説明

感光性接着フィルムおよびそれを用いた半導体装置の製造方法

【課題】解像度に優れ、良好な接着性および保存安定性を有する感光性接着フィルムを提供する。
【解決手段】(A)下記化学式等で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤0.5〜10質量部、(B)エポキシ樹脂10〜30質量部、(C)エポキシ樹脂の硬化剤5〜25質量部、(D)光ラジカル重合開始剤0.1〜8質量部、(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂30〜75質量部、を含む接着剤層が剥離基材上に形成されてなる、感光性接着フィルム。Ph−S−Ph−S+(X)(X)Y-(式)。前記X、Xは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、フェニル基、ベンジル基であり、Yは、ヘキサフルオロアルセニウム基、ヘキサフルオロホスホニウム基、ヘキサフルオロアンチモネート基、トリフルオロメタンスルホニウム基、またはテトラフルオロボロニウム基。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着フィルムおよびそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体メモリ用パッケージは小型化・高容量化が進んでおり、MCP(マルチチップパッケージ)に代表されるように、1つのパッケージに複数のチップを積層するパッケージ構造が一般的となっている。その中に、TSV(シリコン貫通電極)パッケージ構造がある。TSVパッケージにおいて、チップ回路面と被着体上の配線との接続をとる方法としてさまざまな接着フィルムが用いられるが、その1つとしてパターン化可能な感光性接着フィルムがある。
【0003】
特許文献1には、アルカリ可溶性ポリマーと、放射線重合性化合物と、光重合開始剤と、エポキシ樹脂とを含有するポジ型のフィルム状の感光性接着剤を用いた半導体装置の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、フィルム形成能を有する樹脂と、エチレン性不飽和基およびエポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)と、光重合開始剤とを含む感光性接着剤組成物をフィルム状に成形した感光性接着フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−141010号公報
【特許文献2】特開2010−270293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の感光性接着フィルムが有する接着層は、現像工程で用いられる現像液に対する溶解性が低いため、解像度が低く、所望の形状を有するパターンが得られないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、解像度に優れ、良好な接着性および保存安定性を有する感光性接着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤とともに、光カチオン重合開始剤を含む接着剤層を有する感光性接着フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)下記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤 0.5〜10質量部、(B)エポキシ樹脂 10〜30質量部、(C)エポキシ樹脂の硬化剤 5〜25質量部、(D)光ラジカル重合開始剤 0.1〜8質量部、および(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂 30〜75質量部(ただし、(A)〜(E)の合計は100質量部)を含む接着剤層が剥離基材上に形成されてなる、感光性接着フィルムである。
【0009】
【化1】

【0010】
前記化学式1〜4中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、フェニル基、またはベンジル基であり、Yは、それぞれ独立して、ヘキサフルオロアルセニウム基、ヘキサフルオロホスホニウム基、ヘキサフルオロアンチモネート基、トリフルオロメタンスルホニウム基、またはテトラフルオロボロニウム基である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、解像度に優れ、良好な接着性および保存安定性を有する感光性接着フィルムが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程2)を説明する模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程3)を説明する模式図である。
【図3】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程4)を説明する模式図である。
【図4】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程5)を説明する模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程6)を説明する模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程7)を説明する模式図である。
【図7】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法(工程8)を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、(A)上記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤 0.5〜10質量部、(B)エポキシ樹脂 10〜30質量部、(C)エポキシ樹脂の硬化剤 5〜25質量部、(D)光ラジカル重合開始剤 0.1〜8質量部、および(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂 30〜75質量部(ただし、(A)〜(E)の合計は100質量部)、を含む接着剤層が剥離基材上に形成されてなる、感光性接着フィルムである。
【0014】
上記特許文献1および2に記載されている感光性接着フィルムの接着剤層に含まれるエポキシ樹脂および/またはエポキシ樹脂の硬化剤は、硬化後の線膨張率が低く、半導体素子との接続信頼性を確保する上で有効である反面、現像工程で使用する現像液に対する溶解性が低い。そのため、このような感光性接着フィルムを用いてパターンを形成する際、接着剤層の解像度が低くなり、所望の形状を有するパターンが得られないという問題があった。
