説明

建設機械の油圧駆動装置

【課題】簡素かつコンパクトな油圧回路構成でアタッチメント駆動用配管の圧抜き作業を行うことができる建設機械の油圧駆動装置を提供する。
【解決手段】アタッチメント駆動用アクチュエータ22又は23とアタッチメント駆動用制御弁33とを接続するアタッチメント駆動用配管37a,37bに手動式の切替弁39を介設する。切替弁39は、アクチュエータポートA及びバルブポートBを互いに連通し且つ配管ポートC及びタンクポートDを遮断する切替位置X、アクチュエータポートA及びタンクポートDを互いに連通し且つバルブポートB及び配管ポートCを遮断する切替位置Y、並びに配管ポートC及びタンクポートDを互いに連通し且つアクチュエータポートA及びバルブポートBを遮断する切替位置Zのうちのいずれかに切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッシャやブレーカ等のアタッチメントを交換して装着する建設機械に係わり、特に、アタッチメント駆動用配管の圧抜き作業に好適な建設機械の油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の一つである油圧ショベルは、一般に、下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体に俯仰可能に設けられ、ブーム、アーム、及びバケットを含む多関節型の作業機とを備えている。この油圧ショベルの油圧駆動装置は、例えば、エンジン等の原動機によって駆動する油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油によって駆動する複数のアクチュエータ(詳細には、走行用モータ、旋回用モータ、ブーム用シリンダ、アーム用シリンダ、及びバケット用シリンダ等)と、油圧ポンプから複数のアクチュエータへの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁と、操作レバー又は操作ペダルの操作に応じて生成した操作パイロット圧を対応する制御弁に出力する操作手段とを備えている。
【0003】
また、油圧ショベルは、多様な使用目的に対応するため、標準装備のアタッチメントであるバケットに代えて、オプション装備のアタッチメントとしてクラッシャ(圧砕機)、ブレーカ(破砕機)、モア(草刈機)、やオーガ(坑堀機)等を装着可能としている。クラッシャやブレーカ等のアタッチメントにはアタッチメント駆動用アクチュエータが組込まれており、このようなアタッチメントの装着に対応するため、近年の油圧ショベルは、アタッチメント駆動用アクチュエータに接続可能なアタッチメント駆動用配管と、このアタッチメント駆動用配管を介しアタッチメント駆動用アクチュエータに接続して、油圧ポンプからアタッチメント用油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する油圧パイロット式のアタッチメント用制御弁とを予め備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−37087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば油圧ショベルに装着するアタッチメントをクラッシャからブレーカに交換する場合は、アタッチメント駆動用配管からクラッシャ駆動用アクチュエータを取外し、アタッチメント駆動用配管にブレーカ駆動用アクチュエータを装着する。このとき、アタッチメント駆動用配管内に圧油が閉じ込められていると、配管の取外しの際に配管から圧油が噴出する。また、圧油の飛散防止を目的としてアタッチメント駆動用配管の端部にワンタッチカプラ(クイックカプラ)を設けても、配管内の圧油が原因で配管の取外し・装着作業が困難となる。そのため、事前にアタッチメント駆動用配管内の圧油をタンクに戻す圧抜き作業を行う必要があり、これを実現するための構成の簡素化が課題となっていた。
【0006】
