説明

成形型と樹脂成形方法

【課題】 成形型に要求される耐圧圧力を低減し、成形型の小型化とコストダウンを実現する。
【解決手段】 成形型12は、キャビティ22内に溶融した樹脂を充填し、その樹脂をキャビティ22内で冷却させて樹脂成形品を成形する。その成形型12は、充填した樹脂が冷却する際に、樹脂成形品の表側の面を成形する表側キャビティ面23からよりも、樹脂成形品の裏側の面を成形する裏側キャビティ面24から剥がれやすくなるように構成されている。
この射出成形方法によれば、保圧圧力が低くても、意匠面が意図した形状に仕上げられた良好な樹脂成形品を成形することができる。保圧圧力が低いと、成形型12に要求される耐圧圧力が低くてすみ、成形型12の小型化とコストダウンが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の成形品を射出成形する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形では、成形型に形成されたキャビティに溶融した樹脂を充填し、充填した樹脂が凝固したら成形型から樹脂成形品を取り出す。
樹脂は、凝固するときに収縮する。キャビティに充填された樹脂が収縮すると、樹脂がキャビティの面から剥がれてしまう。このため、樹脂成形品を意図した形状に成形することができない。
樹脂の収縮によって樹脂成形品がキャビティ面から剥がれてしまうのを防止するために、樹脂が凝固するまで、キャビティ内の溶融樹脂に圧力(保圧圧力)を加え続ける技術が知られている。この技術では、収縮した樹脂の分だけ、さらに樹脂が充填される。従って、凝固した樹脂がキャビティ面から剥がれてしまうのが防止される。
【0003】
多くの樹脂成形品には、意図した形状に仕上げる必要がある面(意匠面であり、表側面ということもある)と、その裏側の面であって仕上がりが悪いことが許容される面がある。特許文献1には、成形型に樹脂を充填し終えたら、保圧圧力を加える代わりに、樹脂成形品の裏側面に加圧流体を注入する技術が開示されている。樹脂成形品の裏側面に加圧流体を注入すると、樹脂成形品の裏側面がキャビティ面から剥離するとともに、樹脂成形品の意匠面はキャビティ面に密着した状態に維持される。このため、樹脂成形品の意匠面を意図した形状に仕上げることができると説明している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−58493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂が凝固するまで保圧圧力を加え続けることによって、表側面が意図した形状に仕上げられた良好な樹脂成形品を成形するためには、高い圧力が必要になる。このため、成形型には高い耐圧圧力を要求され、大型かつ高価になってしまう。
特許文献1の技術でも、意匠面が意図した形状に仕上げられた良好な樹脂成形品を成形するためには、樹脂成形品の裏側に高い圧力の加圧流体を注入する必要がある。従って、この技術でも、成形型には高い耐圧圧力を要求され、大型かつ高価になってしまう。
【0006】
本発明は、その問題を解決するためになされたものであり、成形型に要求される耐圧圧力を低減し、成形型の小型化とコストダウンを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の成形型は、キャビティ内に溶融した樹脂を充填し、その樹脂をキャビティ内で冷却させて樹脂成形品を成形する。その成形型は、充填した樹脂が冷却する際に、樹脂成形品の表側の面を成形する表側キャビティ面からよりも、樹脂成形品の裏側の面を成形する裏側キャビティ面から剥がれやすくなるように構成されている。
この成形型は、充填した樹脂が冷却する際に、表側キャビティ面からよりも、裏側キャビティ面から剥がれやすくなるように構成されている。このため、樹脂が冷却して収縮するときに、樹脂成形品の裏側面が裏側キャビティ面から優先的に剥がれ、樹脂成形品の表側面と表側キャビティ面が密着した状態を維持しやすくなる。樹脂成形品の表側面と表側キャビティ面が密着している(貼り付いている)と、樹脂成形品の意匠面を低い保圧圧力で意図した形状に仕上げることができる。このように、保圧圧力を低く抑えることで、成形型に要求される耐圧圧力を低くすることができるため、成形型の材質や大きさを、高圧に耐えられるものにする必要がなくなる。よって、成形型の小型化とコストダウンが実現される。
