説明

座標測定機械及び座標測定機械を操作するための方法

本発明は、座標測定機械を操作するための方法及び座標測定機械に関し、この場合、少なくとも1つの電気モータMによって駆動される座標測定機械の座標測定装置、特に測定ヘッドは、少なくとも1つの方向に動くことが可能である。電気モータMの運動、このようにして、座標測定装置の運動を行うために、電気モータMを通して(ラインC11、C21の電流回路を介して)流れる駆動電流が測定される。電気モータMの運動又は座標測定装置5の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて、駆動電流について限界値が検出される(コンピュータPC及び/又はマイクロコントローラMCで)。駆動電流が検出された限界値IΤに達した場合及び/又は駆動電流が検出された限界値IΤを超えた場合、例えば、コンピュータPC又はマイクロコントローラMCが、電流回路に配置されたスイッチSW1、SW2の一方をオフにすることによって、座標測定装置5は所定の状態に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定機械及び座標測定機械を操作するための方法に関する。座標測定機械は、座標測定装置、特に測定ヘッドを備える。座標測定装置は、それが運動可能であり、例えば少なくとも一方向に動くことが可能であるように少なくとも1つの電気モータによって駆動される。
【背景技術】
【0002】
このような座標測定機械は、例えば、特許文献1から周知である。しかし、本発明は、座標測定装置の特別な種類(例えば、スイッチ又は非スイッチ型のキー式の測定ヘッド)に限定されない。
【0003】
動くことが可能な座標測定装置により、被測定物の座標を測定する場合、特別な予防措置を講じなければならない。一方で、被測定物に座標測定装置がぶつかる際に生じる可能性がある機械的な損傷から被測定物それ自体を保護すべきである。他方で、同様に人々及び測定装置それ自体の部品をこのような機械的な損傷から保護しなければならない。この保護の観点から、座標測定機械の1つ又は複数の電気モータを僅かな電流で操作する要件を導くことができるかもしれない。
【0004】
さらに、電気モータによって駆動される座標測定装置が最大に達成することが許される速度を低い値に限定することが可能である。しかし、これに対しては、可能な限り短い時間で測定を実施すべきであるという要求がある。このことには、再び、高い加速が必要であり、またそれぞれの測定構造の状態に応じて、状況によっては座標測定装置の高い速度も必要とされる。
【0005】
特許文献2から、実際のモータ電流と目標のモータ電流とを比較し、比較した結果に基づいて調整量信号を生成するトルク調整装置が公知である。最大許容モータ電流との比較に基づくモータ電流が、最大許容値未満にあり、本体に対する点検要素の強い衝撃を回避するように配慮される。
【0006】
しかし、このような手順の欠点は、点検要素が被測定物の近傍に存在しない場合にも、モータ電流が最大値によって限定されることである。点検要素を運動させることができる速度、したがって、加速度が制限される。
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/013177A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10024976A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、被測定物の測定の際に人及び機械の間断のない保護を可能にする座標測定機械及び座標測定機械を操作するための方法を提供することである。この場合、座標測定装置は、任意の速度及び加速度で動くことが可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の本質的な構想によれば、電気モータの駆動電流の限界値は、電気モータの運動又は座標測定装置の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて検出される。
【0010】
この基本的な考えには、限界値を検出するために目標速度及び/又は目標加速度が使用されず、例えば電気モータの又はこの電気モータによって駆動されるシャフトの目標回転数などの等価の値、もしくは電気モータ又はシャフトの目標トルクが使用される形態も含まれる。
【0011】
目標回転数及び目標トルク(又は目標角加速度)は、障害のない動作を出発点とし、かつ駆動部の伝達比が変更されない場合、目標速度及び目標加速度と等価である。障害なしとは、座標測定装置が進む経路に予期しない障害が存在しないことと理解される。言い換えれば、座標測定装置の運動を行うことによって被測定物を測定することができる。このために、例えば、デカルト座標系(好ましくは、被測定物の座標が決定されるべき座標系)の目標速度及び目標加速度の成分全体をそれぞれ算出することができる。この場合、測定プロセス全体の事前の計算を測定の開始前に実施する必要はない。むしろ、目標値の事前の計算又は設定は、例えば、測定の時間部分についてそれぞれ行うことができる。しかし、現在の運動状態が既知であるかあるいはこれまで障害のない測定動作が行われた場合、電流限界値の検出の際に、(特に、運動質量を含む測定構造の物理的機械的なモデルを考慮して)目標速度及び/又は目標加速度と等価に、目標回転数及び/又は目標トルクも考慮することができる。
【0012】