本発明の目的は、簡素かつコンパクトな油圧回路構成でアタッチメント駆動用配管の圧抜き作業を行うことができる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、原動機によって駆動する油圧ポンプと、アタッチメント駆動用アクチュエータが組込まれたアタッチメントを建設機械に装着した場合に前記油圧ポンプから前記アタッチメント駆動用アクチュエータへの圧油の流れを制御するアタッチメント駆動用制御弁と、前記アタッチメント駆動用アクチュエータと前記アタッチメント駆動用制御弁との間でそれぞれ接続する第1のアタッチメント駆動用配管及び第2のアタッチメント駆動用配管とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、前記第1のアタッチメント駆動用配管に介設された手動式の切替弁を備え、前記切替弁は、前記第1のアタッチメント駆動用配管を介し前記アタッチメント駆動用アクチュエータに接続されるアクチュエータポート、前記第1のアタッチメント駆動用配管を介し前記アタッチメント駆動用制御弁に接続されたバルブポート、前記第2のアタッチメント駆動用配管に分岐配管を介し接続された配管ポート、及びタンクに接続されたタンクポートを有し、前記アクチュエータポート及び前記バルブポートを互いに連通し且つ前記配管ポート及び前記タンクポートを遮断する第1の切替位置、前記アクチュエータポート及び前記タンクポートを互いに連通し且つ前記バルブポート及び前記配管ポートを遮断する第2の切替位置、並びに前記配管ポート及び前記タンクポートを互いに連通し且つ前記アクチュエータポート及び前記バルブポートを遮断する第3の切替位置のうちのいずれかに切替える。
【0008】
本発明においては、例えば給油双方向式(複動式)のアタッチメント駆動用アクチュエータが組込まれたアタッチメントとしてクラッシャを建設機械に装着した場合、切替弁を第1の切替位置に切替える。これにより、操作手段の操作に応じてアタッチメント駆動用制御弁が油圧ポンプからアタッチメント駆動用アクチュエータへの圧油の流れを制御して(詳細には、第1及び第2のアタッチメント駆動用配管のうちの一方を介し油圧ポンプからの圧油をアタッチメント駆動用アクチュエータへ供給し、第1及び第2のアタッチメント駆動用配管のうちの他方を介しアタッチメント駆動用アクチュエータからの圧油をタンクに戻して)、アタッチメント駆動用アクチュエータを駆動させ、クラッシャを開閉させることができる。そして、クラッシャを取外す際には、切替弁を第2の切替位置に切替えることにより、第1のアクチュエータ駆動用配管内の圧油をタンクに戻して圧抜き作業を行い、また切替弁を第3の切替位置に切替えることにより、第2のアクチュエータ駆動用配管内の圧油をタンクに戻して圧抜き作業を行う。また、例えば給油単方向(単動式)のアタッチメント駆動用アクチュエータを有するアタッチメントとしてブレーカを建設機械に装着した場合には、切替弁を第2の切替位置に切替える。これにより、操作手段の操作に応じてアタッチメント駆動用制御弁が油圧ポンプからアタッチメント駆動用アクチュエータへの圧油の流れを制御して(詳細には、第1のアタッチメント駆動用配管を介しアタッチメント駆動用アクチュエータの一方側をタンクに連通させた状態で、第2のアタッチメント駆動用配管を介し油圧ポンプからの圧油をアタッチメント駆動用アクチュエータへ供給して)、アタッチメント駆動用アクチュエータを駆動させ、ブレーカを駆動させることができる。そして、ブレーカを取外す際には、切替弁を第3の切替位置に切替えることにより、第2のアタッチメント駆動用配管内の圧油をタンクに戻して圧抜き作業を行う。したがって、本発明においては、簡素かつコンパクトな油圧回路構成でアタッチメント駆動用油圧配管の圧抜き作業を行うことができる。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記切替弁は、回転操作式の手動操作レバーを有し、前記手動操作レバーの回転操作範囲を制限して前記第1、第2、及び第3の切替位置にそれぞれ対応する操作位置に位置決めする固定ピン及び着脱可能なボルトを設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡素かつコンパクトな油圧回路構成でアタッチメント駆動用配管の圧抜き作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の適用対象である油圧ショベルの構造を表す側面図であり、オプション装備のアタッチメントとしてクラッシャを装着した場合を示す。
【図2】オプション装備のアタッチメントとしてブレーカを装着した場合を示す油圧ショベルの部分拡大側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における油圧ショベルの油圧駆動装置の要部構成を表す回路図である。
