説明

情報処理装置

【課題】直立姿勢で自立できないような構成とし、転倒による故障や破損が生じない情報処理装置を実現する。
【解決手段】第1の筐体1の背面1c側に突起部11,12,13a,14a,15aを備えたことにより、ノートパソコンを直立姿勢で机上面に載置する際に、ノートパソコンに衝撃が伝わるのを低減することができる。よって、ノートパソコンが損傷するのを防ぐことができる。また、第1の筐体1の背面1c側に突起部13a,14a,15aを備えたことにより、ノートパソコンを例えば図4に示すような直立姿勢で自立できないようにすることができる。よって、ノートパソコンを机上面などに不用意に直立姿勢で載置されることがなくなり、転倒による故障、破損を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノートパソコンと称する)などの携帯型の情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノートパソコンには、机等の上に設置時の衝撃を吸収するため、ゴム製もしくはエラストマー性を有する樹脂製の足ゴムが装着されている。また、机等に載置されるノートパソコンの面を底面、表示部を開閉する回動軸側を背面とすると、これらの足ゴムは不意な底面方向および背面方向の落下に対し、衝撃を吸収し筐体へのダメージを最小限にとどめる効果も有している。特許文献1には、脚ゴムを備えた情報処理装置の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2007−241511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のノートパソコンは筐体背面部が平らに構成されていることが多い。例えば、図6に示すように、ノートパソコン100を机上などに直立配置された際に自立してしまう構造となっていた。ノートパソコン100は、筐体背面部100aにおける接地面積が狭いため、自立時の姿勢は不安定である。したがって、ノートパソコン100に対して微小な外乱が加わると、矢印Yに示すように第2の筐体102(液晶ディスプレイを備えた筐体)の天面方向、もしくは矢印Xに示すように第1の筐体101(キーボードを備えた筐体)の底面方向に転倒し、ノートパソコンの故障、破損につながる恐れがあった。
【0004】
本発明は、直立姿勢で自立できないような構成とし、転倒による故障や破損が生じない情報処理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、情報処理手段を内蔵した筐体と、前記筐体にハンドルを配したハンドル側面と、前記ハンドル側面に対向する対向側面とを備え、前記対向側面に第1の突起部を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、不用意に直立姿勢で自立配置されることがなくなり、転倒による故障、破損を防ぐことができる。なお、本発明は、ハンドル付きのノートパソコンで特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の情報処理装置は、前記ハンドル側面及び前記対向側面のそれぞれに隣接する底面に脚部を備え、前記脚部は、前記対向側面まで延在し、前記突起部は、前記脚部に一体的に形成されている構成とすることができる。このような構成とすることで、部品点数を削減することができ、コストダウンを実現することができる。
【0008】
また、本発明の情報処理装置は、前記対向側面に第2の突起部をさらに備え、前記第2の突起部は、前記第1の突起部よりも前記対向側面からの高さ寸法が小さく形成されている構成とすることができる。
【0009】
また、本発明の情報処理装置は、前記筐体における前記底面に対向する上面に、前記情報処理手段に情報を入力する操作が可能な操作部が配され、前記操作部により入力された情報を表示する表示部を配した第2の筐体と、前記筐体及び前記第2の筐体を開閉可能に支持する回動軸とをさらに備え、前記第1の突起部及び前記ハンドルは前記筐体に配され、前記第2の突起部は前記回動軸を覆うカバーに配されている構成とすることができる。このような構成とすることにより、筐体の対向側面側を机上に載置する際、第1の突起部で吸収できないほどの過剰な衝撃が筐体に加わった場合には、カバーに配した第2の突起部が載置面に当接することで、回動軸の損傷を抑制することができる。
【0010】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態の情報処理装置の外観を示す斜視図であり、情報処理装置の一例であるノートパソコンの第1の状態を示す。なお、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げたが、携帯電話端末や医療機器などのように少なくとも携帯型の情報処理装置であればよい。
【0011】
図1に示すように、ノートパソコンは、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵した第1の筐体1と、液晶ディスプレイ2aを備えた第2の筐体2とから構成されている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジカバー3に内蔵される不図示のヒンジ部によって互いに回動自在に支持されている。第2の筐体2を、図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、液晶ディスプレイ2aとキーボード5とが近接対向した第2の状態へ移行させることができる。この第1の状態及び第2の状態の回動動作に同期して、図3に示すようにヒンジカバー3も回動する。また、第2の状態において第2の筐体と対向する第1の筐体の面を上側とすると、第1の筐体1の上面1aには、各種文字の入力操作が可能なキーボード5と、液晶ディスプレイ2aに表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なポインティングデバイス6とを備えている。また、第2の状態においてハンドル4側を前側とすると、第1の筐体1における前側の側面(以下、第1の筐体の前面と称す)1bには、ハンドル4を支持する支持部材41及び42が固定されている。
