク搬出入位置近傍まで延びる筒体で構成され、上記ワーク移動機構は、駆動部材と従動部材とにベルト部材を巻回し、該駆動部材を駆動モータで回転駆動するよう構成されており、上記ベルト部材は上記フレーム部材内に収容状態で配置されていることを特徴としている。
【0007】
ここで本発明において、フレーム部材を構成する筒体は、横断面で見たとき、必ずしも完全な閉断面を形成している必要はなく、例えば、後述するような支持部材を挿通させるためのスリット溝等、所要の加工が施されているものを含む。
【0008】
また本発明のワーク移動機構は、駆動プーリと従動プーリとにベルトを巻回してなるベルト式のものだけでなく、駆動スプロケットと従動スプロケットとにチェンを巻回してなるチェン式のものも含む。
【0009】
また本発明において、ベルト部材がフレーム部材内に収容状態で配置されているとは、ベルト部材の大部分がフレーム部材内に配置されておれば良く、必ずしも駆動部材や従動部材の全てがフレーム部材内に配置される必要はない。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、上記ワーク移動機構は、上記ベルトに接続された支持部材を備え、該支持部材は上記フレーム部材にワーク加工位置とワーク搬出入位置との間で移動自在に支持され、該支持部材に上記ワーク把持機構が取り付けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2において、上記支持部材は、上記フレーム部材内に配置され、上記ベルト部材に固定された固定部と、上記フレーム部材外に配置され、上記ワーク把持機構を支持する支持部と、上記フレーム部材に形成されたスリット溝を挿通するように配置され、上記支持部と固定部とを連結する連結部とを備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、上記連結部と上記スリット溝との隙間をシールするシール機構を備え、該シール機構は、上記フレーム部材に取り付けられ、上記連結部を挟持するように、かつ相対的に摺動可能に配設された一対の帯板状のばね板によって構成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1において、上記フレーム部材内に、上記ワーク把持機構に作動流体又は電力を供給する可撓性チューブ部材からなるケーブルベアが収容状態で配置され、該ケーブルベアの一端部は上記ワーク把持機構に、該ワーク把持機構と共に移動するように接続され、他端部は上記フレーム部材に形成された外部接続口に接続固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、ワーク加工位置から少なくともワーク搬出入位置近傍まで延びる筒体内に、ベルト部材を収容状態で配置したので、フレーム部材が、ワーク移動機構を支持する枠体としてだけでなく、ワーク移動機構のカバーとしても機能することとなり、上記従来公報に記載されているカバー部材を不要にでき、機械全体をコンパクトにできるとともに、コストを低減できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ワーク移動機構を、上記ベルトに接続された支持部材を備えたものとし、該支持部材に上記ワーク把持機構を取り付けたので、ベルト部材をフレーム部材内に配置しながら、該ベルト部材によりフレーム部材外に配置されたワーク把持機構を移動させることができる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、上記支持部材を、上記フレーム部材内に配置された固定部と、上記フレーム部材外に配置された支持部と、上記フレーム部材のスリット溝を通って上記支持部と固定部とを連結する連結部とを備えたものとしたので、フレーム部材内に配置されたベルト部材によりフレーム部材外に配置されたワーク把持機構を移動させるためのより具体的な構成を提供できる。
【0017】
請求項4の発明によれば、一対の帯板状のばね板を、連結部を挟持するように、かつ相対的に摺動可能に配設したので、連結部とスリット溝との隙間を簡単な構造で確実にシールできる。
【0018】