なお「樹脂成形品の表側面」は、意図した形状に仕上げる必要がある意匠面を意味し、「樹脂成形品の裏側面」は、その反対面であって仕上げが悪いことが許容される面を意味する。従って「樹脂成形品の表側面」と「樹脂成形品の裏側面」は、「樹脂成形品の外側面」と「樹脂成形品の内側面」に対応しない。樹脂成形品の外側面が表側面であることも、樹脂成形品の内側面が表側面であることもある。
【0008】
上記の成形型において、裏側キャビティ面の表面粗さを、表側キャビティ面の表面粗さよりも粗くすることが好ましい。
キャビティ面は、平滑面よりも適度に粗い方が、樹脂とキャビティ面との間に空気が入り込みやすくなり、樹脂が剥がれやすくなる。従って、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面の表面粗さが粗いと、樹脂の裏側面が裏側キャビティ面から剥がれることによって、樹脂の表側面は表側キャビティ面に密着した状態を維持する。
【0009】
上記の成形型において、裏側キャビティ面に、樹脂を剥がしやすくするための離型剤が塗布されていることが好ましい。
裏側キャビティ面に離型剤が塗布されていると、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなる。
裏側キャビティ面に離型剤が重点的に塗布されている状態で樹脂を冷却する工程を実行することもできる。
この場合、表側キャビティ面にも離型剤が塗布されていることがある。重要なことは、裏側キャビティ面に塗布されている離型剤が表側キャビティ面に塗布されている離型剤よりも強力であることである。表側キャビティ面と裏側キャビティ面で塗布する離型剤の量または種類に差異を設けることによって、表側キャビティ面からよりも、裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなるようにすることができる。
【0010】
上記の成形型において、裏側キャビティ面の表面温度を、表側キャビティ面の表面温度よりも高くする温度制御手段を備えていることが好ましい。
樹脂は、より温度が高い方が、より流動しながら収縮することによってキャビティ面から剥がれやすくなる。よって、温度制御手段によって、裏側キャビティ面の表面温度を、表側キャビティ面の表面温度よりも高くすると、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなる。
【0011】
上記の成形型において、成形型の裏側キャビティ面を構成する一方の型を、成形型の表側キャビティ面を構成する他方の型よりも低い熱伝導率の材質とすることが好ましい。
成形型の裏側キャビティ面を構成する一方の型を、成形型の表側キャビティ面を構成する他方の型よりも低い熱伝導率の材質とすると、裏側キャビティ面の表面温度が表側キャビティ面の表面温度よりも高くなる。このため、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなる。
【0012】
本発明の樹脂成形方法は、成形型のキャビティ内に溶融した樹脂を充填し、その樹脂をキャビティ内で冷却させて樹脂成形品を成形する。その樹脂成形方法は、充填した樹脂を冷却させて樹脂成形品を成形した後に、樹脂成形品の裏側を成形する裏側キャビティ面から樹脂成形品を剥がし、その後に樹脂成形品の表側の面を成形する表側キャビティ面から樹脂成形品を剥がし、この樹脂成形品をキャビティ内から取り出す。
この樹脂成形方法は、裏側キャビティ面から樹脂成形品を剥がし、その後に表側キャビティ面から樹脂成形品を剥がす。このため、樹脂成形品は、表面側が表面側キャビティ面と密着した状態で成形される。樹脂成形品の表側面と表側キャビティ面が密着していると、樹脂成形品の意匠面を低い保圧圧力で意図した形状に仕上げることができる。このように、保圧圧力を低く抑えることで、成形型に要求される耐圧圧力を低くすることができるため、成形型の材質や大きさを、高圧に耐えられるものにする必要がなくなる。よって、成形型の小型化とコストダウンが実現される。
【0013】
上記の樹脂成形方法では、充填した樹脂を冷却して樹脂成形品を成形する冷却工程において、樹脂成形品の曲面部分の裏側キャビティ面に接する樹脂よりも、表側キャビティ面に接する樹脂を先に冷却することが好ましい。
樹脂成形品を成形する場合、樹脂成形品の曲面部分の内方(曲率中心側)の温度が、曲面部分の外方よりも低いと、曲面部分の内方が外方よりも収縮することによって、樹脂成形品が成形型に食いつく。そのため、樹脂成形品の曲面部分の外方が表側(意匠面)である場合、曲面部分の内方の温度が曲面部分の外方よりも低いと、樹脂成形品の裏側が裏側キャビティ面から剥がれにくくなる。
