幼児用便器
幼児用便器(10)は側壁(12)と、便槽(14)と、座面(18)を含む頂面(15)とを含む。幼児用便器(10)は、1つの幼児用便器の一部分が他の幼児用便器内に受容されるように、同様の幼児用便器と重ね合わせることができるように構成される。この結果、重ね合わされた幼児用便器の組合せ高さは、個々の幼児用便器の高さの2倍未満になる。幼児用便器(10)は、実質的に座面(18)と接触することなく液体を便槽(14)から幼児用便器の外に注出することを可能にするダクト(20)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幼児用便器(おまる)に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児用便器は、一般的に側壁、座面、および便槽から構成される周知の物品である。子供は座面に着座し、排泄物を便槽内に排出することができる。排泄物は次いで、便器を傾けることによって便槽から例えばトイレットに移すことができる。しかし、制御されたやり方で幼児用便器から排泄物を空けることは時々難しいことがあり得る。さらに、場合によっては、幼児用便器を空けるときに、排泄物が座面を通過することがあり、それは衛生上の観点から望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幼児用便器は、適度な低コストで大量生産される物品であり、したがって多数の便器を保管、輸送、および展示のために重ね合わせることができれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、便槽と、座面と、液体が座面に実質的に接触することなく液体を便槽から外に注出させることを可能にするように配置されたダクトとを含む幼児用便器であって、当該幼児用便器の少なくとも一部分を同様の幼児用便器によって受容することができるように、同様の幼児用便器と積み重ね可能に構成された幼児用便器を提供する。したがって、本発明のこの態様に係る幼児用便器は、その上に着座するように構成された幼児用便器の座面を排泄物が通過することなく、便槽からトイレットのような標的場所に液体を移すための通路を提供する。その結果として、使用者の皮膚が通常接触する単数または複数の表面は一般的に、便槽から空けられる排泄物によって汚染されない。さらに、ダクトは便槽からの液体の制御された注出をもたらす。ダクトを含む幼児用便器の構成は、当該幼児用便器を同様の幼児用便器と、かついくつかの実施形態では略同一の幼児用便器と積み重ね可能にすることを妨げないように、かつ1つの幼児用便器の少なくとも一部分が他の幼児用便器によって受容されるように行われる。これは、本発明のこの態様に係る複数の幼児用便器を、輸送、保管、および展示上の観点から望ましい空間節約配置状態に積み重ねることができることを意味する。問題の表面の構成に応じて、2つの幼児用便器の組合せ高さは、単一の幼児用便器の高さの2倍未満、単一の幼児用便器の高さの1.5倍未満、および場合によっては単一の幼児用便器の高さの実質的に1.2倍または1.1倍とすることができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、液体をダクトに沿って第1開口へおよびそこから外に注出させることができるように、ダクトの1端部が、幼児用便器の表面に形成された第1開口部にまたはそれに隣接して設けられる。これは、幼児用便器から排泄物を空ける便利な手段を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は背もたれを含み、背もたれの一部分に開口が形成される。背もたれは、使用者の腰背部を支持し、こうして使用者が幼児用便器の背もたれより後ろに着座するのを防止するように構成された支持面を画定することができる。幼児用便器の通常の使用時に使用者の皮膚がダクトと接触することを支持面が防止するように、ダクトは支持面から間隔を置いて配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2開口が主側壁の第1開口に対応する位置に形成され、第2開口は第1開口より大きい。したがって、液体または固体は第1開口を通して注出され、かつ第2開口を通過することができる。第2開口は、液体または固体が、洗浄を必要とする主側壁の内面に実質的に接触することなく、第1および第2開口を通して注出させることができるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は、他の幼児用便器によって受容されるように構成される幼児用便器の部分が、ダクトの少なくとも一部分を含むように構成される。したがって、ダクトを含む幼児用便器の一部が、別の同様の幼児用便器によって受容されるように構成される。いくつかの実施形態では、これは、幼児用便器の大部分が別の幼児用便器によって受容されることをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ダクトの1端が、別の幼児用便器によって受容されるように構成される。他の実施形態では、ダクトの3分の1超が、いくつかの実施形態では2分の1超または3分の2超が、別の幼児用便器によって受容されるように構成される。いくつかの実施形態では、ダクトの各端が別の幼児用便器によって受容されるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は主側壁を含み、便槽は便槽側壁を含み、座面はこれらの側壁間に設けられる。この場合、主側壁と便槽側壁との間の座面下の空間に空洞を画定することができ、この空洞は、第2の同様の幼児用便器の少なくとも一部分を受容するように構成される。したがって、本発明のこの実施形態に係る幼児用便器は、空洞を画定する開放底部を有し、積み重ねた際に、該空洞内に同様の、いくつかの実施形態では略同一の、幼児用便器の一部分を受容することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ダクトは座面を横切るように配置される。幼児用便器の頂面の大部分は一般的にそこに着座するように構成されるので、ダクトが便槽から幼児用便器の側部に延びる場合、ダクトは通常座面を横切るが、ダクトが便槽から幼児用便器の後部に延びる場合、ダクトは場合により座面を横切り得る。この場合、座面は座面を横切って延びるチャネルを含むことができ、チャネルはチャネルベースを有し、それに沿ってダクトが通る。この結果、ダクトは座面と交差する。ダクトおよびチャネルはいくつかの実施形態では同一幅であり、したがってチャネルは、チャネルに対応するダクト部分におけるダクトの深さが増大したものと考えることができる。ダクトの液体移送面は、注出される液体が座面と接触するのを防止するために、座面隣接部全面の下に設ける必要がある。ダクトは、座面に着座する使用者がダクトの表面に接触しないように構成する必要がある。代替的に、またはこれに加えて、幼児用便器は支持面を含む背もたれを含むことができ、ダクトは背もたれの支持面を横切って延びる。したがって、幼児用便器を後方に傾けることによって排泄物を幼児用便器から注出させることができるように、ダクトを背もたれに沿って延ばすことができる。ダクト自体の深さ、またはダクトを包含するチャネルの深さのいずれかは、使用者の背中がダクトの表面と接触するのを防止する。後者の代替物として、幼児用便器はさらにその表面に形成された排液孔を含むことができ、ダクトは、液体がダクトを介して便槽の領域から排液孔に流れることができるように、排液孔まで延びる。したがって、ダクトは、排泄物がそれを介して主側壁と便槽側壁との間の空洞内に通過するように、幼児用便器の表面に形成された排液孔に通じることができる。幼児用便器は支持面を有する背もたれを含むことができ、排液孔は背もたれの支持面に形成される。したがって液体は便槽から排液孔を介して、開放底部を備えた主側壁と便槽側壁との間の空洞内に注出させることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ダクトは、座面を横切ることなく、便槽の一部分から延びる。そのような場合、座面は、使用者が不快に感じる側方凹所を持たない連続面とすることができる。これは、ダクトを充分奥に埋め込んで使用者が幼児用便器に着座したときに使用者と接触しないようにすることを必要とするか、またはダクトを被覆しかつ/または座面の下に通すことを必要とし得るように、ダクトに座面を横切らせることなく、ダクトを例えば便槽から実質的に主側壁の頂部まで走る開放導管とすることを可能にする。この場合にも、幼児用便器はさらにその表面に形成された排液孔を含むことができ、液体が便槽の領域からダクトを介して排液孔まで流れることができるように、ダクトは排液孔まで延びる。このようにした場合、排液孔は便槽側壁に形成することができる。これは、使用者に不快感をもたらし得るチャネルの座面横断がないという利点を有する。排液孔が設けられた実施形態では、主側壁は排液孔に対応する位置に開口を設けることができ、開口はサイズが排液孔より大きい。開口を設けることにより、排液孔を介して注出される排泄物が主側壁の内面、すなわち空洞内部に接触する可能性が軽減される。幼児用便器はスプラッシュガード機能を果たすように構成された突起を含むことができ、ダクトは突起に沿って実質的にその先端まで延びる。スプラッシュガードは幼児用便器の有利な特徴であり、その上に着座するように構成されない表面である。ダクトはしたがってスプラッシュガードに沿って延びることができ、それは座面を横切らないことを意味する。