請求項5の発明によれば、上記フレーム部材内に、上記ワーク把持機構に作動流体又は電力を供給する可撓性チューブ部材からなるケーブルベアを収容状態で配置し、該ケーブルベアの一端部を上記ワーク把持機構にこれと共に移動するように接続し、他端部を上記フレーム部材の外部接続口に接続固定したので、フレーム部材の内部空間を利用してケーブルベアを配置でき、ワーク加工位置からワーク搬出入位置まで移動するワーク把持機構に作動流体や電力を支障なく供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図9は本発明の一実施形態に係る工作機械のワーク搬送装置を説明するための図である。なお、本実施形態において、前,後、左,右とは、機械正面Cから見た状態(図1に示す状態)における前,後、左,右を意味する。
【0021】
これらの図において、符号1は、その全体が機体カバー2で囲まれ、該機体カバー2内に機内走行式のワーク搬送装置3を備えた旋盤(工作機械)である。該旋盤1は、機体カバー2の内部のワーク加工位置Aに配置された第1主軸4と、第2主軸5とを備え、それぞれの主軸4,5はワークWを把持するチャック4a,5aを有する。なお、4b,5bは上記機体カバー2の上記ワーク加工位置A,A部分を開閉するドアである。
【0022】
上記ワーク搬送装置3は、ワークを把持するワーク把持機構6と、該ワーク把持機構6をワーク加工位置Aとワーク搬出入位置Bとの間で移動させるワーク移動機構7と、該ワーク移動機構7を支持するフレーム部材8とを備えている。
【0023】
上記フレーム部材8は、上記ワーク加工位置Aの上方から上記ワーク搬出入位置Bの上方まで左右方向に延び、横断面形状が正方形をなす角パイプ(筒体)で構成され、その複数箇所が支柱9により固定支持されている。
【0024】
上記ワーク移動機構7は、外周にベルト係止歯が形成された駆動プーリ(駆動部材)10と、同じく外周にベルト係止歯が形成された従動プーリ11(従動部材)とに係止歯付のベルト(ベルト部材)12を巻回し、上記駆動プーリ10を駆動モータ13で回転駆動するよう構成されている。
【0025】
上記駆動プーリ10は上記駆動モータ13の出力軸13bに固定されている。該駆動モータ13は、上記フレーム部材8の右端部から該フレーム部材の軸方向外方に少し離れた位置に、かつ軸方向位置を調整可能に配置されている。この駆動モータ13に装着されたフランジ板13aが支持板14上に搭載され、調整ボルト15を締め込むと該該調整ボルト15が上記フランジ板13a、ひいては駆動モータ13を図示右方に移動させ、もってベルト12の張り調整が可能となっている。なお、上記支持板14は上記フレーム部材8の底壁8a下面に固定されている。また符号13cは、上記フレーム部材8を延長するように形成されて上記駆動プーリ10の周囲を囲むカバーである。
【0026】
また上記駆動プーリ10の外周部には、一対のカムフォロア16,16が該駆動プーリ10に巻回されたベルト12に転接するように、かつ軸線がプーリ軸と平行となるように配置されている。このカムフォロア16は、ブラケット16aにボルト締め固定され、該ブラケット16aは上記フランジ板13aに固定されている。
【0027】
上記従動プーリ11は、ベース部材17の軸部17aに軸受17bを介して回転自在に支持されている。このベース部材17は上記フレーム部材8の底壁18aの上面にボルト締め固定されている。また上記従動プーリ11の外周にも駆動プーリ10側と同様の構造の一対のカムフォロア18,18が配置されている。このカムフォロア18はブラケット18aにボルト締め固定され、該ブラケット18aは上記ベース部材17に固定されている。なお、8cは上記フレーム部材8の側壁8dに形成された開口であり、この開口8cを利用して上記従動プーリ11部分のメンテナンスが容易に行えるようになっている。
【0028】
このようにして、上記ベルト12の上記駆動プーリ10部分を除く部分は、フレーム部材8内に収容状態で配置されている。また上記ワーク移動機構7は、上記フレーム部材8内に、上方から見たとき(図4参照)、駆動,従動プーリ10,11の中心線L1が上記フレーム部材8の中心線L2に対して正面C側にLだけ偏位するように配置されている。これにより、上記フレーム部材8内には、背面C′側に空きスペースDが形成されており、該スペースDに後述するケーブルベア36が配置されている。
【0029】
また上記ワーク移動機構7は、上記ベルト12に接続された支持部材19を備えている。この支持部材19は上記フレーム部材8によってワーク加工位置Aとワーク搬出入位置Bとの間で移動自在に支持されている。そしてこの支持部材19に上記ワーク把持機構6が取り付けられている。
