説明

循環式の穀粒乾燥機

【課題】乾燥部の充填穀粒が不足する場合においても乾燥作業を行うことを可能にして、幅広い取扱い量に対応することができる循環式の穀粒乾燥機を提供する。
【解決手段】循環式の穀粒乾燥機は、昇降機15、上部樋12a、貯留部12、乾燥部13、集穀部14、下部樋14b、操作盤17等を備えて構成され、前記上部樋12aの底部にはシャッタ部材22sを設け、前記操作盤17には前記シャッタ部材22sを開放した状態で穀粒を循環して乾燥作業をする選択手段17bを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留部、乾燥部、循環移送部等から構成されて穀粒を循環乾燥する循環式の穀粒乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、穀粒を調質貯留するための貯留部と、この貯留部から受けた穀粒を乾燥する乾燥部と、その穀粒を受けて機体外周位置まで導出する導出樋付き集穀部と、その穀粒を機体外周位置で貯留部に戻す循環移送部等からなる塔型構成の循環式穀粒乾燥機が知られている。
【0003】
この穀粒乾燥機は、穀粒を全面張込みするための導入樋および拡散機構を貯留部に備え、この貯留部内に全面拡散された穀粒がその下方で受ける乾燥部に充填されて熱風によって乾燥を行い、集穀部、循環移送部によって次の乾燥サイクルに移行する。このようにして大量の穀粒について一様な乾燥処理を能率良く進めることができる。
【特許文献1】特開2001−124471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記循環式の穀粒乾燥機においては、乾燥部の充填穀粒が不足する場合は、穀粒間に進入する熱風量が減少し乾燥作業が進まなくなることから、乾燥作業に必要な最低処理量に満たない量の穀粒を取扱うことができないものであった。
【0005】
本発明の目的は、穀粒が乾燥部の充填穀粒が不足する場合においても乾燥作業を行うことを可能にして、幅広い取扱い量に対応することができる循環式の穀粒乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、投入した穀粒を揚穀する昇降機(15)と、昇降機(15)で昇降された穀粒を移送する上部螺旋(12f)を備える上部樋(12a)と、上部樋(12a)で移送された穀粒を貯留する貯留部(12)と、該貯留部(12)の下方に備える穀粒流下通路(13a)を流下する穀粒に熱風を晒して乾燥する乾燥部(13)と、該乾燥部(13)の下方にあって乾燥された穀粒を受ける集穀部(14)と、前記集穀部(14)の下端部にあって穀粒を昇降機(15)に移送する下部螺旋(14f)を備える下部樋(14b)と、各種装置を操作する操作盤(17)とを備える循環式の穀粒乾燥機において、前記上部樋(12a)の底部にはシャッタ部材(22s)を設け、前記操作盤(17)には前記シャッタ部材(22s)を開放した状態で穀粒を循環して乾燥作業をする選択手段(17b)を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記貯留部は、選択手段により導入樋のシャッタ部材を閉じると導入穀粒が終端から全面張込みされ、全面充填に必要な量の穀粒によって乾燥部が機能し、集穀部、昇降機によって次の乾燥サイクルに移行する。また、上記シャッタ部材を開くと導入穀粒が上部樋の中途から貯留部内に部分張込みされ、この部分張込みされた穀粒が乾燥部に充填され、その必要量の穀粒によって乾燥部が機能して集穀部、昇降機によって次の乾燥サイクルに移行する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の構成において、選択手段(17b)を選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業中にはシャッタ部材(22s)は閉状態に復帰しないことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の構成において、選択手段(17b)を選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業終了後に自動的にシャッタ部材(22s)が閉状態に復帰する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明により、上記構成の穀粒乾燥機は、信号に応じて全面張込みと部分張込みとが切換えられ、乾燥部の全面充填に必要な穀粒量に満たない少量穀粒の場合でも充填不足による乾燥部の機能不全に陥ることなく乾燥動作することから、単一の穀粒乾燥機によっても、端数量の取扱に煩わされることなく簡易な切換制御により幅広い取扱い量に対応して乾燥処理することができる。
【0011】
請求項2の発明により、乾燥作業中にシャッタ部材が復帰することによる乾燥不良を防止することができる。
【0012】
請求項3の発明により、乾燥作業終了後、次の穀粒が通常の乾燥作業の場合に、シャッタ部材が開放した状態のままで循環して乾燥作業する誤作業を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図3は、それぞれ、穀粒乾燥機の外観斜視図、その内部構成を示す透視正面図、およびその要部縦断面図である。
穀粒乾燥機11は、穀粒を調質貯留するための貯留部12と、この貯留部から受けた穀粒を乾燥する乾燥部13と、その穀粒を受けて機体外周位置まで導出する導出樋付き集穀部14とを段積み状に構成し、この集穀部14から貯留部12に戻す循環移送部(昇降機)15を正面側の機体外周位置に配置して塔型に構成する。
【0014】
貯留部12には、機体外周位置の循環移送部15から受けた穀粒を平面視で機体中央位置まで導入するための螺旋12f駆動による導入樋(上部樋)12aおよび回転羽根12bによる拡散機構を備える。
乾燥部13は、貯留部12の下部に形成した多孔板材による熱風透過通路(穀粒流下通路)13aに定量繰出弁13bを介設するとともにバーナー13cを備えた熱風供給側と吸引ファン13dを備えた排風側とを同熱風透過通路13aを挟んで構成する。
【0015】
集穀部14は、乾燥部13の下方で定量繰出し弁13bから受けた穀粒を集めるために傾斜する流下板14aと螺旋14f駆動による導出樋(下部樋)14bとによって構成する。
循環移送部15は、機体外周位置で集穀部14から貯留部12に穀粒を上昇移送するバケットコンベヤ等により構成する。その下端には穀粒張込口(不図示)、上端には開閉可能なシャッタ15sを備えた穀粒排出口15bを構成するとともに、穀粒の水分量を自動測定する自動水分計16を配置する。また、正面位置に乾燥機の運転操作パネル(操作盤)17を配置する。
【0016】
貯留部12について詳細に説明すると、図4の要部平面図、図5の拡大分解斜視図に示すように、貯留部12の上部を正面側の循環移送部15から奥行き方向に螺旋駆動によって穀粒を導入移送する導入樋12aを配置する。この導入樋12aは、貯留部12の全面に張込みするための穀粒出口21としての穀粒導入終端を平面視で機体中央位置の拡散機構12bに臨んで開口するとともに、同穀粒出口21までの間に部分張込み用の中途落下口22を導入樋12aの底面に開口する。この中途落下口22には、信号に応じて開閉して張込み切換え動作するシャッタ部材22sを軸支する。
【0017】
また、導入樋12aと平行してシャッタ部材22sを押し上げるロッド部材22rを軸支し、このロッド部材22rの一端を穀粒排出口15bのシャッタ15sを開閉するモータ15mによって回動駆動する。
【0018】