【図4】本発明の一実施形態における切替弁の構造を表す平面図、及び断面S−Sによる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の適用対象である小型の油圧ショベルの構造を表す側面図であり、オプション装備のアタッチメントとしてクラッシャを装着した場合を示す。なお、以降、油圧ショベルが図1に示す状態にて操作者が運転席に着座した場合における操作者の前側(図1中左側)、後側(図1中右側)、左側(図1中紙面に向かって手前側)、右側(図1中紙面に向かって奥側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
【0014】
図1において、油圧ショベルは、左右の履帯(クローラ)1を備えた下部走行体2と、この下部走行体2の上部に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、この上部旋回体3の基礎下部構造をなす旋回フレーム4と、この旋回フレーム4の前部に水平方向に回動可能に取り付けられたスイングポスト5と、このスイングポスト5に上下方向に回動可能に(俯仰可能に)取り付けられた多関節型のフロント作業機6と、旋回フレーム4上の左側に設けられたキャノピータイプの運転室7と、旋回フレーム4上の運転室7以外の大部分を覆う複数のカバー8とを備えている。
【0015】
下部走行体2は、略H字形状のトラックフレーム9と、このトラックフレーム9の左右両側の後端近傍に回転可能に支持された左右の駆動輪10と、これら左右の駆動輪10をそれぞれ回転する左右の走行用モータ11と、トラックフレーム9の左右両側の前端近傍に回転可能に支持され、履帯1を介し駆動輪10の駆動力でそれぞれ回転される左右の従動輪(アイドラ)12とを備えている。
【0016】
トラックフレーム9の前側には、排土用のブレード13が上下動可能に設けられており、ブレード13は、ブレード用シリンダ(図示せず)により上下動するようになっている。また、トラックフレーム9の中央部と旋回フレーム4との間には、旋回輪(図示せず)が設けられており、この旋回輪の径方向内側には、トラックフレーム9に対し旋回フレーム4を旋回させる旋回用モータ(図示せず)が設けられている。
【0017】
スイングポスト5は、垂直ピン(図示せず)を介して旋回フレーム4に対し水平方向に回動可能となっている。そして、スイング用シリンダ14によりスイングポスト5が水平方向に回動し、これによってフロント作業機6が左右にスイングするようになっている。
【0018】
フロント作業機6は、スイングポスト5に回動可能に連結されたブーム15と、このブーム15の先端部に回動可能に結合されたアーム16と、このアーム16の先端部に回動可能に結合されたオプション装備のアタッチメントとしてのクラッシャ17とを備えている。そして、ブーム15、アーム16、及びクラッシャ17は、ブーム用シリンダ18、アーム用シリンダ19、及びアタッチメント回動用シリンダ20により回動するようになっている。クラッシャ17は、標準装備のアタッチメントであるバケット(図示せず)か、若しくは他のオプション装備のアタッチメントであるブレーカ21(図2参照)等と交換可能である。
【0019】
クラッシャ17には給油双方向式(複動式)のクラッシャ駆動用アクチュエータ22(後述の図3参照)が組込まれており、このアクチュエータ22によりクラッシャ17が開閉する。また、ブレーカ21には給油単方向式(単動式)のブレーカ駆動用アクチュエータ23(後述の図3参照)が組込まれており、このアクチュエータ23によりブレーカ21が駆動する。なお、クラッシャ17又はブレーカ21等のアタッチメントを装着した場合にクラッシャ駆動用アクチュエータ22又はブレーカ駆動用アクチュエータ23等に接続するアタッチメント駆動用配管(詳細は後述)がブーム15及びアーム16に沿って延設されている。
【0020】