上述した樹脂成形方法によれば、充填した樹脂を冷却して樹脂成形品を成形する冷却工程において、樹脂成形品の曲面部分の裏側キャビティ面に接する樹脂よりも、表側キャビティ面に接する樹脂を先に冷却する。このため、樹脂成形品の曲面部分の外方が表側である場合、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなる。
樹脂成形品の曲面部分の内方が表側である場合、樹脂成形品の曲面部分の裏側キャビティ面に接する樹脂よりも、表側キャビティ面に接する樹脂を先に冷却すると、樹脂成形品の表側が表側キャビティ面からより剥がれにくくなり、樹脂成形品の裏側が裏側キャビティ面からより剥がれやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態を例示する。
(形態1)
裏側キャビティ面に非粘着性処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
裏側キャビティ面に非粘着性処理(例えば、テフロン(登録商標)コーティング)が施されていると、表側キャビティ面よりも裏側キャビティ面から樹脂が剥がれやすくなる。
【実施例】
【0015】
本発明の射出成形技術に係る実施例について、図面を参照しながら説明する。本実施例では、図1に示す樹脂製の成形品14を射出成形する。成形品14は、例えば、自動車のバンパーである。成形品14は、意匠面(表側面)15と裏側面16を持っている。意匠面15は、成形品14が自動車に取り付けられた場合に外部から視認される面であり、意図した表面形状に精密に仕上げる必要がある。裏側面16は、仕上げが悪くてもかまわない。
成形品14は、図2に示す金型12を用いて成形される。金型12は、第1金型20と第2金型21を有している。図2は、第1金型20と第2金型21が組み合わさり、金型12が閉じた状態を示している。金型12が閉じた状態では、第1金型20と第2金型21によってキャビティ22が形成される。キャビティ22の形状は、成形品14の形状に対応している。すなわち、第1金型20の第1キャビティ面23は、成形品14の意匠面15を成形する。第2金型21の第2キャビティ面24は、成形品14の裏側面16を成形する。第1金型20には、冷却水路27が複数設けられている。第2金型21にも、冷却水路28が複数設けられている。
第1金型20には、その外部と第1キャビティ面23を連通するゲート25が設けられている。ゲート25には、金型12の外部に配置された射出ノズル(図示省略)から溶融樹脂が射出される。射出された溶融樹脂は、ゲート25を通過してキャビティ22に充填される。
射出ノズル、冷却水路27、28を流通する冷却水の温度/流量は、成形コントローラ30によって制御される。
【0016】
第2金型20の第2キャビティ面24は、例えば、ショットブラスト処理やショットピーニング処理が施されることによって、表面粗さが粗くなっている。第1金型20の第1キャビティ面23には、表面粗さを粗くする処理が施されていない。このため、第2金型20の第2キャビティ面24の表面粗さは、第1金型20の第1キャビティ面23の表面粗さよりも粗くなっている。
【0017】
図3は、金型12を用いて成形品14を成形する工程を示している。最初の型閉め工程では、第1金型20と第2金型21を組み合わせて金型12を型閉めする。続く射出工程では、第1金型20のゲート25に溶融した樹脂が射出される。ゲート25に射出された樹脂は、金型20のキャビティ22に充填される。
保圧工程では、キャビティ内の圧力が所定圧力以上に保持される。冷却工程は、保圧工程と同時に開始され、保圧工程終了後も継続される。冷却工程では、キャビティ22に充填された樹脂が冷却される。この冷却は、第1金型20の冷却水路27と第2金型21の冷却水路28に冷却水を流すことによって行われる。
キャビティ22に充填された樹脂は、冷却されることによって収縮する。保圧工程では、収縮した樹脂の分だけ、さらに樹脂が充填される。
【0018】
上述したように、第2金型21の第2キャビティ面24の表面粗さは、第1金型20の第1キャビティ面23の表面粗さよりも粗く仕上げられている。樹脂とキャビティ面は、キャビティ面が良好(滑らか)に仕上げられているよりも、粗く仕上げられている方が、樹脂とキャビティ面との間に空気が入り込みやすくなるため、樹脂がキャビティ面から剥がれやすくなる。このため、樹脂が収縮するときに、図4に示すように、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から優先的に剥離する。成形品14の意匠面15は、第1金型20の第1キャビティ面23に密着した状態を維持する。すなわち、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥がれることによって、成形品14の意匠面15が第1キャビティ面23に密着する。よって、樹脂が収縮することによるヒケが裏側面16に集中する。ヒケが裏側面16に集中すると、成形品14の意匠面15が意図した形状に仕上げられる。成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥離するのは、冷却工程の途中のタイミングである。
