説明

希釈用容器

【課題】液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を所定の濃度に簡易且つ確実に希釈し得る希釈用容器を提供する。
【解決手段】上端が開放した容器本体4の上端縁部分5に、垂直面内で倒れた倒状態と垂直面内で起立した起立状態との間で回動可能となるように取っ手7が取り付けられている。取っ手7には、容積の異なる複数の計量容器10が設けられており、各計量容器10は取っ手7が倒状態において、開口11が上方に開放状態となると共に、取っ手7を起立状態とすることにより、計量容器10に収容した原液を開口11から容器本体4内に放出させ得る。容器本体4の周壁部14に、所要希釈倍率の希釈液を得るに必要な水の収容量を示す目印15が設けられる。複数の計量容器10の容積は、容器本体4に収容する水の量との対比で複数の所要希釈倍率が得られるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を所定の濃度に簡易且つ確実に希釈し得る希釈用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば液状肥料や液状除草剤、液状農薬の原液を水で一定の濃度に希釈して所要の希釈液を調整する際しては、従来一般に、これらの原液を収容するボトルの蓋や別途の軽量カップを用い、これらに所定量の原液を収容し、これを容器に注いで所定量の水で希釈することを要した。これらの希釈作業を熟練者が行なう場合はそれほど問題にならないにしても、一般家庭で行なう場合は、馴れない作業であるために作業中に手や衣服等に原液がこれらを汚す恐れがあった他、原液の種類によっては手荒れを生じさせる等の恐れもあった。又、使用する原液の種類によって希釈濃度が異なるなど、希釈作業は非常に煩瑣なものであった。このようなことから、目分量によって希釈液を適当に調整することも行なわれていたが、希釈倍率が過剰或いは過少になり易く、かかる不適切な希釈液を植物に散布することは決して好ましいものではなかった。
【0003】
このような問題点に鑑み、液状肥料等の原液を所定濃度に簡易且つ確実に希釈せんとして特許文献1記載の灌水用ポットが提案されている。この灌水用ポットaは、図8に示すように、水で希釈して用いる液状肥料等の原液を収容する原液計量カップbを、ポット本体cの上蓋dの下面eに添い、該上蓋dに形成した注水用の開口部fに対して出没自在に設けていた。そして該原液計量カップbは、図8〜10に示すように、前記上蓋dの下面側において該下面eに沿ってスライドし得る軸棒gの先端に取り付けられていた。
【0004】
該軸棒gは、該下面eに設けた保持筒hに挿通されており、該保持筒hに対して該軸棒gを図8〜9に示す右方向にF1スライドさせることによって、前記原液計量カップbが前記上蓋dの開口部fに現れるようになされており、この状態から、前記軸棒gを前記保持筒hに対して左方向F2にスライドさせることによって、図10に示すように、前記原液計量カップbが上蓋dの下面eに格納され前記開口部fに対して没するようになされていた。
【0005】
そして、前記原液計量カップbが前記開口部fに位置した状態で前記軸棒gがその軸線回りに回動することにより、該原液計量カップbに入れた原液をポット本体c内に放出し得るようになされており、該ポット本体c内に放出した原液を所定量の水で希釈して所定希釈倍率の希釈液を得ることができるように構成されていた。そして前記ポット本体cは、前記原液計量カップbの容量に対して所定の希釈倍率となる容量に設定されており、該ポット本体cの周壁部の外面jには、図8に示すように、該原液計量カップbの容量に対する1000倍の容量の部位と2000倍の容量の部位に夫々、1000cc、2000ccの目印k1,k2が刻設されていた。
【0006】
かかる構成を有する灌水用ポットaを用いて例えば1000倍の希釈液肥を調整する場合は、前記原液計量カップbを前記上蓋dの下面eに格納した状態で前記ポット本体c内に、1000倍の目印k1まで1000ccの水を収容して後、図8〜9に示すように原液計量カップbを前記開口部fまで引き出してその中に液肥の原液を略一杯となるように収容する。その後、この原液計量カップbを回動させてカップ内の原液をポット本体cの水に注ぎ、原液と水とを均一に混合する。又、2000倍の希釈液肥を調整する場合は、前記ポット本体c内に2000倍の目印k2まで2000ccの水を収容して後、原液計量カップbを回動させてカップ内の原液をポット本体c内の水に注ぎ、原液と水とを均一に混合して行なう。なお、原液計量カップb内の原液をポット本体c内に注いで後に該ポット本体c内に水を注いでもよい、とされている。
【0007】
しかしながら、かかる構成を有する灌水用ポットaには次のような問題点があった。即ち、かかる灌水用ポットaによるときは、原液計量カップbを前記開口部fに引き出してその中に液肥等の原液を略一杯となるように注入し該原液計量カップbを回動させてカップ内の原液をポット本体c内に注ぐ際、前記軸棒gをその軸線回りに回動させて行なわなければならなかったのであるが、該カップの引出し操作や該軸棒の回動操作は、指先で行なうものと解される。そのため、これらの操作には面倒さが伴ったばかりか、該回動操作の際に原液が手や衣服に付着して手等を汚す恐れがあった。又、手に付着したときは、原液の種類によっては手荒れを生じさせる等の恐れもあった。
【0008】
そして該灌水用ポットaは、ポット本体cに入れる水の量を変えることによって希釈倍率を変える方式であったため、原液を1000倍に希釈する場合は前記のように1000倍の目印k1まで水を注入する一方、原液を2000倍に希釈する場合は前記のように2000倍の目印k2まで水を注入し、これに原液計量カップ内の原液を注ぐこととしていた。このように前記灌水用ポットaは、ポット本体cに入れる水の量に応じて希釈倍率を設定していたため、得られる希釈液の量が希釈倍率によって大幅に異なった。そのため、1000倍の希釈液肥を例えば2000cc必要とするときは、1000cc分を植物に散布した後で、再び、1000倍の希釈液肥を同様の作業工程を経て調整しなければならないことになり、希釈作業が煩瑣となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3039781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を所定の濃度に簡易且つ確実に希釈し得る希釈用容器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る希釈用容器は、上端が開放した容体本体の上端縁部分に、垂直面内で倒れた倒状態と垂直面内で起立した起立状態との間で回動可能となるように取っ手が取り付けられており、該取っ手には、容積の異なる複数の計量容器が設けられており、各計量容器は、該取っ手が前記倒状態において、上端が開口した状態となり得ると共に、該取っ手を前記起立状態とすることによって、各計量容器に収容した原液を前記開口から前記容器本体内に放出させ得るようになされていることを特徴とするものである。
【0012】
該希釈用容器において、前記容器本体を透明乃至半透明に形成すると共にその周壁部に、所要希釈倍率の希釈液を得るに必要な水の収容量を示す目印を付し、前記複数の計量容器の容積を、該容器本体に収容する水の量との対比で複数の所要希釈倍率が得られるように設定するのがよい。
【0013】
本発明に係る希釈用容器のより具体的な態様の一つとしては、前記容器本体が透明乃至半透明に形成されると共にその周壁部に、該容器本体内の水の収容量が5リットルであることを示す目印が付されており、前記取っ手には、小容積の計量容器と中容積の計量容器と大容積の計量容器の、容積の異なる3種類の計量容器が設けられている。そして、該小容積の計量容器の容積が2.5ccに設定され、中容積の計量容器の容積が5ccに設定され、大容積の計量容器の容積が10ccに設定されている。
【0014】
前記の各希釈用容器において、前記計量容器の夫々に関し、該計量容器やその近辺に、前記容器本体に収容する水の量との対比による希釈倍率値を示す数字を付すのがよい。
【0015】
前記各希釈用容器において、前記取っ手の長さ方向の中央部分は、所要間隔を置いて対向する外縁部分と内縁部分とを具えた環状を呈したものとし、該環状部の挿通孔に指を挿入して前記外縁部分を手で握ることによって該取っ手を把持可能となし、前記内縁部分に前記計量容器を設けるのがよい。
【0016】
この場合、前記取っ手が前記倒状態で見て、前記内縁部分に、前記開放部に向けて水平に突出するアームの基端が連結されると共に、該アームの先端が前記計量容器に連結されたものとし、この状態で、該計量容器の開口が上方に開放状態となる如く構成するのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明によるときは、前記取っ手が倒状態において、所要容積の計量容器を選択し、これに液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を収容して後、該取っ手を起立状態とすることにより、自ずから、該計量容器に収容した原液を容器本体内に放出させることができる。そして、該放出された原液と容器本体内に収容した所定量の水とを均一に混合することにより、所定希釈倍率の希釈液を簡易且つ確実に調整できることとなる。
かかることから、使用する原液の種類によって希釈倍率が異なる希釈液を調整する場合であっても、液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液の希釈倍率の設定が容易であり、煩わしい計算を要さず希釈作業を容易且つ正確に行なうことができる。又、取っ手を起立状態にしさえすれば計量容器内の原液を容器本体内に確実に放出できるため、この放出の際に原液が手や衣服等に付着してこれらを汚したり、原液が手に付着して手荒れを生じせるなどの恐れがない。