本発明は、座標測定機械の操作者に対し、座標測定装置の運動の規定の時間の間、他の段階におけるよりも高い速度及び/又は加速度を可能にする。例えば、座標測定装置が被測定物の近傍の所定の領域に達するまで、座標測定装置が被測定物から遠く離れて存在する待機位置から、座標測定装置を高い加速度値で高い速度に設定することができる。さらに、規定の危険領域の近傍領域の外側で、特に人の保護それ自体の理由から、より低い速度又は加速度のみを許容することができる。
【0013】
このように計画された及び/又は規定された運動段階又は運動範囲に応じて、異なる電流限界値が適用される。座標測定装置の高い加速を達成するために、対応してより高い電流限界値が必要である。遅い速度が1つだけ設定され、また小さな加速度値が許可される場合、電流限界値を低く選択することができる。
【0014】
特に、座標測定機械を操作するための方法が提案され、この場合、少なくとも1つの電気モータによって駆動される座標測定機械の座標測定装置、特に測定ヘッドは、少なくとも1つの方向に動くことが可能であり、またこの方法は、次のステップ、すなわち、
(a)電気モータの運動、このようにして、座標測定装置の運動を行うために、電気モータを通して流れる駆動電流が測定されるステップと、
(b)電気モータの運動又は座標測定装置の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて、駆動電流について限界値が検出されるステップと、
(c)駆動電流が検出された限界値に達した場合及び/又は駆動電流が検出された限界値を超えた場合、座標測定装置が所定の状態に設定されるステップとを含む。
【0015】
限界値の「超過」とは、駆動電流がある場合に例えば限界値よりも大きくなり、他の場合に例えば限界値よりも小さくなることを含む。すなわち、「超過」とは、「横断」の意味で理解されるべきである。限界値の検出及び限界値に達した及び/又はそれを超えたかどうかの監視は、限界値帯、すなわち、下方限界値及び上方限界値によって規定される駆動電流の値範囲の可能性も含む。次に、駆動電流が、限界値帯、すなわち座標測定装置が所定の状態に設定される範囲から離れたかどうかが監視される。
【0016】
座標系内の座標の決定は、座標がデカルト座標であることに限定されない。むしろ、すべての種類の座標、例えば極座標、円筒座標等を決定することができる。
【0017】
座標測定機械としては、座標系内の座標を決定できる機械のみでなく、例えば特許文献2に記載されているような被測定物の位置の点検を可能にする機械も理解される。なお一般的に述べると、いわゆる座標測定装置は、本体の存在を点検するようにのみ形成することができる。例えば、座標測定装置は、機械センサ及び/又は光学センサを備えることができる。
【0018】
本発明による電流監視の重要な利点は、座標測定装置の加速運動中においても、監視が作動したままであることができることにある。原則として、電流監視を遮断する必要なしに、任意に高い加速度値を許容することができる。
【0019】
好ましくは、一方で目標速度及び/又は目標加速度と、他方で電流限界値との間の関数関係は、規定の動作段階について少なくとも固定設定される。この場合、関数関係は、例えば、次の要因の1つ又は複数によって一義的に決定される別のパラメータにさらに関係することがあり、すなわち、これらのパラメータは、周囲温度によって、座標測定機械の部分の温度(例えば、座標測定装置の運動の際に可動部分を軸受する軸受の温度)によって、固定座標系の座標測定装置の位置によって、被測定物に対する又は測定構造の他の部分に対する座標測定装置の相対位置によって、及び/又は動作状態(例えば、動かされるべき座標測定装置への電気モータの力伝達の際に使用される多段変速機の実際に選択されたギヤ段)によって決定される。このようなパラメータを考慮することにより、安全性がさらに高められる。このようにして、電流限界値は、動作に実際に必要な電流値でより密であることができる。例えば、選択可能な様々なギヤ段の摩擦の大きさは異なる。摩擦が大きいと、それだけ大きく電流限界値を選択しなければならない。さらに、例えば、次の動作状態の1つ又は複数に関するパラメータを関数関係で考慮することができる。
(a)座標測定装置の部分、例えば測定ヘッドが所定の領域に達する、
(b)人又は対象物が所定の領域に達する、
(c)座標測定装置の様々な部分の絶対位置及び/又は相対位置が所定の基準を満たす。
【0020】
到達又は内部到達は、例えば光ゲート及び/又はステップマットのような保護装置によって検出することができる(点aとb)。所定の基準が達成されているかどうかは、例えば、様々な座標軸の座標の評価によって検出される。
【0021】
特に、したがって、限界値は、例えば、計算装置が目標速度及び/又は目標加速度の値の変更に基づき、モータ電流について新しい限界値を算出するかあるいは例えばデータメモリから読み取ることによって検出するまで、それぞれ、実際の動作時点について及び/又は短い期間について一時的にのみ有効である。
【0022】
所定の及び/又は実際の限界値を超えた場合、あるいは限界値に達するか又はそれを超えた場合、予め規定された状態を生成するために、自動的に措置を講じることができる。予め規定された状態は、限界値を超えるか又はその到達の前に規定されている。
【0023】
