説明

廃トナー回収装置及び画像形成装置

【課題】スクリューの折れや曲がりによる廃トナー搬送不良の発生を防止する。
【解決手段】廃トナー回収装置を構成する廃トナー回収容器7内に液体100を収納する。液体100として水を使用することができ、また、液体100に高極性溶媒や界面活性剤からなる第2の液体150を混合したものを使用することができる。第2の液体150は液体100の収納された第1の収納容器141とは別の第2の収納容器142に収納しておき、最初に廃トナーTが満杯になったときヒートシール144を抜き取り混合液160とする。満杯となった廃トナーTは、混合液160に溶け込んだり沈殿したりして、第1の収納容器141に更に廃トナーTを回収でき、この間に廃トナー回収容器7の交換を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー画像の形成に伴って発生した廃トナーを回収する廃トナー回収装置およびこの廃トナー回収装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターは、カラー化、高速化が図られ、電子写真式の画像形成装置では、4連タンデム方式の画像形成装置が主流となってきている。
【0003】
しかしながら、4連タンデム方式の画像形成装置では、感光体、帯電、現像およびクリーニングを含む作像ユニットが4つ並ぶこととなり、また、中間転写ベルトまたは転写ベルトが必要となり、従来よりも、多くのユニットを機械本体(画像形成装置本体)に収める必要がある。それ故に、ともすると、機械が大型化してしまい、省スペース化、小型化が大きな課題となっている。
【0004】
また、廃トナーに関しては、クリーニング回収トナーの発生する場所が、4つの作像ユニットだけでなく転写ユニットも加わって5箇所となり、さらに廃トナー量も増加して、その回収トナーの処理のために配管および廃トナー回収ボトル(廃トナー回収ボトル容器)のスペースが必要となり、さらなる省スペース化、廃トナーボトルの効率的な配置および高効率充填化による小型化が大きな課題となっている。
【0005】
そこで、廃トナー回収ボトルの充填率を上げるために、廃トナー回収ボトル内に、搬送スクリューやアジテータ等の回転部材を設けることが多くなった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。さらに、低コスト化のために、廃トナー回収ボトル(以下、単に「回収ボトル」ともいう)をブロー成形で成形することも増えてきた。また廃トナーを収容するための廃トナーボックスに対して、ボックス内で廃トナーが偏った状態で溜まることを防止するために、廃トナーボトルに振動を付与する機構を設けている機構も知られている。(例えば特許文献3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブロー成形品の回収ボトルは、成形時の残留応力が大きく、高温ストレスが加わった時や経時により収縮することがある。そのため、回収ボトル内に搬送スクリューなどの回転部材を配置すると、応力緩和による収縮のため、回転部材が曲がってしまうことがあり、そのまま放置されると回転部材が塑性変形を起こしてしまい、回転時に振れ回り異音を発生させたりすることとなる。
【0007】
また、廃トナー回収容器内に廃トナーが多く溜まることでスクリューが高ストレスを受け折れ搬送不良が発生する不具合も発生されていた。さらに廃トナーボトルにスクリューを設けることで大きくコストがかかり、さらに材質を折れにくい材質に変更すると廃トナーボトルのコストが一層上がるという問題があった。
【0008】
また、スクリューが無い場合では振動を与えて廃トナーの偏りを防ぐこともできるが、効率的に偏りを防止するためには大きな振動を加える必要があり、騒音の問題が発生した。さらに、横方向に長い等の廃トナー回収容器の形状によっては振動だけでは十分に廃トナー回収容器内のトナーを均一化することができなかった。
【0009】
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであり、小型化及び低価格化を図りつつ高い効率で廃トナーを収納することができる廃トナー回収装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、像担持体と像担持体からトナーを除去するクリーニング手段で除去された廃トナーを収容すると共に収納した廃トナーを移送する回転部材を配置した廃トナー回収容器を備える廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器には液体を蓄留したことを特徴とする廃トナー回収装置である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器を振動させる手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器を傾ける手段を有する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置において、液体は水またはトナーと混ざり合わない水溶液であることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置において、液体は2種類以上の液体を混合して構成したものであることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5に記載の廃トナー回収装置において、前記液体は、水と高極性溶媒又は界面活性剤とを混合したものであることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6に記載の廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