【0030】
より詳細には、上記支持部材19は、上記フレーム部材8内に、これの側壁8dと平行に配置され、上記ベルト12に固定された固定板20と、上記フレーム部材8外に、これの側壁8dと平行に配置され、上記ワーク把持機構6を支持する支持板21と、上記フレーム部材8に形成されたスリット溝8bを挿通するように水平に配置され、上記支持板21と固定板20とを連結する連結板22とを備えている。
【0031】
上記固定板20は、長方形板状のもので、該固定板20の下部20bが上記ベルト12の中途部分に結合金具26を介してボルト締め固定されている。上記ワーク移動機構7のモータ13が回転するとベルト12と共に上記固定板20が移動することとなる。
【0032】
上記支持板21は長方形板状のもので、該支持板21の裏面にはリニアガイド23が固定されている。このリニアガイド23は直方体状をなし、これの背面に凹設された摺動溝23aがガイドレール24の摺動面24aに摺動自在に支持されている。なお、リニアガイド23の摺動溝23a内には多数のボールが配設されている。また上記ガイドレール24は上記フレーム部材8の軸方向に延びる棒状体であり、ベース部材25を介して上記フレーム部材8の側壁8dの外面に取り付けられている。
【0033】
また上記支持板21の上縁にはフレーム部材8側に延びる板状のカムブラケット27が固定されている。このカムブラケット27には、一対のカムフォロア28,28が配設され、該カムフォロア28,28は、ガイドプレート29を挟持している。このガイドプレート29は上記ガイドレール24と平行に延びる帯板状のもので、脚部29aを介して上記フレーム部材8の側壁8dの外面に固定されている。
【0034】
上記連結板22は、長方形板板状のもので、上記フレーム部材8の側壁8dに形成された上記スリット溝8bを挿通している。このスリット溝8bの上下方向寸法は、上記連結板22との干渉を回避できる寸法に設定され、左右方向寸法は上記ワーク加工位置Aからワーク搬出入位置Bまでの距離に対応した寸法に設定されている。
【0035】
また上記連結板22と上記スリット溝8bとの隙間はシール機構30によりシールされている。このシール機構30は、上下一対の帯板状のばね板30a,30aをブラケット30bを介して上記フレーム部材8の側壁8dの外面に取り付けた構成となっている。このばね板30a,30aは横断面視で上記側壁8dとで二等辺三角形をなすように配置され、その前部で板面を挟持しており、該連結板22は板ばね30a,30aを押し開くようにしながらフレーム部材8の軸方向に移動する。なお、30cは、上記シール機構30やカムフォロア28部分等の上方をワーク加工位置Aから搬出入位置Bに渡って覆うカバーであり、該カバー30cは上記フレーム部材8の天壁部8eに形成されたメンテナンス開口8fを開閉可能に取り付けられている。
【0036】
上記支持板21の正面側には、支持ブラケット31がスペーサ部材32を介在させて固定されている。この支持ブラケット31に上記ワーク把持機構6がボルト締め固定されている。
【0037】
上記ワーク把持機構6は、上記支持ブラケット31に取り付けられたベースプレート33と、該ベースプレート33に支持されたシリンダ機構34と、該シリンダ機構34によって上下に昇降するバケット35とを備えている。
【0038】
上記ベースプレート33の上下端部に固定されたブラケット33a,33bにより上記シリンダ機構34の上下端部が固定支持されている。このシリンダ機構34は、シリンダ本体34aと、該シリンダ本体34a内に摺動自在に配置されたピストン34bと、該ピストン34bに接続されたピストンロッド34cとを有する。このピストンロッド34cの下端部にジョイント部材35aを介して上記バケット35が接続されている。
【0039】
上記シリンダ機構34は、上記バケット35を、チャック4a又は5aの少し下方に位置するワーク受取位置E1(図6に二点鎖線で示す)と、主軸上方に位置するワーク搬送位置E2(同図に実線で示す)との間で昇降させる。
【0040】
上記フレーム部材8内には、上述のケーブルベア36が配設されている。このケーブルベア36は、上記シリンダ機構34に作動油を供給する油圧ホース37、各種アクチュエータに電力を供給する電気ケーブル等の可撓性チューブ部材を束ねたものである。
