建築物防水方法及び建築物防水構造
【課題】建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる建築物防水方法及びその構造を提供すること。
【解決手段】建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられるボウウインドウ5との間を防水する方法及びその構造であって、ボウウインドウ5と前記外面とに跨ってボウウインドウ5と前記外面に沿う形状に形成された防水シート23及び前記防水シート23に設けられた粘着層(24,25)を有するシート状防水役物22を用意して、ボウウインドウ5を前記外面に取り付ける際に、防水シート23を粘着層(24,25)で前記外面及びボウウインドウ5に粘着固定することにより、前記建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられるボウウインドウ5との間を防水した後、シート状防水役物22をカバー(笠木板金32)で覆う方法としている。
【解決手段】建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられるボウウインドウ5との間を防水する方法及びその構造であって、ボウウインドウ5と前記外面とに跨ってボウウインドウ5と前記外面に沿う形状に形成された防水シート23及び前記防水シート23に設けられた粘着層(24,25)を有するシート状防水役物22を用意して、ボウウインドウ5を前記外面に取り付ける際に、防水シート23を粘着層(24,25)で前記外面及びボウウインドウ5に粘着固定することにより、前記建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられるボウウインドウ5との間を防水した後、シート状防水役物22をカバー(笠木板金32)で覆う方法としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法及び建築物防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からユニット建物には、建築物外壁の外面に出窓やバルコニー等その他の付帯設備を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
この様な建築物外壁の外面と付帯設備との間の防水方法として、ユニット工法のような事前に防水がされている外壁面に対し、現地で出窓を取り付ける場合はシートを外壁側から出してきて出窓側に貼り付ける、またはコーキングにて現地防水をするのが一般的である。
【特許文献1】実公平7−21811号公報
【特許文献1】実開平5−42575号公報
【特許文献1】特開2004−84354号公報
【特許文献1】特開2004−116160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、長期における信頼性の高い防水を行うためにはシート類の防水が望ましい。しかし、複雑な屋根形状と外壁部の防水になると、シートでは部品公差・施工誤差を考えると、信頼性の高い防水を行うことが難しい。また、外壁面材を貼ってある状態で、複雑な形状の防水ラインを形成したい場合に、信頼性の高いシートでの防水は難しい。複雑な形状の防水ラインに対応できるコーキング防水では長期の信頼性に不安が残る。
【0005】
更に、テープで貼り付ける方法をとると、外壁仕上に更にカバーをかけないとテープの防水性を保持できないし、下地状況によりテープの種類がかなり制限される。
【0006】
そこで、本発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる建築物防水方法及び建築物防水構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法であって、前記付帯設備と前記外面とに跨って前記付帯設備と前記外面に沿う形状に形成された防水シート及び前記防水シートに設けられた粘着層を有する防水役物を用意して、前記付帯設備を前記外面に取り付ける際に、前記防水シートを前記粘着層で前記外面及び前記付帯設備に粘着固定することにより、前記建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水した後、前記防水役物をカバーで覆う建築物防水方法としたことを特徴とする。
【0008】
また、上述した目的を達成するため、請求項2の発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水役物で防水する建築物防水構造であって、前記防水役物は、前記付帯設備と前記外面とに跨る形状に形成された防水シートと、前記防水シートに設けられ且つ前記防水シートを前記外面に粘着固定している粘着層を有すると共に、カバーで覆われている建築物防水構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この建築物防水方法及びその構造によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、ユニット建物(建築物)1は、1階の建物ユニット2と、1階の建物ユニット2の上に組み付けられた建物ユニット3と、建物ユニット3上に組み付けられた屋根ユニット4を有する。この建物ユニット2,3の外壁2a,3aの外面及び屋根ユニット4の外壁4aの外面は、工場で組み立てる際に防水処理が施されている。
【0011】
また、図1,図2においてユニット建物1は、一階の建物ユニット2の外壁2aの外面(外壁面)に取り付けられた出窓であるボウウインドウ(付帯設備)5を有する。
【0012】
このボウウインドウ5は、図1に示した外面形状が多角形状で且つ円弧状の床パネル6と、床パネル6の縁部に沿って多角形状且つ円弧状に配設された多数(複数)の主枠7を有する。また、ボウウインドウ5は、図1,図2に示したように、主枠7内に設けられた建具7aと、主枠7,7間に配設された方立8と、主枠7と外壁2aとの間に設けられた袖壁9と、主枠7及び袖壁9に縁部が支持された屋根パネル10を有する。尚、屋根パネル10は図7〜図11に示したような笠木10aを有し、この笠木10a(図1,図2では図示略)は図1,図2の各主枠7の上に配設される。そして、この各笠木(図1では図示せず)が笠木板金10bでカバーされている。
【0013】
この屋根パネル10は、図3に示したように、側部が袖壁9の下袖壁部9aの上端に天井フレーム11及び支持フレーム12を介して取り付けられている。また、この屋根パネル10は、周縁が主枠7の配列形状と同様に多角形状に形成された下支持パネル13と、下支持パネル13上に設けられた屋根フレーム14を有する。
【0014】