器に水を収納しておき、極性溶媒又は界面活性剤を収納する前記廃トナー回収容器とは別の収納容器と、前記収納容器内の極性溶媒又は界面活性剤を前記廃トナー回収容器内の水に混合する混合手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項7に記載の廃トナー回収装置において、前記収納容器の極性溶媒又は界面活性剤は廃トナー回収容器が廃トナーで満杯になったとき水に混合されることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、廃トナー回収容器内に液体を入れているので、廃トナーを効率よく分散したり、廃トナーを液体中に沈殿、溶解させたりすることができ、廃トナー回収装置の小型化、低価格化を図りつつ高い効率で廃トナーを収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図2】廃トナー回収容器を示す斜視図である。
【図3】実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【図4】第2の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【図5】第3の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【図6】第4の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【図7】第5の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【図8】第5の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る廃トナー回収装置は、像担持体と像担持体からトナーを除去するクリーニング手段で除去された廃トナーを収容する廃トナー回収容器を備える廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器には液体を蓄留したものである。本例によれば、廃トナー回収容器内に液体が収納されているので、廃トナー回収容器内に回転部材を配置した場合、回転部材への負荷を低減させることができ、回転部材の折れや曲がりによる廃トナー搬送不具合を防ぐことができ、廃トナーを搬送できないことで起こる画像形成装置の停止を防止できる。
【0022】
本発明の廃トナー回収装置は、前記廃トナー回収容器を振動させる手段を有するものとできる。本例によれば、廃トナー回収容器を振動させるに際して、廃トナー回収容器内に液体を格納しているため、小さな振幅の振動で廃トナーを均一化して運搬することができ、大きな振動を加えることで発生する騒音を防止できる。
【0023】
本発明の廃トナー回収装置において、前記廃トナー回収容器を傾ける手段を有するものとできる。本例によれば、廃トナー回収容器を傾斜させて廃トナーの均一化が図れ、廃トナーの搬送が容易となる。この際、廃トナー回収容器に液体を格納しているため廃トナー回収容器の傾斜は小さくてもよい。また廃トナー回収容器の中に回転部材を配置しなくても充分に廃トナーの均一化を図ることができ、回転部材設置のためのコストを低減できる。
【0024】
本発明の廃トナー回収装置において、液体は水またはトナーと混ざり合わない水溶液とすることができる。本例によれば、トナーと液体が混ざり合わないため、回転部材での運搬や振動による廃トナーの運搬が容易になる。また、安価でありふれた水を使用することで容易かつ安価に実現することできる。
【0025】
本発明の廃トナー回収装置において、液体は2種類以上の液体を混合して構成したものとでき、この液体は、水と高極性溶媒又は界面活性剤とを混合したものとすることができる。更に前記廃トナー回収容器に水を収納しておき、極性溶媒又は界面活性剤を収納する前記廃トナー回収容器とは別の収納容器と、前記収納容器内の極性溶媒又は界面活性剤を前記廃トナー回収容器内の水に混合する混合手段とを備えるものとできる。そして、前記混合は、収納容器が廃トナーで満杯となったときとできる。
【0026】
本例によれば、液体をトナーが混ざり合うものとし、廃トナーを収容できる容量を増やし廃トナー回収容器の交換サイクルを延ばすことができる。また、廃トナー満杯による廃トナー回収容器交換によるダウンタイムを減らすことが可能となる。
【実施例】
【0027】
実施例に係る画像形成装置について説明する。以下、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0028】
まず、実施例に係る画像形成装置であるカラープリンタの全体構成および動作を説明する。図1は実施例に係る画像形成装置を示す断面図である。図1に示すように、カラープリンタ1の本体ケース2内には、画像形成手段もしくは作像手段としてのプリンタエンジン3と、露光手段としての光ビームを射出する光書込装置4と、被転写体であるシート状の記録媒体の一例としての用紙Pを収納するシート収納手段としての給紙カセット5と、トナー画像が転写された用紙Pを定着処理する定着手段としての定着装置6と、トナー画像を転写した後、感光体クリーニング装置としてのクリーニング装置11等によって回収された廃トナーを収容する廃トナー回収容器7等が設けられている。
【0029】
プリンタエンジン3は、トナー画像を形成し、形成したトナー画像を用紙(シート状の記録媒体)Pに転写するものであり、トナー画像を担持して回転する像担持体としての4つの感光体8、各感光体8の周囲にそれぞれ配置された帯電装置としての帯電ローラ9、現像装置10、クリーニング装置11、像担持体および被転写体である中間転写体としての中間転写ベルト13、感光体8とは中間転写ベルト13を介して当接するように配置された一次転写装置としての一次転写ローラ12、中間転写ベルト13上の転写画像を用紙Pに転写する二次転写装置としての二次転写ローラ14、中間転写ベルト13に残留するトナーを回収するベルトクリーニング装置15等を備えて構成されている。