【0015】
これに対して、本発明の感光性接着フィルムが備える接着剤層は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤とともに、光カチオン重合開始剤を含む。これにより、エポキシ樹脂が有するエポキシ基と光カチオン重合開始剤とが反応し、酸成分が形成され、この酸成分により、接着剤層の現像液に対する溶解性が向上する。したがって、本発明の感光性接着フィルムは、解像度に優れ、良好な接着性および保存安定性をも有する。
【0016】
また、従来、接着剤層の溶解性を向上させるために、接着剤層に含まれる(メタ)アクリル樹脂中のカルボキシル基を増やす手法も取られていた。しかしながら、カルボキシル基を増やすと、エポキシとの暗反応が促進され、感光性接着フィルムの特性が低下してしまう虞がある。本発明の感光性接着フィルムは、このような特性の低下を引き起こすことなく、現像性を向上させることが可能となる。
【0017】
以下、本発明の感光性接着フィルムの接着剤層に含まれる各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの総称である。(メタ)アクリル酸等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。このため、「(メタ)アクリル」とは、アクリルよびメタクリル双方を包含する。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸双方を包含する。
【0018】
<接着剤層>
(A)光カチオン重合開始剤
本発明で用いられる光カチオン重合開始剤(以下、単に成分(A)とも称する)は、下記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0019】
【化2】

【0020】
前記化学式1〜4中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、フェニル基、またはベンジル基であり、Yは、それぞれ独立して、ヘキサフルオロアルセニウム基、ヘキサフルオロホスホニウム基、ヘキサフルオロアンチモネート基、トリフルオロメタンスルホニウム基、またはテトラフルオロボロニウム基である。
【0021】
前記炭素数1〜12の直鎖状または分枝状のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。該光カチオン重合開始剤は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0022】
成分(A)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、0.5〜10質量部である。成分(A)の配合量が0.5質量部未満であると、現像液への溶解性が低下する傾向がある。一方、10質量部を超えると、保存中にフィルム組成物中のエポキシ樹脂との暗反応が起こるため、フィルム安定性が低下する傾向にある。該配合量は、好ましくは0.7〜8質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0023】
(B)エポキシ樹脂
本発明で用いられるエポキシ樹脂(以下、単に成分(B)とも称する)は、硬化して接着作用を有するものであれば特に制限されない。具体的な例としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;多官能エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;複素環含有エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、該エポキシ樹脂は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0024】
本発明で用いられる好ましいエポキシ樹脂のより具体的な例を、以下に列記する。
【0025】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート(登録商標)シリーズ(エピコート(登録商標)807、エピコート(登録商標)815、エピコート(登録商標)825、エピコート(登録商標)827、エピコート(登録商標)828、エピコート(登録商標)834、エピコート(登録商標)1001、エピコート(登録商標)1004、エピコート(登録商標)1007、エピコート(登録商標)1009、以上ジャパンエポキシレジン株式会社製)、DER−330、DER−301、DER−361(以上、ダウケミカル社製)、YD8125、YDF8170(以上、東都化成株式会社製)等が挙げられる。
【0026】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート(登録商標)152、エピコート(登録商標)154(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製)、EPPN−501(日本化薬株式会社製)、DEN−438(ダウケミカル社製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027(以上、日本化薬株式会社製)、YDCN700−10(東都化成株式会社製)、アラルダイト(登録商標)ECN1280(ハンツマン・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、Epon 1031S(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、アラルダイト(登録商標)0163(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)、デナコール(登録商標)EX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321(以上、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート(登録商標)604(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、YH−434(東都化成株式会社製)、TETRAD(登録商標)−X、TETRAD(登録商標)−C(以上、三菱ガス化学株式会社製)、ELM−120(住友化学株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