【0012】
ハンドル4は、使用者が手で把持することができるように構成されている。使用者がハンドル4を手で把持することにより、ノートパソコンを手で持って運搬することができる。また、ハンドル4は、その長手方向の両端がそれぞれ支持部材41及び42に支持されている。
【0013】
図2は、第2の状態における情報処理装置の平面図である。図3は、第2の状態における情報処理装置の斜視図である。図2及び図3に示すように、第1の筐体1及び第2の筐体2を回動自在に軸支するヒンジ部を覆うヒンジカバー3には、それぞれ突起部11及び12が形成されている。ヒンジカバー3は、例えば内部可塑化したポリブチレンテレフタレート等のエラストマー性を備える樹脂などの弾性材料で形成されている。また突起部11及び12もヒンジカバーと同様に弾性材料で形成されている。また、ハンドル4側の前面に対しヒンジ部側を背面側とすると、突起部11及び12は、第2の状態のヒンジカバー3における第1の筐体1の背面1c側の面に直交する方向に突出して形成されている。また、第1の筐体1の背面1c側には、脚部13,14,15が配されている。脚部13,15は、ヒンジ部両端の近傍に配され、脚部14は、脚部13と脚部15とのほぼ中間位置に配されている。また、脚部13,14,15は、ゴムやエラストマー性を有する樹脂などの弾性変形可能な材料で形成されている。また、脚部13,14,15は、第1の筐体1の背面1cから底面1dにかけて配されている。また、脚部13,14,15における背面1c側の面には、それぞれ略半球状の突起部13a,14a,15aが一体的に形成されている。
【0014】
突起部13a,14a,15aは、それぞれ脚部13,14,15から背面1cに略直交する方向に突出して形成されている。また、突起部13a,14a,15aは、背面1cからの高さ寸法がほぼ同一で、第1の筐体1の上面1aに対して略平行に直線状になるように形成されている。なお、突起部13a,14a,15aは、背面1cからの高さ寸法が、突起部11,12の高さ寸法よりも高く形成されている。また、脚部13,14,15における底面1d側の面には、それぞれ突起部13b,14b,15bが一体的に形成されている。
【0015】
突起部13b,14b,15bは、それぞれ脚部13,14,15から底面1dに略直交する方向に突出して形成されている。また、突起部13b,14b,15bは、ノートパソコンをその底面1dが机上面に対向する姿勢で机上面に載置する際に、机上面に当接し、ノートパソコンへ載置時の衝撃が伝わりにくいようにしている。
【0016】
図4は、本実施の形態の第2の状態におけるノートパソコンを、ハンドル4を把持して直立姿勢で机上面に立てようとした状態を示す。図4に示すように、本実施の形態におけるノートパソコンを直立姿勢で机上面に立てようとした場合、第1の筐体1の背面1c側に略半球状の突起部13a,14a,15aが形成されていることにより、自立することができず、矢印BまたはCに示す方向に転倒しようとする。例えば、使用者がハンドル4を手で把持してノートパソコンの運搬を行った後、机上などに載置しようとする際、図4に示すように直立姿勢で載置しようとしても容易に転倒しようとしてしまう。したがって、使用者においては、ノートパソコンに対して転倒による衝撃が加わるのを回避するためには、ノートパソコンを図4に示す状態から矢印BまたはCに示す方向(通常は、底面1dが机上面に対向する矢印Bに示す方向)へ意図的に変位させる必要がある。
【0017】
また、使用者がハンドル4を把持してノートパソコンを図4に示す姿勢で机上面に載置する際に、ノートパソコンの背面側に衝撃が加わろうとするが、第1の筐体1の背面1cに配されている突起部13a,14a,15aが机上面に当接することにより、ノートパソコンをハンドル4で把持した状態で第1の筐体1に加わろうとする衝撃を吸収することができる。
【0018】
なお、上述のハンドル4を把持してノートパソコンを第1の筐体1の背面1c側を机上に載置する際の衝撃は、第2の筐体2に慣性力として衝撃を与える。この慣性力による衝撃はヒンジ部に印加され、第1の筐体1と第2の筐体2との回動動作に支障を来す場合がある。前述のように第1の筐体1の背面1cに備える突起部13a,14a及び15aが衝撃力を吸収するが、衝撃が過剰な場合にはヒンジカバー3に配した突起部11及び12が載置面に当接することで、ヒンジ部の損傷を抑制することができる。
【0019】
図5は、本実施の形態におけるノートパソコンの要部平面図である。図5に示すように、突起部13a,14a,15aは、第2の筐体2を第1の筐体1に対して離間するように回動させた時に、第1の筐体1と第2の筐体2との隙間16内に収まるような高さ寸法を有する。このような構成とすることにより、突起部13a,14a,15aが隙間16内で第2の筐体2に当接することにより、第2の筐体2の過剰な回動動作を防止できるとともに、第2の筐体2の回動角度を所定の範囲に収めることができる。
【0020】
本実施の形態によれば、第1の筐体1の背面1c側に突起部11,12,13a,14a,15aを備えたことにより、ノートパソコンを例えば図4に示すような直立姿勢で机上面に載置する際に、ノートパソコンに衝撃が伝わるのを低減することができる。よって、ノートパソコンが損傷するのを防ぐことができる。
【0021】
また、第1の筐体1の背面1c側に突起部13a,14a,15aを備えたことにより、ノートパソコンを例えば図4に示すような直立姿勢で自立できないようにすることができる。よって、ノートパソコンを机上面などに不用意に直立姿勢で載置されることがなくなり、転倒による故障、破損を防ぐことが可能となる。
【0022】