【0030】
ここで、本明細書および図面の記載において、Y、C、M、Kの符号の添え字は、各々イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの色を示しており、これらの添え字は必要に応じて省略する。本例では、4つの感光体8は、図1において左からこの順に、8Y、8C、8M、8Kの順に配置されている。
【0031】
感光体8は、円筒状を呈しており、図示しない駆動モータに連結され、駆動モータからの駆動力により中心線回りに回転する。感光体8の外周面には、静電潜像が形成される感光層が設けられている。帯電ローラ9は、感光体8の外周面に当接して配置されるか、または感光体8の外周面と微小な隙間をもって配置されている。
【0032】
帯電ローラ9には電源部(図示せず)から電圧が印加され、帯電ローラ9と感光体8との間でコロナ放電が発生し、感光体8の外周面が一様に帯電される。光書込装置4は、画像データに応じた光ビームを出射し、一様に帯電された感光体8の外周面を露光する。この露光により、感光体8の外周面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0033】
現像装置10は、感光体8に対して現像剤としてのトナーを供給する。供給されたトナーは、感光体8の外周面に形成されている静電潜像に付着し、感光体8の外周面上の静電潜像がトナー画像として顕像化される。
【0034】
中間転写ベルト13は、樹脂フィルムまたはゴムを基体として形成されたループ状の無端ベルトからなり、駆動ローラ16とテンションローラ17と入口ローラ18との回りに巻回され、駆動モータ(図示せず)に連結された駆動ローラ16が回転駆動することにより、図中左方向(反時計回り方向)に回転する。
【0035】
テンションローラ17と入口ローラ18とは、中間転写ベルト13が回転することにより中間転写ベルト13との摩擦力によって従動回転する。一次転写ローラ12は、中間転写ベルト13の内周面側(ループの内側)に配置されており、これらの一次転写ローラ12に転写用電圧が印加されることによって各感光体8上のトナー画像が中間転写ベルト13に転写される。各感光体8上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト13上に順次転写され、重ね合わされ、中間転写ベルト13上にはカラーのトナー画像が形成される。
【0036】
クリーニング装置11は、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後の感光体8の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後に感光体8の外周面上に残留しているトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0037】
中間転写ベルト13上に形成されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト13と二次転写ローラ14とが当接された転写位置に用紙Pが送り込まれたタイミングで二次転写ローラ14に転写用電圧が印加されることにより、用紙Pに転写される。
【0038】
用紙Pは、給紙カセット5から給紙されて搬送ローラ19やレジストローラ20により搬送され、トナー画像を転写された後、定着装置6に送り込まれる。トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置6内で熱と圧力とを加えられて定着処理され、この定着処理により溶融したトナー画像が用紙Pに定着する。定着処理が終了した用紙Pは、本体ケース2の上面部に形成された排紙トレイ21上に排紙される。
【0039】
ベルトクリーニング装置15は、カラーのトナー画像が用紙Pに転写された後の中間転写ベルト13の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像の転写後に中間転写ベルト13の外周面上に残留したトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
【0040】
クリーニング装置11およびベルトクリーニング装置15で回収された廃トナーは、図中ハッチングを施して示す廃トナー回収容器7に投入され、ここに貯溜される。
【0041】
図2は廃トナー回収容器を示す斜視図である。廃トナー回収容器7は、図2に示すように、廃トナー供給口28に接続された廃トナーパイプ26により各色のクリーニング装置から廃トナーが搬送されている。廃トナーパイプ26には各クリーニング装置から開口31を介して廃トナーが投入される。
【0042】
図3は実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。本例では、廃トナー回収容器7には、回転部材としてスクリュー110が配置されている他、液体100として水が格納されている。この液体100は、スクリュー110を浸す程度か、液面101がスクリュー110より上側にする程度の量が収納されている。
【0043】
ここで、一般にトナーは疎水性であり水に浮くため、スクリュー110には廃トナーTに接触せず、スクリュー110は水を攪拌するだけとなる。このため、スクリュー110に廃トナーが凝集するなどしてスクリュー110が折れて廃トナー搬送不良を起こすことがない。本実施例ではスクリュー110は液体100に振動を加え、主に廃トナーTを分散させる。前記スクリュー110の回転方向や制御方法、スクリューの形状も多様な態様を選択できるものであるが、本例では、スクリューは液体に振動を加えられれば足りる。また、回転部材としてスクリュー以外の機構を採用することができる。