これに対して、第1キャビティ面23と第2キャビティ面24の表面粗さが同等であると、樹脂が収縮したときに、意匠面14と第1キャビティ面23が剥離するかもしれないし、裏側面16と第2キャビティ面24が剥離するかもしれない。このため、保圧工程でキャビティ22に高い圧力を加えて収縮した分の樹脂を充填し、成形品14の意匠面15と第1キャビティ面23と、裏側面16と第2キャビティ面24の双方が剥離しないようにしなければならない。本発明の射出成形技術によれば、裏側面16が第2キャビティ面24から剥離し、意匠面15が第1キャビティ面23に密着した状態を維持するのが保証されているので、保圧工程でキャビティ22に加える圧力を低くすることができる。保圧工程の圧力を低くできると、金型12に要求される耐圧圧力が低くなる。このため、金型12の材質や大きさを、高圧に耐えられるものにする必要がなくなる。よって、金型12の小型化やコストダウンが可能になる。
【0019】
第2金型21は、第2キャビティ面24の一部を形成する中子(図示省略)を持っている。第2キャビティ面24には、中子によって段差が生じるのが避けられない。裏面側キャビティ面24に段差が存在していると、成形品の肉厚が急変することから、意匠面にも歪の影響が現れやすい。成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥離した状態で樹脂が冷却されると、第2キャビティ面24に段差が存在していても、その影響が意匠面15に現れるのを防止することができる。
【0020】
図3に示すように、冷却工程を実行してから型開き工程に移行して金型12を開く(第1金型20と第2金型21を離反させる)。最後に、製品取出し工程を行うことによって、成形品14を金型12から取り出す。以上で、成形品14を成形する1サイクルが終了する。
【0021】
第1成形型20の冷却水路27と、第2成形型21の冷却水路28を流れる冷却水の温度/流量とを別々に制御して、冷却工程における第2キャビティ面24の温度が、第1キャビティ面23よりも高くなるようにすることもできる。第1成形型20の冷却水路27を流れる冷却水の温度よりも、第2成形型21の冷却水路28を流れる冷却水の温度を高くすれば、第2キャビティ面24の温度は、第1キャビティ面23よりも高くなる。第1成形型20の冷却水路27を流れる冷却水の流量よりも、第2成形型21の冷却水路28を流れる冷却水の流量を少なくすれば、第2キャビティ面24の温度は、第1キャビティ面23よりも高くなる。また、第2金型21に発熱手段(例えば、電気ヒータ)を設けることによって、第2キャビティ面24の温度を第1キャビティ面23よりも高くすることもできる。
樹脂とキャビティ面は、キャビティ面の温度が高い方が剥がれやすい。なぜならば、樹脂は、温度が高い方がより流動しながら収縮するからである。従って、上述したように、第2キャビティ面24の温度を、第1キャビティ面23よりも高くすると、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥離し、成形品14の意匠面15は、第1キャビティ面23に密着した状態を維持する。よって、意匠面15は、意図した良好な形状に成形される。
【0022】
第2成形型21の第2キャビティ面24に離型剤(例えば、ソープ系離型剤や、ワックス系離型剤)を重点的に塗布することもできる。このようにしても、冷却されて樹脂が収縮するときに、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥離し、成形品14の意匠面15は、第1金型20の第1キャビティ面23に密着した状態を維持する。よって、意匠面15は、意図した良好な形状に成形される。
第2金型21の第2キャビティ面24に非粘着性処理(例えば、テフロン(登録商標)コーティング)を施すこともできる。このようにしても、樹脂が収縮するときに、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥離するとともに、意匠面15が第1キャビティ面23に密着した状態を維持し、意匠面15を意図した良好な形状に成形することができる。
【0023】
冷却工程において、成形品14の曲面部分を成形する第1キャビティ面23と第2キャビティ面24についても、第2キャビティ面24の温度が第2キャビティ面23のそれよりも高いことが好ましい。成形品14の曲面部分の内方(曲率中心側)が、外方よりも温度が低いと、内方が外方よりも収縮することによって、成形品14が金型12に食いつく。成形品14の曲面部分の外方が意匠面15である場合(曲面部分の内方が裏側面16である場合)には、第2キャビティ面24の温度が第1キャビティ面23の温度よりも低いと、成形品14の裏側面16が第2キャビティ面24から剥がれにくくなる。従って、第2キャビティ面24の温度を第1キャビティ面23のそれよりも高くすると、成形品14の曲面部分の外方が意匠面15である場合に、裏側面16を第2キャビティ面24から剥がれやすくできる。よって、成形品14の意匠面15は、第1キャビティ面23に密着した状態を維持する。成形品14の曲面部分の内方が意匠面15である場合には、第2キャビティ面24の温度を第1キャビティ面23の温度よりも高くすると、意匠面15は金型12に食いつく。従って、裏側面16は、第2キャビティ面24からより剥がれやすくなる。
【0024】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】成形品の斜視図。
【図2】金型の断面図。
【図3】射出成形の工程を示す図。
【図4】成形品の裏側面が第2キャビティ面から剥がれた状態の断面図。
【符号の説明】
【0026】
12:金型
14:成形品
15:意匠面
16:裏側面
20:第1金型
21:第2金型
22:キャビティ
23:第1キャビティ面
24:第2キャビティ面
25:ゲート
27、28:冷却水路
30:成形コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ内に溶融した樹脂を充填し、その樹脂をキャビティ内で冷却させて樹脂成形品を成形する成形型であって、
充填した樹脂が冷却する際に、樹脂成形品の表側の面を成形する表側キャビティ面からよりも、樹脂成形品の裏側の面を成形する裏側キャビティ面から剥がれやすくなるように構成されていることを特徴とする成形型。
【請求項2】
裏側キャビティ面の表面粗さを、表側キャビティ面の表面粗さよりも粗くすることを特徴とする請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
裏側キャビティ面に、樹脂を剥がしやすくするための離型剤が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の成形型。
【請求項4】
裏側キャビティ面の表面温度を、表側キャビティ面の表面温度よりも高くする温度制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の成形型。
【請求項5】
成形型の裏側キャビティ面を構成する一方の型を、成形型の表側キャビティ面を構成する他方の型よりも低い熱伝導率の材質とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の成形型。
【請求項6】
成形型のキャビティ内に溶融した樹脂を充填し、その樹脂をキャビティ内で冷却させて樹脂成形品を成形する樹脂成形方法であって、
充填した樹脂を冷却させて樹脂成形品を成形した後に、樹脂成形品の裏側を成形する裏側キャビティ面から樹脂成形品を剥がし、その後に樹脂成形品の表側の面を成形する表側キャビティ面から樹脂成形品を剥がし、この樹脂成形品をキャビティ内から取り出すことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項7】
充填した樹脂を冷却して樹脂成形品を成形する冷却工程において、
樹脂成形品の曲面部分の裏側キャビティ面に接する樹脂よりも、表側キャビティ面に接する樹脂を先に冷却することを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212924(P2006−212924A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27633(P2005−27633)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(300087396)株式会社ビーピーエイ (10)
【Fターム(参考)】