運転室7には、運転者が着座する運転席(座席)24が設けられている。運転席24の前方には、左右の走行用モータ11をそれぞれ駆動し油圧ショベルの前進又は後進走行等をさせるための手でも足でも操作可能な左右の走行用操作レバー25が設けられている。左の走行用操作レバー25のさらに左側の足元部分には、アタッチメント駆動用アクチュエータ(詳細には、例えばクラッシャ開閉用アクチュエータ22又はブレーカ駆動用アクチュエータ23等)を駆動しアタッチメントを駆動させるためのアタッチメント駆動用操作ペダル26(後述の図3参照)が設けられ、右の走行用操作レバー25のさらに右側の足元部分には、上記スイング用シリンダを駆動しスイングポスト5(言い換えればフロント作業機6全体)を左右にスイングさせるためのスイング用操作ペダル(図示せず)が設けられている。
【0021】
運転席24の左側には、左側又は右側に操作することで上記旋回用モータを駆動し上部旋回体3を左側又は右側に旋回させるとともに、前側又は後側に操作することでアーム用シリンダ19を駆動しアーム16をダンプ又はクラウドさせる十字操作式の操作レバー27と、パイロットポンプ28(後述の図3参照)からの元圧を遮断可能な誤操作防止用のロックレバー29とが設けられている。運転席24の右側には、左側又は右側に操作することでアタッチメント回動用シリンダ20を駆動しアタッチメントを下方向又は上方向に回動させるとともに、前側又は後側に操作することでブーム用シリンダ18を駆動しブーム15を下げ又は上げさせる十字操作式の操作レバー(図示せず)と、上記ブレード用シリンダを駆動しブレード13を上下動させるためのブレード用操作レバー30とが設けられている。
【0022】
上述した左右の履帯1、上部旋回体3、スイングポスト5、ブレード13、ブーム15、アーム16、及びアタッチメント(詳細には、クラッシャ17又はブレーカ21等)は、油圧ショベルに備えられた油圧駆動装置により動作されるものである。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態における油圧ショベルの油圧駆動装置のうち、アタッチメントの駆動等に係わる要部構成を表す回路図である。図4(a)は、切替弁の構造を表す平面図であり、図4(b)は、図4(a)中断面S−Sによる断面図である。
【0024】
これら図3、図4(a)、及び図4(b)において、油圧駆動装置は、エンジン31によって駆動する複数の(但し、図3では1つのみ示す)主油圧ポンプ32及びパイロットポンプ28と、クラッシャ17又はブレーカ21等のアタッチメントをフロント作業機6に装着した場合に主油圧ポンプ28からクラッシャ駆動用アクチュエータ22又はブレーカ駆動用アクチュエータ23等への圧油の流れを制御する油圧パイロット式のアタッチメント駆動用制御弁33と、クラッシャ17又はブレーカ21等の駆動を指示する操作ペダル26を有する油圧パイロット式の操作装置34とを備えている。なお、油圧駆動装置は、図示のように、主油圧ポンプ32からアーム用シリンダ19への圧油の流れを制御する油圧パイロット式のアーム用制御弁35を備え、また図示しないが、主油圧ポンプ32から左右の走行用モータ11、ブレード用シリンダ、旋回用モータ、スイング用シリンダ14、ブーム用シリンダ18、及びアタッチメント回動用シリンダ20への圧油の流れをそれぞれ制御する複数の油圧パイロット式の制御弁を備えている。
【0025】
アタッチメント駆動用制御弁33及びアーム用制御弁35等はセンタバイパス形であり、本実施形態では、センタバイパス流路36を介しアタッチメント駆動用制御弁33及びアーム用制御弁35が直列に接続されている。また、アタッチメント駆動用制御弁33は、アタッチメント駆動用配管37a,37b及び38を介しクラッシャ駆動用アクチュエータ22又はブレーカ駆動用アクチュエータ23等に接続する。
【0026】
操作装置34は、詳細を図示しないが、操作ペダル26の操作方向及び操作量に応じてパイロットポンプ26からの元圧(1次パイロット圧)を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)P1又はP2を出力する一対の減圧弁を有している。そして、操作装置34からの操作パイロット圧P1がアタッチメント駆動用制御弁33の受圧部33aへ出力されると、アタッチメント駆動用制御弁33が図中上側の作動位置に切換えられ、操作装置34からの操作パイロット圧P2がアタッチメント駆動用制御弁33の受圧部33bへ出力されると、アタッチメント駆動用制御弁33が図中下側の作動位置に切換えられる。これにより、クラッシャ駆動用アクチュエータ22又はブレーカ駆動用アクチュエータ23等が駆動するようになっている。
【0027】