【0044】
次に第2の実施例について説明する。図4は第2の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。本実施例に係る廃トナー回収装置は、スクリュー等の回転部材を備えないものである。廃トナー回収容器の作成に当たっては、廃トナー回収容器よりも中にスクリュー等の回転部材を設けることで多くのコストがかかる。そこで、本例では、回転部材を備えないようにしてコストの大幅な削減を図っている。
【0045】
しかしながら機械の小型化による、ユニットの省スペース化により廃トナー回収容器も底の浅く、幅広い容器などが多いため、重力方向と垂直な方向への廃トナーの搬送はスクリューが必要とされた。また振動でトナーを搬送するにためには前記のようなボトルでは大きな振動が必要であり、騒音などの不具合を起こしてしまうことがある。
【0046】
本例では、液体100として水を廃トナー回収容器7内に格納する。上述のようにトナーは水に浮くため、水に振動を与えればトナーを分散できることとなる。本例では、廃トナー回収容器7に加振手段120を配置して、廃トナー回収容器7に振動を与えて廃トナーTを液体100の液面101を移動させる。本例によれば、軽微な振動でより効果的に液面に振動を与えることができ、ひいてはトナーに振動を与えて移動させることができる。加振手段としては、偏芯錘を備えるモータ、圧電素子を使用した振動素子を採用することができる。
【0047】
次に第3の実施例について説明する。図5は第3の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。本例に係る廃トナー回収装置では、廃トナー回収容器7内に液体100として水を収納する。また、廃トナー回収容器7の一端側の下部に廃トナー回収容器7に傾斜を与える手段として偏芯して回転駆動される円盤状のカム130を配置している。廃トナー回収容器7の多端は固定台131に配置される。
【0048】
本例では、カム130を回転させることにより、断続的に廃トナー回収容器7の角度を変えることができる。例えば図5(a)に示すように、廃トナー回収容器7の一端側に配置された廃トナー供給口28の下部に廃トナーTが蓄積したとき、カム130を回転する。この動作により、図5(b)に示すように、廃トナー回収容器7の角度を変更して、液面101上で廃トナーTが移動させる。さらに図5(c)に示すように、カム130の位置を戻すことで廃トナーTは、廃トナー供給口28の反対側に廃トナーTを移送することができる。
【0049】
この廃トナーTを移送する処理を水がない状態で行うと、廃トナー回収容器7を大きく傾けなければならないが、廃トナー回収容器7に水を収納していることで、廃トナー回収容器7を水平よりもわずかに傾ければ足りる。
【0050】
本実施例では、傾いた場所に設置された場合などに対して廃トナー回収容器7が水平状態であることを検知する制御を行うことが好ましい。もちろん振動を与えるだけでも廃トナーを分散可能であるため、水平方向の維持は必ずしも必要ない。
【0051】
次に第4の実施例について説明する。図6は第4の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。本例は、廃トナー回収容器7をカム130で駆動すると共に、廃トナー回収容器7の傾きを検知してカム130の動作を制御し、廃トナー回収容器7を振動させるものである。本例では、廃トナー回収容器7を傾斜動させる前記カム130を配置すると共に、固定台131には廃トナー回収容器7の位置を検出する位置センサー132と、廃トナー回収容器7を支持する突起133とを設けている。本例では、突起133はネジ部材として高さ調整可能に構成される。また、位置センサー132は、廃トナー回収容器7がカム130側を下にして傾いた場合にONとなり、逆側に傾いた場合にOFFとなる光素子を使用することができる。
【0052】
そして、カム130の回転により、位置センサー132でONとOFFとが交互に出力されるように、突起133の高さを調整しておく。突起133がねじ部材で構成されており例えば右回転で上昇し、左回転で下降するとするなら、カム130が回転し、位置センサー132の出力がONのみ出力する場合は突起133を右回転させて廃トナー回収容器7を上昇させ、位置センサー132の出力がOFFのみ出力する場合は突起133を右回転して廃トナー回収容器7を下降させる。突起133を調整して位置センサー132がONとOFFとを繰り返し出力するにする。本例によれば、廃トナー回収容器7がカム130の回転で振動し、廃トナーTを液体100の液面101で効率よく分散させることができる。
【0053】
次に第5の実施例について説明する。図7及び図8は第5の実施例に係る廃トナー回収装置を示す断面図である。本例は予め分離して収納した第1の液体と、第2の液体を所定のタイミングで混合するものである。
【0054】
本例に係る廃トナー回収容器7は、第1の収納容器141と、この第1の収納容器141の上部に連通孔143を介して配置された第2の収納容器142とを備えて構成されている。そして、第1の収納容器141には第1の液体100として例えば水を収納しておき、第2の収納容器142には第2の液体150として極性溶剤又は界面活性剤を収納しておく。第2の液体としては、水に加えたときに水の上に浮かんでいるトナーを溶解させたり、沈殿させたりすることが望ましく、エタノールのようなアルコール類や市販されている液体洗剤を使用することができる。
【0055】