【0041】
上記ケーブルベア36の一端部分36aは、上記固定板20に取り付けられた支持プレート38に固定されており、従って該ワーク移動機構7のモータ13の回転に伴って、上記ケーブルベア36の一端部分36aは固定板20と共に移動する。一方、上記ケーブルベア36の他端部分36bは上記フレーム部材8の底壁8aに形成された外部接続口36cに接続固定されている。従って上記ケーブルベア36は、上記固体板20ひいてはワーク把持機構6の移動ストロークに対応した長さに設定されている。なお、図示していないが、上記外部接続口36cは油圧供給源や電源に接続されている。
【0042】
ここで上記ケーブルベア36の一部を構成する例えば油圧ホース37は、上記一端部36aからは上記固定板20側に延び、ジョイント37aを介して上記連結板22に形成された油圧通路22aに接続されている。この油圧通路22aは上記支持板21に形成された油圧通路21aに連通しており、該油圧通路21aはジョイント37bを介して上記シリンダ本体34aの油圧室34d に連通している。なお、上記ジョイント37は、上記支持ブラケット31スペーサ部材32に形成された開口31a内に位置しており、また37cは電気ケーブル等を通すための開口である。
【0043】
本実施形態装置では、例えば第1主軸4側での加工が終了すると、該第1主軸4の上方に待機しているワーク把持機構6において、シリンダ機構34がバケット35をチャック4aの下方のワーク受取位置E1に下降させ、該チャック4aが開放され、ワークがバケット35内に落下収容される。するとシリンダ機構34が、バケット35をチャック上方の搬送位置E2に上昇させる。続いてワーク移動機構7において、これの駆動モータ13が起動し、ベルト12が支持部材19を介してワーク把持機構6をフレーム部材8の軸方向に移動させる。このとき、上記支持部材19は、支持板21の下部がリニアガイド23とガイドレール24でガイドされ、上部がカムフォロア28,28とガイドプレート29でガイドされるので、ワーク把持機構6を確実に移動させることができる。
【0044】
そして、ワーク把持機構6がワーク搬出入位置Bに位置すると、シリンダ機構34がバケット35を下降させ、ワークを搬出コンベア40上に移載させ、該ワークは搬出コンベア40により搬出バケット(図示せず)に収容される。
【0045】
このように本実施形態では、フレーム部材8を、ワーク加工位置Aからワーク搬出入位置Bまで延びる筒体で構成し、該筒体内に、ベルト12を収容状態で配置したので、フレーム部材8が、ワーク移動機構7を支持する枠体としてだけでなく、ワーク移動機構7のカバーとしても機能することとなり、ワーク移動機構をフレーム部材の外側に配置した場合に必要となる大型のカバー部材を不要にでき、機械全体をコンパクトにできるとともに、コストを低減できる。
【0046】
またワーク移動機構7を、上記ベルト12に接続された支持部材19を備えたものとし、該支持部材19を、上記フレーム部材8内に配置された固定板20と、該フレーム部材8外に配置された支持板21と、フレーム部材8のスリット溝8bを通って上記支持板21と固定板20とを連結する連結板22とを備えたものとしたので、フレーム部材8内に配置されたベルト12によりフレーム部材8外に配置されたワーク把持機構6を移動させる構造を実現できる。
【0047】
上記連結板22と上記スリット溝8bとの隙間をシールするシール機構30を設けたので、切削粉等がフレーム部材8内に進入するのを防止できる。
【0048】
そして上記シール機構30を、一対のばね板30a,30aで連結板22を挟持し、かつ相対的に摺動可能とする構成としたので、連結板22とスリット溝8bとの隙間を簡単な構造で確実にシールできる。
【0049】
上記フレーム部材8内に、上記ワーク把持機構6に作動油等供給する油圧ホース37や電力を供給する電気ケーブル等の可撓性チューブ部材を束ねたケーブルベア36を収容状態で配置し、該ケーブルベア36の一端部36aを上記ワーク把持機構6と共に移動するように接続し、他端部36bを上記フレーム部材8に形成された外部接続口に接続固定したので、フレーム部材8の内部空間を利用してケーブルベア36を配置でき、ワーク加工位置Aからワーク搬出入位置Bまで移動するワーク把持機構6に作動油や電力を支障なく供給できる。
【0050】
