説明

建設機械

【課題】 尿素水タンクをキャブ内に設けた場合でも、キャブ内の尿素水タンクに外部から尿素水を簡単に補充できるようにする。
【解決手段】 尿素水タンク23をオペレータが搭乗するキャブ10内に配置することにより、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境に配置することができる。この上で、キャブ10の外部から尿素水タンク23に尿素水を供給するための給水口24Aをキャブ10を構成するキャブボックス19の左側面部19Cに開口して設ける構成としている。従って、尿素水タンク23に尿素水を補給する場合でも、オペレータはキャブ10内に入り込むことなく、広いキャブ10の外側から給水ホース24を介して尿素水タンク23に尿素水を簡単に補充することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の窒素酸化物を除去するための尿素選択還元触媒と尿素水タンクを搭載した油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とによって構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造部材をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、前記作業装置の左側に添うように前記旋回フレームの左前側に設けられたキャブとを備えている。
【0004】
そして、キャブ内には、底面となるフロア部材上に運転席が設けられ、該運転席の後側には空調装置の室内機が配設されている。また、キャブの外形をなすキャブボックスには、オペレータが乗降する左側面に、前記室内機が吸込む外気を清浄化するためのフィルタを開閉可能に覆う点検カバーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、油圧ショベルのエンジンにはディーゼルエンジンが用いられている。このディーゼルエンジンは、窒素酸化物(以下、NOxという)等を多く排出するとされている。そこで、ディーゼルエンジンの排気ガスの後処理装置として、NOxを浄化するためのNOx浄化装置がある。このNOx浄化装置は、例えばエンジンの排気管に設けられ排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒と、還元剤としての尿素水溶液を貯える尿素水タンクと、該尿素水タンク内の尿素水溶液を尿素選択還元触媒の上流側に噴射する尿素噴射弁と、前記尿素水タンクと尿素噴射弁とを接続する接続配管とにより大略構成されている。
【0006】
また、尿素水タンク内に貯える尿素水は、凍結、結晶化を防ぐために、例えば4〜60℃程度の温度環境に配置することが望ましい。そこで、尿素タンクは、運転によって熱を発生する熱源となるエンジン、油圧ポンプ、制御弁、油圧モータ、作動油タンク等の近傍に配設している。また、油圧シャベルにおいて、温度環境が安定しているのはオペレータの居住空間となるキャブ内であり、このキャブ内に尿素水タンクを配置する構成としている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−57245号公報
【特許文献2】特開2003−20936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献2によるものでは、尿素水タンクをキャブ内に設けているから、尿素水の凍結、結晶化を防ぐことができる。しかし、キャブ内には、運転席、作業装置を操作する作業レバー、下部走行体を走行させる走行レバー、調和空気を供給する空調装置の室内機等の多くの機器類が配置されているから、キャブ内の尿素水タンクに尿素水を補充するときの作業スペースが狭く、尿素水の補給作業に手間を要してしまう。
【0009】
また、キャブ内には、運転席、各種レバー、室内機等の多くの機器類を設けているから、大きな容量の尿素水タンクを設置することは難しい。このために、尿素水タンクの容量を小さくしなくてはならず、オペレータは尿素水を頻繁に補充しなくてはならないという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、尿素水タンクをキャブ内に設けた場合でも、キャブ内の尿素水タンクに外部から尿素水を簡単に補充できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による建設機械は、走行体の支持構造部材を形成する支持フレームと、該支持フレームの後側に搭載されたエンジンと、前記支持フレームの前側に位置して床面、前,後と左,右の側面および天面からなり該床面上にオペレータが着座する運転席が配置されたキャブと、前記エンジンの排気管に設けられ排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒と、還元剤である尿素水を貯えるために中空な容器からなる尿素水タンクと、該尿素水タンクと前記エンジンの排気管との間を接続する接続配管とを備えている。