この措置の可能性は、1つ又は複数の警告信号(音響的及び/又は光学的)を出力することにある。しかし、他の対象物に力が伝達されることができないように、駆動電流を遮断する及び/又は座標測定装置をそれらの駆動手段から切り離すことが好ましい。このことは、座標測定装置及び好ましくは座標測定機械又はシステム全体が、いわゆる安全な状態に設定されることを意味する。実施されるべき措置には、可能な実施形態として、電気モータの力及びトルクを所定の値に制限することも含まれる。この値は不変であり得るか、あるいは座標測定装置の動作状態、位置及び/又は別の要因と関係し得る。
【0024】
駆動電流が、所定の長さの時間間隔にわたって検出された限界値に連続的に達し及び/又はそれを超えた場合、駆動電流を遮断することが好ましい。代わりに又は追加して、限界値に達し及び/又はそれを超えたかどうかを確認する際に、駆動電流として、検出された測定値の時間的な変動を平滑化した後に検出された値を使用することができる。両方の場合、これによって、非常に短時間の(特に測定誤差によって引き起こされる)超過又は限界値の非常に短時間の到達により、座標測定機械の動作に対しなお影響が及ぼされないことを確実にすることができる。
【0025】
好ましい実施形態の場合のように、駆動電流が遮断される前に駆動電流の電流方向が最初に反転された場合、特に急速に座標測定装置が停止する。この措置により、スイッチ(例えばリレー)の遮断のために通常必要とされる時間を利用することができる。スイッチの磁界が減衰されるまで、電流をすでに反転し、このようにして、座標測定装置の運動を減速するか又は停止することができる。
【0026】
全体的に座標測定装置の運動を行う座標測定機械の複数の電気モータを設けることが好ましい。この場合、電気モータの運動は、座標測定装置の運動の運動成分に一義的に割り当てられる。例えば、座標測定装置の直線運動のためにそれぞれ少なくとも1つの電気モータが設けられ、この場合、直線運動の各々は、もっぱら、対毎に互いに垂直に位置する3つの方向の1つで行うことができる。結果として、達成可能な運動範囲内で、各々の所望の点を直接的に走行することができる。一般に、座標測定装置の運動を共通に行う複数の電気モータの場合、複数の電気モータの各々について駆動電流の限界値を別個に検出することが好ましく、この場合、この限界値は、それぞれの電気モータによって実現される運動成分の目標速度に関係し及び/又は目標加速度に関係する。
【0027】
デカルト座標系のX軸、Y軸及びZ軸用にそれぞれ少なくとも1つの電気モータを有する座標測定機械の場合、モータ電流の限界値は、別個に、X方向、Y方向及びZ方向の目標速度値に基づいて及び/又は目標加速度値に基づいて検出される。
【0028】
特に、運動成分の少なくとも1つについて、例えば、門構造の座標測定機械に当てはまるように、複数の電気モータを設けることができる。この場合、同一の運動成分の電気モータの各々について、限界値を検出することが好ましく(同一構造の電気モータの場合、特に同一の限界値を使用することができる)、また観測対象の電気モータの限界値に達し及び/又はそれを超えたかどうかが、別個に監視される。好ましい形態では、座標測定機械の動作中、特に座標測定装置の運動中の駆動電流の少なくとも1つの測定値が、駆動電流の測定の測定誤差を点検するために予想値と比較される。予想値は、例えば目標速度と目標加速度とを使用して検出することができる。座標測定装置が妨げられずに運動することを前提として、このようにして、故障のない機能方法で駆動電流の測定を点検することができる。1つの運動方向に対し2つ以上のモータ(例えば、門構造又はブリッジ構造のガントリ機械における二重駆動装置)を有する機械では、個々のモータ電流でなく、二重駆動装置の両方のモータのモータ電流の合計を制限することが有利である。
【0029】
モータ電流の測定用のセンサの故障又はこのようなセンサによって供給される信号処理の故障を検知する別の可能性は、測定値の妥当性の点検にある。妥当性の点検の場合、固定の比較値を使用できない。むしろ、適切な動作段階の電流測定値の時間的な変化を利用することができる。例えば、座標測定装置の一定速度の段階が続く座標測定装置の加速段階の後に、電流は、明らかにより低い値に戻らなければならない。妥当性の点検のための比較値は、特に目標速度、目標加速度及び/又は実際の速度又は加速度であることができ、これらは、タコ信号の評価によって及び/又は被測定物の座標を実際に決定するための座標測定機械によって利用される情報によって得ることができる。
【0030】
代わりに又は追加して、座標測定機械の較正操作を実施することが可能であり、この間、座標測定装置は対象物による妨げなしに自由に動かされる。この較正操作は、電流測定の点検には使用されず、電気モータ電流の電流値の検出に使用される。特に、駆動電流の通常の値を座標測定装置の速度及び/又は加速度の様々な値のために測定かつ記憶することができ、この場合、座標測定機械の動作の前に通常の値から、目標速度及び/又は目標加速度の様々な値の駆動電流の限界値を確定することができる。「通常の」値とは、通常の動作条件下で、座標測定装置の運動の妨げなしに生じた値と理解される。少なくとも1つの別のパラメータに基づき電流限界値が検出可能である場合、このパラメータ又はこれらのパラメータは、較正操作中に確認されかつ変更されることが好ましい。このようにして、例えば、座標測定機械のコンピュータは、速度に基づき及び/又は加速度に基づき電流の大きさを学習することができる。次に、対応する幾分より高い電流限界値は、各々の速度値及び加速度値について確定し、例えば、固定ディスク又は他の永久データメモリに記憶することができる。
