説明

建設機械の燃料タンク

【課題】 ストレーナとゲージを一体化した燃料タンクを提供することを課題とする。
【構成】 建設機械の燃料タンクにおいて、該燃料タンクの上面板に設けた筒状の給油口と、前記給油口内で上下に摺動可能な燃料ストレーナと、該筒状給油口の内側面の上部に設けた係止用のリングと、前記燃料ストレーナの頂部に設けた前記係止用リングと係止する係止部と、前記燃料ストレーナの外面に設けた前記燃料タンク内の燃料量を表示する表示部と、前記燃料ストレーナ下側又は下部に設けたフロートとを具備し、該タンク内の燃料量が少ないときは前記係止部が前記リングと係止状態にあり、燃料量が多いときは前記燃料ストレーナの係止部が上方に浮き上がるように構成したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械の燃料タンクに関するものである。更に詳細には燃料タンクに使用するストレーナ及び燃料量を表示するゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の燃料タンクには燃料油に混入している不純物を除去するストレーナがタンクの給油口に設けられると共に、燃料油の油量を示すゲージが別に設けられている。従来装置では、特許文献に示すように、ストレーナとゲージは別々の部品として構成されていた。例えば、特許文献1、特許文献2等がある。
【特許文献1】公開特許公報、特開2004−217141号公報「建設機械の燃料タンク」
【特許文献2】公開特許公報、特開2007−29804号公報「給油口用ストレーナ」
【0003】
以下に、特許文献1の従来装置について説明する。図3は従来装置を示し、図3(A)は燃料タンクの斜視図を示す。図3(B)は給油口の断面図を示す。図3(A)に示すように、燃料タンク50の上面板51の上側面に給油口52が設けられ、給油口52の開口部52aにストレーナ53が挿入され、キャップ54で密閉されるように構成されている。図3(B)に示すように、給油口52の内部には仕切板61が固着されており、ストレーナ53の上面の開口部にフランジ62が取り付けられ、フランジ62の外周部に半径方向に突起する鍔(ツバ)部63が設けられている。液面計60のガイド竿65をガイドするガイド孔64、64が鍔部63とガイド部66に設けられている。また、ガイド竿65の下端にフロート67が固設されている。
【0004】
以上に説明したように、従来装置ではストレーナ53と液面計60の各々が独立に設けられていた。従って、構成が複雑になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来装置では、ストレーナとゲージは別々の部品として構成していたので、部品数が多くなり、装置が複雑になるだけでなく、コスト高になるという問題があった。本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、ストレーナとゲージを一体として構成することにより、上記問題を解決した燃料タンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するための手段として以下の構成を採用している。即ち、
請求項1に記載の発明は、建設機械の燃料タンクにおいて、該燃料タンクの上面板に設けた筒状の給油口と、前記給油口内で上下に摺動可能な燃料ストレーナと、該筒状給油口の内側面の上部に設けた係止用のリングと、前記燃料ストレーナの頂部に設けた前記係止用リングと係止する係止部と、前記燃料ストレーナの外面に設けた前記燃料タンク内の燃料量を表示する表示部と、前記燃料ストレーナ下側又は下部に設けたフロートとを具備し、該タンク内の燃料量が少ないときは前記係止部が前記リングと係止状態にあり、燃料量が多いときは前記燃料ストレーナの係止部が上方に浮き上がるように構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記燃料量表示は、前記燃料タンクの満タン状態を示す表示からなり、前記燃料ストレーナの外周上部に設け、該タンク内の燃料が満タンになったときは前記燃料ストレーナの上部が前記筒状給油口から突出して満タン状態を容易に読みとれるようにしたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記燃料量表示は、満タン状態及び満タンに近接した状態を示す色表示からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に依れば、ストレーナとフロートを一体化して構成したので、構成が簡単になり、製作が容易になるという効果が得られる。また、請求項3に示すように色マークの表示を付した場合は満タン状態における給油停止作業が容易になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、燃料給油前でタンク内の燃料が少ない状態を示す断面図である。図2は給油後の状態を示す断面図で、タンク内の燃料は満タン状態になっている。図1,2において、燃料タンクの上面板11に給油口12が立設されている。給油口12は給油しないときはキャップ13で密閉されている。図はキャップの断面図を示す。給油口12の内側面上部にはストレーナ20が下方に落ちないように係止用のリング15が固設されている。ストレーナ20は短いリングを縦方向に間隔をおいて連結した格子状の枠体22の内側面に張られた燃料油をろ過するための網21とから構成されている。ストレーナ20の上端には鍔部23が固設されており、燃料油が少ないときは鍔部23が係止用のリング15に制限されて下方に落下しないようにされている。
【0011】
更に、枠体22の下側面に空室25を設けて、フロート26を収納している。なお、空室25を設ける代わりにフロート26を枠体22の下側面に直接固設してもよい。固設方法はネジ止め、溶接、その他の固定方法を利用する。また、枠体22の外周面上部に表示部27を設ける。表示部27は満タン状態を示す表示でも良いし、満タン状態の他に満タン状態に近接した状態を示すようにしても良い。例えば、図2に示すように表示部27の下部27aに赤色を表示し、上部に黄色を表示する。これによって、黄色表示が現れたら満タン状態に接近した事が認識でき、以後給油量を少しにすれば燃料を過剰に給油するのを防止できる。
【0012】
以上に説明したように、本実施形態ではフロート26をストレーナ20の下側に直接設けたので燃料計を別途設ける必要はない。また、構成部品が一体化されるので構造が簡単化されるという効果も得られる。
【0013】
以上本発明の実施形態を図面に基づいて詳述してきたが、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明の実施形態の燃料油供給前の状態を示す。
【図2】同実施形態の燃料油供給後の状態を示す。
【図3】従来装置の燃料タンク(A)、燃料給油口(B)を示す。
【符号の説明】
【0015】
11 燃料タンク上面板
12 燃料油供給口
15 係止用リング
20 ストレーナ
21 燃料油ろ過網
22 ストレーナ枠体
23 係止用鍔部
26 フロート
27 燃料油量表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の燃料タンクにおいて、該燃料タンクの上面板に設けた筒状の給油口と、前記給油口内で上下に摺動可能な燃料ストレーナと、該筒状給油口の内側面の上部に設けた係止用のリングと、前記燃料ストレーナの頂部に設けた前記係止用リングと係止する係止部と、前記燃料ストレーナの外面に設けた前記燃料タンク内の燃料量を表示する表示部と、前記燃料ストレーナ下側又は下部に設けたフロートとを具備し、該タンク内の燃料量が少ないときは前記係止部が前記リングと係止状態にあり、燃料量が多いときは前記燃料ストレーナの係止部が上方に浮き上がるように構成したことを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記燃料量表示は、前記燃料タンクの満タン状態を示す表示からなり、前記燃料ストレーナの外周上部に設け、該タンク内の燃料が満タンになったときは前記燃料ストレーナの上部が前記筒状給油口から突出して満タン状態を容易に読みとれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記燃料量表示は、満タン状態及び満タンに近接した状態を示す色表示からなることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか1に記載の燃料タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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