モータ15mによる開閉機構は、図6の閉鎖(a)および開放(b)の斜視図に示すように、穀粒排出口15bのシャッタ15sの操作アーム15aに作用する第1の作用アーム24aと中途落下口22のシャッタ部材22sの操作アーム22aに作用する第2の作用アーム24bをモータ15mによって揺動駆動し、その正転と逆転に応じて循環移送部15の穀粒排出口15bと導入樋12aの中途落下口22を個々に開閉制御する。この場合において、両操作アーム15a,22aは、それぞれに取付けた戻しばね15f、22fによって閉鎖方向に保持され、また、中途落下口22を開く際は、シャッタ部材22sが開いた位置を検出するリードスイッチによりモータ15mを逆転位置で停止保持するべく制御する。
【0019】
上記貯留部12は、その導入樋12aのシャッタ部材22sを閉じると導入穀粒が中途落下口22を通過して終端の穀粒出口21から貯留部12内に全面張込みされ、全面充填に必要な量の穀粒によって乾燥部13が機能し、集穀部14、循環移送部15によって次の乾燥サイクルに移行する。また、上記シャッタ部材22sを開くと導入穀粒が中途落下口22から貯留部12内の手前側に部分張込みされ、この部分張込みされた穀粒が乾燥部13の対応する区分に充填され、その必要量の穀粒によって乾燥部が機能して集穀部14、循環移送部15によって次の乾燥サイクルに移行する。
【0020】
このように、穀粒乾燥機11は、運転開始時の張込工程および循環乾燥工程において、穀粒排出口15bの開閉動作から独立して信号に応じて全面張込みと部分張込みとが切換えられ、乾燥部13の全面充填に必要な穀粒量に満たない少量穀粒の場合でも、区分乾燥により充填不足による乾燥部13の機能不全に陥ることなく乾燥動作する。したがって、単一の穀粒乾燥機によっても、端数量の取扱に煩わされることなく簡易な切換制御により幅広い取扱い量に対応して乾燥処理することができる。また、部分充填による循環回数の減少により穀粒の損傷が抑えられる。
【0021】
上記構成の穀粒乾燥機11の運転操作は、図7のパネル構成図に示すように、運転操作パネル17上の設定部17aについては、穀種や時間の設定のほかに、少量運転用のスイッチボタン(選択手段)17bを設けて導入樋12aのシャッタ部材22sを開くように制御する。上記設定部17aによる穀種や時間の設定に従い、「張込」、「乾燥」、「排出」、「停止」のスイッチ群17cの操作によって各工程を制御処理し、機器異常を特定する表示部17dに沿って適切な乾燥処理を進めることができる。また、少量の穀粒を乾燥する場合はスイッチボタン17bの操作によって張り込みが切換えられて少量乾燥運転が可能となる。
【0022】
上記穀粒乾燥機11による通常作業の場合の詳細は、スイッチ群17cの「張込」スイッチを操作すると昇降機15、上部螺旋12fが駆動を開始し、作業者は投入口(図示せず)に穀粒を投入すると昇降機15で揚穀され、次いで上部螺旋12fで移送され回転羽根12bで貯留部12内全体に拡散され乾燥機内に順次充填される。そして、張込作業が終了して「停止」スイッチを操作すると昇降機15、上部螺旋12fが駆動を終了する。そして、「乾燥」スイッチを操作するとバーナー13cが燃焼を開始すると共に、昇降機15、上部螺旋12f、定量繰出弁13b、下部螺旋14f等の循環移送部が駆動を開始し、穀粒は循環しながら乾燥部13の穀粒流下通路13aを通過するときに熱風に晒され乾燥される。
【0023】
穀粒の水分値が設定水分(例えば、14.5%)に達すると乾燥作業は終了してバーナー13cや循環移送部は停止し、次いで「排出」スイッチを操作すると循環移送部が駆動して穀粒排出口15bのシャッタ15sが開放され順次乾燥機外に排出される。
【0024】
また、少量乾燥の場合は、「張込」スイッチを操作して、次いで少量運転用のスイッチボタン17bを操作すると、昇降機15、上部螺旋12fが駆動を開始し、シャッタ部材22sが開放される。作業者は投入口(図示せず)に穀粒を投入すると昇降機15で揚穀され、穀粒は上部螺旋12fで回転羽根12bまで移送されることなく貯留部12の前側で落下し、前部側の穀粒流下通路13aのみ充填される。そして、張込作業が終了して「停止」スイッチを操作すると昇降機15、上部螺旋12fが駆動を終了する。そして、「乾燥」スイッチを操作するとバーナー13cが燃焼を開始すると共に、昇降機15、上部螺旋12f、定量繰出弁13b、下部螺旋14f等の循環移送部が駆動を開始し、穀粒は循環しながら乾燥部13の穀粒流下通路13aの前側部を通過するときに熱風に晒され乾燥される。なお、少量運転用のスイッチボタン17bは「乾燥」スイッチの操作後に操作して少量乾燥に切換えることができるようにして、適宜、作業者が充填穀粒量を見ながら選択できるようにしても良い。