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記尿素水タンクは、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境として前記キャブ内に配置し、前記キャブ外から前記尿素水タンクに尿素水を供給するための給水口を前記キャブの側面に開口して設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記キャブの床面には、下側に窪ませることによりタンク収容凹部を設け、前記尿素水タンクは、該タンク収容凹部内に収容する構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記給水口は、前記キャブを形成する各側面のうち、オペレータが前記キャブに乗降するときに開閉するドアが設けられる外側の側面であって当該ドアの後側に開口させ、前記外側の側面には、前記給水口を開閉可能に覆う開閉カバーを設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記キャブの床面には、前記運転席の後側に位置して調和空気を供給するための空調装置の室内機を設け、前記尿素水タンクは、少なくとも容器の一部を前記運転席と室内機との間に配置する構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記尿素水タンクは、前側に位置して高さ寸法が低い低タンク部と後側に位置して高さ寸法が高い高タンク部とにより2段階に形成し、前記低タンク部を前記運転席の下側に配置し、高タンク部を前記運転席の後側に配置する構成としたことにある。
【0017】
請求項6の発明は、前記走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記支持フレームは前記上部旋回体の旋回フレームとしたことにある。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、尿素水タンクをキャブ内に配置しているから、尿素水を好ましい温度環境に配置でき、尿素水の凍結、結晶化を防ぐことができる。しかも、キャブ外から尿素水タンクに尿素水を供給するための給水口は、キャブの側面に開口して設けているから、オペレータはキャブ内に入り込むことなく、キャブの外側から給水口を介して尿素水を簡単に補充することができる。この結果、尿素水タンクに対する尿素水の給水作業を容易にすることができ、作業性を向上することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、キャブの床面には、下側に窪ませることによりタンク収容凹部を設け、このタンク収容凹部内に尿素水タンクを収容する構成としている。従って、尿素水タンクは、床面よりも下側のスペースを利用して容量を拡大することができる。この結果、尿素水タンクには、1回の給水で多くの尿素水を貯えることができるから、尿素水を補充する回数を減らすことができ、作業性を向上することができる。また、尿素水タンクをタンク収容凹部内に収容することにより、外部の冷気、熱気から尿素水タンクを保護することができ、尿素水タンクを良好な温度環境に置くことができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、給水口を、オペレータがキャブに乗降するときに開閉するドアが設けられる外側の側面に開口させているから、キャブへの乗降動作と同様の簡単な動作で尿素水の給水位置に着くことができ、尿素水の給水作業を容易に、かつ確実に行うことができる。しかも、キャブの外側の側面には、給水口を開閉可能に覆う開閉カバーを設けているから、給水作業時以外には給水口を覆い隠すことができ、外観上の見栄えを良好にすることができる。また、開閉カバーを施錠した場合には、給水口をいたずらから保護することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、尿素水タンクは、少なくとも容器の一部を運転席と室内機との間に配置する構成としているから、運転席と室内機との間の空間部を利用して尿素水タンクを配置でき、そのタンク容量を大きくすることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、尿素水タンクは、前側の低タンク部と後側の高タンク部とにより2段階に形成することにより、低タンク部を運転席の下側に配置でき、高タンク部を運転席の後側に配置することができる。これにより、運転席の下側、床面の下側および運転席の後側の空間部を利用して尿素水タンクの容量をより一層大きくすることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより構成することができ、支持フレームは上部旋回体の旋回フレームとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体を建屋カバー等を省略した状態で示す平面図である。
【図3】後処理装置の構成をエンジン等と共に示す構成図である。
【図4】図1中のキャブを旋回フレームの一部と共に拡大して示す正面図である。
【図5】図4のキャブを開閉カバーを開いて空調装置の外気フィルタと尿素水タンクの給水口を露出させた状態で示す正面図である。
【図6】キャブの内部構造を拡大して示す横断面図である。
【図7】キャブの内部構造を拡大して示す縦断面図である。
【図8】図7中の尿素水タンク等を拡大して示す外観斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による尿素水タンクを備えたキャブの縦断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による尿素水タンクを備えたキャブの縦断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態による尿素水タンクを備えたキャブの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0026】