この場合に、ダクトは入射液体からのスプラッシュを制限するように構成することができる。例えばダクトはその長手軸線に垂直な面における半円形断面、または他の適切な形状を有することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、便槽の少なくとも一部は、重ね合わされたときに、略同一の幼児用便器の便槽内に受容されるように構成することができる。これは、保管、輸送、および展示上の観点から望ましい効率的な積み重ねをもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態では、ダクトは便槽の下面に最も近い第1端を有することができ、幼児用便器は第1端に隣接して貯留タンクを含み、貯留タンクは、便槽の下面より低い捕集面を有し、便槽の下面から液体を捕集し、かつ、幼児用便器を傾けると液体がダクトの第1端内に向かうことを助けるように構成される。ダクトの基部に貯留タンクを設けることにより、液体はそこに集まり、幼児用便器を傾けるとすぐにダクトに移送される。これは、便槽の下面が均一な深さである場合、またはダクトの基部に対する遠隔領域が最下部分である場合より、幼児用便器を空けることを容易にすることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ダクトの少なくとも一部は、便槽側壁の少なくとも一部に沿って、またはそれを横切って設けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ダクトの少なくとも一部分は開放頂部チャネルである。これは容易にアクセスできるので、チャネルの開放頂部の清掃を比較的単純にする。
【0016】
いくつかの実施形態では、同様の幼児用便器は略同一の幼児用便器である。
【0017】
本発明の実施形態について次に、単なる例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図2】図1の幼児用便器の平面図。
【図3】図1の幼児用便器の側面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図6】本発明の第4実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図7】本発明の第5実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図8】図7の幼児用便器の背面図。
【図9】本発明の第6実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図10】図9の幼児用便器の側面図。
【図11】本発明の第7実施形態に係る幼児用便器の偏心上面図。
【図12】図11の幼児用便器の側面からの斜視図。
【図13】図11の幼児用便器の上からの斜視図。
【図14】図11の幼児用便器の後部からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜3を参照すると、本発明の実施形態に係る幼児用便器10は、平面図で見たときに角丸の略矩形を形成するように閉ループ状に構成された主側壁12を備える。主側壁12は、幼児用便器10の前部および後部が両側より高くなっている。主側壁12は、底部におけるその周囲の長さがその頂部より大きくなるように、その底部から頂部に向かって内側に傾斜する。主側壁12の後面には、把手をもたらすように穴26が形成される。
【0020】
便槽14は、主側壁12によって画定される閉ループ内に位置する。便槽14は、平面図で見たときに略楕円形の形状を形成するように、閉ループ状に構成された便槽側壁14aを有する。便槽側壁14aは、底部におけるその周囲の長さがその頂部より小さくなるように、その底部からその頂部まで外向きに傾斜する。便槽14の底部は下面14bによって閉鎖され、頂部は開放される。便槽14はしたがって、その頂部が開放された液密容器である。便槽側壁14aの前部は、スプラッシュガード突起24に寄与するように、後部および側部より高くなっている。便槽は液体を保持するのに適した任意の形状とすることができる一方、2つの幼児用便器の組合せ高さが単一の幼児用便器の高さの2倍未満となるように、幼児用便器を略同一の幼児用便器と重ね合わせることが可能になるように構成されることに注目されたい。
【0021】
主側壁12の頂部は、頂面15によって便槽側壁14aの頂部に接続される。側壁12、14a、および頂面15は共に、幼児用便器10に剛性をもたらすシェル構造を形成する。頂面15は、着座するように構成された表面、および着座するように構成されない表面を含む。着座するように構成された表面は、座面18および背もたれ16の前面16aを含む。したがって、いくつかの実施形態では、「着座」するように構成された表面が、通常の使用時に平均的使用者の皮膚と接触する可能性の高い表面を含むことは理解されるであろう。
【0022】
座面18は、子供がその上に楽に着座するように人間工学的に輪郭形成され、略水平面を画定する。座面18または背もたれ16の前面16aは各々、使用者の皮膚と接触する可能性が高いので、便槽14から空けられる水がこれらの表面に接触しないことが望ましい。
【0023】
背もたれ16の前面16aは、座面18に接続される。しかし、前面16aは座面18より急な勾配を有し、幼児用便器10に着座する使用者にある程度の水平支持体を提供する。背もたれ16の前面16aの頂部は、主側壁12の後部の頂縁に接続される。幼児用便器が実際にはプラスチック材から射出成形によって形成することができ、したがって「〜に接続される」等の言及は、当該部分が互いに一体的に形成されることをも含むことは理解されるであろう。
【0024】
スプラッシュガード24は主側壁12の前部、便槽側壁14aの前部、およびそれらの間の上面から構成される。開放チャネル20は、便槽14の下面14bに隣接する位置から、スプラッシュガード突起24の頂部に隣接する位置まで延びる。チャネル20は、チャネル20の長手軸線に垂直な面における、円の一部に略類似した断面を有する。本発明の任意の実施形態では、チャネルは閉鎖導管または任意の他の適切なダクトとすることができる。頂部開放形チャネルは、例えば何らかの固体排泄物がダクトに付着した場合に、閉鎖導管より清掃が容易であるという利点を有する。いくつかの実施形態では、適切なダクトは、実質的に液体が座面に接触することなく、液体を便槽から注出させることを可能にするダクトである。チャネルは側面が平坦で側面の間に液体移送面を持つことができ、あるいは液体をチャネル内に保持しながら適正な量の液体をそれに沿って流すことを可能にする任意の他の形状とすることができる。チャネルが直線状に図示されているが、これがチャネルの1端から他端までの液体の最も直線に近いルートを提供するからである。しかし、チャネルは直線状である必要はない。チャネル20は清掃のために容易にアクセスできるように充分広幅であることが有利である。例えばこの実施形態のチャネル20は少なくとも20mm幅である。他の実施形態では、チャネル20は10mmから100mmまでの範囲の任意の幅とすることができ、かついくつかの実施形態では、最高150mmまでの幅とすることができる。チャネル20は均一な幅とすることができ、あるいは幅を変化させることができる。例えばチャネル20はその基部に向かって幅を広げ、その頂部に向かって幅を狭くすることができる。例えば便槽に弁を設ける場合と比較して、弁は開閉が必要であり、それは幼児用便器の複雑さを増大し、さらに弁は排泄老廃物により汚染されるおそれがあり、衛生上の観点から弁に触れることは望ましくないことを意味するので、幼児用便器から外に液体を注出させるための通路を提供するようにダクトを設けることは有利である。本発明の実施形態に係るダクトは無弁である。代わりに、液体がダクトに沿って幼児用便器の外に流出するか否かは、幼児用便器の向きにより調整される。これは、排泄物が接触する表面に触れる必要なく、幼児用便器を空けることができることを意味することは理解されるであろう。
【0025】
便槽14の下面14bは、チャネル20の基部またはそれに隣接する位置に浅い凹部22を有する。浅い凹部22および便槽14の下面14bは、便槽に流入する液体が浅い凹部22に向かって移動するように構成される。これは、後で幼児用便器10から注出させるのに便利な場所に液体を配置させる。浅い凹部または捕集貯留部は、記載する実施形態のいずれにも含めることができる。しかし、浅い凹部は好適な特徴であり、本発明の全ての実施形態に含まれなくてもよいことは理解されるであろう。
【0026】
図2に示す通り、上から見たときに、主側壁12、便槽側壁14a、チャネル20、および頂面15は、垂直軸線に対して解放角度を画定するように構成される。一般的に、これは、主側壁12が底部から頂部まで内向きに傾斜し、かつ便槽側壁14aおよびチャネル20が底部から頂部まで外向きに傾斜する結果である。幼児用便器10は中空基部を有し、したがって主側壁12、便槽側壁14a、および頂面15の間に空洞が存在する。幼児用便器は略均一な厚さの材料、例えば3mm厚さのプラスチック材から形成されるので、下面の表面プロファイルは外側に対応することは理解されるであろう。
【0027】