【0031】
記憶されたデータは、例えばCRC(巡回冗長コード)点検値のような制御値によって、意図しない変更に対し保護されることが好ましい。
【0032】
例えば、単純な場合の電流限界値は、それぞれの動作状態について検出された電流値が、所定の固定値だけ高められることによって確定されることができる。しかし、選択的に、所定の固定値は速度にも(さらに、選択的に温度のような別のパラメータに)関係する。
【0033】
較正操作中に検出された電流値を座標測定装置の速度及び加速度に割り当てるために、本発明の形態では、座標測定装置の速度及び加速度が、較正操作中に、座標測定機械の固有の動作のために設けられた座標を決定するための評価装置を使用して及び/又は電気モータのタコ信号を使用して決定される。タコ信号とは、電気モータと組み合わせられる信号センサの信号と理解される。例えば、信号センサは、電気モータの回転子が所定の規定の固定角度値をさらに回転したとき、それぞれ電気信号を生成する。タコ信号は、例えば、電気モータの動作を調整するために使用される。タコ信号は、モータ電流を調整する調整装置(最終段)用のフィードバック信号として使用される。
【0034】
座標測定装置の目標速度及び/又は目標加速度に関係する電流限界値の検出は、少なくとも1つの計算装置によって実施されることが好ましい。代わりに又は追加して、計算装置は、電流限界値に達し及び/又はそれを超えたときを把握する措置も開始し及び/又は制御することができる。計算装置のこの機能は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって達成することができる。
【0035】
図を参照してさらに詳細に説明するように、電流監視の故障に対する信頼性を高めるために、複数の計算装置を使用することができる。
【0036】
本発明の範囲には、少なくとも1つの電気モータによって少なくとも1つの方向に駆動されて動くことが可能である座標測定装置、特に測定ヘッドを有する座標測定機械も含まれる。座標測定機械は、次のもの、すなわち、
(a)電気モータの運動、このようにして、座標測定装置の運動を行うために、電気モータを通して流れる駆動電流を測定するように形成される電流測定装置と、
(b)電気モータの運動又は座標測定装置の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて、駆動電流の限界値を検出するように形成される目標値検出装置と、
(c)電流測定装置及び目標値検出装置と結合され、また駆動電流が検出された限界値に達した場合、及び/又は駆動電流が検出された限界値を超えた場合(又は駆動電流が限界値帯から離れた場合)、座標測定装置を所定の状態に設定するように形成される操作装置とを備える。
【0037】
例えば、操作装置は、電流測定装置及び目標値検出装置と結合される遮断装置を備え、この遮断装置は、駆動電流が検出された限界値に達した場合及び/又は駆動電流が検出された限界値を超えた場合、駆動電流を遮断するように形成される。
【0038】
特に、座標測定機械は、目標値検出装置含むコンピュータ又は計算装置を備えることができる。さらに、本発明の範囲には、コンピュータ又はコンピュータネットワークの実行時に少なくとも電流限界値を検出し、かつ電流限界値に達し及び/又はそれを超えた場合に、それぞれ実施されるべき措置も選択的に開始し及び/又は制御するコンピュータプログラムが含まれる。特に、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能なデータ媒体に記憶されることができるプログラムコード手段を備える。
【0039】
駆動電流の本発明による監視は、選択的に遮断することができる。
【0040】
さらに、本発明の範囲には、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワークメモリ及び/又はメインメモリにロードした後に、少なくとも電流限界値を検出し、かつ電流限界値に達し及び/又はそれを超えた場合に、それぞれ実施されるべき措置も選択的に開始し及び/又は制御するデータ構造が記憶されるデータ媒体が含まれる。
【0041】
次に、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。この場合、図2〜図5を参照して本発明の特に好ましい実施形態について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1に示した門構造の座標測定機械(KMG)11は、測定用テーブル1を備え、この測定用テーブルの上方に、柱2、3がデカルト座標系のZ方向に運動可能に配置される。柱2、3は、横支持体4と共にKMG11の門を形成する。横支持体4は、その対向する端部で柱2又は3と結合される。詳細に示していない電気モータにより、Z方向の柱2、3の直線運動が引き起こされる。両方の柱2、3の各々に、電気モータが付設される。
【0043】
横支持体4は、横支持体4に沿って空気軸受されてデカルト座標系のX方向に運動可能である横送り台7と組み合わせられる。横支持体4に対する横送り台7の現在の位置は、尺度目盛り6を参照して確認することができる。X方向の横支持体4の運動は、別の電気モータによって駆動される。
【0044】