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、運転席の下側に尿素水タンクを配置し、この尿素水タンクの下側半分を床面板よりも下側に配置する構成とした場合を例示している。
【0027】
図1において、1は土砂の掘削作業等に用いられる建設機械としての油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に走行体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0028】
また、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、エンジン6、キャブ10、後処理装置20、尿素水タンク23等により大略構成されている。
【0029】
5は支持フレームとしての旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cから左,右方向の外向きに延びた複数本の張出しビーム5Dと、左,右方向の外側に位置して各張出しビーム5Dの先端に取付けられ、前,後方向に延びた左サイドフレーム5E,右サイドフレーム5Fと、前記左前側に位置して後述のキャブ10を支持するキャブ支持部5G(図1参照)とにより強固な支持構造部材として構成されている。
【0030】
6は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン6は、ディーゼルエンジンとして構成され、旋回フレーム5に横置き状態で搭載されている。このエンジン6には、排気ガスを排出するための排気管7が設けられている。
【0031】
ここで、ディーゼルエンジン6は、高効率で耐久性に優れているが、窒素酸化物(NOx)等の有害物質が排気ガスと一緒に排出されてしまう。そこで、排気管7に取付けられる後処理装置20は、図3に示すように、窒素酸化物(NOx)を除去するNOx浄化装置22を収容筒体21内に収容している。
【0032】
8はエンジン6の左側に設けられた熱交換装置(図2参照)で、該熱交換装置8は、エンジン冷却水を冷やすラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン6が吸込む空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。また、9はエンジン6の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ9は、エンジン6によって駆動されることにより、作動油タンク28からの作動油を圧油として吐出するものである。
【0033】
10は旋回フレーム5の左前側に設けられたキャブである。このキャブ10は、油圧ショベル1を運転するためにオペレータが搭乗するもので、後述のフロア部材11、タンク収容凹部13、運転席台座14、運転席15、作業レバー16、走行レバー17、空調装置の室内機18、キャブボックス19等により構成されている。
【0034】
11はキャブ10の底面を構成するフロア部材で、該フロア部材11は、図6、図7に示すように、前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。また、フロア部材11は、その四隅等が防振マウント12(図7中に左側の2個のみ図示)を介して旋回フレーム5の張出しビーム5D、キャブ支持部5Gに支持されている。これにより、フロア部材11に設けられる後述の尿素水タンク23等に旋回フレーム5から伝わる振動を軽減でき、この尿素水タンク23の強度を低く設定することができる。
【0035】
また、フロア部材11には、運転席台座14の下側となる前,後方向の中間位置に四角形状の開口部11Aが形成されている。そして、フロア部材11の開口部11Aには、後述のタンク収容凹部13が設けられている。
【0036】
13はフロア部材11の開口部11Aに設けられたタンク収容凹部である。このタンク収容凹部13は、フロア部材11の前,後方向および左,右方向のほぼ中間部、即ち、開口部11Aの位置を下側に窪ませるように形成されている。また、タンク収容凹部13は、上側が開口した直方体状の箱体として形成され、開口側(上側)の周囲がフロア部材11の開口部11Aに取付けられている。さらに、タンク収容凹部13の上,下方向寸法(深さ寸法)は、旋回フレーム5上でキャブ10が大きく揺れた場合でも、当該タンク収容凹部13の底部側や後述の尿素供給配管26等が底板5A、アンダカバー(図示せず)に干渉しない範囲に設定されている。
【0037】
そして、タンク収容凹部13は、運転席台座14に対し、その前,後方向寸法および左,右方向寸法内にほぼ収まる寸法に形成されている。これにより、タンク収容凹部13内には、運転席15の下側のデッドスペースを利用し、かつ、下側に容積を拡大した状態で後述の尿素水タンク23を収容することができる。また、タンク収容凹部13は、尿素水タンク23の下側を覆うことにより、この尿素水タンク23の全体を外部の冷気や熱気に触れることがないキャブ10の室内、即ち、空調装置によって温度管理された室内環境に置くことができる。
【0038】