したがって、下面の表面プロファイルは、幼児用便器の外側の解放角度に対応する解放角度を画定する。幼児用便器10の形状は、幼児用便器を別の同様の幼児用便器と重ね合わせることを可能にする。幼児用便器10の外側は、略同一の幼児用便器の下面との嵌め合い係合を可能にするように構成される。すなわち、幼児用便器10は、その少なくとも一部分を別の同様の、または略同一の幼児用便器によって受容することができるように構成される。図示する実施形態では、幼児用便器10は主側壁12、便槽側壁14a、および頂面15の間に空洞を含み、それは同様の幼児用便器の上面、背もたれ、主側壁および空洞側壁の一部分、ならびにダクトの一部分を受容することのできる空間を画定する。2つの幼児用便器をこのようにして1つに重ね合わせたときに、重ね合わされた幼児用便器の組合せ高さ、すなわち最上部の幼児用便器の背もたれ16の最高部分から底部の幼児用便器の基部までの距離は、単一の幼児用便器10の高さの2倍未満である。いくつかの実施形態では、2つの幼児用便器の組合せ高さは単一の幼児用便器の高さの1.5倍未満とすることができ、時には単一の幼児用便器の高さの略1.2倍または1.1倍とすることができる。
【0028】
幼児用便器10は、この実施形態ではポリエチレン製である。しかし、幼児用便器は、使用者を支持するために必要な強度特性を有する一方、幼児用便器が使用中に遭遇する液体および他の排泄老廃物に対する耐性をも有する任意の適切な材料、例えばプラスチック材から作ることができる。
【0029】
使用中に、子供は幼児用便器に着座し、そうする際に、子供の皮膚が座面18および背もたれ16の前面16aと接触する可能性が高い。ひとたび子供が排泄物、例えば尿を幼児用便器10の便槽14内に排出すると、尿はチャネル20の基部付近の浅い凹部22、およびもたらされる尿の量に応じて、おそらく下面14bの他の部分に集まる。尿は、幼児用便器10を下向きに傾け、それによって尿がチャネル20の基部から遠位端に流れ、かつチャネル20からトイレットのような何らかの廃棄領域に流れるように、尿をチャネル20に送ることによって、便槽14から注出させることができる。チャネル20は着座するように構成されない幼児用便器20の表面に形成されるという事実のため、尿は実質的に皮膚接触面に接触しない。用語「注出」は、その中の液体が重力のため便槽側壁14aに押しつけられるように、幼児用便器を180度未満の回転度だけ傾けることを表すために使用される。幼児用便器を180度以上傾けることは、幼児用便器を180度未満の量だけ傾けた場合より注出の制御可能性が低下するので、望ましくないことは理解されるであろう。
【0030】
図4を参照すると、本発明の第2実施形態に係る幼児用便器30が示されている。幼児用便器30は、チャネル36がスプラッシュガード24に沿って延びる代わりに、チャネル36が便槽14の下面14bから幼児用便器30の後部に延びることを除いて、第1実施形態に係る幼児用便器30と同様である。見て分かる通り、チャネル36は、便槽側壁14aに形成された第1部分36aと、座面18に形成された第2部分36bと、幼児用便器の後部に出口を提供する第3部分36cとを含む。この実施形態では、背もたれ32はそこに貫通形成されたスロット34を有する。スロット34は基部を有し、それに沿ってチャネル36の第3部分36cが延びる。スロット34の基部およびチャネル20は同一のものとすることができる。スロット34はその底部がその頂部より狭くなる。背もたれ32の2つの半体32aは底部から頂部まで内向きにテーパが付けられ、かつ中空であり、それによって、第1実施形態の場合と同様に幼児用便器30を重ね合わせることを可能にする解放角度を持つプロファイルがもたらされる。しかし、背もたれの2つの半体が任意の適切な形状を取ることができることは理解されるであろう。
【0031】
チャネル36の第2部分36bは座面18を横切る。明確を期すために、用語「横切る」は、平面図においてダクトの少なくとも一部分が、座面の少なくとも一部分の真上にあるか、真下にあるか、またはそれと交差することを意味するように意図されている。この実施形態では、チャネル36の第2部分36bは座面18と交差する。その結果として、チャネル36の第2部分36bの液体移送面と座面18との間の距離は、通常の使用時に幼児用便器に着座する人間の皮膚が、チャネル36の第2部分36bの液体移送面と接触することを防止するのに充分である。この距離は、チャネル36の第2部分36bの深さによってもたらすことができる。例えばこの実施形態では、チャネルの第2部分36bの液体移送面は、チャネルに隣接する座面18の一般面の少なくとも10mm下にある。他の実施形態では、距離は5mmから65mmの範囲内であり、好ましくは10mmから40mmの範囲内であり、より好ましくは10mmから20mmの範囲とすることができる。
【0032】
使用中に、幼児用便器30を後方に傾けると、便槽14内の液体はチャネル36に沿って流れ、第3部分36cの出口からチャネルの外に排出される。
【0033】
図5を参照すると、本発明の第3実施形態に係る幼児用便器40が示されている。この実施形態に係る幼児用便器40は、第2実施形態に係る幼児用便器30と同様である。しかし、背もたれ16は第1実施形態の場合と略同一である。この実施形態では、チャネル42は、便槽側壁14aに形成された第1部分42aと、座面18に形成された第2部分42bと、背もたれ16の前面16aに形成された第3部分42cと、主側壁12の後部にチャネル出口開口を画定するように背もたれの頂部に形成された第4部分42dとを含む。第2実施形態の第2部分36bの場合と同じ考慮事項が、この実施形態の第2部分42bにも適用される。この実施形態では、チャネル42の第3部分42cもまた、チャネル42の第3部分42cが背もたれ16の前面16aを横切って延びることから、通常の使用時に幼児用便器に着座する人間の皮膚が液体移送面と接触するのを防止するように、充分奥に埋め込まれる。
【0034】
使用中に、幼児用便器40を後方に傾けると、便槽14内の液体はチャネル42に沿って流れ、第4部分42dの出口からチャネルの外に排出される。
【0035】
図6を参照すると、本発明の第4実施形態に係る幼児用便器50が示されている。この実施形態では、チャネル52は、便槽側壁14aを上に延びる第1部分52aと、幼児用便器50の側部で座面18を横切って延びる第2部分52bとを有する。第2および第3実施形態の場合と同様に、チャネル52は、通常の使用中に幼児用便器に着座する人間の皮膚が、チャネル52の液体移送面に接触することを防止するように、充分奥に埋め込まれる。
【0036】
図7および8を参照すると、本発明の第5実施形態に係る幼児用便器60が示されている。この実施形態は第2実施形態に類似している。しかし、この実施形態では、背もたれ62の前面62aが、座面18に隣接する位置に、貫通形成された第1開口64を有する。チャネル66は便槽68から延びるが、このチャネル66はこの実施形態では壁および下面を有するというよりむしろ、湾曲断面を有する陥凹部である。チャネル66は、便槽68の壁を上に延びる第1部分66aと、第1開口64まで座面18を横切って延びる第2部分66bと、開口64から突出してリップまたは注ぎ口を形成する第3部分64とを含む。図7から分かる通り、第2開口68は幼児用便器の後部で主側壁12に形成され、該開口68を通して第1開口64およびリップ66cを見ることができる。第2開口の目的は、さもなければ清掃する必要のある主側壁12の内面に影響を及ぼすことなく、チャネル66に沿って注出され、リップ66cから流出する液体が通過することのできる空間を提供することである。第1開口64はまた、幼児用便器60の上に重ね合わされたときに、重ね合わされる第2の幼児用便器60のリップ66cをその中に配置することのできる空間をも提供する。
【0037】
図9および10は、本発明の第6実施形態に係る幼児用便器70を示す。この実施形態に係る幼児用便器70は、第4実施形態の幼児用便器50に類似している。しかしチャネル74は、座面18の下の位置で便槽側壁14aに形成された第1開口72に通じる。第2開口76は幼児用便器70の側部で主側壁12に形成され、第2開口76は第1開口72の位置に対応し、第5実施形態の第2開口68と同様の機能を果たす。別の実施形態では、便槽に対して第1開口72の反対側に管を設けることができる。管は便槽の内側と流体連通し、主側壁12の外面に開放される。したがって、管は座面18を横切るが、それと交差しない。これは、いくつかの実施形態では、2つの幼児用便器が重ね合わされたときに、管の下面が別の幼児用便器の座面と接触するので、1つの幼児用便器が他の幼児用便器によって受容される程度を制限し得る。
【0038】
使用中に、幼児用便器70はチャネル74の方向に揺動され得るが、そこで液体はチャネル74に沿って移動し、第1開口72を介して便槽から排出される。この実施形態は、第1実施形態と同様に、使用者に不快感を生じるかもしれないチャネルの座面18との交差がないという利点を有する。
【0039】
図11〜14を参照すると、本発明の第7実施形態に係る幼児用便器80が示されている。幼児用便器80は、第2実施形態の幼児用便器30および第5実施形態の幼児用便器60に類似している。1つの類似点は、幼児用便器80が、開口84に通じるチャネル82を含み、液体および固体が開口84を介して注出され得ることである。図示する開口84は、背もたれ86の前面86aに形成された略楕円形の孔である。しかし、開口84は、液体または固体排泄物が座面に接触することなく、チャネル82を使用して液体および固体排泄物を幼児用便器から注出することを可能にする、任意の形状または構成とすることができることを理解されたい。例えば開口84は、図4に示すスロット34のような頂部開放通路とすることができる。場合によっては、開口84は、背もたれ86以外の幼児用便器の表面、例えば便槽側壁に形成することができる。
【0040】