横送り台7には、垂直方向に運動可能な主軸8が軸受けされ、この主軸は、その下方端部で取付け装置10を介して座標測定装置5と結合される。座標測定装置5には、プローブヘッド9が取り外し可能に取り付けられる。座標測定装置5は、別の電気モータによって横送り台7に対しデカルト座標系のY方向に駆動して運動させることができる。したがって、全体で4つの電気モータによって、プローブヘッド9を、横支持体4の下方及び測定用テーブル1の上方の柱2、3によって画定された中間空間に位置する各々の点に動かすことができる。
【0045】
図2に示した構成により、座標測定機械の、例えば図1を参照して説明した座標測定機械の電気モータMの1つに、動作中に電流が供給されかつ制御される方法について、ある程度の詳細を認識できる。モータMは、この実施例では、2つの電気結合部C1、C2を介して出力段PSと結合される。出力段PSは、信号入力SIを含み、これを介して、出力段は、例えばコンピュータから又はマイクロコントローラから制御信号を受信する。制御信号に応じて、出力段PSは、ラインC1、C2を介して流れるモータ電流を調整する。
【0046】
全体の調整装置の入力値として、特に座標測定装置の目標位置及び実際位置及び/又は目標速度を使用することができる。全体の調整装置は、最終段を除いて、別の調整装置、例えば電流調整器、回転数調整器及び位置制御器を備える。
【0047】
交流電圧の電力供給網と結合することができる電力網接続PN、例えば変圧器及び整流器を備える電力供給ユニットEV、2極のリレーR2を介して、及びリレーR2を介して電力供給ユニットEVと出力段PSとを結合する2つの電気的結合部を介して、モータ電流の給電のために出力段PSが必要とする電気エネルギを出力段に供給することができる。
【0048】
出力段PSは、電力測定装置IMを備えるか、あるいはこのような電力測定装置と組み合わせられ、この電力測定装置により、電気結合部C1、C2を通してまたモータMを通して流れるモータ電流を測定することができる。さらに、出力段PSは、モータ電流を調整するための図2に詳細に示していない調整部材を備える。
【0049】
さらに、電気モータの運動に基づきタコ信号を生成し、信号線SLを介して出力段PSに伝送するタコ信号センサTGが設けられる。タコ信号センサでは、例えば、回転数に対応する電圧を生成する回転変圧器が対象とされる。
【0050】
したがって、座標測定機械の動作中、出力段PSは、制御信号入力Slに印加される制御信号(例えば、−10V〜+10Vの範囲のアナログ直流電圧値)に応じて、電気結合部C1、C2のモータ電流(直流)モータ電流を設定しかつ調整し、この場合、出力段PSは、タコ信号センサによって生成されるタコ信号を連続的又は準連続的に評価する。
【0051】
座標測定機械が複数のモータを備える場合、電気モータの各々について、図2に示した構成のそれぞれ1つの個体が設けられることが好ましい。しかし、この場合、電力供給ユニットEVは、例えば、すべての構成によって共通に利用することができる。
【0052】
図3は、座標測定装置の速度の台形状の時間的な推移を示している。ここに記載した実施例では、速度の場合、例えば、図1に示した座標系のX方向の速度ベクトルの成分が対象とされる。
【0053】
時点tに、速度vが直線的に増加し始める。直線的な増加は、時点tに達するまで継続する。速度vの直線的な増加に応じて、X方向の加速は一定である。この加速を達成するために、対応する電気モータに、比較的大きなほぼ一定の電流を供給しなければならない。それに応じて、電流限界値IΤ(図3によるグラフ内の点線)は、時間間隔[t;t]で、高い値Iで一定に推移する。この高い限界値Iを超えたときにあるいは限界値IΤに達したときに初めて、対応する措置が実施される。
【0054】
加速段階の終わりに、時点tに、速度vは値vに達している。運動(又はX方向の運動成分)のさらなる推移において、速度vは、時点tに達するまで値vに留まる。それに応じて、その前よりもはるかに少ないモータ電流のみが、加速段階で必要である。モータ電流は、本質的に、モータの及びこのモータによって駆動される可動部分の運動が摩擦なしに推移するという理由のみで、印加されなければならない。しかし、電流限界値IΤは、以前の加速段階におけるよりもはるかに低いことができる。図面で中央の時間領域に示した値Iは、電流限界値IΤとして十分である。
【0055】
時点tに、時点tにX方向に対する座標測定装置の停止に達するまで、一定値を有する負の加速(減速)の段階が始まる。このため、なおより少ない電流限界値Iで十分である。
【0056】
この減速段階中に克服されなければならない摩擦に応じて、負のモータ電流でも流れることができ、すなわち、モータは電流反転によって能動的に制動できる。それにもかかわらず、減速段階について正の電流限界値Iが選択されることが好ましい。すなわち、減速段階中に、電気モータによって駆動される部分の望ましくない衝撃をもたらす場合、出力段(例えば、図2による構成に示した出力段)により、モータ電流を上方に調整することが試みられるであろう。
【0057】
モータ電流の上方調整により、電流限界値Iが急速に達成され、これにより、適切な措置の実施が再び行われる。
【0058】
規定の時点にそれぞれ有効な電流限界値に達した場合又はそれを超えた場合、可能な限り迅速に制御信号が出力段PSに出力され、これにより、反対のモータ電流(すなわち、モータを能動的に制動するモータ電流)がまだ流れていない場合、出力段PSがモータ電流を反転するようにさせることが好ましい。さらに、図2に示していない制御ラインを介して、リレーR1及びリレーR2の両方が制御され、両方のリレーR1、R2を開く。両方のリレーが開かれない場合、出力段PSの電源(電気結合部C3、C4を介した)及びモータ電流ライン(電気結合部C1、C2)の両方が遮断される。さらに、リレーR1とモータMとの間に配置される短絡スイッチKS(図2参照)を介して、電気結合部C1、C2が接続される両方のモータ電流接続部の短絡が行われることが好ましい。この場合、リレーR1がすでに開かれたときに初めて、短絡が行われることに注意しなければならない。
