説明

巻芯保持構造及びプリンタ

【課題】軸部を回転させて巻芯に帯状体を巻き取る際には巻芯が空転しないように保持するとともに、巻芯が軸部に容易に着脱可能とする。
【解決手段】巻芯保持構造は、帯状体が巻回されて構成される巻芯を差し込んで回転駆動される巻取軸8(供給軸7)と、巻取軸8の外周に設けられて巻取軸8に差し込まれた巻芯の内壁と接触するとともに、巻取軸8に巻芯を着脱する方向に回転するローラ102と、ローラ102を巻取軸8の外周方向へ付勢する板バネ101とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、巻芯保持構造及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタなどにおいては、インクリボン等の帯状体が巻き取られるロール状の巻芯を、回転駆動される巻取軸に保持する巻芯保持構造が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このプリンタでは、巻取軸を回転させて巻芯に帯状体を巻き取る際には巻芯が空転しないように保持するとともに、巻芯が巻取軸に容易に着脱可能であることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、実施形態の巻芯保持構造は、帯状体が巻回されて構成される巻芯を差し込んで回転駆動される軸部と、前記軸部の外周に設けられて当該軸部に差し込まれた前記巻芯の内壁と接触するとともに、前記軸部に前記巻芯を着脱する方向に回転するローラと、前記ローラを前記軸部の外周方向へ付勢する弾性部材とを備えることを特徴とする。
【0005】
また、実施形態のプリンタは、帯状体が巻回されて構成される巻芯を差し込んで回転駆動される軸部と、前記軸部の外周に設けられて当該軸部に差し込まれた前記巻芯の内壁と接触するとともに、前記軸部に前記巻芯を着脱する方向に回転するローラと、前記ローラを前記軸部の外周方向へ付勢する弾性部材と、回転駆動された前記巻芯から引き出された前記帯状体により印字を行う印字機構とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかるプリンタの外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す側面図である。
【図4】図4は、供給軸、巻取軸を例示する斜視図である。
【図5】図5は、供給軸、巻取軸を例示する側面図である。
【図6】図6は、図4のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図7は、供給軸、巻取軸にリボンロールを差し込む様子を示す概略図である。
【図8】図8は、供給軸、巻取軸にリボンロールを差し込む様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる巻芯保持構造及びプリンタの詳細を説明する。以下では、巻芯保持構造により保持される巻芯に巻き回されたインクリボンにより用紙へ印字を行うサーマルプリンタへの適用例を説明する。
【0008】
図1は、実施形態にかかるプリンタ1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、プリンタ1のハウジング20の前面には、印字された後の用紙が排出される排出口30が形成されている。ハウジング20の左側には、各種操作キー40やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部50などを前面に備える制御ボックス60が設けられている。この制御ボックス60の内部には、プリンタ1が備える各部を駆動制御する制御部(図示しない)が設けられている。カバー70は、ハウジング20の上面の制御ボックス60側に設けられたヒンジ80を中心として上方向へ回動自在に設けられている。カバー70を上方向へ回動させることで、ユーザはハウジング20内の内部構成へのアクセスが可能となる。
【0009】
図2は、実施形態にかかるプリンタ1の内部構成の一例を示す斜視図である。より具体的には、カバー70が空けられ、印字にかかる用紙ロール11(図3参照)やリボンロール13を取り付ける前のプリンタ1の内部構成を示す斜視図である。図3は、実施形態にかかるプリンタ1の内部構成の一例を示す側面図である。より具体的には、用紙ロール11及びリボンロール13を取り付けて印字を行う際の内部構成を示す側面図である。
【0010】
図2、3に示すように、プリンタ1の本体部1aは、底壁1cやカバー70を含む筐体1bと、筐体1b内で底壁1cと垂直な縦壁1dとを有している。縦壁1dには、用紙ロール保持軸3、搬送ローラ4、プラテンローラ5、供給軸7、巻取軸8、印字ブロック9、ピンチローラブロック10等が、縦壁1dと略垂直な姿勢で取り付けられている。縦壁1dの背面側にある制御ボックス60には、上述した制御部や、供給軸7、巻取軸8等を駆動するモータ(図示しない)等が収容されている。
【0011】
用紙ロール保持軸3は、帯状用紙2が巻回されて構成された用紙ロール11を図3の紙面に垂直な軸回りに回動可能に保持する。ここでは、用紙ロール保持軸3を縦壁1dに回転可能に保持する構成であっても、用紙ロール保持軸3を縦壁1dに固定して帯状用紙2の用紙ロール11を用紙ロール保持軸3の回りに回転可能に保持する構成であってもよい。本実施形態では、用紙ロール保持軸3や用紙ロール11は、モータ等によっては駆動されず、搬送方向TDの下流側(図3の左方向)に配置した搬送ローラ4やプラテンローラ5等の回転によって、帯状用紙2の用紙ロール11が回動(従動)することにより用紙ロール11から帯状用紙2が引き出される。
【0012】
搬送ローラ4、プラテンローラ5、供給軸7、巻取軸8は、モータ(図示せず)等によって回転駆動される。搬送ローラ4は、印字部12やプラテンローラ5の上流側に配置されている。また、ピンチローラブロック10は、搬送ローラ4と平行な姿勢でその搬送ローラ4の情報に隣接して配置されるピンチローラ(図示せず)を有している。ピンチローラは、適宜な押圧力で搬送ローラ4に向けて付勢されている。搬送ローラ4とピンチローラとで帯状用紙2が挟持され、搬送ローラ4の回転によって帯状用紙2が搬送される。本実施形態では、これら搬送ローラ4、プラテンローラ5、モータ(図示せず)、モータコントローラ(図示せず)、ピンチローラブロック等が搬送機構を構成している。
【0013】
供給軸7、巻取軸8は、リボンロール13を差し込んで回転駆動される軸部である(詳細は後述する)。リボンロール13は、略円筒形状の巻芯131にインクリボン6等の帯状体が巻き回されて構成される。なお、巻芯131は、本実施形態において断面が略円形な略円筒形状としているが、巻芯131の断面は正八角形等の形状であってもよい。
【0014】
供給軸7には、インクリボン6が予め巻芯131に巻き回されたリボンロール13が差し込まれてセットされる。また、巻取軸8には、供給軸7にセットされたリボンロール13側から引き出されたインクリボン6を巻き取る巻芯131が差し込まれてセットされる。インクリボン6は、モータ等によって駆動される巻取軸8の回転によって、供給軸7にセットされたリボンロール13側より引き出され、巻取軸8側にセットされた巻芯131に巻き取られる。
【0015】
供給軸7側から引き出されて巻取軸8側で巻き取られる間、インクリボン6は、帯状用紙2とともに印字ブロック9に含まれるサーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間に挟持される。サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間にインクリボン6を挟持している際に、サーマルヘッド9aを加熱することで、インクリボン6のインクが溶融あるいは昇華される。インクリボン6のインクが溶融あるいは昇華されることで、帯状用紙2の内表面2aに所定のパターン(文字、数字、バーコード、図形等)が転写され、印字が行われる。すなわち、本実施形態では、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とによって、回転駆動された巻芯131から引き出されたインクリボン6により印字を行う印字機構としての印字部12が構成されている。
【0016】
ここで、供給軸7、巻取軸8の詳細について説明する。図4は、供給軸7、巻取軸8を例示する斜視図である。図5は、供給軸7、巻取軸8を例示する側面図である。図6は、図4のX−X線に沿う断面図である。図7、8は、供給軸7、巻取軸8にリボンロール13を差し込む様子を示す概略図である。
【0017】
図4、5、6に示すように、巻芯131を差し込んで回転駆動される供給軸7、巻取軸8には、軸中心から外周へ向かう外周方向へ付勢する弾性部材としての板バネ101が外周壁100上に設けられている。板バネ101には、供給軸7、巻取軸8に差し込まれた巻芯131の内壁と接触するとともに、供給軸7、巻取軸8に巻芯131を着脱する方向に回転する複数のローラ102が設けられている。すなわち、供給軸7、巻取軸8は、差し込まれた巻芯131の内壁と接触するローラ102と、そのローラ102を外周方向へ付勢する板バネ101とによる巻芯保持構造を有している。
【0018】
具体的には、板バネ101は、外周壁100において供給軸7、巻取軸8が延在する方向である幅方向WDに沿って設けられ、両端が留具103で外周壁100に固定されている。板バネ101には、屈曲して外周方向に突出した突出部110が所定の長さに亘って設けられている。
【0019】
突出部110には、略垂直に折れ曲がった一対の折り曲げ部111(図4、5における手前側と奥側、図6の左右)が、幅方向WDにおいて所定の間隔で設けられている。一対の折り曲げ部111には、留具112によりローラ102が、外周壁100の表面(外周面)に接することなく、幅方向WDに回転可能に取り付けられる。すなわち、複数のローラ102が、供給軸7、巻取軸8が延在する方向である幅方向WDに沿って複数配列されている。
【0020】
ローラ102は、突出部110において折り曲げ部111の位置に対応して設けられた穴部113より、外周方向における一部が突出部110より突出している。これにより、ローラ102は、供給軸7、巻取軸8に巻芯131を着脱する際に、突出部110より突出した部分が巻芯131の内壁と接触して回転(従動)する。なお、外周壁100に対する突出部110の高さは、巻芯131が差し込まれた際にローラ102が外周壁100の表面に接しない程度に設計されているものとする。
【0021】