【0025】
穀粒の水分値が設定水分(例えば、14.5%)に達すると乾燥作業は終了してバーナー13cや循環移送部は停止し、次いで「排出」スイッチを操作すると循環移送部が駆動して穀粒排出口15bのシャッタ15sが開放され順次乾燥機外に排出される。
【0026】
上記においては、スイッチボタン17bを選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業中にはシャッタ部材22sは閉状態に復帰しないように制御することにより、乾燥作業中にシャッタ部材が復帰することによる乾燥不良を防止することができる。また、スイッチボタン17bを選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業終了後、すなわち、設定水分に達して乾燥機が自動停止し、または、排出作業の終了時に、自動的にシャッタ部材22sが閉状態に復帰するように制御することにより、乾燥作業終了後、次の穀粒が通常の乾燥作業の場合に、シャッタ部材が開放した状態のままで循環して乾燥作業する誤作業を防止することができる。
【0027】
次に、水分計の計測制御について説明する。
水分計16の制御は、張込後に乾燥開始する時に張込量に応じて測定間隔を変更し、乾燥機内の全体穀物の平均を算出して表示処理するように構成する。具体的には、例えば4回の水分値の移動平均処理したものを水分値とし、張込んで乾燥開始する時点で張込量をオペレータが見て設定するので、その張込量に応じて4回分の測定間隔を割り振り、全体の平均水分を表示する(移動平均は4回固定ではなく複数回とする)。
【0028】
詳細には、乾燥機の循環量はそのシリーズの最大型式で1循環1時間以内に設定し、例えば、1循環1時間、平均化回数4回とすれば15分間隔で測定すれば、概略乾燥機内の平均水分を表示できる。もちろん回数を増やせばそれだけ精度は上がることになり、張込量が半分なら7.5分間隔となる。
【0029】
従来は、張込量に関係なく、水分計の測定シーケンスで測定しているので、乾燥機内全体の水分を代表しているとはいえず、測定箇所により増えたり減ったりしてオペレータに不安感を与えることがあったが、上記計測処理により、1循環するまでの測定箇所の表示を除き、1循環後は、乾燥機内の平均水分に近い値を表示することができる。
【0030】
次に、集穀部について説明する。
集穀部14は、流下板14a等に加速度検出器14sを左右両方または一方に設け、この検出値を既定データと比較して異常判定処理により報知する。すなわち、加速度検出器14sを繰出しバルブ13b直下の流下板14a(遠赤外機の場合はプロテクタ部)に取付け、その検出信号を制御盤で規定値と比較して異常判定・処置をする。
【0031】
従来は、昇降機(循環移送部)15上部の上部樋15aとの連結部(アッパアダプタ)にアクチュエータを設け、マイクロスイッチでこの動きを検出したもの及び自動水分計16で穀粒の抵抗を測定し、穀粒の有無で判定するものが知られているが、いずれも片側のみ繰り出さない場合は検出不能、また、マイクロスイッチで検出するものはスイッチの接点耐久上の問題があった。水分計16でするものは、水分計自体が故障した場合、安全センサが欠けるので、使用に不都合が発生していた。
【0032】
しかし、上記の加速度検出処理14sにより、穀物の落下による直接的な振動を捉えるため確実性が高いこと、直接穀物にふれないため摩耗等による故障がないこと、左右それぞれを検出できること等の効果が得られる。
【0033】
次に、乾燥工程の終了時の運転制御について説明する。
乾燥終了時は穀温が外気温よりかなり高くなっており、直後に籾摺りしたりすると肌ずれになる場合があり、また、穀温が高いまま放置すると品質を損なうことがあるので、穀温に応じて冷却後に停止を行うように制御する。
【0034】
具体的には、穀温を直接又は間接的に検出する検出装置と、外気温を検出する検出装置とを設け、自動水分検知停止装置により設定水分になると自動的に所定シーケンスで停止させ、水分自動停止間際の穀温と外気温度を比較し、その差及びコントローラに設定された張込量と循環速度より冷却時間を算出し冷却通風時間を設定制御する制御機構(装置)を設ける。
【0035】
上記構成による制御処理は、乾燥終了間際に穀温を検知し、外気温度と穀温、張込量、循環速度を勘案し、外気温度近くに穀温が到達するまで循環通気冷却する。別途、直接測定している俳風温度と外気温度を比較し俳風温度が外気温度近くなるまで通気循環するようにしてもよい。
【0036】
従来は、乾燥終了後は既定シーケンスで停止するばかりで仕上がり時の穀温の高低により変化することはなかった。このため、乾燥しにくい環境条件があると(穀温制御はしているが)穀温が高くなり、停止時もまだ穀温が高いままとなり、直後の籾摺作業を含め穀温が高いため品質を損なうおそれががあった。又、一律クーリング時間を長くとることも考えられるが、穀温が低いときは乾燥を速くする観点からは不合理であった。
しかし、上記制御により、穀温を検知し気温との対比で一定レベルになるまで冷却するので乾燥終了時(乾燥機自動停止時)は即籾摺り可能となる。
【0037】
次に、乾燥停止時のパージ処理について説明する。
張込量又は穀温によりパージ時間を自動選択設定し、乾燥終了時は穀物冷却後に停止する行うように制御する。具体的には、乾燥停止時のパージ時間(冷却)を張込量もしくは穀温またはその両方により自動的に変化させる。実施にはパージ時間が長くなるので、ディップスイッチ、システム設定等により選択可能に構成する。
【0038】
従来の遠赤外線乾燥機は、乾燥終了時放射体温度が高くそのまま停止し高温部に触れると火傷をすることおよび周辺機器の耐熱保護のため、現在は一定時間(20分)冷却停止している。一方、遠赤外線乾燥機で乾燥すると概ねその穀温は熱風機より2,3℃高くなり乾燥が進み易くなっている。乾燥直後に穀温が高いまま水分を測定すると高めの水分値として測定し未乾燥と判断し、追い乾燥の結果、過乾燥となる場合があった。しかし、上記構成とすることにより、これを解消すべく穀温を冷却停止するので、停止直後に測定しても水分値の差異が減少する。
【0039】
次に、排出制御について説明する。
籾摺機直摺り時、排出終了間近では乾燥機排出量が不足して籾摺作業に不具合がでるので、終了近くではバルブ繰り出しプログラムを変更しバルブ13bの回転を増加するように制御する。
【0040】
具体的には、籾摺機直摺りを想定したモードをコントローラに設け(ディップ操作、システム設定など)、排出終了近辺では繰出バルブ13bの駆動を速くする。
例えば、排出能力が4,5,6,7ton/h切換可能、籾摺りの摺り出し量が3ton/h、初期排出量4ton/hで間に合うが、排出終了間近では、2ton/h程度に排出量が落ちるので、この近辺では7ton/hの排出プログラムとする。
【0041】
従来は、排出能力をコントローラ内のディップ操作等で変更を可能にしていたものがあるが、排出終了近辺に限って変更するものはなかった。すなわち、籾摺機に直に排出し摺っている場合、排出終了近辺では乾燥機内の穀物が片側のみとか前後の一部のみとかになり、排出量が足りず籾摺機に十分穀物が供給されず不具合になる。また、あらかじめ排出量を増やしておくと循環回数が増え、穀物の損傷が増えて好ましくない。しかし、上記制御構成により、排出終了間際でも供給量が確保でき、不具合発生を回避できる。
【0042】
また、他の制御方法として、排出時標準ではファンを廻してして周囲に埃が出ないようにしているが、吸引が掛かったままではロータリバルブ13b上に少量残った穀粒、ゴミ等が吸引風で巻き上がり落下しないので、排出終了間際にファン13dを止めて排出するように制御する。