この屋根フレーム14は、図3,図4に示したように支持パネル13の縁部に沿って配設された縁フレーム14aと、縁フレーム14aに間隔をおいて取り付けられた多数の支持部材14bを有する。この支持部材14bは、高さが縁フレーム14aよりも低く形成されている。
【0015】
更に、屋根パネル10は、屋根フレーム14の多数の支持部材14b上に取り付けられた上支持パネル15と、縁フレーム14a上に取り付けられた仕上材16と、上支持パネル15上に配設された防水紙17と、防水紙17上に配設された塩ビ鋼板製の屋根床板18を有する。
【0016】
この防水紙17は、周縁から上方に延びて縁フレーム14a及び仕上材16の側面に密接(当接)する起立部17aと、仕上材16の上面に密接(当接)する水平部17bを有する。また、屋根床板18は、鋼板の両面(上下面)を塩化ビニール樹脂層で被覆したもので、図3,図4に示したように周縁から上方に仕上材16の上端部近傍まで延びるフランジ(起立部)18aを有する。
【0017】
また、屋根床板18の建物ユニット2側の縁部には、図1,図2に示したように縁部に沿って左右両端まで延びる集水溝18bが形成されている。しかも、屋根床板18は集水溝18b側に傾斜させられていて、屋根床板18上に降った雨等は矢印Bで示すように集水溝18bに向けて流れるようになっている。
【0018】
また、上述した縁フレーム14a,仕上材16は袖壁本体Wの一部として設けられている。即ち、図7〜図10に示したように、縁フレーム14a,仕上材16は、下袖壁部9a,支持フレーム12,下支持パネル13等と共に袖壁本体Wを構成している。更に、外壁2aには、袖壁本体Wの端面に対向して入隅水切りシート19が接着又は粘着固定されている。この入隅水切りシート19は、建物ユニット2の上端まで延設されている。また、図7〜図10に示したように、縁フレーム14aの上端部には、上端及び外面に開口する切欠14cが形成されている(図3参照)。
【0019】
また、袖壁本体Wの断面Waと水切りシート19との間には、図5,図7〜図9に示したように袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に開放する縦溝20が形成されている。この縦溝20内には、図5,図8のように上下に延びるスポンジチューブがシール材21として挿入されている。このシール材21は、断面Waと外壁2aに弾接して、袖壁本体Wの段面Waと外壁2aとの間をシールしている。しかも、シール材21の上端は仕上材16の上端と一致させられている。このシール材21の周囲に変成シリコン材等のコーキング材(図示せず)を充填する。
【0020】
更に、袖壁本体Wの外面には、図9のようにシート状防水役物(入隅シート役物)22が配設されている。このシート状防水役物22は、図12に示したように、樹脂製で帯状の防水シート23を有する。
【0021】
この防水シート23は、袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に設けられた外面側縦シート部23aと、外面側縦シート部23aの上端に連設され且つ仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17bに沿う横シート部(上シート部)23bと、横シート部23bに連設され且つ防水紙17の起立部17aの外面に沿う床板側縦シート部23cを有する。しかも、防水シート23は、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床面側縦シート部23cから略逆L字状に形成されている。
【0022】
また、防水シート23は、横シート部23b及び床板側縦シート部23cに垂直に連設された壁取付シート部23dを有する。尚、外面側縦シート部23aは、壁取付シート部23d側に位置し折り曲げ線Lに沿って折り曲げ可能な折代部23a1を有する。
【0023】
更に、シート状防水役物22は、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cの一側部に跨って袖壁本体W側に設けられた粘着層24と、壁取付シート部23dの外壁2a側の面に設けられた粘着層25を有する。
【0024】
尚、図12に示したように、粘着層24,25の外面には、搬送等の取扱のために剥離シート24a,25aが貼り付けられている。
【0025】
この剥離シート24a,25aは、ユニット建物1の組立現場で防水シート23を袖壁本体Wと建物ユニット2との入隅部の防水に用いる際、防水シート23の粘着層24,25から剥離される。
【0026】
そして、防水シート23の外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cは、粘着層24を介して袖壁本体Wの外面,仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17b,防水紙17の起立部17aにそれぞれ粘着固定されている。また、防水シート23の壁取付シート部23dは、図5,図6に示したように粘着層25を介して入隅水切りシート19に粘着固定されている(図9参照)。
【0027】
さらに、袖壁本体Wの外面側には、図3に示したような外装仕上パネル(化粧板)26が袖壁9の一部として取り付けられている。この外装仕上パネル26は、パネル本体27の外面に多数のタイル27aを上端部近傍の部分まで貼り付けた構成を有している。このパネル本体27の上端部には、図10に示したように切欠14cに対応させる切欠27aが形成されている。
【0028】
また、この外装仕上パネル26の上端部外面には付庇28が図示しない皿木ビス等で固定されている。この付庇28は、縦板部28aと、縦板部28aの上端部に一体に固定された庇部28bを有する。尚、付庇28は、建設現場で外装仕上パネル26に取り付けられる。
【0029】
しかも、付庇28の両側面とこれに対向する部分との間には変成シリコン材(図示せず)が防水のために充填され、付庇28を縦板部28aの上端部に固定している皿木ビスの頭部も変成シリコン材で防水されている。更に、付庇28の縦板部28aの外面には断面L字状のタイル29が貼り付けられている。
【0030】
更に、庇部28bの上面と仕上材16の上面は略同じ高さに設けられている。そして、図3に示したように付庇28の上面と袖壁本体Wの上面は、両端部30a,30bが庇部28bの先端面と屋根床板18のフランジ18aの外面とに粘着固定された防水テープ30で覆われている。
【0031】
また、この防水テープ30上には断面L字状の壁当たり板金31が載置され、防水テープ30のフランジ18a側の端部外面には壁当たり板金31の一端に設けた縦板部31aが当接している。この壁当たり板金31は、鋼板を塩化ビニールで被覆したものである。