また、本例では、前記連通孔143はヒートシール144で仕切られており、このヒートシール144はオペレータの操作で取り外すことができる。また、第1の収納容器141には廃トナーTの収納状態を検出し、廃トナーTが第1の収納容器141に満杯になったことを検知する満杯センサー145が配置されている。この満杯センサー145は例えば光学的センサーであり、図中奥に向けて入射する光が廃トナーTで遮られたとき廃トナーTが満杯になったものとして信号を発生し、満杯である旨は例えば図示していないコントロールパネルにその旨が表示される。
【0056】
このような廃トナー回収装置において、満杯センサー145が満杯信号を発生し、コントロールパネルに表示されたとき、前記第2の液体150を第1の液体100に投入する。この例では、ユーザがヒートシール144を手動で連通孔143から抜き取り、2種類の液体100,140を混合する。なお、前記満杯センサー145の信号に基づいて自動でヒートシールを巻き取り、自動的に加えるようしてもよい。
【0057】
ヒートシール144が抜き取られると、第2の液体150は連通孔143を通って第1の収納容器141内に落下し、液体100に混合される。液体100に第2の液体150が混合されと、図8に示すように、第1の液体100に浮いていた廃トナーTは、混合液160に溶解したり、沈殿したりして、第1の収納容器141の満杯状態は解消し、第1の収納容器141内にさらに廃トナーを回収することが可能となる。
【0058】
従って第2の液体150を第1の液体100に混合する前に、満杯センサー145で廃トナーの満杯状態を検出した場合、ヒートシール144を引き抜き第2の液体150を第1の液体100に混合することで、さらに廃トナーを第1の収納容器141に回収することができる。このように、本例では、満杯センサー145で最初の満杯状態を検出したとき、ユーザがヒートシール144を引き抜いて第1の収納容器141の満杯状態が解消している間にサービスマンが廃トナー回収容器を交換するようにでき、廃トナーが満杯状態になったことに起因する画像形成装置の停止を回避することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
2 本体ケース
3 プリンタエンジン
4 光書込装置
5 給紙カセット
6 定着装置
7 廃トナー回収容器
8 感光体
9 帯電ローラ
10 現像装置
11 クリーニング装置
12 一次転写ローラ
13 中間転写ベルト
14 二次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 駆動ローラ
17 テンションローラ
18 入口ローラ
19 搬送ローラ
20 レジストローラ
21 排紙トレイ
26 廃トナーパイプ
28 廃トナー供給口
31 開口
100 液体(第1の液体)
101 液面
110 スクリュー(回転部材)
120 加振手段
130 カム
131 固定台
132 位置センサー
133 突起
141 第1の収納容器
142 第2の収納容器(別の収納容器)
143 連通孔
144 ヒートシール
145 満杯センサー
150 第2の液体
160 混合液
P 用紙
T 廃トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2006−85112号公報
【特許文献2】特開2009−63765号公報
【特許文献3】特開2005‐331832号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と像担持体からトナーを除去するクリーニング手段で除去された廃トナーを収容する廃トナー回収容器を備える廃トナー回収装置において、
前記廃トナー回収容器には液体を蓄留したことを特徴とする廃トナー回収装置。
【請求項2】
前記廃トナー回収容器を振動させる手段を有することを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収装置。
【請求項3】
前記廃トナー回収容器を傾ける手段を有する請求項1又は請求項2に記載の廃トナー回収装置。
【請求項4】
液体は水またはトナーと混ざり合わない水溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置。
【請求項5】
液体は2種類以上の液体を混合して構成したものであることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置。
【請求項6】
前記液体は、水と高極性溶媒又は界面活性剤とを混合したものであることを特徴とする請求項5に記載の廃トナー回収装置。
【請求項7】
前記廃トナー回収容器に水を収納しておき、極性溶媒又は界面活性剤を収納する前記廃トナー回収容器とは別の収納容器と、前記収納容器内の極性溶媒又は界面活性剤を前記廃トナー回収容器内の水に混合する混合手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の廃トナー回収装置。
【請求項8】
前記収納容器の極性溶媒又は界面活性剤は廃トナー回収容器が廃トナーで満杯になったとき水に混合されることを特徴とする請求項7に記載の廃トナー回収装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の廃トナー回収装置を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191523(P2011−191523A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57620(P2010−57620)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】