14はフロア部材11の前,後方向の中間位置に設けられた運転席台座で、該運転席台座14は、後述の運転席15等を支持するものである。この運転席台座14は、開口部11Aを左,右方向に跨ぐように門型状に形成され、これにより、運転席台座14内には、タンク収容凹部13の上側に位置して尿素水タンク23の上側部分を収めるためのスペースを形成することができる。
【0039】
15は運転席台座14上に設けられた運転席で、該運転席15にはオペレータが着座するようになっている。また、運転席15の左,右両側には、図6に示すように、作業装置4等を操作する左,右の作業レバー16が設けられている。一方、運転席15の前側となるフロア部材11の前部には下部走行体2を走行させるための左,右の走行レバー(ペダル)17が配設されている。
【0040】
18はキャブ10内に設けられた空調装置の室内機である。この室内機18は、送風ファン、エバポレータ、ヒータコア(いずれも図示せず)等を内蔵し、エンジン6側に設けられる室外機(コンデンサ、コンプレッサ等)と接続されている。そして、室内機18は、所望の温度に調整した冷風、温風を調和空気としてキャブ10内に吹き出すことにより、キャブ10内をオペレータが好ましい温度環境に調整するものである。
【0041】
また、室内機18は、運転席15から後方に離間したフロア部材11の後部に配置されている。また、室内機18の左側には、外気ダクト18Aが設けられ、該外気ダクト18Aは後述するキャブボックス19の左側面部19Cの後部下側寄りに接続されている。さらに、外部に開口する外気ダクト18Aの左端部には、開口部を閉塞するように塵埃等を捕捉する外気フィルタ18Bが設けられ、この外気フィルタ18Bが設けられた部位は、後述の開閉カバー19Kによって覆い隠すことができる。
【0042】
19はフロア部材11上に設けられたキャブボックスで、該キャブボックス19は、フロア部材11上に運転室を画成するものである。また、キャブボックス19は、図4、図6、図7等に示すように、前面部19A、後面部19B、左側面部19C、右側面部19D、天面部19Eによりボックス状に形成され、前,後と左,右の側面となる前面部19A、後面部19B、左側面部19C、右側面部19Dの下部がフロア部材11の周囲に取付けられている。
【0043】
また、左,右方向の外側に位置する左側面部19Cには、前,後方向の中間部に位置して上,下方向に延びるセンタピラー19Fが設けられ、該センタピラー19Fよりも前側に位置してオペレータが出入りする乗降口19Gが設けられている。この乗降口19Gは、センタピラー19Fに回動可能に取付けられたドア19Hによって開閉することができる。
【0044】
一方、ドア19Hよりも後側に位置する左側面部19Cの後側位置には、室内機18の外気ダクト18Aが接続され、該ダクト18Aの接続部位とセンタピラー19Fとの間には、後述する給水ホース24の給水口24Aを取付けるための給水口取付部19Jが設けられている。このように、オペレータが乗降するキャブボックス19の左側面部19Cに尿素水の給水口24Aを設けたことにより、キャブ10への乗降動作と同様の簡単な動作で尿素水の給水位置に着くことができ、尿素水の給水作業を容易に、かつ確実に行うことができる。
【0045】
さらに、外気ダクト18Aの接続部(外気フィルタ18B)、給水口取付部19Jは、外部に露出すると見栄えが良くない。そこで、左側面部19Cには、外気ダクト18Aの接続部、給水口取付部19Jを覆い隠すと共に、メンテナンス作業時、給水作業時には開放することができる開閉カバー19Kを設けている。この開閉カバー19Kは、例えばセンタピラー19Fに回動可能に取付けられ、いたずらを防止するために施錠することもできるようになっている。
【0046】
次に、本実施の形態の特徴部分となるNOx浄化装置22等を備えた後処理装置20の構成について述べる。
【0047】
20はエンジン6の排気管7に接続して設けられた後処理装置である。この後処理装置20は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元剤となる尿素水溶液を用いて浄化する後述のNOx浄化装置22を備えるものである。そして、後処理装置20は、後述の収容筒体21、NOx浄化装置22等により大略構成されている。
【0048】
21は後処理装置20の収容筒体で、該収容筒体21は、前,後方向に延びた中空な筒体として形成され、該収容筒体21の内部にはNOx浄化装置22の尿素選択還元触媒22Aと酸化触媒22Bとを収容している。また、収容筒体21は、その上流側(前側)がエンジン6の排気管7に接続されている。
【0049】
22は収容筒体21内に設けられたNOx浄化装置である。このNOx浄化装置22は、尿素水溶液を利用して排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化するものである。また、NOx浄化装置22は、例えば収容筒体21内の上流側に収容された尿素選択還元触媒22Aと、該尿素選択還元触媒22Aの下流側に配置された酸化触媒22Bと、尿素選択還元触媒22Aの上流側、例えば排気管7に設けられた尿素噴射弁22Cとにより大略構成されている。また、尿素噴射弁22Cは、後述の尿素供給配管26、供給ポンプ27を介して尿素水タンク23に接続されている。
【0050】
ここで、NOx浄化装置22は、尿素噴射弁22Cにより排気ガス中に尿素水溶液を噴射し、尿素選択還元触媒22Aにより尿素水溶液から生成されたアンモニアを用いて排気ガス中のNOxを還元反応させ、水と窒素に分解する。そして、酸化触媒22Bによって排気ガス中のアンモニアを低減させるものである。