【0032】
そして、壁当たり板金31の上面は、鋼板を塩化ビニールで被覆した笠木板金32によりカバーされている。この笠木板金32には、図3に示したように、付庇28の外面側に位置する縦水切り板部32aと、屋根床板18側に位置する縦水切り板部32bを有する。この縦水切り板部32aは、庇部28bの先端面より下方まで延設されて、下端部がタイル29の上端部外面に臨ませられている。
【0033】
また、付庇28には防水シート23を避けた位置に図10,図11の挿通孔33が形成されている。この挿通孔33は、図3のようにパネル本体27の上端部に設けた切欠14cに切欠27aを介して連設されている。
【0034】
この挿通孔33には上述した排水溝18bに水密に接続された箱樋34が図3の如く取り付けられている。そして、この箱樋34には、図示しない位置で集水用の角マス35が図1,図2のように接続され、この角マス35には縦樋36が取り付けられている。
【0035】
この様な入隅防水構造は、ボウウインドウ5の両端の入隅部(袖壁を設けた部分)に設けられる。この際、角マス35や縦樋36は図1,図2に示したように一方(右側)の付庇28に設ければよい。従って、図1,図2のボウウインドウ5の矢印C1で示した左側の図示しない袖壁には角マス35や縦樋36を設けないので、この部分に取り付けられる縁フレーム(図示せず)や外装パネル(図示せず)には上述した切欠14c,27aを設ける必要はなく、付庇(図示せず)にも上述した切欠14c,挿通孔33は設ける必要はない。
[作用]
次に、このような構成のボウウインドウ5と建物ユニット2との入隅防水構造の構築方法及びその作用を説明する。
(1)入隅防水構造の構築方法
袖壁本体Wを取り付ける前に、建物ユニット2の外壁2aの袖壁本体Wに対向させる外面に入隅水切りシート19を上下に向けて貼り付ける。この入隅水切りシート19の上下端は、外壁2aの上下端まで延設する。そして、ボウウインドウ5を組立ながら、袖壁本体Wの端面が外壁2aに当接するように、袖壁本体Wをボウウインドウ5の端に組み付ける。
【0036】
次に、上支持パネル15上に防水紙17を配設し、この防水紙17の周縁から上方に起立させた起立部17aを縁フレーム14a及び仕上材16の側面に密接(当接)させた後、水平部17bを仕上材16の上面に密接(当接)させ、屋根床板18のフランジ18aを防水紙17の起立部17aに当接させる。この状態では、袖壁本体Wと水切りシート19との間には、図5〜図8に示したように袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に開放する縦溝20が形成される。
【0037】
この縦溝20内に上下に延びるスポンジチューブをシール材21として挿入して、このシール材21を断面Waと外壁2aに弾接させ、袖壁本体Wの段面Waと外壁2aとの間をシールさせると共に、シール材21の上端を仕上材16の上端と一致させる。このシール材21の周囲に変成シリコン材等を図11のチューブChから押し出してを充填すると共に、袖壁本体Wの外壁2aへの当接部に変成シリコン材等を塗布して防水する。
【0038】
この後、シート状防水役物22の防水シート23を袖壁本体Wに貼り付ける。即ち、シート状防水役物22の剥離シート24a,25aを防水シート23の粘着層24,25から剥離する。そして、剥離シート24a,25aが剥離された防水シート23を、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cが粘着層24を介して袖壁本体Wの外面,仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17b,防水紙17の起立部17aにそれぞれ粘着固定する。一方、防水シート23を、壁取付シート部23dが粘着層25を介して入隅水切りシート19に粘着固定する。
【0039】
次に、袖壁本体Wの外面側に図3に示したような外装仕上パネル(化粧板)26を取り付ける。この外装仕上パネル26の上端部外面に付庇28を図示しない皿木ビス等で固定する。そして、付庇28の両側面とこれに対向する部分との間には変成シリコン材(図示せず)を防水のために充填し、付庇28を縦板部28aの上端部に固定している皿木ビスの頭部にも変成シリコン材を塗布して防水する。更に、防水テープ30の両端部を庇部28bの先端面と屋根床板18のフランジ18aの外面とに粘着固定して、付庇28の上面と袖壁本体Wの上面を防水テープ30で覆う。
【0040】
そして、防水テープ30上には断面L字状の壁当たり板金31を載置し、防水テープ30のフランジ18a側の端部外面に壁当たり板金31の一端に設けた縦板部31aを当接させる。次に、この壁当たり板金31の上面は、鋼板を塩化ビニールで被覆した笠木板金32によりカバーする。この後、付庇28の挿通孔33に箱樋34を取り付けて、この箱樋34を排水溝18bに接続し、この箱樋34に集水用の角マス35を接続し、この角マス35に縦樋36を取り付ける。
(2)入隅防水構造の作用
上述した入隅防水構造において屋根床板18上に降った雨水は、屋根床板18の傾斜に沿って矢印B方向に流れ、屋根床板18の外壁2a側の排水溝18bに捕集された後、箱樋34,角マス35及び縦樋36を介して排水される。
【0041】
一方、外壁2aに貼り付けた入隅水切りシート19と笠木板金32との間に浸入する雨水の一部は、シート状防水役物22の壁取付シート部23dに沿って屋根床板18側に流れた後、排水溝18bに捕集されて、箱樋34,角マス35及び縦樋36を介して排水される。また、入隅水切りシート19と笠木板金32との間に浸入する雨水の残りは袖壁本体Wの外面に沿って流下する。
【0042】
このように建物側外壁面材下から防水シート(入隅水切りシート19)を出してきて、出窓(ボウウインドウ5)側からも防水シート23を出してジョイントする。複雑な形状部では下地材に対し防水シート先端の役物形状防水テープを貼り付けることにより、防水をする。下地であれば接着する防水テープに制限は少ない。役物部は現地でカバーをつけ、防水性能を保持する。
【0043】
また、複雑な形状の防水ラインに対して、防水ラインを簡易化し、シートを建物外壁側からと出窓側から出し、それぞれのシート先端部の粘着層同士を貼り合せることにより防水ラインを形成する。複雑に防水ラインが入り組む部分は出窓側から出すシートを形状にあわせ役物化し、下地に対して貼りつける。出窓屋根面は仕上材(笠木板金32)をつけるため、防水耐久性能上も、意匠上も問題ない。
(変形例)
また、図13に示したようにシート状防水役物37の防水シート38を上下に二分割して縦水切りシート39と上部水切りシート40とにし、この縦水切りシート39と上部水切りシート40とを接合シート41で接合した構成としても良い。