したがって、図7、8に示すように、リボンロール13の巻芯131は、供給軸7、巻取軸8に差し込む際に接触するローラ102の回転によって摩擦力が軽減されることから、容易に取り付けることができる。また、複数のローラ102が幅方向WDに沿って複数配列されていることから、リボンロール13が幅L1の場合(図7参照)や、幅L2の場合(図8参照)など、リボンロール13の幅が異なる場合であっても、いずれかのローラ102が接触して摩擦力を軽減することができる。
【0022】
供給軸7、巻取軸8に差し込まれた巻芯131は、板バネ101の付勢力によって外周方向へ押し出されるローラ102によって支持される。図6に示すように、ローラ102は、幅方向WDに沿って差し込まれる巻芯131に伴って回転するが、供給軸7、巻取軸8の回転方向(時計回り方向CW又は反時計回り方向CCW)には回転しない。したがって、供給軸7、巻取軸8を回転させて巻芯131にインクリボン6を巻き取る際には、巻芯131が空転することがない。なお、巻芯131の滑りによる空転を防止するため、ローラ102にはゴム等の摩擦係数が大きな部材を用いることが好ましい。
【0023】
なお、本実施形態では、一つの板バネ101を外周壁100上に設ける構成を例示したが、複数の板バネ101を外周壁100上に設けてもよい。例えば、図6に例示した板バネ101とは軸中心を挟んで反対側において、上述したローラ102を備える板バネ101を設けてもよい。
【0024】
また、本実施形態では、供給軸7、巻取軸8の両方が上述した巻芯保持構造を有する構成を例示した。しかしながら、インクリボン6を供給軸7側から引き出す方向にのみ回転駆動させる場合には、巻取軸8側のみが巻芯保持構造を有する構成であってもよい。
【0025】
また、本実施形態では、インクリボン6が巻回されたリボンロール13を保持する供給軸7、巻取軸8が巻芯保持構造を有する構成を例示した。しかしながら、帯状体である帯状用紙2が巻回されて構成される用紙ロール11を差し込んで保持する用紙ロール保持軸3が巻芯保持構造を有する構成であってもよい。例えば、引き出された帯状用紙2を再び用紙ロール11へ巻き回す等の回転駆動をモータ等により用紙ロール保持軸3が行う構成では、用紙ロール保持軸3は上述した巻芯保持構造を有してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…プリンタ、1a…本体部、1b…筐体、1d…縦壁、1c…底壁、2…帯状用紙、2a…内表面、3…用紙ロール保持軸、4…搬送ローラ、5…プラテンローラ、6…インクリボン、7…供給軸、8…巻取軸、9…印字ブロック、9a…サーマルヘッド、10…ピンチローラブロック、11…用紙ロール、12…印字部、13…リボンロール、100…外周壁、101…板バネ、102…ローラ、103…留具、110…突出部、111…折り曲げ部、112…留具、113…穴部、131…巻芯、L1、L2…幅、WD…幅方向、TD…搬送方向、CW…時計回り方向、CCW…反時計回り方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開平9−315691公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体が巻回されて構成される巻芯を差し込んで回転駆動される軸部と、
前記軸部の外周に設けられて当該軸部に差し込まれた前記巻芯の内壁と接触するとともに、前記軸部に前記巻芯を着脱する方向に回転するローラと、
前記ローラを前記軸部の外周方向へ付勢する弾性部材と、
を備えることを特徴とする巻芯保持構造。
【請求項2】
前記ローラは、前記軸部の延在方向に沿って複数配列されること、
を特徴とする請求項1に記載の巻芯保持構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記軸部の外周方向へ突出した突出部を有し、当該突出部が前記延在方向に沿って配置される板バネであり、
複数の前記ローラは、前記突出部に設けられて前記軸部の外周面に接しないこと、
を特徴とする請求項2に記載の巻芯保持構造。
【請求項4】
帯状体が巻回されて構成される巻芯を差し込んで回転駆動される軸部と、
前記軸部の外周に設けられて当該軸部に差し込まれた前記巻芯の内壁と接触するとともに、前記軸部に前記巻芯を着脱する方向に回転するローラと、
前記ローラを前記軸部の外周方向へ付勢する弾性部材と、
回転駆動された前記巻芯から引き出された前記帯状体により印字を行う印字機構と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
前記ローラは、前記軸部の延在方向に沿って複数配列されること、
を特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記軸部の外周方向へ突出した突出部を有し、当該突出部が前記延在方向に沿って配置される板バネであり、
複数の前記ローラは、前記突出部に設けられて前記軸部の外周面に接しないこと、
を特徴とする請求項5に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−153438(P2012−153438A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11304(P2011−11304)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】