複素環含有エポキシ樹脂としては、例えば、アラルダイト(登録商標)PT810(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)、ERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206(以上、UCC社製)等が挙げられる。
【0030】
脂環式エポキシ樹脂としては、エポリード(登録商標)シリーズ、セロキサイド(登録商標)シリーズ(以上、ダイセル化学株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
成分(B)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、10〜30質量部である。成分(B)の配合量が10質量部未満であると、該接着フィルム中のエポキ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤との反応点が減少し、接着力が低下する傾向となる。一方、30質量部を超えると、現像液への溶解性が低下する傾向がある。該配合量は、好ましくは12〜27質量部、より好ましくは15〜25質量部である。
【0032】
(C)エポキシ樹脂の硬化剤
本発明で用いられるエポキシ樹脂の硬化剤(以下、単に成分(C)とも称する)は特に制限されず、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。具体的には、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。特に、吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、またはビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。なお、本発明においてエポキシ硬化剤とは、エポキシ基に触媒的に作用し架橋を促進するような、いわゆる硬化促進剤と呼ばれるものも含む。これらエポキシ樹脂の硬化剤は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、該エポキシ樹脂の硬化剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0033】
本発明で用いられる好ましいエポキシ樹脂の硬化剤のより具体的な例としては、フェノライト(登録商標)LF4871、フェノライト(登録商標)LF2822、フェノライト(登録商標)TD−2090、フェノライト(登録商標)TD−2149、フェノライト(登録商標)VH−4150、フェノライト(登録商標)VH4170(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、HF−1M、HF−4、MEHC−7800(以上、明和化成株式会社製)、エピキュア(登録商標)MP402FPY、エピキュア(登録商標)YL6065、エピキュア(登録商標)YLH129B65(以上、ジャパンエポキシレジン株式会社製)、ミレックス(登録商標)XL、ミレックス(登録商標)XLC、ミレックス(登録商標)RN、ミレックス(登録商標)RS、ミレックス(登録商標)VR(以上、三井化学株式会社製)等のフェノール樹脂が挙げられる。
【0034】
成分(C)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、5〜25質量部である。成分(C)の配合量が10質量部未満であると、該接着フィルム中のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤との反応点が減少し、接着力が低下する傾向となる。一方、25質量部を超えると、現像液への溶解性が低下する傾向がある。該配合量は、好ましくは10〜22質量部、より好ましくは12〜20質量部である。
【0035】
(D)光ラジカル重合開始剤
本発明で用いられる光ラジカル重合開始剤(以下、単に成分(D)とも称する)は特に制限されず、通常用いられている公知の光ラジカル重合開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサトン等のチオキサントン化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン化合物、ボレート化合物、カルバゾール化合物、イミダゾール化合物、チタノセン化合物等が挙げられる。これら光ラジカル重合開始剤は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、該光ラジカル重合開始剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0036】
市販品の例としては、例えば、イルガキュア(登録商標)651、イルガキュア(登録商標)184、イルガキュア(登録商標)2959、イルガキュア(登録商標)127、イルガキュア(登録商標)907、イルガキュア(登録商標)369、イルガキュア(登録商標)379EG、イルガキュア(登録商標)819、イルガキュア(登録商標)784、イルガキュア(登録商標)754、イルガキュア(登録商標)500、ルシリン(登録商標)TPO、ダロキュア(登録商標)1173(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
【0037】
成分(D)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、0.1〜8質量部である。成分(D)の配合量が0.1質量部未満であると、高エネルギー線を照射しても光ラジカル重合開始剤の開裂反応が十分起こらず、現像時に接着フィルムが現像液に溶解してしまい。所望するフィルムが得られない。一方、8質量部を超えると、開口部近傍部位の接着層で硬化反応が起こり、開口部の現像液への溶解性が低下する傾向がある。該配合量は、好ましくは0.5〜7質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0038】
(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂
本発明で用いられるカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(以下、単に成分(E)とも称する)は、特に制限されないが、樹脂を構成するモノマー全量に対して、好ましくは10〜15質量%、より好ましくは11〜13質量%のカルボキシル基含有モノマーを含む。このような範囲でカルボキシル基含有モノマーを含むことにより、所望する感光性接着フィルムの形状を得ることができる。
【0039】