【0044】
この上部水切りシート40は、逆U字状のシート部40aと、シート部40aの一側部に垂直に連設された壁取付シート部40bと、この壁取付シート部40bに垂直に且つ縦水切りシート39と平行に連設された壁取付シート部40cを有する。そして、縦水切りシート39の幅bはシート部40aの他端から壁取付シート部40cの端までの寸法cと同じに形成されている。
【0045】
そして、防水シート38の両側部には粘着層42,43が設けられ、壁取付シート部40bのシート部40aとは反対側の面には粘着層44が設けられ、シート部40aの壁取付シート部40b側の側部には粘着層45が設けられている。
【0046】
このシート状防水役物37は、建物ユニット46の出隅の防水に用いられる。例えば、付帯設備(図示せず)が建物ユニット46の外壁46aの一面に設けられ、この付帯設備の袖壁の外側面が建物ユニットの外壁46に垂直な外壁46bの外面と面一に設けられている場合、付帯設備の袖壁の外面に粘着層42を介して縦水切りシート39の一側部が粘着固定され、外壁46bに粘着層43を介して縦水切りシート39の他側部が粘着固定される。
【0047】
また、外壁46aに壁取付シート部40bが粘着層45を介して粘着固定され、外壁46bに粘着層43を介して壁取付シート部40cが粘着固定され、逆U字状のシート部40aは粘着層42,45を介して図示しない付帯設備の袖壁に取り付けられる。尚、搬送時には粘着層42〜45に図示しない剥離シートが貼り付けられる。
【0048】
このようなシート状防水役物37も取付方法は上述した実施例と実質的に同じであり、シート状防水役物37を有する防水構造の作用も上述した実施例と実質的に同じであるので、その説明は省略する。
【0049】
以上説明したように、この発明の実施の形態の建築物防水方法は、建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水する方法であって、前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面とに跨って前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面に沿う形状に形成された防水シート23及び前記防水シート23に設けられた粘着層(24,25)を有する防水役物(シート状防水役物22)を用意して、前記付帯設備(ボウウインドウ5)を前記外面に取り付ける際に、前記防水シート23を前記粘着層(24,25)で前記外面及び前記付帯設備(ボウウインドウ5)に粘着固定することにより、前記建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水した後、前記防水役物(シート状防水役物22)をカバー(笠木板金32)で覆う方法としている。
【0050】
この建築物防水方法によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【0051】
また、この発明の実施の形態の建築物防水構造は、建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水役物(シート状防水役物22)で防水する構造であって、前記防水役物(シート状防水役物22)は、前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面とに跨る形状に形成された防水シート23と、前記防水シート23に設けられ且つ前記防水シート23を前記外面に粘着固定している粘着層(24,25)を有すると共に、カバー(笠木板金32)で覆われている。
【0052】
この建築物防水構造によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【0053】
また、この発明の実施の形態の建築物防水方法及びその構造は、ユニット建物(全体図示しない)の建物ユニット46の出隅と付帯設備との間の防水に用いられるシート状防水役物37であっても良い。
【0054】
更に、上述した実施例では、付帯設備としてボウウインドウ5等の出窓にシート状防水役物22,37等を用いるようにした例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、シート状防水役物は、外壁が仕上られている建物において、外壁が仕上られているバルコニーユニット(付帯設備)の手摺壁当たり部の防水に用いることもできる。要は、建物とその付帯設備との間で防水構造が必要な場合には、シート状防水役物は上述した出窓やバルコニーユニット等の付帯設備に限らずに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に係る防水構造を備える建物の一部を示す概略斜視図である。
【図2】図1のボウウインドウの部分拡大斜視図である。
【図3】図1のA1−A1線に沿う断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図2の袖壁本体と建築物外壁及び防水役物との関係を示す水平断面図である。
【図6】図2の袖壁本体と建築物外壁及び防水役物との関係を示す縦断面図である。
【図7】図2の袖壁本体と建築物外壁との関係を示す部分斜視図である。
【図8】図7の縦溝にシール材を配設した状態を示す斜視図である。
【図9】図8の袖壁本体と建築物外壁との間に防水役物を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図10】図9の袖壁本体と外装仕上パネル及び付庇との関係を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示した外装仕上パネル及び付庇を袖壁本体に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】図3,図9に示した防水役物の拡大斜視図である。
【図13】この発明の防水構造に用いる防水役物の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ユニット建物(建築物)
2…建物ユニット
2a…外壁(建築物外壁)
5…ボウウインドウ(付帯設備)
22…シート状防水役物(防水役物)
23…防水シート
24,25…粘着層
32…笠木板金(カバー)
37…シート状防水役物
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法及び建築物防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からユニット建物には、建築物外壁の外面に出窓やバルコニー等その他の付帯設備を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