【0051】
次に、エンジン6とは離れたキャブ10内に設けられた第1の実施の形態による尿素水タンク23について、図3ないし図8を参照しつつ述べる。
【0052】
図3において、23はNOx浄化装置22を構成する尿素水タンクで、該尿素水タンク23は、尿素選択還元触媒22Aの上流側に噴射するための尿素水溶液を貯えるものである。そして、尿素水タンク23は、キャブ10内に配設され、これにより、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境、例えば4〜60℃の範囲に置かれている。また、尿素水タンク23は、多数の側面からなる多面型容器として形成され、後述の尿素供給配管26、供給ポンプ27を介して尿素噴射弁22Cに接続されている。
【0053】
即ち、尿素水タンク23は、図9等に示すように、前側面23A、後側面23B、左側面23C、右側面23D、上側面23Eおよび下側面23Fにより六面体形の密閉容器として形成されている。
【0054】
また、尿素水タンク23には、例えば後側面23Bの上部に給水ホース24が接続され、斜め上側に延びた給水ホース24の先端側は給水口24Aとなってキャブボックス19を構成する左側面部19Cの給水口取付部19Jに取付けられている。この給水口24Aにはキャップ24Bが着脱可能に取付けられている。従って、尿素水の給水時には、キャブ10も乗り降りするときの経路で尿素水の給水位置、即ち、給水口24Aの前側にに着くことができる。これにより、キャップ24Bを取外すことによって外部から給水口24Aに容易にアクセスすることができ、給水ホース24を介して尿素水タンク23に尿素水を簡単に補給することができる。
【0055】
また、尿素水タンク23の上側面23Eには、例えば液面の変化、温度の変化による内圧の変動を許容するための大気開放用ホース25が接続され、該大気開放用ホース25の先端は、例えばフロア部材11を貫通して外部に延びている。一方、尿素水タンク23の下側面23Fには、後述の尿素供給配管26が接続されている。
【0056】
ここで、直方体状に形成された第1の実施の形態による尿素水タンク23は、図7に示す如く、上,下方向の中間部と下側部分とがフロア部材11の開口部11Aからタンク収容凹部13内に収容されている。また、タンク収容凹部13から上側に突出した尿素水タンク23の上側部分は、運転席台座14内に収められている。
【0057】
これにより、尿素水タンク23は、キャブ10内で邪魔にならない位置に配置できる上に、フロア部材11よりも低い床下のスペースを利用することにより尿素水の収容容積を大きくすることができる。しかも、尿素水タンク23は、上側部分についても、運転席台座14内のスペースを利用して高さ寸法を大きくすることができ、より一層の容積拡大を図ることができる。
【0058】
26は尿素水タンク23と尿素噴射弁22Cとを接続して設けられた接続配管としての尿素供給配管である。この尿素供給配管26の途中には供給ポンプ27が設けられている。これにより、尿素水タンク23内の尿素水は、尿素供給配管26を介して尿素噴射弁22Cに加圧状態で供給することができる。
【0059】
なお、28は油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5の右側に搭載された作動油タンクで、該作動油タンク28は、油圧ポンプ9に供給する作動油を貯えるものである。また、29は作動油タンク28の前側に設けられた燃料タンクで、この燃料タンク29は、内部にエンジン6に供給する燃料を貯えるものである。
【0060】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0061】
まず、オペレータは、キャブ10に搭乗し、エンジン6を始動して油圧ポンプ9を駆動する。そして、走行レバー17を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業レバー16を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0062】
また、エンジン6の運転時には、その排気管7から有害物質である窒素酸化物(NOx)が排出される。このときには、尿素水タンク23内の尿素水溶液を、供給ポンプ27を用いて尿素供給配管26からNOx浄化装置22の尿素噴射弁22Cに供給する。これにより、NOx浄化装置22は、尿素噴射弁22Cから排気ガス中に尿素水溶液を噴射してアンモニアを生成する。これにより、尿素選択還元触媒22Aでは、窒素酸化物を水と窒素に還元し、酸化触媒22Bを経て外部に排出することにより、窒素酸化物の排出量を低減することができる。
【0063】
一方、例えば外気温度が−10℃以下になるような寒冷地や50℃以上になるような熱帯地の作業現場では、尿素水タンク23内の尿素水溶液が凍結したり、結晶化したりする虞があり、このような場合にはNOx浄化装置22により排気ガスを清浄化できなくなる。しかし、尿素水タンク23は、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境となるキャブ10内に配置しているから、尿素水タンク23内の尿素水溶液を適度な温度に保つことができる。
【0064】
さらに、尿素水タンク23に尿素水を補給する場合には、図5に示すように、キャブボックス19の開閉カバー19Kを開き、給水ホース24のキャップ24Bを取外す。これにより、外部から給水口24Aに容易にアクセスすることができ、給水ホース24を介して尿素水タンク23に尿素水を簡単に補給することができる。