ここで本実施形態の大きな特徴として、アタッチメント駆動用配管37a,37bには手動式の切替弁39が介設されている。切替弁39は、アクチュエータポートA、バルブポートB、配管ポートC、及びタンクポートDを有するハウジング40と、ポートA〜Dのうちのいずれか2つを互いに連通するための連通孔41aが形成された弁体41と、この弁体40に接続された回転操作式の手動操作レバー42とを有している。アクチュエータポートAは、アタッチメント駆動用配管37aを介しアタッチメント駆動用アクチュエータ22又は23等に接続され、バルブポートBは、アタッチメント駆動用配管37bを介しアタッチメント駆動用制御弁33に接続され、配管ポートCは、アタッチメント駆動用配管38に分岐配管43を介し接続され、タンクポートDは、タンク44に接続されている。
【0028】
そして、切替弁39は、手動操作レバー42の回転操作に応じて切替位置X,Y,Zのうちのいずれかに切替えられるようになっている。例えば図4(a)で示す手動操作レバー42の操作位置(操作角度θ=0°)では、切替位置Xに切替えられて、アクチュエータポートA及びバルブポーBを互いに連通し且つ配管ポートC及びタンクポートを遮断するようになっている。そして、図4(a)中実線矢印で示すように手動操作レバー42を左回りに90°回転操作すると(言い換えれば、操作角度θ=90°では)、切替位置Yに切替えられて、アクチュエータポートA及びタンクポートDを互いに連通し且つバルブポートB及び配管ポートCを遮断するようになっている。さらに図4(a)中点線矢印で示すように左回りに90°回転操作すると(言い換えれば、操作角度θ=180°では)、切替位置Zに切替えられて、配管ポートC及びタンクポートDを互いに連通し且つアクチュエータポートA及びバルブポートBを遮断するようになっている。
【0029】
また、ハウジング40には、手動操作レバー42の回転操作範囲をθ=0°〜180°に制限する2つの固定ピン45a,45bが設けられ、さらにθ=90°に制限するためのボルト(詳細には、例えば蝶ボルト)46が着脱可能に設けられている。すなわち、固定ピン45aによって手動操作レバー45を操作角度θ=0°〜180°に位置決めできる。また、ボルト46を取付けた場合には、手動操作レバー45を操作角度θ=90°に位置決めでき、ボルト46を取外すことにより、手動操作レバー45を操作角度θ=180°に操作できる。また、固定ピン45bによって手動操作レバー45を操作角度θ=180°に位置決めできるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0031】
例えば油圧ショベルのフロント作業機6にクラッシャ17を装着した場合は、切替弁19を切替位置Xに切替える。これにより、操作ペダル26の操作に応じてアタッチメント駆動用制御弁33が主油圧ポンプ32からクラッシャ駆動用アクチュエータ22への圧油の流れを制御して(詳細には、アタッチメント駆動用配管37a,37b及びアタッチメント駆動用配管38のうちの一方を介し主油圧ポンプ32からの圧油をクラッシャ駆動用アクチュエータ22へ供給し、他方を介しクラッシャ駆動用アクチュエータ22からの圧油をタンク44に戻して)、クラッシャ駆動用アクチュエータ22を駆動させ、クラッシャ17を開閉させることができる。そして、クラッシャ17を取外す際には、切替弁19を切替位置Yに切替えることにより、アクチュエータ駆動用配管37a内の圧油をタンク44に戻して圧抜き作業を行い、また切替弁19を切替位置Zに切替えることにより、アクチュエータ駆動用配管38内の圧油をタンク44に戻して圧抜き作業を行う。このように段階的に圧抜き作業を行うことができる。
【0032】
また、例えば油圧ショベルのフロント作業機6にブレーカ21を装着した場合は、切替弁19を切替位置Yに切替える。これにより、操作ペダル26の操作に応じてアタッチメント駆動用制御弁33が主油圧ポンプ32からブレーカ駆動用アクチュエータ23への圧油の流れを制御して(詳細には、アタッチメント駆動用配管37aを介しブレーカ駆動用アクチュエータ23の一方側をタンク44に連通させた状態で、アタッチメント駆動用配管38を介し主油圧ポンプ32からの圧油をブレーカ駆動用アクチュエータ23へ供給して)、ブレーカ駆動用アクチュエータ23を駆動させ、ブレーカ21を駆動させることができる。そして、ブレーカ21を取外す際には、切替弁19を切替位置Zに切替えることにより、アタッチメント駆動用配管38内の圧油をタンク44に戻して圧抜き作業を行う。