【0018】
(2) 各計量容器やその近辺に、前記収容容器に収容する水の量との対比で希釈倍率値を示す数字を付しておくと、調整せんとする希釈倍率との関係で計量容器の選択が分かり易い。
【0019】
(3) 特に、前記取っ手の長さ方向の中央部分に、所要間隔を置いて対向する外縁部分と内縁部分とを具えた環状部を設け、該環状部の内縁部分に前記計量容器を設ける場合は、該環状部の挿通孔に指を挿入して該外縁部分を手で握ることによって該取っ手を把持でき、然もこの把持は、各計量容器が邪魔になることなく楽に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る希釈用容器を、その取っ手が起立した状態で示す斜視図である。
【図2】その希釈用容器をその取っ手が倒状態で示す斜視図である。
【図3】容器本体と取っ手を分解して示す斜視図である。
【図4】取っ手が倒状態において選択した計量容器に原液を収容すると共に、容器本体に所定量の水を収容した状態を示す断面図である。
【図5】その取っ手を起立状態として計量容器内の原液を容器本体内に放出させている状態を示す断面図である。
【図6】取っ手の両端に設けた枢着突部を容器本体の上端縁部分の対向部位に設けた枢着孔部に押し込んだ状態を示す断面図である。
【図7】取っ手の環状部を手で把持した状態を示す斜視図である。
【図8】従来の灌水用ポットを示す斜視図である。
【図9】その原液計量カップをポット本体の上端の開放部に位置させた状態を示す断面図である。
【図10】その原液計量カップをポット本体の上蓋の下面に格納した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1〜3において本発明に係る希釈用容器1は、上端2に開放部3が設けられてなる容器本体4の上端縁部分5の対向部位6,6に、垂直面内で倒れた倒状態A(図2)と垂直面内で起立した起立状態B(図1)との間で回動可能な取っ手7の両端部分9,9が取り付けられている。本実施例において、該倒状態Aは、必ずしも水平状態を意味せず、水平状態から多少下向きに傾斜した状態や多少上向きに傾斜した状態であってもよい。又、該起立状態Bは、必ずしも垂直状態を意味せず、前記取っ手7を前記倒状態Aから起立させた時、その起立方向で見て、垂直状態よりも稍小さい角度状態を呈するものの他、垂直状態よりも稍大きい角度状態を呈するものであってもよい。
【0022】
前記取っ手7には、図1〜5に示すように、容積の異なる複数の計量容器10が設けられており、各計量容器10は、該取っ手7が前記倒状態Aにおいて、図2、図4に示すように、開口11が上方に開放した状態となり得ると共に、該取っ手7を前記起立状態Bとすることによって、図5に示すように、各計量容器10に収容した原液12(図4)を前記開口11から前記容器本体4内に矢印で示すように放出させ得るようになされている。
【0023】
前記容器本体4は図1に示すように、上端の所要部位(例えば中央部分)が例えば矩形状に開放されて開放部3が設けられ、平面視で前後方向に稍長い楕円形状を呈しており、透明乃至半透明の樹脂素材を以て形成されている。そして、その周壁部14には、容器本体4内に貯留されている希釈液の残量値を表示する目印15が付されている。該目印15は、該周壁部14の例えば外面16に付されており、例えば図1に示すように、下から順番に1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットルを示す目印(目盛)15が刻設や印刷等によって設けられている。本実施例において、この残量値の最大値を5リットルとしたのは、家庭菜園の場合は通常4〜6リットルの液肥が使用されていることを考慮し、且つ、希釈液入りの希釈用容器1を手で持ち運ぶ際にそれほど支障とならない重量であることを考慮してのものであり、最大で約5リットルの希釈液を調整できるようにするためである。そして、前記容器本体4は透明乃至半透明であるため、該容器本体4の周壁部14を透かして、貯留されている希釈液の水面が見えるため、前記目印(目盛)15によって希釈液の残量が分かる。
【0024】
又、該容器本体4の前後方向で見た前端側の下部17には、図1に示すように、斜め上方に向けて突出する導水管18が連設されており該導水管18の先端には、多数の散水孔19を有する散水板20が設けられてなる蓮の実部分21が設けられている。
【0025】
又、該容器本体4の上端縁部分5の対向部位(前後部分)6,6には、図3、図6に示すように、前記取っ手7の両端に設けた枢着突部22,22を押し込むための枢着孔部23,23が設けられている。然して、図6に示すように、該枢着突部22,22を該枢着孔部23,23に押し込むと、該枢着突部22,22は、該枢着孔部23,23に抜け止めされて取り付けられ、その軸線回りに回動できる。これによって前記取っ手7は、前記のように、垂直面内で倒れた前記倒状態Aと垂直面内で起立した前記起立状態Bとの間で回動可能となる。なお前記とは逆に、前記枢着突部22を前記上端縁部分5に設ける一方、前記枢着孔部23を前記取っ手7の両端に設ける構成としてもよい。