【0059】
図3を参照して、加速度に対する電流限界値IΤの関係について説明した。台形状の速度曲線の場合、目標曲線が対象とされることをなお述べなければならない。すなわち、電流限界値は目標加速度に基づき確定される。さらに、電流限界値は目標速度と関係付けることができる。例えば、時間間隔[t;t]で、より高い目標速度vが実施される場合、より大きな摩擦が特に予想されるので、図3に示した限界値Iよりも高い電流限界値を選択すべきであろう。同様に、それぞれ水平の一定の電流限界値I、I、Iを有する電流限界値IΤの段状の推移の変化の際に、一定の加速及び一定の減速を有する段階中にも、変更された電流限界値IΤを予め設定することができる。特に、速度値がより高い場合の電流限界値は、この段階中にも、より低い速度値の場合よりも高く選択することができる。
【0060】
出力段PSにおけるモータ電流センサIMの電流測定値の処理は、例えば、図4に示した構成で行われる。電流センサIMは、測定信号を時間的に平滑化するためのアナログフィルタAFを介して、アナログ/デジタルコンバータADに選択的に供給されるアナログ測定信号を供給する。コンバータADでは、アナログ信号がデジタル信号に変換され、測定信号を時間的に平滑化するための別の任意のデジタルフィルタDFを介して、コンピュータPCに供給される。コンピュータPCの場合、例えば、実際の電流限界値も、目標速度に基づいてまた目標加速度に基づいて検出される計算装置を対象とすることができる。さらに、コンピュータPCは、選択的に、信号入力SIを介して出力段PSに供給される制御信号も生成することができる。
【0061】
図5は、様々な可能な機能方法が後になお導入される構成を示している。この構成は、データバスBを利用できるかあるいはこのようなデータバスに接続されるコンピュータPCを示している。さらに、このデータバスに複数のマイクロコントローラMCが結合される。図5には、2つのマイクロコントローラMCが示されている。しかし、3つの点によって示されているように、なおより多くのマイクロコントローラ、座標測定機械の監視されるべき各々の電気モータ当たり、好ましくはそれぞれ1つのマイクロコントローラを設けることができる。
【0062】
示した両方のマイクロコントローラMCの下方のMCは、例えば、モータ電流の監視のために規定の電気モータMによって使用され、この場合、この電気モータMは同様に図5に示されている。このマイクロコントローラMCは、信号結合部SVを介して出力段PS、例えば図2に示した出力段PSと結合される。さらに、再び、信号線SLを介して出力段PSと結合され、かつ電気モータMの運動に従ってタコ信号を生成するタコ信号センサTGが設けられる。
【0063】
さらに、図5では、第1の電位の接続部P1から少なくとも1つの第1のスイッチSW1と少なくとも1つの第2のスイッチSW2とを介してモータMに通じ、かつモータ動作中にこのモータにモータ電流を供給する電気ラインC11を認識できる。対応する別の電気ラインC21により、モータMは第2の電位(P2)と結合される。電気モータMの通常の動作中、出力段PSはラインC11、C21を通してモータ電流を制御する。
【0064】
同様に図5から認識できるように、例えば、市販のパーソナルコンピュータを対象とすることができるコンピュータPCは、データバスBを介して第1のスイッチSW1と結合される。このスイッチを操作するために、データバスBを介して伝送されるコンピュータPCの対応する制御信号をスイッチSW1の操作のために変換する別の要素を設けることができる。結果的に、いずれにしろ、コンピュータPCはスイッチSW1をオン・オフすることができる。次に、コンピュータPCが、モータ電流の監視中に(なおより詳細に説明する方法で)モータ電流が遮断されなければならないことを確認すると、コンピュータPCはスイッチSW1をオフにする。
【0065】
さらに、信号結合部SVを介して出力段PSと結合されるマイクロコントローラMCは、第2のスイッチSW2をオン・オフすることができる。
【0066】
なおより詳細に説明する状態では、マイクロコントローラは、モータMを通したモータ電流を遮断するために、スイッチSW2をオフにする。
【0067】
より一般的に述べ、かつ図5による具体的な実施例から切り離すと、モータ電流を互いに独立して遮断することができる少なくとも2つの様々な制御装置を設けることが好ましい。これによって、電気モータの動作の追加の信頼性を達成することができる。
【0068】
以下に記載する実施形態は、図5による構成に関係する。コンピュータPC及びマイクロコントローラMCの両方は、図5を参照してすでに説明したように、電流限界値に達し及び/又はそれを超えた場合、「緊急オフ措置」を実施することができる。このため、両方の装置は、個別にかつ互いに独立して、モータ電流を遮断するのみならず、図2を参照して説明した措置をさらに講じること、すなわち、いわゆる中間回路(図2の電気結合部C3、C4)を遮断しかつモータを短絡することもできる。
【0069】
さらに、コンピュータPC及びマイクロコントローラMCは、モータ電流の監視に関連する機能が所定の時間間隔内に実施されているかどうかを互いに監視する。このため、両方の装置は時間スタンプを交換する。時間スタンプとは、監視されるべき機能の実施後に、それぞれ他の装置に送信される信号と理解され、また機能の実施時点に関する情報、特に機能の実施終了の時点に関する情報を含む。これらの機能の1つの実施が遅すぎる場合、それぞれ他の装置は、機能が実施されていなければならなかったある時点に、対応する時間スタンプが受信されなかったか、あるいは遅すぎる実施の時点に一致する時間スタンプが受信されたことを認識する。両方の場合、装置は「緊急オフ措置」を開始する。
【0070】
座標測定機械の動作中に、例えば規定の動作段階(例えば加速段階)中に、座標測定装置の所定の位置に基づき及び/又は電流監視に関与する装置の動作状態に基づき、電流監視を遮断できることを場合により意図することができる。遮断するために、コンピュータが、所定の信号(例えば、信号の大きさの規定値)を所定の長さの期間にわたって繰り返してマイクロコントローラに伝送することが要求される。確認のため、マイクロコントローラは、少なくとも所定の期間の終わりに信号をコンピュータに再び送信して戻す。コンピュータがこの信号を受信したときに初めて、コンピュータの電流監視が解除される。それぞれ反対の信号方向でも(マイクロコントローラは、当該期間を超えて繰り返して所定の信号を送信する、等々)選択的に同一の手順を実施して、マイクロコントローラの電流監視を遮断することができる。この手順は、電流監視(すなわち、少なくとも実際の電流限界値の検出、及び実際のモータ電流が限界値に達し及び/又はそれを超えたかどうかの点検)が、好ましい実施形態の場合に当てはまるように、マイクロコントローラでも実施される場合、必要である。この場合、好ましくは、監視されるべき電気モータの各々のためのコンピュータに、またそれぞれ電気モータに付設されたマイクロコントローラに(複数又はすべてのエンジンに対し唯一のマイクロコントローラでも可能)、次の値又は信号を利用できる。
i)実際の速度の検出のためのタコ信号、
ii)座標測定機械それ自体によって検出された座標測定装置の速度の実際値、
iii)モータ電流の実際の測定された電流値、
iv)それぞれの電気モータに割り当てられる運動成分の目標速度値。
【0071】
i)及び/又はii)ならびにiv)から予想される電流限界値の検出によって、及びiii)から測定された値との比較によって、測定された値が妥当であるかどうかが点検される。
【0072】
コンピュータ及びマイクロコントローラの両方が別個に電流監視を実施する実施形態では、例えば、妨げのない動作の場合の較正操作で検出された電流値に関する情報を両方の装置に利用できる。コンピュータが利用できるデータは、例えば、コンピュータの固定ディスクに記憶される。マイクロコントローラが利用できるデータは、例えば、メモリ及びマイクロコントローラの両方が配置されるカードのフラッシュメモリに記憶される。したがって、コンピュータ及びマイクロコントローラは、別個にかつ互いに独立して電流限界値を検出することができる。データは、改変から保護されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】門構造の座標測定機械の図面である。
【図2】モータ電流が電気モータに供給される出力段(最終段)を有する構成の概略図である。
【図3】座標測定機械の簡単な動作例の時間の関数としての速度及び電流限界値の図面である。
【図4】モータ電流の測定値の処理における測定行程の図面である。
【図5】コンピュータと、モータ電流を監視するための少なくとも1つのマイクロコントローラとを有する構成の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標測定機械(11)を操作するための方法であって、少なくとも1つの電気モータ(M)によって駆動される前記座標測定機械(11)の座標測定装置(5)、特に測定ヘッドが少なくとも1つの方向に動くことが可能であり、また前記方法が、次のステップ、すなわち、
(a)前記電気モータ(M)の運動、このようにして、前記座標測定装置(5)の運動を行うために、前記電気モータ(M)を通して流れる駆動電流が測定されるステップと、
(b)前記電気モータ(M)の運動又は前記座標測定装置(5)の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて、前記駆動電流について限界値(IT)又は限界値帯が検出されるステップと、
(c)前記駆動電流が前記検出された限界値(I)に達した場合及び/又は前記駆動電流が前記検出された限界値(I)を超えた場合又は前記限界値帯から離れた場合、前記駆動電流により前記座標測定装置(5)が所定の状態に設定されるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記駆動電流が、所定の長さの時間間隔にわたって前記検出された限界値(I)に連続的に達し及び/又はそれを超えた場合、前記駆動電流が遮断される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1によるステップ(c)で、駆動電流として、ステップ(a)で検出された前記測定値の時間的な変動を平滑化した後に得られる値が使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一方で前記目標速度及び/又