【0065】
かくして、第1の実施の形態によれば、尿素水タンク23は、オペレータが搭乗するキャブ10内に配置しているから、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境に配置することができる。この上で、キャブ10の外部から尿素水タンク23に尿素水を供給するための給水口24Aをキャブ10を構成するキャブボックス19の左側面部19Cに開口して設ける構成としている。
【0066】
従って、尿素水タンク23に尿素水を補給する場合でも、オペレータはキャブ10内に入り込むことなく、広いキャブ10の外側から給水ホース24を介して尿素水タンク23に尿素水を簡単に補充することができる。
【0067】
この結果、尿素水タンク23内の尿素水が凍結、結晶化するのを防止でき、信頼性を向上することができる。しかも、尿素水タンク23に対する尿素水の給水作業を容易にすることができ、作業性を向上することができる。
【0068】
また、キャブ10のフロア部材11には、タンク収容凹部13を設けて下側に窪ませ、このタンク収容凹部13内に尿素水タンク13の中間部から下側の部分を収容する構成としている。従って、尿素水タンク23は、フロア部材11よりも下側のデッドスペースを利用して容量を拡大することができる。
【0069】
この結果、尿素水タンク23には、1回の給水で多くの尿素水を貯えることができるから、尿素水を補充する回数を減らすことができ、作業性を向上することができる。また、尿素水タンク23をタンク収容凹部13内に収容することにより、外部の冷気、熱気から尿素水タンク23を保護することができ、尿素水タンク23を良好な温度環境に置くことができる。
【0070】
一方、オペレータが乗降するキャブボックス19の左側面部19Cには、尿素タンク23に接続された給水ホース24の給水口24Aを設ける構成としているから、オペレータは、キャブ10への乗降動作と同様の簡単な動作で尿素水の給水位置に着くことができ、尿素水の給水作業を容易に、かつ確実に行うことができる。
【0071】
さらに、キャブボックス19の左側面部19Cには、給水ホース24の給水口24Aを覆い隠す位置に開閉カバー19Kを設けているから、外観上の見栄えを良好にすることができる。しかも、開閉カバー19Kは施錠することができるから、キャップ24B等をいたずらから保護することができる。
【0072】
次に、図9は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、キャブの床面には、運転席の後側に位置して調和空気を供給するための空調装置の室内機を設け、尿素水タンクは、少なくとも容器の一部を前記運転席と室内機との間に配置する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
31は第1の実施の形態によるフロア部材11に代えて用いられた第2の実施の形態による床面としてのフロア部材を示している。このフロア部材31は、第1の実施の形態によるフロア部材11とほぼ同様に、前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。しかし、第2の実施の形態によるフロア部材31は、開口部31Aが運転席15と空調装置の室内機18との間に形成されている点で、第1の実施の形態によるフロア部材11と相違している。ここで、フロア部材31の開口部31Aは、運転席15と室内機18との間の狭い空間に対応して前,後方向に短尺に形成されている。
【0074】
32はフロア部材31の開口部31Aに設けられた第2の実施の形態によるタンク収容凹部である。このタンク収容凹部32は、フロア部材31の開口部31Aの位置を下側に窪ませるように形成されている。また、タンク収容凹部32は、第1の実施の形態によるタンク収容凹部13に比較し、前,後方向に短尺な直方体状の箱体として形成されている。これにより、タンク収容凹部32内には、運転席15と室内機18との間のデッドスペースを利用して後述の尿素水タンク33を収容することができる。
【0075】
33はキャブ10内に設けられた第2の実施の形態による尿素水タンクで、該尿素水タンク33は、第1の実施の形態による尿素水タンク23とほぼ同様に、尿素水溶液を貯えるものである。しかし、第2の実施の形態による尿素水タンク33は、運転席15と室内機18との間に配設されている点で、第1の実施の形態による尿素水タンク23と相違している。
【0076】
そして、第2の実施の形態による尿素水タンク33は、前側面33A、後側面33B、左側面33C、右側面(図示せず)、上側面33Dおよび下側面33Eにより、前,後方向に短尺で上,下方向に長尺な六面体形となる縦型の密閉容器として形成されている。これにより、縦型の尿素水タンク33は、大きな容量を確保しつつ運転席15と室内機18との間の前,後方向で狭い空間に配置することができる。
【0077】
また、例えば尿素水タンク33の左側面33Cには、その上部に給水ホース24が接続され、上側面33Dには大気開放用ホース25が接続されている。さらに、下側面33Eには尿素供給配管26が接続されている。
【0078】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、尿素水タンク33は、運転席15と室内機18との間の狭い空間を利用して配置することができる。しかも、尿素水タンク33は、縦長に形成することにより、そのタンク容量を大きくすることができる。