この様な建築物外壁の外面と付帯設備との間の防水方法として、ユニット工法のような事前に防水がされている外壁面に対し、現地で出窓を取り付ける場合はシートを外壁側から出してきて出窓側に貼り付ける、またはコーキングにて現地防水をするのが一般的である。
【特許文献1】実公平7−21811号公報
【特許文献1】実開平5−42575号公報
【特許文献1】特開2004−84354号公報
【特許文献1】特開2004−116160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、長期における信頼性の高い防水を行うためにはシート類の防水が望ましい。しかし、複雑な屋根形状と外壁部の防水になると、シートでは部品公差・施工誤差を考えると、信頼性の高い防水を行うことが難しい。また、外壁面材を貼ってある状態で、複雑な形状の防水ラインを形成したい場合に、信頼性の高いシートでの防水は難しい。複雑な形状の防水ラインに対応できるコーキング防水では長期の信頼性に不安が残る。
【0005】
更に、テープで貼り付ける方法をとると、外壁仕上に更にカバーをかけないとテープの防水性を保持できないし、下地状況によりテープの種類がかなり制限される。
【0006】
そこで、本発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる建築物防水方法及び建築物防水構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法であって、前記付帯設備と前記外面とに跨って前記付帯設備と前記外面に沿う形状に形成された防水シート及び前記防水シートに設けられた粘着層を有する防水役物を用意して、前記付帯設備を前記外面に取り付ける際に、前記防水シートを前記粘着層で前記外面及び前記付帯設備に粘着固定することにより、前記建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水した後、前記防水役物をカバーで覆う建築物防水方法としたことを特徴とする。
【0008】
また、上述した目的を達成するため、請求項2の発明は、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水役物で防水する建築物防水構造であって、前記防水役物は、前記付帯設備と前記外面とに跨る形状に形成された防水シートと、前記防水シートに設けられ且つ前記防水シートを前記外面に粘着固定している粘着層を有すると共に、カバーで覆われている建築物防水構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この建築物防水方法及びその構造によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、ユニット建物(建築物)1は、1階の建物ユニット2と、1階の建物ユニット2の上に組み付けられた建物ユニット3と、建物ユニット3上に組み付けられた屋根ユニット4を有する。この建物ユニット2,3の外壁2a,3aの外面及び屋根ユニット4の外壁4aの外面は、工場で組み立てる際に防水処理が施されている。
【0011】
また、図1,図2においてユニット建物1は、一階の建物ユニット2の外壁2aの外面(外壁面)に取り付けられた出窓であるボウウインドウ(付帯設備)5を有する。
【0012】
このボウウインドウ5は、図1に示した外面形状が多角形状で且つ円弧状の床パネル6と、床パネル6の縁部に沿って多角形状且つ円弧状に配設された多数(複数)の主枠7を有する。また、ボウウインドウ5は、図1,図2に示したように、主枠7内に設けられた建具7aと、主枠7,7間に配設された方立8と、主枠7と外壁2aとの間に設けられた袖壁9と、主枠7及び袖壁9に縁部が支持された屋根パネル10を有する。尚、屋根パネル10は図7〜図11に示したような笠木10aを有し、この笠木10a(図1,図2では図示略)は図1,図2の各主枠7の上に配設される。そして、この各笠木(図1では図示せず)が笠木板金10bでカバーされている。
【0013】
この屋根パネル10は、図3に示したように、側部が袖壁9の下袖壁部9aの上端に天井フレーム11及び支持フレーム12を介して取り付けられている。また、この屋根パネル10は、周縁が主枠7の配列形状と同様に多角形状に形成された下支持パネル13と、下支持パネル13上に設けられた屋根フレーム14を有する。
【0014】
この屋根フレーム14は、図3,図4に示したように支持パネル13の縁部に沿って配設された縁フレーム14aと、縁フレーム14aに間隔をおいて取り付けられた多数の支持部材14bを有する。この支持部材14bは、高さが縁フレーム14aよりも低く形成されている。
【0015】
更に、屋根パネル10は、屋根フレーム14の多数の支持部材14b上に取り付けられた上支持パネル15と、縁フレーム14a上に取り付けられた仕上材16と、上支持パネル15上に配設された防水紙17と、防水紙17上に配設された塩ビ鋼板製の屋根床板18を有する。
【0016】
この防水紙17は、周縁から上方に延びて縁フレーム14a及び仕上材16の側面に密接(当接)する起立部17aと、仕上材16の上面に密接(当接)する水平部17bを有する。また、屋根床板18は、鋼板の両面(上下面)を塩化ビニール樹脂層で被覆したもので、図3,図4に示したように周縁から上方に仕上材16の上端部近傍まで延びるフランジ(起立部)18aを有する。
【0017】
また、屋根床板18の建物ユニット2側の縁部には、図1,図2に示したように縁部に沿って左右両端まで延びる集水溝18bが形成されている。しかも、屋根床板18は集水溝18b側に傾斜させられていて、屋根床板18上に降った雨等は矢印Bで示すように集水溝18bに向けて流れるようになっている。
【0018】
また、上述した縁フレーム14a,仕上材16は袖壁本体Wの一部として設けられている。即ち、図7〜図10に示したように、縁フレーム14a,仕上材16は、下袖壁部9a,支持フレーム12,下支持パネル13等と共に袖壁本体Wを構成している。更に、外壁2aには、袖壁本体Wの端面に対向して入隅水切りシート19が接着又は粘着固定されている。この入隅水切りシート19は、建物ユニット2の上端まで延設されている。また、図7〜図10に示したように、縁フレーム14aの上端部には、上端及び外面に開口する切欠14cが形成されている(図3参照)。
【0019】