最後に、背もたれ86の一部は、幼児用便器80に着座したときに、使用者の腰背部のための支持をもたらすように構成されるが、これを背もたれの支持面86aと呼ぶ。背もたれ16は、使用者がどれだけ後ろに離れて幼児用便器80に着座することができるかを制限することは理解されるであろう。幼児用便器80は、着座するように構成された領域および着座するように構成されない領域を有する頂面88を有する。図示した例では、側部領域88aは、着座するように構成された領域であり、したがって座面の一部を形成する。背もたれの支持面86bは平均的使用者がどれだけ後方に着座できるかを制限するので、頂面88の後部領域88bは、着座するように構成されない。一般的に言うと、背もたれ86の支持面86aの構成のため、背もたれ86は使用者の皮膚が頂面88の後部領域88bに接触するのを防止するように構成される。幼児用便器は、通常の使用中に使用者の皮膚がチャネル84に近接することを防止し、かついくつかの実施形態ではチャネル84と接触することを防止するように構成される。一般的に、これは、使用者の皮膚がチャネル82に隣接する幼児用便器の領域に接触するのを防止することを意味する。幼児用便器80はまた、着座するように構成された表面ではないスプラッシュガード突起90をも含む。幼児用便器80はスプラッシュガード突起90を含む必要がないことは理解されるであろう。
【0041】
この例のチャネル82は便槽側壁92aに沿ってその略後部に設けられ、幅が100mmから200mmの範囲である。この全体的な範囲は、固体をチャネル82に沿って開口84から外に注出または移送するのに役立つ。さらに、チャネル84は清掃が容易である。いくつかの実施形態では、チャネルは一部の場所を他の場所より幅広くすることができる。液体および固体をチャネル82に沿って開口84から外に注出することができるように、チャネル82は便槽側壁92aを上に延び、便槽92の基部92bに隣接する第1端と、開口84に隣接する第2端とを有する。チャネル84の第2端はリップを画定する。いくつかの実施形態では、リップは、重ね合わせ可能な幼児用便器を提供するのに役立つという理由から、開口84の頂部と交差する垂直面より後ろに来ることがないことに注目されたい。
【0042】
背もたれの支持面86aを含む座面は、使用者の皮膚がチャネルから離隔されるように使用者を着座位置に維持すべく構成される。チャネル82の上部領域を形成する幼児用便器の部分は、平均的な使用者が使用中にチャネル84自体、またはいくつかの実施形態ではチャネル84の上部領域に隣接する領域の幼児用便器の部分に接触しないように、座面から充分後ろに設置される。この例では、チャネル82は、座面の全体的な表面プロファイルから後ろに、かつその下に設置され、したがって座面を横切らない。他の実施形態では、チャネルは背もたれ86の支持面86aからさらに後ろに設置することができる。したがって座面は平面図で、略「C」字状表面を形成し、「C」の開放部分が、幼児用便器80の前部に対面する。座面が便槽92、チャネル82、および開口84を部分的に包囲するように、便槽92、チャネル82、および開口84は各々、「C」字状座面内に包含される。しかし他の実施形態では、チャネル82は座面を横切り、かつ場合によっては座面と交差し得るが、それは、図7に示す通り、チャネルに隣接する幼児用便器の部分が座面の部分を形成するように、チャネルの位置がさらに前方である場合に該当し得る。
【0043】
幼児用便器80は、開口84に対応する位置に、主側壁の後部に形成された第2開口94を含む。第2開口94は略アーチ形であり、開口より大きい。第2開口94は、実質的に液体および固体排泄物が主側壁の内側に接触しそれに伴って清掃を必要とすることなく、液体および固体排泄物を開口84から注出することを可能にするように構成される。
【0044】
図4〜11に示した実施形態の利点は、それらのそれぞれのチャネルが、通常の使用中に幼児用便器に着座している子供がチャネルに接触する可能性のない位置に配置されることであり、それは衛生上の観点から有利である。
【0045】
チャネルは種々の実施形態で、幼児用便器の表面プロファイルの不連続部として示されるが、いくつかの実施形態では、実質的に液体を座面に接触させることなく液体を便槽から注出することができるように構成されたダクトを画定するように、便槽側壁または側壁を配置構成することができる。一例として、最小曲率半径を持つ便槽の隣接部分の領域すなわち卵形の頂部で幼児用便器に開口が設けられた、楕円形または卵形の便槽がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は幼児用便器(おまる)に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児用便器は、一般的に側壁、座面、および便槽から構成される周知の物品である。子供は座面に着座し、排泄物を便槽内に排出することができる。排泄物は次いで、便器を傾けることによって便槽から例えばトイレットに移すことができる。しかし、制御されたやり方で幼児用便器から排泄物を空けることは時々難しいことがあり得る。さらに、場合によっては、幼児用便器を空けるときに、排泄物が座面を通過することがあり、それは衛生上の観点から望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幼児用便器は、適度な低コストで大量生産される物品であり、したがって多数の便器を保管、輸送、および展示のために重ね合わせることができれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、便槽と、座面と、液体が座面に実質的に接触することなく液体を便槽から外に注出させることを可能にするように配置されたダクトとを含む幼児用便器であって、当該幼児用便器の少なくとも一部分を同様の幼児用便器によって受容することができるように、同様の幼児用便器と積み重ね可能に構成された幼児用便器を提供する。したがって、本発明のこの態様に係る幼児用便器は、その上に着座するように構成された幼児用便器の座面を排泄物が通過することなく、便槽からトイレットのような標的場所に液体を移すための通路を提供する。その結果として、使用者の皮膚が通常接触する単数または複数の表面は一般的に、便槽から空けられる排泄物によって汚染されない。さらに、ダクトは便槽からの液体の制御された注出をもたらす。ダクトを含む幼児用便器の構成は、当該幼児用便器を同様の幼児用便器と、かついくつかの実施形態では略同一の幼児用便器と積み重ね可能にすることを妨げないように、かつ1つの幼児用便器の少なくとも一部分が他の幼児用便器によって受容されるように行われる。これは、本発明のこの態様に係る複数の幼児用便器を、輸送、保管、および展示上の観点から望ましい空間節約配置状態に積み重ねることができることを意味する。問題の表面の構成に応じて、2つの幼児用便器の組合せ高さは、単一の幼児用便器の高さの2倍未満、単一の幼児用便器の高さの1.5倍未満、および場合によっては単一の幼児用便器の高さの実質的に1.2倍または1.1倍とすることができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、液体をダクトに沿って第1開口へおよびそこから外に注出させることができるように、ダクトの1端部が、幼児用便器の表面に形成された第1開口部にまたはそれに隣接して設けられる。これは、幼児用便器から排泄物を空ける便利な手段を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は背もたれを含み、背もたれの一部分に開口が形成される。背もたれは、使用者の腰背部を支持し、こうして使用者が幼児用便器の背もたれより後ろに着座するのを防止するように構成された支持面を画定することができる。幼児用便器の通常の使用時に使用者の皮膚がダクトと接触することを支持面が防止するように、ダクトは支持面から間隔を置いて配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2開口が主側壁の第1開口に対応する位置に形成され、第2開口は第1開口より大きい。したがって、液体または固体は第1開口を通して注出され、かつ第2開口を通過することができる。第2開口は、液体または固体が、洗浄を必要とする主側壁の内面に実質的に接触することなく、第1および第2開口を通して注出させることができるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は、他の幼児用便器によって受容されるように構成される幼児用便器の部分が、ダクトの少なくとも一部分を含むように構成される。したがって、ダクトを含む幼児用便器の一部が、別の同様の幼児用便器によって受容されるように構成される。いくつかの実施形態では、これは、幼児用便器の大部分が別の幼児用便器によって受容されることをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ダクトの1端が、別の幼児用便器によって受容されるように構成される。他の実施形態では、ダクトの3分の1超が、いくつかの実施形態では2分の1超または3分の2超が、別の幼児用便器によって受容されるように構成される。いくつかの実施形態では、ダクトの各端が別の幼児用便器によって受容されるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、幼児用便器は主側壁を含み、便槽は便槽側壁を含み、座面はこれらの側壁間に設けられる。