前記カルボキシル基含有モノマーは、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和モノマーである。カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、以下に制限されないが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、メチレンマロン酸、α−メチレングルタール酸などが挙げられる。これらは、単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
【0040】
これらのうち、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、重合性の観点から(メタ)アクリル酸がより好ましい。
【0041】
成分(E)のモノマー成分として用いられる、前記カルボキシル基含有モノマー以外の他のモノマーの例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリルモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するアクリルモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するアクリルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリルモノマー;2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン基を有するアクリルモノマー;p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するアクリルビニルモノマー;2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有するビニルモノマー;スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルピリジン等が挙げられる。これらは、単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
【0042】
成分(E)は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、成分(E)は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。合成する場合の合成方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法、等温重合法などが挙げられる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも重合開始剤を使用する溶液重合法が、分子量の調節が容易であり、また不純物も少なくできるために好ましい。例えば、溶剤として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等を用い、モノマーの合計量100質量部に対して、重合開始剤を好ましくは0.01〜0.50質量部を添加し、窒素雰囲気下で、例えば反応温度60〜90℃で、3〜10時間反応させることで得られる。前記重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物が挙げられる。これらは単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
【0043】
市販品の例としては、例えば、バナレジン GH2851C1(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0044】
成分(E)の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000であることが好ましく、7,000〜25,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。なお、測定は、紫外線検出法、赤外線検出法、RI(放射性同位元素)検出法、光散乱検出法等、公知の測定方法で行うことができる。
【0045】
成分(E)のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上であることが好ましく、−10℃以上50℃以下であることがより好ましい。前記範囲内であれば、接着剤層のタック性が適当であり、取り扱い性に問題がほとんど生じない。なお、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定)法により測定した値を採用する。
【0046】
また、成分(E)の酸価は、酸価は80〜120KOHmg/gの範囲であることが好ましく、90〜105KOHmg/gの範囲であることがより好ましい。80KOHmg/gを下回ると、現像液への溶解性が低下する傾向があり、120KOHmg/gを超えると、保存中に接着剤層中のエポキシ樹脂との暗反応が起こるため、フィルム安定性が低下する傾向がある。なお、酸価は、フェノール−フタレイン溶液を指示薬として使用し、中和滴定により測定した値を採用する。
【0047】
成分(E)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、30〜75質量部である。成分(E)の配合量が30質量部未満であると、現像液への溶解性が低下する傾向にある。一方、75質量部を超えると、保存中にフィルム組成物中のエポキシ樹脂との暗反応が起こるため、フィルム安定性が低下する傾向にある。該配合量は、好ましくは40〜70質量部、より好ましくは45〜65質量部である。
【0048】
(F)エチレン性不飽和結合を有する化合物
本発明の感光性接着フィルムが備える接着剤層は、さらにエチレン性不飽和結合を有する化合物(以下、単に成分(F)とも称する)を含んでもよい。
【0049】
成分(F)は、紫外線や電子ビームなどの放射線により重合・硬化する化合物であれば特に制限はない。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン;4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート等が挙げられる。これらは単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
【0050】
成分(F)の配合量は、成分(A)〜(E)の合計量を100質量部として、3〜40質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
【0051】