また、袖壁本体Wの断面Waと水切りシート19との間には、図5,図7〜図9に示したように袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に開放する縦溝20が形成されている。この縦溝20内には、図5,図8のように上下に延びるスポンジチューブがシール材21として挿入されている。このシール材21は、断面Waと外壁2aに弾接して、袖壁本体Wの段面Waと外壁2aとの間をシールしている。しかも、シール材21の上端は仕上材16の上端と一致させられている。このシール材21の周囲に変成シリコン材等のコーキング材(図示せず)を充填する。
【0020】
更に、袖壁本体Wの外面には、図9のようにシート状防水役物(入隅シート役物)22が配設されている。このシート状防水役物22は、図12に示したように、樹脂製で帯状の防水シート23を有する。
【0021】
この防水シート23は、袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に設けられた外面側縦シート部23aと、外面側縦シート部23aの上端に連設され且つ仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17bに沿う横シート部(上シート部)23bと、横シート部23bに連設され且つ防水紙17の起立部17aの外面に沿う床板側縦シート部23cを有する。しかも、防水シート23は、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床面側縦シート部23cから略逆L字状に形成されている。
【0022】
また、防水シート23は、横シート部23b及び床板側縦シート部23cに垂直に連設された壁取付シート部23dを有する。尚、外面側縦シート部23aは、壁取付シート部23d側に位置し折り曲げ線Lに沿って折り曲げ可能な折代部23a1を有する。
【0023】
更に、シート状防水役物22は、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cの一側部に跨って袖壁本体W側に設けられた粘着層24と、壁取付シート部23dの外壁2a側の面に設けられた粘着層25を有する。
【0024】
尚、図12に示したように、粘着層24,25の外面には、搬送等の取扱のために剥離シート24a,25aが貼り付けられている。
【0025】
この剥離シート24a,25aは、ユニット建物1の組立現場で防水シート23を袖壁本体Wと建物ユニット2との入隅部の防水に用いる際、防水シート23の粘着層24,25から剥離される。
【0026】
そして、防水シート23の外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cは、粘着層24を介して袖壁本体Wの外面,仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17b,防水紙17の起立部17aにそれぞれ粘着固定されている。また、防水シート23の壁取付シート部23dは、図5,図6に示したように粘着層25を介して入隅水切りシート19に粘着固定されている(図9参照)。
【0027】
さらに、袖壁本体Wの外面側には、図3に示したような外装仕上パネル(化粧板)26が袖壁9の一部として取り付けられている。この外装仕上パネル26は、パネル本体27の外面に多数のタイル27aを上端部近傍の部分まで貼り付けた構成を有している。このパネル本体27の上端部には、図10に示したように切欠14cに対応させる切欠27aが形成されている。
【0028】
また、この外装仕上パネル26の上端部外面には付庇28が図示しない皿木ビス等で固定されている。この付庇28は、縦板部28aと、縦板部28aの上端部に一体に固定された庇部28bを有する。尚、付庇28は、建設現場で外装仕上パネル26に取り付けられる。
【0029】
しかも、付庇28の両側面とこれに対向する部分との間には変成シリコン材(図示せず)が防水のために充填され、付庇28を縦板部28aの上端部に固定している皿木ビスの頭部も変成シリコン材で防水されている。更に、付庇28の縦板部28aの外面には断面L字状のタイル29が貼り付けられている。
【0030】
更に、庇部28bの上面と仕上材16の上面は略同じ高さに設けられている。そして、図3に示したように付庇28の上面と袖壁本体Wの上面は、両端部30a,30bが庇部28bの先端面と屋根床板18のフランジ18aの外面とに粘着固定された防水テープ30で覆われている。
【0031】
また、この防水テープ30上には断面L字状の壁当たり板金31が載置され、防水テープ30のフランジ18a側の端部外面には壁当たり板金31の一端に設けた縦板部31aが当接している。この壁当たり板金31は、鋼板を塩化ビニールで被覆したものである。
【0032】
そして、壁当たり板金31の上面は、鋼板を塩化ビニールで被覆した笠木板金32によりカバーされている。この笠木板金32には、図3に示したように、付庇28の外面側に位置する縦水切り板部32aと、屋根床板18側に位置する縦水切り板部32bを有する。この縦水切り板部32aは、庇部28bの先端面より下方まで延設されて、下端部がタイル29の上端部外面に臨ませられている。
【0033】
また、付庇28には防水シート23を避けた位置に図10,図11の挿通孔33が形成されている。この挿通孔33は、図3のようにパネル本体27の上端部に設けた切欠14cに切欠27aを介して連設されている。
【0034】
この挿通孔33には上述した排水溝18bに水密に接続された箱樋34が図3の如く取り付けられている。そして、この箱樋34には、図示しない位置で集水用の角マス35が図1,図2のように接続され、この角マス35には縦樋36が取り付けられている。
【0035】
この様な入隅防水構造は、ボウウインドウ5の両端の入隅部(袖壁を設けた部分)に設けられる。この際、角マス35や縦樋36は図1,図2に示したように一方(右側)の付庇28に設ければよい。従って、図1,図2のボウウインドウ5の矢印C1で示した左側の図示しない袖壁には角マス35や縦樋36を設けないので、この部分に取り付けられる縁フレーム(図示せず)や外装パネル(図示せず)には上述した切欠14c,27aを設ける必要はなく、付庇(図示せず)にも上述した切欠14c,挿通孔33は設ける必要はない。
[作用]
次に、このような構成のボウウインドウ5と建物ユニット2との入隅防水構造の構築方法及びその作用を説明する。
(1)入隅防水構造の構築方法
袖壁本体Wを取り付ける前に、建物ユニット2の外壁2aの袖壁本体Wに対向させる外面に入隅水切りシート19を上下に向けて貼り付ける。この入隅水切りシート19の上下端は、外壁2aの上下端まで延設する。そして、ボウウインドウ5を組立ながら、袖壁本体Wの端面が外壁2aに当接するように、袖壁本体Wをボウウインドウ5の端に組み付ける。
【0036】
次に、上支持パネル15上に防水紙17を配設し、この防水紙17の周縁から上方に起立させた起立部17aを縁フレーム14a及び仕上材16の側面に密接(当接)させた後、水平部17bを仕上材16の上面に密接(当接)させ、屋根床板18のフランジ18aを防水紙17の起立部17aに当接させる。この状態では、袖壁本体Wと水切りシート19との間には、図5〜図8に示したように袖壁本体Wの外面(屋根床板18とは反対側の面)に開放する縦溝20が形成される。
【0037】
この縦溝20内に上下に延びるスポンジチューブをシール材21として挿入して、このシール材21を断面Waと外壁2aに弾接させ、袖壁本体Wの段面Waと外壁2aとの間をシールさせると共に、シール材21の上端を仕上材16の上端と一致させる。このシール材21の周囲に変成シリコン材等を図11のチューブChから押し出してを充填すると共に、袖壁本体Wの外壁2aへの当接部に変成シリコン材等を塗布して防水する。
【0038】
この後、シート状防水役物22の防水シート23を袖壁本体Wに貼り付ける。即ち、シート状防水役物22の剥離シート24a,25aを防水シート23の粘着層24,25から剥離する。そして、剥離シート24a,25aが剥離された防水シート23を、外面側縦シート部23a,横シート部23b,床板側縦シート部23cが粘着層24を介して袖壁本体Wの外面,仕上材16の上面及び防水紙17の水平部17b,防水紙17の起立部17aにそれぞれ粘着固定する。一方、防水シート23を、壁取付シート部23dが粘着層25を介して入隅水切りシート19に粘着固定する。
【0039】
次に、袖壁本体Wの外面側に図3に示したような外装仕上パネル(化粧板)26を取り付ける。この外装仕上パネル26の上端部外面に付庇28を図示しない皿木ビス等で固定する。そして、付庇28の両側面とこれに対向する部分との間には変成シリコン材(図示せず)を防水のために充填し、付庇28を縦板部28aの上端部に固定している皿木ビスの頭部にも変成シリコン材を塗布して防水する。更に、防水テープ30の両端部を庇部28bの先端面と屋根床板18のフランジ18aの外面とに粘着固定して、付庇28の上面と袖壁本体Wの上面を防水テープ30で覆う。
【0040】
そして、防水テープ30上には断面L字状の壁当たり板金31を載置し、防水テープ30のフランジ18a側の端部外面に壁当たり板金31の一端に設けた縦板部31aを当接させる。次に、この壁当たり板金31の上面は、鋼板を塩化ビニールで被覆した笠木板金32によりカバーする。この後、付庇28の挿通孔33に箱樋34を取り付けて、この箱樋34を排水溝18bに接続し、この箱樋34に集水用の角マス35を接続し、この角マス35に縦樋36を取り付ける。
(2)入隅防水構造の作用
上述した入隅防水構造において屋根床板18上に降った雨水は、屋根床板18の傾斜に沿って矢印B方向に流れ、屋根床板18の外壁2a側の排水溝18bに捕集された後、箱樋34,角マス35及び縦樋36を介して排水される。
【0041】
一方、外壁2aに貼り付けた入隅水切りシート19と笠木板金32との間に浸入する雨水の一部は、シート状防水役物22の壁取付シート部23dに沿って屋根床板18側に流れた後、排水溝18bに捕集されて、箱樋34,角マス35及び縦樋36を介して排水される。また、入隅水切りシート19と笠木板金32との間に浸入する雨水の残りは袖壁本体Wの外面に沿って流下する。
【0042】
このように建物側外壁面材下から防水シート(入隅水切りシート19)を出してきて、出窓(ボウウインドウ5)側からも防水シート23を出してジョイントする。複雑な形状部では下地材に対し防水シート先端の役物形状防水テープを貼り付けることにより、防水をする。下地であれば接着する防水テープに制限は少ない。役物部は現地でカバーをつけ、防水性能を保持する。
【0043】
また、複雑な形状の防水ラインに対して、防水ラインを簡易化し、シートを建物外壁側からと出窓側から出し、それぞれのシート先端部の粘着層同士を貼り合せることにより防水ラインを形成する。複雑に防水ラインが入り組む部分は出窓側から出すシートを形状にあわせ役物化し、下地に対して貼りつける。出窓屋根面は仕上材(笠木板金32)をつけるため、防水耐久性能上も、意匠上も問題ない。
(変形例)
また、図13に示したようにシート状防水役物37の防水シート38を上下に二分割して縦水切りシート39と上部水切りシート40とにし、この縦水切りシート39と上部水切りシート40とを接合シート41で接合した構成としても良い。
【0044】
この上部水切りシート40は、逆U字状のシート部40aと、シート部40aの一側部に垂直に連設された壁取付シート部40bと、この壁取付シート部40bに垂直に且つ縦水切りシート39と平行に連設された壁取付シート部40cを有する。そして、縦水切りシート39の幅bはシート部40aの他端から壁取付シート部40cの端までの寸法cと同じに形成されている。
【0045】
そして、防水シート38の両側部には粘着層42,43が設けられ、壁取付シート部40bのシート部40aとは反対側の面には粘着層44が設けられ、シート部40aの壁取付シート部40b側の側部には粘着層45が設けられている。
【0046】
このシート状防水役物37は、建物ユニット46の出隅の防水に用いられる。例えば、付帯設備(図示せず)が建物ユニット46の外壁46aの一面に設けられ、この付帯設備の袖壁の外側面が建物ユニットの外壁46に垂直な外壁46bの外面と面一に設けられている場合、付帯設備の袖壁の外面に粘着層42を介して縦水切りシート39の一側部が粘着固定され、外壁46bに粘着層43を介して縦水切りシート39の他側部が粘着固定される。
【0047】
また、外壁46aに壁取付シート部40bが粘着層45を介して粘着固定され、外壁46bに粘着層43を介して壁取付シート部40cが粘着固定され、逆U字状のシート部40aは粘着層42,45を介して図示しない付帯設備の袖壁に取り付けられる。尚、搬送時には粘着層42〜45に図示しない剥離シートが貼り付けられる。
【0048】
このようなシート状防水役物37も取付方法は上述した実施例と実質的に同じであり、シート状防水役物37を有する防水構造の作用も上述した実施例と実質的に同じであるので、その説明は省略する。
【0049】
以上説明したように、この発明の実施の形態の建築物防水方法は、建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水する方法であって、前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面とに跨って前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面に沿う形状に形成された防水シート23及び前記防水シート23に設けられた粘着層(24,25)を有する防水役物(シート状防水役物22)を用意して、前記付帯設備(ボウウインドウ5)を前記外面に取り付ける際に、前記防水シート23を前記粘着層(24,25)で前記外面及び前記付帯設備(ボウウインドウ5)に粘着固定することにより、前記建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水した後、前記防水役物(シート状防水役物22)をカバー(笠木板金32)で覆う方法としている。