【0079】
次に、図10は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、尿素水タンクは、前側に位置して高さ寸法が低い低タンク部と後側に位置して高さ寸法が高い高タンク部とにより2段階に形成し、低タンク部を運転席の下側に配置し、高タンク部を運転席の後側に配置する構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
41は第1の実施の形態によるフロア部材11に代えて用いられた第3の実施の形態による床面としてのフロア部材を示している。このフロア部材41は、第1の実施の形態によるフロア部材11とほぼ同様に、前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。しかし、第3の実施の形態によるフロア部材41は、その開口部41Aが運転席15の下側と該運転席15の後側、即ち、運転席15と室内機18との間の空間部とに亘って形成されている点で、第1の実施の形態によるフロア部材11と相違している。
【0081】
42はフロア部材41の開口部41Aに設けられた第3の実施の形態によるタンク収容凹部である。このタンク収容凹部42は、フロア部材41の開口部41Aの位置を下側に窪ませるように形成されている。
【0082】
43はキャブ10内に設けられた第3の実施の形態による尿素水タンクで、該尿素水タンク43は、第1の実施の形態による尿素水タンク23とほぼ同様に、尿素水溶液を貯えるものである。しかし、第3の実施の形態による尿素水タンク43は、その配設位置と形状の点で、第1の実施の形態による尿素水タンク23と相違している。
【0083】
即ち、尿素水タンク43は、その下側部分がタンク収容凹部42内に収容されることにより、運転席台座14内の後側部分から運転席15と室内機18との間の空間部に亘って設けられている。また、尿素水タンク43は、前側に位置して高さ寸法が低い低タンク部43Aと、該低タンク部43Aの後側に位置して高さ寸法が高い高タンク部43Bとにより2段階に形成されている。そして、2段階の尿素水タンク43は、低タンク部43Aを運転席台座14(運転席15)の下側に配置し、高タンク部43Bを運転席15の後側に配置する構成としている。
【0084】
また、例えば尿素水タンク43の高タンク部43Bには、その上部に給水ホース24と大気開放用ホース25とが接続されている。さらに、尿素水タンク43の下部には尿素供給配管26が接続されている。
【0085】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、尿素水タンク43を、前側の低タンク部43Aと後側の高タンク部43Bとにより2段階に形成しているから、低タンク部43Aを運転席台座14の下側に配置でき、高タンク部43Bを運転席15の後側に配置することができる。これにより、運転席15の下側、フロア部材41の下側および運転席15の後側の空間部を効率よく利用でき、限られたスペースで尿素水タンク43の容量をより一層大きくすることができる。
【0086】
次に、図11は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、尿素水タンクの全体を床面よりも低い位置に配置する構成としたことにある。なお、第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0087】
51は第1の実施の形態によるフロア部材11に代えて用いられた第4の実施の形態による床面としてのフロア部材を示している。このフロア部材41は、第1の実施の形態によるフロア部材11とほぼ同様に、前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。しかし、第4の実施の形態によるフロア部材51は、その開口部51Aが運転席15の下側と該運転席15の後側、即ち、運転席15と室内機18との間の空間部とに亘って形成されている点で、第1の実施の形態によるフロア部材11と相違している。
【0088】
52はフロア部材51の開口部51Aに設けられた第4の実施の形態によるタンク収容凹部である。このタンク収容凹部52は、フロア部材51の開口部51Aの位置を下側に窪ませるように形成されている。
【0089】
53はキャブ10内に設けられた第4の実施の形態による尿素水タンクで、該尿素水タンク53は、第1の実施の形態による尿素水タンク23とほぼ同様に、尿素水溶液を貯えるものである。しかし、第4の実施の形態による尿素水タンク53は、その配設位置と形状の点で、第1の実施の形態による尿素水タンク23と相違している。
【0090】
即ち、尿素水タンク53は、タンク収容凹部52内に収容されることにより、運転席台座14内の後側部分から運転席15と室内機18との間の空間部に亘って設けられている。また、尿素水タンク53は、高さ寸法が低く平たく形成された横型の密閉容器として形成されている。これにより、横型の尿素水タンク53は、全体部分がタンク収容凹部52内に収容されている。
【0091】
かくして、このように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態では、尿素水タンク53を平たい横型の密閉容器として形成し、その全体部分をタンク収容凹部52内に収容しているから、尿素水タンク53の上側となる運転席15と室内機18との間にスペースを確保することができ、例えば室内機18のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0092】