本発明の感光性接着フィルムが備える接着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化促進剤、無機充填剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等)、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料等)、処理剤、粘度調整剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤および溶剤などの添加剤をさらに含んでもよい。これら添加剤を使用する場合の、添加剤の使用量は特に制限されないが、例えば、接着剤層の全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%である。
【0052】
<剥離基材>
本発明の感光性接着フィルムに用いられる剥離基材としては、種々の樹脂フィルムを用いることができる。その具体例としては、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、さらには前記の樹脂フィルムを2層以上積層してなる樹脂フィルム等を挙げることができる。切削くずの飛散を防止する観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどが好ましく用いられる。
【0053】
剥離基材の厚みは特に制限されず、通常25〜75μmの範囲のものが用いられる。
【0054】
<感光性接着フィルムの製造方法>
本発明の感光性接着フィルムの製造方法は、特に制限されないが、上記の成分(A)〜(E)ならびに必要に応じて成分(F)および添加剤を、溶媒中で一括に混合するか、各成分を順次混合するか、または任意の複数の成分を混合した後に残りの成分を混合するなどして、均一な混合物となるように攪拌することにより接着剤層用塗布液を調製した後、該接着剤層用塗布液を剥離基材上に塗布し乾燥する方法が挙げられる。
【0055】
前記接着剤層用塗布液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0056】
前記接着剤層用塗布液の調製は、例えば、スターラーなどで均一になるまで、加熱・加圧などすることなく通常の環境下で、15分以上攪拌することにより行うことができる。
【0057】
前記接着剤層用塗布液の剥離基材上への塗布方法としては特に制限されず、例えば、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ロールコート、エアーナイフコート、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、ベーカーアプリケーターおよびグラビアコーター等の装置を用いる種々の塗工方法が挙げられる。
【0058】
塗布後の乾燥の条件も特に制限されず、例えば、50〜150℃の温度範囲で、3〜60分乾燥する方法が挙げられる。
【0059】
乾燥後の接着剤層の厚さは、5〜200μmであることが好ましい。
【0060】
<半導体装置の製造方法>
本発明の感光性接着フィルムは、半導体装置の製造に好適に用いられる。すなわち、本発明は、本発明の感光性接着フィルムを用いた半導体装置の製造方法をも提供する。
【0061】
本発明の半導体装置の製造方法は特に制限されないが、下記の工程1〜8を含むことが好ましい。
【0062】
(工程1)(A)上記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤、(B)エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂の硬化剤、(D)光ラジカル重合開始剤、および(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む接着剤層用塗布液を調製する工程。
【0063】
(工程2)前記接着剤層用塗布液を剥離基材上に塗布し、乾燥させて接着剤層を形成させた後、前記接着剤層を前記剥離基材から剥離しながら半導体ウェハ表面に貼り付けて接着剤層付きの半導体ウェハを得る第1の貼り付け工程。
【0064】
(工程3)前記接着剤層付き半導体ウェハに接着剤層側からフォトマスクを介して高エネルギー線を照射して、前記接着剤層を硬化せしめる露光工程。
【0065】
(工程4)前記露光工程で硬化した前記接着剤層をアルカリ水溶液により現像し、前記接着剤層の未露光部分を除去する現像工程。
【0066】
(工程5)前記接着剤層付き半導体ウェハの接着剤層側から粘着剤層付き基材を貼り付け、積層体付き半導体ウェハを得る第2の貼り付け工程。
【0067】
(工程6)前記積層体付き半導体ウェハを、少なくとも前記接着剤層と半導体ウェハとの界面に達するまでダイシングし、前記半導体ウェハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程。
【0068】
(工程7)前記粘着剤層から前記半導体素子を前記接着剤層と共にピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程。
【0069】
(工程8)前記接着剤層付き半導体素子上の前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程。
【0070】
以下、図面を参照しながら、上記工程1〜8について詳述する。
【0071】
(工程1)
本工程では、成分(A)〜(E)および必要に応じて成分(F)や添加剤を混合し、接着剤層用塗布液を調製する。調製に用いられる溶媒や調製方法については、上記と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
(工程2)
工程1で得られた接着剤層用塗布液を剥離基材上に塗布し、乾燥させて接着剤層を形成させ感光性接着フィルムを得る。この時用いられる剥離基材や接着剤層の形成方法については、上記と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
その後、上記感光性接着フィルム(本発明の感光性接着フィルム)を用い、前記接着剤層を前記剥離基材から剥離しながら半導体ウェハ表面に貼り付けて接着剤層付きの半導体ウェハを得る(第1の貼り付け工程、図1参照)。
【0074】
接着剤層を半導体ウェハ表面に貼り付ける方法としては、例えば、ラミネータなどを用いて熱圧着する方法が挙げられる。
【0075】
(工程3)
本工程では、工程2で得られた接着剤層付き半導体ウェハに、接着剤層側からフォトマスクを介して高エネルギー線を照射して、前記接着剤層を硬化せしめる(図2参照)。
【0076】