また油圧ホース37とシリンダ機構34とを接続する油圧通路22a,21aを支持部材19に形成したので、油圧通路の構造が複雑になるのを回避できる。 なお、上記実施形態では、ワーク移動機構7がベルト式のものである場合を示したが、本発明ではチェン式のものも採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態にかかるワーク搬送装置を備えた旋盤の模式正面図である。
【図2】上記旋盤の模式平面図である。
【図3】上記ワーク搬送装置のワーク移動機構部分の断面正面図である。
【図4】上記ワーク移動機構の断面平面図である。
【図5】上記ワーク移動機構の断面側面図である。
【図6】上記ワーク搬送装置のワーク把持機構部分の側面図である。
【図7】上記ワーク移動機構の断面側面図である。
【図8】上記ワーク移動機構の支持部材部分の正面図である。
【図9】上記ワーク移動機構部分の模式斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 旋盤(工作機械)
3 ワーク搬送装置
6 ワーク把持機構
7 ワーク移動機構
8 フレーム部材
8b スリット溝
10 駆動プーリ(駆動部材)
11 従動プーリ(従動部材)
12 ベルト
13 駆動モータ
19 支持部材
20 固定板(固定部)
21 支持板(支持部)
22 連結板(連結部)
22a 油圧通路(中継通路)
30 シール機構
30a ばね板
36 ケーブルベア(チューブ部材)
A ワーク加工位置
B ワーク搬出入位置
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持するワーク把持機構と、該ワーク把持機構をワーク加工位置とワーク搬出入位置との間で移動させるワーク移動機構と、該ワーク移動機構を移動可能に支持するフレーム部材とを備えた工作機械のワーク搬送装置において、
上記フレーム部材は、上記ワーク加工位置から少なくともワーク搬出入位置近傍まで延びる筒体で構成され、
上記ワーク移動機構は、駆動部材と従動部材とにベルト部材を巻回し、該駆動部材を駆動モータで回転駆動するよう構成されており、
上記ベルト部材は上記フレーム部材内に収容状態で配置されていることを特徴とする工作機械のワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、上記ワーク移動機構は、上記ベルト部材に接続された支持部材を備え、該支持部材は上記フレーム部材にワーク加工位置とワーク搬出入位置との間で移動自在に支持され、該支持部材に上記ワーク把持機構が取り付けられていることを特徴とする工作機械のワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項2において、上記支持部材は、上記フレーム部材内に配置され、上記ベルト部材に固定された固定部と、上記フレーム部材外に配置され、上記ワーク把持機構を支持する支持部と、上記フレーム部材に形成されたスリット溝を挿通するように配置され、上記支持部と固定部とを連結する連結部とを備えていることを特徴とする工作機械のワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項3において、上記連結部と上記スリット溝との隙間をシールするシール機構を備え、該シール機構は、上記フレーム部材に取り付けられ、上記連結部を挟持するように、かつ相対的に摺動可能に配設された一対の帯板状のばね板によって構成されていることを特徴とする工作機械のワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項1において、上記フレーム部材内に、上記ワーク把持機構に作動流体又は電力を供給する可撓性チューブ部材からなるケーブルベアが収容状態で配置され、該ケーブルベアの一端部は上記ワーク把持機構に、該ワーク把持機構と共に移動するように接続され、他端部は上記フレーム部材に形成された外部接続口に接続固定されていることを特徴とする工作機械のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−12641(P2008−12641A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188425(P2006−188425)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】