この場合、主側壁と便槽側壁との間の座面下の空間に空洞を画定することができ、この空洞は、第2の同様の幼児用便器の少なくとも一部分を受容するように構成される。したがって、本発明のこの実施形態に係る幼児用便器は、空洞を画定する開放底部を有し、積み重ねた際に、該空洞内に同様の、いくつかの実施形態では略同一の、幼児用便器の一部分を受容することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ダクトは座面を横切るように配置される。幼児用便器の頂面の大部分は一般的にそこに着座するように構成されるので、ダクトが便槽から幼児用便器の側部に延びる場合、ダクトは通常座面を横切るが、ダクトが便槽から幼児用便器の後部に延びる場合、ダクトは場合により座面を横切り得る。この場合、座面は座面を横切って延びるチャネルを含むことができ、チャネルはチャネルベースを有し、それに沿ってダクトが通る。この結果、ダクトは座面と交差する。ダクトおよびチャネルはいくつかの実施形態では同一幅であり、したがってチャネルは、チャネルに対応するダクト部分におけるダクトの深さが増大したものと考えることができる。ダクトの液体移送面は、注出される液体が座面と接触するのを防止するために、座面隣接部全面の下に設ける必要がある。ダクトは、座面に着座する使用者がダクトの表面に接触しないように構成する必要がある。代替的に、またはこれに加えて、幼児用便器は支持面を含む背もたれを含むことができ、ダクトは背もたれの支持面を横切って延びる。したがって、幼児用便器を後方に傾けることによって排泄物を幼児用便器から注出させることができるように、ダクトを背もたれに沿って延ばすことができる。ダクト自体の深さ、またはダクトを包含するチャネルの深さのいずれかは、使用者の背中がダクトの表面と接触するのを防止する。後者の代替物として、幼児用便器はさらにその表面に形成された排液孔を含むことができ、ダクトは、液体がダクトを介して便槽の領域から排液孔に流れることができるように、排液孔まで延びる。したがって、ダクトは、排泄物がそれを介して主側壁と便槽側壁との間の空洞内に通過するように、幼児用便器の表面に形成された排液孔に通じることができる。幼児用便器は支持面を有する背もたれを含むことができ、排液孔は背もたれの支持面に形成される。したがって液体は便槽から排液孔を介して、開放底部を備えた主側壁と便槽側壁との間の空洞内に注出させることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ダクトは、座面を横切ることなく、便槽の一部分から延びる。そのような場合、座面は、使用者が不快に感じる側方凹所を持たない連続面とすることができる。これは、ダクトを充分奥に埋め込んで使用者が幼児用便器に着座したときに使用者と接触しないようにすることを必要とするか、またはダクトを被覆しかつ/または座面の下に通すことを必要とし得るように、ダクトに座面を横切らせることなく、ダクトを例えば便槽から実質的に主側壁の頂部まで走る開放導管とすることを可能にする。この場合にも、幼児用便器はさらにその表面に形成された排液孔を含むことができ、液体が便槽の領域からダクトを介して排液孔まで流れることができるように、ダクトは排液孔まで延びる。このようにした場合、排液孔は便槽側壁に形成することができる。これは、使用者に不快感をもたらし得るチャネルの座面横断がないという利点を有する。排液孔が設けられた実施形態では、主側壁は排液孔に対応する位置に開口を設けることができ、開口はサイズが排液孔より大きい。開口を設けることにより、排液孔を介して注出される排泄物が主側壁の内面、すなわち空洞内部に接触する可能性が軽減される。幼児用便器はスプラッシュガード機能を果たすように構成された突起を含むことができ、ダクトは突起に沿って実質的にその先端まで延びる。スプラッシュガードは幼児用便器の有利な特徴であり、その上に着座するように構成されない表面である。ダクトはしたがってスプラッシュガードに沿って延びることができ、それは座面を横切らないことを意味する。この場合に、ダクトは入射液体からのスプラッシュを制限するように構成することができる。例えばダクトはその長手軸線に垂直な面における半円形断面、または他の適切な形状を有することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、便槽の少なくとも一部は、重ね合わされたときに、略同一の幼児用便器の便槽内に受容されるように構成することができる。これは、保管、輸送、および展示上の観点から望ましい効率的な積み重ねをもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態では、ダクトは便槽の下面に最も近い第1端を有することができ、幼児用便器は第1端に隣接して貯留タンクを含み、貯留タンクは、便槽の下面より低い捕集面を有し、便槽の下面から液体を捕集し、かつ、幼児用便器を傾けると液体がダクトの第1端内に向かうことを助けるように構成される。ダクトの基部に貯留タンクを設けることにより、液体はそこに集まり、幼児用便器を傾けるとすぐにダクトに移送される。これは、便槽の下面が均一な深さである場合、またはダクトの基部に対する遠隔領域が最下部分である場合より、幼児用便器を空けることを容易にすることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ダクトの少なくとも一部は、便槽側壁の少なくとも一部に沿って、またはそれを横切って設けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ダクトの少なくとも一部分は開放頂部チャネルである。これは容易にアクセスできるので、チャネルの開放頂部の清掃を比較的単純にする。
【0016】
いくつかの実施形態では、同様の幼児用便器は略同一の幼児用便器である。
【0017】
本発明の実施形態について次に、単なる例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図2】図1の幼児用便器の平面図。
【図3】図1の幼児用便器の側面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図6】本発明の第4実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図7】本発明の第5実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図8】図7の幼児用便器の背面図。
【図9】本発明の第6実施形態に係る幼児用便器の略斜視図。
【図10】図9の幼児用便器の側面図。
【図11】本発明の第7実施形態に係る幼児用便器の偏心上面図。
【図12】図11の幼児用便器の側面からの斜視図。
【図13】図11の幼児用便器の上からの斜視図。
【図14】図11の幼児用便器の後部からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜3を参照すると、本発明の実施形態に係る幼児用便器10は、平面図で見たときに角丸の略矩形を形成するように閉ループ状に構成された主側壁12を備える。主側壁12は、幼児用便器10の前部および後部が両側より高くなっている。主側壁12は、底部におけるその周囲の長さがその頂部より大きくなるように、その底部から頂部に向かって内側に傾斜する。主側壁12の後面には、把手をもたらすように穴26が形成される。
【0020】
便槽14は、主側壁12によって画定される閉ループ内に位置する。便槽14は、平面図で見たときに略楕円形の形状を形成するように、閉ループ状に構成された便槽側壁14aを有する。便槽側壁14aは、底部におけるその周囲の長さがその頂部より小さくなるように、その底部からその頂部まで外向きに傾斜する。便槽14の底部は下面14bによって閉鎖され、頂部は開放される。便槽14はしたがって、その頂部が開放された液密容器である。便槽側壁14aの前部は、スプラッシュガード突起24に寄与するように、後部および側部より高くなっている。便槽は液体を保持するのに適した任意の形状とすることができる一方、2つの幼児用便器の組合せ高さが単一の幼児用便器の高さの2倍未満となるように、幼児用便器を略同一の幼児用便器と重ね合わせることが可能になるように構成されることに注目されたい。
【0021】
主側壁12の頂部は、頂面15によって便槽側壁14aの頂部に接続される。側壁12、14a、および頂面15は共に、幼児用便器10に剛性をもたらすシェル構造を形成する。頂面15は、着座するように構成された表面、および着座するように構成されない表面を含む。着座するように構成された表面は、座面18および背もたれ16の前面16aを含む。したがって、いくつかの実施形態では、「着座」するように構成された表面が、通常の使用時に平均的使用者の皮膚と接触する可能性の高い表面を含むことは理解されるであろう。
【0022】
座面18は、子供がその上に楽に着座するように人間工学的に輪郭形成され、略水平面を画定する。座面18または背もたれ16の前面16aは各々、使用者の皮膚と接触する可能性が高いので、便槽14から空けられる水がこれらの表面に接触しないことが望ましい。
【0023】
背もたれ16の前面16aは、座面18に接続される。しかし、前面16aは座面18より急な勾配を有し、幼児用便器10に着座する使用者にある程度の水平支持体を提供する。背もたれ16の前面16aの頂部は、主側壁12の後部の頂縁に接続される。幼児用便器が実際にはプラスチック材から射出成形によって形成することができ、したがって「〜に接続される」等の言及は、当該部分が互いに一体的に形成されることをも含むことは理解されるであろう。