具体的には、ファン13dを制御盤で任意に停止でき、自動排出終了間際が検知でき、かつ、上記排出終了停止前にファンを停止(吸引停止)するように制御する。自動水分計16で排出終了を判定し、この検出で排出終了検知時または終了データに近い場合にファン13dを停止し吸引風をなくすことで残留量を低減する。
【0043】
従来は、スイッチによる選択などで排出時にファン13dを止めることはできたが、排出終了前のみ止めることはできなかった。このため、乾燥部13内が空でも吸引風があり、この通気により一部の穀物、籾殻等がロータリバルブ13b上で吹き上がり、いつまでも落ちきらずに残っていた。
【0044】
しかし、上記のように、最後に吸引風を止めるので軽い塵埃、穀粒もすべて落下して残留するものが減る。螺旋の底、エレベータの底などは外部から容易に清掃できる構成としているが、ロータリバルブ13b上は清掃が困難で、麦、米の切換え時など、混入防止したい場合もあり、より残留量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】穀粒乾燥機の外観斜視図である。
【図2】穀粒乾燥機の内部構成を示す透視正面図である。
【図3】穀粒乾燥機の要部縦断面図である。
【図4】貯留部の要部平面図である。
【図5】貯留部の拡大分解斜視図である。
【図6】開閉機構の閉鎖(a)および開放(b)の斜視図である。
【図7】穀粒乾燥機のパネル構成図である。
【符号の説明】
【0046】
11 穀粒乾燥機
12 貯留部
12 上記貯留部
12a 導入樋(上部樋)
12b 回転羽根(拡散機構)
12f 上部螺旋
13 乾燥部
13a 熱風透過通路(穀粒流下通路)
14 集穀部
14b 導出樋(下部樋)
14f 下部螺旋
15 循環移送部(昇降機)
15m モータ
17 運転操作パネル(操作盤)
17b スイッチボタン(選択手段)
21 穀粒出口
22 中途落下口
22s シャッタ部材
22a 操作アーム
24b 作用アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入した穀粒を揚穀する昇降機(15)と、昇降機(15)で昇降された穀粒を移送する上部螺旋(12f)を備える上部樋(12a)と、上部樋(12a)で移送された穀粒を貯留する貯留部(12)と、該貯留部(12)の下方に備える穀粒流下通路(13a)を流下する穀粒に熱風を晒して乾燥する乾燥部(13)と、該乾燥部(13)の下方にあって乾燥された穀粒を受ける集穀部(14)と、前記集穀部(14)の下端部にあって穀粒を昇降機(15)に移送する下部螺旋(14f)を備える下部樋(14b)と、各種装置を操作する操作盤(17)とを備える循環式の穀粒乾燥機において、
前記上部樋(12a)の底部にはシャッタ部材(22s)を設け、前記操作盤(17)には前記シャッタ部材(22s)を開放した状態で穀粒を循環して乾燥作業をする選択手段(17b)を設けたことを特徴とする循環式の穀粒乾燥機。
【請求項2】
選択手段(17b)を選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業中にはシャッタ部材(22s)は閉状態に復帰しないことを特徴とする請求項1記載の循環式の穀粒乾燥機。
【請求項3】
選択手段(17b)を選択して乾燥作業を行うと、乾燥作業終了後に自動的にシャッタ部材(22s)が閉状態に復帰する構成としたことを特徴とする請求項1記載の循環式の穀粒乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−170734(P2007−170734A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368333(P2005−368333)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】