【0026】
前記取っ手7は、本実施例においては図1、図3に示すように、その起立状態Bにおいて倒U字状を呈しており、その長さ方向の略水平な中央部分25には環状部26が設けられている。該環状部26は、所要間隔を置いて対向する外縁部分27と内縁部分29とを具え且つ該中央部分25の長さ方向に延長する環状を呈しており、図7に示すように、親指を除く4本の指30,30,30,30を該環状部26の挿通孔31に挿入して前記外縁部分27を手で握ると、前記取っ手7を手で把持して容器本体4を持ち運ぶことができる。そしてこの把持は、各計量容器10,10,10が邪魔になることなく楽に行なうことができる。
【0027】
本実施例においては、図1〜3に示すように前記容器本体4に入れた所定量(本実施例においては約5リットル)の水に対して3種類の希釈倍率の希釈液を調整できるように、前記環状部26の前記内縁部分29に、その長さ方向の両側部位と中央部位において、容積の異なる3種類の前記計量容器10,10,10が設けられている。今、該内縁部分29の一端側のものから順に、小容積の計量容器10a、中容積の計量容器10b、大容積の計量容器10cとする。本実施例においては図2に示すように、前記倒状態Aで見て、前記内縁部分29の長さ方向の両側部位と中央部位において、前記開放部3に向けて水平に突出するアーム35,35,35の基端36,36,36が連結されており、夫々のアーム35の先端37は、図2に示すように、前記計量容器10a,10b,10cの、例えば外側面39の上端に連結されている。このようにアーム35,35,35が水平に突出した状態で見て、前記の各計量容器10a,10b,10cは、本実施例においては、図2、図4に示すように前記開放部3に位置しており、その開口11,11,11が上方に開放した状態を呈し、その収容部40は図4に示すように、上端41から下端42に向けて稍縮径したテーパ状を呈している。
【0028】
例えば、約5リットルの所要希釈倍率の希釈液肥を調整する場合は、前記容器本体4に収容した5リットルの水の量との対比で前記各計量容器10a,10b,10cの容積を設定する。例えば、前記小容積の計量容器10aの容積を2.5ccに、前記中容積の計量容器10bの容積を5ccに、前記大容積の計量容器10cの容積を10ccに設定する。今、図4に示すように前記取っ手7を倒状態Aにして、前記選択した計量容器10の前記収容部40に略一杯の液肥等の原液を収容して後、図5に示すように前記取っ手7を起立状態Bにすると、該計量容器10は、前記開放部3の上側に位置した状態となり且つその開口11が横向きの状態となる。これによって、該計量容器10内の原液を図5に矢印で示すように、自ずから容器本体4内に放出させることができる。この場合、放出をより円滑に行なわせるために、前記取っ手7を前記起立状態Bから稍行き過ぎた角度にまで回動させることもある。このようにして計量容器10内の原液を前記容器本体4内に放出させることができることから、手や衣服を汚すことなく原液を容器本体4内に容易且つ確実に放出させることができる。その後、該容器本体4内に収容した約5リットルの貯留水38と原液とを均一に混合すれば約5リットルの希釈液を得ることができる。この混合に先立って容器本体4内に水を収容するタイミングは、容器本体4内に原液を放出する前であっても後であってもよい。該容器本体4内に原液を放出した後に該容器本体4内に水を収容するとき、原液の種類によっては、少しずつ希釈しながら水を増していくこともある。
【0029】
前記小容積の計量容器10aを選択した場合は、その容積が2.5ccであるために約2000倍に希釈された希釈液を調整できる。又、前記中容積の計量容器10bを選択した場合は、その容積が5ccであるために約1000倍に希釈された希釈液を調整できる。又、前記大容積の計量容器10cを選択した場合は、その容積が10ccであるために約500倍に希釈された希釈液を調整できる。本実施例においては、前記容器本体4に前記導水管18が設けられているため、容器本体4に希釈液が貯留されてなる前記希釈用容器1はじょうろとして利用でき、図7に示すように、前記取っ手7を握って所要場所に持ち運んで該容器本体4を傾けることより、前記蓮の実部分21の散水板20で希釈液をシャワー状に散水して植物に散布できる。
【0030】
なお、前記各計量容器10a,10b,10cの外側面39や前記アーム35の表面等、該計量容器10a,10b,10cの近辺に、前記容器本体4に収容する水の量との対比で希釈倍率値を示す数字を記載しておくと、調整せんとする希釈倍率との関係で計量容器10の選択が分かり易い。
【実施例2】
【0031】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0032】
(1) 本発明に係る希釈用容器1は、前記導水管18が省略されることもある。この場合は、該希釈用容器1は液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を水で一定の濃度に希釈するためだけに用いられ、この希釈液は、例えばじょうろや噴霧器等に移し替られて使用される。
【0033】
(2) 希釈される原液が液状除草剤や液状農薬である場合は、例えば50倍、100倍、200倍等に希釈できるように容器本体4に収容する水の量や計量容器10の容積が所要に設定される。
【0034】
(3) 本発明において、使用する計量容器10の個数は複数個であり、前記した3個の他、2個や4個等であってもよい。
【0035】
(4) 前記取っ手7は、前記環状部26が省略されて構成されることもある。
【0036】
(5) 前記容器本体4の形状や前記開放部3の形態は、前記取っ手7を起立状態Bとすることによって各計量容器10に収容した原液を前記容器本体4内に放出させ得る限り、各種に構成できる。
【0037】
(6) 前記目印15は、要は識別できる部分であればよく、単なる凸部や凹部等であってもよい。
【0038】
(7) 前記計量容器10に対しての前記アーム35の先端37の連結部位は、該計量容器10に原液を収容するに支障のない限り、任意に設定できる。
【0039】
(8) 本発明に係る希釈用容器1は、液状肥料や液状除草剤、液状農薬等の原液を所定の濃度に希釈するために用いることができる。その場合、該希釈用容器1を、液状肥料用や液状除草剤用、液状農薬用等について色違いとすれば、例えば、液状肥料と液状除草剤を同一の希釈用容器を用いて希釈してしまい、液肥を散布したときに、残留していた除草剤で植物を枯らしてしまう等といった事態を発生させる恐れがない。
【符号の説明】
【0040】
1 希釈用容器
3 開放部
4 容器本体
5 上端縁部分
6 対向部位
7 取っ手
9 両端部分
10 計量容器
11 開口
12 原液
14 周壁部
15 目印
16 外面
18 導水管
19 散水孔
22 枢着突部
23 枢着孔部
26 環状部
27 外縁部分
29 内縁部分
35 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端の所要部位が開放されて開放部が形成されてなる容器本体の上端縁部分に、垂直面内で倒れた倒状態と垂直面内で起立した起立状態との間で回動可能となるように取っ手が取り付けられており、該取っ手には、容積の異なる複数の計量容器が設けられており、各計量容器は、該取っ手が前記倒状態において、開口が上方に開放状態となり得ると共に、該取っ手を前記起立状態とすることにより、各計量容器に収容した原液を前記開口から前記容器本体内に放出させ得るようになされていることを特徴とする希釈用容器。
【請求項2】
前記容器本体が透明乃至半透明に形成されると共にその周壁部に、所要希釈倍率の希釈液を得るに必要な水の収容量を示す目印が付されており、前記複数の計量容器の容積は、該容器本体に収容する水の量との対比で複数の所要希釈倍率が得られるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の希釈用容器。
【請求項3】
前記容器本体が透明乃至半透明に形成されると共にその周壁部に、該容器本体内の水の収容量が5リットルであることを示す目印が付されており、前記取っ手には、小容積の計量容器と中容積の計量容器と大容積の計量容器の、容積の異なる3種類の計量容器が設けられ、、該小容積の計量容器の容積が2.5ccに設定され、中容積の計量容器の容積が5ccに設定され、大容積の計量容器の容積が10ccに設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の希釈用容器。
【請求項4】
前記計量容器の夫々に関して、該計量容器やその近辺に、前記容器本体に収容する水の量との対比による希釈倍率値を示す数字が付されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の希釈用容器。
【請求項5】
前記取っ手の長さ方向の中央部分は、所要間隔を置いて対向する外縁部分と内縁部分とを具えた環状を呈しており、該環状部の挿通孔に指を挿入して前記外縁部分を手で握ることによって該取っ手を把持可能となされており、前記内縁部分に前記計量容器が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の希釈用容器。
【請求項6】
前記取っ手が前記倒状態で見て、前記内縁部分に、前記開放部に向けて水平に突出するアームの基端が連結されると共に、該アームの先端が前記計量容器に連結されており、この状態で、該計量容器の開口が上方に開放状態となることを特徴とする請求項5記載の希釈用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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