【0024】
スプラッシュガード24は主側壁12の前部、便槽側壁14aの前部、およびそれらの間の上面から構成される。開放チャネル20は、便槽14の下面14bに隣接する位置から、スプラッシュガード突起24の頂部に隣接する位置まで延びる。チャネル20は、チャネル20の長手軸線に垂直な面における、円の一部に略類似した断面を有する。本発明の任意の実施形態では、チャネルは閉鎖導管または任意の他の適切なダクトとすることができる。頂部開放形チャネルは、例えば何らかの固体排泄物がダクトに付着した場合に、閉鎖導管より清掃が容易であるという利点を有する。いくつかの実施形態では、適切なダクトは、実質的に液体が座面に接触することなく、液体を便槽から注出させることを可能にするダクトである。チャネルは側面が平坦で側面の間に液体移送面を持つことができ、あるいは液体をチャネル内に保持しながら適正な量の液体をそれに沿って流すことを可能にする任意の他の形状とすることができる。チャネルが直線状に図示されているが、これがチャネルの1端から他端までの液体の最も直線に近いルートを提供するからである。しかし、チャネルは直線状である必要はない。チャネル20は清掃のために容易にアクセスできるように充分広幅であることが有利である。例えばこの実施形態のチャネル20は少なくとも20mm幅である。他の実施形態では、チャネル20は10mmから100mmまでの範囲の任意の幅とすることができ、かついくつかの実施形態では、最高150mmまでの幅とすることができる。チャネル20は均一な幅とすることができ、あるいは幅を変化させることができる。例えばチャネル20はその基部に向かって幅を広げ、その頂部に向かって幅を狭くすることができる。例えば便槽に弁を設ける場合と比較して、弁は開閉が必要であり、それは幼児用便器の複雑さを増大し、さらに弁は排泄老廃物により汚染されるおそれがあり、衛生上の観点から弁に触れることは望ましくないことを意味するので、幼児用便器から外に液体を注出させるための通路を提供するようにダクトを設けることは有利である。本発明の実施形態に係るダクトは無弁である。代わりに、液体がダクトに沿って幼児用便器の外に流出するか否かは、幼児用便器の向きにより調整される。これは、排泄物が接触する表面に触れる必要なく、幼児用便器を空けることができることを意味することは理解されるであろう。
【0025】
便槽14の下面14bは、チャネル20の基部またはそれに隣接する位置に浅い凹部22を有する。浅い凹部22および便槽14の下面14bは、便槽に流入する液体が浅い凹部22に向かって移動するように構成される。これは、後で幼児用便器10から注出させるのに便利な場所に液体を配置させる。浅い凹部または捕集貯留部は、記載する実施形態のいずれにも含めることができる。しかし、浅い凹部は好適な特徴であり、本発明の全ての実施形態に含まれなくてもよいことは理解されるであろう。
【0026】
図2に示す通り、上から見たときに、主側壁12、便槽側壁14a、チャネル20、および頂面15は、垂直軸線に対して解放角度を画定するように構成される。一般的に、これは、主側壁12が底部から頂部まで内向きに傾斜し、かつ便槽側壁14aおよびチャネル20が底部から頂部まで外向きに傾斜する結果である。幼児用便器10は中空基部を有し、したがって主側壁12、便槽側壁14a、および頂面15の間に空洞が存在する。幼児用便器は略均一な厚さの材料、例えば3mm厚さのプラスチック材から形成されるので、下面の表面プロファイルは外側に対応することは理解されるであろう。
【0027】
したがって、下面の表面プロファイルは、幼児用便器の外側の解放角度に対応する解放角度を画定する。幼児用便器10の形状は、幼児用便器を別の同様の幼児用便器と重ね合わせることを可能にする。幼児用便器10の外側は、略同一の幼児用便器の下面との嵌め合い係合を可能にするように構成される。すなわち、幼児用便器10は、その少なくとも一部分を別の同様の、または略同一の幼児用便器によって受容することができるように構成される。図示する実施形態では、幼児用便器10は主側壁12、便槽側壁14a、および頂面15の間に空洞を含み、それは同様の幼児用便器の上面、背もたれ、主側壁および空洞側壁の一部分、ならびにダクトの一部分を受容することのできる空間を画定する。2つの幼児用便器をこのようにして1つに重ね合わせたときに、重ね合わされた幼児用便器の組合せ高さ、すなわち最上部の幼児用便器の背もたれ16の最高部分から底部の幼児用便器の基部までの距離は、単一の幼児用便器10の高さの2倍未満である。いくつかの実施形態では、2つの幼児用便器の組合せ高さは単一の幼児用便器の高さの1.5倍未満とすることができ、時には単一の幼児用便器の高さの略1.2倍または1.1倍とすることができる。
【0028】
幼児用便器10は、この実施形態ではポリエチレン製である。しかし、幼児用便器は、使用者を支持するために必要な強度特性を有する一方、幼児用便器が使用中に遭遇する液体および他の排泄老廃物に対する耐性をも有する任意の適切な材料、例えばプラスチック材から作ることができる。
【0029】
使用中に、子供は幼児用便器に着座し、そうする際に、子供の皮膚が座面18および背もたれ16の前面16aと接触する可能性が高い。ひとたび子供が排泄物、例えば尿を幼児用便器10の便槽14内に排出すると、尿はチャネル20の基部付近の浅い凹部22、およびもたらされる尿の量に応じて、おそらく下面14bの他の部分に集まる。尿は、幼児用便器10を下向きに傾け、それによって尿がチャネル20の基部から遠位端に流れ、かつチャネル20からトイレットのような何らかの廃棄領域に流れるように、尿をチャネル20に送ることによって、便槽14から注出させることができる。チャネル20は着座するように構成されない幼児用便器20の表面に形成されるという事実のため、尿は実質的に皮膚接触面に接触しない。用語「注出」は、その中の液体が重力のため便槽側壁14aに押しつけられるように、幼児用便器を180度未満の回転度だけ傾けることを表すために使用される。幼児用便器を180度以上傾けることは、幼児用便器を180度未満の量だけ傾けた場合より注出の制御可能性が低下するので、望ましくないことは理解されるであろう。
【0030】
図4を参照すると、本発明の第2実施形態に係る幼児用便器30が示されている。幼児用便器30は、チャネル36がスプラッシュガード24に沿って延びる代わりに、チャネル36が便槽14の下面14bから幼児用便器30の後部に延びることを除いて、第1実施形態に係る幼児用便器30と同様である。見て分かる通り、チャネル36は、便槽側壁14aに形成された第1部分36aと、座面18に形成された第2部分36bと、幼児用便器の後部に出口を提供する第3部分36cとを含む。この実施形態では、背もたれ32はそこに貫通形成されたスロット34を有する。スロット34は基部を有し、それに沿ってチャネル36の第3部分36cが延びる。スロット34の基部およびチャネル20は同一のものとすることができる。スロット34はその底部がその頂部より狭くなる。背もたれ32の2つの半体32aは底部から頂部まで内向きにテーパが付けられ、かつ中空であり、それによって、第1実施形態の場合と同様に幼児用便器30を重ね合わせることを可能にする解放角度を持つプロファイルがもたらされる。しかし、背もたれの2つの半体が任意の適切な形状を取ることができることは理解されるであろう。
【0031】
チャネル36の第2部分36bは座面18を横切る。明確を期すために、用語「横切る」は、平面図においてダクトの少なくとも一部分が、座面の少なくとも一部分の真上にあるか、真下にあるか、またはそれと交差することを意味するように意図されている。この実施形態では、チャネル36の第2部分36bは座面18と交差する。その結果として、チャネル36の第2部分36bの液体移送面と座面18との間の距離は、通常の使用時に幼児用便器に着座する人間の皮膚が、チャネル36の第2部分36bの液体移送面と接触することを防止するのに充分である。この距離は、チャネル36の第2部分36bの深さによってもたらすことができる。例えばこの実施形態では、チャネルの第2部分36bの液体移送面は、チャネルに隣接する座面18の一般面の少なくとも10mm下にある。他の実施形態では、距離は5mmから65mmの範囲内であり、好ましくは10mmから40mmの範囲内であり、より好ましくは10mmから20mmの範囲とすることができる。
【0032】
使用中に、幼児用便器30を後方に傾けると、便槽14内の液体はチャネル36に沿って流れ、第3部分36cの出口からチャネルの外に排出される。
【0033】
図5を参照すると、本発明の第3実施形態に係る幼児用便器40が示されている。この実施形態に係る幼児用便器40は、第2実施形態に係る幼児用便器30と同様である。しかし、背もたれ16は第1実施形態の場合と略同一である。この実施形態では、チャネル42は、便槽側壁14aに形成された第1部分42aと、座面18に形成された第2部分42bと、背もたれ16の前面16aに形成された第3部分42cと、主側壁12の後部にチャネル出口開口を画定するように背もたれの頂部に形成された第4部分42dとを含む。第2実施形態の第2部分36bの場合と同じ考慮事項が、この実施形態の第2部分42bにも適用される。この実施形態では、チャネル42の第3部分42cもまた、チャネル42の第3部分42cが背もたれ16の前面16aを横切って延びることから、通常の使用時に幼児用便器に着座する人間の皮膚が液体移送面と接触するのを防止するように、充分奥に埋め込まれる。
【0034】
使用中に、幼児用便器40を後方に傾けると、便槽14内の液体はチャネル42に沿って流れ、第4部分42dの出口からチャネルの外に排出される。