高エネルギー線の種類としては特に制限されず、紫外線、電子線、放射線等が挙げられる。また、高エネルギー線を照射する光源も特に制限されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置などが挙げられる。
【0077】
高エネルギー線の照射量は50〜5000mJ/cmであることが好ましい。
【0078】
(工程4)
工程3で硬化した前記接着剤層を、本工程において、アルカリ水溶液により現像し、前記接着剤層の未露光部分(未硬化部分)を除去する(図3参照)。
【0079】
前記アルカリ水溶液は、特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物や、モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミン、モノ、ジもしくはトリメチルアミン、モノ、ジもしくはトリエチルアミン、モノもしくはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ、ジもしくはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物を含む水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0080】
前記アルカリ水溶液は、界面活性剤を含んでもよく、その例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0081】
さらに、アルカリ水溶液は、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶媒を含んでも良い。
【0082】
現像処理の条件に特に制限はないが、現像温度は通常10〜50℃である。現像方法も特に制限されず、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等が挙げられる。
【0083】
(工程5)
前記接着剤層付き半導体ウェハの接着剤層側から粘着剤層付き基材(ダイシングテープ)を貼り付け、積層体付き半導体ウェハを得る(第2の貼り付け工程、図4参照)。
【0084】
粘着剤層付き基材(ダイシングテープ)は、基材層と高エネルギー線重合性成分を含む粘着剤層とから構成される。上記基材層には、本発明の感光性接着フィルムの剥離基材として用いられる材料と同様のものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0085】
粘着剤層に高エネルギー線重合性成分を含有させることにより、半導体ウェハ等の被着体に接着剤層を貼り付けた後、ダイシングを行う前に高エネルギー線を照射して、ダイシング時の粘着力を向上させることや、逆にダイシングを行った後に高エネルギー線を照射して、粘着力を低下させることによりピックアップを容易にすることができる。このような高エネルギー線重合性成分としては、従来高エネルギー線重合性の粘着剤層に使用されていた化合物を、特に制限なく使用することができる。
【0086】
粘着剤層に用いられる高エネルギー線重合性成分としては、例えば、放射線重合性成分が挙げられる。放射線重合性成分としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性ブチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、EO(エチレンオキシド)変性ジシクロペンテニルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチルジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールメタクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、EO変性リン酸アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ECH変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性リン酸ジアクリレート、ECH変性フタル酸ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール400ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のアクリレート、これらに対応するメタクリレートなどが挙げられる。これらの高エネルギー線重合性成分は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0087】
また、粘着剤層には、光重合開始剤(例えば、放射線等の高エネルギー線の照射によって遊離ラジカルを生成する化合物)を添加することもできる。かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N'−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0088】
粘着剤層の厚さは、10〜500μmであることが好ましく、25〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。さらに、粘着剤層は2層以上積層されたものであってもよい。
【0089】
接着剤層付き半導体ウェハと粘着剤層付き基材(ダイシングテープ)との貼り付けは、必要に応じて加熱しながら行う。
【0090】
(工程6)
本工程では、前記積層体付き半導体ウェハを、少なくとも前記接着剤層と半導体ウェハとの界面に達するまでダイシングし、前記半導体ウェハを所定の大きさの半導体素子に切断する。これにより、接着剤層と半導体ウェハとをそれぞれ備えた複数の半導体素子が得られる(図5参照)。このダイシングは、例えば、ダイシングソーを用いて行われる。
【0091】
(工程7)
本工程では、前記粘着剤層から前記半導体素子を前記接着剤層と共にピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得る(図6参照)。ピックアップの方法としては特に制限されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体素子の上部から、半導体素子をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0092】
(工程8)
本工程では、前記接着剤層付き半導体素子上の前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する(図7参照)。前記被着体としては、例えば、有機基板、半導体ウェハ、インターポーザーもしくはマザーボードと呼ばれるフレキシブル基板もしくはリジット基板、リードフレーム、有機物もしくは無機物から構成される絶縁基板、アクリル樹脂、またはガラス基板等の透明基板等が挙げられる。接着は、必要に応じて加熱しながら行う。
【0093】
本発明の半導体装置の製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【実施例】
【0094】
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0095】
(実施例1)
エポキシ樹脂(B)としてアラルダイト(登録商標)ECN1280(ハンツマン・ジャパン株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)19質量部、エポキシ樹脂の硬化剤(C)としてMEHC−7800 4S(明和化成株式会社製)16質量部、光カチオン重合開始剤(A)としてトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(アルドリッチ社製)0.5質量部、エチレン性不飽和結合を有する化合物(F)としてトリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)10質量部、および光ラジカル重合開始剤(D)としてイルガキュア(登録商標)819(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)4.5質量部に、メチルエチルケトンを加えて、常温(25℃)で90分間攪拌混合した。得られた混合物に、さらにカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(E)としてバナレジンGH2851C1(新中村化学工業株式会社製、重量平均分子量1.1万、酸価100KOHmg/g)50質量部を混合し、接着剤層塗布液を得た。得られた接着剤層用塗布液を、厚さ38μmの離型処理を行ったポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にベーカーアプリケーターを用いて塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が20μmの塗膜(接着剤層)を形成し、感光性接着フィルムを作製した。
【0096】
なお、バナレジンGH2851C1は、アクリル酸エチル、スチレン、アクリロニトリル、およびメタクリル酸の四元共重合体である。
【0097】
(実施例2)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0098】
(実施例3)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を3.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0099】
(実施例4)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を5.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0100】
(実施例5)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を8.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0101】
(実施例6)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.5質量部とし、バナレジンGH2851C1の量を40質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0102】
(実施例7)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.5質量部とし、バナレジンGH2851C1の量を60質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0103】
(実施例8)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.5質量部とし、バナレジンGH2851C1の量を60質量部とし、さらにトリメチロールプロパントリメタクリレートを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、接着剤層を作製した。
【0104】
(実施例9)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.5質量部とし、バナレジンGH2851C1の量を40質量部とし、さらにトリメチロールプロパントリメタクリレートの量を20質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0105】
(比較例1)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0106】
(比較例2)
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を12質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0107】
(比較例3)
バナレジンGH2851C1の代わりに、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(D)としてバナレジンGH2852(新中村工業化学株式会社製、重量平均分子量1.6万、酸価150KOHmg/g)を50質量部使用し、さらにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0108】
(比較例4)
バナレジンGH2851C1の代わりに、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(D)としてバナレジンGH2854(新中村工業化学株式会社製、重量平均分子量1.3万、酸価50KOHmg/g)を50質量部使用し、さらにトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を12質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0109】
(比較例5)
バナレジンGH2851C1の量を30質量部とし、トリメチロールプロパントリメタクリレートの量を25質量部とし、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩の量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性接着フィルムを作製した。
【0110】
<評価>
(開口部幅)
開口部寸法が10.0μmφであり、開口部同士の間隔が30μmとなるように開口部が分散配置されたフォトマスクを介して、感光性接着フィルムの接着剤層側から紫外線を1000mJ/cm照射した後、25℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬し、その後純水で洗浄して接着剤層のパターンを形成した。
【0111】
形成したパターンを、光学顕微鏡にて目視観察した。開口部寸法10.0μmφに対して、8.0μm以上開口していれば、感光性接着フィルムとしての機能を満足すると判断した。
【0112】
(接着力)
感光性接着フィルムの接着剤層上にポリイミドフィルムを、60℃に加熱したニップロールを用いてラミネートした後、得られた積層フィルムを180℃方向に引っ張り、引き裂き試験を実施した。なお、下記表1中の「接着力OK」とは、測定中に剥離基材が破断し、接着部分の剥離は見られないことを意味し、「−」とは、測定していないことを意味する。
【0113】
(フィルム安定性)
感光性接着フィルムの接着剤層側の面に、カプトン(登録商標)200H(東レデュポンフィルム株式会社製、ポリイミドフィルム)を貼着した後、剥離基材を剥がし、剥離基材側の面にもカプトン(登録商標)200Hを貼着した。貼着して得られた積層フィルムを、90℃に加熱したラミネートロールで熱圧着して、測定サンプルを得た。
【0114】
得られた測定サンプルのポリイミドフィルムの両端部分を各々チャックに固定し、引張強度測定装置(株式会社オリエンテック製、STA−1150)を用いて、180度方向に100mm/分の速度で引っ張ったときの破断強度を測定した。これを初期値Aとする。測定後、25±2℃に7日間遮光保管した前記接着フィルムを用いて再度同様の測定を実施した。得られた値をBとする。Aの値を100とした場合に、Bが90以上であればフィルム安定性を確保していると判断した(表1中の○印)。なお、下記表1中の「×」とは、安定性が確保できていないことを意味し、「−」とは、測定していないことを意味する。
【0115】
各評価結果を下記表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
上記表1から明らかなように、本発明の感光性接着フィルム(実施例1〜9)は、本発明の範囲外である感光性接着フィルム(比較例1〜5)と比べて、解像度(開口部幅)、接着力およびフィルム安定性のバランスに優れる。
【符号の説明】
【0118】
1 剥離基材、
2 接着剤層、
3 半導体ウェハ、
4 フォトマスク、
5 アルカリ水溶液、
6 基材層、
7 粘着剤層、
8 リングフレーム、
9 ダイシングソー、
10 ピックアップ装置、
11 被着体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤 0.5〜10質量部、
(B)エポキシ樹脂 10〜30質量部、
(C)エポキシ樹脂の硬化剤 5〜25質量部、
(D)光ラジカル重合開始剤 0.1〜8質量部、および
(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂 30〜75質量部、
(ただし、(A)〜(E)の合計量は100質量部)
を含む接着剤層が剥離基材上に形成されてなる、感光性接着フィルム:
【化1】

前記化学式1〜4中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、フェニル基、またはベンジル基であり、
Yは、それぞれ独立して、ヘキサフルオロアルセニウム基、ヘキサフルオロホスホニウム基、ヘキサフルオロアンチモネート基、トリフルオロメタンスルホニウム基、またはテトラフルオロボロニウム基である。
【請求項2】
前記接着剤層が、さらに(F)エチレン性不飽和結合を有する化合物を、(A)〜(E)の合計100質量部に対して、3〜40質量部含む、請求項1に記載の感光性接着フィルム。
【請求項3】
(A)下記化学式1〜4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光カチオン重合開始剤 0.5〜10質量部、
(B)エポキシ樹脂 10〜30質量部、
(C)エポキシ樹脂の硬化剤 5〜25質量部、
(D)光ラジカル重合開始剤 0.1〜8質量部、および
(E)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂 30〜75質量部、
(ただし、(A)〜(E)の合計は100質量部)
を含む接着剤層用塗布液を調製する工程と、
【化2】

(前記化学式1〜4中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、フェニル基、またはベンジル基であり、Yは、それぞれ独立して、ヘキサフルオロアルセニウム基、ヘキサフルオロホスホニウム基、ヘキサフルオロアンチモネート基、トリフルオロメタンスルホニウム基、またはテトラフルオロボロニウム基である。)
前記接着剤層用塗布液を剥離基材上に塗布し、乾燥させて接着剤層を形成させた後、前記接着剤層を前記剥離基材から剥離しながら、前記接着剤層を半導体ウェハ表面に貼り付けて接着剤層付きの半導体ウェハを得る第1の貼り付け工程と、
前記接着剤層付き半導体ウェハに接着剤層側からフォトマスクを介して高エネルギー線を照射して、前記接着剤層を硬化せしめる露光工程と、
前記露光工程で硬化した前記接着剤層をアルカリ水溶液により現像し、前記接着剤層の未露光部分を除去する現像工程と、
前記接着剤層付き半導体ウェハの接着剤層側から粘着剤層付き基材を貼り付けた積層体付き半導体ウェハを得る第2の貼り付け工程と、
前記積層体付き半導体ウェハを、少なくとも前記接着剤層と半導体ウェハとの界面に達するまでダイシングし、前記半導体ウェハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程と、
前記粘着剤層から前記半導体素子を前記接着剤層と共にピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程と、
前記接着剤層付き半導体素子上の前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112720(P2013−112720A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258726(P2011−258726)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】