なお、第1の実施の形態では、尿素タンク23を、前側面23A、後側面23B、左側面23C、右側面23D、上側面23Eおよび下側面23Fにより六面体型の密閉容器として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば尿素タンクを、五面体型、七面体型等の多面型容器として形成してもよい。また、尿素タンクを、円筒状、扁平球体状等の他の形状としてもよい。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
【0093】
また、第1の実施の形態では、フロア部材11を下側に窪ませるようにタンク収容凹部13を形成し、該タンク収容凹部13内に尿素水タンク23を収容することにより、該尿素水タンク23の中間部から下側部分をフロア部材11よりも下側に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば尿素タンクをフロア部材の上面に載置するように設ける構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用できるものである。
【0094】
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ホイール式の油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(走行体)
3 上部旋回体(走行体)
5 旋回フレーム(支持フレーム)
6 エンジン
7 排気管
10 キャブ
11,31,41,51 フロア部材
11A,31A,41A,51A 開口部
13,32,42,52 タンク収容凹部
14 運転席台座
15 運転席
18 室内機
19 キャブボックス
19A 前面部
19B 後面部
19C 左側面部
19D 右側面部
19E 天面部
19F センタピラー
19G 乗降口
19H ドア
19J 給水口取付部
19K 開閉カバー
20 後処理装置
22 NOx浄化装置
22A 尿素選択還元触媒
22B 酸化触媒
22C 尿素噴射弁
23,33,43,53 尿素水タンク
23A,33A 前側面
23B,33B 後側面
23C,33C 左側面
23D 右側面
23E,33D 上側面
23F,33E 下側面
24 給水ホース
24A 給水口
24B キャップ
26 尿素供給配管(接続配管)
43A 低タンク部
43B 高タンク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体の支持構造部材を形成する支持フレームと、該支持フレームの後側に搭載されたエンジンと、前記支持フレームの前側に位置して床面、前,後と左,右の側面および天面からなり該床面上にオペレータが着座する運転席が配置されたキャブと、前記エンジンの排気管に設けられ排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒と、還元剤である尿素水を貯えるために中空な容器からなる尿素水タンクと、該尿素水タンクと前記エンジンの排気管との間を接続する接続配管とを備えてなる建設機械において、
前記尿素水タンクは、尿素水の凍結、結晶化を防ぐための好ましい温度環境として前記キャブ内に配置し、
前記キャブ外から前記尿素水タンクに尿素水を供給するための給水口を前記キャブの側面に開口して設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記キャブの床面には、下側に窪ませることによりタンク収容凹部を設け、前記尿素水タンクは、該タンク収容凹部内に収容する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記給水口は、前記キャブを形成する各側面のうち、オペレータが前記キャブに乗降するときに開閉するドアが設けられる外側の側面であって当該ドアの後側に開口させ、
前記外側の側面には、前記給水口を開閉可能に覆う開閉カバーを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記キャブの床面には、前記運転席の後側に位置して調和空気を供給するための空調装置の室内機を設け、前記尿素水タンクは、少なくとも容器の一部を前記運転席と室内機との間に配置する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記尿素水タンクは、前側に位置して高さ寸法が低い低タンク部と後側に位置して高さ寸法が高い高タンク部とにより2段階に形成し、前記低タンク部を前記運転席の下側に配置し、高タンク部を前記運転席の後側に配置する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記支持フレームは前記上部旋回体の旋回フレームである請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−62691(P2012−62691A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207850(P2010−207850)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】