【0035】
図6を参照すると、本発明の第4実施形態に係る幼児用便器50が示されている。この実施形態では、チャネル52は、便槽側壁14aを上に延びる第1部分52aと、幼児用便器50の側部で座面18を横切って延びる第2部分52bとを有する。第2および第3実施形態の場合と同様に、チャネル52は、通常の使用中に幼児用便器に着座する人間の皮膚が、チャネル52の液体移送面に接触することを防止するように、充分奥に埋め込まれる。
【0036】
図7および8を参照すると、本発明の第5実施形態に係る幼児用便器60が示されている。この実施形態は第2実施形態に類似している。しかし、この実施形態では、背もたれ62の前面62aが、座面18に隣接する位置に、貫通形成された第1開口64を有する。チャネル66は便槽68から延びるが、このチャネル66はこの実施形態では壁および下面を有するというよりむしろ、湾曲断面を有する陥凹部である。チャネル66は、便槽68の壁を上に延びる第1部分66aと、第1開口64まで座面18を横切って延びる第2部分66bと、開口64から突出してリップまたは注ぎ口を形成する第3部分64とを含む。図7から分かる通り、第2開口68は幼児用便器の後部で主側壁12に形成され、該開口68を通して第1開口64およびリップ66cを見ることができる。第2開口の目的は、さもなければ清掃する必要のある主側壁12の内面に影響を及ぼすことなく、チャネル66に沿って注出され、リップ66cから流出する液体が通過することのできる空間を提供することである。第1開口64はまた、幼児用便器60の上に重ね合わされたときに、重ね合わされる第2の幼児用便器60のリップ66cをその中に配置することのできる空間をも提供する。
【0037】
図9および10は、本発明の第6実施形態に係る幼児用便器70を示す。この実施形態に係る幼児用便器70は、第4実施形態の幼児用便器50に類似している。しかしチャネル74は、座面18の下の位置で便槽側壁14aに形成された第1開口72に通じる。第2開口76は幼児用便器70の側部で主側壁12に形成され、第2開口76は第1開口72の位置に対応し、第5実施形態の第2開口68と同様の機能を果たす。別の実施形態では、便槽に対して第1開口72の反対側に管を設けることができる。管は便槽の内側と流体連通し、主側壁12の外面に開放される。したがって、管は座面18を横切るが、それと交差しない。これは、いくつかの実施形態では、2つの幼児用便器が重ね合わされたときに、管の下面が別の幼児用便器の座面と接触するので、1つの幼児用便器が他の幼児用便器によって受容される程度を制限し得る。
【0038】
使用中に、幼児用便器70はチャネル74の方向に揺動され得るが、そこで液体はチャネル74に沿って移動し、第1開口72を介して便槽から排出される。この実施形態は、第1実施形態と同様に、使用者に不快感を生じるかもしれないチャネルの座面18との交差がないという利点を有する。
【0039】
図11〜14を参照すると、本発明の第7実施形態に係る幼児用便器80が示されている。幼児用便器80は、第2実施形態の幼児用便器30および第5実施形態の幼児用便器60に類似している。1つの類似点は、幼児用便器80が、開口84に通じるチャネル82を含み、液体および固体が開口84を介して注出され得ることである。図示する開口84は、背もたれ86の前面86aに形成された略楕円形の孔である。しかし、開口84は、液体または固体排泄物が座面に接触することなく、チャネル82を使用して液体および固体排泄物を幼児用便器から注出することを可能にする、任意の形状または構成とすることができることを理解されたい。例えば開口84は、図4に示すスロット34のような頂部開放通路とすることができる。場合によっては、開口84は、背もたれ86以外の幼児用便器の表面、例えば便槽側壁に形成することができる。
【0040】
最後に、背もたれ86の一部は、幼児用便器80に着座したときに、使用者の腰背部のための支持をもたらすように構成されるが、これを背もたれの支持面86aと呼ぶ。背もたれ16は、使用者がどれだけ後ろに離れて幼児用便器80に着座することができるかを制限することは理解されるであろう。幼児用便器80は、着座するように構成された領域および着座するように構成されない領域を有する頂面88を有する。図示した例では、側部領域88aは、着座するように構成された領域であり、したがって座面の一部を形成する。背もたれの支持面86bは平均的使用者がどれだけ後方に着座できるかを制限するので、頂面88の後部領域88bは、着座するように構成されない。一般的に言うと、背もたれ86の支持面86aの構成のため、背もたれ86は使用者の皮膚が頂面88の後部領域88bに接触するのを防止するように構成される。幼児用便器は、通常の使用中に使用者の皮膚がチャネル84に近接することを防止し、かついくつかの実施形態ではチャネル84と接触することを防止するように構成される。一般的に、これは、使用者の皮膚がチャネル82に隣接する幼児用便器の領域に接触するのを防止することを意味する。幼児用便器80はまた、着座するように構成された表面ではないスプラッシュガード突起90をも含む。幼児用便器80はスプラッシュガード突起90を含む必要がないことは理解されるであろう。
【0041】
この例のチャネル82は便槽側壁92aに沿ってその略後部に設けられ、幅が100mmから200mmの範囲である。この全体的な範囲は、固体をチャネル82に沿って開口84から外に注出または移送するのに役立つ。さらに、チャネル84は清掃が容易である。いくつかの実施形態では、チャネルは一部の場所を他の場所より幅広くすることができる。液体および固体をチャネル82に沿って開口84から外に注出することができるように、チャネル82は便槽側壁92aを上に延び、便槽92の基部92bに隣接する第1端と、開口84に隣接する第2端とを有する。チャネル84の第2端はリップを画定する。いくつかの実施形態では、リップは、重ね合わせ可能な幼児用便器を提供するのに役立つという理由から、開口84の頂部と交差する垂直面より後ろに来ることがないことに注目されたい。
【0042】
背もたれの支持面86aを含む座面は、使用者の皮膚がチャネルから離隔されるように使用者を着座位置に維持すべく構成される。チャネル82の上部領域を形成する幼児用便器の部分は、平均的な使用者が使用中にチャネル84自体、またはいくつかの実施形態ではチャネル84の上部領域に隣接する領域の幼児用便器の部分に接触しないように、座面から充分後ろに設置される。この例では、チャネル82は、座面の全体的な表面プロファイルから後ろに、かつその下に設置され、したがって座面を横切らない。他の実施形態では、チャネルは背もたれ86の支持面86aからさらに後ろに設置することができる。したがって座面は平面図で、略「C」字状表面を形成し、「C」の開放部分が、幼児用便器80の前部に対面する。座面が便槽92、チャネル82、および開口84を部分的に包囲するように、便槽92、チャネル82、および開口84は各々、「C」字状座面内に包含される。しかし他の実施形態では、チャネル82は座面を横切り、かつ場合によっては座面と交差し得るが、それは、図7に示す通り、チャネルに隣接する幼児用便器の部分が座面の部分を形成するように、チャネルの位置がさらに前方である場合に該当し得る。
【0043】
幼児用便器80は、開口84に対応する位置に、主側壁の後部に形成された第2開口94を含む。第2開口94は略アーチ形であり、開口より大きい。第2開口94は、実質的に液体および固体排泄物が主側壁の内側に接触しそれに伴って清掃を必要とすることなく、液体および固体排泄物を開口84から注出することを可能にするように構成される。
【0044】
図4〜11に示した実施形態の利点は、それらのそれぞれのチャネルが、通常の使用中に幼児用便器に着座している子供がチャネルに接触する可能性のない位置に配置されることであり、それは衛生上の観点から有利である。
【0045】
チャネルは種々の実施形態で、幼児用便器の表面プロファイルの不連続部として示されるが、いくつかの実施形態では、実質的に液体を座面に接触させることなく液体を便槽から注出することができるように構成されたダクトを画定するように、便槽側壁または側壁を配置構成することができる。一例として、最小曲率半径を持つ便槽の隣接部分の領域すなわち卵形の頂部で幼児用便器に開口が設けられた、楕円形または卵形の便槽がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便槽と、座面と、実質的に液体を前記座面に接触させることなく前記液体を前記便槽から外に注出させることを可能にするように構成されたダクトとを含む幼児用便器であって、当該幼児用便器の少なくとも一部分が同様の幼児用便器によって受容されるように、前記同様の幼児用便器と重ね合わせ可能に構成された幼児用便器。
【請求項2】
当該幼児用便器が主側壁を含み、前記便槽が便槽側壁を含み、前記座面が前記主側壁と前記便槽側壁の間に設けられている、請求項1に記載の幼児用便器。
【請求項3】
前記タクトの一端が、当該幼児用便器の表面に形成された前記第1開口の位置にまたはそれに隣接して設けられ、液体を前記ダクトに沿って第1開口に注出させることができるようになっている、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項4】
当該幼児用便器が背もたれを含み、前記第1開口が前記背もたれの一部分に形成された、請求項3に記載の幼児用便器。
【請求項5】