は前記目標加速度と、他方で前記電流限界値との間の関数関係が、次に列挙したパラメータ、すなわち、周囲温度、前記座標測定機械(11)の部分の1つ、固定座標系の前記座標測定装置(5)の位置、前記被測定物に対する又は測定構造の他の部分に対する前記座標測定装置(5)の相対位置、及び/又は前記座標測定機械(11)の動作状態の1つ又は複数に関係する1つ又は複数のパラメータによってさらに決定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動電流が遮断される前に、前記駆動電流の電流方向が最初に反転される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記座標測定装置(5)の運動を行うために、複数の電気モータ(M)が設けられ、前記電気モータ(M)の運動を前記座標測定装置(5)の運動の運動成分に一義的に割り当てることができ、請求項1による前記ステップ(a)〜(c)が前記複数の電気モータ(M)の各々について別個に実施され、ステップ(b)の前記目標速度及び/又は目標加速度を前記運動成分のためにそれぞれ使用でき、また前記目標速度及び/又は目標加速度に基づき前記限界値(I)がそれぞれ検出される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1によるステップ(a)で測定された前記駆動電流の少なくとも1つの値が、前記座標測定機械(11)の動作中に、特に前記座標測定装置(5)の運動中に前記駆動電流の測定の測定誤差を点検するために、予想値と比較される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記予想値が、前記目標速度と前記目標加速度とを使用して検出される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記座標測定装置(5)が対象物による妨げなしに自由に動かされる前記座標測定機械(11)の較正操作中に、様々な速度値の駆動電流及び/又は前記座標測定装置(5)の加速度の通常の値が測定かつ記憶され、前記座標測定機械(11)の動作の前に通常の値から、前記目標速度及び/又は前記目標加速度の様々な値の前記駆動電流の限界値が確定される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記座標測定装置(5)の速度及び加速度が、較正操作中に、前記座標測定機械(11)の固有の動作のために設けられた座標を決定するための評価装置(PC)を使用して及び/又は前記電気モータ(M)のタコ信号を使用して決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの電気モータ(M)によって駆動されて少なくとも1つの方向に動くことが可能な座標測定装置(5)、特に測定ヘッドを有する座標測定機械(11)であって、前記座標測定機械(11)が、次のもの、すなわち、
(a)前記電気モータ(M)の運動、このようにして、前記座標測定装置(5)の運動を行うために、前記電気モータ(M)を通して流れる駆動電流を測定するように形成される電流測定装置(IM)と、
(b)前記電気モータ(M)の運動又は前記座標測定装置(5)の運動が進行すべき目標速度に基づいて及び/又は目標加速度に基づいて、前記駆動電流の限界値(I)又は限界値帯を検出するように形成される目標値検出装置(PC、MC)と、
(c)前記電流測定装置及び前記目標値検出装置と結合され、また前記駆動電流が前記検出された限界値(I)に達した場合、及び/又は前記駆動電流が前記検出された限界値(I)を超えた場合又は前記駆動電流が前記限界値帯から離れた場合、前記座標測定装置(5)を所定の状態に設定するように形成される操作装置と、
を備える座標測定機械。
【請求項12】
前記操作装置が遮断装置(PC、SW1、MC、SW2)を備え、前記遮断装置が前記電流測定装置及び前記目標値検出装置と結合され、かつ前記駆動電流が前記検出された限界値(I)に達した場合、及び/又は前記駆動電流が前記検出された限界値(I)を超えた場合又は前記駆動電流が前記限界値帯から離れた場合、前記駆動電流を遮断するように形成される、請求項11に記載の座標測定機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−524032(P2009−524032A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550703(P2008−550703)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000584
【国際公開番号】WO2007/082779
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(504258804)カール ツァイス インドゥストリエレ メステヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (11)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Industrielle Messtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl Zeiss Strasse 22, D−73447 Oberkochen,Germany
【Fターム(参考)】