また、突起部13a,14a,15aの位置、大きさにより、直立姿勢で机上面などに載置しようとした際のノートパソコンの転倒方向を制御することが可能である。例えば、第2の筐体2よりも第1の筐体1の方が耐衝撃性に優れている場合、突起部13a,14a,15aを背面1cにおける第2の筐体2に近い位置に配置したり、突起部13a,14a,15aの先端に傾斜面を設けたりすることで、第1の筐体1が机上面に当接する方向(図4の矢印Bに示す方向)にノートパソコンを転倒させることができる。
【0023】
また、突起部13a,14a,15aは、それぞれ脚部13,14,15に一体的に形成したことにより、部品点数を削減することができ、コストダウンを実現することができる。
【0024】
また、突起部11,12は、それぞれヒンジカバー3に一体的に形成したことにより、部品点数を削減することができ、コストダウンを実現することができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、突起部13a,14a,15aは、略半球状(半球状)としたが、少なくとも第1の筐体1の背面1cから突出し、ノートパソコンを直立姿勢で自立できないような形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、蒲鉾状、円錐状などがある。
【0026】
また、本実施形態では、突起部13a,14a及び15aにおける第1の筐体1の背面1cからの突出量を同一としたが、例えば14aの突出量だけ13a及び15aの突出量よりも小さく構成しても良い。この構成を採用すれば、例えばハンドル4を把持して机上にノートパソコンを載置する際の衝撃を、突起部13a及び15aで先ず受けた後、突出量が小さい14aで受ける2段構成を取り得るため、衝撃の緩衝効果を増大させることができる。なお、突起部13b,14b及び15bにおける第1の筐体1の底面1dからの突出量も同様に14bだけ小さく構成することで、机上面に載置した際の衝撃力を2段構成で受けとめることができ、緩衝効果を増大することができる。
【0027】
さらに、本実施形態における第1の筐体1の前面1bに対向する背面1cに備える第1の突起部として突起部13a,14a及び15aと3個配した場合について説明したが、3個に限定されるものではなく、少なくとも1個配すれば機能を満足することができる。但し、第1の突起部の数は多い方が衝撃緩衝効果や第2の筐体2の過剰回動を抑制する効果は優れているため、少なくともヒンジ部の両端に一対以上配することが好ましい。また、第1の突起部の数が3個以上で、特に各突起部の突出量を同一とした場合には、それぞれの突起部は直線状に配する必要がある。本実施形態では突起部13a,14a及び15aが配列する直線を第1の筐体1の上面1aと平行としたが、平行とする必然性はない。
【0028】
また、本実施の形態における突起部11,12は、本発明における第2の突起部の一例である。また、本実施の形態における突起部13a,14a,15aは、本発明における第1の突起部の一例である。また、本実施の形態における側面1bは、本発明におけるハンドル側面の一例である。また、本実施の形態における背面1cは、本発明における対向側面の一例である。また、本実施の形態におけるヒンジカバー3は、本発明におけるカバーの一例である。また、本実施の形態におけるキーボード5およびポインティングデバイス6は、本発明における操作部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の情報処理装置は、ノートパソコンなど携帯型の情報処理装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態における情報処理装置の斜視図(第1の状態)
【図2】本実施の形態における情報処理装置の平面図(第2の状態)
【図3】本実施の形態における情報処理装置の斜視図(第2の状態)
【図4】本実施の形態における情報処理装置を直立姿勢にした状態の側面図
【図5】本実施の形態における情報処理装置の平面図(第1の状態)
【図6】従来の情報処理装置の第1の筐体の平面図
【符号の説明】
【0031】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
4 ハンドル
11,12 突起部(第2の突起部)
13,14,15 脚部
13a,14a,15a 突起部(第1の突起部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理手段を内蔵した筐体と、
前記筐体にハンドルを配したハンドル側面と、
前記ハンドル側面に対向する対向側面とを備え、
前記対向側面に第1の突起部を備えた、情報処理装置。
【請求項2】
前記ハンドル側面及び前記対向側面のそれぞれに隣接する底面に脚部を備え、
前記脚部は、前記対向側面まで延在し、
前記第1の突起部は、前記脚部に一体的に形成されている、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対向側面に第2の突起部をさらに備え、
前記第2の突起部は、前記第1の突起部よりも前記対向側面からの高さ寸法が小さく形成されている、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記筐体における前記底面に対向する上面に、前記情報処理手段に情報を入力する操作が可能な操作部が配され、
前記操作部により入力された情報を表示する表示部を配した第2の筐体と、前記筐体及び前記第2の筐体を開閉可能に支持する回動軸とをさらに備え、
前記第1の突起部及び前記ハンドルは前記筐体に配され、
前記第2の突起部は前記回動軸を覆うカバーに配されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49570(P2010−49570A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214398(P2008−214398)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】