前記背もたれが使用者の腰背部を支持するように構成された支持面を画定し、当該幼児用便器の通常の使用時に使用者の皮膚が前記ダクトと接触するのを前記支持面が防止するように、前記ダクトが前記支持面から間隔を置いて配置された、請求項3または4に記載の幼児用便器。
【請求項6】
前記第1開口に対応する位置で前記主側壁に第2開口が形成され、前記第2開口が前記第1開口より大きい、請求項2または請求項2に従属する場合の請求項3〜5のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項7】
前記ダクトが前記座面を横切るように構成された、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項8】
前記座面がそれを横切って延びる溝を含み、前記溝が基部を有し、それに沿って前記ダクトが延びる、請求項7に記載の幼児用便器。
【請求項9】
当該幼児用便器が背もたれを含み、前記ダクトが前記背もたれを横切って延びる、請求項7または8に記載の幼児用便器。
【請求項10】
当該幼児用便器がその表面に形成された排液孔をさらに含み、液体が前記便槽の領域から前記ダクトを介して前記排液孔まで流れるように、前記ダクトが前記排液孔まで延びる、請求項7または8に記載の幼児用便器。
【請求項11】
幼児用便器が支持面を有する前記背もたれを含み、前記排液孔が前記背もたれの前記支持面に形成された、請求項10に記載の幼児用便器。
【請求項12】
前記ダクトが、前記座面を横切ることなく、前記便槽の一部分から延びる、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項13】
当該幼児用便器がその表面に形成された排液孔をさらに含み、液体が前記便槽の領域から前記ダクトを介して前記排液孔まで流れるように、前記ダクトが前記排液孔まで延びる、請求項12に記載の幼児用便器。
【請求項14】
前記排液孔が前記便槽側壁に形成された、請求項13に記載の幼児用便器。
【請求項15】
前記排液孔に対応する位置で前記主側壁に第2開口が設けられ、前記第2開口のサイズが前記排液孔より大きい、請求項10〜14のいずれかに記載の幼児用便器。
【請求項16】
スプラッシュガード機能を提供するために構成された突起を含み、前記ダクトが前記突起に沿って実質的にその先端まで延びる、請求項12に記載の幼児用便器。
【請求項17】
前記便槽の少なくとも一部分が、重ね合わされたときに、略同一の幼児用便器の便槽内に受容されるように構成された、請求項1〜16のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項18】
前記ダクトが前記便槽の下面に最も近い位置に第1端を有し、当該幼児用便器が前記第1端に隣接して貯留タンクを含み、液体を前記便槽から捕集するために前記貯留タンクが前記便槽の下面より低い捕集面を有するように、かつ当該幼児用便器を傾けることにより、捕集された水を前記ダクトの前記第1端に向かわせることができるように構成された、請求項1〜17のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項19】
前記同様の幼児用便器が略同一の幼児用便器である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項20】
前記ダクトの少なくとも一部分が前記便槽側壁の少なくとも一部分に沿ってまたはそれを横切って設けられる、請求項2または請求項2に従属する場合の請求項3〜19のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項21】
添付の図面に関連して本明細書に実質的に記載した幼児用便器。
【請求項1】
便槽と、座面と、実質的に液体を前記座面に接触させることなく前記液体を前記便槽から外に注出させることを可能にするように構成されたダクトとを含む幼児用便器であって、当該幼児用便器の少なくとも一部分が同様の幼児用便器によって受容されるように、前記同様の幼児用便器と重ね合わせ可能に構成された幼児用便器。
【請求項2】
当該幼児用便器が主側壁を含み、前記便槽が便槽側壁を含み、前記座面が前記主側壁と前記便槽側壁の間に設けられている、請求項1に記載の幼児用便器。
【請求項3】
前記タクトの一端が、当該幼児用便器の表面に形成された前記第1開口の位置にまたはそれに隣接して設けられ、液体を前記ダクトに沿って第1開口に注出させることができるようになっている、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項4】
当該幼児用便器が背もたれを含み、前記第1開口が前記背もたれの一部分に形成された、請求項3に記載の幼児用便器。
【請求項5】
前記背もたれが使用者の腰背部を支持するように構成された支持面を画定し、当該幼児用便器の通常の使用時に使用者の皮膚が前記ダクトと接触するのを前記支持面が防止するように、前記ダクトが前記支持面から間隔を置いて配置された、請求項3または4に記載の幼児用便器。
【請求項6】
前記第1開口に対応する位置で前記主側壁に第2開口が形成され、前記第2開口が前記第1開口より大きい、請求項2または請求項2に従属する場合の請求項3〜5のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項7】
前記ダクトが前記座面を横切るように構成された、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項8】
前記座面がそれを横切って延びる溝を含み、前記溝が基部を有し、それに沿って前記ダクトが延びる、請求項7に記載の幼児用便器。
【請求項9】
当該幼児用便器が背もたれを含み、前記ダクトが前記背もたれを横切って延びる、請求項7または8に記載の幼児用便器。
【請求項10】
当該幼児用便器がその表面に形成された排液孔をさらに含み、液体が前記便槽の領域から前記ダクトを介して前記排液孔まで流れるように、前記ダクトが前記排液孔まで延びる、請求項7または8に記載の幼児用便器。
【請求項11】
幼児用便器が支持面を有する前記背もたれを含み、前記排液孔が前記背もたれの前記支持面に形成された、請求項10に記載の幼児用便器。
【請求項12】
前記ダクトが、前記座面を横切ることなく、前記便槽の一部分から延びる、請求項1または2に記載の幼児用便器。
【請求項13】
当該幼児用便器がその表面に形成された排液孔をさらに含み、液体が前記便槽の領域から前記ダクトを介して前記排液孔まで流れるように、前記ダクトが前記排液孔まで延びる、請求項12に記載の幼児用便器。
【請求項14】
前記排液孔が前記便槽側壁に形成された、請求項13に記載の幼児用便器。
【請求項15】
前記排液孔に対応する位置で前記主側壁に第2開口が設けられ、前記第2開口のサイズが前記排液孔より大きい、請求項10〜14のいずれかに記載の幼児用便器。
【請求項16】
スプラッシュガード機能を提供するために構成された突起を含み、前記ダクトが前記突起に沿って実質的にその先端まで延びる、請求項12に記載の幼児用便器。
【請求項17】
前記便槽の少なくとも一部分が、重ね合わされたときに、略同一の幼児用便器の便槽内に受容されるように構成された、請求項1〜16のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項18】
前記ダクトが前記便槽の下面に最も近い位置に第1端を有し、当該幼児用便器が前記第1端に隣接して貯留タンクを含み、液体を前記便槽から捕集するために前記貯留タンクが前記便槽の下面より低い捕集面を有するように、かつ当該幼児用便器を傾けることにより、捕集された水を前記ダクトの前記第1端に向かわせることができるように構成された、請求項1〜17のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項19】
前記同様の幼児用便器が略同一の幼児用便器である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項20】
前記ダクトの少なくとも一部分が前記便槽側壁の少なくとも一部分に沿ってまたはそれを横切って設けられる、請求項2または請求項2に従属する場合の請求項3〜19のいずれか一項に記載の幼児用便器。
【請求項21】
添付の図面に関連して本明細書に実質的に記載した幼児用便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−513225(P2012−513225A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541592(P2011−541592)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051677
【国際公開番号】WO2010/073027
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511148547)ポアティー インターナショナル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051677
【国際公開番号】WO2010/073027
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511148547)ポアティー インターナショナル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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