【0050】
この建築物防水方法によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【0051】
また、この発明の実施の形態の建築物防水構造は、建築物外壁(外壁2a)の外面とこれに取り付けられる付帯設備(ボウウインドウ5)との間を防水役物(シート状防水役物22)で防水する構造であって、前記防水役物(シート状防水役物22)は、前記付帯設備(ボウウインドウ5)と前記外面とに跨る形状に形成された防水シート23と、前記防水シート23に設けられ且つ前記防水シート23を前記外面に粘着固定している粘着層(24,25)を有すると共に、カバー(笠木板金32)で覆われている。
【0052】
この建築物防水構造によれば、建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間の防水を簡易に行うことができると共に、信頼性の高い防水を行うことができる。しかも、複雑な形状の防水ラインに対し、長期の信頼性の高い防水が可能になる。
【0053】
また、この発明の実施の形態の建築物防水方法及びその構造は、ユニット建物(全体図示しない)の建物ユニット46の出隅と付帯設備との間の防水に用いられるシート状防水役物37であっても良い。
【0054】
更に、上述した実施例では、付帯設備としてボウウインドウ5等の出窓にシート状防水役物22,37等を用いるようにした例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、シート状防水役物は、外壁が仕上られている建物において、外壁が仕上られているバルコニーユニット(付帯設備)の手摺壁当たり部の防水に用いることもできる。要は、建物とその付帯設備との間で防水構造が必要な場合には、シート状防水役物は上述した出窓やバルコニーユニット等の付帯設備に限らずに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に係る防水構造を備える建物の一部を示す概略斜視図である。
【図2】図1のボウウインドウの部分拡大斜視図である。
【図3】図1のA1−A1線に沿う断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図2の袖壁本体と建築物外壁及び防水役物との関係を示す水平断面図である。
【図6】図2の袖壁本体と建築物外壁及び防水役物との関係を示す縦断面図である。
【図7】図2の袖壁本体と建築物外壁との関係を示す部分斜視図である。
【図8】図7の縦溝にシール材を配設した状態を示す斜視図である。
【図9】図8の袖壁本体と建築物外壁との間に防水役物を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図10】図9の袖壁本体と外装仕上パネル及び付庇との関係を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示した外装仕上パネル及び付庇を袖壁本体に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】図3,図9に示した防水役物の拡大斜視図である。
【図13】この発明の防水構造に用いる防水役物の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ユニット建物(建築物)
2…建物ユニット
2a…外壁(建築物外壁)
5…ボウウインドウ(付帯設備)
22…シート状防水役物(防水役物)
23…防水シート
24,25…粘着層
32…笠木板金(カバー)
37…シート状防水役物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法であって、
前記付帯設備と前記外面とに跨って前記付帯設備と前記外面に沿う形状に形成された防水シート及び前記防水シートに設けられた粘着層を有する防水役物を用意して、前記付帯設備を前記外面に取り付ける際に、前記防水シートを前記粘着層で前記外面及び前記付帯設備に粘着固定することにより、前記建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水した後、前記防水役物をカバーで覆うことを特徴とする建築物防水方法。
【請求項2】
建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水役物で防水する建築物防水構造であって、
前記防水役物は、前記付帯設備と前記外面とに跨る形状に形成された防水シートと、前記防水シートに設けられ且つ前記防水シートを前記外面に粘着固定している粘着層を有すると共に、カバーで覆われていることを特徴とする建築物防水構造。
【請求項1】
建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水する建築物防水方法であって、
前記付帯設備と前記外面とに跨って前記付帯設備と前記外面に沿う形状に形成された防水シート及び前記防水シートに設けられた粘着層を有する防水役物を用意して、前記付帯設備を前記外面に取り付ける際に、前記防水シートを前記粘着層で前記外面及び前記付帯設備に粘着固定することにより、前記建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水した後、前記防水役物をカバーで覆うことを特徴とする建築物防水方法。
【請求項2】
建築物外壁の外面とこれに取り付けられる付帯設備との間を防水役物で防水する建築物防水構造であって、
前記防水役物は、前記付帯設備と前記外面とに跨る形状に形成された防水シートと、前記防水シートに設けられ且つ前記防水シートを前記外面に粘着固定している粘着層を有すると共に、カバーで覆われていることを特徴とする建築物防水構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−308983(P2007−308983A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139660(P2006−139660)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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