【0033】
以上のように本実施形態においては、簡素かつコンパクトな油圧回路構成でアタッチメント駆動用配管の圧抜き作業を行うことができる。また、既存の油圧ショベルに対しても、切替弁39を容易に組込むことができ、容易に適用することができる。
【0034】
なお、上記一実施形態においては、油圧駆動装置は、操作ペダル26の操作方向及び操作量に応じて操作パイロット圧P1又はP2を出力する減圧弁を有する操作装置34を備え、この操作装置34からの操作パイロット圧P1又はP2をアタッチメント駆動用制御弁33の受圧部33a又は33bに出力するような構成を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、機械的な操作方式以外のアタッチメント駆動用制御弁であれば、本発明を適用する意義があるため、本発明の技術思想を逸脱しない。このような変形例の一つとして、操作ペダル26の操作方向及び操作量に応じて電気操作信号を出力するポテンションメータを有する操作装置を備え、この操作装置からの電気操作信号に基づき電磁比例減圧弁が操作パイロット圧P1又はP2を生成してアタッチメント駆動用制御弁33の受圧部33a又は33bに出力するような構成でもよい。
【0035】
また、上記一実施形態においては、本発明の適用対象として油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば油圧クレーンやブルドーザ等に適用してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
17 クラッシャ
21 ブレーカ
22 クラッシャ駆動用アクチュエータ
23 ブレーカ駆動用アクチュエータ
31 エンジン
32 主油圧ポンプ
33 アタッチメント駆動用制御弁
37a,37b アタッチメント駆動用配管(第1のアタッチメント駆動用配管)
38 アタッチメント駆動用配管(第2のアタッチメント駆動用配管)
39 切替弁
42 手動操作レバー
43 分岐配管
44 タンク
45a 固定ピン
45b 固定ピン
46 ボルト
A アクチュエータポート
B バルブポート
C 配管ポート
D タンクポート
X〜Z 切替位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機によって駆動する油圧ポンプと、アタッチメント駆動用アクチュエータが組込まれたアタッチメントを建設機械に装着した場合に前記油圧ポンプから前記アタッチメント駆動用アクチュエータへの圧油の流れを制御するアタッチメント駆動用制御弁と、前記アタッチメント駆動用アクチュエータと前記アタッチメント駆動用制御弁との間でそれぞれ接続する第1のアタッチメント駆動用配管及び第2のアタッチメント駆動用配管とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、
前記第1のアタッチメント駆動用配管に介設された手動式の切替弁を備え、
前記切替弁は、前記第1のアタッチメント駆動用配管を介し前記アタッチメント駆動用アクチュエータに接続されるアクチュエータポート、前記第1のアタッチメント駆動用配管を介し前記アタッチメント駆動用制御弁に接続されたバルブポート、前記第2のアタッチメント駆動用配管に分岐配管を介し接続された配管ポート、及びタンクに接続されたタンクポートを有し、前記アクチュエータポート及び前記バルブポートを互いに連通し且つ前記配管ポート及び前記タンクポートを遮断する第1の切替位置、前記アクチュエータポート及び前記タンクポートを互いに連通し且つ前記バルブポート及び前記配管ポートを遮断する第2の切替位置、並びに前記配管ポート及び前記タンクポートを互いに連通し且つ前記アクチュエータポート及び前記バルブポートを遮断する第3の切替位置のうちのいずれかに切替えることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動装置において、前記切替弁は、回転操作式の手動操作レバーを有し、前記手動操作レバーの回転操作範囲を制限して前記第1、第2、及び第3の切替位置にそれぞれ対応する操作位置に位置決めする固定ピン及び着脱可能なボルトを設けたことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate